JP2692448B2 - 誘電体磁器組成物 - Google Patents
誘電体磁器組成物Info
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Description
し、特に、温度補償用磁器コンデンサに用いるのに好適
な誘電体磁器組成物に関する。
は、MgTiO3 −CaTiO3 系等の誘電体磁器組成
物が用いられてきた。しかしながら、これらの誘電体磁
器組成物は、その焼成温度が約1300℃とかなり高か
った。また、これらの誘電体磁器組成物は、還元雰囲気
中で焼成されると半導体化し絶縁抵抗が低下するため、
非還元性雰囲気下で焼成する必要があった。従って、温
度補償用積層磁器コンデンサを製造する場合、内部電極
材料としては、高融点であり、かつ酸化し難い高価なパ
ラジウムを用いる必要があり、その結果、コストが高く
つくという問題があった。また、パラジウムは、比較的
比抵抗が高いため、高周波特性、特にQ値が低下すると
いう問題もあった。
(Ba2-x Cax O2 )k ・Nb2 O5 、(Sr2-x C
ax O2 )k ・Nb2 O5 または(Ba2-x Sr
x O2 )k ・Nb2 O5 からなる基本成分と、Li
2 O、SiO2 、BaO、MgO、ZnO、SrOまた
はCaO等の添加成分とからなる誘電体磁器組成物が提
案されている(特開平2−34548号、特開平2−3
4549号、特開平2−34550号、特開平2−34
551号、特開平2−34552号、特開平2−345
53号等)。上述した先行技術の誘電体磁器組成物は、
上記のような基本成分及び添加成分を含むため、非酸化
性雰囲気中で1200℃以下の温度で焼成することがで
き、従ってニッケル等の卑金属を内部電極として用いる
ことにより、積層コンデンサのコストを低減することが
可能とされている。
行技術の誘電体磁器組成物を用いた場合においても、良
好なQ値を有する磁器を得ることは難しく、また、ニッ
ケル等の磁性金属を内部電極に用いた場合には、その表
皮効果により、100MHzを超える高周波域では抵抗
成分が高くなり、コンデンサとしてのQ値がさらに低下
するという問題があった。他方、Cuは、非磁性体であ
り、比抵抗が低くかつ安価な電極材料であり、電極材料
としては非常に好ましいものである。しかしながら、C
uは融点がニッケルよりさらに低いため、1060℃以
下で焼成し得る誘電体磁器組成物を用いる必要がある
が、上記先行技術に記載の誘電体磁器組成物は、このよ
うな低温域で焼成することができず、従ってCuを内部
電極材料として用いることができなかった。
に、1060℃以下で焼成することができ、しかもQ値
の高い磁器を得ることができる誘電体磁器組成物を提供
することにある。
器組成物は、(Mgx A1-x )B2 O6 を主成分とし、
前記主成分100重量部に対し、添加剤3〜50重量部
を配合してなり、前記主成分において、Aが、Sr、C
a及びBaのうち少なくとも1種、BがNb及びTaの
うち少なくとも1種であり、xが0.03≦x≦1の範
囲にあり、上記添加剤が、B2 O3 、SiO2 及びLi
2 Oのうち少なくとも1種を含むことを特徴とする誘電
体磁器組成物である。
に用いられる主成分は、(Mgx A 1-x )B2 O6 であ
るが、この主成分において、xを0.03≦x≦1の範
囲としたのは、xが0.03未満では得られた磁器のQ
値が十分な値とならないからであり、モル比で合計1を
超えると焼結不足になるからである。また、本発明の誘
電体磁器組成物では、上記主成分100重量部に対し、
上記特定の添加剤が3〜50重量部の割合で配合されて
いる。これは、添加剤の配合量が3重量部未満では、焼
成温度が1100℃以上となるからであり、他方、添加
剤の添加量が50重量部を超えると、比誘電率ε及びQ
値の低下が生じるからである。
定の添加剤が上記特定の割合で配合されているため、1
060℃以下で焼成することでき、しかも良好なQ値を
有する磁器を得ることを可能とする誘電体磁器組成物を
提供することができる。
明することにより、本発明を明らかにする。まず、主成
分を構成する原料として、MgCO3 、SrCO3 、B
aCO3 、CaCO3 、Nb2 O5 及びTa2 O5 の各
粉末を用意した。次に、これらの原料を用い、下記の表
1に試料番号1〜17で示す組み合わせとなるように各
原料を秤量し、ボールミルで16時間湿式混合した後、
蒸発乾燥し、空気中で1150℃で2時間仮焼・粉砕す
ることにより、試料番号1〜17の各主成分の仮焼粉末
を得た。他方、添加剤を構成する原料として、H3 BO
3 、SiO2 、Li2 CO3 、BaCO3 ZnO、Cu
O、MnO及びCaCO3 を用意した。次に、これらの
添加剤原料を秤量し、ボールミルで16時間湿式混合し
た後、蒸発乾燥し、1000℃で溶融し、湿式粉砕し、
さらに乾燥することにより下記の表2に示す3種類の添
加剤、A、B及びCを、それぞれ得た。
分の仮焼粉末100重量部と、表1に示す量の添加剤
A、BまたはCと、200重量部の純水及び5重量%の
酢酸ビニル樹脂とを、ボールミルにより16時間湿式混
合した後、蒸発乾燥し、整粒することにより顆粒状の粉
末を得た。しかる後、得られた顆粒状の各粉末を、乾燥
プレス機により2トン/cm2 の圧力で加圧することに
より、直径22mm及び厚さ1.0mmの円板状に成形
された成形物を得た。次に、得られた各成形物を空気中
で400℃で3時間加熱することによりバインダを除去
し、N2 −H2 (0.1容量%)ガス雰囲気下において
2時間焼成することにより、試料番号1〜17の焼結体
を得た。さらに、各焼結体の両主面に、In−Gaペー
ストを塗布することにより電極を形成し、試料1〜17
を得た。
き、下記の(1)〜(6)で示す特性を以下の要領で測
定した。結果を、下記の表3に示す。 (1)比誘電率ε:1MHz、1Vrms、25℃の条
件下で測定した。 (2)Q値:1MHz、1Vrms、25℃の条件下で
測定した。 (3)低温側の静電容量の温度係数Tcc(ppm/
℃):25℃での静電容量C1 を基準として、該C
1 と、−55℃での静電容量C2 とから次式によって
算出した。 低温側の静電容量の温度係数(ppm/℃) ={(C2 −C1 )×106 }/{C1 ×(−55−25)}…
(ppm/℃):25℃での静電容量C1 を基準とし
て、該C1 と、125℃での静電容量C3 とから次式
によって算出した。 高温側の静電容量の温度係数(ppm/℃) ={(C3 −C1 )×106 }/{C1 ×(125−25)}… (5)温度変化による静電容量の変化率(%):試料の
温度を25℃→−55℃→125℃→25℃に変化させ
た場合の最初の25℃における静電容量CAに対する最
後の25℃における静電容量CB の変化率を求め、温度
変化による静電容量の変化率とした。 (6)比抵抗:25℃で100Vの直流電圧を1分間印
加して電流値を測定し、該電流値に基づいて算出した。
添加剤の配合割合及び種類を同一とし、主成分の組成に
おいてxの値を1から0.02まで変化させた試料であ
る。表3から明らかなように、この試料1〜7のうち、
xが本発明の範囲外である試料7では、Q値が2300
とかなり低いのに対し、試料1〜6の磁器ではいずれも
Q値が3100以上と高いことがわかる。従って、xは
0.03以上であることが必要であることがわかる。ま
た、試料8〜13は、主成分として(Mgx Sr1-x )
Nb2 O6 を、添加剤として添加剤Bを用い、上記xの
値及び添加剤Bの配合割合を変化させた例である。表3
から明らかなように、試料8では1100℃の温度で焼
成しても焼結が不十分であった。これは、添加剤Bの配
合量が1重量部と少なく、本発明の範囲外であることに
よるものと考えられる。これに対して、添加剤の配合割
合が3重量部以上である試料9〜13では、いずれも1
060℃以下の温度で十分に焼結が進行していることが
わかる。
が60重量部と本発明の範囲を超えているため、Q値が
1600と非常に低かった。従って、添加剤の配合量は
50重量部以下とすることが必要であることがわかる。
試料14〜17は、上記xの値及び添加剤の配合割合は
本発明の範囲内とし、主成分の構成を変え、添加剤とし
て添加剤Cを用いた例を示す。本発明の範囲内にある試
料番号14〜17では、いずれも焼成温度1030℃で
十分に焼結が進行し、しかもQ値が3000以上と高く
なっていることがわかる。よって、上記試料1〜17の
うち、本発明の実施例にあたる試料番号1〜6、試料9
〜12及び試料14〜17では、1060℃以下の温度
で焼成することができ、しかもQ値の高い磁器を得るこ
とができる誘電体磁器組成物であることがわかる。
主成分に対し上記特定の添加剤が上記特定の割合で配合
されているため、1060℃以下の低温で焼成すること
ができる誘電体磁器組成物を提供し得る。1060℃以
下の低温で焼成し得るため、積層コンデンサを得るのに
上記誘電体磁器組成物を用いれば、銅を内部電極として
採用することができる。従って、積層コンデンサのコス
トを低減することができ、比抵抗が低く、非磁性体であ
る銅を内部電極材料として利用することにより、高周波
特性に優れた積層コンデンサを得ることができる。
60℃以下の低温で焼成することにより得られた磁器
は、良好なQ値を有する。従って、Q値が高く、高周波
特性に優れた磁器コンデンサを得ることができる。な
お、本発明の誘電体磁器組成物は、内部電極材として銅
を利用した積層磁器コンデンサの製造に好適に用いられ
るものであるが、積層コンデンサ以外の他の磁器コンデ
ンサにも用いることができ、その場合であっても、Q値
の高い、高周波特性に優れた磁器コンデンサを提供する
ことができる。
Claims (1)
- 【請求項1】 (Mgx A1-x )B2 O6 を主成分と
し、前記主成分100重量部に対して、添加剤を3〜5
0重量部配合してなり、 前記主成分において、Aが、Sr、Ca及びBaのうち
少なくとも1種、BがNb及びTaのうち少なくとも1
種、Xが0.03≦x≦1の範囲にあり、 前記添加剤が、B2 O3 、SiO2 及びLiO2 のうち
少なくとも1種である、誘電体磁器組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3252660A JP2692448B2 (ja) | 1991-10-01 | 1991-10-01 | 誘電体磁器組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3252660A JP2692448B2 (ja) | 1991-10-01 | 1991-10-01 | 誘電体磁器組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0585804A JPH0585804A (ja) | 1993-04-06 |
JP2692448B2 true JP2692448B2 (ja) | 1997-12-17 |
Family
ID=17240453
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3252660A Expired - Lifetime JP2692448B2 (ja) | 1991-10-01 | 1991-10-01 | 誘電体磁器組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2692448B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE4436392C2 (de) * | 1994-10-12 | 2002-10-31 | Fraunhofer Ges Forschung | Metallniobate und/oder Tantalate, Verfahren zu ihrer Herstellung sowie deren Weiterverarbeitung zu Perowskiten |
JP5087938B2 (ja) * | 2007-02-01 | 2012-12-05 | 株式会社村田製作所 | 誘電体セラミック組成物及び積層セラミックコンデンサ |
-
1991
- 1991-10-01 JP JP3252660A patent/JP2692448B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0585804A (ja) | 1993-04-06 |
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