JP2699216B2 - 酸化物超電導体の製造方法 - Google Patents
酸化物超電導体の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、酸化物超電導体の製造方法に係わり、特
に、臨界温度、臨界電流密度の大きな膜を合成するのに
好適な製造方法に関する。
に、臨界温度、臨界電流密度の大きな膜を合成するのに
好適な製造方法に関する。
1988年、ジャーナル・オブ・アプライド・フィジック
ス・ジャパン(Jan.J.Appl.Phys.以下J.J.A.P.と略記
す),27,L209-10において、前田らによって発表されたB
i−Sr−Ca−Cu−O系(以後BSCCOと略す)は、105Kの臨
界温度(Tc)を持ち、液体窒素温度の77Kに比較して大
きなマージンを持つことにより、この温度での使用を目
標とした酸化物超電導材料の実用化においては魅力的な
物質である。ところで、この系は不安定で、Tc=110Kの
結晶構造の相(高温相)の体積率を大きくするのが困難
である。高野、水野らはBSCCOにPbを加える(以後BPSCC
O)ことにより高温相の体積率を飛躍的に増大すること
をJ.J.A.P.,27,L1041-43(1988)で論じたが、これに
は、Biの一部をPbが置換することによる高温相の構造安
定化と、添加効果がもたらす部分溶融液相による、反応
の促進が関与していると見られている。膜の合成におい
ても、熱処理(ポストアニール)の熱平衡によって高温
相の成長を図る場合には、Pbの役割は同様である。しか
し、膜では蒸気圧の高いPbは急激に蒸発してしまうこと
から、ポストアニールによる高温相の単一合成に成功し
たアプライド・フィジックス・レターズ(Appl.Phys.Le
tt.)55(12),18,(1989),pp1252の田中らの研究やJ.
J.A.P.28(5),1989,pp819の白楽らの例は、Pbの蒸発
を見込んで膜組成をあらかじめPb過剰にしている点、短
時間で結晶化を行なうために部分溶融温度直下の狭い温
度範囲で熱処理している点で共通している。このような
方法は、ポストアニールの温度、時間の許容範囲が狭い
ので、そのままでは大面積化、高速成膜といった線材又
はシール材への応用には困難であるという問題があっ
た。
ス・ジャパン(Jan.J.Appl.Phys.以下J.J.A.P.と略記
す),27,L209-10において、前田らによって発表されたB
i−Sr−Ca−Cu−O系(以後BSCCOと略す)は、105Kの臨
界温度(Tc)を持ち、液体窒素温度の77Kに比較して大
きなマージンを持つことにより、この温度での使用を目
標とした酸化物超電導材料の実用化においては魅力的な
物質である。ところで、この系は不安定で、Tc=110Kの
結晶構造の相(高温相)の体積率を大きくするのが困難
である。高野、水野らはBSCCOにPbを加える(以後BPSCC
O)ことにより高温相の体積率を飛躍的に増大すること
をJ.J.A.P.,27,L1041-43(1988)で論じたが、これに
は、Biの一部をPbが置換することによる高温相の構造安
定化と、添加効果がもたらす部分溶融液相による、反応
の促進が関与していると見られている。膜の合成におい
ても、熱処理(ポストアニール)の熱平衡によって高温
相の成長を図る場合には、Pbの役割は同様である。しか
し、膜では蒸気圧の高いPbは急激に蒸発してしまうこと
から、ポストアニールによる高温相の単一合成に成功し
たアプライド・フィジックス・レターズ(Appl.Phys.Le
tt.)55(12),18,(1989),pp1252の田中らの研究やJ.
J.A.P.28(5),1989,pp819の白楽らの例は、Pbの蒸発
を見込んで膜組成をあらかじめPb過剰にしている点、短
時間で結晶化を行なうために部分溶融温度直下の狭い温
度範囲で熱処理している点で共通している。このような
方法は、ポストアニールの温度、時間の許容範囲が狭い
ので、そのままでは大面積化、高速成膜といった線材又
はシール材への応用には困難であるという問題があっ
た。
本発明の目的は、前記問題点を解決し、高温相の単一
合成を通して、高臨界温度、高臨界電流密度のBi系超電
導膜を製造するのに好適な製造方法を提供することにあ
る。
合成を通して、高臨界温度、高臨界電流密度のBi系超電
導膜を製造するのに好適な製造方法を提供することにあ
る。
上記目的を達成するために、本発明では、Bi−Pb−Sr
−Ca−Cu−O系酸化物超電導体の薄膜又は厚膜の合成に
おいて、減圧下でスパッタした非晶質を析出膜を、400
℃以下の温度でオゾン、N2O又は酸素と反応させ、該析
出膜中のPbを酸化物とした後、その膜が部分溶融する温
度で熱処理し、結晶化を図る工程を有することを特徴と
する酸化物超電導体の製造方法としたものである。
−Ca−Cu−O系酸化物超電導体の薄膜又は厚膜の合成に
おいて、減圧下でスパッタした非晶質を析出膜を、400
℃以下の温度でオゾン、N2O又は酸素と反応させ、該析
出膜中のPbを酸化物とした後、その膜が部分溶融する温
度で熱処理し、結晶化を図る工程を有することを特徴と
する酸化物超電導体の製造方法としたものである。
本発明の製造方法においては、酸化物超電導体として
は、Bi−Pb−Sr−Ca−Cu−O系のものが使用でき、非晶
質の析出膜の組成は、式 BiαPbβSr2CaγCuδOX(式中、1.8<α<2、0.4<β
<2.5、2<γ<2.5、3<δ<4)の範囲のものが好適
に使用できる。
は、Bi−Pb−Sr−Ca−Cu−O系のものが使用でき、非晶
質の析出膜の組成は、式 BiαPbβSr2CaγCuδOX(式中、1.8<α<2、0.4<β
<2.5、2<γ<2.5、3<δ<4)の範囲のものが好適
に使用できる。
上記のように、本発明の製造方法では、熱処理(ポス
トアニール)前に非晶質の析出膜を酸化処理し、Pbを酸
化物とすることでPbの蒸気圧を抑制することができる。
トアニール)前に非晶質の析出膜を酸化処理し、Pbを酸
化物とすることでPbの蒸気圧を抑制することができる。
また、本発明においては、Bi−Pb−Sr−Ca−Cu−O系
酸化物超電導体薄膜は、熱処理工程を通して合成された
膜の膜表面を含む膜厚方向のPbの平均濃度分布が、Biの
濃度に対して0.22以上である酸化物超電導体が得られ
る。
酸化物超電導体薄膜は、熱処理工程を通して合成された
膜の膜表面を含む膜厚方向のPbの平均濃度分布が、Biの
濃度に対して0.22以上である酸化物超電導体が得られ
る。
以下、本発明を詳細に説明する。
Pbが、バルクに比較して蒸発しやすい理由には、体積
に比較して表面積が大きいという理由のほか、酸素分圧
がマグネトロンスパッタで10-2atm、イオンビームスパ
ッタで10-7atmにもなる、成膜時のチャンバー内の低酸
素分圧が、Pbを金属に還元しPbの蒸気圧を高めているこ
とが考えられる。表1は、10-4Torrの減圧下でイオンビ
ームスパッタにより作製したBi2Pb1Sr2Ca2Cu3OX組成の
アズデポ膜を空気中、850℃で熱処理した時の膜中のPb
量の変化を示したものである。Pbは短時間の熱処理で急
激に減少してしまうことがわかる。
に比較して表面積が大きいという理由のほか、酸素分圧
がマグネトロンスパッタで10-2atm、イオンビームスパ
ッタで10-7atmにもなる、成膜時のチャンバー内の低酸
素分圧が、Pbを金属に還元しPbの蒸気圧を高めているこ
とが考えられる。表1は、10-4Torrの減圧下でイオンビ
ームスパッタにより作製したBi2Pb1Sr2Ca2Cu3OX組成の
アズデポ膜を空気中、850℃で熱処理した時の膜中のPb
量の変化を示したものである。Pbは短時間の熱処理で急
激に減少してしまうことがわかる。
本発明者は、種々検討した結果、マグネトロンスパッ
タおよびイオンビームスパッタで得られたBi1.8〜2Pb
0.4〜2.5Sr2Ca2〜2.5Cu3〜4OXの非晶質の析出膜につい
て、オゾンを含む酸素雰囲気中において、Pbの融点以
下の温度で予備処理して膜を酸素富化した後、高温相
が安定となる温度で本焼して結晶化を図り、ほぼ単一な
高温相を得ることに成功した。この膜の組成分析によっ
て、の過程でのPbの減少が抑制されたことが明らかに
なったため本発明に至った。
タおよびイオンビームスパッタで得られたBi1.8〜2Pb
0.4〜2.5Sr2Ca2〜2.5Cu3〜4OXの非晶質の析出膜につい
て、オゾンを含む酸素雰囲気中において、Pbの融点以
下の温度で予備処理して膜を酸素富化した後、高温相
が安定となる温度で本焼して結晶化を図り、ほぼ単一な
高温相を得ることに成功した。この膜の組成分析によっ
て、の過程でのPbの減少が抑制されたことが明らかに
なったため本発明に至った。
上記過程の、オゾンを含む酸素雰囲気中で膜を酸素
富化する過程において、酸素に対するオゾン濃度につい
ては、濃度が大きい程酸化を促進するので、オゾン濃度
に上限はないが、下限については、オゾンを用いたこと
による酸化促進効果は酸素を少なくとも体積率にして1
%オゾン化した時に現われた。熱処理温度は、温度が高
いほど酸化反応は速くなるが、Pbの蒸発も速くなるの
で、一長一短である。しかし、処理時間とPbの融点(32
8℃)を考慮すると、熱処理温度は400℃以下、特に250
℃〜328℃で行なうのが望ましい。処理時間について
は、例えば1.5%のオゾンを含む酸素中で、300℃5時間
の処理をしたところ、十分な酸化効果が得られた。の
結晶化を図る本焼過程では、熱処理は、高温相が安定な
温度範囲で行なう。高温相の安定領域は雰囲気の酸素分
圧にも依存しているので、それらとの対応で述べると、
空気中での熱処理では、845〜853℃が望ましく、1/1302
−Arではそれより20〜25℃低い温度範囲であり、処理時
間は10分〜10時間である。この範囲外であると、低温相
(2212相)が成長するか、部分溶融して半導体相(2201
相)が成長するかである。
富化する過程において、酸素に対するオゾン濃度につい
ては、濃度が大きい程酸化を促進するので、オゾン濃度
に上限はないが、下限については、オゾンを用いたこと
による酸化促進効果は酸素を少なくとも体積率にして1
%オゾン化した時に現われた。熱処理温度は、温度が高
いほど酸化反応は速くなるが、Pbの蒸発も速くなるの
で、一長一短である。しかし、処理時間とPbの融点(32
8℃)を考慮すると、熱処理温度は400℃以下、特に250
℃〜328℃で行なうのが望ましい。処理時間について
は、例えば1.5%のオゾンを含む酸素中で、300℃5時間
の処理をしたところ、十分な酸化効果が得られた。の
結晶化を図る本焼過程では、熱処理は、高温相が安定な
温度範囲で行なう。高温相の安定領域は雰囲気の酸素分
圧にも依存しているので、それらとの対応で述べると、
空気中での熱処理では、845〜853℃が望ましく、1/1302
−Arではそれより20〜25℃低い温度範囲であり、処理時
間は10分〜10時間である。この範囲外であると、低温相
(2212相)が成長するか、部分溶融して半導体相(2201
相)が成長するかである。
本発明の一例を、イオンビームスパッタリングで作製
したBi1.8Pb1Sr2Ca2Cu3OX組成の膜の場合について示
す。
したBi1.8Pb1Sr2Ca2Cu3OX組成の膜の場合について示
す。
Bi1.8Pb1Sr2Ca2Cu3OX組成の一元ターゲットを用い
て、Ar、10-4Torrの減圧下で、室温のMgO単結晶基板上
にイオンビームスパッタした。厚み1μmにスパッタし
た膜は薄い茶褐色で透明であった。この非晶質の析出膜
中のPbの価数をXPSで評価したところ、20%が2価のイ
オンで残りが金属であった。次に、オゾナイザーによっ
て5%までオゾン化した酸素ガスを通して電気炉中に、
この膜を入れ、300℃、10時間の熱処理を施した。取り
出した膜は、濃い茶褐色に変化して、Pbよりもイオン化
傾向の小さいCuまでが酸化されたことを示した。XPSに
よる評価ではPbは95%が2価のイオンになった。続い
て、結晶化のため空気中で850℃の熱処理を25時間施し
た。X線分析により、この膜では高温相がC軸配向して
いることが明らかになった。交流帯磁率測定法を用い
て、高温相の、超電導相全体に占める体積率を測定した
ところ、100〜110Kで超電導になった高温相は90%で、
残りはTc70Kの低温相であった。
て、Ar、10-4Torrの減圧下で、室温のMgO単結晶基板上
にイオンビームスパッタした。厚み1μmにスパッタし
た膜は薄い茶褐色で透明であった。この非晶質の析出膜
中のPbの価数をXPSで評価したところ、20%が2価のイ
オンで残りが金属であった。次に、オゾナイザーによっ
て5%までオゾン化した酸素ガスを通して電気炉中に、
この膜を入れ、300℃、10時間の熱処理を施した。取り
出した膜は、濃い茶褐色に変化して、Pbよりもイオン化
傾向の小さいCuまでが酸化されたことを示した。XPSに
よる評価ではPbは95%が2価のイオンになった。続い
て、結晶化のため空気中で850℃の熱処理を25時間施し
た。X線分析により、この膜では高温相がC軸配向して
いることが明らかになった。交流帯磁率測定法を用い
て、高温相の、超電導相全体に占める体積率を測定した
ところ、100〜110Kで超電導になった高温相は90%で、
残りはTc70Kの低温相であった。
以上のように、本発明は、ポストアニール前にPbを酸
化し、高温相の成長を促進するので、臨界温度や、臨界
電流密度の高い材料を提供できる。
化し、高温相の成長を促進するので、臨界温度や、臨界
電流密度の高い材料を提供できる。
本発明は、Bi系超電導膜の合成においてポストアニー
ルで単一な高温相の育成を可能にするものである。これ
を実現するためには、ポストアニール前のプレ処理でPb
を酸化しPbの蒸気圧を抑制する必要があった。上記の例
中、850℃の熱処理によるPb濃度の時間変化を表2に示
した。表1に比較してこの膜はPbの蒸発が遅い。その結
果、Pbが多く残留し、高温相育成の反応が促進され、上
記の実施例のように高温相が大きな体積率を占めた。第
1図は上記実施例の実験条件で、300℃でのオゾン酸化
時間を0.5〜10時間に変化させ、その後空気中845℃で50
時間本焼したときの高温相の体積率の変化を示したもの
である。体積率はオゾン酸化時間5時間で最も高い値を
示した。それよりも長時間では予備処理時のPb蒸発が大
きくなって高温相の体積率は減少した。高温相と低温相
の各体積率は交流帯磁率法によって測定した。
ルで単一な高温相の育成を可能にするものである。これ
を実現するためには、ポストアニール前のプレ処理でPb
を酸化しPbの蒸気圧を抑制する必要があった。上記の例
中、850℃の熱処理によるPb濃度の時間変化を表2に示
した。表1に比較してこの膜はPbの蒸発が遅い。その結
果、Pbが多く残留し、高温相育成の反応が促進され、上
記の実施例のように高温相が大きな体積率を占めた。第
1図は上記実施例の実験条件で、300℃でのオゾン酸化
時間を0.5〜10時間に変化させ、その後空気中845℃で50
時間本焼したときの高温相の体積率の変化を示したもの
である。体積率はオゾン酸化時間5時間で最も高い値を
示した。それよりも長時間では予備処理時のPb蒸発が大
きくなって高温相の体積率は減少した。高温相と低温相
の各体積率は交流帯磁率法によって測定した。
〔実施例〕 以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は
これらに限定されない。
これらに限定されない。
実施例1 Bi1.8Pb1Sr2Ca2Cu3OX組成の一元ターゲットを用い
て、Ar、10-4Torrの減圧下で、500℃に加熱したMgO単結
晶基板上にイオンビームスパッタした。厚み1μmにス
パッタした膜は茶褐色で半透明であった。この膜を、酸
素ガスを5%までオゾン化し、酸化雰囲気とした電気炉
中に入れ、300℃、10時間の熱処理を施した。取り出し
た膜は、茶褐色に変化した。XPSによる評価ではPbはほ
ぼ100%が2価のイオンになった。次に、結晶化のため
空気中で850℃、5時間の熱処理をした。この膜はC軸
配向した高温相のX線パターンを示した。低温相のピー
クは確認されなかった。SEM像では、基板面に沿って板
状晶が層状に折り重なった組織であることが明らかにな
った。この膜試料のTc値は110K、四端子法によるJc値
は、O磁場で104A/cm2、0.1Tの磁場中では500A/cm2であ
った。
て、Ar、10-4Torrの減圧下で、500℃に加熱したMgO単結
晶基板上にイオンビームスパッタした。厚み1μmにス
パッタした膜は茶褐色で半透明であった。この膜を、酸
素ガスを5%までオゾン化し、酸化雰囲気とした電気炉
中に入れ、300℃、10時間の熱処理を施した。取り出し
た膜は、茶褐色に変化した。XPSによる評価ではPbはほ
ぼ100%が2価のイオンになった。次に、結晶化のため
空気中で850℃、5時間の熱処理をした。この膜はC軸
配向した高温相のX線パターンを示した。低温相のピー
クは確認されなかった。SEM像では、基板面に沿って板
状晶が層状に折り重なった組織であることが明らかにな
った。この膜試料のTc値は110K、四端子法によるJc値
は、O磁場で104A/cm2、0.1Tの磁場中では500A/cm2であ
った。
実施例2 Bi1.8Pb1Sr2Ca2Cu3OX組成の一元ターゲットを用い
て、Ar、10-4Torrの減圧下で、500℃に加熱したMgO単結
晶基板上にイオンビームスパッタした。次に、基板温度
はそのままに、5%までオゾン化した酸素ガスをチャン
バー内に導入して大気圧とした。その状態で1時間保持
後、電気炉中に入れ、850℃、5時間の熱処理を施し
た。SEM像観察による組織は実施例1とほぼ同様だった
が、粒径はおよそ2倍になった。Jc値は、O磁場でJc=
2×104A/cm2、0.1Tの磁場中では10A/cm2であった。
て、Ar、10-4Torrの減圧下で、500℃に加熱したMgO単結
晶基板上にイオンビームスパッタした。次に、基板温度
はそのままに、5%までオゾン化した酸素ガスをチャン
バー内に導入して大気圧とした。その状態で1時間保持
後、電気炉中に入れ、850℃、5時間の熱処理を施し
た。SEM像観察による組織は実施例1とほぼ同様だった
が、粒径はおよそ2倍になった。Jc値は、O磁場でJc=
2×104A/cm2、0.1Tの磁場中では10A/cm2であった。
本発明によれば、ほぼ単一な高温相のBi系薄膜、厚膜
が合成できるので、Bi系膜材料の実用化に効果がある。
が合成できるので、Bi系膜材料の実用化に効果がある。
第1図は、高温相の割合をオゾン処理時間に対してプロ
ットしたグラフである。
ットしたグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 13/00 565 H01B 13/00 565D H01L 39/24 ZAA H01L 39/24 ZAAB (56)参考文献 特開 平1−119076(JP,A) 特開 平2−102123(JP,A) 特開 平3−197326(JP,A)
Claims (3)
- 【請求項1】Bi−Pb−Sr−Ca−Cu−O系酸化物超電導体
の薄膜又は厚膜の合成において、減圧下でスパッタした
非晶質の析出膜を、400℃以下の温度でオゾン、N2O又は
酸素と反応させ、該析出膜中のPbを酸化物とした後、そ
の膜が部分溶融する温度で熱処理し、結晶化を図る工程
を有することを特徴とする酸化物超電導体の製造方法。 - 【請求項2】前記オゾン酸化の条件が、オゾンを体積率
にして1%以上含む酸素中で、250〜328℃の温度である
ことを特徴とする請求項1記載の酸化物超電導体の製造
方法。 - 【請求項3】前記酸化物超電導体の非晶質の析出膜が、
式BiαPbβSr2CaγCuδOX(式中、1.8<α<2、0.4<
β<2.5、2<γ<2.5、3<δ<4)の組成範囲であ
り、熱処理条件が空気中で845〜853℃、10分〜10時間の
保持であることを特徴とする請求項1記載の酸化物超電
導体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2256829A JP2699216B2 (ja) | 1990-09-28 | 1990-09-28 | 酸化物超電導体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2256829A JP2699216B2 (ja) | 1990-09-28 | 1990-09-28 | 酸化物超電導体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04139008A JPH04139008A (ja) | 1992-05-13 |
JP2699216B2 true JP2699216B2 (ja) | 1998-01-19 |
Family
ID=17298009
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2256829A Expired - Fee Related JP2699216B2 (ja) | 1990-09-28 | 1990-09-28 | 酸化物超電導体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2699216B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012159855A (ja) * | 2012-04-23 | 2012-08-23 | Hoya Corp | マスクブランクの製造方法及びマスクの製造方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01119076A (ja) * | 1987-10-30 | 1989-05-11 | Nec Corp | 酸化物超伝導体膜の製造方法 |
JPH02102123A (ja) * | 1988-10-12 | 1990-04-13 | Nippon Mining Co Ltd | 超電導体の製造方法 |
JPH03197326A (ja) * | 1989-12-25 | 1991-08-28 | Hitachi Ltd | 酸化物超伝導薄膜の製法 |
-
1990
- 1990-09-28 JP JP2256829A patent/JP2699216B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04139008A (ja) | 1992-05-13 |
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