JP2687361B2 - 酸化スズゾルの製造方法 - Google Patents

酸化スズゾルの製造方法

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JP2687361B2 JP18288087A JP18288087A JP2687361B2 JP 2687361 B2 JP2687361 B2 JP 2687361B2 JP 18288087 A JP18288087 A JP 18288087A JP 18288087 A JP18288087 A JP 18288087A JP 2687361 B2 JP2687361 B2 JP 2687361B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は酸化スズ(SnO2)ゾルの製造方法に関する。
更に詳しくは高濃度で安定な水を分散媒とする酸性或い
はpH7以上の酸化スズゾルの製造方法に関する。 酸化スズはエレクトロセラミツクス用原料、顔料の原
料、難燃助剤、透明導電フィラー、帯電防止剤等として
広く利用されている。近年、電子・電気産業の著しい発
展に伴い無機材料に関する要望は非常に増大しており、
酸化スズも導電性等の性質を付与することができるた
め、特に、酸化スズ粉末、酸化スズゾルに対する期待が
多くなってきている。酸化スズゾルは前記の種々の分野
で利用され、今後更にその利用範囲は広がっていくと思
われる。例えば、酸化スズゾルは、センサー用酸化スズ
粉の結合剤、エレクトロセラミツクス用としてのスズ−
アンチモン系透明導電膜および透明導電酸化物等の微粉
末の原料として利用できる。 また、酸化スズゾルは陶磁器顔料の原料用、例えばバ
ナジウムスズ黄、クロムスズピンク、スズアンチモン青
等に利用できる。また、ハロゲン含有ビニル樹脂やモダ
アクリル樹脂等の難燃助剤として利用できる。更にま
た、樹脂エマルジョンの改質剤、プラスチック、フィル
ムの改質剤、繊維、紙、プラスチックの帯電防止剤、ガ
ラス、セラミツクスの表面処理剤、プラスチックレン
ズ、フィルム、プラスチック成形品のハードコート剤用
マイクロフィラー、石油精製におけるクラッキング触媒
の劣化防止、アルカリイオンの吸着剤、触媒および触媒
用担体あるいは触媒用の結合剤、エアーフィルター等の
特殊な無機繊維成形品等の結合剤、金属、セラミツクス
の封孔処理剤等の広い範囲で利用できる。 (従来の技術) 酸化スズゾルの製造法については多くの提案がなされ
ている。例えば、ワイザー著のインオーガニック コロ
イド ケミストリー第2巻240頁(1938年)(Weiser:In
ornic Cooloidal Chemistry Vol II,240(1938).)に
は塩化第2スズの希薄溶液を加水分解して生成した酸化
スズをよく洗浄し、これに少量のアンモニアを加えるこ
とにより負に帯電したアルカリ性酸化スズゾルが得られ
ることが記載されている。また、これには塩化第2スズ
とアルカリまたはスズ酸ナトリウムと塩酸の反応により
室温で得られたフレッシュな酸化スズゾルは塩酸、硫酸
等の鉱酸により容易に解膠して正に帯電した酸性の酸化
スズゾルが得られることが記載されている。米国特許第
3888788号にはSn4+の可溶性塩(例えばSnCl4)の水溶液
からアニオン交換樹脂を用いてSn/Cl比が0.5〜5になる
ようにpHを1.5以下に保ちながらアニオンを除去す方法
が提案されている。この方法ではアニオンの除去量が多
くなり、イオン交換は低濃度で行わなければならないこ
とから経済的でないし、表面活性が大きいことから高濃
度ゾルを得ることは困難である。特開昭56−82504号に
は塩化第2スズの希薄水溶液(SnCl41.8%程度)を90
℃、2時間加熱して生成した白色沈澱を遠心ロ過機にて
ロ過洗浄して、得られたケーキを水分散し、これにアン
モニアを加えて加熱することを提案している。この方法
ではSnCl4の濃度が低いため生産効率が悪く、洗浄時に
酸が残存しているために一部解膠し、洗浄が困難となる
欠点を有している。上記のように酸化スズゾルの製造は
古くから検討されている。 (発明が解決しようとする問題点) 上述したように、いまだに高濃度で安定な酸化スズゾ
ルを効率よく、経済的に製造する方法は見出されていな
い。 金属スズは硝酸に容易に溶解し、加水分解して酸化ス
ズになることが知られており、この方法により酸化スズ
の粉末が製造されている。本発明者等は金属錫が酸化剤
と共存させることにより酸に溶解することに注目し、鋭
意研究の結果、塩酸あるいは蓚酸を用いることにより、
高濃度で安定な酸化スズゾルが得られること見出し、本
発明を完成するに到った。 酸としては硫酸でも使用できるが反応速度が遅く好ま
しくない。硝酸ではゾルに似た酸化スズ分散液を得るこ
とができるが酸化スズ表面に結合する硝酸が著しく減少
するため完全なゾルを得ることはできない。 本発明の目的は高濃度で安定な酸化スズゾルをを提供
することにある。 (問題点を解決するための手段) 即ち、本発明は塩酸あるいは蓚酸の水溶液に過酸化水
素水と金属スズをH2O2/Snモル比が2〜3になるように
保ちながら添加し、反応させることを基本とする酸性或
いはpH7以上の酸化スズゾルの製法に関する。 以下本発明をさらに詳細に説明する。本発明で使用す
る塩酸の水溶液中の酸濃度は、塩酸では3%以上、蓚酸
の場合は5%以上が好ましい。酸濃度が低いと金属スズ
の溶解速度が遅いので好ましくない。 塩酸あるいは蓚酸の水溶液中での、過酸化水素水と金
属スズの反応は50〜100℃で行う。50℃未満では反応速
度が小さすぎるために好ましくない。過酸化水素の分解
反応は発熱反応のため反応時の温度コントロールには注
意が必要で、必要に応じて冷却しなければならない。塩
酸の場合は反応温度は75〜95℃がより好ましい。塩酸で
の反応においては沸騰状態では酸化スズコロイドの脱塩
素が顕著になり、酸化スズコロイドが不安定となり沈降
し、再びゾルには戻らないので反応温度は充分に注意が
必要である。 本発明で使用する金属スズは金属インゴツトも使用で
きるが、インゴツトを溶融し噴霧凝固させて得たアトマ
イズスズ粉末、インゴットを旋盤、やすりなどにより、
切削し製造したフレイク状の粉末などが好ましい。 塩酸あるいは蓚酸の水溶液中に過酸化水素と金属スズ
をH2O2/Snモル比が2〜3に保つように交互に少量ずつ
断続的に添加するか、または連続的に添加することが好
ましい。初めに全量の過酸化水素を酸性水溶液中に加
え、これに金属スズを加えると過酸化水素の大部分が反
応の初期に分解してしまい過酸化水素の量が不足し、ま
た過酸化水素の分解反応は発熱反応のため危険であり好
ましくない。H2O2/Snモル比が3を越えても反応は可能
であるが、生成する酸素ガスが多くなり、また製品中の
過酸化水素量の残量が多くなるため好ましくない。 H2O2/Snモル比が2未満では酸化不充分のためSnOが生
成し、ゾルが青緑色となり、またSnOはゾルにならない
ため沈降するので好ましくない。 塩酸の水溶液中で過酸化水素水と金属スズをH2O2/Sn
モル比が2〜3になるように保ちながら添加し、反応さ
せる際に、反応液中のSnO2濃度が約15重量%以上になる
と、ゾルとして安定に存在することが出来なくなり、弱
く凝集して沈降する。 従って、反応液中のSnO2濃度が約15%未満だと、塩酸
水溶液に過酸化水素水と金属スズをH2O2/Snモル比が2
〜3に保って添加し反応させる工程だけで安定な酸性の
酸化スズゾルが得られるが、SnO2濃度が約15重量%以上
だと酸化スズコロイドが凝集沈降する。しかし、凝集沈
降した酸化スズコロイドの凝集体と塩酸および少量の塩
化第2スズを含有する上澄液を分離し、分離した凝集体
を水で解膠することによりSnO2濃度が15重量%以上の高
濃度の安定な酸性の酸化スズゾルが得られる。また、反
応液中のSnO2濃度が15%未満と低い場合には、得られた
酸化スズゾルを減圧濃縮等の方法によりSnO2濃度を高め
ることで同様に酸化スズコロイドが凝集沈降するので、
同様に分離、水での解膠によりSnO2濃度が15重量%以上
の高濃度で安定な酸性の酸化スズゾルを得ることもでき
る。 本発明においては凝集沈降した酸化スズコロイドの凝
集体と塩酸および少量の塩化第2スズを含有する上澄液
を分離することにより、塩酸を除去し製品の酸化スズゾ
ル中のSn/Cl当量比を高めることができ、高濃度の安定
なゾルが得られるのである。 この上澄液の除去には傾斜法分離、吸引ロ過、加圧ロ
過、遠心ロ過などの方法をとることが出来る。 蓚酸の場合も塩酸と同様な機構で反応するが、以外に
もSnO2濃度で40重量%の濃度になっても酸化スズコロイ
ドの凝集体は沈降しないので、沈降している未反応の金
属スズ等を分離するだけで安定な高濃度の酸化スズゾル
を得ることができる。 本発明において製造可能な酸化スズゾルの濃度の上限
は塩酸あるいは蓚酸の水溶液のいずれの時も40重量%で
ある。これを越えた濃度では未解膠物が沈降するととも
に粘度が高くなるため攪拌が困難になる。蓚酸の場合著
しく粘度が高くなり、反応が出来なくなる。また塩酸の
場合は製品ゾル中のSn/Cl当量比が大きくなる程高濃度
で解膠できるが粘度が高くなる。Sn/Cl当量比が小さい
方がゾルのチクソ性は大きくなり攪拌下の粘度も低下す
る。 本発明方法で製造した酸化スズゾルSn/Cl当量比は10
以下であるが、本発明の酸化スズゾルを希釈後これを限
外ロ過または陰イオン交換樹脂で脱アニオンすることに
よりSn/Cl当量比を更に上げることができる。Clはスズ
ゾルの使用場面で悪い影響をおよぼすので、出来るだけ
少量にするのが好ましい。 過酸化水素はガスでも使用できるが水溶液で使用した
ほうが安全であり好ましい。また過酸化水素の代わりに
酸素ガスを用いることも可能であるが反応速度が遅く好
ましくない。反応時間は反応温度、反応液中の原料濃度
等の条件により異なるが、高温で長時間保持されると脱
水、脱酸が起こりすぎて好ましくない。反応時間は20時
間以内が好ましい。 酸化スズコロイド凝集体よりなる酸化スズのウェット
ケーキあるいはスラリーを解膠する際の温度は室温から
100℃が可能である。温度が高い程解膠時間は短くな
る。解膠濃度を低くするとほとんど瞬間的に解膠する。
解膠温度と解膠濃度はゾルの性質に大きな影響を与えな
いが、高温で長時間は解膠を行うのは増粘してくるため
好ましくない。 このようにして得た酸性の酸化スズゾルのpHは3以下
であり、好ましくはpH2以下の方が安定である。室温で
6ケ月以上放置しても安定である。酸化スズゾル中の酸
化スズのコロイドの1次粒子径は、反応温度、反応時
間、Sn/酸の比で異なるが概ね20mμ以下である。塩酸反
応により製造したものはほゞ10mμ以下である。 更に、本願発明は上記方法で得られた酸性の酸化スズ
ゾルに塩基性化合物を加え中和した後、生成したスラリ
ー状の酸化スズゲルの分離、洗浄し、得られたウェット
ケーキを塩基性化合物で解膠し、塩基性の酸化スズゾル
を得ることが出来る。 本発明により製造した酸性の酸化スズゾルはSn/Cl当
量比でSnCl4に比較すれば顕著に大きいことからSnCl4
中和するに必要な塩基の量より少ない量で中和すること
が出来る。従って中和により生成する塩、例えば塩化ア
ンモニウム、塩酸アミンのような塩の量が少ないために
洗浄が容易となる。更に、本発明においては酸化スズコ
ロイド粒子径は中和によっても変化せず一定の粒子径の
酸化スズコロイドが得られる。 尚、酸性の酸化スズゾルの中和の際に、アルカリ性に
してしまうと洗浄時解膠して洗浄ができなくなる。 本発明において使用できる塩基性化合物としてはアン
モニアあるいは有機塩基例えばモノエタノールアミン、
トリエタノールアミン、アミノエタノールアミン、第4
級アンモニウムハイドロオキサイド、グアニジンハイド
ロオキサイドなどを使用することが出来る。水酸化ナト
リウム、水酸化カリウムのような塩基も使用可能である
が酸化スズはアルカリ金属と強く結合する性質をもって
おり、またアルカリ金属の残存があるため用途面では好
ましくない。 酸化スズゾルと塩基の中和により得られた酸化スズス
ラリーは吸引ロ過、加圧ロ過、遠心ロ過などの方法によ
り分離、洗浄することが出来る。 分離、洗浄により得られた酸化スズウェットケーキを
水に分散し、アンモニアあるいは有機塩基を加えて攪拌
することによりウェットケーキは解膠し、pH7以上の酸
化スズゾルが得られる。安定性の面から好ましいpH範囲
は7〜11である。 本発明において塩基性化合物による解膠時の温度は室
温〜150℃が可能であるが、室温〜100℃が好ましい。解
膠時間はゾルの性質に影響を与えないので自由に選ぶこ
とが出来る。アルカリ性の酸化スズゾルのSnO2濃度は最
高40%付近まで製造可能である。これ以上では粘度が高
くなりすぎるため好ましくない。 本発明方法により製造したpH7〜11の酸化スズゾルは
安定で、室温で6ケ月以上放置しておいても沈降、ゲル
化などの現象は認められなかった。 以下実施例によって本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。 実施例1 35%塩酸(試薬)200gと水500gを3のガラス製セパ
ラブルフラスコにとりガラス製攪拌棒で攪拌しながらこ
れを70℃まで加温した後、冷却しながら35%過酸化水素
水(試薬)680gと金属スズ粉末(山石金属社製SnA−200
Sn;99.7%)300gを添加した。 過酸化水素水と金属スズの添加ははじめに35%過酸化
水素水30gを次いで金属スズを15gを徐々に加え、反応が
終了するのを待って(10〜15分)過酸化水素水と金属ス
ズの添加を繰り返す方法で行った。反応は発熱反応のた
め金属スズの添加により90〜95℃になり反応が終了する
と冷却のために65〜70℃に低下した。従って反応温度は
65〜95℃であった。 過酸化水素と金属スズの比はH2O2/Snモル比は2.45で
あった。過酸化水素水と金属スズの添加に要した時間は
4.5時間であった。添加終了後、液温を85〜87℃に保ち
ながら3時間熟成を行なった。尚、反応および熟成によ
り水が蒸発するで適量の水の補充を行った。熟成終了後
の液量は1600gであり液中の酸化スズ濃度は27重量%で
あった。反応時のSn/Cl当量比は1.49であった。 熟成終了後攪拌を止め冷却し、14時間静置した。静置
により酸化スズコロイド凝集体は沈降し上澄み層と沈降
層の2層に分離した。上澄み液は透明で殆どコロイド色
を呈していなかった。 上澄み液を傾斜法にて除去した。上澄み液の重量は60
0gであった。残った酸化スズコロイド凝集体スラリー10
00gに水350gを添加し2時間攪拌することにより酸化ス
ズコロイド凝集体は解膠し、酸化スズゾルとなった。 上澄み液中にスズは塩化スズまたはオキシ塩化スズと
して存在しており、上澄み液中の酸化スズ換算量は8gで
あった。従って、この反応での酸化スズのロスは全体の
1.9%であり非常に少なかった。 得られた酸化スズゾルは比重が1.434、pH0.10、粘度
(攪拌直後)35c.p.、SnO232.8重量%、HCl3.37重量
%、SnO2/Cl当量比2.29であった。このゾルは淡黄色な
透明性のあるゾルであった。ゾルはチクソ性を示し、1
時間静置後の粘度は80c.p.であった。振るともとの粘度
になる。ゾルの酸化スズコロイドの粒子径は電子顕微鏡
では10mμ以下で、比表面積(140m2/g)からの粒子径は
6.2mμであった。また、レーザー光散乱法粒子径は200m
μでありかなり大きなクラスターを形成していた。尚、
室温1年以上放置しても安定であった。 実施例2 35%塩酸(試薬)200gと水500gを3のガラス製セパ
ラブルフラスコにとりガラス製攪拌棒で攪拌しながらこ
れを70℃まで加温した後、冷却しながら35%過酸化水素
水(試薬)920gと金属スズ粉末(山石金属社製SnA−20
0)460gを用い実施例1と同様に添加した。過酸化水素
水と金属スズの添加に要した時間は6時間であった。添
加終了後、液温を80〜85℃に保ちながら3.5時間熟成を
行なった。そして熟成終了後攪拌を止め冷却し、10時間
静置した。静置により酸化スズコロイド凝集体は沈降し
上澄み層と沈降層の2層に分離した。上澄み液は透明で
殆どコロイド色を呈していなかった。 熟成終了後の液量は1980gであり液中の酸化スズ濃度
は29.4重量%であった。反応時のSnO2/Cl当量比は2.0で
あった。 上澄み液を傾斜法にて除去した。上澄み液の重量は79
5gで、この上澄み液中に残った酸化スズ量は6gであっ
た。残った酸化スズコロイド凝集体スラリー1185gに水7
30gを添加し3時間攪拌することにより酸化スズコロイ
ド凝集体は解膠し、酸化スズゾルとなった。 得られた酸化スズゾル1915gで、比重が1.380、pH0.4
0、粘度(攪拌直後)110c.p.、SnO230.6重量%、HCl2.3
7重量%、SnO2/HClモル比3.04であった。このゾルはチ
クソ性が大で1時間後の粘度は3500c.p.であった。この
ゾルの酸化スズコロイドの粒子径は電子顕微鏡では10m
μ以下で、比表面積120m2/gからの粒子径は7.2mμであ
った。ゾルは透明性をおびた淡黄色を呈した。また、こ
のゾルは室温で1年以上放置してもゲル化することなく
安定であった。 実施例3 35%塩酸(試薬)200gと水1200gを3のガラス製セ
パラブルフラスコにとりガラス棒で攪拌しながらこれを
80℃まで加温した後、冷却しながら35%過酸化水素水
(試薬)440gと金属スズ粉末(山石金属社製SnA−200)
190gを添加した。 過酸化水素水と金属スズの添加は交互に行い35%過酸
化水素水/金属スズ粉末の重量比が23/10になるように
断続的に添加した。添加にようした時間は2.5時間で反
応温度は80〜90℃になるようにコントロールをした。 過酸化水素と金属スズの比はH2O2/Snモル比は2.83で
あった。反応中に水の蒸発により液量が減少するため反
応途中で適量の水を加えた。添加終了後反応を終了させ
るため80〜85℃で2時間熟成を行った。熟成終了後強く
攪拌しながら冷却した。得られた液は極少量の酸化スズ
の沈澱はあるものゝ透明性の高い淡黄色のゾルであっ
た。 得られた酸化スズゾルの液量は2020gで、比重が1.15
4、pH<1、粘度6.0c.p.、SnO211.9重量%、Cl3.4重量
%、SnO2/Cl当量比0.83であった。このゾルの酸化スズ
コロイドの粒子径は電子顕微鏡では10mμ以下で、比表
面積160m2/gからの粒子径は5.4mμであった。ゾルは室
温で6ケ月以上放置してもゲル化することなく安定であ
った。 実施例4 蓚酸(試薬(COOH)・2H2O)200gを水1100gに溶解
し、これをガラス製セパラブルフラスコにとりガラス棒
で攪拌しながら100℃まで加温し、還流下に35%過酸化
水素水(試薬)580gと金属スズ粉末(山石金属社製SnA
−200)300gを添加した。 過酸化水素水と金属スズの添加は交代に行い、金属ス
ズは水に分散させて添加した。初めに35%過酸化水素水
60gを次いで金属スズ30gを添加した。反応が終了するの
を待って(5〜10分)この操作を繰り返した。添加に要
した時間は1.5時間で、添加終了後更に100℃で2時間加
熱し反応を終了させた。過酸化水素と金属スズの比はH2
O2/Snモル比は2.37であった。 得られた液は極少量の未反応スズの沈降が認められた
ので、冷却後、遠心ロ過法により未反応スズを除去し
た。得られた酸化スズゾルは非常に透明性が良好であっ
た。この酸化スズゾルの収量は1435gで比重1.320pH1.1
2、粘度40c.p.、SnO226.5%、蓚酸9.9%、SnO2/蓚酸モ
ル比は1.6であった。得られたゾルはチクソ性を有する
が塩酸水溶液を使用した時よりチクソ性は小さい。 ゾル中の酸化スズコロイド粒子径は電子顕微鏡では10
〜15mμで球状の分散性のよい粒子であった。このゾル
は放置によりやゝ増粘傾向を示したが、室温6ケ月放置
ではゲル化は認められず安定であった。 実施例5 実施例1で製造した酸化スズゾル(SnO232.8%,Cl3.3
7%)2660gに水830gを加えSnO2濃度25.0%に希釈した
後、攪拌しながら28%アンモニア水160gを加え中和し
た。アンモニア添加後1時間攪拌した。pHは7.2であっ
た。得られた酸化スズスラリーを遠心ロ過し、約3000g
の純水を用いて2回注水洗浄した。洗浄ロ液の電導度は
1000μs/cm以下であった。このウェットケーキの重量は
1650gでSnO2濃度は52%であった。このウェットケーキ
に水5190gを加え、攪拌しながら28%アンモニア水22gを
加え、1時間攪拌を行いアルカリ性の酸化スズゾルを得
た。 得られたゾルは6862gで比重1.11、pH9.26、粘度50c.
p.、SnO212.5重量%、NH30.12重量%、Cl0.05重量%で
あった。このゾルは透明性が高く、酸化スズコロイドの
粒子径は6.2mμで、分散性は良好であり、レーザー光散
乱法粒子径は110mμであった。このゾルはチクソ性は大
きいが室温で6ケ月以上安定であった。 比較例1 60%硝酸350gをガラス製3のセパラブルフラスコに
とりこれに水1200gを加え、これを80℃に加温し、攪拌
しながら金属スズ粉末(山石金属社製SnA−200)240gと
過酸化水素水400gを添加した。過酸化水素水と金属スズ
の添加は冷却しながら行い、過酸化水素水40g、金属ス
ズ24gを1回の添加量とし、添加後の反応時間を15〜20
分とした。この添加操作を繰り返した。反応時の温度は
70〜90℃であった。添加には3時間を要した。添加終了
後、80℃で2時間熟成をした。反応中に水の蒸発により
液量が減少するため反応途中で適量の水を加え、全液量
を2100gとした。反応液中のSnO2は14.5重量%、硝酸10.
0重量%、Sn/HNO3モル比は0.6であった。 熟成終了後、攪拌を止め一晩静置した。上澄液は若干
コロイド色を呈していた。上澄液を傾斜法にて分離し、
沈降物(980g)に水220gを添加しSnO2濃度を25重量%と
し、1時間攪拌をしたが一部解膠したのみで、大部分は
沈降したままであった。更に水800gを加え全液量を2000
gとし、2時間攪拌したところ酸化スズ沈降物はかなり
解膠し、コロイド状の分散液が得られたが、静置により
短時間でコロイド状に分散した酸化スズ粒子が凝集して
沈降してきた。得られたコロイド状分散液中のSnO2濃度
は15.0重量%、硝酸3.5重量%、Sn/HNO3モル比は1.8で
ある。 比較例2 蟻酸200gを3のガラス製セパラブルフラスコにとり
これに水1100gを入れ100℃まで昇温した後、攪拌しなが
ら35%過酸化水素水600gと金属スズ250gをH2O2/Sn比は
2.9になるように添加したが、過酸化水素の分解がおこ
るのみで金属スズの溶解は起こらず酸化スズゾルを得る
ことは出来なかった。 比較例3 35%塩酸200gと水1200gを3のガラス製セパラブル
フラスコにとりガラス棒にて攪拌しながらこれを80℃に
昇温したた後、冷却しながら35%過酸化水素水280gと金
属スズ粉末(SnA−200)190gを添加した。過酸化水素水
と金属スズの添加はH2O2/Snモル比が1.8になるように35
%H2O2水/Snメタル重量比28/19で添加した。 反応液は過酸化水素不足のため緑色を呈し、未反応の
金属スズがかなり残存した。反応終了後、静定し、上澄
液を除去した後、水を加え攪拌したが一部分がゾルとな
っただけであった。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.塩酸あるいは蓚酸の水溶液に過酸化水素水と金属ス
    ズをH2O2/Snモル比が2〜3の範囲に保ちながら添加し
    て反応させることを特徴とする酸性の酸化スズゾルの製
    造方法。 2.塩酸水溶液中の酸化スズ濃度が15重量%未満になる
    ように反応させる特許請求の範囲第1項記載の酸性の酸
    化スズゾルの製造方法。 3.塩酸水溶液中の酸化スズ濃度が15重量%未満になる
    ように反応させ、得られたゾルを濃縮しコロイドの凝集
    体を生成させ、次いで該凝集体を分離し、水で解膠する
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の酸性の酸
    化スズゾルの製造方法。 4.塩酸水溶液中の酸化スズ濃度が15〜40重量%になる
    ように反応させ、酸化スズのコロイドの凝集体を生成さ
    せ、次いで該凝集体を分離し、水で解膠することを特徴
    とする特許請求の範囲第1項記載の酸性の酸化スズゾル
    の製造方法。 5.蓚酸水溶液中の酸化スズ濃度が40重量%以下になる
    ように反応させることを特徴とする特許請求の範囲第1
    項記載の酸性の酸化スズゾルの製造方法。 6.塩酸あるいは蓚酸の水溶液に過酸化水素水と金属ス
    ズをH2O2/Snモル比が2〜3の範囲に保ちながら添加し
    て反応させ、酸性の酸化スズゾルを得、該ゾルにアンモ
    ニアあるいは有機塩基を加え中和して酸化スズのゲルを
    生成させ、該ゲルを分離、洗浄して得られたウェットケ
    ーキをアンモニアあるいは有機塩基で解膠することを特
    徴とするpH7以上の酸化スズゾルの製造方法。 7.酸性の酸化スズゾルが、塩酸水溶液中の酸化スズ濃
    度が15重量%未満になるように反応させて得る事よりな
    る特許請求の範囲第6項記載のpH7以上の酸化スズゾル
    の製造方法。 8.酸性の酸化スズゾルが、塩酸水溶液中の酸化スズ濃
    度が15重量%未満になるように反応させ、得られたゾル
    を濃縮しコロイドの凝集体を生成させ、次いで該凝集体
    を分離し、水で解膠して得る事よりなる特許請求の範囲
    第6項記載のpH7以上の酸化スズゾルの製造方法。 9.酸性の酸化スズゾルが、塩酸水溶液中の酸化スズ濃
    度が15〜40重量%になるように反応させ、酸化スズのコ
    ロイドの凝集体を生成させ、次いで該凝集体を分離し、
    水で解膠して得る事よりなる特許請求の範囲第6項記載
    のpH7以上の酸化スズゾルの製造方法。 10.酸性の酸化スズゾルが、蓚酸水溶液中の酸化スズ
    濃度が40重量%以下になるように反応させて得る事より
    なる特許請求の範囲第6項記載のpH7以上の酸化スズゾ
    ルの製造方法。
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