JP2698918B2 - 電動式パワーステアリング装置 - Google Patents

電動式パワーステアリング装置

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、電動式パワーステアリング装置に関す
る。
従来技術およびその問題点 電動式パワーステアリング装置として、操舵力を補助
するための電動モータと、ステアリングシャフトの入力
トルクを検出するためのトルクセンサと、検出トルク等
にもとづいてモータ指令値を算出する手段とを備えたも
のが知られている。
このような電動式パワーステアリング装置において、
ハンドルを長時間にわたってすえ切りした場合等のよう
に、操舵力補助量が大きい状態が継続する場合には、モ
ータおよびその駆動回路に大きな電流が流れ、モータお
よび駆動回路の素子が発熱してそれらが破損してしまう
ことがある。
そこで、モータ電流を監視し、モータ電流が一定時間
以上継続して所定基準値を越えた場合には、検出トルク
等にもとづいて算出された通常のモータ電流指令値に、
1より小さい所定の係数を乗算した値をモータ電流指令
値として用いて、モータ電流を低減させるようにした電
動式パワーステアリング装置がすでに開発されている。
しかしながら、検出トルク等にもとづいて算出された
通常のモータ電流指令値に係数を乗算した値をモータ電
流指令値として用いる方法では、モータ電流低下処理中
においては、検出トルク等にもとづいて算出された通常
のモータ電流指令値が大きいときのみならず、通常のモ
ータ電流指令値が小さいときでも指令値がより小さくさ
れるので、通常であればハンドル操作を非常に軽くでき
るときでもハンドル操作が重くなり、運転者が違和感を
おぼえるという問題がある。また、実際のモータ電流を
検出する必要があり、そのために構成が複雑になる。
この発明は、実際のモータ電流を検出することなく、
ハンドルを長時間にわたってすえ切りした場合等のよう
に操舵力補助量が大きい状態が継続する場合にも、モー
タおよび駆動回路の素子が発熱してそれらが破損してし
まうのを防止でき、しかも運転者がハンドル操作に違和
感をおぼえない電動式パワーステアリング装置を提供す
ることを目的とする。
課題を解決するための手段 この発明による電動式パワーステアリング装置は、操
舵力を補助するための電動モータと、ステアリングシャ
フトの入力トルクを検出するためのトルクセンサと、ト
ルクセンサの検出トルク等にもとづいてモータ電流指令
値を算出する手段とを備えた電動式パワーステアリング
装置において、所定時間間隔ごとに、モータが過負荷状
態となっているか否かをモータ電流指令値にもとづいて
判別する手段、モータが過負荷状態となっていると判別
された場合に、モータ電流許容上限値を低下させる手
段、および所定時間ごとに、トルクセンサの検出トルク
等にもとづいてモータ電流指令値を算出するとともに算
出されたモータ電流指令値とモータ電流指令値にもとづ
いて定めるモータ電流許容上限値とを比較し、小さい方
の値をモータ電流指令値として出力する手段を備えてい
ることを特徴とする。
作用 所定時間間隔ごとに、モータ電流指令値にもとづい
て、モータが過負荷状態となっているか否かが判別され
る。そして、モータが過負荷状態となっていると判別さ
れた場合には、モータ電流指令値にもとづいて定めるモ
ータ電流許容上限値が徐々に低下されていく。一方、所
定時間ごとに、トルクセンサの検出トルク等にもとづい
て算出されるとともに算出されたモータ電流指令値とモ
ータ電流許容上限値とが比較され、小さい方の値がモー
タ電流指令値として出力される。
実施例 以下、図面を参照して、この発明の実施例について説
明する。
第1図は、電動式パワーステアリング装置の全体の概
略構成を示している。この装置は、操舵力を補助するた
めの電動モータ(1)と、モータ駆動回路(2)と、電
動モータ(1)とステアリング系との間に設けられた電
磁クラッチ(3)と、クラッチ駆動回路(4)と、モー
タ駆動回路(2)と主電源(バッテリー)(5)との間
に設けられたキースイッチ(6)およびフェイルリレー
回路(7)と、ステアリングシャフトの入力トルクを検
出するトルクセンサ(8)と、車速を検出する車速セン
サ(9)と、トルクセンサ(8)の検出トルク、車速セ
ンサ(9)の検出速度等に基づいてモータ(1)および
電磁クラッチ(3)を制御するとともにフェイルリレー
回路(7)を制御するCPU(10)とを備えている。
モータ(1)は、ステアリングシャフトの出力軸また
はステアリングギア等の適当箇所に減速機、電磁クラッ
チ(3)等を介して連結されている。トルクセンサ
(8)は、たとえば、ステアリングシャフトの入力軸と
出力軸との間に設けられたトーションバーのねじれを検
出するポテンショメータからなる。
トルクセンサ(8)の出力信号は、マルチプレクサ
(13)およびA/D変換回路(14)を介してCPU(10)に送
られる。車速センサ(9)の出力信号(車速に応じた周
波数を有する信号)は、f/v変換回路(15)、マルチプ
レクサ(13)およびA/D変換回路(14)を介してCPU(1
0)に送られる。
CPU(10)からは、モータ制御信号、クラッチ制御信
号およびフェイルリレー制御信号が出力される。モータ
制御信号は、D/A変換回路(18)を介してモータ駆動回
路(2)に送られる。クラッチ制御信号は、D/A変換回
路(19)を介してクラッチ駆動回路(4)に送られる。
フェイルリレー制御信号は、インタフェイス(20)を介
してフェイルリレー回路(7)に送られる。
図示は省略したが、トルクセンサ(8)、車速センサ
(9)、モータ駆動回路(2)、クラッチ駆動回路
(4)等のパワーステアリング装置各部の異常を検出す
るための異常検出回路が設けられており、各異常検出回
路からの異常検知信号もCPU(10)に送られる。
CPU(10)は、そのプログラム等を記憶するROM(11)
および各種データを記憶するRAM(12)、複数のレジス
タ(図示略)を備えている。CPU(10)は、トルクセン
サ(8)の検出トルク、車速センサ(9)の検出速度等
にもとづいてモータ(1)の操舵力補助量を制御するモ
ータ制御、車速センサ(9)の検出速度等にもとづいて
電磁クラッチ(3)の切り替えを制御するクラッチ制
御、各異常検知回路からの検知信号等に基づいてフェイ
ルリレー回路(6)のリレー接点をオフにする等のフェ
イルセーフ等を行う。
第2図〜第4図は、CPU(10)による処理を示してい
る。CPU(10)による処理には、主処理と、割り込み処
理とがある。
第2図は、主処理の手順を示している。まず、初期化
処理が行われる(ステップ21)。この初期化処理では、
この後に行われるフェイルセーフ処理およびモータ電流
許容上限値制御処理でカウンタやタイマとして用いられ
る各種レジスタのクリア等が行われる。初期化処理の
後、初期診断処理が行われる(ステップ22)。
初期診断処理の後、所定のフェイルセーフ処理実行間
隔が経過したか(タイムアップか)否かが判定され(ス
テップ23)、所定のフェイルセーフ処理実行間隔が経過
していれば、フェイルセーフ処理が行われる(ステップ
24)。
この後、所定の車速計算処理実行間隔が経過したか
(タイムアップか)否かが判定され(ステップ25)、所
定の車速計算処理実行間隔が経過していれば、車速セン
サ(9)の検出信号に基づく車速計算などの処理が行わ
れる(ステップ26)。
この後、所定のモータ電流許容上限値制御処理実行間
隔が経過したか(タイムアップか)否かが判定され(ス
テップ27)、所定のモータ電流許容上限値制御処理実行
間隔が経過していれば、モータ電流指令値に基づくモー
タ電流許容上限値制御処理が行われる(ステップ28)。
この後、プログラムの暴走を検出するために用いられる
ウオッチドッグパルスが出力され(ステップ29)、ステ
ップ23に戻る。
フェイルセーフ処理実行間隔は車速計算処理実行間隔
より短く、車速計算処理実行間隔はモータ電流許容上限
値制御処理実行間隔より短い。この例では、モータ電流
許容上限値制御処理実行間隔は、1secに設定されてい
る。上記ステップ23でタイムアップしていなけれぱステ
ップ25に移り、ステップ25でタイムアップしていなけれ
ばステップ27に移り、ステップ27でタイムアップしてい
なければステップ29に移る。従って、フェイルセーフ処
理、車速計算処理およびモータ電流許容上限値制御処理
は、各処理ごとに定められた時間間隔おきに実行され
る。モータ電流許容上限値制御処理の詳細については後
述する。
第3図は、割込処理の手順を示している。この割込処
理は、たとえば1msec以下の所定時間間隔、ここでは1ms
ecの時間間隔ごとに実行される。割込処理においては、
まず、トルクセンサ(8)によって検出されたステアリ
ングシャフトの入力トルクが読み込まれる(ステップ3
1)。また、トルクセンサ(8)からの入力信号に基づ
いて操舵方向が判定される。
上記ステップ31で読込まれた今回の入力トルクと、主
処理のステップ26で求められた最新の車速とに基づい
て、操舵力補助量の目標値(モータ電流指令値)MCSSが
算出され、RAM(12)の目標値記憶エリアに記憶される
(ステップ32)。
つぎに、算出された目標値MCSSが、RAM(12)のモー
タ電流許容上限値記憶エリアに記憶されているモータ電
流許容上限値MCUより大きいか否かが判別される(ステ
ップ33)。そして、目標値MCSSが、モータ電流許容上限
値MCUより大きいければ、モータ電流許容上限値MCUが実
際に用いられる目標値MCSとしてRAM(12)の目標値記憶
エリアに記憶されるとともにモータ駆動回路(2)に出
力され、目標値MCSSがモータ電流許容上限値MCU以下の
場合には、上記ステップ32で求められた目標値MCSSが実
際の目標値MCSとして、そのままモータ駆動回路(2)
に出力される(ステップ35)。また、モータ回転方向を
表す方向制御信号が、モータ駆動回路(2)に出力され
る。これにより、モータ(1)は、回転トルクが目標値
MCSに応じた大きさになるようにかつ回転方向が方向制
御信号に応じた方向になるように駆動される。
次に、上記ステップ35で出力された今回の目標値MCS
(RAM(12)の目標値記憶エリアに記憶されている)
が、それまでの目標値MCSの最大値MCSmax(RAM(12)の
目標値最大値記憶エリアに記憶されている)より大きい
か否かが判別される(ステップ36)。そして、今回の目
標値MCSがそれまでの目標値最大値MCSmaxより大きけれ
ば、今回の目標値MCSが目標値最大値MCSmaxとしてRAM
(12)の目標値最大値記憶エリアに記憶され(ステップ
37)、割り込み処理は終了する。今回の目標値MCSがそ
れまでの目標値最大値MCSmax以下の場合には、目標値最
大値MCSmaxが更新されることなく、割り込み処理は終了
する。
目標値最大値記憶エリアは、初期化処理および1sec間
隔で実行されるモータ電流許容上限値制御処理において
クリアされるので、上記ステップ36および37によって、
1sec中に割込処理において出力された複数の目標値MCS
のうちの最大値MCSmaxが目標値最大値記憶エリアに記憶
される。
第4図は、主処理におけるモータ電流許容上限値制御
処理(ステップ28)の手順を示している。この処理にお
いては、まず、RAM(12)の目標値最大値記憶エリアに
記憶されている目標値最大値MCSmaxが、ROM(11)の許
容上限値低下用基準値記憶エリアにあらかじめ記憶され
ている許容上限値低下用基準値MCO1より大きいか否かが
判別される(ステップ41)。許容上限値低下用基準値MC
O1は、目標値MCSがとりうる最も大きな値を255とする
と、たとえば100に設定される。
目標値最大値MCSmaxが許容上限値低下用基準値MCO1よ
り大きい場合には、目標値最大値MCSmaxが所定のモータ
電流監視時間内に許容上限値低下用基準値MCO1を越えた
回数を計数するカウンタとして用いられている許容上限
値低下用基準値オーバー回数計数レジスタR1の内容K1が
+1される(ステップ42)。そして、RAM(12)の目標
値最大値記憶エリアがクリアされる(MCSmax=0)とと
もにモータ電流監視時間計時用のタイマとして用いられ
ているモータ電流監視時間計時用レジスタR3の内容K3が
+1される(ステップ43)。モータ電流監視時間は、た
とえば、30secに設定される。
上記ステップ41において、目標値最大値MCSmaxが許容
上限値低下用基準値MCO1以下の場合には、目標値最大値
MCSmaxが許容上限値復帰用基準値MCO2より小さいか否か
が判別される(ステップ44)。許容上限値復帰用基準値
MCO2は、目標値MCSがとりうる最も大きな値を255とする
と、たとえば、70〜80に設定される。
目標値最大値MCSmaxが許容上限値復帰用基準値MCO2よ
り小さい場合には、目標値最大値MCSmaxがモータ電流監
視時間内に許容上限値復帰用基準値MCO2を越えた回数を
計数するカウンタとして用いられている許容上限値復帰
用基準値オーバー回数計数レジスタR2の内容K2が+1さ
れた後(ステップ45)、ステップ43に移る。目標値最大
値MCSmaxが許容上限値復帰用基準値MCO2以上の場合に
は、許容上限値復帰用基準値オーバー回数計数レジスタ
R2の内容K2を更新することなくステップ43に移る。
ステップ43の処理が実行されると、モータ電流監視時
間計時用レジスタR3の内容K3が、電流監視時間30secに
応じた基準値KO3(ここでは30)以上であるか否かが判
別される(ステップ46)。レジスタの内容K3が基準値KO
3以上であれば、つまり、モータ電流監視時間を経過し
ていれば、許容上限値低下用基準値オーバー回数計数レ
ジスタR1の内容K1が、ROM(11)の許容上限値低下用基
準回数記憶エリアにあらかじめ記憶されている許容上限
値低下用基準回数KO1以上であるか否かが判別される
(ステップ47)。許容上限値低下用基準回数KO1は、た
とえば、20に設定される。
レジスタR1の内容K1が許容上限値低下用基準回数KO1
以上であれば、許容上限値低下制御フラグF1(ROM(1
2)にフラグF1として用いられているエリアが設けられ
ている)がセット(F1=1)され(ステップ48)、電流
低下および復帰制御規制値指定用レジスタR4の内容K4が
+1される(ステップ49)。
ROM(11)の所定の連続した複数のエリアには、電流
低下および復帰制御規制値MCXが大きい値のものから小
さい順に記憶されている。ここでは、説明の便宜上、電
流低下および復帰制御規制値MCXは4種類であり、ROM
(11)のエリアEnに第1規制値(255)が、エリアEn+
1に第2規制値(240)が、エリアEn+2に第3規制値
(226)が、エリアEn+3に第4規制値(118)があらか
じめ記憶されているものとする。そして、後述するステ
ッブ64で用いられる規制値MCXは、レジスタR4の内容K4
がインデックスレジスタに記憶され、この内容K4に対応
するエリアEn、En+1、En+2、またはEn+3から読出
された規制値である。レジスタの内容K4(0)、
(1)、(2)または(3)は、エリアEn、エリアEn+
1、エリアEn+2、エリアEn+3にそれぞれ対応してい
る。
上記ステップ49でレジスタの内容K4が+1されると、
レジスタR4の内容K4が規制値の種類数より1小さい値よ
り大きいか否か、ここでは3より大きいか否かが判別さ
れる(ステップ50)。内容K4が3より大きければレジス
タR4の内容K4が3にされたのち(ステップ51)、レジス
タR1、R2およびR3がクリアされ(K1=K2=K3=0)(ス
テップ52)、ステップ59に移る。ステップ50で、レジス
タR4の内容K4が3以下の場合には、ただちにステップ52
に移る。
上記ステップ47において、レジスタR1の内容K1が許容
上限値低下用基準回数KO1より小さい場合には、ステッ
プ53に移り、許容上限値復帰用基準値オーバー回数計数
レジスタR2の内容K2が、ROM(11)の許容上限値復帰用
基準回数記憶エリアにあらかじめ記憶されている許容上
限値低下用基準回数KO2以上であるか否かが判別され
る。許容上限値復帰用基準回数KO2は、たとえば、25に
設定される。
レジスタR2の内容K2が許容上限値復帰用基準回数KO2
以上であれば、許容上限値復帰制御フラグF2(ROM(1
2)にフラグF2として用いられているエリアが設けられ
ている)がセット(F2=1)され(ステップ54)、電流
低下および復帰制御規制値指定用レジスタR4の内容K4が
−1される(ステップ55)。そして、レジスタR4の内容
K4が0より小さいか否かが判別され(ステップ56)、0
より小さければレジスタR4の内容K4が0にされたのち
(ステップ57)、レジスタR1、R2およびR3がクリアされ
(ステップ52)、ステップ59に移る。ステップ56で、レ
ジスタR4の内容K4が0以上の場合には、ただちにステッ
プ52に移る。
上記ステップ53において、レジスタR2の内容K2が許容
上限値復帰用基準回数KO2より小さい場合、つまりレジ
スタR1の内容K1が許容上限値低下用基準回数KO1より小
さく、かつレジスタR2の内容K2が許容上限値復帰用基準
回数KO2より小さい場合には、両フラグF1およびF2がリ
セット(F1=F2=0)され(ステップ58)、ステップ59
に移る。
上記ステップ46においてモータ電流監視時間計時用レ
ジスタR3の内容K3が電流監視時間30secに応じた基準値K
O3(ここでは30)より小さい場合には、ステップ59に移
る。
ステップ59においては、許容上限値低下制御フラグF1
がセットされているか否かが判別される。許容上限値低
下制御フラグF1がセットされていれば、RAM(12)のモ
ータ電流許容上限値記憶エリアに記憶されているモータ
電流許容上限値MCUの値が−1される(ステッ60)。そ
して、更新されたモータ電流許容上限値MCUが規制値MCX
に等しいか否かが判別される(ステッップ64)。この規
制値MCXは、レジスタR4の内容K4がインデックスレジス
タに記憶され、この内容K4(0)(1)(2)または
(3)に対応するエリアEn、エリアEn+1、En+2また
はEn+3から読出された規制値(255)、(240)、(22
6)または(118)である。モータ電流許容上限値MCUが
規制値MCXに等しくなければ、電流許容上限値制御処理
は終了する。モータ電流許容上限値MCUが規制値MCXに等
しい場合には、フラグF1がリセットされたのち(ステッ
プ65)、電流許容上限値制御処理は終了する。
上記ステップ59において、許容上限値低下制御フラグ
F1がセットされていなければ、ステップ61に進み、許容
上限値復帰制御フラグF2がセットされているか否かが判
別される。許容上限値復帰制御フラグF2がセットされて
いれば、RAM(12)のモータ電流許容上限値記憶エリア
に記憶されているモータ電流許容上限値MCUが、規制値M
CXの最大値MCXmax(255)より小さいか否かが判別され
る(ステップ62)。
そして、モータ電流許容上限値MCUが、規制値MCXの最
大値MCXmaxより小さければ、RAM(12)のモータ電流許
容上限値記憶エリアに記憶されているモータ電流許容上
限値MCUの値が+1される(ステッ63)。こののち、更
新されたモータ電流許容上限値MCUが規制値MCXに等しい
か否かが判別され(ステッップ64)、モータ電流許容上
限値MCUが規制値MCXに等しくなければ、電流許容上限値
制御処理は終了する。モータ電流許容上限値MCUが規制
値MCXに等しい場合には、フラグF2がリセットされたの
ち(ステップ65)、電流許容上限値制御処理は終了す
る。
上記ステップ62でモータ電流許容上限値MCUが、規制
値MCXの最大値MCXmax以上の場合には、フラグF2がリセ
ットされたのち(ステップ65)、電流許容上限値制御処
理は終了する。
第5図は、上記電動式パワーステアリング装置によっ
てモータ電流を制御した場合のモータ電流の変化の一例
を示している。時点t0では、モータ電流許容上限値MCU
(折線bで示す)は、規制値の最大値MCXmax(255)に
等しくなっている。時点t0からモータ電流(目標値MC
S)(曲線aで示す)が1msecごとにサンプリングされ、
1secごとにモータ電流の最大値(目標値最大値MCSmax)
が求められる。そして、目標値最大値MCSmaxが許容上限
値低下用基準値MCO1を越えていれば、K1が+1されると
ともに目標値最大値MCSmaxが許容上限値復帰用基準値MC
O2より小さければ、K2が+1される。
モータ電流監視時間30secが経過すると(時点t1)、K
1が許容上限値低下用基準回数KO1以上か否かが判別され
る。この例では、K1が許容上限値低下用基準回数KO1以
上であるので、モータ電流許容上限値MCUが1secごとに
一定値づつ低下していく。そして、入力トルク等によっ
て算出された目標値MCSS(破線a1で示す)がモータ電流
許容上限値MCUより大きくなると、モータ電流許容上限
値MCUが実際に用いられる目標値MCSとして出力されるの
で、モータ電流はモータ電流許容上限値MCUとなる(時
点t2〜t3)。
時点t1から30sec後の時点t4までの間においても目標
値最大値MCSmaxが許容上限値低下用基準値MCO1を越えた
回数K1が計数されるとともに目標値最大値MCSmaxが許容
上限値復帰用基準値MCO2より小さい回数K2が計数されて
おり、時点t4において、MCSmaxが許容上限値低下用基準
値MCO1を越えた回数K1が許容上限値低下用基準回数KO1
以上か否かが判別される。この例では回数K1が許容上限
値低下用基準回数KO1より少なく、しかもMCSmaxが許容
上限値復帰用基準値MCO2より小さい回数K2が許容上限値
復帰用基準回数KO2より少ないので、許容上限値MCUは時
点t4の時の値を保持している。
発明の効果 この発明による電動式パワーステアリング装置では、
ハンドルを長時間にわたってすえ切りした場合等のよう
に操舵力補助量が大きい状態が継続する場合にも、モー
タおよび駆動回路の素子が発熱してそれらが破損してし
まうのを防止できる。しかも、モータ温度異常が発生し
たと判別された場合において、通常のモータ電流指令値
が大きいときには、指令値がより小さくされるが、通常
のモータ電流指令値が小さいときには指令値は小さくさ
れないので、運転者が違和感をおぼえなくなる。また、
モータ電流許容上限値がモータ電流指令値にもとづいて
定められるので、モータ電流許容上限値を定めるために
実際のモータ電流を検出する必要がなく、演算でモータ
電流許容上限値を定めることができ、その分、構成が簡
単になる。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第5図はこの発明の実施例を示し、第1図は電
動式パワーステアリング装置全体の概略構成を示す電気
ブロック図、第2図はCPUによる主処理の手順をフロー
チャート、第3図はCPUによる割込処理の手順を示すフ
ローチャート、第4図は主処理で実行されるモータ電流
許容上限値制御処理の手順を示すフローチャート、第5
図はモータ電流の変化を示すタイムチャートである。 (1)……電動モータ、(2)……モータ駆動回路、
(5)……電源、(8)……トルクセンサ、(10)……
CPU、(11)……ROM、(12)……RAM。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】操舵力を補助するための電動モータと、ス
    テアリングシャフトの入力トルクを検出するためのトル
    クセンサと、トルクセンサの検出トルク等にもとづいて
    モータ電流指令値を算出する手段とを備えた電動式パワ
    ーステアリング装置において、 所定時間間隔ごとに、モータが過負荷状態となっている
    か否かをモータ電流指令値にもとづいて判別する手段、 モータが過負荷状態となっていると判別された場合に、
    モータ電流許容上限値を低下させる手段、および 所定時間ごとに、トルクセンサの検出トルク等にもとづ
    いてモータ電流指令値を算出するとともに算出されたモ
    ータ電流指令値とモータ電流指令値にもとづいて定める
    モータ電流許容上限値とを比較し、小さい方の値をモー
    タ電流指令値として出力する手段、 を備えていることを特徴とする電動式パワーステアリン
    グ装置。
JP18767088A 1988-07-27 1988-07-27 電動式パワーステアリング装置 Expired - Fee Related JP2698918B2 (ja)

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