JP2822720B2 - 誘電体磁器組成物 - Google Patents

誘電体磁器組成物

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JP2822720B2 JP3252662A JP25266291A JP2822720B2 JP 2822720 B2 JP2822720 B2 JP 2822720B2 JP 3252662 A JP3252662 A JP 3252662A JP 25266291 A JP25266291 A JP 25266291A JP 2822720 B2 JP2822720 B2 JP 2822720B2
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康行 内藤
慎一 大久保
昌幸 山田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、誘電体磁器組成物に関
し、特に、温度補償用磁器コンデンサに用いるのに好適
な誘電体磁器組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、温度補償用積層磁器コンデンサで
は、MgTiO3 −CaTiO3 系等の誘電体磁器組成
物が用いられてきた。しかしながら、これらの誘電体磁
器組成物は、その焼成温度が約1300℃とかなり高か
った。また、これらの誘電体磁器組成物は、還元雰囲気
中で焼成されると半導体化し絶縁抵抗が低下するため、
非還元性雰囲気下で焼成する必要があった。従って、温
度補償用積層磁器コンデンサを製造する場合、内部電極
材料としては、高融点であり、かつ酸化し難い高価なパ
ラジウムを用いる必要があり、その結果、コストが高く
つくという問題があった。また、パラジウムは、比較的
比抵抗が高いため、高周波特性、特にQ値が低下すると
いう問題もあった。
【0003】上記のような問題を解決するものとして、
(Ba2-x Cax 2 k ・Nb2 5 、(Sr2-x
x 2 k ・Nb2 5 または(Ba2-x Sr
x 2 k ・Nb2 5 からなる基本成分と、Li
2 O、SiO2 、BaO、MgO、ZnO、SrOまた
はCaO等の添加成分とからなる誘電体磁器組成物が提
案されている(特開平2−34548号、特開平2−3
4549号、特開平2−34550号、特開平2−34
551号、特開平2−34552号、特開平2−345
53号等)。上述した先行技術の誘電体磁器組成物は、
上記のような基本成分及び添加成分を含むため、非酸化
性雰囲気中で1200℃以下の温度で焼成することがで
き、従ってニッケル等の卑金属を内部電極として用いる
ことにより、積層コンデンサのコストを低減することが
可能とされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記先
行技術の誘電体磁器組成物を用いた場合においても、良
好なQ値を有する磁器を得ることは難しく、また、ニッ
ケル等の磁性金属を内部電極に用いた場合には、その表
皮効果により、100MHzを超える高周波域では抵抗
成分が高くなり、コンデンサとしてのQ値がさらに低下
するという問題があった。他方、Cuは、非磁性体であ
り、比抵抗が低くかつ安価な電極材料であり、電極材料
としては非常に好ましいものである。しかしながら、C
uは融点がニッケルよりさらに低いため、1060℃以
下で焼成し得る誘電体磁器組成物を用いる必要がある
が、上記先行技術に記載の誘電体磁器組成物は、このよ
うな低温域で焼成することができず、従ってCuを内部
電極材料として用いることができなかった。
【0005】よって、本発明の目的は、より低温で、特
に、1060℃以下で焼成することができ、しかもQ値
の高い磁器を得ることができる誘電体磁器組成物を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる誘電体磁
器組成物は、A(B1-x Zrx 2 6 を主成分とし、
前記主成分100重量部に対し、添加剤3〜50重量部
を配合してなり、前記主成分において、Aが、Sr、C
a、Mg及びBaのうち少なくとも1種、BがNb及び
Taのうち少なくとも1種であり、xがx≦0.3の範
囲にあり、上記添加剤が、B2 3 、SiO2 及びLi
2 Oのうち少なくとも1種を含むことを特徴とする誘電
体磁器組成物である。
【0007】上記のように、本発明の誘電体磁器組成物
に用いられる主成分は、A(B1-x Zrx 2 6 であ
るが、この主成分において、xをx≦0.3の範囲とし
たのは、xが0.3を超えると、焼成温度が1100℃
以上と高くなるからである。また、本発明の誘電体磁器
組成物では、上記主成分100重量部に対し、上記特定
の添加剤が3〜50重量部の割合で配合されている。こ
れは、添加剤の配合量が3重量部未満では、焼成温度が
1100℃以上となるからであり、他方、添加剤の添加
量が50重量部を超えると、比誘電率ε及びQ値の低下
が生じるからである。
【0008】
【作用】本発明では、上記特定の主成分に対し、上記特
定の添加剤が上記特定の割合で配合されているため、1
060℃以下で焼成することでき、しかも良好なQ値を
有する磁器を得ることを可能とする誘電体磁器組成物を
提供することができる。
【0009】
【実施例の説明】以下、本発明の非限定的な実施例を説
明することにより、本発明を明らかにする。まず、主成
分を構成する原料として、SrCO3 、MgCO3 、C
aCO3 、BaCO3 、Nb2 5 及びTa2 5 の各
粉末を用意した。次に、これらの原料を用い、下記の表
1に試料番号1〜16で示す組み合わせとなるように各
原料を秤量し、ボールミルで16時間湿式混合した後、
蒸発乾燥し、空気中で1150℃で2時間仮焼・粉砕す
ることにより、試料番号1〜16の各主成分の仮焼粉末
を得た。他方、添加剤を構成する原料として、H3 BO
3 、SiO2 、Li2 CO3 、BaCO3 、ZnO、C
uO、MnO及びCaCO3を用意した。次に、これら
の添加剤原料を秤量し、ボールミルで16時間湿式混合
した後、蒸発乾燥し、1000℃で溶融し、湿式粉砕
し、さらに乾燥することにより下記の表2に示す3種類
の添加剤、P、Q及びRを、それぞれ得た。
【0010】次に、表1に示す試料番号1〜16の主成
分の仮焼粉末100重量部と、表1に示す量の添加剤
P、QまたはRと、200重量部の純水及び5重量%の
酢酸ビニル樹脂とを、ボールミルにより16時間湿式混
合した後、蒸発乾燥し、整粒することにより顆粒状の粉
末を得た。しかる後、得られた顆粒状の各粉末を、乾燥
プレス機により2トン/cm2 の圧力で加圧することに
より、直径22mm及び厚さ1.0mmの円板状に成形
された成形物を得た。次に、得られた各成形物を空気中
で400℃で3時間加熱することによりバインダを除去
し、N2 −H2 (0.1容量%)ガス雰囲気下において
2時間焼成することにより、試料番号1〜16の焼結体
を得た。さらに、各焼結体の両主面に、In−Gaペー
ストを塗布することにより電極を形成し、試料1〜16
を得た。
【0011】上記のようにして得た試料1〜16につ
き、下記の(1)〜(6)で示す特性を以下の要領で測
定した。結果を、下記の表3に示す。 (1)比誘電率ε:1MHz、1Vrms、25℃の条
件下で測定した。 (2)Q値:1MHz、1Vrms、25℃の条件下で
測定した。 (3)低温側の静電容量の温度係数Tcc(ppm/
℃):25℃での静電容量C1 を基準として、該C
1 と、−55℃での静電容量C2 とから次式によって
算出した。 低温側の静電容量の温度係数(ppm/℃) ={(C2 −C1 )×106 }/{C1 ×(−55−25)}…
【0012】(4)高温側の静電容量の温度係数Tcc
(ppm/℃):25℃での静電容量C1 を基準とし
て、該C1 と、125℃での静電容量C3 とから次式
によって算出した。 高温側の静電容量の温度係数(ppm/℃) ={(C3 −C1 )×106 }/{C1 ×(125−25)}… (5)温度変化による静電容量の変化率(%):試料の
温度を25℃→−55℃→125℃→25℃に変化させ
た場合の最初の25℃における静電容量CAに対する最
後の25℃における静電容量CB の変化率を求め、温度
変化による静電容量の変化率とした。 (6)比抵抗:25℃で100Vの直流電圧を1分間印
加して電流値を測定し、該電流値に基づいて算出した。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
【表3】
【0016】表1から明らかなように、試料1〜5は、
添加剤の配合割合及び種類を同一とし、主成分の組成に
おいてxの値を0.4から0まで変化させた試料であ
る。表3から明らかなように、この試料1〜5のうち、
xが本発明の範囲外である試料1では、焼結不十分であ
ったのに対し、試料2〜5ではいずれも1060℃以下
で焼結し得たことがわかる。従って、xは0.3未満で
あることが必要であることがわかる。また、試料6〜1
1は、主成分としてSr(Nb0.9 Zr0.1 2
6 を、添加剤として添加剤Qを用い、上記添加剤Qの配
合割合を変化させた例である。表3から明らかなよう
に、試料6では1100℃の温度で焼成しても焼結が不
十分であった。これは、添加剤Qの配合量が1重量部と
少なく、本発明の範囲外であることによる。これに対し
て、添加剤の配合割合が3重量部以上である試料7〜1
1では、いずれも1060℃以下の温度で十分に焼結が
進行していることがわかる。
【0017】また、試料11では、添加剤Qの配合割合
が60重量部と本発明の範囲を超えているため、Q値が
600と非常に低かった。従って、添加剤の配合量は5
0重量部以下とすることが必要であることがわかる。試
料12〜16は、上記xの値を0.1とし、及び添加剤
として添加剤Rを10重量部配合し、主成分の構成元素
を変えた例を示す。本発明の範囲内にある試料番号12
〜16では、いずれも焼成温度1030℃以下で十分に
焼結が進行し、しかもQ値が2000以上と高くなって
いることがわかる。よって、上記試料1〜16のうち、
本発明の実施例にあたる試料番号2〜5、試料7〜10
及び試料12〜16は、1060℃以下の温度で焼成す
ることができ、しかもQ値の高い磁器を得ることができ
る誘電体磁器組成物であることがわかる。
【0018】
【発明の効果】以上のように、本発明では、上記特定の
主成分に対し上記特定の添加剤が上記特定の割合で配合
されているため、1060℃以下の低温で焼成すること
ができる誘電体磁器組成物を提供し得る。1060℃以
下の低温で焼成し得るため、積層コンデンサを得るのに
上記誘電体磁器組成物を用いれば、銅を内部電極として
採用することができる。従って、積層コンデンサのコス
トを低減することができ、比抵抗が低く、非磁性体であ
る銅を内部電極材料として利用することにより、高周波
特性に優れた積層コンデンサを得ることができる。しか
も、本発明の誘電体磁器組成物を1060℃以下の低温
で焼成することにより得られた磁器は、良好なQ値を有
する。従って、Q値が高く、高周波特性に優れた磁器コ
ンデンサを得ることができる。なお、本発明の誘電体磁
器組成物は、内部電極材として銅を利用した積層磁器コ
ンデンサの製造に好適に用いられるものであるが、積層
コンデンサ以外の他の磁器コンデンサにも用いることが
でき、その場合であっても、Q値の高い、高周波特性に
優れた磁器コンデンサを提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森本 正士 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株 式会社村田製作所内 (56)参考文献 特開 昭47−43517(JP,A) 特開 平1−204305(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 35/00 - 35/22 C04B 35/42 - 35/495 C04B 35/622 - 35/628 C04B 35/547 C04B 35/553 H01B 3/00 - 3/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 A(B1-x Zrx 2 6 を主成分と
    し、前記主成分100重量部に対して、添加剤を3〜5
    0重量部配合してなり、 前記主成分において、Aが、Sr、Ca、Mg及びBa
    のうち少なくとも1種、BがNb及びTaのうち少なく
    とも1種、Xがx≦0.3の範囲にあり、 前記添加剤が、B2 3 、SiO2 及びLiO2 のうち
    少なくとも1種である、誘電体磁器組成物。
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