JP2684505C - - Google Patents

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JP2684505C
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、こうぞ、みつまた、マニラ麻等の天然繊維の抄紙またはこれら天然
繊維に一部ポリプロピレン、ビニロン、ポリエステル、ナイロン、レーヨン等の
合成繊維を混合抄紙した和紙に対して、含浸加工する事により優れた乾燥紙力増
強性、湿潤紙力増強性を与える和紙補強剤に関するものであり、特にポリエステ
ルフィルムとラミネートされた樹脂加工極薄和紙に湿潤時接着性及び耐刷性を与 え、サーマルヘッドによる書き込み穿孔方式を用いる製版方式に供する感熱孔版
印刷機マスター紙用和紙補強剤として好適である。 【0002】 【従来の技術】 従来の紙力増強剤には、乾燥紙力増強剤としてポリビニルアルコール樹脂、ポ
リアクリルアミド、デンプン等が、また湿潤紙力増強剤としては尿素ホルムアル
デヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ジアルデヒドデンプン、グリオキ
ザール変性ポリアクリルアミド、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン等が
抄紙工程中の内添薬剤として使われてきた。また含浸薬剤として、SBRラテッ
クス、クロロプレンラテックス、NBRラテックス、酢酸ビニルラテックス、ア
クリレートラテックス、塩化ビニルラテックス、塩化ビニリデンラテックス等の
樹脂系ラテックスが乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤の目的で用いられてきた。 【0003】 特に天然繊維系の極薄和紙にポリエステルフィルムをラミネート加工した感熱
孔版印刷機マスター紙については、サーマルヘッドにより穿孔し製版印刷すると
インキ透過性が良好な反面、耐水強度が小さい為、水性インキの使用により連続
印刷した場合の耐刷性が不充分であり、極薄和紙を感熱孔版印刷機マスター紙と
して利用する為には、ポリエステルフィルムに対する優れた湿潤時接着力と、従
来にない湿潤紙力が要求されている。 【0004】 しかしながら前記抄紙工程中の内添薬剤ではホルマリンの発生による作業環境
性、作業安全性に問題を有しているだけでなく、湿潤紙力が不充分であり、また
含浸薬剤として従来用いられてきた樹脂系ラテックスでもポリエステルフィルム
との湿潤時接着性に劣り、湿潤紙力も満足されず感熱孔版印刷機マスター紙用和
紙補強剤としてのこれら従来内添薬剤及び含浸薬剤の使用は耐刷性が不充分で連
続印刷時の印字のにじみが発生するという欠点があった。 【0005】 更に最近では、画像鮮映性を改良する目的で感熱孔版印刷機マスター紙用和紙
には、こうぞ、みつまた、マニラ麻等の天然繊維に一部ポリプロピレン、ビニロ ン、ポリエステル、ナイロン、レーヨン等の合成繊維を混合抄紙される傾向があ
るため、ますますポリエステルフィルムとの湿潤時接着性、湿潤紙力を増強する
感熱孔版印刷機マスター紙用和紙補強剤が求められていた。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】 そこで本発明の目的は、和紙へ含浸加工する事により乾燥紙力増強性及び湿潤
紙力増強性に優れる和紙補強剤を提供することにあり、更にポリエステルフィル
ムとラミネート加工された樹脂加工極薄和紙とする事により湿潤時接着性に優れ
、かつ連続印刷時の印字のにじみが発生しない耐刷性の優れた感熱孔版印刷機用
マスター紙を提供する為の感熱孔版印刷機マスター紙用和紙補強剤を提供する事
である。 【0007】 【課題を解決するための手段】 本発明者らは、以上の課題を解決するため鋭意研究の結果、特定の水系ポリウ
レタン樹脂を和紙補強剤として用いることによって前記課題を克服し本発明に到
達した。すなわち、ウレタンプレポリマー、塩形成剤及び鎖伸長剤を必須成分と
する水系ポリウレタン樹脂であって、該水系ポリウレタン樹脂におけるカルボキ
シル基による酸価が固形分に対して13KOH mg/g以上であり、かつガラス転移点
温度が20℃以上であり、前記ウレタンプレポリマーが、[A]平均分子量62〜
5,000であり、分子中に2個以上の水酸基を有するポリオール化合物(以下、化
合物[A]という)、[B]分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機
ポリイソシアネート(以下、化合物[B]という)及び[C]分子中に水酸基ま
たはアミノ基とカルボキシル基を有する化合物(以下、化合物[C]という)か
らなり、かつ前記塩形成剤が前記化合物[C]に対応する塩形成剤であることを
特徴とする和紙補強剤である。 【0008】 本発明の和紙補強剤としては、前記水系ポリウレタン樹脂に対して、更に分子
内にグリシジル基を少なくとも平均3個以上有史、エポキシ当量が固形分に対し
て200(wpe)以下であり、かつ水溶率が70%以上であるエポキシ系架橋 剤及び/またはメチルエーテル化メラミン及びメチル・ブチル混合エーテル化メ
ラミンから選ばれる水溶性あるいは水分散性のメラミン樹脂系架橋剤(以下、架
橋剤という)を固形分比で40重量%以下で配合することが重要である。 【0009】 特に前記水系ポリウレタン樹脂又はそれと前記架橋剤を、感熱孔版印刷機マス
ター紙用和紙補強剤とした場合に優れた性能を提供できる。 【0010】 (手段を構成する要件) 以下、発明の構成に関する主要な事項につき項別して説明する。 【0011】 [水系ポリウレタン樹脂] 水系ポリウレタン樹脂としては前記のごとく、ウレタンプレポリマー、塩形成
剤及び鎖伸長剤から調製される。 【0012】 (1) ウレタンプレポリマー ウレタンプレポリマーとしては、下記化合物A、B及びCからなるものである
。 【0013】 化合物[A] 化合物[A]として使用される平均分子量62〜5,000 で分子中に2個以上の水
酸基を有するポリオール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、ブタンジオール、プロピレングリール、ポリプロピレングリコール、ヘ
キサンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、水素添加ビスフェノー
ルA,ジブロムビスフェノールA,3-メチル-1,5- ペンタンジオール、1,4-シク
ロヘキサンジメタノール、ジヒドロキシエチルテレフタレート、ハイドロキノン
ジヒドロキシエチルエーテル、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエ
リスリトール等の多価アルコール、それらのアルキレン誘導体又はそれら多価ア
ルコール若しくはそのアルキレン誘導体と多価カルボン酸、多価カルボン酸無水
物、若しくは多価カルボン酸エステルからのエステル化物やポリブチレンアジペ ート、ポリカーボネートポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプ
ロラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリチオエーテルポリオー
ル、ポリアセタールポリオール、ヒマシ油ポリオール等のポリオール化合物等が
挙げられる。 【0014】 化合物Aの平均分子量が5000を越える場合、製造されたウレタンプレポリ
マーの粘度上昇が著しく好ましくない。 【0015】 化合物[B] 本発明の化合物[B]は分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機ポ
リイソシアネートが用いられる。具体的な有機ポリイソシアネートとしては、ト
リレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイ
ソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、
水素添加トルエンジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネー
ト並びにこれらイソシアネート類のビュレット化物やイソシアヌレート化物等の
従来より慣用されている全ての芳香族、脂肪族、脂環族系のイソシアネート類の
単独もしくは混合物が挙げられる。 【0016】 化合物[C] 本発明の化合物[C]は、分子中に水酸基またはアミノ基とカルボキシル基を
有する化合物が用いられ、それは塩形成性のカルボキシル基を持つ化合物であり
、例えばグリコール酸、リンゴ酸、グリシン、アミノ安息香酸、アラニン、ジメ
チロールプロピオン酸等のヒドロキシ酸、アミノカルボン酸、多価ヒドロキシ酸
類や前記エステル化合物の合成段階で反応を途中で停止させたハーフエステル化
合物等があるが、特にジメチロールプロピオン酸の使用が好ましい。 【0017】 (2) 化合物[C]に対応する塩形成剤 前記化合物[C]に対応する塩形成剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水 酸化カリウム等の1価の金属水酸化物やアンモニア、トリメチルアミン、トリエ
チルアミン、ジメチルアミノエタノール等の三級アミン化合物が挙げられる。 【0018】 (3) 鎖伸長剤 本発明に使用される鎖伸長剤としては、アミノ基を2個以上有する化合物が用
いられ、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン
、ヘキシレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、
イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添
加ジフェニルメタンジアミン等が挙げられる。また水も鎖伸長剤としての役割を
果す。鎖延長剤の添加量は、化合物[A]、[B]及び[C]から得られるイソ
シアネート末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に対して当量以下が好
ましい。 【0019】 (4) 水系ポリウレタン樹脂中のカルボキシル基による酸価 本発明の水系ポリウレタン樹脂の製造にあたり、カルボキシル基による酸価と
して水系ポリウレタン樹脂固形分あたり13KOH mg/g以上、好ましくは17〜4
5KOH mg/gである事が必要である。 【0020】 カルボキシル基量が13KOH mg/g未満の場合、得られる水系ポリウレタン樹脂
の粒径が粗くなるばかりでなく、架橋剤との架橋性が不十分であり、このような
水系ポリウレタン樹脂を和紙に含浸処理した場合、充分な紙力増強効果が得られ
ず、特に湿潤紙力強度が劣る為、感熱孔版印刷機マスター紙として用いたとき、
連続印刷時の印字のにじみが発生する。 【0021】 (5) 水系ポリウレタン樹脂中のガラス転移点温度 本発明の水系ポリウレタン樹脂のガラス転移点温度(Tg)は20℃以上、好まし
くは35℃〜80℃である事が必要である。ガラス転移点温度(Tg)が20℃未満
の場合、得られる水系ポリウレタン樹脂は軟らかく、このような水系ポリウレタ
ン樹脂を和紙に含浸処理した場合、充分な紙力増強効果が得られず、また湿潤紙 力強度も劣る。 【0022】 (6) 水系ポリウレタン樹脂の製造 本発明の水系ポリウレタン樹脂の製造方法としては、化合物[A]、化合物[
B]及び化合物[C]から得られるイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを
化合物[C]に対応する塩形成剤を使用することにより、公知の方法で水中に乳
化後、水またはアミノ基を2個以上有する鎖伸長剤で鎖延長することにより得ら
れる。この際必要に応じてイソシアネート基と反応しない有機溶媒類をイソシア
ネート末端ウレタンプレポリマー反応段階、または反応終了後添加する事により
乳化を容易なものとする事ができる。この場合、要すれば減圧下に有機溶媒類を
留去して無溶剤型水系ポリウレタン樹脂とする事が出来る。また乳化に際しアニ
オン、ノニオン性等の界面活性剤を補助的に添加し乳化を容易にする事も可能で
ある。 【0023】 [エポキシ系架橋剤] 本発明に使用されるエポキシ系架橋剤は、分子内にグリシジル基を少なくとも
平均3個以上有し、エポキシ当量が固形分に対して200(wpe)以下であり
、かつ水溶率が70%以上であるエポキシ化合物のことであり、例えばソルビト
ールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグ
リセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、レ
ゾルシンジグリシジルエーテル等がある。 【0024】 分子内にグリシジル基が平均3個未満の場合、水系ポリウレタン樹脂との架橋
効果が不十分であり、和紙に含浸処理した場合、充分な湿潤紙力増強効果が得ら
れない。またエポキシ当量が固形分に対して200(wpe)を越える場合、水
系ポリウレタン樹脂との架橋効果が不十分であり、和紙に含浸処理した場合、充
分な湿潤紙力増強効果が得られにくくなる。 次に水溶率が70%未満の場合、水系ポリウレタン樹脂との相溶性が悪くなる
傾向となり、架橋効果が不十分となるばかりでなく、和紙に含浸処理する時の作 業性が悪く、また加工機の汚れの原因ともなる。 【0025】 [メラミン樹脂系架橋剤] 本発明で使用されるメラミン樹脂系架橋剤とは、メチルエーテル化メラミン又
はメチル・ブチル混合エーテル化メラミンであり、ブチルエーテル化メラミン等
の水溶性あるいは水分散性でないメラミン樹脂系架橋剤は、水系ポリウレタン樹
脂との配合作業性が悪いだけでなく、加工機の汚れの原因ともなり好ましくない
。 【0026】 [架橋剤の配合量] 本発明に使用する架橋剤は必ずしも必要ではないが、更に高度な湿潤紙力強度
が必要とされる場合に本発明の水系ポリウレタン樹脂に配合することが好ましい
。 該エポキシ系架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤は各々単独もしくは併用でも差し
支えない。上記架橋剤を併用する場合の割合は、40重量%を越えない範囲で任
意に採用できる。 【0027】 その配合量としては、水系ポリウレタン樹脂と前記架橋剤を固形分比で100
:0〜40好ましくは100:5〜30(重量比)で配合することが好ましい。
その架橋剤配合量が100:40を越える場合、水系ウレタン樹脂との架橋効果
が逆に悪くなり、和紙に含浸処理した場合、充分な湿潤紙力増強効果が得られな
いばかりでなく、和紙への含浸処理時の作業性が悪く、また加工機の汚れの原因
ともなる。 【0028】 [他配合物] 本発明の水系ポリウレタン樹脂においては、皮張り防止剤、レベリング剤、消
泡剤、浸透剤、造膜助剤、着色顔料、増粘剤等の各種添加剤を目的にあった性状
にするために性能を低下させない範囲内で配合することも可能である。また、低
コスト化等の目的で性能を低下させない範囲内で、従来から紙力増強剤として使 用されてきたポリビニルアルコール樹脂、SBRラテックス、クロロプレンラテ
ックス、NBRラテックス、アクリレートラテックス、塩化ビニルラテックス等
の各種水系樹脂系ラテックスやコロイダルシリカ等を混合しても差し支えない。 【0029】 [水系ポリウレタン樹脂の用途] 本発明の水系ポリウレタン樹脂は、こうぞ、みつまた、マニラ麻等の天然繊維
の抄紙またはこれら天然繊維に一部ポリプロピレン、ビニロン、ポリエステル、
ナイロン、レーヨン等の合成繊維を混合抄紙した和紙を対象とし、それに含浸加
工する事により乾燥紙力増強性、湿潤紙力増強性に優れた樹脂加工和紙が得られ
る。更に極薄和紙に対してのポリエステルフィルムをラミネート加工したサーマ
ルヘッドによる書き込み穿孔方式を用いる製版方式に供する感熱孔版印刷機マス
ター紙用和紙補強剤としてはポリエステルフィルムとの湿潤時接着性に優れたも
のである。 【0030】 また本発明の水系ポリウレタン樹脂を、各種天然繊維、合成繊維により抄紙さ
れた紙に含浸加工する事により乾燥紙力増強性、湿潤紙力増強性及びポリエステ
ルフィルムとの湿潤時接着性に優れた樹脂加工紙が得られる為、和紙補強剤とし
ての利用以外にも印刷用紙、情報用紙、エレクトロニック用紙、フィルター、医
療衛生用紙、家庭用紙、包装用紙等の二次加工薬品としての適用も考えられる。 【0031】 本発明の水系ポリウレタン樹脂の和紙への処理方法としては、スプレー処理、
含浸処理、刷毛処理、ローラーコーター処理等種々の処理方法が挙げられる。 本願の水系ポリウレタン樹脂の和紙に対する処理量は、0.2g/m2以上、
好ましくは0.5〜2.0g/m2である。 【0032】 【作用】 こうぞ、みつまた、マニラ麻等の天然繊維の抄紙またはこれら天然繊維に一部
ポリプロピレン、ビニロン、ポリエステル、ナイロン、レーヨン等の合成繊維を
混合抄紙した和紙の主成分は天然セルロース繊維であるが、その分子構造は線状 でしかも数多くの -OH基が緻密に配列し微細結晶を形成する為、排他的で他物質
への接着力も良くないものである。また合成繊維が混合抄紙された和紙では、合
成繊維の結合力は弱く乾燥時紙力強度、湿潤時紙力強度が極端に低下する。その
為、従来から紙力増強剤として使用されてきたポリビニルアルコール樹脂、SB
Rラテックス、クロロプレンラテックス、NBRラテックス、アクリレートラテ
ックス、塩化ビニルラテックス、エチレン酢酸ビニルラテックス等の各種水系樹
脂系ラテックスでは、天然セルロース繊維及び合成繊維との密着性が不充分なだ
けでなく、その樹脂処理乾燥工程で樹脂のマイグレーションが発生する為、目的
とする紙力増強効果、特に湿潤紙力増強効果に劣るものであった。 【0033】 しかしながら本発明の水系ポリウレタン樹脂により、乾燥紙力増強性はもとよ
り、湿潤紙力増強性及びポリエステルフィルムとの湿潤時接着性に優れた樹脂加
工和紙を製造出来る事が判明した。これは、塩形成剤である揮発性3級アミン化
合物で乳化したカルボキシル基含有水系ポリウレタン樹脂は、高温乾燥すること
により揮発性3級アミン化合物が遊離、揮散する事により疎水性化する事、また
高凝集力を有するウレタン結合、尿素結合が天然セルロース繊維、合成繊維との
接着性、浸透性を向上しマイグレーションの発生を抑制する事、更にカルボキシ
ル基含有水系ポリウレタン樹脂とエポキシ系架橋剤及び/またはメラミン樹脂系
架橋剤が天然セルロース繊維、合成繊維の繊維内部や交絡点で網状的結合をする
為、乾燥紙力増強性はもちろんのこと、湿潤紙力増強性及びポリエステルフィル
ムとの湿潤時接着性が更に優れた樹脂加工和紙が製造出来るものと思われる。 【0034】 【実施例】 以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、それらの実施
例に拘束されるものではない。 合成例1〜4及び比較合成例1〜2 表1に示すように、メチルエチルケトン溶媒中で分子中に2個以上の水酸基を
有するポリオール化合物[A]、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する
有機ポリイソシアネート[B]、分子中に水酸基またはアミノ基とカルボキシル 基を有する化合物[C]とそれに対応する塩形成剤からイソシアネート末端ウレ
タンプレポリマー合成後、公知の方法で水中に乳化した後、水またはアミノ基を
2個以上有する鎖伸長剤で鎖延長することにより得られた乳白色あるいは透明液
状の各種水系ポリウレタン樹脂から減圧下でメチルエチルケトン溶媒を留去して
各種無溶剤型水系ポリウレタン樹脂を製造した。 【0035】 【表1】 【0036】 尚、表1中の分子中に2個以上の水酸基を有する高分子ポリオール化合物は以
下に示すものを使用した。又表1中の数字は重量部を示す。 ビスフェノールAアルキレン誘導体:ビスフェノールAのエチレンオキサイド3
モル付加物(平均分子量 360) ポリテトラメチレングリコール:テトラハイドロフランの開環重合物(平均分子
量2000) フタル酸系ポリエステル:3-メチル-1,5- ペンタンジオールとテレフタル酸から
のポリエステル(平均分子量1000) ポリプロピレングリコール:1,4-ブタンジオールのプロピレンオキサイド33モ
ル付加物(平均分子量2000) ポリブチレンアジペート:1,4-ブタンジオールとアジピン酸からのポリエステル
(平均分子量1000) 【0037】 実施例1〜7 表2に示す割合にて、合成例1〜4で得られた各種無溶剤型水系ポリウレタン
樹脂又はそれに表2の架橋剤を配合したものを7%固形分となるように水で希釈
後、マニラ麻から抄紙された和紙へ含浸後、マングル絞り(絞り圧2Kg/cm2)機
を通過させた後、 150℃雰囲気中で1分間強制乾燥して樹脂加工和紙を作成した
。 次に、ポリエステルフィルム上に溶剤型熱可塑系ポリウレタン樹脂を塗布した
後、樹脂加工和紙と 180℃で15秒間圧着する事により感熱孔版印刷機マスター紙
を作成した。得られた樹脂加工和紙、感熱孔版印刷機マスター紙に関し、下記項
目別の諸性能を比較確認した。その結果を表2に併せて示す。 【0038】 比較例1〜2 比較合成例1〜2得られた各種無溶剤型水系ポリウレタン樹脂を7%固形分と
なるように水で希釈後、マニラ麻から抄紙された和紙へ含浸した以外は実施例1
〜7と同様にして、得られた樹脂加工和紙、感熱孔版印刷機マスター紙に関し、 各項目別の諸性能を比較確認した。 【0039】 比較例3〜6 市販のポリビニルアルコール樹脂、SBRラテックス、アクリレートラテック
ス、塩化ビニリデンラテックスを7%固形分となるように水で希釈後、マニラ麻か
ら抄紙された和紙へ含浸した以外は実施例1〜7と同様にして、得られた樹脂加
工和紙、感熱孔版印刷機マスター紙に関し、各項目別の諸性能を比較確認した。 【0040】 比較例7 次に、ポリエステルフィルム上に溶剤型熱可塑系ポリウレタン樹脂を塗布した
後、未加工和紙と 180℃で15秒間圧着する事により感熱孔版印刷機マスター紙を
作成した。未加工和紙及び得られた感熱孔版印刷機マスター紙に関し、実施例1
〜7と同様にして各項目別の諸性能を比較確認した。これら諸性能の比較確認試
験結果を表3に示す。 【0041】 【表2】 【0042】 【表3】 【0043】 各性能試験方法を下記に示す。 1.乾燥紙力強度:巾15mmに裁断した樹脂加工和紙を引っ張り試験機により乾燥紙 力強度を測定 2.湿潤紙力強度:巾15mmに裁断した樹脂加工和紙を水中に30秒間浸漬後、引っ張 り試験機により湿潤紙力強度を測定 3.湿潤時接着性:一辺が5cm の正方形に裁断した感熱孔版印刷機マスター紙を水 中に 120秒間浸漬後、取り出してポリエステルフィルムと樹脂 加工和紙間の接着性を目視により評価した。 4.耐刷性 :感熱孔版印刷機を用いてサーマルヘッドにより穿孔し、5000枚 まで製版印刷して印字ににじみの発生がないかを目視により確 認した。 【0044】 【発明の効果】 本発明の和紙補強剤により、こうぞ、みつまた、マニラ麻等の天然繊維の抄紙
和紙及びこれら天然繊維に一部ポリプロピレン、ビニロン、ナイロン、ポリエス
テル、レーヨン等の合成繊維を混合抄紙した和紙に対して用いることにより、優
れた乾燥及び湿潤紙力強度を与え、かつポリエステルフィルムをラミネートした
感熱孔版印刷機マスター紙に対しては優れた湿潤時接着性及び耐刷性を与えるこ
とができる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 ウレタンプレポリマー、塩形成剤及び鎖伸長剤を必須成分とす
    る水系ポリウレタン樹脂であって、該水系ポリウレタン樹脂におけるカルボキシ
    ル基による酸価が固形分に対して13KOH mg/g以上であり、かつガラス転移温度
    が20℃以上であり、前記ウレタンプレポリマーが、〔A〕平均分子量62〜5,00
    0 であり分子中に2個以上の水酸基を有するポリオール化合物、〔B〕分子中に
    2個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート及び〔C〕分子中
    に水酸基またはアミノ基とカルボキシル基を有する化合物(以下、化合物〔C〕
    という)からなり、かつ前記塩形成剤が前記化合物〔C〕に対応する塩形成剤で
    あること、及び前記水系ポリウレタン樹脂に対して、分子内にグリシジル基を少
    なくとも3個以上有し、エポキシ当量が固形分に対して200(wpe)以下で
    あり、かつ水溶率が70%以上であるエポキシ系架橋剤及び/またはメチルエー
    テル化メラミン及びメチル・ブチル混合エーテル化メラミンから選ばれる水溶性
    あるいは水分散性のメラミン樹脂系架橋剤を固形分比で40重量%以下配合して
    なることを特徴とする水系ポリウレタン樹脂を含有する和紙補強剤。 【請求項2】 請求項1記載の和紙補強剤からなる感熱孔版印刷機マスター紙
    用和紙補強剤。 【請求項3】 請求項2記載の補強剤で処理された感熱孔版印刷機マスター紙

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