JP2692200B2 - ポリフェニレンスルフィド組成物 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド組成物

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JP2692200B2 JP63296994A JP29699488A JP2692200B2 JP 2692200 B2 JP2692200 B2 JP 2692200B2 JP 63296994 A JP63296994 A JP 63296994A JP 29699488 A JP29699488 A JP 29699488A JP 2692200 B2 JP2692200 B2 JP 2692200B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は溶融状態からの結晶化速度が速く、しかも耐
熱性、耐衝撃性を保持したポリフェニレンスルフィド組
成物に関する。
<従来の技術> ポリフェニレンスルフィドは耐熱性、耐薬品性、難燃
性、電気特性などにすぐれた結晶性エンジニアリングプ
ラスチックとして電気部品、自動車部品などの用途に注
目され需要が大幅に伸びつつある。
このポリフェニレンスルフィドは半結晶性の高分子で
ある。このため射出成形での連続成形において、結晶化
速度が遅く、生産性の点で問題がある。
ポリフェニレンスルフィドの結晶化促進の方法とし
て、特開昭62−230850号公報に芳香族リン酸エステルを
配合せしめる組成物が開示されている。
<発明が解決しようとする課題> しかしながら、前記公報記載の組成物においても改善
効果は不十分であり、さらに詳述するとポリフェニレン
スルフィドは溶融成形時の結晶化速度が速くないため製
品の寸法安定性、耐熱性などの点で十分満足し得るもの
でなく改良が望まれている。
一方、結晶性ポリマの結晶化促進剤として代表的な核
剤としてタルクが知られているが、結晶化速度を速くす
る効果は認められるものの機械的特性を低下させるとい
う欠点があった。
本発明は易結晶性でしかも耐熱性、耐衝撃性にすぐれ
たポリフェニレンスルフィド組成物の取得を課題とす
る。
<課題を解決するための手段> すなわち本発明はA.ポリフェニレンスルフィド80〜9
9.99重量%および B.一般式 で表される有機ホスホン酸金属塩(ただしここでRは炭
素数6〜20の芳香族基、mはLi、NaまたはK、xは1ま
たは2の整数を示す)、または一般式 で表わされる有機リン酸金属塩(ただしここでRは炭素
数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20の芳香族
基、MはLi、NaまたはKを示す)20〜0.01重量%からな
るポリフェニレンスルフィド組成物である。
本発明で使用するポリフェニレンスルフィド(以下PP
Sと称する)とは構造式 で示される繰返し単位を70モル%以上、より好ましくは
90モル%以上を含む重合体であり、上記繰返し単位が70
モル%未満では耐熱性が損なわれるため好ましくない。
PPSは一般に、特公昭45−3368号公報で代表される製
造法により得られる比較的分子量の小さい重合体と、特
公昭52−12240号公報で代表される製造法により得られ
る本質的に線状で比較的高分子量の重合体等があり、前
記特公昭45−3368号公報記載の方法で得られた重合体に
おいては、重合後、酸素雰囲気下において加熱すること
により、あるいは過酸化物等の架橋剤を添加して加熱す
ることにより高重合度化して用いることも可能であり、
本発明においてはいかなる方法により得られたPPSを用
いることも可能であるが、本発明の効果が顕著であるこ
と、および、PPS自体の靱性がすぐれるという理由で、
前記特公昭52−12240号公報で代表される製造法により
得られる本質的に線状で比較的高分子量の重合体が、よ
り好ましく用いられ得る。
また、PPSはその繰返し単位の30モル%未満を下記の
構造式を有する繰返し単位等で構成することが可能であ
る。
本発明で用いられるPPSの溶融粘度は、成形品の製造
が可能であれば特に制限はないが、通常100〜10,000ポ
イズ(320℃、剪断速度103/秒)のものがより好ましく
用いられる。
本発明で用いるB成分の有機ホスホン酸金属塩または
有機リン酸金属塩は 一般式 で表される有機ホスホン酸金属塩(ただしここでRは炭
素数6〜20の芳香族基、mはLi、NaまたはK、xは1ま
たは2の整数を示す)、または一般式 で表わされる有機リン酸金属塩(ただしここでRは炭素
数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20の芳香族
基、MはLi、NaまたはKを示す)であり、有機ホスホン
酸金属塩におけるRの具体例としてはフェニル基、アル
キル置換フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが
挙げられ、特に好ましいのはフェニル基及びアルキル置
換フェニル基である。また、有機リン酸金属塩における
Rの具体例としてはフェニル基、アルキル置換フェニル
基、ナフチル基、ビフェニル基、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプ
タニル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、セチル
基、ラウリル基等が挙げられ、とくに好ましいのはフェ
ニル基およびアルキル置換フェニル基である。
が好ましく用いられる(ただしここでBは水素または炭
素数1〜10のアルキル基、MはLi、NaまたはKを示
す)。
MはLi、NaまたはKのアルカリ金属であればいずれで
もよい。これらの有機ホスホン酸金属塩または有機リン
酸金属塩は1種または2種以上の混合物で使用される。
本発明に用いる組成物中における(B)成分の配合割
合は0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%のもの
が用いられる。0.01重量%未満では結晶化速度が遅く、
製品の寸法安定性が悪くなるので適切ではない。また20
重量%を越えると結晶化促進効果は認められるものの機
械的強度が低下するため好ましくない。
また、本発明で用いるPPSには、本発明の効果を損な
わない範囲で、酸化防止剤、その他の熱安定剤、滑剤、
結晶核剤、紫外線防止剤、着色剤などの添加剤および少
量の他種ポリマを添加することができる。
本発明において繊維状および/または粒状の強化材は
必須成分ではないが必要に応じてPPS100重量部に対して
300重量部を越えない範囲で配合することが可能であ
り、通常10〜300重量部の範囲内で配合することにより
強度、剛性、耐熱性、寸法安定性の向上をはかることが
できる。
かかる繊維状強化材として、ガラス繊維、シラスガラ
ス繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊
維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの無機
繊維および炭素繊維などが挙げられる。
また、粒状の強化材としては、ワラステナイト、セリ
サイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、ア
スベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、
アルミナ、塩化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニ
ウム、酸化チタンなどの金属酸化物、炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、ガラス・
ビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、サロヤン、シリカなど
が挙げられ、これらは中空であってもよい。これら強化
材は2種以上を併用することもできる。
本発明のPPS組成物を調製する方法はとくに制限はな
いが、PPSと有機ホスホン酸金属塩および/または有機
リン酸金属塩とをPPSの融点以上の温度で押出機内で溶
融混練後、ペレタイズする方法が代表的である。
なお、溶融混練温度はPPSの溶融を十分にする意味か
ら通常、280℃以上で行われ、280〜340℃で行われるの
が好ましい。
以下に実施例を上げて本発明をさらに詳細に説明す
る。
<実施例> 参考例1(PPSの重合) オートクレーブに硫化ナトリウム3.26kg(25モル、結
晶水40%を含む)、水酸化ナトリウム4g、酢酸ナトリウ
ム三水和物1.36kg(約10モル)およびN−メチル−2−
ピロリドン(以下NMPと略称する)7.9kgを仕込み、攪拌
しながら徐々に205℃まで昇温し、水1.36kgを含む留出
水約1.5lを除去した。残留混合物に1,4−ジクロルベン
ゼン3.75kg(25.5モル)およびNMP2kgを加え、265℃で
4時間加熱した。反応生成物を70℃の温水で5回洗浄
し、80℃で24時間減圧乾燥して、溶融粘度約2,500ポイ
ズ(320℃、剪断速度1,000秒-1)の粉末状PPS約2kgを得
た。
同様の操作を繰返し、以下に記載の実施例に供した。
実施例1〜5 参考例1で得られたポリフェニレンスルフィド100重
量部に対し、第1表に示す各種添加剤をそれぞれ0.5重
量部計量し、ドライブレンドした。次いで320℃に設定
した30mmφ2軸押出機で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットを130℃、5時間熱風乾燥し、パー
キンエルマー社製差動熱量計2B型を用いて、降温結晶化
温度(Tmc)を測定した。
測定方法:試料を差動熱量計にいれ、20℃/分の速度
で昇温加熱し、340℃で5分間溶融後、20℃/分の速度
で降温冷却して結晶化発熱ピークを得た。
この降温結晶化温度が高く、ピークがシャープである
ことが、結晶化促進剤として効果のあることを示してい
る。
比較例1〜4 参考例1で得られたPPSに実施例1と同様の方法でペ
レット化したものを差動熱量計でTmcを測定し第1表の
結果を得た。
第1表 実施例6〜8 実施例1と同様の方法でPPS100重量部に対し、ガラス
繊維70重量部および第2表に示した各種添加剤を第2表
に示した量添加したものを溶融混練してペレットを得
た。
次いで得られたペレットを実施例1と同様の方法で乾
燥した。次にペレットを320℃に設定した住友重機械工
業(株)製ネオマット射出成形機に供給し、射出圧力80
0kgf/cm2、金型温度130℃、成形サイクル35秒の条件で
機械特性評価用試験片を成形した。
得られた試験片について測定したアイゾット衝撃値
(ASTM D256)は第2表の通りであった。
本発明で用いる添加剤が未添加のものは連続成形にお
いて結晶化が不十分なため、金型離型性および形状保持
性が悪いのに対し、本発明で用いる添加剤を添加したも
のは、金型離型性もよく、衝撃強度も保持している。
比較例5〜6 参考例1で得られたPPS100重量部に対し、ガラス繊維
70重量部および添加剤なしの例、PPS100重量部に対しタ
ルク0.5重量部添加した例を実施例5と同様の方法でペ
レタイズ、射出成形を行なった試験片についてアイゾッ
ト衝撃強度を調べた結果、および金型離型性評価結果は
第2表に記載の通りであった。
添加剤なしの場合、金型離型性が悪く、またタルクを
添加した場合には衝撃強度の低下が大きく、いずれの場
合も実用に耐えないものであった。
<発明の効果> 本発明により、易結晶性で、かつ、耐衝撃性のすぐれ
たポリフェニレンスルフィド組成物が得られるようにな
った。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】A.ポリフェニレンスルフィド80〜99.99重
    量%および B.一般式 で表される有機ホスホン酸金属塩(ただしここでRは炭
    素数6〜20の芳香族基、mはLi、NaまたはK、xは1ま
    たは2の整数を示す)、または一般式 で表わされる有機リン酸金属塩(ただしここでRは炭素
    数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20の芳香族
    基、MはLi、NaまたはKを示す)20〜0.01重量%からな
    るポリフェニレンスルフィド組成物。
JP63296994A 1988-11-24 1988-11-24 ポリフェニレンスルフィド組成物 Expired - Lifetime JP2692200B2 (ja)

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JP2531409B2 (ja) * 1987-08-24 1996-09-04 大日本インキ化学工業株式会社 ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
NL8703025A (nl) * 1987-12-15 1989-07-03 Gen Electric Polymeer samenstelling met lithiumzout van fosfonzuur en lithiumzout.

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