JP2008214256A - 双頭型配糖化合物の製造方法及び双頭型配糖化合物並びに該双頭型配糖化合物を含有する糖鎖認識タンパク質結合剤 - Google Patents
双頭型配糖化合物の製造方法及び双頭型配糖化合物並びに該双頭型配糖化合物を含有する糖鎖認識タンパク質結合剤 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】広範囲な用途に応用可能で、コストの面でも有利な双頭型配糖化合物の製造方法を提供する。また、レクチン等の糖鎖認識タンパク質を架橋、凝集、沈降させることができる新規な双頭型配糖化合物を提供する。
【解決手段】アルドピラノース環を有する糖又は糖鎖のグリコシド性ヒドロキシル基を1級アミノ基に変換し、得られたアミノ糖の1級アミノ基と、下記一般式(I)で表される構造を有する化合物のカルボキシル基又はその活性化官能基とを縮合させて、下記一般式(II)で表される構造を有する双頭型配糖化合物を得る。
【選択図】なし
【解決手段】アルドピラノース環を有する糖又は糖鎖のグリコシド性ヒドロキシル基を1級アミノ基に変換し、得られたアミノ糖の1級アミノ基と、下記一般式(I)で表される構造を有する化合物のカルボキシル基又はその活性化官能基とを縮合させて、下記一般式(II)で表される構造を有する双頭型配糖化合物を得る。
【選択図】なし
Description
本発明は、両末端に糖又は糖鎖を有する双頭型配糖化合物の製造方法、及び該製造方法で得られた双頭型配糖化合物、並びに該双頭型配糖化合物を含有する糖鎖認識タンパク質結合剤に関する。
レクチンは、細胞を凝集させたり、多糖類や糖タンパク質を沈降させる活性を持ち、免疫反応の産物(抗体)ではない糖鎖認識タンパク質として定義され、植物のみならず動物、細菌細胞表面やウイルスなどにも存在することが知られている。
糖質や糖タンパク質と結合する様々なレクチンの性質がここ10年における数々の研究で解明され、レクチンそのものが医療分野へ著しく進展してきた。当初は、複合糖質の単離、同定、検出などのツールとして、あるいは血液型判定などに利用されていたレクチンであるが、近年では、インフルエンザウイルスの感染に、宿主細胞膜のシアル酸を含む複合糖質糖鎖を受容体として認識・結合するレクチンであるヘマグルチニンが関わっていることや、細菌類の胃腸管、尿管などの上皮細胞への特異的接着による感染、あるいは免疫系や癌転移のプロセスに各種のレクチンが関わっていることがわかってきた。
レクチンは多価の結合活性があるため、細菌や細胞あるいは天然の糖タンパク質や多糖と結合して凝集または沈降することは昔から知られていた。また、レクチンと多価の糖質が均質な架橋複合体を形成し、場合によって沈降する作用を示すことは、C. F. Brewerらによる下記非特許文献1及び非特許文献2に報告されている。しかしながら、これらの架橋に関する研究において、作用を示すとされる糖質は、天然の糖タンパク質を切り出して調製された糖ペプチドあるいはオリゴ糖であって、レクチンの結合特異性などの特性を解明することを目的として研究が行われたものであった(例えば、下記非特許文献3参照。)。
一方、糖質や糖タンパク質とレクチンとの相互作用は、細胞内外の情報を司り、細胞接着、細胞認識、炎症、感染、免疫、分化、癌等といった我々の生命現象に複雑かつ奥深く関わっていることから、レクチンに結合能を有する架橋性分子を新規な機能性素材や医薬品等として利用することが期待されている。
しかしながら、元来、レクチンに結合能を有する天然の糖ペプチドやオリゴ糖は微量な成分であって、抽出、精製により大量に得ることは困難であった。
このような問題に対して、例えば、下記非特許文献4では、レクチンとの相互作用について調べる目的で、非天然型で低分子の合成された糖質、すなわちマクロサイクリック環の外側に3つのマンノースを結合した合成糖質が、レクチンに対する3価のリガンドとして用いられている。
また、下記非特許文献5では、コンカナバリンA等との沈降作用について調べる目的で、糖と直鎖のスペーサーからなる単純な構造の配糖体数種類が用いられている。
また、本出願人らによる下記特許文献1には、オリゴ糖とスペーサーの直接反応によるただ一段階の反応により効率よく双頭型の配糖体を得る方法が開示されている。
更にまた、下記特許文献2には、糖残基を両端にもつ双頭型脂質及びその製造方法が開示されている。
Trends in Glycoscience and Glycotechnology, Vol. 9, No. 45 (1997) 155-165 Biochemistry, Vol. 40, No. 10 (2001) 3009-3015 Biochemistry, 27 (1988) 1034-1041 J. Am. Chem. Soc., 122 (2000) 4518-4519 J. Biol. Chem., 280 (2005) 8640-8646 特開2006−232779号公報
特開平9−143192号公報
Trends in Glycoscience and Glycotechnology, Vol. 9, No. 45 (1997) 155-165 Biochemistry, Vol. 40, No. 10 (2001) 3009-3015 Biochemistry, 27 (1988) 1034-1041 J. Am. Chem. Soc., 122 (2000) 4518-4519 J. Biol. Chem., 280 (2005) 8640-8646
しかしながら、上記非特許文献4に記載の合成糖質の調製のためには、原料の入手が困難であるうえ多段階の合成工程を要し、大量に合成することが困難であった。
また、上記非特許文献5に記載の双頭型配糖化合物は、糖の保護、脱保護の工程を含む多岐にわたるステップにより調製されたものであり実用レベルの利用は難しかった。
また、上記特許文献1に記載の方法は、キチンオリゴ糖を糖供与体として用いる酵素反応を利用するものであるため、酵素−基質特異性の面で多様な双頭型配糖化合物の調製に応用することができないという問題があった。
更にまた、上記特許文献2に記載の方法は、合成に多段階の工程を要するため実用的ではなかった。また、糖の水酸基の保護、脱保護にアセチル基の着脱を利用する方法であるので、配位糖の2位にアセチル基を有するN‐アセチルグルコサミン、ジ‐N‐アセチルキトビオース、N‐アセチルラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン等には応用できないと言う問題があった。
したがって、本発明の目的は、広範囲な用途に応用可能で、コストの面でも有利な双頭型配糖化合物の製造方法を提供することにある。また、レクチン等の糖鎖認識タンパク質を架橋、凝集、沈降させることができる新規な双頭型配糖化合物を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の第1は、アルドピラノース環を有する糖又は糖鎖のグリコシド性ヒドロキシル基を1級アミノ基に変換する工程と、前記工程で得られたアミノ糖の1級アミノ基と、下記一般式(I)で表される構造を有する化合物のカルボキシル基とを縮合させる工程を含むことを特徴とする下記一般式(II)で表される構造を有する双頭型配糖化合物の製造方法を提供するものである。
X1OC−(CH2)n−COX2 …(I)
(式(I)中のX1及びX2は、OH、Cl、Br、I、OCH3、及びOC2H5からなる群より選ばれた一種を表し、X1、X2は同一又は異なっていてもよい。式(I)中のnは1〜18の整数である。)
R1−NHCO−(CH2)n−CONH−R2 …(II)
(式(II)中のR1及びR2は、アルドピラノース環を有する糖又は糖鎖のグリコシド性ヒドロキシル基を除いた残基を表し、R1、R2は同一又は異なっていてもよい。式(II)中のnは1〜18の整数である。)
上記発明によれば、糖の水酸基の保護、脱保護工程を必要としない二段階の化学反応のみで、還元糖から効率よく安価に双頭型配糖化合物を製造することができる。また、上記一般式のRで示す部分に様々な糖又は糖鎖を配することが可能であり、目的とするレクチンに応じた糖又は糖鎖を選択することで、多くの用途への展開、利用が可能である。例えば、配位糖の2位にアセチル基を有するN‐アセチルグルコサミン、ジ‐N‐アセチルキトビオース、N‐アセチルラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン等にも適用できる。
(式(I)中のX1及びX2は、OH、Cl、Br、I、OCH3、及びOC2H5からなる群より選ばれた一種を表し、X1、X2は同一又は異なっていてもよい。式(I)中のnは1〜18の整数である。)
R1−NHCO−(CH2)n−CONH−R2 …(II)
(式(II)中のR1及びR2は、アルドピラノース環を有する糖又は糖鎖のグリコシド性ヒドロキシル基を除いた残基を表し、R1、R2は同一又は異なっていてもよい。式(II)中のnは1〜18の整数である。)
上記発明によれば、糖の水酸基の保護、脱保護工程を必要としない二段階の化学反応のみで、還元糖から効率よく安価に双頭型配糖化合物を製造することができる。また、上記一般式のRで示す部分に様々な糖又は糖鎖を配することが可能であり、目的とするレクチンに応じた糖又は糖鎖を選択することで、多くの用途への展開、利用が可能である。例えば、配位糖の2位にアセチル基を有するN‐アセチルグルコサミン、ジ‐N‐アセチルキトビオース、N‐アセチルラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン等にも適用できる。
本発明の双頭型配糖化合物の製造方法においては、前記アルドピラノース環を有する糖又は糖鎖が、N‐アセチルグルコサミン、ジ‐N‐アセチルキトビオース、N‐アセチルラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、ラクトース、及びフコースからなる群より選ばれた一種であることが好ましい。
本発明の第2は、下記一般式(III)で表される構造を有する双頭型配糖化合物を提供するものである。
R1−NHCO−(CH2)n−CONH−R2 …(III)
(式(III)中のR1及びR2は、N‐アセチルグルコサミン、ジ‐N‐アセチルキトビオース、N‐アセチルラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、ラクトース、及びフコースからなる群より選ばれた一種のグリコシド性ヒドロキシル基を除いた残基を表し、R1、R2は同一又は異なっていてもよい。式(III)中のnは1〜18の整数である。)
上記発明によれば、これらの化合物は構造明確な低分子量化合物であり、溶解性に優れた双頭型配糖化合物である。また、生体適合性も良く、他の成分との配合もしやすい。そして、これらの化合物は、レクチン等の糖鎖認識タンパク質と多価的に結合するので、これを架橋、凝集、又は沈降させることができる。
(式(III)中のR1及びR2は、N‐アセチルグルコサミン、ジ‐N‐アセチルキトビオース、N‐アセチルラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、ラクトース、及びフコースからなる群より選ばれた一種のグリコシド性ヒドロキシル基を除いた残基を表し、R1、R2は同一又は異なっていてもよい。式(III)中のnは1〜18の整数である。)
上記発明によれば、これらの化合物は構造明確な低分子量化合物であり、溶解性に優れた双頭型配糖化合物である。また、生体適合性も良く、他の成分との配合もしやすい。そして、これらの化合物は、レクチン等の糖鎖認識タンパク質と多価的に結合するので、これを架橋、凝集、又は沈降させることができる。
本発明の双頭型配糖化合物においては、前記R1が、それに結合するNH基に対してβ型に配位し、前記R2が、それに結合するNH基に対してβ型に配位していることが好ましい。また、前記式(III)中のnが、4以上であることが好ましい。
本発明の第3は、上記の双頭型配糖化合物を含有する糖鎖認識タンパク質結合剤を提供するものである。
上記発明によれば、有効成分である双頭型配糖化合物が、糖鎖認識タンパク質と多価的に結合するので、これを架橋、凝集、又は沈降させることができる。
本発明の糖鎖認識タンパク質結合剤は、レクチン、好ましく小麦胚芽レクチンに適用することができる。
本発明の双頭型配糖化合物の製造方法によれば、糖の水酸基の保護、脱保護工程を必要としない二段階の化学反応のみで、還元糖から効率よく安価に双頭型配糖化合物を製造することができる。また、様々な糖又は糖鎖を配することが可能であり、目的とする糖鎖認識タンパク質の特質に応じた糖又は糖鎖を選択することができるので、多くの用途への展開、利用が可能である。
また、本発明の双頭型配糖化合物によれば、レクチン等の糖鎖認識タンパク質と多価的に結合するので、これを架橋、凝集、又は沈降させることができる。
本発明の双頭型配糖化合物の製造方法は、メチレン基からなるスペーサー部分の両端に糖又は糖鎖が結合した二価の双頭型の配糖化合物を得る製造方法である。すなわち、アルドピラノース環を有する糖又は糖鎖のグリコシド性ヒドロキシル基を1級アミノ基に変換する工程と、前記工程で得られたアミノ糖の1級アミノ基と、下記一般式(I)で表される構造を有する化合物のカルボキシル基とを縮合させる工程を含むことを特徴とする下記一般式(II)で表される構造を有する双頭型配糖化合物の製造方法である。
X1OC−(CH2)n−COX2 …(I)
(式(I)中のX1及びX2は、OH、Cl、Br、I、OCH3、及びOC2H5からなる群より選ばれた一種を表し、X1、X2は同一又は異なっていてもよい。式(I)中のnは1〜18の整数である。)
R1−NHCO−(CH2)n−CONH−R2 …(II)
(式(II)中のR1及びR2は、アルドピラノース環を有する糖又は糖鎖のグリコシド性ヒドロキシル基を除いた残基を表し、R1、R2は同一又は異なっていてもよい。式(II)中のnは1〜18の整数である。)
上記アルドピラノース環を有する糖又は糖鎖としては、例えば、N-アセチルグルコサミン、ジ‐N-アセチルキトビオース、トリ‐N-アセチルキトトリオース、N-アセチルラクトサミン、ラクトース、ガラクトース、グルコース、フコース、N-アセチルガラクトサミン、グルコサミン塩酸塩、ガラクトサミン塩酸塩、シアル酸、およびそれらの硫酸化あるいはリン酸化糖やヒアルロン酸オリゴ糖、ケラタン硫酸オリゴ糖、コンドロイチン硫酸オリゴ糖、ヘパラン硫酸オリゴ糖などが挙げられる。また、上記スペーサー部分はメチレン基の両側にカルボン酸を有するジカルンボン酸を利用することができ、メチレンの数は1〜18のものを使用でき、4以上であることが好ましい。
(式(I)中のX1及びX2は、OH、Cl、Br、I、OCH3、及びOC2H5からなる群より選ばれた一種を表し、X1、X2は同一又は異なっていてもよい。式(I)中のnは1〜18の整数である。)
R1−NHCO−(CH2)n−CONH−R2 …(II)
(式(II)中のR1及びR2は、アルドピラノース環を有する糖又は糖鎖のグリコシド性ヒドロキシル基を除いた残基を表し、R1、R2は同一又は異なっていてもよい。式(II)中のnは1〜18の整数である。)
上記アルドピラノース環を有する糖又は糖鎖としては、例えば、N-アセチルグルコサミン、ジ‐N-アセチルキトビオース、トリ‐N-アセチルキトトリオース、N-アセチルラクトサミン、ラクトース、ガラクトース、グルコース、フコース、N-アセチルガラクトサミン、グルコサミン塩酸塩、ガラクトサミン塩酸塩、シアル酸、およびそれらの硫酸化あるいはリン酸化糖やヒアルロン酸オリゴ糖、ケラタン硫酸オリゴ糖、コンドロイチン硫酸オリゴ糖、ヘパラン硫酸オリゴ糖などが挙げられる。また、上記スペーサー部分はメチレン基の両側にカルボン酸を有するジカルンボン酸を利用することができ、メチレンの数は1〜18のものを使用でき、4以上であることが好ましい。
本発明の双頭型配糖化合物の製造方法は、アルドピラノース環を有する糖又は糖鎖のグリコシド性ヒドロキシル基を1級アミノ基に変換する工程を含む。この工程では、まず糖又は糖鎖に含まれる還元糖の1位水酸基(グリコシド性ヒドロキシル基)をアミノ基へと変換する。そのアミノ基への変換は、公知の方法に準じて行うことができる。例えば、非特許文献である Biochimica et Biophysica Acta, 1336 (1997) 117-122には、糖を飽和炭酸水素アンモニウム水溶液に溶解して、炭酸水素アンモニウムの飽和を維持しながら数日間反応させる方法が記載されており、その方法に準じて行うことができる。また、例えば、非特許文献である Methods in Enzymology, 363 (2003) 421-444やBioorganic & Medicinal Chemistry, 13 (2005) 1563-1571には、糖を飽和アンモニア‐メタノール溶液に溶解し数日間反応させる方法が記載されており、その方法に準じて行うことができる。
本発明の双頭型配糖化合物の製造方法は、上記工程で得られたアミノ糖の1級アミノ基と、上記一般式(I)で表される構造を有する化合物のカルボキシル基又はその活性化官能基とを縮合させる工程を含む。その縮合は、公知の方法に準じて1級アミノ基とカルボキシル基又はその活性化官能基とを反応させることにより行うことができる。この場合、カルボキシル基(‐COOH)を有するカルボキシル酸化合物を用いることができ、カルボキシル酸の酸塩化物、臭化物、ヨウ化物、酸無水物、エステルなどであって、カルボキシル基(‐COOH)が活性化されている活性化物を用いることもできる。カルボキシル酸化合物、又はその酸塩化物、臭化物、ヨウ化物、酸無水物、エステルなどは各種市販されているものを用いてもよく、又は公知の方法に準じてそれらを調製して用いることもできる。
縮合の際の溶媒は、様々なものを使用することができ、例えば、水、メタノール、エタノール、アセトン、DMF、DMSO、ピリジン、ジオキサン、THFなどを使用することができる。また、縮合剤は、例えばWSC、DCC、HBTU、HBTC、HOBt、DIPCDなどの一般的に使用されている縮合剤を適宜選択し使用することができる。反応温度は適宜設定すればよいが、通常0〜60℃で行うことができる。
上記本発明の製造方法によって得られた双頭型配糖化合物は、公知の方法に準じて、適宜、部分的に又は単一の物質にまで精製することができる。精製手段としては、例えば、活性炭、ODS、アミノ、シリカゲル、ゲル濾過、イオン交換などのクロマトグラフィーを好ましく例示することができる。
一方、本発明の双頭型配糖化合物は、下記一般式(III)で表される構造を有する双頭型配糖化合物である。
R1−NHCO−(CH2)n−CONH−R2 …(III)
(式(III)中のR1及びR2は、N‐アセチルグルコサミン、ジ‐N‐アセチルキトビオース、N‐アセチルラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、ラクトース、及びフコースからなる群より選ばれた一種のグリコシド性ヒドロキシル基を除いた残基を表し、R1、R2は同一又は異なっていてもよい。式(III)中のnは1〜18の整数である。)
本発明の双頭型配糖化合物は、上記本発明の製造方法において、アルドピラノース環を有する糖又は糖鎖として、N‐アセチルグルコサミン、ジ‐N‐アセチルキトビオース、N‐アセチルラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、ラクトース、又はフコースを用いることにより好ましく得ることができる。
(式(III)中のR1及びR2は、N‐アセチルグルコサミン、ジ‐N‐アセチルキトビオース、N‐アセチルラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、ラクトース、及びフコースからなる群より選ばれた一種のグリコシド性ヒドロキシル基を除いた残基を表し、R1、R2は同一又は異なっていてもよい。式(III)中のnは1〜18の整数である。)
本発明の双頭型配糖化合物は、上記本発明の製造方法において、アルドピラノース環を有する糖又は糖鎖として、N‐アセチルグルコサミン、ジ‐N‐アセチルキトビオース、N‐アセチルラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、ラクトース、又はフコースを用いることにより好ましく得ることができる。
本発明の双頭型配糖化合物は、上記本発明の製造方法以外の方法によっても得ることができるが、上記本発明の製造方法を用いるほうが、一般的な有機合成的手法を用いるよりもより効率がよく安価に製造することができるので、好ましい。
一方、本発明の糖鎖認識タンパク質結合剤は上記の双頭型配糖化合物を含有する。
本発明の第3は、糖鎖認識タンパク質結合剤を提供するものである。
上記発明によれば、上記の双頭型配糖化合物が、レクチン等の糖鎖認識タンパク質と多価的に結合するので、これを架橋、凝集、又は沈降させることができる。すなわち、その多価的な架橋状の結合により、溶解性が減少することから、レクチン等の糖鎖認識タンパク質が凝集、又は沈降する。これによれば、目的とする糖鎖認識タンパク質の検出等に利用することができる。また、上記の双頭型配糖化合物やレクチン等の糖鎖認識タンパク質の特性によっては、架橋されたものを溶液の状態に維持することもできる。その場合には、目的とする糖鎖認識タンパク質の溶液中の実効分子量が増大し、ゲル濾過などのカラム分離が改善されるので、糖結合蛋白質の精製等に利用することができる。
本発明の糖鎖認識タンパク質結合剤は、植物由来のレクチンばかりでなく、動物レクチンや真菌レクチン、細菌レクチン、ウイルスレクチンと多岐にわたるレクチンに適用することができる。具体的には、植物レクチンとして、スノードロップ、ラッパズイセン、イネ、コムギ、ダッチアイリス、ニンニク、セイヨウニワトコ、キクイモ、ヒロハヒルガオ、ツルレイシ、トウゴマ、スナバコノキ、カイガラサルビア、クラリーセージ、トウアズキ、ピーナッツ、ムラサキソシンカ、西アフリカマメ、タチナタマメ、ドリコスマメ、フジマメ、アメリカデイゴ、ダイズ、ヒゲレンリソウ、レンズマメ、ミヤコグサ、イヌエンジュ、イガマメ、リママメ、インゲンマメ、エンドウマメ、シケクマメ、ニセアカシア、エンジュ、ハリエニシダ、ソラマメ、ヤドリギ、ジャックフルーツ、アメリカハリグワ、バナナ、アメリカヤマゴボウ、ヨウシュチョウセンアサガオ、トマト、ジャガイモ、セイヨウイラクサなど、真菌レクチンとして、マッシュルーム、ヤナギマツタケ、ヒイロチャワンタケ、線虫捕食菌、灰色カビ病菌、ウシグソヒトヨタケ、ヤマブシタケ、シモフリヌメリガサ、ヤニタケ、アカモミタケ、チチタケ、シバフタケ、ベニサラタケ、タモギタケ、ヒラタケ、アミヒラタケ、ムジナタケ、リゾクトニア菌、白絹病菌、動物レクチンとしては、ガレクチン、エンドサイトーシスレクチン、コレクチン、レクチカン、セレクチン、マンノース6−リン酸レセプター、シグレック、ペントラキシン、カルネキシン、またカブトムシ、ザリガニ、クモ、カニなどの無脊椎動物のレクチン、また細菌レクチンとしては、アクチノマイセスナエスルンジ(Actinomyces naeslundii)、カンピロバクター ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、大腸菌、ヘモフィルス・インフルエンザ菌、ヘリコバクターピロリ菌、肺炎桿菌、マイコプラズマ肺炎菌、淋菌、髄膜炎菌、ネズミチフス菌、肺炎連鎖球菌、ストレプトコッカスサンギス(Streptococcus sanguis)、ストレプトコッカス スイス(Streptococcus suis)、ウイルスレクチンとしては、ウシウイルス、単純ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、ニューカッスル病ウイルス、センダイウイルス、ロタウイルス、パポーバウイルス、ピコルナウイルス、レトロウイルスなどが挙げられる。
本発明の糖鎖認識タンパク質結合剤を用いて架橋、凝集、又は沈殿を行う際に用いる溶媒としては、水や緩衝液などを使用することができ、緩衝液を用いた場合のpHは、適宜、目的とするレクチンにあわせて結合親和性の高いpHで行うことが好ましい。また、組織や細胞などの破砕処理液や抽出液に対してそのまま用いることもできる。温度は、対象とするレクチンの結合親和性の高い温度で行うことが好ましい。また配糖体とレクチンの最適なモル比は目的のレクチンによって異なるが、通常1000:1〜0.1:1程度が好ましい。
例えば、後述する実施例で示された、N‐アセチルグルコサミン(GlcNAc)二価配糖化合物とコムギ胚芽レクチン(コムギ胚芽凝集素;WGA)との架橋、凝集、又は沈降について説明すると以下のとおりである。
すなわち、PBSに溶解したコムギ胚芽レクチン(コムギ胚芽凝集素;WGA)と、PBSに溶解したN‐アセチルグルコサミン(GlcNAc)二価配糖化合物を、室温で混合すると、すぐさま白濁した沈降体が得られる。この際、添加するWGAの濃度は0.1〜1,000μMであることが好ましく、5〜300μMであることがより好ましい。また、配糖化合物の濃度は、好ましくは10〜100,000μMであり、より好ましくは100〜20,000μMであり、更により好ましくは160〜5,000μMである。コムギ胚芽レクチン(コムギ胚芽凝集素;WGA)の濃度は、その濃度が高いほど沈降体が形成しやすい傾向にある。温度は、0〜60℃で行うことが可能であるが、0〜室温程度がより好ましい。また、遠心分離によって上清を除くことにより沈降体を容易に回収することができる。
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
<実施例1> N-アセチルグルコサミン二価配糖化合物の合成
N-アセチルグルコサミン33.2gと炭酸水素アンモニウム11.9gを、飽和アンモニア−メタノール溶液300mLに添加して、密閉しながら40℃で4日間反応させた。析出してきた結晶をグラスフィルターG5で濾別し、少量のエタノールで洗浄した。その後、結晶をメタノールに全量溶解し、エバポレートによる濃縮、乾固を3回繰り返し、減圧乾燥後、白色結晶のN-アセチルグルコサミニルアミン20.6g(収率62%)を得た。
N-アセチルグルコサミン33.2gと炭酸水素アンモニウム11.9gを、飽和アンモニア−メタノール溶液300mLに添加して、密閉しながら40℃で4日間反応させた。析出してきた結晶をグラスフィルターG5で濾別し、少量のエタノールで洗浄した。その後、結晶をメタノールに全量溶解し、エバポレートによる濃縮、乾固を3回繰り返し、減圧乾燥後、白色結晶のN-アセチルグルコサミニルアミン20.6g(収率62%)を得た。
次に、得られたN-アセチルグルコサミニルアミン200mgをピリジン32mLに溶解し、氷冷しながらアジピン酸ジクロリド(ClOC−(CH2)4−COCl)60.2μLを滴下し、室温で2時間反応させた。反応液は、トルエンとともにピリジンを共沸し、水に溶解して、予め純水で平衡化したODSカラム(樹脂:山善製、φ2.4×50cm)に供し、流速5.0mL/min、純水で溶出した。10mLずつ試験管に採取し、UV210nmの吸収スペクトルおよび薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル:酢酸:メタノール:水=4:3:3:1、発色試薬;オルシノール硫酸)により各画分を分析し、画分32〜41本目を回収、濃縮し、凍結乾燥することで、N-アセチルグルコサミンの二価配糖化合物17.3mgを得た。
そして、得られた化合物の構造をFAB−MS、1H−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルにより確認した。図1には、その13C−NMRの測定スペクトルチャートを示す。また、各測定データは以下のとおりである。
・FAB-mass: m/z 551 [M + H]+
・1H NMR (D2O, 500 MHz): 5.07 (d, 2H, J1,2 9.75 Hz, H-1), 3.89 (dd, 2H, H-6b), 3.82 (t, 2H, H-2), 3.76 (dd, 2H, H-6a), 3.61 (t, 2H, H-3), 3.54-3.47 (4H, H-5, H-4), 2.29 (m, 4H, -CH2CH 2CONH-), 2.00 (s, 6H, CH 3CONH-), 1.55 (m, 4H, -CH 2CH2CONH-)
・13C NMR (D2O, 125MHz): δ 180.0 (-CH2CH2 CONH-), 177.4 (CH3 CONH-), 81.1 (C-1), 80.4 (C-5), 77.0 (C-3), 72.3 (C-4), 63.3 (C-6), 57.1 (C-2), 38.1 (-CH2 CH2CONH-), 27.2 (-CH2CH2CONH-), 24.8 (CH3CONH-)
・FAB-mass: m/z 551 [M + H]+
・1H NMR (D2O, 500 MHz): 5.07 (d, 2H, J1,2 9.75 Hz, H-1), 3.89 (dd, 2H, H-6b), 3.82 (t, 2H, H-2), 3.76 (dd, 2H, H-6a), 3.61 (t, 2H, H-3), 3.54-3.47 (4H, H-5, H-4), 2.29 (m, 4H, -CH2CH 2CONH-), 2.00 (s, 6H, CH 3CONH-), 1.55 (m, 4H, -CH 2CH2CONH-)
・13C NMR (D2O, 125MHz): δ 180.0 (-CH2CH2 CONH-), 177.4 (CH3 CONH-), 81.1 (C-1), 80.4 (C-5), 77.0 (C-3), 72.3 (C-4), 63.3 (C-6), 57.1 (C-2), 38.1 (-CH2 CH2CONH-), 27.2 (-CH2CH2CONH-), 24.8 (CH3CONH-)
<実施例2> N-アセチルラクトサミン二価配糖化合物の合成
N-アセチルラクトサミン1.0gと炭酸水素アンモニウム0.21gを、飽和アンモニア−メタノール溶液7.2mLに添加して、密閉しながら40℃で5日間反応させた。エタノール5mLを添加し、析出してきた結晶をグラスフィルターG5で濾別し、少量のエタノールで洗浄した。その後、結晶をメタノールに全量溶解し、エバポレートによる濃縮、乾固を3回繰り返し、減圧乾燥後、白色結晶のN-アセチルラクトサミニルアミン0.58g(収率58%)を得た。
N-アセチルラクトサミン1.0gと炭酸水素アンモニウム0.21gを、飽和アンモニア−メタノール溶液7.2mLに添加して、密閉しながら40℃で5日間反応させた。エタノール5mLを添加し、析出してきた結晶をグラスフィルターG5で濾別し、少量のエタノールで洗浄した。その後、結晶をメタノールに全量溶解し、エバポレートによる濃縮、乾固を3回繰り返し、減圧乾燥後、白色結晶のN-アセチルラクトサミニルアミン0.58g(収率58%)を得た。
次に、アジピン酸44mgとN,N‘-ジイロプロピルエチルアミン0.41ml、HBTU 198mgを0.25mlのDMSOに溶解し、1.24mlのDMSOに溶解したN−アセチルラクトサミニルアミン200mgと混合することで反応させた。3時間後に反応終了を薄層クロマトグラフィーにより確認した後、クロロホルム/メタノール/水=6/4/1の溶媒で平衡化したシリカゲルカラム(φ2.9×62cm)に供し、流速10.0ml/minで溶出し、目的物が含まれる画分を濃縮、回収し、凍結乾燥することで、N−アセチルラクトサミンの二価配糖体50.4mgを得た。
そして、得られた化合物の構造をFAB−MS、1H−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルにより確認した。図2には、その13C−NMRの測定スペクトルチャートを示す。また、各測定データは以下のとおりである。
・FAB-mass: m/z 875[M + H]+
・1H NMR (D2O, 500 MHz): 5.09 (d, 2H, J1,2 9.75 Hz, H-1), 4.49 (d, 2H, J1’,2’ 7.60 Hz, H-1’), 3.96-3.91 (4H, H-6b, H-4’), 3.88-3.83 (4H, H-6a, H-2), 3.79-3.72 (8H, H-6’, H-5, H-4, H-3), 3.70-3.64 (4H, H-5’, H-3’), 3.55 (t, 2H, H-2’), 2.29 (m, 4H, -CH2CH 2CONH-), 2.00 (s, 6H, CH 3CONH-), 1.55 (m, 4H, -CH 2CH2CONH-)
・13C NMR (D2O, 125MHz): δ 180.0 (-CH2CH2 CONH-), 177.4 (CH3 CONH-), 105.6 (C-1’), 81.0 (C-1), 80.6 (C-4), 79.3 (C-5’), 78.2 (C-5), 75.6 (C-3’), 75.3 (C-3), 73.8 (C-2’), 71.4 (C-4’), 63.9 (C-6’), 62.7 (C-6), 56.7 (C-2), 38.1 (-CH2 CH2CONH-), 27.2 (-CH2CH2CONH-), 24.8 (CH3CONH-)
・FAB-mass: m/z 875[M + H]+
・1H NMR (D2O, 500 MHz): 5.09 (d, 2H, J1,2 9.75 Hz, H-1), 4.49 (d, 2H, J1’,2’ 7.60 Hz, H-1’), 3.96-3.91 (4H, H-6b, H-4’), 3.88-3.83 (4H, H-6a, H-2), 3.79-3.72 (8H, H-6’, H-5, H-4, H-3), 3.70-3.64 (4H, H-5’, H-3’), 3.55 (t, 2H, H-2’), 2.29 (m, 4H, -CH2CH 2CONH-), 2.00 (s, 6H, CH 3CONH-), 1.55 (m, 4H, -CH 2CH2CONH-)
・13C NMR (D2O, 125MHz): δ 180.0 (-CH2CH2 CONH-), 177.4 (CH3 CONH-), 105.6 (C-1’), 81.0 (C-1), 80.6 (C-4), 79.3 (C-5’), 78.2 (C-5), 75.6 (C-3’), 75.3 (C-3), 73.8 (C-2’), 71.4 (C-4’), 63.9 (C-6’), 62.7 (C-6), 56.7 (C-2), 38.1 (-CH2 CH2CONH-), 27.2 (-CH2CH2CONH-), 24.8 (CH3CONH-)
<実施例3> ジ-N−アセチルキトビオース二価配糖化合物の合成
製造例2のN‐アセチルラクトサミンの代わりにジ-N−アセチルキトビオースを用いて同様の反応により、ジ-N−アセチルキトビオースの二価配糖化合物41.3mgを得た。
製造例2のN‐アセチルラクトサミンの代わりにジ-N−アセチルキトビオースを用いて同様の反応により、ジ-N−アセチルキトビオースの二価配糖化合物41.3mgを得た。
そして、得られた化合物の構造をFAB−MS、及び1H−NMRスペクトルにより確認した。各測定データは以下のとおりである。
・FAB-mass: m/z 957[M + H]+
・1H NMR (D2O, 270 MHz):4.90 (d, 2H, J1,2 9.45 Hz, H-1), 4.45 (d, 2H, J1’,2’8.64 Hz, H-1’), 3.85-3.28 (24H), 2.12 (m, 4H, -CH2CH 2CONH-), 1.91 (s, 6H, CH 3CONH-), 1.84 (s, 6H, CH 3CONH-), 1.38 (m, 4H, -CH 2CH2CONH-)
・FAB-mass: m/z 957[M + H]+
・1H NMR (D2O, 270 MHz):4.90 (d, 2H, J1,2 9.45 Hz, H-1), 4.45 (d, 2H, J1’,2’8.64 Hz, H-1’), 3.85-3.28 (24H), 2.12 (m, 4H, -CH2CH 2CONH-), 1.91 (s, 6H, CH 3CONH-), 1.84 (s, 6H, CH 3CONH-), 1.38 (m, 4H, -CH 2CH2CONH-)
<実施例4> ガラクトース二価配糖化合物の合成
ガラクトース9.0gと酢酸570μL、水2mL、酢酸アンモニウム少量を、飽和アンモニア−メタノール溶液40mLに添加して、密閉しながら37℃で4日間反応させた。エタノール60mLを添加し、析出してきた結晶をグラスフィルターG5で濾別し、少量のエタノール、エーテルで洗浄した後、減圧乾燥することで、白色結晶のガラクトシルアミン8.12g(収率90.2%)を得た。
ガラクトース9.0gと酢酸570μL、水2mL、酢酸アンモニウム少量を、飽和アンモニア−メタノール溶液40mLに添加して、密閉しながら37℃で4日間反応させた。エタノール60mLを添加し、析出してきた結晶をグラスフィルターG5で濾別し、少量のエタノール、エーテルで洗浄した後、減圧乾燥することで、白色結晶のガラクトシルアミン8.12g(収率90.2%)を得た。
次に、アジピン酸(HOOC−(CH2)4−COOH)92mgとN,N’-ジイロプロピルエチルアミン0.869mL、HBTU421mgを0.25mLのDMSOに溶解し、1.5mLのDMSOに溶解したガラクトシルアミン200mgと混合することで反応させた。3時間後に反応終了を薄層クロマトグラフィーにより確認した後、クロロホルム/メタノール/水=6/4/1の溶媒で平衡化したシリカゲルカラム(φ2.4×50cm)に供し、流速10.0mL/minで溶出し、目的物が含まれる画分を濃縮、回収し、凍結乾燥することで、ガラクトースの二価配糖化合物34mgを得た。
そして、得られた化合物の構造をFAB−MS、及び1H−NMRスペクトルにより確認した。各測定データは以下のとおりである。
・FAB-mass: m/z 469[M + H]+
・1H NMR (D2O, 270 MHz):4.63 (d, 2H, J1,2 8.91 Hz, H-1),
4.63 (d, 2H, J1,2 8.91 Hz, H-1), 3.71-3.31 (12H), 2.09 (m, 4H, -CH2CH 2CONH-), 1.38 (m, 4H, -CH 2CH2CONH-)
・FAB-mass: m/z 469[M + H]+
・1H NMR (D2O, 270 MHz):4.63 (d, 2H, J1,2 8.91 Hz, H-1),
4.63 (d, 2H, J1,2 8.91 Hz, H-1), 3.71-3.31 (12H), 2.09 (m, 4H, -CH2CH 2CONH-), 1.38 (m, 4H, -CH 2CH2CONH-)
<実施例5> コムギ胚芽レクチン(コムギ胚芽凝集素;WGA)との沈降反応
実施例1で得たN-アセチルグルコサミン二価配糖化合物を用いて、コムギ胚芽レクチン(コムギ胚芽凝集素;WGA)との沈降反応を行った。
実施例1で得たN-アセチルグルコサミン二価配糖化合物を用いて、コムギ胚芽レクチン(コムギ胚芽凝集素;WGA)との沈降反応を行った。
96ウェルプレート上にて、PBSに溶解した終濃度0.025〜12.8mMの前記配糖化合物溶液と16〜128μMの小麦胚芽レクチン(WGA)溶液、各20μLを混合し、室温で一時間静置後、目視で沈降を観察した(図3)。また、各ウェルの吸光度620nmにより濁度を測定した(図4)。
その結果、図3に示すように、N-アセチルグルコサミン二価配糖化合物と小麦胚芽レクチン(WGA)とからなる沈降体が観察された。また、図4に示すように、それらを濁度として測定することができた。したがって、前記配糖化合物濃度は、400−6400μMの濃度範囲で、小麦胚芽レクチン(WGA)との沈降体形成能を有し、小麦胚芽レクチン(WGA)と結合して架橋、沈殿、又は凝集させるための糖鎖認識タンパク質結合剤として利用可能であることが示された。
本発明の双頭型配糖化合物の製造方法で得られる双頭型配糖化合物は、レクチン等の糖鎖認識タンパク質に結合し、架橋複合体を形成させることができ、凝集及び/又は沈降させることができる。したがって、組織や細胞などの破砕液や抽出液などの粗液からの糖鎖認識タンパク質の単離、有害性レクチンの無毒化、医薬品、化粧品、食品、農薬など様々な分野で応用可能である。
Claims (8)
- アルドピラノース環を有する糖又は糖鎖のグリコシド性ヒドロキシル基を1級アミノ基に変換する工程と、前記工程で得られたアミノ糖の1級アミノ基と、下記一般式(I)で表される構造を有する化合物のカルボキシル基又はその活性化官能基とを縮合させる工程を含むことを特徴とする下記一般式(II)で表される構造を有する双頭型配糖化合物の製造方法。
X1OC−(CH2)n−COX2 …(I)
(式(I)中のX1及びX2は、OH、Cl、Br、I、OCH3、及びOC2H5からなる群より選ばれた一種を表し、X1、X2は同一又は異なっていてもよい。式(I)中のnは1〜18の整数である。)
R1−NHCO−(CH2)n−CONH−R2 …(II)
(式(II)中のR1及びR2は、アルドピラノース環を有する糖又は糖鎖のグリコシド性ヒドロキシル基を除いた残基を表し、R1、R2は同一又は異なっていてもよい。式(II)中のnは1〜18の整数である。) - 前記アルドピラノース環を有する糖又は糖鎖が、N‐アセチルグルコサミン、ジ‐N‐アセチルキトビオース、N‐アセチルラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、ラクトース、及びフコースからなる群より選ばれた一種である請求項1記載の双頭型配糖化合物の製造方法。
- 下記一般式(III)で表される構造を有する双頭型配糖化合物。
R1−NHCO−(CH2)n−CONH−R2 …(III)
(式(III)中のR1及びR2は、N‐アセチルグルコサミン、ジ‐N‐アセチルキトビオース、N‐アセチルラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、ラクトース、及びフコースからなる群より選ばれた一種のグリコシド性ヒドロキシル基を除いた残基を表し、R1、R2は同一又は異なっていてもよい。式(III)中のnは1〜18の整数である。) - 前記R1が、それに結合するNH基に対してβ型に配位し、前記R2が、それに結合するNH基に対してβ型に配位している請求項3記載の双頭型配糖化合物。
- 前記式(III)中のnが、4以上である請求項3又は4記載の双頭型配糖化合物。
- 請求項3〜5記載の双頭型配糖化合物を含有する糖鎖認識タンパク質結合剤。
- レクチンに用いる請求項6記載の糖鎖認識タンパク質結合剤。
- 小麦胚芽レクチンに用いる請求項6記載の糖鎖認識タンパク質結合剤。
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