JP2694532B2

JP2694532B2 - 自動車ギヤーブーツ用ゴム組成物

Info

Publication number: JP2694532B2
Application number: JP8825288A
Authority: JP
Inventors: 魏中川; 武司貞尾; 力三中田; 敏勝金原; 靖中原
Original assignee: Zeon Corp; Toyoda Gosei Co Ltd
Current assignee: Zeon Corp; Toyoda Gosei Co Ltd
Priority date: 1988-04-12
Filing date: 1988-04-12
Publication date: 1997-12-24
Anticipated expiration: 2012-12-24
Also published as: JPH01261449A

Description

【発明の詳細な説明】［産業上の利用分野］本発明は、射出成形可能で、しかも加硫物が高比重か
つ低硬さを有するゴム組成物に関し、さらに詳しくは、
ノルボルネン系ポリマーに油性成分と高比重の無機充填
剤を多量に配合してなる自動車ギヤーブーツ用ゴム組成
物に関する。

［従来の技術］近年、自動車の静粛性の要求が高まり、そのために各
種の遮音、制振材料が天井、床、エンジンルームおよび
運転席の隔壁などに装着されて格段の効果を上げてい
る。しかしながら、変速レバーを通して室内に伝達され
る変速機の発生音も無視できない騒音源の１つである。

従来から、変速レバーは、ほこりよけを目的とするブ
ーツ（ギヤーダストカバーブーツ、略してギヤーブーツ
と称する）で覆われている。ギヤーブーツ用のゴム素材
としては、耐オゾン性に優れたエチレン−プロピレン−
ジエンゴム（EPDM）が主として用いられており、通常、
射出成形によってアコーデオン状などの蛇腹のついた形
状に成形される。

ところで、自動車用ゴム部材をはじめ、各種工業用ゴ
ム部材において、遮音特性および制振特性に優れたゴム
部材が望まれており、このようなゴム部材として低硬
さ、高比重のゴム組成物の開発が望まれている。しかし
ながら、一般に、ゴムに高比重の無機充填剤を多量に配
合して、加硫成形物の比重を高めることにより充分な遮
音、制振効果を得ようとすると、硬さが高くなってゴム
弾性が失われる。

例えば、遮音の目的でEPDMに高比重の無機充填剤を添
加しようとしても、EPDM100重量部当り、無機充填剤80
重量部および油性成分110重量部までの添加が、加硫物
性、特に抗張力の点で限度である。そして、このような
EPDM組成物は、アコーデオン状の蛇腹のついた形状に射
出成形することはできるが、高比重の無機充填剤の配合
量が不充分なため遮音効果は充分とはいい難く、また、
無機充填剤を高配合量とすると加硫物の硬さがギヤーブ
ーツ用として要求されるJIS硬さ（JIS Ｋ−6301）50以
下とすることができない。

そこで、EPDMに代替する低硬さ、高比重の射出成形可
能なギヤーブーツ用ゴム組成物の開発が望まれていた。

［発明が解決しようとする課題］本発明の目的は、加硫物のJIS硬さが50以上であっ
て、かつ、加硫物の比重が2.0以上の、遮音性および制
振性に優れたギヤーブーツ用ゴム組成物を提供すること
にある。

本発明の他の目的は、高比重の無機充填剤を多量に配
合したゴム組成物であって、通常の射出成形により容易
に成形できるギヤーブーツ用ゴム組成物を提供すること
にある。

本発明者らは、従来技術の問題点を克服するために鋭
意研究した結果、ノルボルネン系ポリマーを使用し、こ
れに油性成分と高比重の無機充填剤を多量に配合するこ
とにより前記目的を達成することができることを見出
し、その知見に基づいて本発明を完成するに至った。

［課題を解決するための手段］すなわち、本発明の要旨は、ノルボルネン系ポリマー
100重量部に対し、油性成分150〜300重量部および比重
2.5以上の高比重無機充填剤400〜1,200重量部を配合し
てなるゴム組成物であって、射出成形可能で、加硫物の
硬さ（JIS硬さ）が50以下、かつ、加硫物の比重が2.0以
上であることを特徴とする自動車ギヤーブーツ用ゴム組
成物、にある。

以下、本発明の構成要素について詳述する。

（ノルボルネン系ポリマー）本発明で用いるノルボルネン系ポリマーは、ビシクロ
（2,2,1）ヘプテン−２あるいはこの誘導体の開環重合
体あるいは共重合体であり、例えば、特公昭47−35800
号公報記載の方法等で重合することにより得られるポリ
マーである。

使用する単量体としては、ビシクロ（2,2,1）ヘプテ
ン−2;メチル−５−ビシクロ（2,2,1）ヘプテン−２
−、エチル−５−ビシクロ（2,2,1）ヘプテン−２など
のアルキル−５−ビシクロ（2,2,1）ヘプテン−２系単
量体；メトキシ−５−ビシクロ（2,2,1）ヘプテン−
２、エトキシ−５−ビシクロ（2,2,1）ヘプテン−２な
どのアルコキシ−５−ビシクロ（2,2,1）ヘプテン−２
系単量体；シアノ−５−ビシクロ（2,2,1）ヘプテン−
2;ビシクロ（2,2,1）ヘプテン−２−５カルボン酸のエ
ステル系単量体、ビシクロ（2,2,1）ヘプテン−２−5,6
ジカルボン酸のジエステル系単量体など、およびこれら
の混合物が挙げられる。

そのなかでも、入手が容易で、物性が良好であること
から、ビシクロ（2,2,1）ヘプテン−２の開環重合体で
あるポリノルボルネンが代表的なものとして挙げること
ができる。

（油性成分）本発明では、組成物に弾性を与え、また、射出成形可
能な流動性を与えるために油性成分を使用する。ノルボ
ルネン系ポリマーは、通常、室温ではゴム的性質を示さ
ないが、多量の油性成分を吸収させてガラス転移点を下
げることにより、普通のゴムと同様に使用できるように
なる。

本発明で使用する油性成分としては、ゴム用や樹脂用
の軟化剤あるいは可塑剤として汎用されているものがあ
る。

軟化剤としては、ゴム用などに汎用されているプロセ
ス油あるいはこの高度精製品があり、パラフィン系プロ
セス油、ナフテン系プロセス油、芳香族プロセス油など
が例示される。

可塑剤としては、塩化ビニル樹脂用あるいはゴム用と
して汎用されているものが使用され、例えば、ジブチル
フタレート、ジ−２−エチルヘキシルフタレート、ジオ
クチルセバケート、ジオクチルアジペート、トリクレジ
ルホスフェート、エポキシ化大豆油、ポリプロピレナジ
ペートなどが挙げられる。

そのなかでも、油性成分としては、ノルボルネン系ポ
リマーとの相溶性の点からナフテン系油あるいは芳香族
系油が特に適している。

油性成分の使用量は、ノルボルネン系ポリマー100重
量部当り、150〜300重量部の範囲である。150重量部未
満では、高比重組成物を得るために多量の高比重無機充
填剤を配合すると加工性が悪くなり、得られる組成物を
射出成形することが困難である。また、油性成分の割合
が少ないと、加硫物のJIS硬さを50以下とすることが困
難となる。逆に、油性成分の使用割合が300重量部を超
えると、加硫物の強度の低下が大となり、好ましくな
い。

（高比重無機充填剤）本発明で用いる高比重無機充填剤としては、金属酸化
物、例えば、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、カルシ
ウムなどの第II族金属元素、チタン、スズ、ジルコニウ
ム、鉛などの第IV族金属元素、アンチモン、バナジウム
などの第Ｖ族金属元素およびクロム、モリブデン、タン
グステンなどの第VI族金属元素、および鉄、コバルト、
ニッケルなどの第VIII族金属元素の酸化物；あるいは硫
酸バリウム、二塩基性亜リン酸鉛、三塩基性硫酸鉛など
が挙げられる。

これらの無機充填剤は、単独で、あるいは２種以上組
合せて使用する。

比較的少量の使用で高比重の組成物とするために、比
重が2.5以上、好ましくは4.0以上の無機充填剤を使用す
る。

本発明における無機充填剤の使用量は、ノルボルネン
系ポリマー100重量部当り、400〜1,200重量部である。4
00重量部未満では、所定の高比重（2.0以上）の組成物
が得られず、遮音効果は小さい。1,200重量部を超える
と、強度の低下が大きく、好ましくない。

（その他の成分）本発明のゴム組成物には、耐オゾン性を改良する目的
で、エチレン−プロピレン共重合ゴムやEPDMなどを配合
してもよい。その配合量は、ノルボルネン系ポリマー10
0重量部当り、通常、10〜60重量部の範囲である。

本発明のギヤーブーツ用ゴム組成物は、通常ゴム工業
で使用されている加硫剤（硫黄加硫系、有機過酸化物加
硫系）、老化防止剤、カーボンブラック、シリカなどの
補強剤、炭酸カルシウムなどの充填剤、その他の配合剤
を添加して使用される。

本発明のゴム組成物は、通常、120℃以上の温度、好
ましくは150〜220℃程度の温度で、約１〜60分の条件で
行なわれる。

［実施例］以下、本発明を実施例および比較例を挙げてさらに詳
細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定され
るものではない。なお、実施例および比較例中の部は、
特に断りのない限り重量基準である。

実施例１〜14、比較例１第１表記載の配合処方にしたがって、油性成分を吸収
させたノルボルネン系ポリマー（CdF社製ノーソレック
ス）と同表記載の油性成分、無機充填剤、その他の添加
剤をロール上で混合してゴム組成物を調製した。

これらをプレス加硫してJIS K6301にしたがって、強
度特性、硬さ、および比重を測定した。測定結果を第１
表に併記した。

第１表から明らかなように、本発明のゴム組成物を用
いて得た加硫物は、比重が2.0以上と高く、しかも硬さ
（JIS ショアＡ）は50以下でゴム弾性を示すものであ
った。

また、得られたゴム組成物を射出成形機（成形条件：
型閉め圧50t、射出圧1,600kg/cm²、加硫条件：型温度17
0〜180℃で２〜３分）により、アコーデオン状の蛇腹を
したギヤーブーツを成形したところ、射出成形性は、い
ずれも良好であった。

（注）第１表中（１）：サン・オイル（Sun Oil）社製のナフテン系プ
ロセス油（２）：住友化学工業社製EPDM エスプレン＃600 （３）：モンテジソン（Montedison）社製m,p−ジイソ
プロピルベンゼンのα，α′−ビス−ｔ−ブチルペルオ
キシド（純度40％）（４）：日本油脂社製ジクミルペルオキシド（純度40
％）［発明の効果］本発明の組成物を使用することにより、高比重である
とともに、低硬さの可とう性に富んだ加硫物が得られ
る。しかも、本発明のゴム組成物は、射出成形により複
雑な形状の自動車用ギヤーブーツの製造が可能である。
この自動車用ギヤーブーツは、高比重であるため、遮音
性や制振性に優れている。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者中田力三愛知県西春日井郡春日村大字落合字長畑１番地豊田合成株式会社内 (72)発明者金原敏勝愛知県西春日井郡春日村大字落合字長畑１番地豊田合成株式会社内 (72)発明者中原靖愛知県西春日井郡春日村大字落合字長畑１番地豊田合成株式会社内

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】ノルボルネン系ポリマー100重量部に対
し、油性成分150〜300重量部および比重2.5以上の高比
重無機充填剤400〜1,200重量部を配合してなるゴム組成
物であって、射出成形可能で、加硫物の硬さ（JIS硬
さ）が50以下、かつ、加硫物の比重が2.0以上であるこ
とを特徴とする自動車ギヤーブーツ用ゴム組成物。