JP3787611B2 - カルボン酸型糖脂質誘導体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、糖脂質誘導体の新規な製造方法及びそれによって得られた新規な糖脂質誘導体に関するものである。さらに詳しくいえば、本発明は、入手の容易な原料から糖脂質誘導体を製造する新規な方法及びそれによって得られた、水中に分散させることにより有機超薄膜や微細繊維状物質又は閉鎖型の小胞体(ベシクル)を形成し、機能性材料として有用なカルボン酸型糖脂質を得るための新規なカルボン酸型糖脂質誘導体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで、糖残基を含む化合物からなるサーモトロピック液晶は知られている[ドイツ特許第4,342,280号明細書、「ジャーナル・オブ・マテリアルズ・ケミストリー(J.Material.Chem.)」,第6巻,739〜745ページ(1996年)]。
しかしながら、これらの化合物は水に不溶であるため、水溶液を形成せず、サーモトロピック液晶の状態で存在するだけであり、利用範囲が制限されるという欠点がある。
【0003】
一方、糖の水酸基を2か所以上疎水化し、サーモトロピック液晶相を制御した化合物を得ることも試みられているが、このような化合物は、疎水性が比較的大きく、水のような極性溶媒には難溶で、分散性も低い上に、溶解性が化合物の種類により一義的に決まってしまうため、利用範囲が制限されるのを免れない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、入手容易な原料から、水中によく分散して安定な分子集合体を形成し、各種機能性材料として広範囲に利用可能な糖脂質を提供することを目的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、水中によく分散して安定な分子集合体を形成する糖脂質を得るために鋭意研究を重ねた結果、糖の還元性末端水酸基に長鎖脂肪酸残基を導入することにより、その目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、一般式
G−NH2 (I)
(式中のGは還元性末端水酸基を除いたアルドース残基であって、その中に存在する水酸基のすべてが保護されているものである)
で表わされるアミノ糖に、一般式
HOOC−(CH2)n−COOR (II)
(式中のRはカルボキシル基の保護基、nは10〜20の整数である)
で表わされるカルボン酸の反応性官能的誘導体を反応させて、一般式
G−NHCO−(CH2)n−COOR (III)
(式中のG、n及びRは前記と同じ意味をもつ)
で表わされる化合物を得、次いでカルボキシル基の保護基を脱離させるか、あるいは前記一般式(I)で表わされるアミノ糖を、1〜6倍当量の一般式
HOOC−(CH2)n−COOH (IV)
(式中のnは前記と同じ意味をもつ)
で表わされるジカルボン酸の反応性官能的誘導体中に導入し、反応させることを特徴とする、一般式
G−NHCO−(CH2)n−COOH (V)
(式中のG及びnは前記と同じ意味をもつ)
で表わされるカルボン酸型糖脂質誘導体の製造方法、及びこれらの製造方法により初めて得られた、一般式(V)で表わされる新規なカルボン酸型糖脂質誘導体を提供するものである。
【0007】
ここで、還元性末端水酸基を除いたアルドース残基とは、一般にアルドースの末端に存在する還元性を示すアルデヒド基は、以下に示すように分子中の他の水酸基と結合して環状構造、すなわちピラノース又はフラノース環を形成するとともに、アルコール等と結合してヘミアセタールを形成する水酸基を生じるが、この水酸基を除いた残りの糖残基のことをいう。
【化1】
(式中のR′は炭化水素基である)
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明方法で得られるカルボン酸型糖脂質誘導体は、前記一般式(V)で表わされる化学構造を有するが、この中の糖部分の還元性末端水酸基以外の水酸基はすべて保護基によって保護されている。この保護基としては、アセチル基、ベンジル基、メチレン基、イソプロピリデン基、ベンジリデン基など糖誘導体合成の際に慣用されている保護基の中から任意に選んで用いることができる。また、アルドース残基は、ピラノース型、フラノース型のいずれでもよい。
【0009】
保護基がアセチル基の場合のアルドース残基の例としては、テトラアセチルグルコピラノシル基、テトラアセチルガラクトピラノシル基、テトラアセチルグロピラノシル基、テトラアセチルイドピラノシル基、テトラアセチルタロピラノシル基及び対応するフラノシル基を挙げることができる。これらのアルドピラノシル又はアルドフラノシル基は、D型、L型、ラセミ体のいずれであってもよい。また、テトラアセチルアルドピラノシル又はフラノシル基においては、還元性末端基の炭素原子は不斉炭素原子なので、α‐アノマー及びβ‐アノマーが存在するが、そのいずれでもよいし、またそれらの混合物であってもよい。これらの基のうち、原料の入手が容易で製造しやすいという点で、特にテトラアセチル‐D‐グルコピラノシル基、テトラアセチル‐D‐ガラクトピラノシル基が好ましい。
【0010】
次に、一般式(V)におけるアルキレン基−(CH2)n−は、nが10〜20の長鎖アルキレン基である。このようなものとしては、例えば、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基、イコサレン基などを挙げることができる。
【0011】
また、前記一般式(V)で表わされるカルボン酸型糖脂質は、いずれも新規な化合物であり、この中の水酸基の保護基を脱離することにより、有機超薄膜、微細繊維状体、小胞体(ベシクル)、サーモトロピック液晶などの機能性材料として有用な長鎖脂肪酸型糖脂質に変換することができる。
【0012】
本発明方法によれば、一般式(V)で表わされるカルボン酸型糖脂質誘導体は、前記一般式(I)で表わされるアミノ糖と前記一般式(II)で表わされるカルボン酸の反応性官能的誘導体とを反応させたのち、生成物中のカルボキシル基の保護基を脱離させることによって得ることができる。
この際用いる一般式(I)のアミノ糖は、例えば一般式
G−N3
(式中のGは前記と同じ意味をもつ)
で表わされるアジド糖を接触還元することにより製造することができる。この接触還元は、例えばメチルアルコールのような溶媒中で、触媒として酸化白金又はパラジウムを用い、水素と接触させることによって行うことができる。そして、アジド基が完全に還元されてアミノ基に変換されたことを薄層クロマトグラフィーなどにより確認したのち、生成したアミノ糖を単離、精製することなく、次のカルボン酸の反応性官能的誘導体との反応に供する。もちろん、所望ならばアミノ糖を単離、精製して用いることもできる。
【0013】
次に、このアミノ糖と反応させる、前記一般式(II)で表わされるカルボン酸は、一般式
HOOC−(CH2)n−COOH (IV)
(式中のnは前記と同じ意味をもつ)
で表わされる脂肪族ジカルボン酸のカルボキシル基の一方を保護基で保護することにより得られる。この一般式(IV)で表わされる脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、1,10‐デカンジカルボン酸、1,11‐ウンデカンジカルボン酸、1,13‐トリデカンジカルボン酸、1,14‐テトラデカンジカルボン酸、1,16‐ヘキサデカンジカルボン酸、1,18‐オクタデカンジカルボン酸、1,20‐エイコサンジカルボン酸などを挙げることができる。
【0014】
本発明方法においては、これらの脂肪族ジカルボン酸の2個のカルボキシル基の一方が保護基Rで保護されたモノカルボン酸を用いる。この保護基Rとしては、エチル基、tert‐ブチル基のようなアルキル基、ベンジル基、N‐ニトロベンジル基のようなアラルキル基などがある。
【0015】
本発明方法においては、前記一般式(II)で表わされるカルボン酸を、その反応性官能的誘導体として、前記一般式(I)で表わされるアミノ糖と反応させる。この反応性官能的誘導体としては、酸ハロゲン化物、酸無水物、混合酸無水物、酸エステル、N,N′‐ジ置換カルボジイミド付加物など一般にカルボン酸アミドの製造に際し、慣用されている酸誘導体を用いることができる。
【0016】
次に、一般式(I)で表わされるアミノ糖と、一般式(II)で表わされるカルボン酸の反応性官能的誘導体との縮合反応は、反応溶媒中、両者をほぼ等モルの割合で混合し、−30℃ないし30℃の範囲の温度で、30分ないし10時間かきまぜることによって行うことができる。この際の反応溶媒としては、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N,N‐ジエチルスルホキシド、クロロホルム、メチルアルコール、エチルアルコールなどを用いることができるが、これらの中で反応性、溶解性などの点でN,N‐ジメチルホルムアミドが好ましい。
【0017】
なお、一般式(II)で表わされるカルボン酸を反応性官能的誘導体として用いる代りに、縮合剤の存在下で、一般式(II)で表わされるカルボン酸そのものを一般式(I)で表わされるアミノ糖と反応させて縮合することもできる。この際の縮合剤としては、通常のペプチド合成の際に用いられている縮合剤、例えば1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、1‐ヒドロキシベンゾトリアゾール、ジエチルホスホロシアニデート、1‐エトキシカルボニル‐2‐エトキシ‐1,2‐ジヒドロキノリン、イソブチルクロロホーメートなどを用いることができる。
また、一般式(II)で表わされるカルボン酸の反応性官能的誘導体の代りに、一般式(IV)で表わされるジカルボン酸の反応性官能的誘導体、例えばジハロゲン化物を用い、その過剰量存在する条件下、すなわち1〜6倍当量中にアミノ糖を導入して、一方のカルボキシル基のみを反応させたのち、加水分解して他方のカルボキシル基を遊離させることにより、一般式(V)の化合物を得ることもできる。
【0018】
このようにして得られた粗生成物は、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどを用いて精製することにより、高純度のものとすることができる。このような方法により得られたカルボン酸型糖脂質は、糖残基のアノマー炭素が100%β体のものである。このことは、該カルボン酸型糖脂質の1H−NMRスペクトル(クロロホルム中、室温)がδ値で4.9ppmに二重線のシグナル(スピン−スピンカップリング定数9.2Hz)を示すことから確認できる。
【0019】
この化合物の同定は、赤外線吸収スペクトルで1770〜1730cm-1に糖アセチル基に由来する特性吸収、1640〜1660cm-1にアミドカルボニル基に由来する特性吸収を示すこと、1H−NMRスペクトル(クロロホルム中、室温)において、δ値が1.2〜1.4ppm(長鎖アルキレン鎖のメチレン水素)、1.5〜1.7ppm(アミド基に隣接するメチレンの隣のメチレン基の水素)、2.3〜2.4ppm(アミド基に隣接するメチレン基の水素)、1.5〜1.7ppm(カルボキシル基に隣接するメチレンの隣のメチレン基の水素)、2.3〜2.4ppm(カルボキシル基に隣接するメチレン基の水素)、2.0〜2.1ppm(糖アセチル基の水素)、6.3〜6.4ppm(グルコピラノシル基の1位のメチン水素)のシグナルが認められることによって行われる。
【0020】
【発明の効果】
本発明方法により製造した化合物を加水分解して糖の水酸基の保護基を脱離させることにより得られるカルボン酸型糖脂質は、文献未載の新規化合物であって、クロロホルムなどの疎水性有機溶媒に極微量溶解させ、気水界面上にラングミュアー・ブロジェット法により展開し、適当な基板上に移し取ることによって分子オーダーの厚さを有する有機薄膜を形成するし、熱水水中に分散させ、超音波処理することによって球状の小胞体を形成する。またナトリウム塩の状態で水に分散し、大気中に放置することにより、直径1μm以下、繊維長1mm程度の極微細繊維を形成する。さらにこのナトリウム塩のバルク状態でサーモトロピック液晶を、適当な溶媒と混和させることにより、リオトロピック液晶を形成する。
したがって、医薬、化粧品分野などにおけるリポソーム膜形成材料、超薄膜や極微小構造体として、電子・情報分野におけるマイクロ電子部品、あるいは食品工業、農林業、繊維工業、などにおける乳化剤、安定剤、分散剤、湿潤剤などとして有用であり、工業的利用価値が高い。
【0021】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
なお薄層クロマトグラフィーのRf値としてはクロロホルム/メタノール(容積比20/1)混合溶媒を展開溶媒としたときの値をRf1、クロロホルム/メタノール/酢酸(容積比100/3/1)混合溶媒を展開溶媒としたときの値をRf2として採用した。
【0022】
参考例1
2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐α‐D‐グルコピラノシルブロミド5.0g(12.2ミリモル)をDMF120mlに溶解し、かき混ぜながらアジ化ナトリウム15.8g(243ミリモル)を加え、室温にて遮光下で1昼夜かき混ぜた。反応混合物をかき混ぜ下に氷水1000ml中に滴下したのち、不溶物を塩化メチレン900mlで抽出し、有機相を氷水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別したのち、減圧下で溶媒を完全に留去し、得られた淡黄色の固体をジエチルエーテルで洗浄して乾燥後、2‐プロパノールから再結晶し、白色の針状結晶として2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐グルコピラノシルアジド3.30g(収率79%)を得た。このものの物理的性質は次のとおりである。
【0023】
参考例2
参考例1における2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐α‐D‐グルコピラノシルブロミドの代りに2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐α‐D‐ガラクトピラノシルブロミドを用い、参考例1と同様な操作によって2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐ガラクトピラノシルアジド3.30g(収率79%)を得た。このものの物理的性質は次のとおりである。
【0024】
参考例3
1,14‐テトラデカンジカルボン酸2.29g(8ミリモル)にジメチルホルムアミド1滴と塩化チオニル2.32ml(32ミリモル)を加えて1時間加熱還流したのち、未反応の塩化チオニルを減圧下で留去することにより、淡黄色の液体として1,14‐テトラデカンジカルボン酸ジクロリドを得た。
【0025】
参考例4
1,14‐テトラデカンジカルボン酸5g(17.5ミリモル)、ベンジルアルコール8.37g、トルエン50ml、p‐トルエンスルホン酸0.07gをフラスコに入れ、ディーンシュターク型脱水装置を用いて還流下、脱水を行った。8時間の還流ののち、約1mlの水が除去できた。この反応液をヘキサンに溶解し、炭酸水素ナトリウム飽和溶液、次いで水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去したのち、ヘキサン中で再結晶し、1,14‐テトラデカンジカルボン酸ジベンジルエステル(8.1g)を得た。この1,14‐テトラデカンジカルボン酸ジベンジルエステル5.97g(12.8ミリモル)に新たに1,14‐テトラデカンジカルボン酸4.8g(16.7ミリモル)、ベンジルアルコール1.8g、トルエン50ml、硫酸0.05gをフラスコ中で混合し、5時間加熱還流した。次に、イソプロパノール/クロロホルム(1/5体積比)300mlに溶解し、水洗後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮ののち、エーテル/ヘキサン(1/4体積比)中で再結晶を行い、1,14‐テトラデカンジカルボン酸モノベンジルエステル3.77g(10.1ミリモル)を得た。
【0026】
参考例5
参考例4で得た1,14‐テトラデカンジカルボン酸モノベンジルエステル3.01g(8ミリモル)にジメチルホルムアミド1滴と塩化チオニル2.32ml(32ミリモル)を加えて1時間加熱還流したのち、未反応の塩化チオニルを減圧下で留去することにより、淡黄色の液体として1,14‐テトラデカンジカルボン酸モノクロリドモノベンジルエステル(3.2g)を得た。
【0027】
実施例1
参考例1で得た2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐グルコピラノシルアジド2.98g(8ミリモル)をメチルアルコール300mlに溶解し、窒素雰囲気下で酸化白金1000mgを加えた。次いで、室温で水素を導入しながら2時間かき混ぜた。反応混合物をセライトを用いて吸引ろ過後、ろ液を減圧濃縮した。次にこれをDMF50mlに溶解し、参考例3で得た1,14‐テトラデカンジカルボン酸ジクロリド7.77g(24ミリモル)とピリジン0.94mlを含む塩化メチレン溶液10mlに、−20℃でかきまぜながら滴下した。2時間後室温に戻し1昼夜かき混ぜたのち、水30mlを加えてさらに1時間かき混ぜた。次いで反応混合物を減圧濃縮後、クロロホルム/水で抽出した。有機層を5%重量クエン酸で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。
【0028】
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出液:クロロホルム/メタノール=20/1(容積比)]で精製することにより、無色で非晶質状のN‐(2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐グルコピラノシル)テトラデカン‐1‐カルボキサミド‐14‐カルボキシド1.92g(収率39%)を得た。
この化合物の1H−NMRスペクトルチャート(重クロロホルム中、25℃)を図1に示す。
【0029】
実施例2
参考例1で得た2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐グルコピラノシルアジド2.98g(8ミリモル)をメチルアルコール300mlに溶解し、窒素雰囲気下で酸化白金1000mgを加えた。次いで、室温で水素を導入しながら2時間かき混ぜた。反応混合物をセライトを用いて吸引ろ過後、ろ液を減圧濃縮した。次にこれをピリジン0.94mlを含むDMF50mlに溶解し、−20℃でかき混ぜながら参考例5で得た1,14‐テトラデカンジカルボン酸モノクロリドモノベンジルエステル3.01g(8ミリモル)を含む塩化メチレン溶液10mlを滴下した。2時間後室温に戻し1昼夜かき混ぜたのち、反応混合物を減圧濃縮し、次いでクロロホルム/水で抽出した。有機層を5%重量クエン酸で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出液:クロロホルム/メタノール=20/1(容積比)]で精製することにより、無色で非晶質状のN‐(2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐グルコピラノシル)テトラデカン‐1‐カルボキサミド‐14‐カルボキシルベンジルエステル3.67g(収率65%)を得た。
この化合物の1H−NMRスペクトルチャート(重クロロホルム中、25℃)を図2に示す。
【0030】
得られたN‐(2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐グルコピラノシル)テトラデカン‐1‐カルボキサミド‐14‐カルボキシルベンジルエステル0.705g(1.0ミリモル)をメタノールに溶解後、窒素雰囲気下で酸化白金100mgを加えた。次いで、室温で水素を導入しながら2時間かき混ぜた。反応混合物をセライトを用いて吸引ろ過後、ろ液を減圧濃縮した。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出液:クロロホルム/メタノール=20/1(容積比)]で精製することにより、無色で非晶質状のN‐(2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐グルコピラノシル)テトラデカン‐1‐カルボキサミド‐14‐カルボキシド0.610g(収率99%)を得た。
この化合物の1H−NMRスペクトルチャート(重クロロホルム中、25℃)は実施例1で得られたものと同一であった。
【0031】
実施例3
参考例2で得た2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシルアジド2.98g(8ミリモル)をメチルアルコール300mlに溶解し、窒素雰囲気下で酸化白金1000mgを加えた。次いで、室温で水素を導入しながら2時間かき混ぜた。反応混合物をセライトを用いて吸引ろ過後、ろ液を減圧濃縮した。次にこれをDMF50mlに溶解し、参考例3で得た1,14‐テトラデカンジカルボン酸ジクロリド7.77g(24ミリモル)とピリジン0.94mlを含む塩化メチレン溶液10mlに、−20℃でかきまぜながら滴下した。2時間後室温に戻し1昼夜かき混ぜたのち、水30mlを加えてさらに1時間かき混ぜた。次いで反応混合物を減圧濃縮後、クロロホルム/水で抽出した。有機層を5%重量クエン酸で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。
【0032】
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出液:クロロホルム/メタノール=20/1(容積比)]で精製することにより、無色で非晶質状のN‐(2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシル)テトラデカン‐1‐カルボキサミド‐14‐カルボキシド2.07g(収率42%)を得た。
【0033】
実施例4
参考例2で得た2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシルアジド2.98g(8ミリモル)をメチルアルコール300mlに溶解し、窒素雰囲気下で酸化白金1000mgを加えた。次いで、室温で水素を導入しながら2時間かき混ぜた。反応混合物をセライトを用いて吸引ろ過後、ろ液を減圧濃縮した。次にこれをピリジン0.94mlを含むDMF50mlに溶解し、−20℃でかき混ぜながら参考例5で得た1,14‐テトラデカンジカルボン酸モノクロリドモノベンジルエステル3.16g(8ミリモル)を含む塩化メチレン溶液10mlを滴下した。2時間後室温に戻し1昼夜かき混ぜたのち、反応混合物を減圧濃縮し、次いでクロロホルム/水で抽出した。有機層を5%重量クエン酸で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出液:クロロホルム/メタノール=20/1(容積比)]で精製することにより、無色で非晶質状のN‐(2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシル)テトラデカン‐1‐カルボキサミド‐14‐カルボキシルベンジルエステル3.44g(収率61%)を得た。
【0034】
得られたN‐(2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシル)テトラデカン‐1‐カルボキサミド‐14‐カルボキシルベンジルエステル0.705g(1.0ミリモル)をメチルアルコールに溶解後、窒素雰囲気下で酸化白金100mgを加えた。次いで、室温で水素を導入しながら2時間かき混ぜた。反応混合物をセライトを用いて吸引ろ過後、ろ液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出液:クロロホルム/メタノール=20/1(容積比)]で精製することにより、無色で非晶質状のN‐(2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐ガラクトピラノシル)テトラデカン‐1‐カルボキサミド‐14‐カルボキシド0.610g(収率99%)を得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得たN‐(2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐グルコピラノシル)テトラデカン‐1‐カルボキサミド‐14‐カルボキシドの1H−NMRスペクトルチャート。
【図2】 実施例2で得たN‐(2,3,4,6‐テトラ‐O‐アセチル‐β‐D‐グルコピラノシル)テトラデカン‐1‐カルボキサミド‐14‐カルボキシルベンジルエステルの1H−NMRスペクトルチャート。
Claims (4)
- 一般式
G−NH2
(式中のGは還元性末端水酸基を除いたアルドース残基であって、その中に存在する水酸基のすべてが保護されているものである)
で表わされるアミノ糖に、一般式
HOOC−(CH2)n−COOR
(式中のRはカルボキシル基の保護基、nは10〜20の整数である)
で表わされるカルボン酸の反応性官能的誘導体を反応させて、一般式
G−NHCO−(CH2)n−COOR
(式中のG、n及びRは前記と同じ意味をもつ)
で表わされる化合物を得、次いでカルボキシル基の保護基を脱離させることを特徴とする、一般式
G−NHCO−(CH2)n−COOH
(式中のG及びnは前記と同じ意味をもつ)
で表わされるカルボン酸型糖脂質誘導体の製造方法。 - 一般式
G−NH2
(式中のGは還元性末端水酸基を除いたアルドース残基であって、その中に存在する水酸基のすべてが保護されているものである)
で表わされるアミノ糖を、1〜6倍当量の一般式
HOOC−(CH2)n−COOH
(式中のnは10〜20の整数である)
で表わされるジカルボン酸の反応性官能的誘導体中に導入し、反応させることを特徴とする、一般式
G−NHCO−(CH2)n−COOH
(式中のG及びnは前記と同じ意味をもつ)
で表わされるカルボン酸型糖脂質誘導体の製造方法。 - 一般式
G−NHCO−(CH2) n −COOH
(式中のGは還元性末端水酸基を除いたアルドース残基であって、その中に存在する水酸基のすべてが保護されているものであり、nは10〜20の整数である)
で表わされるカルボン酸型糖脂質誘導体。 - 一般式中のGが、その中に存在するすべての水酸基がアセチル基で保護されているグルコピラノシル又はガラクトピラノシル残基である請求項3記載のカルボン酸型糖脂質誘導体。
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