JP2695467B2 - 表面処理された無機粉末 - Google Patents

表面処理された無機粉末

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JP2695467B2
JP2695467B2 JP1117942A JP11794289A JP2695467B2 JP 2695467 B2 JP2695467 B2 JP 2695467B2 JP 1117942 A JP1117942 A JP 1117942A JP 11794289 A JP11794289 A JP 11794289A JP 2695467 B2 JP2695467 B2 JP 2695467B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は表面処理された無機粉末に関する。詳しく
は、重合性二重結合を有する有機リン化合物により表面
処理された、金属元素を含有する無機粉末である。これ
らは樹脂の充填剤として利用され、各種成型材料、コー
ト剤、接着剤、電磁波シールド剤、歯科材料、整形外科
材料の充填剤等として有用である。
(従来の技術及び発明が解決しようとする課題) 無機粉末を樹脂材料と複合化するには、該粉末表面の
有機化処理が必要とされる。シランカツプリング剤はシ
リカ粉末の表面処理剤として極めて有効であり多用され
ているが、金属及びその酸化物、炭酸塩、硫酸塩等の金
属元素が含有される無機粉末に対しては、表面処理効果
が乏しい。一方、これらの粉末に対しては、有機リン酸
エステル化合物が有効であることが知られている。
特公昭60−3431号には下記の有機リン酸エステルで表
面処理された無機フイラーが記載されている。
(ただし上式中のR1は水素またはメチル基、R2は炭素数
2〜6のアルキレン基またはそのハロゲン置換誘導体、
またはポリオキシエチレン基−CH2−CH2O−CH2−CH2
(n=1〜20)、またはポリオキシプロピレン基 (n=1〜20)を示す。) 特開昭59−170131号には一般式 で示される群より選ばれた1種又は2種以上の有機燐系
化合物処理剤で表面を改質されてなる無機粉体(ただ
し、R、R′は同一または相異なる炭素数1〜30よりな
るアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ、アル
ケノキシ、アリーロキシまたはこれらの有機基に置換基
を有する基を表わす)が開示されている。
これらの他に特開昭56−54795号、特開昭57−128728
号、特開昭57−168954号、特開昭57−198735号などに類
似技術が記載されている。
しかしこれらの公知の表面処理技術が用いられた無機
フイラーを用いて、複合材料を成型しても、機械的強度
が乏しいものであったり、また特に耐水性の要求が厳し
い用途、例えば歯科用コンポジツトレジンや屋外に長時
間暴露される複合材料のフイラーとして使用される場合
には、フイラー/樹脂マトリツクス間接着の経時的劣化
が深刻であり、上記文献の技術を越える無機フイラーの
表面処理技術を開発することが重要な課題である。
(課題を解決するための手段) 本発明者等は上記の目的を達成するため、各種の有機
リン化合物について、その分子構造と表面処理効果の関
連性を検討した結果、特定の分子構造を有する有機リン
化合物において所望の表面処理効果が得られることを見
い出し、本発明を完成するに至つた。
即ち、本発明は、下記の一般式[I]で示される有機
リン化合物 [ただし、R1は水素原子またはメチル基、X1は酸素原子
またはイオウ原子、X2およびX3はヒドロキシル基、メル
カプト基、またはハロゲン原子を表し、Y1は−COO−、
−COS−または (R2は水素原子または炭素数が1ないし6の炭化水素基
を表す)を表し、Y2は酸素原子、イオウ原子または、 を表し、nは8ないし40の整数を、lは0または1を表
す]で表される有機リン化合物で表面処理された金属元
素を含有する無機粉末である。
本発明の無機粉末は金属元素を含有することを特徴と
するが、本発明にいう金属元素とは長周期型周期表にお
いてホウ素とアスタチンを結ぶ線を引き、それより左側
に位置する元素であり、但し水素及び該線上の元素であ
るB、Si、As、TeおよびAtを除く。これらの金属の中で
も特に有用なものとしては例えばAl、Mg、Ca、Ti、Cr、
Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sr、Zr、Pd、Hg、Sn、Ba、Pt、A
u、La等があげられる。
これらの金属元素は無機粉末中において、種々の存在
形態をとることができる。例えば最も一般的であるAl2O
3、ZnO、CaO、TiO2、ZrO2、La2O3、BaO、Fe2O3、SrO2
のような酸化物をはじめとして、Al(OH)のような水
酸化物、CaF2のようなハロゲン化物、あるいはBaSO4やC
aSO4のような硫酸塩、CaCO3のような炭酸塩、CaHPO4、C
a(H2PO4、Ca3(PO4、Ca2P2O7、Ca(PO3
Ca4P2O9、Mg2P4O12、Al(PO3、AlPO4等のリン酸塩
のような種々の塩の形態で含有されうる。
また、本発明の無機粉末は、これらの金属化合物が、
無機粉末中に単成分として存在する場合の外、多成分系
となったセラミツクス、鉱物の類であつてもよい。多成
分系の場合は金属元素が複数存在することはもとより金
属元素以外の成分、例えば、SiO2、P2O5、B2O3、Si
3N4、SiC、B4C、BN等を含有することも許容される。こ
れらの例としては、K2O・TiO2、BaO・TiO2、CaO・Al2O3
やジルコン(SiO2−ZrO2系)、サイアロン(SiO2−Al2O
3−S3N4系)、Laガラスセラミツクス(La2O3−Al2O3−S
iO2系、たとえばShott GM31−684)、Baガラス(BaO
−Al2O3−B2O3−SiO2系、たとえばShott GM27−884、
Shott 8235、Ray−Sorb T−2000、Ray−Sorb T−30
00)、Srガラス(SrO2−Al2O3−SiO2系、たとえばSho
tt GM32−087、Ray−Sorb T−4000)、さらにはバ
イオグラスとして知られている種々のCaO−P2O5含有結
晶化ガラスとヒドロキシアパタイトなどが挙げられる。
さらにこれらの形態の他に金属そのものが粉末として用
いられる。この場合は金属は単体又は合金で用いられ
る。
なお、無機粉末が水と接触するかあるいは高湿度環境
下で使用される場合には、水に対して不溶性であること
が必須条件となる。なお本発明に言う不溶性とは、室温
の水に対する飽和溶解度が0.1重量%以下の溶解性と定
義する。
これらの無機粉末の形状については何ら制限はなく球
状、破砕状、針状、ウイスカー、板状等、種々の形状の
もの及び大きさが目的にあわせて選ばれる。また、これ
らの無機粉末の粒径は特に制限されるものではないが通
常5nmないし0.5mmの範囲にあるものが好適に使用され
る。なおここでいう粒径とは1個の粉末粒子の最大径と
最小径との平均値をいう。
本発明の最大の特徴は、表面処理剤として用いる有機
リン化合物[I]の分子構造にある。即ち、重合性基で
あるメタクリロイル基またはアクリロイル基と、無機粉
体表面と反応し得る が、炭素数8〜40の直鎖状アルキレン基を介して連結さ
れている点にある。該アルキレン基の炭素数は本発明の
無機粉末が充填された複合樹脂組成物の機械的強度とそ
の耐水性に影響を及ぼし、炭素数が8〜40の化合物を用
いると、機械的強度とその耐水性にすぐれた複合樹脂組
成物が得られることが見い出された。
なお、有機リン化合物[I]からメタクリロイル基ま
たはアクリロイル基を除いた化学構造を有する化合物を
用いて表面処理を行っても、該粉末と有機樹脂との接着
が劣悪で、本発明の目的は全く達成されない。
前記一般式[I]で示される化合物の中でも、無機粉
末表面との反応性、合成の容易さ等の観点から見て本発
明において特に好ましく用いられるものを以下説明す
る。
まず、X1が酸素原子でかつX2とX3が共にヒドロキシル
基で表されるリン酸化合物は、好ましいものであり、無
機粉末中に卑金属元素が含まれている場合に最も有効な
化合物群である。卑金属元素の例としてはAl、Mg、Ca、
Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sr、Zr、Sn、Ba、La、Cr等が
あげられ、特にAl2O3、TiO2、ZrO2、Fe2O3、ZnOなどの
金属酸化物、CaCO3、Ca3(PO4、AlPO4などの金属
塩、ヒドロキシアパタイト、およびTi、Fe、Co、Cr、N
i、Cu、Znなどを含む金属粉末に対して著効を示す。
このグループの化合物の具体例を以下に示す。
次に[I]式においてX1が酸素原子でかつX2とX3が共
に塩素原子又は臭素原子等のハロゲン原子で表されるリ
ン酸のハロゲン化物があげられる。この化合物は前出の
化合物群と同様、卑金属元素を含有する粉末に対して優
れた表面処理効果を発現する。具体例を以下に示す。
次にX1がイオウ原子であり、X2、X3がヒドロキシル
基、メルカプト基、塩素原子または臭素原子等のハロゲ
ン原子であるチオリン酸又はその誘導体は卑金属元素は
もとより貴金属元素を含有する無機粉末に対しても優れ
た表面処理効果を示す。ここでいう貴金属の例としては
Pd、Ag、Pt、Au等があげられる。また、これら化合物に
おいて の具体的な例としては 等があげられる。尚これらのうち との互変異性体として存在している。
具体的化合物を以下に示す。
これらの有機リン酸系化合物の合成法はOrganophosph
orus Compound(G.M.Kosola〜poff著、Wiley、1950)、
Organophosphorus Monomers and Polymers(Ye.L.Gefte
r著、Pregamon Press 1962)、現代有機合成シリーズ
5、有機リン化合物(有機合成化学協会編、技報堂、19
71)Beilstein(Springer−Verlag)等を参考にするこ
とができる。
またより具体的には、特開昭58−128393、特開昭58−
192891、特開昭58−21687、特開昭58−21688、特開昭59
−139392、特開昭59−135272、特開昭59−142268、特開
昭60−166363、特開昭60−166364、特開昭57−151607等
に示される合成法が利用できる。
上記の一般式[I]で表される化合物[以下、化合物
[I]と称することがある]を用いて、金属元素を含有
する無機粉末[以下、無機粉末[A]と称することがあ
る]の表面を処理する方法は、表面処理剤を用いた粉体
の表面処理方法として一般的に知られている方法により
行うことができ、湿式法と乾式法に大別することができ
る。
湿式法では無機粉末[A]及び化合物[I]を適量の
溶剤例えば水、アルコール、ヘキサン、ベンゼン、トル
エン、キシレン等へスラリー状に懸濁させ充分攪拌す
る。ただしこのとき使用する溶剤、反応温度、反応時間
等の条件の最適値は、無機粉末[A]と化合物[I]の
組み合せにより種々変化するが、当該分野の技術者なら
ば容易にそれを見い出し得る。所定の時間攪拌した後溶
剤を減圧留去、過あるいは凍結乾燥などの方法で除去
すると表面処理が完了する。
尚この場合処理工程のいずれかにおいて、加熱の工程
を減ることが望ましい。加熱は無機粉末[A]、化合物
[I]および溶剤からなるスラリーを攪拌している時、
あるいは溶剤を溜去しながら行う場合が考えられる。溶
媒を溜去後さらに加熱する場合もある。特に溶剤との懸
濁状態において加熱すると分散性が向上し、粉末表面が
むらなく表面処理される。加熱温度は50℃〜150℃の範
囲が望ましく、50℃より低いと加熱効果が乏しく、150
℃を超えると重合性二重結合が反応を起こす恐れがあ
る。
また該化合物[I]のアルカリ金属塩やアンモニウム
塩等を用いて前記の湿式処理方法により脱塩反応で無機
粉末[A]の表面と反応させることもある。
乾式法では無機粉末[A]をヘンシエルミキサーやリ
ボンブレンダー等の混合機に入れ攪拌しながら化合物
[I]をそのまま、もしくは適当な溶剤に希釈してスプ
レー添加する。この時、加熱しながら攪拌することが望
ましい。この方法は大量の粉末を処理するのに適してい
る。
前記処理法のいずれにおいても無機粉末[A]に対し
て使用する化合物[I]の量は無機粉末[A]の表面の
大半を化合物[I]の単分子膜で被覆しうる量以上の量
が好ましい。この量はBET法等により測定された無機粉
末[A]の比表面積の値から推定することが可能であ
る。たとえば、無機粉末[A]の粒径が小さくなればな
るほど化合物[I]の必要量は増加する。本発明におい
て、無機粉末[A]100重量部に対して0.01〜100重量部
が用いられる。ただし、化合物[I]の最適使用量は得
られる組成物の所望の物性が最大となるように実験に基
づいて決定される。
尚、無機粉末[A]に対する化合物[I]の付着量
は、表面処理された無機粉末[A]の元素分析、赤外分
析、螢光X線分析などにより推定することができる。
ところで、BaO、La2O3、Al2O3、CaO、SrO2、TiO、ZrO
2のような金属酸化物の中にシリカ(SiO2)が含有され
てなるガラス、セラミツクス、結晶化ガラス粉末の場
合、その表面にはシリカ成分に由来するシラノール基が
多数存在する。このような無機フイラーの表面処理に有
機リン化合物[I]を用いると、金属元素に対しては表
面処理効果があるが、シラノール基に対してはその効果
が乏しいため、望ましい結果が得られない。シリカの含
有量の多いガラスフイラーに対しては有機リン化合物
[I]とともに公知のシランカツプリング剤、例えばγ
−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを
併用するのが望ましい。
このような場合には、まず本発明の表面処理を行って
から、シランカツプリング剤を用いて再び表面処理を行
うという、二段階処理法が採られる。変法として、シラ
ンカツプリング剤で処理を行つてから、本発明の表面処
理を行う方法あるいは有機リン化合物[I]とシランカ
ツプリング剤を混合して一段階処理を行う方法も可能で
ある。
上記のような方法により表面改質された本発明の無機
粉末は、樹脂の充填剤として利用される。この目的に用
いられる樹脂としては例えばポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフイ
ン系樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセター
ル、ABS樹脂等の一般の熱可塑性樹脂があげられる。こ
の場合一般の混練機を用いて該樹脂を溶融状態にした
後、本発明の無機粉末を加えて混練、成型される。
またさらには、本発明の無機粉末は樹脂としての重合
性単量体と混練されて、重合性組成物として提供され
る。この場合用いられる重合性単量体は組成物の用途に
応じて適宜選択されるが、表面処理剤として用いた化合
物[I]と共重合しうるものが用いられ、通常(メタ)
アクリレート系モノマー[(メタ)アクリレートの表記
はメタクリレートとアクリレートの両者を意味する]が
用いられる。
これら以外にもα−シアノアクリル酸、クロトン酸、
桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸等のカル
ボン酸の1価または2価アルコールとのエステル類、さ
らにN−イソブチルアクリルアミドのような(メタ)ア
クリルアミド類、酢酸ビニルなどのようなカルボン酸の
ビニルエステル類、ブチルビニルエーテルのようなビニ
ルエーテル類、N−ビニルピロリドンのようなモノ−N
−ビニル化合物、スチレン誘導体なども用いうる。
(メタ)アクリレート系モノマーの例としてはメチル
(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
ト、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の単
官能性(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ビスフエノールAジ(メタ)アクリ
レート、2,2−ビス[(メタ)アクリロイルオキシポリ
エトキシフエニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−
メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フエニ
ル]プロパン(Bis−GMAと称することがある)等の2官
能性(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート等の3官能性(メタ)アクリレ
ート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネー
ト1モルとグリセリンジ(メタ)アクリレート2モルと
の付加物等の4官能性(メタ)アクリレートをあげるこ
とができる。これらの単官能及び多官能(メタ)アクリ
レートは単独または2種以上を混合して用いられる。
このような組成物においては、表面改質された無機粉
末[A]と樹脂との混合割合は用途により大きく変わる
が、通常は樹脂1重量部に対し表面改質された無機粉末
[A]は0.01重量部ないし100重量部の範囲にある。
また、該組成物においては、無機粉末[A]の他に、
更に必要に応じて他の粉末を添加することも可能であ
る。該粉末は無機物、有機物いずれであってもよく、無
機粉末としては例えば石英、無定形シリカ、硼珪酸ガラ
スなどシリカを主成分とする無機粉末が挙げられる。こ
れらの粉末はシランカツプリング剤で予め表面処理を行
ってから用いられる。一方、有機粉末としてはポリメチ
ルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の
ポリマー粉末や特開昭56−49311号に開示されるような
有機−無機複合粉末を挙げることができる。
樹脂として重合性単量体が用いられた場合の上記の組
成物は、これを100℃以上に加熱するか、あるいは電子
線を照射する等の外部からエネルギーを加える操作を行
うことにより、重合硬化させ成形物に転換されうるが、
通常重合開始剤を添加することにより重合硬化を容易な
らしむる場合が多い。
このような場合用いられる重合開始剤は、特別な制約
はなく、公知のいずれのものであっても良いが、通常重
合性単量体の重合性と重合条件を考慮して選択を行う。
例えば(メタ)アクリレートを加熱重合する場合には、
ベンゾイルパーオキサイド(BPOと称する)、クメンハ
イドロパーオキサイドなどの有機過酸化物、2.2−アゾ
ビスイソブチロニトリルなどの化合物が好適に用いられ
る。
一方、常温重合を行う場合には、ベンゾイルパーオキ
サイド/ジメチルアニリン系、有機スルフイン酸(また
はその塩)/アミン/過酸化物系などの酸化−還元系開
始剤の他、トリブチルボラン、有機スルフイン酸なども
好適に用いられる。
他方、可視光線照射による光重合を行なう場合には、
α−ジケトン/第3級アミン、α−ジケトン/アルデヒ
ド、α−ジケトン/メルカプタンなどの光重合開始剤系
が好ましい。α−ジケトンとしてはカンフアーキノン、
2,3−ペンタンジオン、ベンジルなど、第3級アミンと
してはN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N
−ジメチルアミノ安息香酸エチルなど、アルデヒドとし
てはラウリルアルデヒド、p−オクチルオキシベンズア
ルデヒドなど、メルカプタンとしては、チオサリチル
酸、2−メルカプトベンゾキサゾールなどを挙げること
ができる。更に、これらの光重合開始剤系に有機過酸化
物を添加したα−ジケトン/有機過酸化物/還元剤の系
も好適に用いられる。紫外線照射による光重合を行う場
合は、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフエニルホスフ
インオキサイド、ベンゾインメチルエーテル、ベンジル
ジメチルケタール、2−メチルチオキサントンなどの他
上記可視光線の光重合開始剤も好適に用いられる。
これらの重合開始剤の添加量は、重合性単量体に対し
て0.01〜10%の範囲が適量である。
(実施例) 次に本発明を実施例により説明するが、本発明はかか
る実施例に限定されるものではない。
実施例1 平均粒径0.9μm、BET比表面積5.4m3/gであるアルミ
ナ(昭和電工、AL−160SG−4)50g、トルエン200ml
及び10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジエン
ホスフエート3gをフラスコに入れ激しく攪拌しながら2
時間加熱還流を行つた。放冷後、懸濁液からアルミナ粉
末を別し、充分にトルエンで洗浄してからこれを12時
間真空乾燥した後さらに90℃で2時間空気中で加熱し、
表面処理されたアルミナ粉末(フイラーAと称する)を
得た。この粉末のリン含有量を螢光X線分析法により決
定し、10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジエ
ンホスフエートの吸着量を推定すると、アルミナ粉末10
0重量部当り1.2重量部であつた。また該粉末の拡散反射
法FT赤外吸収スペクトルを測定し、表面処理前後の差ス
ペクトルを求めたところ1720cm-1にメタクリル基のカル
ボニル基に由来するピークを、また2920cm-1及び2850cm
-1にC−H結合に由来するピークを認め、粉末表面に上
記化合物が吸着していることが確かめられた。
実施例2 2,2−ビス[メタクリロイルオキシポリエトキシフエ
ニル]プロパン(分子内にエトキシ基が平均2.6個存在
するもの)35重量部、2,2,4−トリメチルヘキサメチレ
ンジイソシアネート1モルとグリセリンジメタクリレー
ト2モルとの付加物40重量部、ネオペンチルグリコール
ジメタクリレート25重量部及び過酸化ベンゾイル1重量
部を混合し重合性単量体組成物を得た。この組成物30重
量部と、実施例1で得られたフイラーA70重量部を混合
練和し、重合性の樹脂組成物(ペースト)を得た。
この組成物を用いて以下の評価を行つた。
(i) 稠度 重合性単量体に対しても濡れの良いフイラーほど、重
合性単量体中への分散性に優れ、その粘性は柔らかい。
従つて粘性の指標として稠度を測定すれば、表面処理の
良否を判断することができる。本実験では以下の方法で
測定した値を稠度とした。即ち、0.5mlのペーストを秤
り取り、これをガラス板(5×5cm)の中心に盛り上げ
るように静置した。次に、その上に40gの荷重のかかつ
たガラス板(5×5cm)を静かに乗せ120秒経過後に展延
されたペーストの長径と短径をガラス板越しに測定し、
その両者の算術平均値をもつて稠度とした。第1表にそ
の値を示すが、これは3回繰り返した測定の平均値であ
る。
(ii) 曲げ強度 重合硬化した樹脂マトリツクスとフイラーとの接着強
さの指標として、曲げ強度の測定を行つた。まず、上記
ペーストを2×2×30mmの金型に填入し、130℃で1時
間加熱して硬化させてから型から取り出し角柱状の試験
片を得た。この試験片を37℃の空気中で1日保存してか
ら、インストロン万能試験機を用いて3点曲げ試験(両
末端支点間距離=20mm、クロスヘツド・スピード=1mm/
min)を行つた。第1表に示した結果は10個の測定値の
平均値である。
(iii) 曲げ強度の耐水性 耐水性材料にあつては、湿潤下における機械的強度の
維持は最重要課題である。第ii項の要領で作成した曲げ
試験片を70℃水中に10日間浸漬し、劣化を加速してから
曲げ強度を測定した。第ii項で述べた初期曲げ強度と比
較することにより、耐水性の良否を判断することができ
る。10個の試験片の平均値を第1表に示した。
実施例3〜12 実施例1において用いた化合物のかわりに第1表に示
す化合物を用いて実施例1と同一の方法で表面処理を行
つたアルミナ粉末を得た。
該アルミナ粉末を実施例1と同様な方法で、アルミナ
100重量部あたりの、有機リン化合物付着量を測定し、
またさらに実施例2の方法に従つて樹脂組成物を調製
し、その稠度と曲げ強度を評価しその結果を第1表に示
した。
比較例1 実施例1で使用したアルミナ粉を表面処理せずにフイ
ラーとして用いて実施例2と同一の組成物を調製し、そ
の稠度と曲げ強度を評価した。結果を第2表に示した。
比較例2〜6 第2表に示した化合物を用いて実施例1の方法に従つ
て表面処理されたアルミナ粉末を得た。該アルミナ粉末
を用いて実施例2と同一の組成物を調製し、その稠度と
曲げ強度を評価した。結果を第2表に示した。
実施例13 平均粒径0.02μm、BET比表面積100m3/gのアルミナ微
粉末(アルミニウムオキサイドC、日本アエロジル)50
g、表面処理剤として実施例1と同じ有機リン化合物15g
及びトルエン500mlの懸濁液を110℃で3時間加熱還流し
た。放冷後遠心分離により粉末を回収し、24時間真空乾
燥の後空気中でさらに90℃で2時間熱処理し、表面処理
されたアルミナ微粉末(フイラーBと称する)を得た。
この粉末の元素分析を行うと灰分が85.5重量%であり、
従つて14.5重量%の上記表面処理剤が粉末表面に吸着し
ていることが判明した。
実施例14 銀粉末(300メツシユパス)100g、表面処理剤として
下記の構造式 (10−メタクリロイルオキシデシルジクロロチオホスフ
エート)で示される化合物1g及びトルエン100mlをフラ
スコに入れ実施例1と同様の操作により表面処理された
銀粉末を得た。
実施例15〜21 第3表に示した種類の無機粉末に対して実施例1の条
件で表面処理を行つた。得られた粉末と実施例2で調合
した重合性単量体組成物を第3表に示した比率で練り合
せて得た組成物について、稠度と曲げ強度を実施例2の
方法に従つて測定し、その結果を第3表に示した。
比較例7〜13 第3表に示した種類の無機粉末を表面処理なしで用い
て実施例13〜19に相当する組成物を調製し、その稠度と
曲げ強度を実施例2の方法に従つて測定し、結果を第3
表に示した。
実施例22 Shott社製La−ガラスセラミツクス(GM−31684)を振
動ボールミルで粉砕し粒径の範囲が0.1〜20μm、平均
粒径が2.8μmの粉末を得た。該粉末100重量部に対し2
重量部のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ンを用いて常法に従つて表面処理を行いガラスフイラー
(フイラーCと称する)を得た。
一方、実施例2と同一の重合性単量体組成物(過酸化
ベンゾイルを含まない)を調合し、100重量部当り0.5重
量部の2,4,6−トリメチルベンゾイルジフエニルホスフ
インオキサイドを光重合開始剤として添加して重合性組
成物を得た。該組成物100重量部に実施例13のフイラーB
180重量部とフイラーC500重量部を練り込んで、光硬化
性樹脂組成物を得た。該組成物をキセノンランプ光(ク
ルツアー社製デンタカラーXS)を90秒間照射して硬化さ
せた後、更に120℃で30分間加熱して重合を完結させた
硬化物について、曲げ強度、圧縮強度およびブリネル硬
度を測定し、結果を第4表に示した。
(発明の効果) 本発明の表面処理された無機粉末は従来の公知技術に
比べ、より効果的に表面処理がなされており、樹脂中に
練り込んだ際に分散性に優れている。またこの時、粘度
上昇効果が従来技術に比べ低くおさえられ、特に該粉末
が0.1μm以下の超微粒子の場合、より高密度に練り込
むことが可能となつた。
本発明の無機粉末が充填された樹脂組成物は、機械的
強度や耐摩耗性に優れ、特に湿潤下においても、性能低
下が少いという特長を有する。
本発明の無機粉末は各種樹脂材料のフイラーとして有
用であり、本発明の樹脂組成物はコート材、電磁波シー
ルト材、印刷インク、接着剤、歯科用材料、整形外科用
材料の充填剤等として価値が高い。特にラジカル重合性
単量体を樹脂に選ぶと高強度の歯科用修復材料を得るこ
とができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 [ただし、R1は水素原子またはメチル基、X1は酸素原子
    またはイオウ原子、X2およびX3はヒドロキシル基、メル
    カプト基、またはハロゲン原子を表し、Y1は−COO−、
    −COS−または (R2は水素原子または炭素数が1ないし6の炭化水素基
    を表す)を表し、Y2は酸素原子、イオウ原子または を表し、nは8ないし40の整数を、lは0または1を表
    す]で表される有機リン化合物で表面処理された金属元
    素を含有する無機粉末。
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