JP2700604B2 - 薄膜磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッドの製造方法

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JP2700604B2
JP2700604B2 JP5146685A JP14668593A JP2700604B2 JP 2700604 B2 JP2700604 B2 JP 2700604B2 JP 5146685 A JP5146685 A JP 5146685A JP 14668593 A JP14668593 A JP 14668593A JP 2700604 B2 JP2700604 B2 JP 2700604B2
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永 宮路
敏晴 鈴木
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富士電気化学株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、HDDやコンピュータ
等の磁気記録装置に用いられる薄膜磁気ヘッドの製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の薄膜磁気ヘッドの構造の一例を示
すと、例えば図6に示すように、基板1の上面に保護層
2,下部磁極層3,ギャップ部となる非磁性材層4,所
定数のコイル層5及びそのコイル層5を覆う絶縁層6,
上部磁極層7が順次積層配置され、下部磁極層3と上部
磁極層7とは、上部磁極層7の後方側所定部位に形成さ
れた凹所7aで接続されており、ヨークを構成してい
る。さらに、上記各層を覆うように最上部には、保護層
8が形成されている。
【0003】そして、係る構成の薄膜磁気ヘッドを製造
するには、基板1の上に所定形状の上記した各層を、そ
の順に積層形成することにより1枚のウエハ上に多数の
磁気ヘッド素子を形成する。そして、そのウエハの所定
部位を切断・切削加工することにより1個の薄膜磁気ヘ
ッドを製造する。
【0004】そして上記各層を形成するには、半導体プ
ロセスを用い、例えば基板1或いはすでに形成した他の
層の上をポジ型のレジストで覆い、そのレジストの所定
部位に光を照射(投影露光)しその後現像することによ
り、その照射した露光部分のレジストを除去する。そし
て、係る除去により形成された孔部内にメッキ等を施す
ことにより所定のパターン形状からなる層を成膜形成す
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来のものでは、以下に示す種々の問題があった。す
なわち、高密度記録媒体に対応するために高出力を得る
べくコイルのターン数を増やしたいという要請があり、
一方薄膜磁気ヘッドの小型化の要請から各層の平面形状
は小さくしたいという相反する要請がある。そこで図示
のようにコイル層を2層さらには3層以上に形成するこ
とにより、上記の両要請を解決するようにしている。
【0006】しかし、従来の製造方法では、基板1の上
に次々と所定形状からなる各層を重ねて行くため、後工
程になるほど(上方の層を形成する時ほど)表面に形成
される段差が大きくなる。すると、上記レジストを厚く
塗布したり均一に塗布したりすることが困難となる。
【0007】従って、レジストの厚さが薄くなり、必然
的に各層の厚さが薄くなる。すると、所望の膜厚を得る
ことができず、コイル層5では断面積が小さくなること
により抵抗が高くなり、また、絶縁層6では絶縁耐圧が
低くなる等の問題を生じる。よって、積層形成するコイ
ル層の数をあまり多くすることができなくなる。さらに
形成する層の数を増やすと、膜そのもの自体が形成でき
なくなる。
【0008】係る問題を解決するものとして、例えば特
開平4−90111号公報に開示された薄膜磁気ヘッド
のように、ギャップ層の両側にコイル層を形成し、従来
であれば平坦であった下部磁極層も湾曲させたものがあ
る。しかし、係る構成のものは、従来と全く異なるもの
であるので、従来の製造プロセスをそのまま適用する
は、何かと不便なものがある。
【0009】本発明は、上記した背景に鑑みてなされた
もので、その目的とするところは、所望の絶縁耐圧並び
にコイルの抵抗を得つつ積層するコイル層を増加するこ
とのできる薄膜磁気ヘッドを効率よく簡単に製造する方
法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】 上記した目的を達成する
ため、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法 では、仮
基板の片面側に所定数のコイル層並びに絶縁層を順次積
層形成し、さらにその上方を覆うようにして第1の磁極
層,第1の保護層を形成するとともに、その保護層の表
面を研磨し、その研磨面に基板を形成し、次いで、前記
仮基板を除去するとともに、それにより露出した面にギ
ャップ層を形成し、さらに前記ギャップ層の表面に、所
定数のコイル層並びに絶縁層を順次積層形成した後、そ
の上方を覆うようにして第2の磁極層,第2の保護層を
形成するようにした。
【0011】
【作用】ギャップ層の両側に、それぞれ所定数のコイル
層及びそれを絶縁するための絶縁層を積層形成するよう
にしたため、両側それぞれに製造プロセス上の積層数の
限界のコイル層を形成したならば、薄膜磁気ヘッド全体
では、係る限界の2倍のコイル層を形成することがで
き、高インダクタンス,高出力の薄膜磁気ヘッドが絶縁
耐圧などの品質を保ちつつ製造される。本発明によれ
ば、係る高性能の薄膜磁気ヘッドを容易に製造すること
ができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方
法の好適な実施例を添付図面を参照にして詳述する。
ず図1に基づいて本発明により製造される薄膜磁気ヘッ
ドの一形態を説明する。図示の例では、4層(コイル
層)構造の薄膜磁気ヘッドを示している。同図に示すよ
うに、従来は基板の上に各層を順次積層して形成したた
め基板(磁極層)の上に形成したギャップ層の上に所定
数のコイル層と絶縁層を介在させながら形成したのに対
し、本例ではギャップ層10の上下両側にそれぞれ2層
ずつのコイル層を形成している。
【0013】すなわち、ギャップ層10の下側には、第
1の絶縁層11を介して第1のコイル層12が形成さ
れ、さらにその第1のコイル層12の下側には第2の絶
縁層13を介して第2のコイル層14が形成される。そ
して、その第2のコイル層14の下側には、第3の絶縁
層15が生成され、さらに下側にはそれら各層を覆うよ
うにして第1の磁極層16が形成される。
【0014】一方、ギャップ層10の上側には、第3の
コイル層17が形成される。なお、この第3のコイル層
17と第1のコイル層12との絶縁は、両者間に介在す
る第1の絶縁層11を介してとられているため、ギャッ
プ層10と第3のコイル層17との間には絶縁層を設け
ていない。そして、上記と同様に、第3のコイル層17
の上に、第4の絶縁層18,第4のコイル層19,第5
の絶縁層20を順次形成し、それらを覆うようにして第
2の磁極層21が形成される。
【0015】そして、両磁極層16,21の外側には、
それぞれ第1,第2の保護層22,23が形成されて表
面が平坦にされる。さらに第1の保護層22の下側に基
板24が形成され、この基板24がスライダとして機能
する。
【0016】すなわち、図から明らかなように、ギャッ
プ層10の上側の各層17〜21と、下側の各層11〜
16が、それぞれ従来の製造プロセスにより形成するこ
とができるため、仮に所定の性能(絶縁性能等)を維持
しつつ積層できるコイル層の数が2層であるとすると、
本発明ではギャップ層10の両側にそれぞれ限界である
2層(12,14と17,19)ずつ形成することがで
き、計4層というように少なくとも2倍に積層すること
ができる。従って、従来のプロセス技術を用いながら、
コイルのターン数を増やすことができ、インダクタンス
の高い薄膜磁気ヘッドとなる。
【0017】しかも従来は、図6に示すように片側に積
層していったために、2つの磁極層を一方の側に形成す
る必要があったが、本例では、2つの磁極層16,21
をそれぞれギャップ層10の両側に1つずつ形成すれば
よいため、磁極層1層分に相当する膜厚だけ薄くでき
る。よって、さらにコイル層の積層数を1層増やす可能
性がでるとともに、仮に増やさなくても、各層を余裕を
持って成膜することができるため、品質の高安定化を図
ることができる。
【0018】次に、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造
方法の好適な一実施例として、上記した図1に示す構成
の薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。まず、
図2(A)に示すように、仮基板25の片側表面にワッ
クス26を塗布する。この仮基板25としては、例えば
従来から一般にこの種の薄膜磁気ヘッド用の基板として
用いられているアルチック基板を用いてもよいが、この
仮基板25は最終的には除去するため、ある程度の硬
度,耐熱・耐酸性等を有しているものであればその材質
には特にとらわれない。また、ワックス26は、後工程
で仮基板25を剥がす処理をしやすくするためのもの
で、例えば融点が270〜320℃のものを用いる。
【0019】そして、仮基板25のワックス26を塗布
した面に、第1の絶縁層11を形成する(同図
(B))。この第1の絶縁層11は、従来と同様の手法
によりパターンニング(レジスト塗布,露光・現像等)
されて所定形状に形成されている(以下、各層の形成も
同じであるため省略する)。次いで、この第1の絶縁層
11の上側表面上に、所定形状の第1のコイル層12を
成膜する(同図(C))。そして、この第1のコイル層
12を覆うようにして、その上並びに露出する第1の絶
縁層11の表面上に第2の絶縁層13を形成する(同図
(D))。
【0020】次いで、同様の工程を繰り返すことによ
り、第2の絶縁層13の上に第2のコイル層14を形成
し、さらにそれら各層13,14を覆うようにして第3
の絶縁層15を形成する(図2(A),(B))。この
様にして、2つのコイル層12,14を絶縁をとりなが
ら積層形成したならば、それら各層11〜15を覆うよ
うにして第1の磁極層16を形成する。そして、この第
1の磁極層16の両端16a,16bは、それぞれワッ
クス26の形成面にまで至るようにする(同図
(C))。さらに、この第1の磁極層16その他の各層
を覆うようにして、仮基板25(ワックス26)の上面
に第1の保護層22を形成する(同図(D))。
【0021】そして、係る第1の保護層22の表面を研
磨して平面化した後で、その表面にアルチックをつけて
基板24を形成する。この基板24が、最終的な薄膜磁
気ヘッドにおける基板(スライダ)となる(図4
(A))。これにより、片面側(前半)の成膜工程が終
了する。
【0022】次に、基板を反転して仮基板25を上側に
し、加熱してワックス26を軟化(溶融)させ、仮基板
25を取り外す。そして、露出する第1の絶縁層11,
第1の磁極層16並びに第1の保護層22の表面を研磨
し、ワックス26を完全に除去するとともに平坦化する
(同図(B))。なお、この研磨処理にともない、各層
11,16並びに第1の保護層22が若干量削られるた
め、上記した各工程で製造する際には、予めその研磨量
を考慮して厚めに形成する。
【0023】そして、係る研磨面に対してギャップ層1
0を形成する。この時、第1の磁極層16の一方の端部
16aに対向するギャップ層10の所定位置には開口1
0aを形成し、その開口10aを介して上記端部16a
が露出するようにしている(同図(C))。
【0024】次いで、通常の製造プロセスを用いて、ギ
ャップ層10の露出側表面上に第3のコイル層17,第
4の絶縁層18,第4のコイル層19並びに第5の絶縁
層20を順次積層形成する(図5(A),(B))。そ
して、それら各層17〜20を覆うようにして第2の磁
極層21を形成する。この第2の磁極層21も、その両
端21a,21bは、それぞれギャップ層10の形成面
にまで至るようにする(同図(C))。これにより、第
2の磁極層21の一端21aは、ギャップ層10に形成
した開口10a内に入り込むとともに、第1の磁極層1
6の一端16aと接続され、一方、第2の磁極層21の
他端21bはギャップ層10を介して所定の間隔を隔て
て第1の磁極層16の他端16bと対向する。これによ
りヨークが構成される。
【0025】その後、上記第2の磁極層21その他の各
層を覆うようにして、第2の保護層22を形成し(同図
(D))、その保護層22の表面を研磨して平坦化する
ことにより、図1に示すような薄膜磁気ヘッドが構成さ
れる。なお、上記した各図では便宜上1個の薄膜磁気ヘ
ッドに相当する各層の製造工程について示したが、実際
には、1つの基板上の所定位置に上記構成(各層が成膜
された)の磁気ヘッド素子を多数形成したウエハを製造
し、次いでそのウエハの所定部位を切断したり、所定の
切削研磨処理を行うことにより、所定形状の薄膜磁気ヘ
ッドを製造することになるが、具体的な処理について
は、従来のものと同様であるため、その説明を省略す
る。
【0026】なお、上記した薄膜磁気ヘッド及びその製
造方法についての各実施例では、いずれもギャップ層の
両側に2層ずつのコイル層を形成した例について示した
が、本発明はこれに限ることはなく、両側に形成する各
層の数は任意である。
【0027】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る薄膜磁気ヘ
ドの製造方法では、ギャップ層の両側に、それぞれ所
定数のコイル層及びそれを絶縁するための絶縁層を積層
形成するようにしたため、片側では磁極層を1層だけ形
成すればよいとともに、両側それぞれに製造プロセス上
の積層数の限界のコイル層を形成することができ、薄膜
磁気ヘッド全体で有するコイル層の数を絶縁耐圧などの
品質を保ちつつ増大することができる。よって、ターン
数の増加を簡単に行え、高インダクタンス,高出力の薄
膜磁気ヘッドを製造できる。そして、仮基板を用いて片
側のコイル層等を製造し、その後反転して仮基板を除去
するとともに、反対側のコイル層等を積層形成するた
め、個々のコイル層や絶縁層等を製造するのは、従来と
同様の工程で行え、簡単に上記した高性能の薄膜磁気ヘ
ッドを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により製造される薄膜磁気ヘッドの一例
を示す断面図である。
【図2】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法の好適
な一実施例の製造工程の一部を示す図である。
【図3】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法の好適
な一実施例の製造工程の一部を示す図である。
【図4】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法の好適
な一実施例の製造工程の一部を示す図である。
【図5】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法の好適
な一実施例の製造工程の一部を示す図である。
【図6】従来の薄膜磁気ヘッドの一例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
10 ギャップ層 11 第1の絶縁層 12 第1のコイル層 13 第2の絶縁層 14 第2のコイル層 15 第3の絶縁層 16 第1の磁極層 17 第3のコイル層 18 第4の絶縁層 19 第4のコイル層 20 第5の絶縁層 21 第2の磁極層 22 第1の保護層 23 第2の保護層 24 基板 25 仮基板 26 ワックス

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仮基板の片面側に所定数のコイル層並び
    に絶縁層を順次積層形成し、さらにその上方を覆うよう
    にして第1の磁極層,第1の保護層を形成するととも
    に、その保護層の表面を研磨し、その研磨面に基板を形
    成し、 次いで、前記仮基板を除去するとともに、それにより露
    出した面にギャップ層を形成し、さらに前記ギャップ層
    の表面に、所定数のコイル層並びに絶縁層を順次積層形
    成した後、その上方を覆うようにして第2の磁極層,第
    2の保護層を形成するようにした薄膜磁気ヘッドの製造
    方法。
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