JP2629049B2 - 表面処理された無機粉末及び該粉末を含有する樹脂組成物 - Google Patents

表面処理された無機粉末及び該粉末を含有する樹脂組成物

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JP2629049B2 JP23359289A JP23359289A JP2629049B2 JP 2629049 B2 JP2629049 B2 JP 2629049B2 JP 23359289 A JP23359289 A JP 23359289A JP 23359289 A JP23359289 A JP 23359289A JP 2629049 B2 JP2629049 B2 JP 2629049B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は表面処理された無機粉末に関する。詳しくは
重合性二重結合を有する特定の有機リン化合物により表
面処理された金属元素を含有する無機粉末に関する。更
には、該粉末が充填された樹脂組成物に関する。本発明
の組成物は、強化プラスチツクス、接着剤、コート剤、
印刷インク、生体硬組織用組成物に歯科材料、電磁波シ
ールド剤等として有用である。
(従来の技術) 無機粉末を表面処理する場合、シランカツプリング剤
が広く用いられているが、他に無機粉末の種類や使用目
的によりチタン系、ジルコアルミネート系、リン酸エス
テル系、カルボン酸系などの表面処理剤も使用されてい
る。
これらの中でもリン酸エステル系表面処理剤は金属
塩、金属酸化物、金属粉末に対して有効であると言われ
ており、この技術の詳細は、例えば特公昭60−3431号、
特開昭59−170131号、特開昭56−54795号、特開昭57−1
28728号、特開昭57−168954号、特開昭57−198735号等
に見ることができる。
上記公知文献に記載されている有機リン酸化合物は分
子内に必ず (ただし、nは1または2)基というリンのオキシ酸の
構造単位を有した化合物が用いられており、この基が無
機粉末表面との化学結合に関与している。
また、特公昭58−28878号には環状ピロリン酸エステ
ル誘導体の歯科治療用修復材料への応用が記載されてい
る。該文献では該誘導体を歯科用コンボジツトレジンの
構成要素である重合性単量体として使用した例が開示さ
れているが、無機粉末の表面処理剤としての応用を示唆
する記載はない。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、これら公知の有機リン化合物により表
面処理された無機粉末は、表面の疎水化が不充分であ
り、樹脂中への該粉末の分散性や得られた複合材の機械
的強度が必ずしも充分なものではない。
特に湿潤下で材料強度が著しく低下する問題があつ
た。
従つて、無機粉末の表面処理技術を改良し、機械的強
度とその耐久性が優れた複合材を得ることが本発明の課
題である。
(課題を解決するための手段) 本発明者等は上記の課題に鑑み、鋭意検討を重ねた結
果、分子内に (ただしXは酸素またはイオウ原子)基を有し、かつ特
定の有機基がこの基に置換された、有機リン化合物を表
面処理剤として用いると分散性に優れた組成物が得られ
ることを認め、本発明を完成するに至つた。
即ち本発明は 下記の一般式 〔ただし、A1はラジカル重合が可能なエチレン性二重結
合を少くとも1個有し、かつ炭素数が5ないし60の有機
基を表し、A2、A′2およびA″2は炭素数が1ないし60
の有機基を表し、A1、A2、A′2およびA″2のうち少く
とも1つは炭素数4ないし60の炭化水素基を少くとも1
個含有する。X1、X′1およびX2は酸素原子またはイオ
ウ原子を表す。〕 により予め表面処理された、金属元素を含有する無機粉
末及び該無機粉末と樹脂より成る組成物である。
本発明の無機粉末は、金属元素を成分として含有して
いることを特徴とするが、本発明にいう金属元素とは長
周期型周期表において、ホウ素とアスチタンを結ぶ線を
引き、それより左側に位置する元素であり、但し水素及
び該線上の元素であるB,Si,As,Te,およびAtを除く。こ
れらの金属の中でも本発明の目的に有用なものとして
は、例えばAl,Mg,Ca,Ti,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Sr,Zr,Pd,H
g,Sn,Ba,Pt,Au,La、等があげられる。
これらの金属元素は無機粉末中において、種々の形態
をとることができる。例えば最も一般的であるAl2O3,Zn
O,CaO,TiO2,ZrO2,La2O3BaO,Fe2O3,SrO2、等のような
酸化物をはじめとして、Al(OH)3のような水酸化物、CaF
2のようなハロゲン化物、あるいはBaSO4やCaSO4のよう
な硫酸塩、CaCO3のような炭酸塩、CaHPO4,Ca(H2PO4)2
Ca3(PO4)2,Ca2P2O7,Ca(PO3)2,Ca4P2O9,Mg2P4O12,Al
(PO3)3,AlPO4等のリン酸塩のような種々の塩の形態で
含有されうる。
また、本発明の無機粉末は、これらの金属化合物が、
無機粉末中に単一成分として存在する場合の外、多成分
系となつたセラミツクス、鉱物の類いであつてもよい。
多成分系の場合は金属元素が複数存在することはもとよ
り金属元素以外の成分、例えば、SiO2,P2O5,B2O3,Si
3N4,SiC,B4C,BN等を含有することも許容される。これら
の例としては、K2O・TiO2,BaO・TiO2,CaO・Al2O3やジ
ルコン(SiO2−ZrO2系)、サイアロン(SiO2−Al2O3−S
3N4系)、Laガラスセラミツクス(La2O3−Al2O3−SiO2
系、たとえばShott GM31−684 )、Baガラス(BaO−Al
2O3−B2O3−SiO2系、たとえばShott GM27−884 ,Shott
82535 ,Ray−Sorb T−2000 ,RaY−Sorb T−300
0 )Srガラス(SrO2−Al2O3−SiO2系,たとえばShorr
GM32−087 ,RaY−Sorb T−4000 )、さらにはバイオ
グラスとして知られている種々のCaO−P2O5含有結晶化
ガラスやヒドロキシアパタイトなどが挙げられる。さら
にこれらの形態の他に金属そのものが粉末として用いら
れることもある。この場合は金属は単体又は合金で用い
られる。なお、無機粉末が水と接触する、あるいは高湿
度環境下で使用される場合には、水に対して不溶性であ
ることが必須条件である。なお本発明に言う不溶性と
は、室温の水中における飽和溶解度が0.1重量%以下の
溶解性と定義する。
これらの無機粉末の形状については何ら制限はなく球
状、破砕状、針状、ウイスカー、板状等、種々の形態の
もの及び大きさが目的にあわせて選ばれる。また、これ
らの無機粉末の粒径は特に制限されるものではないが通
常5nmないし0.5mmの範囲にあるものが好適に使用され
る。なおここでいう粒径とは粉末粒子の最大径と最小径
との平均値をいう。
本発明における最大の特徴は、前期の無機粉末を一般
式(I)で示される重合性の有機リン化合物で表面処理
する点にある。
化合物(I)の化学構造上の特徴である「ラジカル重
合が可能なエチレン性二重結合」の具体例としては下記
のものを挙げることができる。
(ただし、Z1はハロゲン原子)、 H2C=CH−S−,H2C=CH−NH−,H2C=CH−CH=CH
−, これらのエチレン性二重結合のなかでもとりわけアク
リル酸、メタクリル酸またはエチレンのエチレン性二重
結合が、本発明では好ましく利用される。有機リン化合
物(I)から上記二重結合を除いた化学構造を有する有
機リン化合物を用いて無機粉末の表面処理を行うと、無
機粉末と樹脂マトリツクスの接着は劣り本発明の目的は
達成されない。
次に、本発明に言う有機基とは (イ)炭化水素基 〔ただし、水素がハロゲン、水酸基、カルボキシル
基、メルカプト基、シアノ基などで置換されていてもよ
い。〕 または (ロ)少なくとも1個の上記炭化水素基が、少なくとも
1個の下記の結合部 単独又はそれらが互いに接合して複合化した結合部によ
つて連結されて構成された基を意味する。
以下、炭化水素基につき具体的例をもつて、さらに詳
細に説明する。
(イ)に属する例 有機基A1,A2,A′2及びA″2のうち少なくとも1つが
含有する炭化水素基とは前記(イ)において定義された
炭化水素基と同義であり、かつその炭素数が4ないし60
のものである。ただし、水酸基、カルボキシル基等の親
水性置換基は炭化水素基の疎水性を減少させるので、炭
化水素基1個当り、3個以上のこれら親水性置換基が置
換した構造は本発明の目的からは不利である。
該炭化水素基の炭素数が4未満であると、無機粉末表
面の疎水化が不十分であり、有機樹脂と混練した場合濡
れが悪く、分散性、機械的強度が公知技術に比して改善
されない。また、該無機粉末含有の組成物が湿潤下で使
用されるような場合、(例えば歯科用材料)炭素数4以
上になると好ましいレベルの耐水性を示すようになる。
A1の炭素数は表面処理効果に影響し、炭素数が5ない
し60の範囲で所望の物性を与える表面処理効果が得られ
る。
なお一般式(I)においてX1,X′1およびX2が全て酸
素原子で構成されている化合物は、卑金属元素が含まれ
ている無機粉末に有効な化合物群である。卑金属元素の
例としてはAl,Mg,Ca,Ti,Fe,Co,Cr,Ni,Cu,Zn,Sr,Zr,Sn,B
a,La,Cr等があげられ、特にAl2O3,TiO2,ZrO2,Fe2O3,
ZnO,などの金属酸化物、CaCO3,Ca3(PO4)2,AlPO4など
の金属塩、ヒドロキシアパタイト、およびTi,Fe,Co,Cr,
Ni,Cu,Zn、などを含む金属粉末に対して、上記化合物は
著効を示す。
また、一般式(I)においてX1,X′1およびX2の中に
少くとも1個硫黄原子が含まれている化合物は、前述の
卑金属元素はもとより、貴金属元素を含有する無機粉末
に対しても優れた表面処理効果を示す。ここでいう貴金
属の例としてはPd,Ag,Pt,Au等があげられる。
有機リン化合物の具体例としては以下のものが列挙さ
れる。
これらの有機リン化合物の合成法は Organophosphorus Compound(G.M.Kosolapoff著、Wile
y,1950)、Organophosphorus Monomers and Polymers
(Ye.L.Gefter著、Pregamon Press 1962)、現代有機合
成シリーズ5、有機リン化合物(有機合成化学協会編、
技報堂、1971)Beilstein(Springer−Verlag)等を参
考にすることができる。
またより具体的には、特開昭57−38791号、特開昭57
−38793号、特開昭57−56490号、特開昭57−167364号、
特開昭58−29313号、特公昭58−28878号、特公昭63−40
831号等に示される合成法が利用できる。
有機リン化合物(I)を用いて無機粉末の表面を処理
する方法は、表面処理剤を用いた粉体の表面処理方法と
して一般的に知られている方法により行うことができ、
湿式法と乾式法に大別することができる。
湿式法で無機粉末及び有機リン化合物(I)を適量の
溶剤例えば水、アルコール、ヘキサン、ベンゼン、トル
エン、キシレン等ヘスラリー状に懸濁させ充分かくはん
する。ただしこのとき使用する溶剤、反応温度、反応時
間等の条件の最適値は、無機粉末と有機リン化合物
(I)の組み合せにより種々変化するが、当該分野の技
術者ならば容易にそれを見い出し得る。所定の時間かく
はんした後溶剤を減圧留去、過あるいは凍結乾燥など
の方法で除去すると表面処理が完了する。
尚この場合処理工程のいずれかにおいて、加熱の工程
を経ることが望ましい。加熱は無機粉末、有機リン化合
物(I)および溶剤からなるスラリーを攪拌している
時、あるいは溶剤を溜去しながら行う場合が考えられ
る。溶媒を溜去後さらに加熱する場合もある。特に溶剤
との懸濁状態において加熱すると分散性が向上し、粉末
表面がむらなく表面処理される。加熱温度は50℃〜150
℃の範囲が望ましく、50℃より低いと加熱効果が乏し
く、150℃を超えるとラジカル重合性二重結合が反応を
起こす恐れがある。
乾式法では、無機粉末をヘンシエルミキサーやリボン
ブレンダー等の混合機に入れ攪拌しながら有機リン化合
物(I)をそのまま、もしくは適当な溶剤に希釈してス
プレー添加する。この時、加熱しながら攪拌することが
望ましい。この方法は大量の粉末を処理するのに適して
いる。
前記処理法のいずれにおいても無機粉末に対して使用
する有機リン化合物の量は無機粉末の表面の大半を有機
リン化合物の単分子膜で被覆しうる量以上の量が好まし
い。この量はBET法等により測定された無機粉末の比面
積の値、表面上の金属元素の割合などから推定すること
が可能である。たとえば、無機粉末の粒径が小さくなれ
ばなるほどまた、金属元素の割合が表面上で多くなれば
なるほど必要となる有機リン化合物の量は増加するが、
一般的には本発明においてはこれらの諸条件を考慮し
て、無機粉末100重量部に対して0.01〜100重量部用いら
れる。ただし、有機リン化合物(I)の最適使用量は該
無機粉末を含有する樹脂組成物の所望の物性が最大とな
るように実験に基づいて決定される。
尚、無機粉末に対する有機リン化合物(I)の付着量
は、表面処理された無機粉末の元素分析、赤外分析、螢
光X線分析などにより推定することができる。
ところで、樹脂中に有機リン化合物を所定量混合して
おいて、その中へ表面処理を施していない無機粉末を練
り込んで、歯科用組成物を得る手法も考えられる。
しかし、この手法は、予め表面処理を施した無機粉末
を用いる本発明の方法に比して、粉末の分散性、粉末の
樹脂中への充填量、得られた樹脂組成物の機械的強度の
点において劣り望ましくない。
上記のような方法により表面処理された本発明の無機
粉末及び樹脂より成る本発明の組成物において、用いら
れる樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフイン
系樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、
ABS樹脂等の一般の熱可塑性重合体があげられる。
さらに本発明の組成物は、樹脂として重合性単量体を
用い、重合性組成物とすることができる。この場合用い
られる重合性単量体は組成物の用途に応じて適宜選択さ
れるが、表面処理剤として用いた有機リン化合物と共重
合しうるものが用いられ、通常(メタ)アクリレート系
モノマー〔(メタ)アクリレートの表記はメタクリレー
トとアクリレートの両者を意味する〕が用いられる。
これら以外にもα−シアノアクリル酸、クロトン酸、
桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸等のカル
ボン酸の1価または2価アルコールとのエステル類、さ
らにN−イソブチルアクリルアミドのような(メタ)ア
クリルアミド類、酢酸ビニルなどのようなカルボン酸の
ビニルエステル類、ブチルビニルエーテルのようなビニ
ルエーテル類、N−ビニルピロリドンのようなモノ−N
−ビニル化合物、スチレン誘導体なども用いうる。
(メタ)アクリレート系モノマーの例としてはメチル
(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
ト、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、等の
単官能性(メタ)アクリレート、トリエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ
(メタ)アクリレート、ビスフエノールAジ(メタ)ア
クリレート、2,2−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ
ポリエトキシフエニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−
(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フ
エニルプロパン(Bis−GMAと称することがある)等の2
官能性(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート等の3官能性(メタ)アクリ
レート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレ
ート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ
ート1モルとグリセリンジ(メタ)アクリレート2モル
との付加物等の4官能性(メタ)アクリレートをあげる
ことができる。これらの単官能及び多官能(メタ)アク
リレートは単独または2種以上を混合して用いられる。
本発明の組成物において、表面処理された無機粉末と
樹脂との混合割合は用途により大きく変わるが、通常は
樹脂100重量部に対し無機粉末1重量部ないし10,000重
量部、より好ましくは10重量部ないし2,000重量部の範
囲にある。
樹脂として重合性単量体を含有する本発明の組成物
は、これを100℃以上に加熱するか、あるいは電子線を
照射する等の外部からエネルギーを加える操作を行うこ
とにより、重合硬化させ成形物に転換させうるが、通常
重合開始剤を添加することにより重合硬化を容易ならし
むる場合が多い。
本発明で用いる重合開始剤は、特別な制約はなく、公
知のいずれのものであつても良いが、通常重合性単量体
の重合性と重合条件を考慮して選択を行う。例えば(メ
タ)アクリレートを加熱重合する場合には、ベンゾイル
パーオキサイド(BPOと称する)、クメンハイドロパー
オキサイドなどの有機過酸化物、2,2′−アゾビスイソ
ブチロニトリル、などの化合物が好適に用いられる。
一方、常温重合を行う場合には、ベンゾイルパーオキ
サイド/ジメチルアニリン系、有機スルフイン酸(また
はその塩)/アミン/過酸化物系などの酸化−還元系開
始剤の他トリブチルボラン、有機スルフイン酸なども好
適に用いられる。
他方、可視光線照射による光重合を行う場合には、α
−ジケトン/第3級アミン、α−ジケトン/アルデヒ
ド、α−ジケトン/メルカプタンなどの光重合開始剤系
が好ましい。α−ジケトンとしてはカンフアーキノン、
2,3−ペンタンジオン、ベンジルなど、第3級アミンと
してはN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N
−ジメチルアミノ安息香酸エチルなど、アルデヒドとし
てはラウリルアルデヒド、p−オクチルオキシベンズア
ルデヒドなど、メルカプタンとしては、チオサリチル
酸、2−メルカプトベンゾキサゾールなどを挙げること
ができる。更に、これらの光重合開始剤系に有機過酸化
物を添加したα−ジケトン/有機過酸化物/還元剤の系
も好適に用いられる。紫外線照射による光重合を行う場
合は、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフエニルホスフ
インオキサイド、ベンゾインメチルエーテル、ベンジル
ジメチルケタール、2−メチルチオキサントンなどの
他、上記可視光線の光重合開始剤も好適に用いられる。
これらの重合開始剤の添加量は、重合性単量体に対し
て0.01〜10%の範囲が好適である。
(実施例) 次に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれ
らの実施例に限定されるものではない。
実施例1 平均粒径0.9μm、BET比表面積5.4m2/gであるアルミ
ナ50g、トルエン200ml及び下記の式で表される有機リン
化合物(以下処理剤Aと称することがある) 3gを混合し、攪拌しながら2時間加熱還流を行つた。放
冷後懸濁液からアルミナ粉末を別し、トルエンで洗浄
してからこれを12時間真空乾燥した後、さらに90℃で2
時間空気中で加熱してトルエンを充分に除去し、表面処
理された粉末を得た。この粉末のリン付着量を螢光X線
分析法により決定し、処理剤Aの付着量を推定すると、
アルミナ粉末100重量部に対して1.10重量部であつた。
またこの粉末及び未処理のアルミナ粉末の拡散反射法フ
ーリエ変換赤外吸収スペクトルを測定し、両者の差スペ
クトルを算出すると、1720cm-1にメタクリル基のカルボ
ニル基に由来するピークを、2920cm-1及び2850cm-1にC
−H結合に由来するピークを認め、粉末表面に該処理剤
が結合していることが判明した。
次に2,2−ビス〔メタクリロイルオキシポリエトキシ
フエニル〕プロパン(分子内にエトキシ基が平均2.6個
存在するもので、以下D−2.6Eと称する)35重量部、2,
2,4トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート1モル
とグリセリンジメタクリレート2モルとの付加物(以下
U−4THと称する)40重量部、ネオペンチルグリコール
ジメタクリレート(以下NPGと称する)25重量部及び過
酸化ベンゾイル1重量部を混合し重合性単量体組成物を
得た。この組成物30重量部と、上記の表面処理された粉
末(フィラー)70重量部を混合練和し、重合性のコンポ
ジツト組成物(ペースト)を得た。
この組成物を用いて以下の評価を行つた。
(i)稠度 重合性単量体に対して濡れの良いフイラーほど、重合
性単量体中への分散性に優れ、練和組成物の粘性は柔ら
かいと言える。従つて粘性の指標として稠度を測定すれ
ば、表面処理の良否を判断することができる。本実験で
は以下の方法で測定した値を稠度した。即ち、0.5mlの
ペーストを秤り取り、これをガラス板(5×5cm)の中
心に盛り上げるように静置した。次に、その上に40gの
荷重のかかつたガラス板(5×5cm)を静かに乗せ120秒
経過後に展延されたペーストの長径と短径をガラス板越
しに測定し、その両者の算術平均値をもつて稠度とし
た。第1表にその値を示すが、これは3回繰り返した独
立の測定の平均値である。
(ii)曲げ強度 重合硬化したレジンマトリツクスとフイラーとの接着
強さの指標として、曲げ強度の測定を行つた。まず、上
記ペーストを2×2×30mmの金型に填入し、130℃で1
時間加熱して硬化させてから型から取り出し角柱状の試
験片を得た。この試験片を37℃の空気中で1日保存して
から、インストロン万能試験機を用いて3点曲げ試験
(両末端支点間距離=20mm、クロスヘツド・スピード=
1mm/min)を行つた。第1表に示した結果は10個の測定
値の平均値である。
(iii)曲げ強度の耐水性 第ii項の要領で作成した曲げ試験片を70℃水中に10日
浸漬し、劣化を加速してから曲げ強度を測定した。第ii
項で述べた初期曲げ強度と比較することにより、耐水性
の良否を判断することができる。10個の試験片の平均値
を第1表に示した。
実施例2〜11 実施例1で用いた処理剤Aのかわりに第1表に示す処
理剤を用い、実施例1と同一の方法で組成物を作製しそ
の評価を行つた結果を第1表に示す。
比較例1 実施例1において用いた表面処理されたアルミナ粉末
のかわりに、表面処理を行なわなかつたアルミナ粉末を
用いてペーストを作製し、実施例1と同様な方法で稠度
及び曲げ強度を測定した結果をあわせて第2表に示す。
比較例2〜4 実施例1において用いた有機リン化合物のかわりに、
第2秒に示すような有機リン化合物を用い表面処理を行
つたアルミナ粉末を用いて、実施例1と同様の評価を行
つた結果を第2表に示す。
比較例5 実施例1において用いた重合性単量体30重量部へ処理
剤A0.76重量部を混合し、ここへ表面処理を行なわなか
つたアルミナ粉末69.24重量部を加えて混合練和しペー
ストを作製し、実施例1と同様な方法で稠度及び曲げ強
度を測定した結果をあわせて第2表に示す。実施例1で
得られる生成物と比較すると、予め表面処理したアルミ
ナ粉末を含有する組成物が、表面処理剤を単量体中に添
加した組成物に比し、著しく大きい稠度と曲げ強度を有
する。
実施例11〜18 第3表記載の無機粉末を実施例1と同様な条件下、同
じ表面処理剤を用い表面処理した粉末を得た。該粉末を
実施例1と同じ重合性単量体と共に第3表記載の混合比
で混練後、同様な方法で重合硬化させた硬化物につい
て、同様な評価を行つた結果をあわせて第3表に示す。
比較例6〜13 実施例11〜18において用いた無機粉末のかわりに、表
面処理しない無機粉末を用いて、他は実施例と同様にし
て重合性単量体と混練して組成物を得、その評価を行つ
た結果を第4表に示す。
(発明の効果) 本発明の表面処理された無機粉末は、公知技術に比
べ、より効果的に表面処理がなされており、樹脂中に練
り込んだ際に分散性が優れているため、より多量の粉末
をフイラーとして填入することが可能である。得られた
樹脂組成物(複合材)は機械的強度に優れ、湿潤下にお
いてもその低下は少ないという特長を有する。
本発明の無機粉末は各種樹脂材料のフイラーとして有
用であり、本発明の樹脂組成物はコート材、電磁波シー
ルド材、印刷インク、接着剤、歯科用材料、整形外科用
材料として価値が高い。特にラジカル重合性単量体を樹
脂に選ぶと高強度の歯科用修復材料を得ることができ
る。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式 〔ただし、A1はラジカル重合が可能なエチレン性二重結
    合を少くとも1個有し、かつ炭素数が5ないし60の有機
    基を表し、A2、A′2およびA″2は炭素数が1ないし60
    の有機基を表し、A1、A2、A′2およびA″2のうち少く
    とも1つは炭素数4ないし60の炭化水素基を少くとも1
    個含有する。X1、X′1およびX2は酸素原子またはイオ
    ウ原子を表す。〕 で表される有機リン化合物により表面処理された、金属
    元素を含有する無機粉末。
  2. 【請求項2】下記の一般式 〔ただし、A1はラジカル重合が可能なエチレン性二重結
    合を少くとも1個有し、かつ炭素数が5ないし60の有機
    基を表し、A2、A′2およびA″2は炭素数が1ないし60
    の有機基を表し、A1、A2、A′2およびA″2のうち少く
    とも1つは炭素数4ないし60の炭化水素基を少くとも1
    個含有する。X1、X′1およびX2は酸素原子またはイオ
    ウ原子を表す。〕 で表される有機リン化合物を用いて表面処理された、金
    属元素を含有する無機粉末及び樹脂より成ることを特徴
    とする樹脂組成物。
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