JP2689208B2 - 湿潤耐食性および加工性の優れた内燃機関排気系用鋼 - Google Patents
湿潤耐食性および加工性の優れた内燃機関排気系用鋼Info
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- JP2689208B2 JP2689208B2 JP4331652A JP33165292A JP2689208B2 JP 2689208 B2 JP2689208 B2 JP 2689208B2 JP 4331652 A JP4331652 A JP 4331652A JP 33165292 A JP33165292 A JP 33165292A JP 2689208 B2 JP2689208 B2 JP 2689208B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐食性および加工性の優
れた鋼に係り、さらに詳しくは、例えば自動車や船舶等
の内燃機関の排気系統において優れた耐食性を有し、部
品として加工するに際して必要な加工性に優れた鋼に関
する。
れた鋼に係り、さらに詳しくは、例えば自動車や船舶等
の内燃機関の排気系統において優れた耐食性を有し、部
品として加工するに際して必要な加工性に優れた鋼に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車を中心とする内燃機関の排
気系統には、内面あるいは外面からの腐食を抑制するた
めに普通鋼にアルミニウムメッキや亜鉛メッキを施した
鋼が使用されてきた。環境汚染を抑制するために排気ガ
ス浄化の目的で触媒等が排気系統に具備されたために、
こうしたメッキ鋼材では耐食性が充分ではなくなり、鋼
素地の耐食性向上を目的として5〜10%のCrを含有
させた鋼が、特開昭63−143240号公報や特開昭
63−143241号公報で提案されている。しかし、
近年の車両の使用期間および保証期間の延長に伴なっ
て、さらにCrを18%程度まで含有させ、あるいはさ
らにMoを添加した高級ステンレス鋼が排気系統に多く
使用されている。しかし、このような高級ステンレス鋼
であっても孔食状の局部腐食が発生する場合があるな
ど、耐食性は必ずしも充分ではない。また、こうした高
級ステンレス鋼はCrやMoを多量に含有するために加
工性が悪く、排気系部材のような複雑な形状を形成する
ためには、製造に非常な困難を伴い、製造工程が著しく
複雑になるために加工コストも高くなるという難点があ
る。あるいは形状によっては適用出来ない場合がある。
かつ、素材コストも高い。
気系統には、内面あるいは外面からの腐食を抑制するた
めに普通鋼にアルミニウムメッキや亜鉛メッキを施した
鋼が使用されてきた。環境汚染を抑制するために排気ガ
ス浄化の目的で触媒等が排気系統に具備されたために、
こうしたメッキ鋼材では耐食性が充分ではなくなり、鋼
素地の耐食性向上を目的として5〜10%のCrを含有
させた鋼が、特開昭63−143240号公報や特開昭
63−143241号公報で提案されている。しかし、
近年の車両の使用期間および保証期間の延長に伴なっ
て、さらにCrを18%程度まで含有させ、あるいはさ
らにMoを添加した高級ステンレス鋼が排気系統に多く
使用されている。しかし、このような高級ステンレス鋼
であっても孔食状の局部腐食が発生する場合があるな
ど、耐食性は必ずしも充分ではない。また、こうした高
級ステンレス鋼はCrやMoを多量に含有するために加
工性が悪く、排気系部材のような複雑な形状を形成する
ためには、製造に非常な困難を伴い、製造工程が著しく
複雑になるために加工コストも高くなるという難点があ
る。あるいは形状によっては適用出来ない場合がある。
かつ、素材コストも高い。
【0003】上記の排気系統を代表として、一般にCr
をある程度含有する鋼では環境が厳しくなると局部腐食
が発生し易く、これに対する手段として腐食に対する抵
抗を向上させるためには、さらにCrあるいはMoの含
有量を増加させるのが極めて一般的な技術手段であっ
た。
をある程度含有する鋼では環境が厳しくなると局部腐食
が発生し易く、これに対する手段として腐食に対する抵
抗を向上させるためには、さらにCrあるいはMoの含
有量を増加させるのが極めて一般的な技術手段であっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした現状
に鑑みて、内燃機関の排気系統などの腐食環境に対する
抵抗が大きく、加工性に優れ、かつ低コストの鋼を提供
することを目的としている。
に鑑みて、内燃機関の排気系統などの腐食環境に対する
抵抗が大きく、加工性に優れ、かつ低コストの鋼を提供
することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成するために、排気系統をはじめとする腐食環境に
おいて優れた耐食性を有する鋼を開発すべく、種々の観
点から検討してきた。まず、本発明者らは排気系統の腐
食環境について検討し、内燃機関排気系統の腐食は排気
ガス中に含まれる塩化物、硫酸イオン等が80〜150
℃に加熱された環境において起こることを見出した。さ
らに、該腐食環境において耐食性を向上させる手段を種
々検討した結果、従来のステンレス鋼とは全く逆に、C
rを5.5〜9.9%に低減し、Alを0.3〜3.0
%添加した鋼が排気系統をはじめとする腐食環境で非常
に優れた耐食性を示すことを見出した。さらに本発明者
らはより優れた鋼を提供すべく検討を続けた結果、Cr
を5.5〜9.9%、Alを0.3〜3.0%含有する
鋼のCおよびNを低減した上で、Nb、V、Ti、Z
r、Ta、Hfを特定の条件を満足するように添加する
と耐食性の改善と加工性の向上に効果があること、脱酸
および強化元素としてはSiおよびMnが適切であるこ
と、上記の鋼にCu、Mo、Sb、Niを単独あるいは
組み合わせて添加するとより優れた耐食性が得られるこ
とを見出した。
を達成するために、排気系統をはじめとする腐食環境に
おいて優れた耐食性を有する鋼を開発すべく、種々の観
点から検討してきた。まず、本発明者らは排気系統の腐
食環境について検討し、内燃機関排気系統の腐食は排気
ガス中に含まれる塩化物、硫酸イオン等が80〜150
℃に加熱された環境において起こることを見出した。さ
らに、該腐食環境において耐食性を向上させる手段を種
々検討した結果、従来のステンレス鋼とは全く逆に、C
rを5.5〜9.9%に低減し、Alを0.3〜3.0
%添加した鋼が排気系統をはじめとする腐食環境で非常
に優れた耐食性を示すことを見出した。さらに本発明者
らはより優れた鋼を提供すべく検討を続けた結果、Cr
を5.5〜9.9%、Alを0.3〜3.0%含有する
鋼のCおよびNを低減した上で、Nb、V、Ti、Z
r、Ta、Hfを特定の条件を満足するように添加する
と耐食性の改善と加工性の向上に効果があること、脱酸
および強化元素としてはSiおよびMnが適切であるこ
と、上記の鋼にCu、Mo、Sb、Niを単独あるいは
組み合わせて添加するとより優れた耐食性が得られるこ
とを見出した。
【0006】本発明は主に上記の知見に基づいてなされ
たものであり、本発明の第1発明が要旨とするところ
は、重量%で、 Si:0.01%以上1.2%未満、 Mn:0.1〜1.5%、 Cr:5.5〜9.9%、Al:0.3〜3.0%を含
有し、Cを0.02%以下、Pを0.03%以下、Sを
0.01%以下、Nを0.02%以下に低減し、Nb、
V、Ti、Zr、Ta、Hfの中から選ばれる1種ある
いは2種以上の元素の含有量の合計で0.01〜0.5
%含有し、かつ次式を満足し、
たものであり、本発明の第1発明が要旨とするところ
は、重量%で、 Si:0.01%以上1.2%未満、 Mn:0.1〜1.5%、 Cr:5.5〜9.9%、Al:0.3〜3.0%を含
有し、Cを0.02%以下、Pを0.03%以下、Sを
0.01%以下、Nを0.02%以下に低減し、Nb、
V、Ti、Zr、Ta、Hfの中から選ばれる1種ある
いは2種以上の元素の含有量の合計で0.01〜0.5
%含有し、かつ次式を満足し、
【0007】
【数2】
【0008】残部Feおよび不可避不純物からなること
を特徴とする湿潤耐食性および加工性の優れた内燃機関
排気系用鋼。
を特徴とする湿潤耐食性および加工性の優れた内燃機関
排気系用鋼。
【0009】第2発明が要旨とするところは、第1発明
の鋼に付加成分としてさらに、重量%で、 Cu:0.90〜3.0%、 Mo:0.05〜2.0%、 Sb:0.01〜0.5%、 Ni:0.01〜2.0% の1種または2種以上を含有する鋼にある。
の鋼に付加成分としてさらに、重量%で、 Cu:0.90〜3.0%、 Mo:0.05〜2.0%、 Sb:0.01〜0.5%、 Ni:0.01〜2.0% の1種または2種以上を含有する鋼にある。
【0010】第3発明が要旨とするところは、第1発明
あるいは第2発明の鋼に付加成分としてさらに、重量%
で、 希土類元素:0.001〜0.1%、 Ca:0.00
05〜0.03% の1種または2種を含有する鋼にある。
あるいは第2発明の鋼に付加成分としてさらに、重量%
で、 希土類元素:0.001〜0.1%、 Ca:0.00
05〜0.03% の1種または2種を含有する鋼にある。
【0011】
【作用】以下に本発明において各成分の範囲を限定した
理由を述べる。 Si: SiはCrを5.5%以上含有する鋼に脱酸剤
および強化元素としての添加が有効であるが、含有量が
0.01%未満ではその脱酸効果が充分ではなく、1.
2%以上を含有するともはやその効果は飽和している上
に加工性を低下させるので、含有量範囲を0.01%以
上1.2%未満に限定する。
理由を述べる。 Si: SiはCrを5.5%以上含有する鋼に脱酸剤
および強化元素としての添加が有効であるが、含有量が
0.01%未満ではその脱酸効果が充分ではなく、1.
2%以上を含有するともはやその効果は飽和している上
に加工性を低下させるので、含有量範囲を0.01%以
上1.2%未満に限定する。
【0012】Mn: Mnは鋼の脱酸剤として必要で
0.1%以上を含有させる必要があるが、1.5%を超
えて含有させてもその効果はもはや飽和しているばかり
か、過剰にMnを含有させると加工性が低下するので上
限含有量は1.5%とする。 Cr: Crは耐食性を確保するために5.5%以上を
含有させることが必要であるが、9.9%を超えて含有
させてもいたずらにコストを増すばかりか、加工性が低
下するので上限含有量は9.9%とする。
0.1%以上を含有させる必要があるが、1.5%を超
えて含有させてもその効果はもはや飽和しているばかり
か、過剰にMnを含有させると加工性が低下するので上
限含有量は1.5%とする。 Cr: Crは耐食性を確保するために5.5%以上を
含有させることが必要であるが、9.9%を超えて含有
させてもいたずらにコストを増すばかりか、加工性が低
下するので上限含有量は9.9%とする。
【0013】Al: Alは本発明において耐食性を確
保するためにCrと並んで重要な元素であって、前述の
通りAlの含有量が0.3%未満では孔食の発生を抑制
する効果が充分ではなく、一方、3.0%を超えて添加
するとその効果は飽和するのに対して加工性を低下させ
るものであるから、Alの含有量は0.3〜3.0%に
限定する。
保するためにCrと並んで重要な元素であって、前述の
通りAlの含有量が0.3%未満では孔食の発生を抑制
する効果が充分ではなく、一方、3.0%を超えて添加
するとその効果は飽和するのに対して加工性を低下させ
るものであるから、Alの含有量は0.3〜3.0%に
限定する。
【0014】C、N: CおよびNは鋼板の加工性を低
下させる上に、CはCrと炭化物を生成して耐食性を低
下させるので、またNは靱性を低下させるので、Cおよ
びN量は少ない方が望ましく、上限含有量は、いずれも
0.02%とし、いずれも少ないほど好ましい。 P: Pは多量に存在すると靱性を低下させるので少な
い方が望ましく、上限含有量は0.03%とする。
下させる上に、CはCrと炭化物を生成して耐食性を低
下させるので、またNは靱性を低下させるので、Cおよ
びN量は少ない方が望ましく、上限含有量は、いずれも
0.02%とし、いずれも少ないほど好ましい。 P: Pは多量に存在すると靱性を低下させるので少な
い方が望ましく、上限含有量は0.03%とする。
【0015】S: Sも多量に存在すると耐孔食性を低
下させるので少ない方が望ましく、上限含有量は0.0
1%とする。 Nb、V、Ti、Zr、Ta、Hf:Nb、V、Ti、
Zr、Ta、Hfは高Cr鋼中のCおよびNを炭化物も
しくは窒化物として固定することによって耐食性の向上
や加工性の改善に顕著な効果があり、各元素単独の添加
あるいは2種以上の元素を複合して添加することができ
るが、単独での添加量あるいは複合添加での添加量の合
計が0.01%未満では効果がなく、0.5%を超えて
添加するといたずらにコストを上昇させると共に圧延疵
等の原因ともなるので上限含有量は0.5%とする。か
つ、加工性を有効に改善するためには、Nb、V、T
i、Zr、Ta、Hfの添加量の合計が次式を満足する
ことが必要である。
下させるので少ない方が望ましく、上限含有量は0.0
1%とする。 Nb、V、Ti、Zr、Ta、Hf:Nb、V、Ti、
Zr、Ta、Hfは高Cr鋼中のCおよびNを炭化物も
しくは窒化物として固定することによって耐食性の向上
や加工性の改善に顕著な効果があり、各元素単独の添加
あるいは2種以上の元素を複合して添加することができ
るが、単独での添加量あるいは複合添加での添加量の合
計が0.01%未満では効果がなく、0.5%を超えて
添加するといたずらにコストを上昇させると共に圧延疵
等の原因ともなるので上限含有量は0.5%とする。か
つ、加工性を有効に改善するためには、Nb、V、T
i、Zr、Ta、Hfの添加量の合計が次式を満足する
ことが必要である。
【0016】
【数3】
【0017】以上が本発明が対象とする耐食性および加
工性に優れた鋼の基本的成分であるが、本発明において
は必要に応じてさらに以下の元素を添加して特性を一段
と向上させた鋼も対象としている。
工性に優れた鋼の基本的成分であるが、本発明において
は必要に応じてさらに以下の元素を添加して特性を一段
と向上させた鋼も対象としている。
【0018】Cu: CuはCrを5.5%以上含有
し、Alを0.3%以上含有する鋼に0.05%以上添
加すると全面腐食に対する抵抗を向上させる効果がある
が、3.0%を超えて添加しても効果が飽和するばかり
か熱間加工性を低下させるので上限含有量は3.0%と
する。 Mo: MoはCrを5.5%以上含有し、Alを0.
3%以上含有する鋼に0.05%以上添加すると孔食の
発生と成長を抑制する効果があるが、2.0%を超えて
添加しても効果が飽和するばかりか加工性を低下させる
ので上限含有量は2.0%とする。
し、Alを0.3%以上含有する鋼に0.05%以上添
加すると全面腐食に対する抵抗を向上させる効果がある
が、3.0%を超えて添加しても効果が飽和するばかり
か熱間加工性を低下させるので上限含有量は3.0%と
する。 Mo: MoはCrを5.5%以上含有し、Alを0.
3%以上含有する鋼に0.05%以上添加すると孔食の
発生と成長を抑制する効果があるが、2.0%を超えて
添加しても効果が飽和するばかりか加工性を低下させる
ので上限含有量は2.0%とする。
【0019】Sb: SbもCrを5.5%以上含有
し、Alを0.3%以上含有する鋼に0.01%以上添
加すると孔食および全面腐食に対する抵抗を向上させる
効果があるが、0.5%を超えて添加すると熱間加工性
を低下させるので上限含有量は0.5%とする。 Ni: NiはCrを5.5%以上含有し、Alを0.
3%以上含有する鋼に0.01%以上添加すると孔食を
抑制する効果があるが、2.0%を超えて添加しても効
果が飽和するばかりか熱間加工性を低下させるので上限
含有量は2.0%とする。
し、Alを0.3%以上含有する鋼に0.01%以上添
加すると孔食および全面腐食に対する抵抗を向上させる
効果があるが、0.5%を超えて添加すると熱間加工性
を低下させるので上限含有量は0.5%とする。 Ni: NiはCrを5.5%以上含有し、Alを0.
3%以上含有する鋼に0.01%以上添加すると孔食を
抑制する効果があるが、2.0%を超えて添加しても効
果が飽和するばかりか熱間加工性を低下させるので上限
含有量は2.0%とする。
【0020】希土類元素(REM)、Ca: 希土類元
素およびCaは熱間加工性の向上と耐孔食性の改善に効
果のある元素であるが、添加量が希土類元素では0.0
01%未満、Caでは0.0005%未満ではその効果
が充分ではなく、希土類元素では0.1%を超えて、C
aでは0.03%を超えて添加すると、それぞれ粗大な
非金属介在物を生成して逆に熱間加工性や耐孔食性を劣
化させるので、上限含有量は希土類元素では0.1%、
Caでは0.03%とした。なお、本発明において希土
類元素とは原子番号が57〜71番および89〜103
番の元素およびYを指す。
素およびCaは熱間加工性の向上と耐孔食性の改善に効
果のある元素であるが、添加量が希土類元素では0.0
01%未満、Caでは0.0005%未満ではその効果
が充分ではなく、希土類元素では0.1%を超えて、C
aでは0.03%を超えて添加すると、それぞれ粗大な
非金属介在物を生成して逆に熱間加工性や耐孔食性を劣
化させるので、上限含有量は希土類元素では0.1%、
Caでは0.03%とした。なお、本発明において希土
類元素とは原子番号が57〜71番および89〜103
番の元素およびYを指す。
【0021】本発明において提案する鋼は、内燃機関の
排気系統に使用するに際して、まず鋼板として製造した
後にそれをプレス等で所定の形状に成形し、さらに加工
・溶接して製品として製造しても良いし、鋼板を、例え
ば電縫鋼管等としてまず鋼管の形状にした後に2次加工
および溶接等によって製品に使用しても良く、その他の
プロセスも含めて本発明で限定する組成および元素の組
み合わせを有する鋼は、いずれも本発明の対象とすると
ころであって、コストや既存製造設備の制約等によって
最適な製品製造工程を選択することができ、どの製造工
程を選択したとしてもそれをもって本発明の範囲を逸脱
するものではない。また、本発明において提案する鋼は
内燃機関の排気系統の他、塩化物や硫酸イオン等を含有
する水溶液が高温に曝されたり、加熱・冷却が繰り返さ
れる環境等、種々の腐食環境に適用することができる。
排気系統に使用するに際して、まず鋼板として製造した
後にそれをプレス等で所定の形状に成形し、さらに加工
・溶接して製品として製造しても良いし、鋼板を、例え
ば電縫鋼管等としてまず鋼管の形状にした後に2次加工
および溶接等によって製品に使用しても良く、その他の
プロセスも含めて本発明で限定する組成および元素の組
み合わせを有する鋼は、いずれも本発明の対象とすると
ころであって、コストや既存製造設備の制約等によって
最適な製品製造工程を選択することができ、どの製造工
程を選択したとしてもそれをもって本発明の範囲を逸脱
するものではない。また、本発明において提案する鋼は
内燃機関の排気系統の他、塩化物や硫酸イオン等を含有
する水溶液が高温に曝されたり、加熱・冷却が繰り返さ
れる環境等、種々の腐食環境に適用することができる。
【0022】
【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。表
1、表2(表1のつづき−1)、表3(表1のつづき−
2)、表4(表1のつづき−3)に成分を示す鋼を溶製
し、熱延、冷延等の通常の鋼板製造工程によって肉厚1
mmの鋼板とし、850℃にて焼鈍を施した。次にこれ
らの鋼板から幅50mm、長さ70mmの試験片を採取
して、腐食試験に供した。腐食試験は、硫酸イオン10
0ppm、塩化物イオン100ppm、重炭酸イオン5
00ppmをアンモニウム塩の形で添加した水溶液50
cm3 中に試験片を半分まで浸漬し、試験容器ごと13
0℃の雰囲気に保持して試験溶液が完全に蒸発・揮散す
ることを20回繰り返す試験とした。これは自動車排気
系の腐食条件を模擬したものである。表2および表4に
示す腐食試験の結果で、◎は最大腐食深さが0.15m
m以下、○は0.2mm以下、×は0.2mm超であっ
たことをそれぞれ示している。また加工性の評価として
は絞り比1.8の円筒絞り試験を行って割れの有無で判
定した。試験結果を表2、表4に併せて示した。表2、
表4の加工性において、は円筒絞り試験が良好であった
こと示し、×は円筒絞り試験で割れが生じたことを示し
ている。
1、表2(表1のつづき−1)、表3(表1のつづき−
2)、表4(表1のつづき−3)に成分を示す鋼を溶製
し、熱延、冷延等の通常の鋼板製造工程によって肉厚1
mmの鋼板とし、850℃にて焼鈍を施した。次にこれ
らの鋼板から幅50mm、長さ70mmの試験片を採取
して、腐食試験に供した。腐食試験は、硫酸イオン10
0ppm、塩化物イオン100ppm、重炭酸イオン5
00ppmをアンモニウム塩の形で添加した水溶液50
cm3 中に試験片を半分まで浸漬し、試験容器ごと13
0℃の雰囲気に保持して試験溶液が完全に蒸発・揮散す
ることを20回繰り返す試験とした。これは自動車排気
系の腐食条件を模擬したものである。表2および表4に
示す腐食試験の結果で、◎は最大腐食深さが0.15m
m以下、○は0.2mm以下、×は0.2mm超であっ
たことをそれぞれ示している。また加工性の評価として
は絞り比1.8の円筒絞り試験を行って割れの有無で判
定した。試験結果を表2、表4に併せて示した。表2、
表4の加工性において、は円筒絞り試験が良好であった
こと示し、×は円筒絞り試験で割れが生じたことを示し
ている。
【0023】表2、表4から明らかなように、本発明例
であるNo.1〜37は排気環境という非常に厳しい腐
食環境であっても良好な耐食性を示し、加工性も優れて
いるのに対して、比較例であるNo.38〜49は耐食
性と加工性に劣ることがわかる。
であるNo.1〜37は排気環境という非常に厳しい腐
食環境であっても良好な耐食性を示し、加工性も優れて
いるのに対して、比較例であるNo.38〜49は耐食
性と加工性に劣ることがわかる。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は自動車等の
内燃機関の排気系統での耐食性に優れ、かつ加工性にも
優れた鋼を低コストで提供することを可能としたもので
あり、産業の発展に貢献するところ極めて大である。
内燃機関の排気系統での耐食性に優れ、かつ加工性にも
優れた鋼を低コストで提供することを可能としたもので
あり、産業の発展に貢献するところ極めて大である。
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%で、 Si:0.01%以上1.2%未満、 Mn:0.1〜1.5%、 Cr:5.5〜9.9%、 Al:0.3〜3.0% を含有し、 Cを0.02%以下、 Pを0.03%以下、 Sを0.01%以下、 Nを0.02%以下 に低減し、 Nb、V、Ti、Zr、Ta、Hfの中から選ばれる1
種あるいは2種以上の元素の含有量の合計で0.01〜
0.5%含有し、かつ次式を満足し、 【数1】 残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする
湿潤耐食性および加工性の優れた内燃機関排気系用鋼。 - 【請求項2】 付加成分としてさらに、重量%で、 Cu:0.90〜3.0%、 Mo:0.05〜2.0%、 Sb:0.01〜0.5%、 Ni:0.01〜2.0% の1種または2種以上を含有する請求項1記載の湿潤耐
食性および加工性の優れた内燃機関排気系用鋼。 - 【請求項3】 付加成分としてさらに、重量%で、 希土類元素:0.001〜0.1%、 Ca:0.0005〜0.03% の1種または2種を含有する請求項1または2記載の湿
潤耐食性および加工性の優れた優れた内燃機関排気系用
鋼。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4331652A JP2689208B2 (ja) | 1992-12-11 | 1992-12-11 | 湿潤耐食性および加工性の優れた内燃機関排気系用鋼 |
EP94902098A EP0674015A1 (en) | 1992-12-11 | 1993-12-09 | Steel of high corrosion resistance and high processability |
PCT/JP1993/001790 WO1994013848A1 (en) | 1992-12-11 | 1993-12-09 | Steel of high corrosion resistance and high processability |
AU56589/94A AU674374B2 (en) | 1992-12-11 | 1993-12-09 | Steel of high corrosion resistance and high processability |
CA002151513A CA2151513C (en) | 1992-12-11 | 1993-12-09 | Steel excellent in corrosion resistance and processability |
US08/448,592 US5609818A (en) | 1992-12-11 | 1993-12-09 | Steel excellent in corrosion resistance and processability |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4331652A JP2689208B2 (ja) | 1992-12-11 | 1992-12-11 | 湿潤耐食性および加工性の優れた内燃機関排気系用鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH06179949A JPH06179949A (ja) | 1994-06-28 |
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