JP2905875B1 - 重合性双頭型糖脂質、その微細繊維状凝集体及びそれらの製造方法 - Google Patents

重合性双頭型糖脂質、その微細繊維状凝集体及びそれらの製造方法

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JP2905875B1
JP2905875B1 JP10063034A JP6303498A JP2905875B1 JP 2905875 B1 JP2905875 B1 JP 2905875B1 JP 10063034 A JP10063034 A JP 10063034A JP 6303498 A JP6303498 A JP 6303498A JP 2905875 B1 JP2905875 B1 JP 2905875B1
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光俊 増田
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Abstract

【要約】 【課題】 従来得られなかった微細繊維状凝集体を形成
しうる新規な糖脂質及びその微細繊維状凝集体を提供す
る。 【解決手段】 一般式 A1−NHCO−(CH2x−C≡C−C≡C−(C
2y−CONH−A2 (A1及びA2は、それぞれアルドピラノースの還元末端
水酸基を除いた残基又はその中の水酸基の少なくとも一
部が保護されたもの、x及びyはそれぞれ3〜8)で表
わされる重合性双頭型糖脂質及びそれからなる微細繊維
状凝集体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、両端に糖残基をも
ち、アセチレン基2個を有する新規な自己集積性の重合
性双頭型糖脂質、微細繊維状凝集体及びそれらの製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】脂質が水中で自己集積して安定な分子凝
集体を形成することは古くから知られている。これまで
に、このような脂質から形成される分子凝集体として
は、天然由来のリン脂質から薄膜法、熱分散法、溶液注
入法、コール酸法、逆層蒸発法などにより製造された、
いわゆるリポソームが知られている[「生体膜実験法
(下)」,第185ページ,共立出版刊行(1974
年)]。しかしながら、これらの方法で得られるもの
は、原料が制限されている上に、複雑でかつ熟練した技
術を必要とし、しかも形成した分子凝集体は球状の単一
膜リポソーム又は球状の多重膜リポソームに限られ、微
細繊維状の凝集体としては得られていない。
【0003】一方、合成両親媒性分子を水又は有機溶媒
に分散させた場合に、らせん状、チューブ状、棒状分子
凝集体を形成することが知られている[「ジャーナル・
オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Am.
Chem.Soc.)」,第107巻,第509〜51
0ページ(1985年)、「ケミストリー・アンド・フ
ィジックス・オブ・リピッド(Chem.Phys.L
ipids)」,第47巻,第135〜148ページ
(1987年)]。しかしながら、これらの凝集体は、
分散させた溶媒中でのみ安定であり、空気中などに取り
出すとその特異的な超構造は崩壊してしまう。また、こ
のようにして得られた特異的な凝集体を安定化したり不
溶化するために、重合性官能基を含む合成両親媒性分子
で処理し、得られた凝集体をラジカル開始剤や紫外線を
用いて重合することも試みられているが、いずれも二次
元状のシート状凝集体あるいは、球状のリポソームであ
り[「ポリマー・フォア・アドバンスド・テクノロジー
ズ(Poly.Adva.Tech.)」,第5巻,第
358〜393ページ(1994年)]、一次元状の繊
維状凝集体ではない。このように、これまで、大気中で
安定な微細繊維状の凝集体は得られていないのが実状で
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来得られ
なかった微細繊維状凝集体を形成しうる新規な糖脂質及
びその微細繊維状凝集体を提供することを目的としてな
されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、天然物質
のリポソームに対応する凝集体を合成物質から製造する
ために、鋭意研究を重ねた結果、2個のアルドピラノシ
ル基をもつジイン化合物が凝集体を形成すること、しか
もこの凝集体は従来のリポソームから形成することがで
きなかった微細繊維状であることを見出し、この知見に
基づいて本発明をなすに至った。
【0006】すなわち、本発明は、一般式 A1−NHCO−(CH2x−C≡C−C≡C−(CH2y−CONH−A2 (I) (式中のA1及びA2は、それぞれアルドピラノースの還
元末端水酸基を除いた残基又はその中の水酸基の少なく
とも一部が保護されたものであり、x及びyはそれぞれ
3〜8の整数である)で表わされる重合性双頭型糖脂
質、それからなる微細繊維状凝集体及びそれらの製造方
法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の重合性双頭型糖脂質は、
前記一般式(I)で表わされる化学構造を有するもので
あるが、その式中のA1及びA2はたがいに同一でもある
いは異なっていてもよく、それぞれアルドピラノースの
還元末端水酸基を除いた残基、すなわち一般式
【化1】 で表わされるアルドピラノシル基である。このような基
としては、アルトロピラノシル基、ガラクトピラノシル
基、グルコピラノシル基、マンノピラノシル基などがあ
り、これらはD型、L型のいずれでもよい。このアルド
ピラノシル基の中で、特に好ましいのは、ガラクトピラ
ノシル基及びグルコピラノシル基であり、A1及びA2
同一の場合の組み合せとしては、両者がいずれもD又は
L‐グルコピラノシル基、あるいはD又はL‐ガラクト
ピラノシル基の組み合せがあるし、またA1及びA2が異
なる場合の組み合せとしては、それぞれがD又はL‐グ
ルコピラノシル基及びD又はL‐ガラクトピラノシル基
の中から選ばれた異なる基の組み合せがある。
【0008】また、A1及びA2としては、これらのアル
ドピラノシル基の中の4個の水酸基の一部又は全部が保
護基、例えばアセチル基、ベンジル基、イソプロピリデ
ン基などで保護されていてもよい。また、一般式(I)
中の−(CH2x−及び−(CH2y−で示されるアル
キレン基はそれぞれ炭素数が3〜8の直鎖状アルキレン
基であり、例えばトリメチレン基、テトラメチレン基、
ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン
基、オクタメチレンがある。この炭素数が8よりも大き
いと溶解性が低下するため、製造しにくくなるし、また
凝集体を形成しにくくなる。また3よりも小さいと凝集
体が形成されない。
【0009】これらの重合性双頭型糖脂質は、いずれも
文献未載の新規化合物であって、例えば一般式 HOOC−(CH2x−C≡C−C≡C−(CH2y−COOH (III) (式中のx及びyは前記と同じ意味をもつ)で表わされ
るジインジカルボン酸又はその反応性誘導体に、全水酸
基が保護された1種又は2種のアルドピラノシルアミン
を反応させたのち、所望に応じ保護基の一部又は全部を
脱離させることによって製造することができる。
【0010】前記一般式(III)のジインジカルボン
酸は、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピ
ルカルボジイミド、1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルア
ミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、1‐ヒドロキシ
ベンゾトリアゾール、ジエチルホスホロシアニデート、
1‐エトキシカルボニル‐2‐エトキシ‐1,2‐ジヒ
ドロキノリン、イソブチルクロロホーメートのような縮
合剤の存在下でアルドピラノシルアミンと直接反応させ
ることもできるが、通常は、その反応性誘導体に変えて
反応させるのが有利である。このような反応性誘導体と
しては、例えば酸ハロゲン化物、酸エステル、酸無水
物、混合酸無水物など、一般にカルボン酸アミドを形成
させる場合に慣用されている誘導体を挙げることができ
る。
【0011】このジインジカルボン酸又はその反応性誘
導体と反応させるアルドピラノシルアミンは対応するア
ジド糖を酸化白金などで接触還元することにより得られ
るもので、このようなものとしては、例えばD‐又はL
‐グルコピラノシルアミン、D‐又はL‐ガラクトピラ
ノシルアミンなどがある。
【0012】一般式(III)のジインジカルボン酸又
はその反応性誘導体とアルドピラノシルアミンとの反応
は、固相反応で行うこともできるが、通常は、ジクロロ
メタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホ
ルムアミド、ジエチルエーテルなどの溶媒を用い、液相
中で行うのが好ましい。反応温度としては、−30℃な
いし30℃の範囲が選ばれ、反応時間は通常30分ない
し10時間である。この際、1種類のアルドピラノシル
アミンを用いると、一般式(I)中のA1とA2とが同じ
ものが得られ、2種のアルドピラノシルアミンを用いる
と、A1とA2が異なるものが得られる。
【0013】このようにして得られた双頭型糖脂質は、
常法に従ってカラムクロマトグラフィーや再結晶するこ
とにより分離、精製することができる。このようにして
精製された双頭型糖脂質は、白色粉末であって、容易に
微細繊維状凝集体を形成し、また分子中に不飽和結合を
有するため、容易に重合する。
【0014】次に、一般式(I)中のA1,A2の水酸基
が保護されている場合には、酸又は塩基で加水分解する
か、あるいは接触水素還元することにより容易にその保
護基を脱離することができる。次に、この重合性双頭型
糖脂質の微細繊維状凝集体は、重合性双頭型糖脂質を有
機溶媒に、飽和状態まで加熱溶解させる。この際、有機
溶媒としては、例えば酢酸エチル、アセトニトリル、ア
セトン、エタノール、塩化メチレン、クロロホルム、四
塩化炭素、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、ト
ルエン、オルトキシレン及びこれらの混合物などが挙げ
られる。この有機溶媒として、例えば酢酸エチルを用い
る場合には、糖脂質1g当り、30〜70ml程度加
え、30〜80℃程度の温度に加熱し、溶解する。次い
で、この溶液にn‐ヘキサンなどの貧溶媒を100〜3
00ml程度加えたのち、5℃以下まで徐冷し、結晶成
長させることにより、白色有機ゲルとして微細繊維状凝
集体が形成される。なお、貧溶媒としては、n‐ヘキサ
ン以外に、n‐ペンタン、石油エーテル、n‐へプタ
ン、n‐オクタン、二硫化炭素などが用いられる。な
お、溶解用有機溶媒として四塩化炭素を用いる場合に
は、沸騰四塩化炭素に糖脂質を溶解したのち、徐冷する
ことにより、微細繊維状凝集体が得られる。
【0015】この操作において、冷却速度は0.5℃/
分以下、特に0.1℃/分以下に制御するのが望まし
い。冷却速度が大きいと長繊維の生成が起こりにくく、
短繊維の棒状構造をとりやすい。最後に溶け残った双頭
型糖脂質を完全に析出させるために、さらに5℃程度で
貧溶媒100〜200ml程度を加える。微細繊維状凝
集体の繊維長、繊維径については、透過型電子顕微鏡で
容易に観察することができる。生成した微細繊維状凝集
体は大気中で安定であり、その形態は少なくとも1年経
過後も変化しない。
【0016】また、別の方法によれば、重合性双頭型糖
脂質に、1g当り40〜1000ml程度の水を加え、
飽和状態で加熱溶解させたのち、徐冷して結晶成長させ
る。水の量が40ml未満であれば、沸騰水に溶解しな
いで不溶部分が残ったり、1000mlを超えると、徐
冷しても濃度が低くて微細繊維状凝集体が形成しない場
合がある。できるだけ高温で飽和溶液をつくるために、
水溶液の温度は沸騰温度であるのが有利である。また冷
却速度は0.5℃/分以下、特に0.1℃/分以下に制
御するのが好ましい。冷却速度が大きいと長繊維の生成
が起こりにくく、短繊維の棒状構造をとりやすい。トリ
メチレン鎖の双頭型糖脂質では水溶性が高く、50重量
%以上の高濃度でも水溶液のままである。このような場
合、室温で水溶液に対して約10倍容量のテトラヒドロ
フラン、アセトン、エタノール、イソプロパノールなど
の水溶性有機溶媒を徐々に添加すればよい(添加速度:
約1重量%/分程度)。これにより、同様の微細繊維状
凝集体が形成する。添加方法としては、室温での蒸気拡
散法が好ましい。1例を挙げると、試料瓶中で5mgの
双頭型糖脂質を0.2mlの水に溶解し、瓶を開放した
まま20mlのテトラヒドロフランの入った密閉容器に
7日間放置することで同様の凝集体が得られる。得られ
た微細繊維状凝集体の繊維長、繊維径などは、透過型電
子顕微鏡で容易に観察することができる。このようにし
て、繊維長が数μm〜数100μm程度で、かつ繊維径
が数nm〜数10nm程度の微細繊維状凝集体が得られ
る。
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、天然のリン脂質や一般
の合成両親媒性化合物からは得ることができない空気中
又は水、有機溶媒中で安定な、繊維径が数nm〜数10
0nmの微細繊維状凝集体を容易に製造できる。本発明
の微細繊維状凝集体は、リポソームと同様に生体におけ
る担体や吸着体として用いうるほか、酸化還元可能な有
機電極として、あるいは導電性物質や金属などをドープ
することによってマイクロ電子部品などとして、電子・
情報分野において利用可能である。
【0018】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。なお、薄層クロマトグラフィーのR
f値としては、クロロホルム/メタノール(容積比20
/1)混合溶媒を展開溶媒としたときの値をRf1、ク
ロロホルム/メタノール/水(容積比64/31/5)
混合溶媒を展開溶媒としたときの値をRf2とした。
【0019】参考例1 2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐α‐D‐グル
コピラノシルブロミド5.0g(12.2ミリモル)を
ジメチルホルムアミド120mlに溶解しかきまぜなが
らアジ化ナトリウム15.8g(243ミリモル)を加
え、室温にて遮光下で一昼夜かきまぜた。反応混合物を
かきまぜ下に氷水1000ml中に滴下したのち、不溶
物を塩化メチレン900mlで抽出し、有機相を氷水で
洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別
したのち、減圧下で溶媒を完全に留去し、得られた淡黄
色の固体をジエチルエーテルで洗浄して乾燥後、2‐プ
ロパノールから再結晶し、白色の針状結晶として2,
3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐グルコピラノ
シルアジド3.30g(収率79%)を得た。このもの
の物理的性質は次のとおりである。 薄層クロマトグラフィーのRf値:Rf1=0.6 融点:131−132℃
【0020】参考例2 5,7‐ドデカジインジオン酸二ナトリウム塩0.96
g(3.6ミリモル)をジエチルエーテル10mlに溶
解し、0℃でかきまぜながら、オキサリルジクロリド
4.06g(32ミリモル)を滴下する。触媒としてジ
メチルホルムアミド1滴を加える。2時間後、生成した
塩化ナトリウムを窒素雰囲気下でろ去し、減圧下で溶媒
を完全に留去することで、5,7‐ドデカジインジオン
酸ジクロリド0.93gを得た。
【0021】実施例1 参考例1の2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β
‐D‐グルコピラノシルアジド2.98g(8ミリモ
ル)をメチルアルコール300mlに溶解し、窒素雰囲
気下で酸化白金1000mgを加えた。次いで、室温で
水素を導入しながら2時間かき混ぜた。反応混合物をセ
ライトを用いて吸引ろ過後、ろ液を減圧濃縮した。次に
これをピリジン0.94mlを含むジメチルホルムアミ
ド50mlに溶解し、−20℃でかき混ぜながら参考例
2の5,7‐ドデカジインジオン酸ジクロリド0.93
g(3.6モル)を含む塩化メチレン溶液10mlを滴
下した。2時間後室温に戻し一昼夜かきまぜたのち、反
応混合物を減圧濃縮し、次いでクロロホルム/水で抽出
した。有機層を5重量%クエン酸水溶液、5重量%炭酸
水素ナトリウム水溶液で洗浄したのち、無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥し、減圧濃縮した。
【0022】得られた生成物をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー[溶出液:クロロホルム/メタノール=2
0/1(容積比)]で精製することにより、無色で非晶
質状のN,N′‐ビス(2,3,4,6‐テトラ‐O‐
アセチル‐β‐D‐グルコピラノシル)デカン‐4,6
‐ジイン‐1,10‐ジカルボキサミド1.23g(収
率39%)を得た。この化合物の1H−NMRスペクト
ルチャート(重クロロホルム中、濃度4mg/0.6m
l、25℃、600MHz)を図1に示す。 薄層クロマトグラフィーのRf値:Rf2=0.3
【0023】実施例2 実施例1で得られたN,N′‐ビス(2,3,4,6‐
テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐グルコピラノシル)デ
カン‐4,6‐ジイン‐1,10‐ジカルボキサミド1
g(1.13モル)を無水メタノール30mlに溶解
し、室温でかきまぜながら0.05Nのナトリウムメト
キシドを含むメタノール溶液0.2mlを滴下し3時間
反応させた。その後、強酸性カチオン樹脂を加えて中和
し、溶媒を留去した。最後に、シリカゲルカラムクロマ
トグラフィー[溶出液はクロロホルム/メタノール/水
=65/30/5(容積比)]で精製することにより、
N,N′‐ビス(β‐D‐グルコピラノシル)デカン‐
4,6‐ジイン‐1,10‐ジカルボキサミド878m
g(収率95%)を白色粉末として得た。融点222
℃。この化合物の1H−NMRスペクトルチャート(重
水中、濃度8mg/0.6ml、25℃、600MH
z)を図2に示す。 薄層クロマトグラフィーのRf値:Rf2=0.3
【0024】実施例3 N,N′‐ビス(2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチ
ル‐β‐D‐グルコピラノシル)デカン‐4,6‐ジイ
ン‐1,10‐ジカルボキサミド1gをフラスコにとり
酢酸エチル50mlに溶解した。50℃に加熱しn‐ヘ
キサン200mlを少しずつ添加した。この溶液を0.
1℃/分で徐々に5℃まで冷却し、最後に5℃でn‐ヘ
キサン100mlを添加する。これにより微細繊維状凝
集体から構成される白色のゲルを得た。その形態は透過
型電子顕微鏡観察(無染色)から容易に確認でき、繊維
長1〜10μm、繊維径6〜50nmであった。図3に
微細繊維状凝集体の透過型電子顕微鏡写真の模写図を示
す。
【0025】実施例4 N,N′‐ビス(β‐D‐グルコピラノシル)デカン‐
4,6‐ジイン‐1,10‐ジカルボキサミド100m
gを試料瓶にとり蒸留水4mlに溶解した。この容器を
開放したままテトラヒドロフラン20mlの入った密閉
容器に入れて室温で7日間放置した。飽和テトラヒドロ
フラン蒸気が徐々に水溶液中に拡散する蒸気拡散法によ
り、微細繊維状凝集体から構成される白色のゲルを得
た。その形態は透過型電子顕微鏡観察から容易に確認で
き、繊維長1〜100μm、繊維径3〜100nmであ
った。
【0026】実施例5 実施例1,2において、2,3,4,6‐テトラ‐O‐
アセチル‐α‐D‐グルコピラノシルブロミドの代わり
に2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐α‐D‐ガ
ラクトピラノシルブロミドを用いて製造したN,N′‐
ビス(β‐D‐ガラクトピラノシル)デカン‐4,6‐
ジイン‐1,10‐ジカルボキサミド100mgを試料
瓶にとり蒸留水4mlに溶解した。この容器を開放した
ままテトラヒドロフラン20mlの入った密閉容器に入
れて室温で7日間放置した。飽和テトラヒドロフラン蒸
気が徐々に水溶液中に拡散する蒸気拡散法により、微細
繊維状凝集体から構成される無色透明の針状結晶を得
た。その形態は透過型電子顕微鏡観察から容易に確認で
き、繊維長1〜500μm、繊維径50〜500nmで
あった。
【0027】実施例6 実施例1,2において、5,7‐ドデカジインジオン酸
二ナトリウム塩の代わりに、6,8‐テトラデカジイン
ジオン酸二ナトリウム塩を用いて製造したN,N′‐ビ
ス(β‐D‐グルコピラノシル)ドデカ‐5,7‐ジイ
ン‐1,12‐ジカルボキサミド100mgを試料瓶に
とり沸騰温度の蒸留水5mlに溶解した。この溶液を
0.1℃/分で徐冷した。室温まで徐冷の後、2日間放
置することで、微細繊維状凝集体から構成される白色の
繊維状の沈殿物を得た。その形態は透過型電子顕微鏡観
察から容易に確認でき、繊維長2〜500μm、繊維径
10〜500nmであった。
【0028】実施例7 実施例1,2において、5,7‐ドデカジインジオン酸
二ナトリウム塩の代わりに、7,9‐ヘキサデカジイン
ジオン酸二ナトリウム塩を用いて製造したN,N′‐ビ
ス(β‐D‐グルコピラノシル)テトラデカ‐6,8‐
ジイン‐1,14‐ジカルボキサミド100mgを試料
瓶にとり沸騰温度の蒸留水10mlに溶解した。この溶
液を0.1℃/分で徐冷した。室温まで徐冷の後、2日
間放置することで、微細繊維状凝集体から構成される白
色の繊維状の沈殿物を得た。その形態は透過型電子顕微
鏡観察から容易に確認でき、繊維長2〜100μm、繊
維径50〜500nmであった。
【0029】実施例8 実施例1,2において、5,7‐ドデカジインジオン酸
二ナトリウム塩の代わりに、8,10‐オクタデカジイ
ンジオン酸二ナトリウム塩を用いて製造したN,N′‐
ビス(β‐D‐グルコピラノシル)ヘキサデカ‐7,9
‐ジイン‐1,16‐ジカルボキサミド100mgを試
料瓶にとり沸騰温度の蒸留水20mlに溶解した。この
溶液を0.1℃/分で徐冷した。室温まで徐冷の後、2
日間放置することで、微細繊維状凝集体から構成される
白色の繊維状の沈殿物を得た。その形態は透過型電子顕
微鏡観察から容易に確認でき、繊維長5〜100μm、
繊維径0.1〜0.5μmであった。
【0030】実施例9 実施例1,2において、5,7‐ドデカジインジオン酸
二ナトリウム塩の代わりに9,11‐イコサジインジオ
ン酸二ナトリウム塩を用いて製造したN,N′‐ビス
(β‐D‐グルコピラノシル)オクタデカ‐8,10‐
ジイン‐1,18‐ジカルボキサミド100mgを試料
瓶にとり沸騰温度の蒸留水50mlに溶解した。この溶
液を0.1℃/分で徐冷した。室温まで徐冷の後、2日
間放置することで、微細繊維状凝集体から構成される白
色の繊維状の沈殿物を得た。その形態は透過型電子顕微
鏡観察から容易に確認でき、繊維長10〜100μm、
繊維径0.1〜1μmであった。
【0031】実施例10 実施例1,2において、5,7‐ドデカジインジオン酸
二ナトリウム塩の代わりに、10,12‐ドコサジイン
ジオン酸二ナトリウム塩を用いて製造したN,N′‐ビ
ス(β‐D‐グルコピラノシル)イコサ‐10,12‐
ジイン‐1,20‐ジカルボキサミド100mgを試料
瓶にとり沸騰温度の蒸留水100mlに溶解した。この
溶液を0.1℃/分で徐冷した。室温まで徐冷の後、2
日間放置することで、微細繊維状凝集体から構成される
白色の繊維状の沈殿物を得た。その形態は透過型電子顕
微鏡観察から容易に確認でき、繊維長2〜100μm、
繊維径0.1〜1μmであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の生成物の1H−NMRスペクト
ル。
【図2】 実施例2の生成物の1H−NMRスペクト
ル。
【図3】 実施例3の微細繊維状凝集体の透過型電子顕
微鏡写真の模写図。

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 A1−NHCO−(CH2x−C≡C−C≡C−(C
    2y−CONH−A2 (式中のA1及びA2は、それぞれアルドピラノースの還
    元末端水酸基を除いた残基又はその中の水酸基の少なく
    とも一部が保護されたものであり、x及びyはそれぞれ
    3〜8の整数である)で表わされる重合性双頭型糖脂
    質。
  2. 【請求項2】 A1及びA2が同一でいずれもD又はL‐
    グルコピラノシル基又はその中の水酸基の一部が保護さ
    れたものである請求項1記載の重合性双頭型糖脂質。
  3. 【請求項3】 A1及びA2が同一でいずれもD又はL‐
    ガラクトピラノシル基又はその中の水酸基の一部が保護
    されたものである請求項1記載の重合性双頭型糖脂質。
  4. 【請求項4】 A1及びA2がたがいに異なり、それぞれ
    がD又はL‐グルコピラノシル基又はその中の水酸基の
    少なくとも一部が保護されたもの、及びD又はL‐ガラ
    クトピラノシル基又はその中の水酸基の少なくとも一部
    が保護されたものの中から選ばれた基である請求項1記
    載の重合性双頭型糖脂質。
  5. 【請求項5】 一般式 HOOC−(CH2x−C≡C−C≡C−(CH2y
    COOH (式中のx及びyはそれぞれ3〜8の整数である)で表
    わされるジインジカルボン酸又はその反応性誘導体に、
    全水酸基が保護された1種又は2種のアルドピラノシル
    アミンを反応させたのち、所望に応じ保護基の一部又は
    全部を脱離させることを特徴とする一般式 A1−NHCO−(CH2x−C≡C−C≡C−(C
    2y−CONH−A2 (式中のA1及びA2は、それぞれアルドピラノースの還
    元末端水酸基を除いた残基又はその中の水酸基の少なく
    とも一部が保護されたものであり、x及びyは前記と同
    じ意味をもつ)で表わされる重合性双頭型糖脂質の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 アルドピラノシルアミンがD又はL‐グ
    ルコピラノシルアミンである請求項5記載の重合性双頭
    型糖脂質の製造方法。
  7. 【請求項7】 アルドピラノシルアミンがD又はL‐ガ
    ラクトピラノシルアミンである請求項5記載の重合性双
    頭型糖脂質の製造方法。
  8. 【請求項8】 アルドピラノシルアミンがD又はL‐グ
    ルコピラノシルアミン及びD又はL‐ガラクトピラノシ
    ルアミンの中から選ばれた2種の組み合せである請求項
    5記載の重合性双頭型糖脂質の製造方法。
  9. 【請求項9】 一般式 A1−NHCO−(CH2x−C≡C−C≡C−(C
    2y−CONH−A2 (式中のA1及びA2は、それぞれアルドピラノースの還
    元末端水酸基を除いた残基又はその中の水酸基の少なく
    とも一部が保護されたものであり、x及びyはそれぞれ
    3〜8の整数である)で表わされる重合性双頭型糖脂質
    からなる微細繊維状凝集体。
  10. 【請求項10】 一般式 A1−NHCO−(CH2x−C≡C−C≡C−(C
    2y−CONH−A2 (式中のA1及びA2は、それぞれアルドピラノースの還
    元末端水酸基を除いた残基又はその中の水酸基の少なく
    とも一部が保護されたものであり、x及びyはそれぞれ
    3〜8の整数である)で表わされる重合性双頭型糖脂質
    を、有機溶媒に飽和状態で加熱溶解したのち、徐冷して
    一次元的に結晶成長させることを特徴とする微細繊維状
    凝集体の製造方法。
  11. 【請求項11】 一般式 A1−NHCO−(CH2x−C≡C−C≡C−(C
    2y−CONH−A2 (式中のA1及びA2は、それぞれアルドピラノースの還
    元末端水酸基を除いた残基又はその中の水酸基の少なく
    とも一部が保護されたものであり、x及びyはそれぞれ
    3〜8の整数である)で表わされる重合性双頭型糖脂質
    を、水に飽和状態で加熱溶解したのち、徐冷して一次元
    的に結晶成長させることを特徴とする微細繊維状凝集体
    の製造方法。
  12. 【請求項12】 一般式 A1−NHCO−(CH2x−C≡C−C≡C−(C
    2y−CONH−A2 (式中のA1及びA2は、それぞれアルドピラノースの還
    元末端水酸基を除いた残基又はその中の水酸基の少なく
    とも一部が保護されたものであり、x及びyはそれぞれ
    3〜8の整数である)で表わされる重合性双頭型糖脂質
    を、水に溶解したのち、水溶性有機溶媒を蒸気拡散法に
    より添加し、一次元的に結晶成長させることを特徴とす
    る微細繊維状凝集体の製造方法。
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