JP2692737B2 - 糖残基を両端にもつ双頭型脂質及びその製造方法 - Google Patents

糖残基を両端にもつ双頭型脂質及びその製造方法

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JP2692737B2
JP2692737B2 JP7301201A JP30120195A JP2692737B2 JP 2692737 B2 JP2692737 B2 JP 2692737B2 JP 7301201 A JP7301201 A JP 7301201A JP 30120195 A JP30120195 A JP 30120195A JP 2692737 B2 JP2692737 B2 JP 2692737B2
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敏美 清水
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な双頭型脂
質、さらに詳しくは、水中に分散させることにより有機
超薄膜や閉鎖型の小胞体(ベシクル)を形成し、あるい
はバルク状態でサーモトロピック液晶を、適当な溶媒と
混和させることでリオトロピック液晶を形成し、機能性
材料として、医薬・化粧品分野、電子情報分野、さらに
は食品工業、農林業、繊維工業などにおいて利用可能な
糖残基を両端にもつ双頭型脂質及びその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、温泉地などに生息する好熱性の古
細菌の細胞膜成分として、グリセロールとノニトールの
2つの親水性部をもつ天然型の双頭型大環状テトラエー
テルが知られている[「アンゲバンテ・ヘミー・インタ
ーナショナル・エディション・オブ・イングリッシュ
(Angewante Chemie Interna
tional Edition of Englis
h)」第23巻,第107〜108ページ(1984
年)]。しかしながら、この化合物は、親水部及び疎水
部骨格の分子構造が複雑多様であって、化学的合成法に
より製造する場合、熟練した合成技術と多段階の工程を
必要とするため、工業的に利用しにくいという欠点を有
している。
【0003】そのほか、ポリビニルアルコールやエチレ
ングリコール鎖を両端にもつ双頭型合成脂質も知られて
いる[「アンゲバンテ・ヘミー・インターナショナル・
エディション・オブ・イングリッシュ(Angewan
te Chemie International E
dition of English)」第33巻,第
1937ページ(1994年)]。しかしながら、この
化合物は、リポソーム膜や超薄膜などに応用するための
集合体物性を発現しないし、また、発現しても限られた
溶媒中でゲル化を起こすだけなので、その利用分野が制
限されるのを免れない上、前記天然物と同様に親水部及
び疎水部の分子構造が複雑多様であり、製造する上で熟
練した合成技術と多段階の工程を必要とするなどの欠点
を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、安価の原料
から容易に製造することができ、しかも高い自己集積性
により安定な分子集合体を形成しうる機能性材料として
有用な新規な双頭型脂質を提供することを目的としてな
されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、機能性材
料として有用な新規な双頭型脂質について鋭意研究を重
ねた結果、両端に糖残基であるアルドピラノシル基を有
し、その糖残基がアミド結合によって長鎖のアルキレン
基と連結した双頭型脂質が前記目的に適合しうることを
見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。
【0006】すなわち、本発明は、一般式 R1−NHCO−(CH2n−CONH−R2 (I) (式中のR1及びR2は、それぞれアルドピラノースの還
元末端水酸基を除いた残基であり、両者はたがいに同一
であっても、また異なっていてもよく、nは6〜18の
整数である)で表わされる糖残基を両端にもつ双頭型脂
質を提供するものである。この一般式(I)で表わされ
る構造を有する本発明化合物は文献未載の新規化合物で
ある。
【0007】
【発明の実施の形態】前記一般式(I)におけるR1
びR2で示される糖残基は、アルドピラノースの還元末
端の水酸基を除いた残基、すなわち還元末端の炭素原子
がN‐グリコシド結合に関与しているアルドピラノシル
基である。このようなものとしては、例えばグルコピラ
ノシル基、ガラクトピラノシル基、マンノピラノシル
基、アロピラノシル基、アルトロピラノシル基、グロピ
ラノシル基、イドピラノシル基、タロピラノシル基など
が挙げられる。これらのアルドピラノシル基はD型、L
型、ラセミ体のいずれであってもよいが、天然由来のも
のは通常D型である。さらに、アルドピラノシル基にお
いては、還元末端の炭素原子は不斉炭素原子であるの
で、α‐アノマー及びβ‐アノマーが存在するが、α‐
アノマー、β‐アノマー及びそれらの混合物のいずれで
あってもよい。また、R1及びR2は、たがいに同一であ
ってもよいし、異なっていてもよいが、製造しやすさの
点から、同一であるものが好ましい。特に、R1及びR2
が共にD‐グルコピラノシル基又はD‐ガラクトピラノ
シル基であるものが、原料の入手が容易で、かつ製造し
やすいので好適である。
【0008】一方、前記一般式(I)におけるアルキレ
ン基は、nが6〜18の長鎖アルキレン基であり、この
ようなものとしては、例えばヘキシレン基、オクチレン
基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシ
レン基、テトラデシレン基、ヘキサデシレン基、オクタ
デシレン基などが挙げられる。
【0009】この一般式(I)で表わされる双頭型脂質
は、例えば一般式 acetylR−N3 (II) (式中のacetylRは、前記R1又はR2の水酸基が
すべてアセチル基で保護されたアルドピラノシル基であ
る)で表わされるアジド糖の1種又は2種を、触媒の存
在下に接触還元を行うことによりアミノ糖に変換したの
ち、これに一般式 HOOC−(CH2n−COOH (III) (式中のnは前記と同じ意味をもつ)で表わされるジカ
ルボン酸を縮合させ、次いで糖残基の脱アセチル化を行
うことにより、一般式 R1−NHCO−(CH2n−CONH−R2 (I) (式中のR1、R2及びnは前記と同じ意味をもつ)で表
わされる双頭型脂質を容易に製造することができる。
【0010】前記一般式(II)で表わされるアジド糖
は、アルドピラノースの還元末端の水酸基がアジド基に
置換され、かつ他の水酸基がすべてアセチル化されたも
のであり、例えばアルドースを出発原料として、ピリジ
ン中ですべての水酸基をアセチル化したのち、酢酸中で
臭化水素の酢酸溶液を作用させて、還元末端の炭素に臭
素原子が付加したα‐ブロム糖を得、次いで、これにジ
メチルホルムアミド中でアジ化ナトリウムを反応させる
ことにより、製造することができる。このものは結晶性
であり、空気中で極めて安定な100%β体の化合物と
して得られる。このようにして得られた一般式(II)
で表わされるアジド糖のアノマー炭素がβ体であること
はこの化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−
NMRスペクトル、重クロロホルム中、25℃)が、δ
値で4.65ppmに二重線のシグナル(スピン−スピ
ンカップリング定数8.9Hz)を示すことから確認で
きる。
【0011】一方、一般式(III)で表わされるジカ
ルボン酸としては、例えばスベリン酸、アゼライン酸、
セバシン酸、1,9‐ノナンジカルボン酸、1,10‐
デカンジカルボン酸、1,11‐ウンデカンジカルボン
酸、1,12‐ドデカンジカルボン酸、1,13‐トリ
デカンジカルボン酸、1,14‐テトラデカンジカルボ
ン酸、1,16‐ヘキサデカンジカルボン酸、1,18
‐オクタデカンジカルボン酸などを用いることができ
る。
【0012】次に、本発明に従い、前記一般式(I)の
双頭型脂質を製造するための好ましい態様について説明
する。まず、前記一般式(II)で表わされるアジド糖
の接触還元を、例えば該アジド糖をメタノールとクロロ
ホルムとの混合溶媒に溶解させ、触媒として酸化白金を
用いて水素と接触させることにより行う。この際、触媒
としてパラジウム触媒を用いても同様に反応が進行する
が、若干の副反応が生じるので、酸化白金の方が好まし
い。
【0013】次に、アジド基が完全に還元されてアミノ
基に変換されたことを薄層クロマトグラフィーなどで確
認したのち、生成したアミノ糖を単離、精製することな
く、これに、前記一般式(III)で表わされるジカル
ボン酸を縮合させる。この縮合反応は両者を実質上化学
量論的割合で混合し、カップリング反応させることによ
って行われる。この際、反応溶媒として、例えばN,N
‐ジメチルホルムアミド、クロロホルム、メチルアルコ
ール、エチルアルコールなどを用いることができるが、
これらの中で、反応性及び溶解性などの点から、N,N
‐ジメチルホルムアミドが好適である。また、縮合剤と
しては、例えば1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノ
プロピル)カルボジイミド塩酸塩、1‐ヒドロキシベン
ゾトリアゾール、イソブチルクロロホーメートなどの通
常のペプチド合成において慣用されているもの、あるい
はジエチルホスホロシアニデートや1‐エトキシカルボ
ニル‐2‐エトキシ‐1,2‐ジヒドロキノリンなどを
用いることができる。そのほか、ジカルボン酸をジカル
ボン酸ジクロリドに変換後、N,N‐ジメチルホルムア
ミドなどの溶媒中において、ピリジンなどの塩化水素捕
捉剤の存在下に縮合反応を行うこともできる。このカッ
プリング反応における温度は、通常0℃ないし室温程度
であり、また、反応時間は数時間から1昼夜が適当であ
る。
【0014】このようにして得られたアセチル化双頭型
脂質を、反応溶媒中において、ナトリウムメトキシドや
カリウムメトキシドなどで処理して脱アセチル化反応を
行ったのち、強酸性カチオン樹脂などで中和し、次いで
溶媒を留去させることによって、前記一般式(I)で表
わされる双頭型脂質の粗生成物が得られる。この際、反
応は通常室温で行われ、また、反応溶媒としては、例え
ばメタノールやエタノールなどのアルコール系溶媒、又
はこのアルコール系溶媒とジエチルエーテルやテトラヒ
ドロフランなどのエーテル系溶媒との混合溶媒などが用
いられる。
【0015】このようにして得られた粗生成物は、例え
ばシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどを用いて精
製することにより、高純度のものとすることができる。
このような方法により得られた双頭型脂質は、両端の2
個の糖残基のアノマー炭素が100%β体のものであ
る。このことは、該双頭型脂質の1H−NMRスペクト
ル(重水中、50℃)が、δ値で4.9ppmに二重線
のシグナル(スピン−スピンカップリング定数9.2H
z)を示すことから確認できる。
【0016】この化合物は、例えば実測の元素分析値が
誤差範囲内で計算値と一致し、また、赤外線吸収スペク
トルでは、3500〜3300cm-1に水酸基に由来す
る特性吸収、1640〜1660cm-1にアミドカルボ
ニル基に由来する特性吸収を示す。さらに、1H−NM
Rスペクトル(重水中、50℃)においては、δ値が
1.2〜1.4ppm(長鎖アルキル基のメチレン基の
水素)、1.5〜1.7ppm(アミド基に隣接するメ
チレン基の隣のメチレン基の水素)、2.3〜2.4p
pm(アミド基に隣接するメチレン基の水素)、3.3
〜4.0ppm(グルコピラノシル基の2〜6位のメチ
ン,メチレン基の水素)、4.8〜5.0ppm(グル
コピラノシル基の1位のメチン基の水素)のシグナルが
観測できる。これらのことから、該化合物は、目的の双
頭型脂質であると同定することができる。
【0017】
【発明の効果】本発明の双頭型脂質は、クロロホルムな
どの疎水性有機溶媒に極く微量溶解させ、気水界面上に
ラングミュアー・ブロジェット法により展開し、適当な
基板上に移しとることによって、分子オーダーの厚さを
有する有機薄膜を得ることができ、また、水中に分散さ
せ超音波処理を施すことによって、球状の小胞体を得る
ことができる。さらに、沸騰水中からゆっくりと微結晶
成長させることによって、極微小な繊維状構造体を得る
ことができる。いずれの分子集合体も層状、球状、線状
といった明確な形態をもち、かつ数nmから数μmの非
常に小さなサイズを有している。また、バルク状態でサ
ーモトロピック液晶を、適当な溶媒と混和させることに
より、リオトロピック液晶を形成させることもできる。
【0018】本発明の双頭型脂質は、このような性質を
有することから、例えば医薬・化粧品分野などにおける
リポソーム膜形成用材料、超薄膜や極微小構造体とし
て、電子・情報分野などにおけるマイクロ電子部品、あ
るいは食品工業、農林業、繊維工業などにおける乳化
剤、安定剤、分散剤、湿潤剤などとして有用であり、工
業的利用価値が高い。
【0019】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。なお、薄層クロマトグラフィーのR
f値としては、クロロホルム/メタノール(容積比20
/1)混合溶媒を展開溶媒とした場合の値をRf1、ク
ロロホルム/メタノール/水(容積比65/30/5)
混合溶媒を展開溶媒とした場合の値をRf2、トルエン
/アセトン(容積比4/1)混合溶媒を展開溶媒とした
場合の値をRf3とした。
【0020】参考例1 2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐α‐D‐グル
コピラノシルブロミド5.0g(12.2ミリモル)を
N,N‐ジメチルホルムアミド(DMF)120mlに
溶解し、かきまぜながらアジ化ナトリウム15.8g
(243ミリモル)を加え、室温にて遮光下で一昼夜か
きまぜた。反応混合物を、かきまぜながら氷水1000
ml中に1滴ずつ滴下したのち、水不溶物を塩化メチレ
ン900mlで抽出し、有機層を氷水で洗浄後、無水硫
酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別したのち、減圧
下で溶媒を完全に留去し、得られた淡黄色の固体をジエ
チルエーテルで洗浄して乾燥後、2‐プロパノールから
再結晶し、白色の針状結晶として、2,3,4,6‐テ
トラ‐O‐アセチル‐β‐D‐グルコピラノシルアジド
3.30g(収率79%)を得た。
【0021】このものの物理的性質は次のとおりであ
る。 薄層クロマトグラフィーのRf値:Rf1=0.4、Rf
3=0.6 融点:131〜132℃
【0022】参考例2 参考例1における、2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセ
チル‐α‐D‐グルコピラノシルブロミドの代わりに
2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐α‐D‐ガラ
クトピラノシルブロミドを用い、参考例1と同様な操作
によって、2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β
‐D‐ガラクトピラノシルアジドを得た。このものの物
理的性質は次のとおりである。 薄層クロマトグラフィーのRf値:Rf1=0.4、Rf
3=0.7 融点:96〜97℃
【0023】参考例3 1,10‐デカンジカルボン酸674mg(2.9ミリ
モル)にジメチルホルムアミド1滴と塩化チオニル1.
05ml(14.5ミリモル)を加えて1時間加熱還流
したのち、未反応の塩化チオニルを減圧下で留去するこ
とにより、淡黄色の液体として1,10‐デカンジカル
ボン酸ジクロリドを得た。
【0024】実施例1 参考例1で得た2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル
‐β‐D‐グルコピラノシルアジド2.38g(6.4
ミリモル)をメチルアルコール300mlに溶解し、窒
素雰囲気下で酸化白金1000mgを加えた。次いで、
室温で水素を導入しながら2時間かきまぜたのち、反応
混合物をセライトを用いて吸引ろ過後、ろ液を減圧濃縮
した。次に、これを、ピリジン0.77mlを含むジメ
チルホルムアミド30mlに溶解し、1,10‐デカン
ジカルボン酸0.663g(2.9ミリモル)を加えた
のち、室温下でかきまぜながら、1‐エチル‐3‐(3
‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩2.
09g(10.9ミリモル)と1‐ヒドロキシベンゾト
リアゾール1.48g(10.9ミリモル)を含む塩化
メチレン溶液20mlを滴下した。1昼夜かきまぜたの
ち、反応混合物を減圧濃縮し、次いでクロロホルム/水
で抽出した。有機層を5重量%クエン酸水溶液、5重量
%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄したのち、無水硫酸
ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。
【0025】得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー[溶出液:クロロホルム/メタノール=
20/1(容積比)]で精製することにより、無色のア
モルファス状のN,N′‐ビス(2,3,4,6‐テト
ラ‐O‐アセチル‐β‐D‐グルコピラノシル)デカン
‐1,10‐ジカルボキサミド0.938g(収率29
%)を得た。これを無水メタノール20mlに溶解し、
室温でかきまぜながら、0.05Nのナトリウムメトキ
シドを含むメタノール溶液0.4mlを滴下し、3時間
反応させたのち、強酸性カチオン樹脂を加えて中和し、
溶媒を留去した。
【0026】最後に、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー[溶出液:クロロホルム/メタノール/水=6/4
/1(容積比)]で精製することにより、N,N′‐ビ
ス(D‐グルコピラノシル)デカン‐1,10‐ジカル
ボキサミド554mg(収率95%)を白色粉末として
得た。このものの物理的性質及び元素分析値を次に示
す。 融点:222℃ 比旋光度[α]D:−16.8°[c=0.29、水
中] 薄層クロマトグラフィーのRf値:Rf2=0.3 元素分析値(C2444122・3H2Oとして) C H N 計算値(%) 47.52 8.31 4.62 実測値(%) 47.56 8.10 4.56 また、1H−NMRスペクトル(重水中、50℃)チャ
ートを図1に示す。
【0027】実施例2 参考例1に記述した2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセ
チル‐β‐D‐グルコピラノシルアジド2.38g
(6.4ミリモル)をメチルアルコール300mlに溶
解し、窒素雰囲気下で酸化白金1000mgを加えた。
次に室温で水素を導入しながら2時間撹拌した。反応混
合物をセライトを用いて吸引ろ過後、ろ液を減圧濃縮し
た。これをピリジン0.77mlを含むジメチルホルム
アミド30mlに溶解し、参考例3で得た1,10‐デ
カンジカルボン酸ジクロリド781mg(2.9ミリモ
ル)を含む塩化メチレン溶液20mlを滴下した。1昼
夜撹拌後、反応混合物を減圧濃縮し、クロロホルムと水
の混合物で抽出した。有機層を5重量%クエン酸水溶
液、5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、
無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧濃縮した。得られ
た粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶
出液はクロロホルム/メタノール=20/1(容積
比)]で精製することにより、無色、アモルファス状の
N,N′‐ビス(2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチ
ル‐β‐D‐グルコピラノシル)デカン‐1,10‐ジ
カルボキサミド1.50g(収率56%)を得た。これ
を無水メタノール30mlに溶解し、室温で撹拌しなが
ら0.05Nのナトリウムメトキシドを含むメタノール
溶液0.6mlを滴下した。3時間後、強酸性カチオン
樹脂を加えて中和し、溶媒を留去した。最後に、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー[溶出液はクロロホルム
/メタノール/水=6/4/1(容積比)]で精製する
ことにより、融点222℃、比旋光度[α]D=−1
6.8°(c=0.29、水中)のN,N′‐ビス(β
‐D‐グルコピラノシル)デカン‐1,10‐ジカルボ
キサミド878mg(収率95%)を白色粉末として得
た。
【0028】実施例3 実施例1における、2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセ
チル‐β‐D‐グルコピラノシルアジドの代わりに参考
例2で得られた2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル
‐β‐D‐ガラクトピラノシルアジドを用いた以外は、
実施例1と同様にしてN,N′‐ビス(β‐D‐ガラク
トピラノシル)デカン‐1,10‐ジカルボキサミドを
得た。このものの物理的性状及び元素分析値を次に示
す。 融点:215〜218℃ 比旋光度[α]D=11.0°[c=0.30、水中] 薄層クロマトグラフィーのRf値:Rf2=0.3 元素分析値(C2444122・5/3H2Oとして) C H N 計算値(%) 49.48 8.18 4.81 実測値(%) 49.32 8.02 4.72 また、このものの1H−NMRスペクトル(重水中、5
0℃)チャートを図2に示す。
【0029】実施例4 実施例1における、1,10‐デカンジカルボン酸の代
わりに、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,
9‐ノナンジカルボン酸、1,11‐ウンデカンジカル
ボン酸、1,12‐ドデカンジカルボン酸、1,13‐
トリデカンジカルボン酸、1,14‐テトラデカンジカ
ルボン酸、1,18‐オクタデカンジカルボン酸をそれ
ぞれ相当モル量用いた以外は、実施例1と同様にして、
次に示す化合物を得た。
【0030】N,N′‐ビス(β‐D‐グルコピラノシ
ル)ヘキサン‐1,6‐ジカルボキサミド 融点:210℃ N,N′‐ビス(β‐D‐グルコピラノシル)ヘプタン
‐1,7‐ジカルボキサミド 融点:213℃ N,N′‐ビス(β‐D‐グルコピラノシル)オクタン
‐1,8‐ジカルボキサミド 融点:220℃ N,N′‐ビス(β‐D‐グルコピラノシル)ノナン‐
1,9‐ジカルボキサミド 融点:220℃ N,N′‐ビス(β‐D‐グルコピラノシル)ウンデカ
ン‐1,11‐ジカルボキサミド 融点:222℃ N,N′‐ビス(β‐D‐グルコピラノシル)ドデカン
‐1,12‐ジカルボキサミド 融点:222℃ N,N′‐ビス(β‐D‐グルコピラノシル)トリデカ
ン‐1,13‐ジカルボキサミド 融点:220℃ N,N′‐ビス(β‐D‐グルコピラノシル)テトラデ
カン‐1,14‐ジカルボキサミド 融点:225℃ N,N′‐ビス(β‐D‐グルコピラノシル)オクタデ
カン‐1,18‐ジカルボキサミド 融点:227℃
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得たN,N′‐ビス(D‐グルコ
ピラノシル)デカン‐1,10‐ジカルボキサミドの1
H−NMRスペクトルチャート。
【図2】 実施例3で得たN,N′−ビス(D‐ガラク
トピラノシル)デカン‐1,10‐ジカルボキサミドの
1H−NMRスペクトルチャート。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 R1−NHCO−(CH2n−CONH−R2 (式中のR1及びR2は、それぞれアルドピラノースの還
    元末端水酸基を除いた残基であり、両者はたがいに同一
    であっても、また異なっていてもよく、nは6〜18の
    整数である)で表わされる糖残基を両端にもつ双頭型脂
    質。
  2. 【請求項2】 R1及びR2が共にD‐グルコピラノシル
    基である請求項1記載の双頭型脂質。
  3. 【請求項3】 R1及びR2が共にD‐ガラクトピラノシ
    ル基である請求項1記載の双頭型脂質。
  4. 【請求項4】 一般式 acetylR−N3 (式中のacetylRはアルドピラノースの還元末端
    水酸基が除かれ、かつ残りの水酸基がすべてアセチル基
    で保護された残基である)で表わされるアジド糖の1種
    又は2種を、触媒の存在下に接触還元してアミノ糖に変
    換したのち、これに一般式 HOOC−(CH2n−COOH (式中のnは6〜18の整数である)で表わされるジカ
    ルボン酸を縮合させ、次いで脱アセチル化することを特
    徴とする、一般式 R1−NHCO−(CH2n−CONH−R2 (式中のR1及びR2は、それぞれアルドピラノースの還
    元末端水酸基を除いた残基であり、両者はたがいに同一
    であっても、また異なっていてもよく、nは前記と同じ
    意味をもつ)で表わされる糖残基を両端にもつ双頭型脂
    質の製造方法。
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