JP2696385B2 - 自動車用シートの製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は自動車用シートの製造方法、詳しくは、複数
の生地を一体に連結して形成した表皮を接着剤でシート
の外形形状にモールド成形した発泡体製クッション体に
接着して製造する自動車用シートの製造方法に関する。

（従来の技術） 従来この種の製造方法によって製造した自動車用シー
ト（SC）を第10図において示す。

図中（１）は表皮、（２）は表皮（１）に接着された
クッション体を示し、この自動車用シートはその表面側
に前記表皮（１）の一部を喰い込ませて形成した装飾用
の凹溝（ａ′）（ａ′）（ａ′）が第11図（Ａ）に示す
ような断面形状に成形されている。即ち、この凹溝
（ａ′）・・・はその底面（ａ′_１）が平面状になり連
結個所が外部から視覚される。そのため斯る従来品は、
シートの造形、外観が悪くなる不具合があった。

これは第11図Ｂに示すように、表皮（１）（１）の連
結個所（1a）に平板状のプレート（100）の基端を介在
させ、このプレート（100）を接着型（101）に設けた突
起（102）（103）で挟持させた後、この突起（102）（1
03）を表皮（１）の連結個所（1a′）と共にクッション
体（２）の表皮に喰い込ませて接着し、接着後、表皮
（１）の表面より外部に突出するプレート（100）の先
端部を切離することにより成形したものである。

（発明が解決しようとする課題） 以上の如く表皮（１）の連結個所に一体に挟持したプ
レート（100）を接着型（101）の両突起（102）（103）
で挟持することにより、クッション体に対する表皮
（１）の位置定めを行なうと共に、表皮の連結個所（1
a）をクッション体（２）内に喰込ませて装飾用の凹溝
（ａ′）を形成するものは、前記両突起（12）（12′）
の厚みが、前記凹溝（ａ′）の底面（ａ′_１）形状にな
り、シートの外観を損ねる不具合があった。

そこで、本発明は前記多数の布地を一体に連結してな
る表皮を発泡体製クッション体に接着することにより製
造する自動車用シートにおいて、その製造が簡単で外観
に優れた表面を有するシートを提供することを目的とす
るものである。

（課題を解決するための手段） 以上の目的を達成するための本発明は、複数の生地を
一体に連結して形成した表皮を接着剤で発泡体製クッシ
ョン体に接着して製造する自動車用シートの製造方法に
おいて、前記表皮の連結個所には断面略Ｙ字状合成樹脂
製プレートを、その二又状の頭部を表面側に突出させて
介在させ、この表皮を裏返して接着型に載置すると共
に、該接着型に設けた突起を前記プレートの頭部内に挿
入し、然る後、この表皮と前記クッション体とを加圧し
て前記接着型の突起をプレートと共に喰い込ませて接着
し、次に接着した表皮からプレートの頭部を切離するこ
とにより、表面にＶ字状の装飾溝を形成するようにした
ものである。

（作用） 接着型の突起が二又状のプレート内に挿入されるた
め、クッション体の表面にＶ字状に挿込まれて接着さ
れ、Ｖ字状の装飾溝が形成される。そして、プレートは
表皮の連結個所に介在させてなるため、表皮の連結個所
がＶ字状に接着されて形成された装飾溝の最深部に位置
する。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図、第２図は本発明に係る製造方法によって成形
した自動車用シートを示し、図中（１）に示す表皮は、
二枚の布地（11）（12）を一体に縫着して形成した身頃
と、この身頃（11）（12）の一体に縫合して形成した額
縁（13）（13）、この額縁（13）（13）に縫着したまち
（14）（14）とから構成され、この表皮（１）（13）
（14）・・・はクッション体（２）の表面にまち（14）
（14）を除く部分を除き接着剤で接着されており、前記
表皮（１）におけ身頃（11）（12）、額縁（13）との縫
着個所である連結個所（1a）・・・はクッション体
（２）の表面内にＶ字状に挿込まれて接着され装飾溝
（ａ）（ａ）（ａ）が形成されている。そして、この連
結個所（1a）には合成樹脂製のプレート（３）が一体に
挟み込まれて縫着されている。このプレート（３）はそ
の二又状の頭部（33）が表皮（１）をクッション体
（２）に接着した後、二点鎖線に示すように切離され
る。

第３図、第４図は、表皮（１）を接着型（４）にセッ
トして、クッション体（２）に接着する状態を示し、こ
の状態でクッション体（２）の加圧面又は表皮（１）の
裏面側に接着剤を塗布する。接着型（４）の加圧面はク
ッション体（２）の平担面（21）の両側及び中央に対応
する個所に突起（41）が突設されている。この突起（4
1）は断面三角状で、クッション体（２）の平担面（2
1）の前後方向の長さと略同一の長さに形成されてい
る。

この突起（41）・・・にプレート（３）の二又状頭部
（33）内を挿込むことにより表皮（１）を接着型（４）
にセットする。なお、表皮（１）のまち（14）（14）は
クランプ（42）（42）によって接着型（４）の外面側に
挟持される。

クッション体（２）はモールドでシートの外形形状に
発泡成形され、着座部を形成する平担部（21）と、その
両側の隆起部（22）（22）とから構成され、プレス
（Ｐ）と一体の加圧型（５）に取付けられている。

以上の表皮（１）、クッション体（２）の形状及びプ
レート（３）の取付は第５図、第６図に示すようになっ
ている。

即ち、表皮（１）は前後の如く、身頃を構成する二枚
の布地（11）（12）、この身頃（11）（12）に接続する
額縁（13）（13）はその連結個所（1a）・・・に断面略
Ｙ字状の合成樹脂製プレート（３）が挟持状に縫着され
ている。

プレート（３）は第７図に示すように肉厚状の芯部
（31）と、薄肉状の縫着部（32）と、この縫着部（32）
と一体の二又状の頭部（33）とからなり、二又状の頭部
（33）は点線に示す切離部（32a）より切離可能に形成
され、縫着部（32）には表皮（１）の端末が一体に縫着
され、芯部（31）はクッション体（２）内に埋設され
る。

第８図、第９図は前記クッション体（２）をプレス
（油圧シリンダー）によって表皮（１）に加圧して接着
する状態を示す。

表皮（１）の連結個所（1a）・・・はプレート（３）
と共に突起（41）によってクッション体（２）の表面内
に喰い込まれて接着される。

そして、プレート（３）の芯部（31）は第２図に示す
ようにクッション体（２）内に埋設され、また、前記突
起（41）が挿入する二又状の頭部（33）は表皮（11）の
表面側より外部に突出されるが、この頭部（33）は表皮
（１）を接着後、前記切離部（32a）から切離して破棄
すると、第１図に示すシートが製造される。

（効果） 本発明は叙上の如く表皮の連結個所に断面略Ｙ字状プ
レートを介在させ、そのプレートの二又状頭部に接着型
の突起を挿入して、クッション体に表皮を接着させるの
で、表皮の連結個所がＶ字状にクッション体の表面に喰
い込まれて接着される。そのため、意匠的に優れたＶ字
状装飾溝を表面に有する自動車用シートが簡単に製造で
きる。加えて、表皮の連結個所を構成する縫目などがＶ
字状の装飾溝における最深部に位置するため、外部から
視覚されることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によって製造した自動車用シートの断面
図、第２図は第１図におけるＡ部の拡大断面図、第３図
は表皮を接着する前の状態の断面図、第４図は第３図に
おけるＢ部の拡大断面図、第５図は表皮とクッション体
の断面図、第６図は第５図におけるＣ部の拡大断面図、
第７図はプレートの斜視図、第８図は表皮の接着状態を
示す断面図、第９図は第８図におけるＤ部の拡大断面
図、第10図は従来方法によって製造した自動車用シート
の断面図、第11図（Ａ）は第10図におけるＥ部の拡大断
面図、第11図（Ｂ）は従来方法による表皮の接着型に装
着した状態の部分断面図である。 図中、（１）は表皮、（２）はクッション体、（３）は
プレート、（４）は接着型を夫々示す。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の生地を一体に連結して形成した表皮
   を接着剤で発泡体製クッション体に接着して製造する自
   動車用シートの製造方法において、前記表皮の連結個所
   には断面略Ｙ字状合成樹脂製プレートを、その二又状の
   頭部を表面側に突出させて介在させ、この表皮を裏返し
   て接着型に載置すると共に、該接着型に設けた突起を前
   記プレートの頭部内に挿入し、然る後、この表皮と前記
   クッション体とを加圧して前記接着型の突起をプレート
   と共に喰い込ませて接着し、次に接着した表皮からプレ
   ートの頭部を切離することにより、表面にＶ字状の装飾
   溝を形成するシートを製造することを特徴とする自動車
   用シートの製造方法。