JP4877518B2 - 導電性酸化スズゾル及びその製造方法 - Google Patents
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Description
第2観点として、前記導電性酸化スズゾルの透過電子顕微鏡観察による粒子径が2〜25nmである第1観点に記載の導電性酸化スズゾル、
第3観点として、前記コロイド粒子(A)の酸化スズ(SnO2)に対するドープされたリン(P)のモル比が0.005〜0.2である第1観点又は第2観点に記載の導電性酸化スズゾル、
第4観点として、酸化スズゾルにリン化合物を混合した後、水熱処理して得られる第1観点乃至第3観点のいずれか一つに記載の導電性酸化スズゾルの製造方法、
第5観点として、前記酸化スズゾルにリン化合物を混合した後の水熱処理温度が100〜350℃である第4観点に記載の導電性酸化スズゾルの製造方法、
第6観点として、前記酸化スズゾルが、有機酸の水溶液に金属スズと過酸化水素とをH2O2/Snモル比を2〜3の範囲に保ちながら添加して反応させることを特徴とする第4観点又は第5観点に記載の導電性酸化スズゾルの製造方法、
第7観点として、前記有機酸の水溶液の酸化スズ濃度が40質量%以下になるように添加して反応させることを特徴とする第6観点に記載の導電性酸化スズゾルの製造方法、
第8観点として、前記有機酸が、シュウ酸又はシュウ酸を主成分として含む有機酸である第6観点又は第7観点に記載の導電性酸化スズゾルの製造方法、
第9観点として、前記リン化合物が、オルトリン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、亜リン酸、亜リン酸二水素ナトリウム、亜リン酸水素二ナトリウム、亜リン酸三ナトリウム、三塩化リン及び五塩化リンからなる群から選ばれる少なくとも1種のリン化合物である第4観点又は第5観点に記載の導電性酸化スズゾルの製造方法、
第10観点として、第1観点乃至第3観点のいずれか一つに記載の導電性酸化スズゾルとバインダーとを含むコーティング組成物、
第11観点として、前記バインダーが、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、メラミン樹脂、ゼラチン及びゼラチン誘導体、セルロース及びセルロース誘導体、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、有機ケイ素化合物、ユリア樹脂、ジアリルフタレート樹脂及びブチラール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である第10観点に記載のコーティング組成物、
第12観点として、基材表面に第10観点又は第11観点に記載のコーティング組成物より形成される被膜を有する部材、及び
第13観点として、前記部材が、プラスチック、ゴム、ガラス、金属、セラミックス又は紙である第12観点に記載の部材である。
を添加することができる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系など広く使用することができる。
メラミン樹脂としては、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂及びメチルブチル混合型メラミン樹脂等を用いることができる。
C成分:一般式(I)
(R1)a(R3)bSi(OR2)4−(a+b) (I)
(ここでR1、R3はそれぞれアルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、ハロゲン基、グリシドキシ基、エポキシ基、アミノ基、フェニル基、メルカプト基、メタクリルオキシ基及びシアノ基からなる群より選ばれた有機基を示し、R2は炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、アシル基及びフェニル基からなる群より選ばれる有機基を示し、a及びbは0又は1の整数である。)で表される有機ケイ素化合物又はその加水分解物。
D成分:一般式(II)
{(OX)3−aSi(R4)}2Y (II)
(ここでR4は炭素数1〜5の有機基を示し、Xは炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアシル基を示し、Yは炭素数2〜20の有機基を示し、aは0又は1の整数である)で表される有機ケイ素化合物又はその加水分解物。
C成分は、上述した一般式(I)で示される。その具体的な有機ケイ素化合物又はその加水分解物の例:メチルシリケート、エチルシリケート、n−プロピルシリケート、iso−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、テトラアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアセチキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアミロキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリベンジルオキシシラン、メチルトリフェネチルオキシシラン、グルシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、αーグリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシトリエチキシシラン、β−グリシドキシトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α―グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α―グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β―グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β―グリシドキシエチルエチルジメトキシシラン、α―グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β―グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β―グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ―グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルビニルメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルビニルエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルビニルフェニルメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルビニルフェニルエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ―クロロプロピルトリメトキシシラン、γ―クロロプロピルトリエトキシシラン、γ―クロロプロピルトリアセトキシシラン、3、3、3―トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリエトキシシラン、β―シアノエチルトリエトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、N―(β―アミノエチル)γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、N―(β―アミノエチル)γ―アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ―アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、N―(β―アミノエチル)γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、N―(β―アミノエチル)γ―アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ―クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ―クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ―メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ―メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ―メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ―メルカプトメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン等及びこれらの加水分解物。
(原料アルカリ性酸化スズ水性ゾルの製造)
シュウ酸((COOH)2・2H2O)37.5kgを純水383kgに溶解し、これを500Lベッセルにとり、攪拌下70℃まで加熱し、35質量%過酸化水素水150kgと金属スズ(山石金属社製商品名:AT−SNNO200N)75kgを添加した。過酸化水素水と金属スズの添加は交互に行った。初めに35質量%過酸化水素水10kgを、次いで金属スズ5kgを添加した。反応が終了するのを待って(5〜10分)、この操作を繰り返した。全量添加後、更に35質量%過酸化水素水10kg追加した。添加に要した時間は2.5時間で、添加終了後、更に95℃で1時間加熱し、反応を終了させた。過酸化水素水と金属スズのモル比はH2O2/Snとして2.61であった。得られた酸化スズ水性ゾルは非常に透明性が良好であった。この酸化スズ水性ゾルの収量は630kgで、比重1.154、pH1.51、SnO2として14.7質量%であった。得られたゾルを電子顕微鏡で観察したところ、10〜15nmの球状の分散性の良いコロイド粒子であった。このゾルは放置によりやや増粘傾向を示したが、室温6ヶ月放置ではゲル化は認められず安定であった。得られたゾル629kgに35質量%過酸化水素水231kg、純水52kgを添加し、SnO2として10質量%、仕込み時のシュウ酸に対してH2O2/(COOH)2モル比が8.0になるように希釈し、95℃に加熱、5時間熟成を行った。この操作により含有するシュウ酸を過酸化水素との反応により炭酸ガスと水に分解させた。得られた酸化スズスラリーを約40℃まで冷却後、イソプロピルアミンを2.7kg添加、解膠した後、白金系触媒{N−220(ズードケミー触媒(株)製商品名)を約15L充填した触媒塔に通液、循環し、過剰な過酸化水素の分解処理を行った。通液速度は約30L/min.で5時間、循環を行った。更に陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410:オルガノ(株)製商品名)を充填したカラムに通液し、アルカリ性の酸化スズ水性ゾル、1545kgを得た。得られたアルカリ性酸化スズ水性ゾルはpH11.03、電導度305μS/cmであった。
参考例1で得られたアルカリ性酸化スズ水性ゾル(SnO2として6.0質量%含有するように調整)2200gに、10%オルトリン酸26gとジイソプロピルアミン3.5gとを混合した水溶液29.5gを撹拌下で徐々に添加し、添加終了後30分撹拌を続け、リン酸混合アルカリ性酸化スズ水性ゾルを調製した。得られたリン酸混合アルカリ性酸化スズ水ゾルはpH9.66、電導度1600μS/cmであった。このリン酸混合アルカリ性酸化スズ水性ゾルを3Lのオートクレーブに入れた後、150℃まで昇温し、8時間保持した。得られたリンドープのアルカリ性導電性酸化スズ水性ゾルはpH10.51、電導度1450μS/cmであった。このリンドープのアルカリ性導電性酸化スズ水性ゾルを陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂の順に通液して剰余のジイソプロピルアミンとリン酸イオンを除去して、酸性導電性酸化スズ水性ゾルを得た。得られた酸性導電性酸化スズ水性ゾルのpHは3.54、電導度は80μS/cmであった。この酸性導電性酸化スズ水性ゾル2548g(SnO2濃度5.18質量%)に撹拌下でジイソブチルアミン0.66gを添加した後、1時間撹拌を行い、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下で432gまで濃縮することにより、導電性酸化スズ水性ゾルを得た。この導電性酸化スズ水性ゾルは、比重1.35、pH5.14、電導度460μS/cm、SnO2として30.7質量%、透過電子顕微鏡観察による粒子径は2〜25nm、動的光散乱法による平均粒子径は22nmであった。該導電性酸化スズ水性ゾルをSnO2濃度10質量%に調整し、10mmの光路長で分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、波長600nmの光線透過率は88.5%であった。このゾルを130℃で乾燥した乾燥物は、BET法による比表面積が140m2/gであった。更にこの乾燥物はX線回折の結果、スズ石(Cussiterite)のピークを示した。蛍光X線分析による結果、酸化スズ(SnO2)に対するドープされたリン(P)のモル比は0.021であった。得られたSnO2濃度30.7質量%の導電性酸化スズ水性ゾル420g中の水をロータリーエバポレーターを用いて減圧下でメタノールに置換することにより導電性酸化スズメタノールゾル412gを得た。該メタノールゾルはSnO2濃度31.3質量%、比重1.10、pH(1+1)6.00、電導度59μS/cmであった。この導電性酸化スズメタノールゾルをSnO2濃度10質量%に調整し、分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、波長600nmの光線透過率は76.3%であった。
実施例1で得られた導電性酸化スズメタノールゾル100gに樹脂型顔料分散剤Disperbyk−106(ビックケミー社製商品名;成分:酸性基を有するポリマー塩)6.3gを添加し、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下でメチルエチルケトンに置換することにより、導電性酸化スズメチルエチルケトンゾルを103g得た。該メチルエチルケトンゾルはSnO2濃度30.3質量%、比重1.15であった。この導電性酸化スズメチルエチルケトンゾルを10質量%に調整し、分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、波長600nmの光線透過率は78.7%であった。
実施例1で得られた導電性酸化スズメタノールゾル100gに樹脂型顔料分散剤Disperbyk−106(ビックケミー社製商品名;成分:酸性基を有するポリマー塩)3.1gを添加し、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下でメチルエチルケトンに置換することにより、導電性酸化スズメチルエチルケトンゾルを103g得た。該メチルエチルケトンゾルはSnO2濃度30.2質量%、比重1.11であった。この導電性酸化スズメチルエチルケトンゾルをSnO2濃度10質量%に調整し、分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、波長600nmの光線透過率は42.9%であった。
実施例1で得られた導電性酸化スズメタノールゾル5gにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製商品名)0.9g、光開始剤イルガキュアー184(チバガイギー社製商品名)0.1g、n−ブタノール2.1gを混合した紫外線硬化性樹脂組成物を配合し、導電性酸化スズを含む樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の分散状態は良好であった。これをPETフィルム(125μm)の上面に、No.12(27.4μm)のワイヤーバーを用いて塗布した後、紫外線照射機にて紫外線を照射し、導電性被膜を有するPETフィルムを得た。この導電性被膜の膜厚は1.1μmであった。得られた導電性被膜付きPETフィルムを分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、L=99.18、a=−0.12、b=0.79、YI=2.5であり、分光ヘイズメーターTC−H3DPK−MKII((有)東京電色製)を用いてヘイズを測定した結果、全光透過率(Tt)は99.5%、ヘイズ値は2.5であった。このフィルムの表面抵抗率測定装置ハイレスターUP(三菱化学(株)製)による表面抵抗値は気温24℃、相対湿度33%の状態で測定して4×109Ω/□であった。本願発明のリンドープ酸化スズゾルは紫外線及び可視光線の照射により導電性の向上が認められる。上記実施例4においてフィルム硬化時の紫外線照射直後の表面抵抗値は1×107Ω/□であるが、放置により平衡状態に至り、2時間後で4×109Ω/□の値を示した。このフィルムに再度紫外線を照射すると表面抵抗値は1×107Ω/□を示し硬化直後と同じ値を示した。
(コーティング組成物の作製)
マグネチックスターラーを備えたガラス製の容器に、前述したC成分に該当するγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン49.9gを加え、撹拌しながら0.01規定の塩酸17.4gを3時間で滴下した。滴下終了後、0.5時間撹拌を行い、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分解物を得た。該加水分解物67.3gに実施例1で得た導電性酸化スズメタノールゾル200gを加え、更に硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネート0.8gを加えて、十分に撹拌した後、ろ過を行ってコーティング組成物を作製した。
(硬化膜の形成)
5cm角のガラス基板にスピンコート法で上記のコーティング組成物を塗布し、120℃で2時間加熱処理して、塗膜を硬化させた。得られた導電性高屈折率被膜の膜厚は1.4μであり、その屈折率は1.66、反射率は4.51%であった。屈折率、反射率はレンズ反射率測定機を用いて測定した。
(反射防止膜の作製)
得られた導電性高屈折率被膜に、反射防止機能付与のために低屈折率被膜としてテトラエトキシシランの部分加水分解物をスピンコート法で塗布し、110℃で1時間加熱処理をして、塗膜を硬化させた。得られた反射防止膜付き導電性高屈折率被膜の膜厚は1.7μであり、その反射率は1.43%であった。
参考例1で得られたアルカリ性酸化スズ水性ゾル(SnO2として6.0質量%含有するように調整)2200gに、10%オルトリン酸85.9gとジイソプロピルアミン11.6gとを混合した水溶液97.5gを撹拌下で徐々に添加し、添加終了後30分撹拌を続け、リン酸混合アルカリ性酸化スズ水性ゾルを調製した。得られたリン酸混合アルカリ性酸化スズ水ゾルはpH7.38、電導度4020μS/cmであった。このリン酸混合アルカリ性酸化スズ水性ゾルを3Lのオートクレーブに入れた後、150℃まで昇温し、8時間保持した。得られたリンドープのアルカリ性導電性酸化スズ水性ゾルはpH8.8、電導度4450μS/cmであった。このリンドープのアルカリ性導電性酸化スズ水性ゾルを陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂の順に通液して剰余のジイソプロピルアミンとリン酸イオンを除去して、酸性導電性酸化スズ水性ゾルを得た。得られた酸性導電性酸化スズ水性ゾルのpHは3.74、電導度は70μS/cmであった。この酸性導電性酸化スズ水性ゾル2490g(SnO2濃度5.30質量%)に撹拌下でジイソブチルアミン0.66gを添加した後、1時間撹拌を行い、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下で428gまで濃縮することにより、SnO2濃度30.8質量%の導電性酸化スズ水性ゾルを得た。この導電性酸化スズ水性ゾルは、比重1.35、pH5.31、電導度440μS/cm、透過電子顕微鏡観察による粒子径は3〜23nm、動的光散乱法による平均粒子径は23nmであった。この導電性酸化スズ水性ゾルをSnO2濃度10質量%に調整し、10mmの光路長で分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、波長600nmの光線透過率は87.3%であった。更に蛍光X線分析による結果、酸化スズ(SnO2)に対するドープされたリン(P)のモル比は0.081であった。得られたSnO2濃度30.8質量%の導電性酸化スズ水性ゾル405g中の水をロータリーエバポレーターを用いて減圧下でメタノールに置換することにより、導電性酸化スズメタノールゾル410gを得た。この導電性酸化スズメタノールゾルはSnO2濃度30.5質量%、比重1.1、pH(1+1)6.55、電導度60μS/cmであった。この導電性酸化スズメタノールゾルをSnO2濃度10質量%に調整し、分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、波長600nmの光線透過率は78.2%であった。
実施例6で得られた導電性酸化スズメタノールゾル5gにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製商品名)0.9g、光開始剤イルガキュアー184(チバガイギー社製商品名)0.1g、n−ブタノール2.1gを混合した紫外線硬化性樹脂組成物を配合し、導電性酸化スズを含む樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の分散状態は良好であった。これをPETフィルム(125μm)の上面に、No.12(27.4μm)のワイヤーバーを用いて塗布した後、紫外線照射機にて紫外線を照射し、導電性被膜を有するPETフィルムを得た。この導電性被膜の膜厚は1.1μmであった。得られた導電性被膜付きPETフィルムを分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、L=99.6、a=−0.13、b=0.78であり、分光ヘイズメーターTC−H3DPK−MKII((有)東京電色製)を用いてヘイズを測定した結果、全光透過率(Tt)は99.6%、ヘイズ値は1.6であった。このフィルムの表面抵抗率測定装置ハイレスターUP(三菱化学(株)製)による表面抵抗値は気温24℃、相対湿度33%の状態で測定して2×109Ω/□であった。
参考例1で得られたアルカリ性酸化スズ水性ゾル(SnO2として6.0質量%含有するように調整)2200gに、10%オルトリン酸26gとジイソプロピルアミン3.5gとを混合した水溶液29.5gを撹拌下で徐々に添加し、添加終了後30分撹拌を続け、リン酸混合アルカリ性酸化スズ水性ゾルを調製した。得られたリン酸混合アルカリ性酸化スズ水ゾルはpH9.66、電導度1600μS/cmであった。このリン酸混合アルカリ性酸化スズ水性ゾルを3Lのオートクレーブに入れた後、200℃まで昇温し、8時間保持した。得られたリンドープのアルカリ性導電性酸化スズ水性ゾルはpH10.2、電導度1340μS/cmであった。このリンドープのアルカリ性導電性酸化スズ水性ゾルを陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂の順に通液して剰余のジイソプロピルアミンとリン酸イオンを除去して、酸性導電性酸化スズ水性ゾルを得た。得られた酸性導電性酸化スズ水性ゾルのpHは3.55、電導度は80μS/cmであった。この酸性導電性酸化スズ水性ゾル2550g(SnO2濃度5.18質量%)に撹拌下でジイソブチルアミン0.66gを添加した後、1時間撹拌を行い、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下で432gまで濃縮することにより、SnO2濃度30.6質量%の導電性酸化スズ水性ゾルを得た。この導電性酸化スズ水性ゾルは、比重1.35、pH5.11、電導度444μS/cm、透過電子顕微鏡観察による粒子径は5〜25nm、動的光散乱法による平均粒子径は66nmであった。この導電性酸化スズ水性ゾルをSnO2濃度10質量%に調整し、10mmの光路長で分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、波長600nmの光線透過率は62.5%であった。更に蛍光X線分析による結果、酸化スズ(SnO2)に対するドープされたリン(P)のモル比は0.020であった。得られたSnO2濃度30.6質量%の導電性酸化スズ水性ゾル405g中の水をロータリーエバポレーターを用いて減圧下でメタノールに置換することにより導電性酸化スズメタノールゾル411gを得た。この導電性酸化スズメタノールゾルはSnO2濃度31.0質量%、比重1.12、pH(1+1)6.7、電導度50μS/cmであった。この導電性酸化スズメタノールゾルをSnO2濃度10質量%に調整し、分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、波長600nmの光線透過率は56.6%であった。
実施例8で得られた導電性酸化スズメタノールゾル5gにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製商品名)0.9g、光開始剤イルガキュアー184(チバガイギー社製商品名)0.1g、n−ブタノール2.1gを混合した紫外線硬化性樹脂組成物を配合し、導電性酸化スズを含む樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の分散状態は良好であった。これをPETフィルム(125μm)の上面に、No.12(27.4μm)のワイヤーバーを用いて塗布した後、紫外線照射機にて紫外線を照射し、導電性被膜を有するPETフィルムを得た。この導電性被膜の膜厚は1.1μmであった。得られた導電性被膜付きPETフィルムを分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、L=99.4、a=−0.13、b=0.81であり、分光ヘイズメーターTC−H3DPK−MKII((有)東京電色製)を用いてヘイズを測定した結果、全光透過率(Tt)は99.6%、ヘイズ値は1.6であった。このフィルムの表面抵抗率測定装置ハイレスターUP(三菱化学(株)製)による表面抵抗値は気温24℃、相対湿度33%の状態で測定して3×109Ω/□であった。本願発明のリンドープ酸化スズゾルは紫外線及び可視光線の照射により導電性の向上が認められる。上記実施例9において、フィルム硬化時の紫外線照射直後の表面抵抗値(低抵抗計ローレスタ−IP「MCP−T250」(三菱化学(株)製)により測定した)は、3×105Ω/□であるが、放置により平衡状態に至り、2時間後で表面抵抗値(表面抵抗率測定装置ハイレスターUP(三菱化学(株)製)により測定した)は、3×109Ω/□の値を示した。このフィルムに再度紫外線を照射すると表面抵抗値(低抵抗計ローレスタ−IP「MCP−T250」(三菱化学(株)製)により測定した)は、3×105Ω/□を示し、硬化直後と同じ値を示した。
参考例1で得られたアルカリ性酸化スズ水性ゾル(SnO2として6.0質量%含有するように調整)2200gに、10%オルトリン酸26gとジイソプロピルアミン3.5gとを混合した水溶液29.5gを撹拌下で徐々に添加し、添加終了後30分撹拌を続け、リン酸混合アルカリ性酸化スズ水性ゾルを調製した。得られたリン酸混合アルカリ性酸化スズ水ゾルはpH9.66、電導度1600μS/cmであった。このリン酸混合アルカリ性酸化スズ水性ゾルを3Lのオートクレーブに入れた後、240℃まで昇温し、5時間保持した。得られたリンドープのアルカリ性導電性酸化スズ水性ゾルはpH10.3、電導度1300μS/cmであった。このリンドープのアルカリ性導電性酸化スズ水性ゾルを陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂の順に通液して剰余のジイソプロピルアミンとリン酸イオンを除去して、酸性導電性酸化スズ水性ゾルを得た。得られた酸性導電性酸化スズ水性ゾルのpHは3.45、電導度は90μS/cmであった。この酸性導電性酸化スズ水性ゾル2660g(SnO2濃度4.96質量%)に撹拌下でジイソブチルアミン0.66gを添加した後、1時間撹拌を行い、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下で426gまで濃縮することにより、SnO2濃度31.0質量%の導電性酸化スズ水性ゾルを得た。この導電性酸化スズ水性ゾルは、比重1.34、pH6.66、電導度445μS/cm、透過電子顕微鏡観察による粒子径は6〜30nm、動的光散乱法による平均粒子径は82nmであった。この導電性酸化スズ水性ゾルをSnO2濃度10質量%に調整し、10mmの光路長で分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、波長600nmの光線透過率は55.5%であった。更に蛍光X線分析による結果、酸化スズ(SnO2)に対するドープされたリン(P)のモル比は0.019であった。得られたSnO2濃度31.0質量%の導電性酸化スズ水性ゾル406g中の水をロータリーエバポレーターを用いて減圧下でメタノールに置換することにより、導電性酸化スズメタノールゾルを405g得た。この導電性酸化スズメタノールゾルはSnO2濃度31.2質量%、比重1.12、pH(1+1)6.7、電導度51μS/cmであった。この導電性酸化スズメタノールゾルをSnO2濃度10質量%に調整し、分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、波長600nmの光線透過率は54.5%であった。
実施例10で得られた導電性酸化スズメタノールゾル5gにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製商品名)0.9g、光開始剤イルガキュアー184(チバガイギー社製商品名)0.1g、n−ブタノール2.1gを混合した紫外線硬化性樹脂組成物を配合し、導電性酸化スズを含む樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の分散状態は良好であった。これをPETフィルム(125μm)の上面に、No.12(27.4μm)のワイヤーバーを用いて塗布した後、紫外線照射機にて紫外線を照射し、導電性被膜を有するPETフィルムを得た。この導電性被膜の膜厚は1.1μmであった。得られた導電性被膜付きPETフィルムを分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、L=99.3、a=−0.13、b=0.80であり、分光ヘイズメーターTC−H3DPK−MKII((有)東京電色製)を用いてヘイズを測定した結果、全光透過率(Tt)は99.6%、ヘイズ値は1.6であった。このフィルムの表面抵抗率測定装置ハイレスターUP(三菱化学(株)製)による表面抵抗値は気温24℃、相対湿度33%の状態で測定して4×109Ω/□であった。
参考例1で得られたアルカリ性酸化スズ水性ゾル(SnO2として6.0質量%含有するように調整)2200gを3Lのオートクレーブに入れた後、150℃まで昇温し、8時間保持した。得られたアルカリ性酸化スズ水性ゾルはpH10.9、電導度351μS/cmであった。このアルカリ性酸化スズ水性ゾルを陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂の順に通液すると、ゲル化した。そこでイオン交換樹脂には通液せず、このアルカリ性酸化スズ水性ゾルをロータリーエバポレーターを用いて減圧下で425gまで濃縮することにより、SnO2濃度30.9質量%のアルカリ性酸化スズ水性ゾルを得た。このアルカリ性酸化スズ水性ゾルは、比重1.35、pH10.5、電導度600μS/cm、透過電子顕微鏡観察による粒子径は2〜20nm、動的光散乱法による平均粒子径は17nmであった。このアルカリ性酸化スズ水性ゾルをSnO2濃度10質量%に調整し、10mmの光路長で分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、波長600nmの光線透過率は88.0%であった。SnO2濃度30.9質量%のアルカリ性酸化スズ水性ゾル400gを、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下でメタノールに置換することにより酸化スズメタノールゾル405gを得た。この酸化スズメタノールゾルはSnO2濃度30.8質量%、比重1.11、pH(1+1)10.0、電導度315μS/cmであった。この酸化スズメタノールゾルをSnO2濃度10質量%に調整し、分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、波長600nmの光線透過率は78.1%であった。
比較例1で得られた酸化スズメタノールゾル5gにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製商品名)0.9g、光開始剤イルガキュアー184(チバガイギー社製商品名)0.1g、n−ブタノール2.1gを混合した紫外線硬化性樹脂組成物を配合し、酸化スズを含む樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の分散状態は良好であった。これをPETフィルム(125μm)の上面に、No.12(27.4μm)のワイヤーバーを用いて塗布した後、紫外線照射機にて紫外線を照射し、酸化スズを含む被膜を有するPETフィルムを得た。この被膜の膜厚は1.1μmであった。得られた被膜付きPETフィルムを分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、L=99.5、a=−0.13、b=0.80であり、分光ヘイズメーターTC−H3DPK−MKII((有)東京電色製)を用いてヘイズを測定した結果、全光透過率(Tt)は99.2%、ヘイズ値は1.5であった。このフィルムの表面抵抗率測定装置ハイレスターUP(三菱化学(株)製)による表面抵抗値は気温24℃、相対湿度33%の状態で測定して2.4×1012Ω/□であった。
参考例1で得られたアルカリ性酸化スズ水性ゾル(SnO2として6.0質量%含有するように調整)2200gに、10%オルトリン酸26gとジイソプロピルアミン3.5gとを混合した水溶液29.5gを撹拌下で徐々に添加し、添加終了後30分撹拌を続け、リン酸混合アルカリ性酸化スズ水性ゾルを調製した。得られたリン酸混合アルカリ性酸化スズ水ゾルはpH9.66、電導度1600μS/cmであった。このリン酸混合アルカリ性酸化スズ水性ゾルを3Lのオートクレーブに入れた後、90℃まで昇温し、8時間保持した。得られたアルカリ性酸化スズ水性ゾルはpH9.88、電導度1280μS/cmであった。このアルカリ性酸化スズ水性ゾルを陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂の順に通液するとゲル化した。そこで陰イオン交換樹脂に通液後、陽イオン交換樹脂には通液せずに酸化スズ水性ゾルを得た。得られた酸化スズ水性ゾルは、pH9.44、電導度は80μS/cmであった。酸化スズ(SnO2)に対するドープされたリン(P)のモル比を蛍光X線分析により測定した結果、0.004であった。原料のアルカリ性酸化スズゾル水性ゾルに仕込んだオルトリン酸のほとんどは、酸化スズゾル粒子にドープされず、陰イオン交換により除去された。陰イオン交換を行った酸化スズ水性ゾル2450g(SnO2濃度5.39質量%)をロータリーエバポレーターを用いて減圧下で425gまで濃縮することにより、SnO2濃度31.0質量%の酸化スズ水性ゾルを得た。この酸化スズ水性ゾルは、比重1.36、pH10.4、電導度715μS/cm、透過電子顕微鏡観察による粒子径は2〜25nm、動的光散乱法による平均粒子径は20nmであった。この酸化スズ水性ゾルをSnO2濃度10質量%に調整し、10mmの光路長で分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、波長600nmの光線透過率は87.0%であった。SnO2濃度31.0質量%の酸化スズ水性ゾル420g中の水をロータリーエバポレーターを用いて減圧下でメタノールに置換することにより、酸化スズメタノールゾル412gを得た。この酸化スズメタノールゾルはSnO2濃度31.1質量%、比重1.12、pH(1+1)10.4、電導度383μS/cmであった。この酸化スズメタノールゾルをSnO2濃度10質量%に調整し、分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、波長600nmの光線透過率は77.2%であった。
比較例3で得られた導電性酸化スズメタノールゾル5gにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製商品名)0.9g、光開始剤イルガキュアー184(チバガイギー社製商品名)0.1g、n−ブタノール2.1gを混合した紫外線硬化性樹脂組成物を配合し、酸化スズを含む樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の分散状態は良好であった。これをPETフィルム(125μm)の上面に、No.12(27.4μm)のワイヤーバーを用いて塗布した後、紫外線照射機にて紫外線を照射し、酸化スズを含む被膜を有するPETフィルムを得た。この被膜の膜厚は1.1μmであった。得られた被膜付きPETフィルムを分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、L=99.6、a=−0.13、b=0.78であり、分光ヘイズメーターTC−H3DPK−MKII((有)東京電色製)を用いてヘイズを測定した結果、全光透過率(Tt)は99.6%、ヘイズ値は1.5であった。このフィルムの表面抵抗率測定装置ハイレスターUP(三菱化学(株)製)による表面抵抗値は気温24℃、相対湿度33%の状態で測定して2×1011Ω/□であった。
参考例1で得られたアルカリ性酸化スズ水性ゾル(SnO2として6.0質量%含有するように調整)2200gに、10%オルトリン酸2.6gとジイソプロピルアミン3.5gとを混合した水溶液を撹拌下で徐々に添加し、添加終了後30分撹拌を続け、リン酸混合アルカリ性酸化スズ水性ゾルを調製した。得られたリン酸混合アルカリ性酸化スズ水ゾルはpH10.4、電導度1000μS/cmであった。このリン酸混合アルカリ性酸化スズ水性ゾルを3Lのオートクレーブに入れた後、150℃まで昇温し、8時間保持した。得られたアルカリ性酸化スズ水性ゾルはpH10.0、電導度880μS/cmであった。このアルカリ性酸化スズ水性ゾルを陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂の順に通液するとゲル化した。そこでこのアルカリ性酸化スズ水性ゾル2000gを陰イオン交換樹脂に通液後、陽イオン交換樹脂には通液せずに酸化スズ水性ゾルを得た。この酸化スズ水性ゾルをロータリーエバポレーターを用いて減圧下で388gまで濃縮することにより、SnO2濃度30.8質量%のアルカリ性酸化スズ水性ゾルを得た。このアルカリ性酸化スズ水性ゾルは、比重1.36、pH10.4、電導度660μS/cm、透過電子顕微鏡観察による粒子径は2〜20nm、動的光散乱法による平均粒子径は20nmであった。蛍光X線分析による結果、酸化スズ(SnO2)に対するドープされたリン(P)のモル比は0.002であった。このアルカリ性酸化スズ水性ゾルをSnO2濃度10質量%に調整し、10mmの光路長で分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、波長600nmの光線透過率は86.8%であった。SnO2濃度30.8質量%のアルカリ性酸化スズ水性ゾル380gをロータリーエバポレーターを用いて減圧下でメタノールに置換することにより、酸化スズメタノールゾルを381g得た。この酸化スズメタノールゾルは固形分30.8質量%、比重1.11、pH(1+1)10.3、電導度366μS/cmであった。この酸化スズメタノールゾルをSnO2濃度10質量%に調整し、分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、波長600nmの光線透過率は77.9%であった。
比較例5で得られた酸化スズメタノールゾル5gにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製商品名)0.9g、光開始剤イルガキュアー184(チバガイギー社製商品名)0.1g、n−ブタノール2.1gを混合した紫外線硬化性樹脂組成物を配合し、酸化スズを含む樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の分散状態は良好であった。これをPETフィルム(125μm)の上面に、No.12(27.4μm)のワイヤーバーを用いて塗布した後、紫外線照射機にて紫外線を照射し、酸化スズを含む被膜を有するPETフィルムを得た。この被膜の膜厚は1.1μmであった。得られた被膜付きPETフィルムを分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、L=99.6、a=−0.14、b=0.78であり、分光ヘイズメーターTC−H3DPK−MKII((有)東京電色製)を用いてヘイズを測定した結果、全光透過率(Tt)は99.6%、ヘイズ値は1.6であった。このフィルムの表面抵抗率測定装置ハイレスターUP(三菱化学(株)製)による表面抵抗値は気温24℃、相対湿度33%の状態で測定して3.5×1012Ω/□であった。
スズ酸カリウム371.6gを水686gに溶解して原料水溶液を調製した。50℃に加熱された1000gの水に、攪拌下で前記原料水溶液を10質量%硝酸1880gとともに12時間かけて添加し、系内のpHを8.5に保持して加水分解を行い酸化スズスラリーを得た。このスラリーから酸化スズコロイド粒子の凝集体を濾別し、純水で充分洗浄して副生塩を除去して、酸化スズコロイド粒子のケーキを110℃で乾燥した。得られたケーキの乾燥物228gに20%オルトリン酸13gを含浸させた。その後、このケーキを空気中350℃で3時間焼成し、さらに空気中で650℃で2時間焼成してリンドープ酸化スズ微粉末を得た。得られたリンドープ酸化スズ微粉末は蛍光X線分析による結果、酸化スズ(SnO2)に対するドープされたリン(P)のモル比は0.018であった。得られたリンドープ酸化スズ微粉末10gを水90gと混合し、ボールミルを用いて24時間湿式粉砕を行って、リンドープ酸化スズ水性ゾルを得た。得られたリンドープ酸化スズ水性ゾルはSnO2濃度10.0質量%、透過電子顕微鏡観察による粒子径は45〜80nm、動的光散乱法による平均粒子径は265nm、10mmの光路長で分光式色差計TC−1800MK−II((有)東京電色製)を用いて測定した結果、SnO2濃度における波長600nmの光線透過率は0%であった。
Claims (14)
- リンがドープされた導電性酸化スズコロイド粒子(A)を含むゾルであって、該ゾル中のコロイド粒子(A)の濃度を10質量%となるように調製したゾルの光路長10mmにおける波長600nmの光線透過率が30%以上である導電性酸化スズゾル。
- 前記導電性酸化スズゾルの透過電子顕微鏡観察による粒子径が2〜25nmである請求項1に記載の導電性酸化スズゾル。
- 前記コロイド粒子(A)の酸化スズ(SnO2)に対するドープされたリン(P)のモル比が0.005〜0.2である請求項1又は請求項2に記載の導電性酸化スズゾル。
- 酸化スズゾルにリン化合物を混合した後、水熱処理して得られる請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の導電性酸化スズゾルの製造方法。
- 前記酸化スズゾルにリン化合物を混合した後の水熱処理温度が100〜350℃である請求項4に記載の導電性酸化スズゾルの製造方法。
- 前記酸化スズゾルが、有機酸の水溶液に金属スズと過酸化水素とをH2O2/Snモル比を2〜3の範囲に保ちながら添加して反応させることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の導電性酸化スズゾルの製造方法。
- 前記有機酸の水溶液の酸化スズ濃度が40質量%以下になるように添加して反応させることを特徴とする請求項6に記載の導電性酸化スズゾルの製造方法。
- 前記有機酸が、シュウ酸又はシュウ酸を主成分として含む有機酸である請求項6又は請求項7に記載の導電性酸化スズゾルの製造方法。
- 前記リン化合物が、オルトリン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、亜リン酸、亜リン酸二水素ナトリウム、亜リン酸水素二ナトリウム、亜リン酸三ナトリウム、三塩化リン及び五塩化リンからなる群から選ばれる少なくとも1種のリン化合物である請求項4又は請求項5に記載の導電性酸化スズゾルの製造方法。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の導電性酸化スズゾルとバインダーとを含むコーティング組成物。
- 前記バインダーが、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、メラミン樹脂、ゼラチン及びゼラチン誘導体、セルロース及びセルロース誘導体、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、有機ケイ素化合物、ユリア樹脂、ジアリルフタレート樹脂及びブチラール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項10に記載のコーティング組成物。
- 基材表面に請求項10又は請求項11に記載のコーティング組成物より形成される被膜を有する部材。
- 前記部材が、プラスチック、ゴム、ガラス、金属、セラミックス又は紙である請求項12に記載の部材。
- 請求項12又は請求項13に記載の部材にさらに反射防止膜を設けたことを特徴とする反射防止膜付部材。
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