JP2683949B2 - スプルレスディスク金型 - Google Patents

スプルレスディスク金型

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業状の利用分野) 本発明は、ディスクを製造するための射出成形機の金
型の改良に関するもので、特に成形時に形成されるスプ
ルを生成しないようにしたスプルレスディスク金型に関
する。
(従来技術) 従来のディスクを製造するための射出成形機における
金型は、例えば特開昭54−156,062号公報に示されるも
のがある。これを第5図で説明すると、金型は固体金型
1と移動金型2とからなり、両者の衝合面にキャビテイ
3が形成されている。そして、固定金型1にはその中央
にスプルブッシュ4が取り付けられており、スプルブッ
シュ4は金型の衝合面側ではキャビテイ3を形成する壁
の一部を構成しており、その反対側はノズルタッチのた
めに球面状凹部5となっている。
移動金型2にはポンチ6とその中心に設けられたセン
ター突出しピン7が取り付けられている。ポンチ6の衝
合面側はキャビテイ3を形成する壁の一部を構成してい
る。10はポンチ駆動用シリンダ、11はセンター突出しピ
ン用シリンダである。
型締めされた金型1,2のキャビテイ3に対してノズル
8からスプルブッシュ4の中を通じて溶融樹脂を射出す
る。射出後ポンチ6を前進させて成形品の一部を打ち抜
き、しかる後ポンチの後退と型開きを行なって、成形品
を取り出すものである。この際、ポンチ6の先端にはス
プルブッシュ4内に形成されたスプル9と打抜き片とが
一緒にロックされて取り出される。その後、押出しピン
7によってポンチ先端からスプル9等は排除される。上
記のような従来の射出成形機にあってはスプルブッシュ
4を使わざるを得ないためスプル9を残存することは不
可避のものであった。
(発明が解決しようとする課題) 従来の射出成形機において、スプルブッシュ4の中に
残存するスプル9は個々の成形品にそれぞれ生成される
ので、その分の材料が余分に必要になり、材料費もそれ
だけかさむことになる。また成形品の製造サイクルタイ
ムを決定するのはスプル9の根元の温度であるが、スプ
ル9が比較的径の太いものであるので冷却に時間を要
し、サイクルタイムは長くならざるを得ないものであっ
た。
更に、スプルが生成されるということは、これを除去
するための機構が必要になると共にスプルの長さだけ金
型を開く必要があるので製造コストが高くなると共に製
造サイクルタイムに影響を与えるという問題もあった。
そこで、本発明は、従来の問題を解決するためになさ
れたものであって、スプルを生成させないようにした製
造の金型とすることによって、樹脂の節約を計り、製造
サイクルタイムを短縮し、更にはゲートカット用シリン
ダ等を省略したスプルレスディスク金型を提供するもの
である。
(課題を解決するための手段) 本発明は上記目的を達成するために、射出成形機の金
型において、移動金型に、成形用キャビテイに対して出
没自在に油圧手段によって作動されるカッターピストン
を取付け、固定金型には、成形用キャビテイと溶媒樹脂
の注入口との間に、樹脂溜りを設けて前記キャビテイと
前記注入口とを連通し、前記樹脂溜りの周囲には加熱手
段を設け、前記樹脂溜りの中に前記注入口側にばね付勢
され、かつ摺動自在にオスカッタを備えたプランジャを
取付け、前記プランジャは後退した位置では前記オスカ
ッタが前記固定金型に当接して前記樹脂溜りと前記キャ
ビテイとの連通を遮断し、射出樹脂圧により前記プラン
ジャは前進して前記オスカッタの周囲に環状のゲートを
形成するように設け、前記金型が型締めされているとき
はカッターピストンと前記オスカッタとは当接している
ことを特徴とする。
特定発明に対する他の発明は、前記樹脂溜りの中に摺
動自在に設けられた前記オスカッタを備えたプランジャ
は、前後方向に樹脂流動孔を有するプランジャ部と、円
錐状のオスカッタと、それらの間に位置する小径部とか
らなることを特徴とする。
(作用) まず、金型1,2を型締めする。この状態ではカッター
ピストン32とプランジャ20のオスカッタ20aとはその対
抗面で当接する。このとき油圧回路はドレンに接続され
ている。射出成形機のノズルチップ8を固定金型1の注
入口1aに当接し、樹脂溜り15へ溶融樹脂を射出すれば、
この射出で先に樹脂溜り15に充填されている樹脂の一部
がプランジャ20を前方に押圧して形成したゲート16を通
ってキャビテイ3に充填される。そして、樹脂の固化ま
たは冷却を待って、油圧回路のソレノイドを励磁して、
油圧でカッターピストン32をオスカッタ20a側に移動し
て、ゲートカットし、しかる後、型開きして成形品を取
り出す。この間。樹脂溜り15の樹脂は加熱手段19により
過熱されているので、固化することがなく、スプルの発
生もない。
スプルがないのでその分材料の節約となり、しかもス
プルの冷却を待つ必要がなく、型開きの間隔も狭くて良
いのでサイクルタイムを数秒短縮することができる。
(実施例) 以下に本発明の実施例を第1図および第2図に基ずい
て説明する。
第1図は固定金型1と移動金型2を型開きした状態を
示す金型の要部断面図で、第2図は型締めした状態を示
す金型の要部断面図である。固定金型1と移動金型2と
の衝合面にはディスクを形成するためのキャビテイ3が
形成されている。
まず、固定金型1について説明する。
固定金型1は、概略、固定金型本体17と、樹脂溜り部
材18と、環状ヒータ19と、オスカッタを備えたプランジ
ャ20と、注入口部材21とからなる。
金型本体17は、中間プレートと取付板とからなり、移
動金型2との衝合面側(前方)にキャビテイ3の一部を
構成する凹部を有する固定鏡面板22が固定され、また前
方から後方に貫通する貫通孔17aを備えている。
筒状体の樹脂溜り部材18は固定金型本体17の貫通孔17
aの中に位置し、注入口部材21とメスカッタ23とで樹脂
溜り15を形成する。樹脂溜り15は前方に向って開口し、
その後方は注入口部材21の注入口1aに連通している。
環状ヒータ19は樹脂溜り部材18の外周に取付けられて
いる。図面ではヒータ19へのリード線および制御手段に
ついては図示していないが、通電により樹脂溜り部材18
を適宜温度に加熱するものである。
プランジャ20は、円錐状のオスカッタ20aと、鍔20bを
有するプランジャ部20cと、前端部20aと鍔20bとの間を
一体に接続する小径部20dとからなる。プランジャ20の
円錐状のオスカッタ20aは樹脂溜り15の開口部15aを閉塞
する大きさを有し、そのプランジャ部20cは略円柱状を
しており、かつ、前後方向に貫通する樹脂用流動孔20e
が設けられている。また、プランジャのプランジャ部20
cは樹脂溜り部材18の樹脂溜り15の内壁に設けた大径部1
8aに摺動自在に嵌合しており、鍔20bは更に径の大きい
大径部18bに摺動自在に係合し、この部分でスプリング2
5によって後方に附勢されている。第2図に示すよう
に、オスカッタ20aはプランジャ部20cとは別体で製造さ
れており、両者はボルト45で一体に取付けられている。
また、樹脂溜り15の中で、プランジャ20は、プランジャ
部20cの前面と、オスカッタ20aの後面と、小径部20dの
周囲との間に、キャビティ3への射出樹脂の1ショット
分に相当する容積を有している。なお、オスカッタ20a
とプランジャ部20cとを一体で製造する場合は、プラン
ジャ部20cを樹脂溜り15の内径と等しくなるように形成
し、これにスプリング25受けのための鍔20bを固設する
ようにしても良い。
第1図、第2図で示す状態では、プランジャ20のオス
カッタ20aはメスカッタ23にばね附勢によって当接され
ている。なお、図中、22aは固定鏡面板22に、23aはメス
カッタ23に設けたゲート冷却通路である。
次に、移動金型2について説明する。
移動金型2は、中間プレートと取付板とからなる金型
本体30と、固定金型1との衝合面にキャビティ3を形成
する可動鏡面板31と、カッターピストン32とからなる。
カッターピストン32は、大径部32aを有し、この部分
が金型本体30内の油圧室33の中に位置し、小径部32bは
油圧室33から可動鏡面板31へ貫通した孔34に嵌合し、カ
ッターピストン32の突出面はオスカッタ20aの先端面に
対向して位置する。
大径部32aの前面から突出した小径部32cは、油圧室33
の前面に形成されたくぼみ35に摺動自在に嵌合してお
り、また小径部32cとくぼみ35との間にはスプリング36
が介挿されており、カッターピストン32を常時後方に附
勢する。
油圧室33には油圧回路が接続されている。この油圧回
路は公知のもので、ドレン回路40と、油圧ポンプ43に接
続された加圧回路41とからなり、両者はソレノイド42の
励磁で選択的に切り替えられ、その圧力は適宜リリーフ
弁44で調節されるように構成されている。
以下に、実施例の作用を説明する。
型締めされた状態(第2図)で、ノズルチップ8から
注入口1aに所定量の溶融樹脂が射出されると(1ショッ
ト)、溶融樹脂は注入口1aから流動孔20aを通り、小径
部20dの周りを流れる。この樹脂によって樹脂溜り15に
充填されていた溶融樹脂は、プランジャ20のオスカッタ
20aを押圧し、スプリング25、36に抗してプランジャ20
を前方に移動させる(第3図)。これに伴ってカッター
ピストン32も前方に移動する。この状態では油圧回路は
ドレン回路に切り換えられている。
樹脂溜り15に充填されていた溶融樹脂がこれに押され
て、開口部15aとオスカッタ20aとの間に形成された環状
のゲート16を通ってキャビテイ3内に充填される。この
とき、カッターピストン32はプランジャ20に押されて油
圧室33の前方に移動し、油圧室33の前面にカッターピス
トンの大径部32aの前面が当接した状態で停止してい
る。樹脂溜り15内の溶融樹脂は、ヒータ19によって常時
加熱されているので固化または冷却されることはなく、
スプルの生成はない。
射出が完了すると、完了と同時または僅かな時間経過
後、第4図に示すように、ゲートカットのために、油圧
回路のソレノイド42を励磁してバルブを切換え、油圧ポ
ンプ43への加圧回路41に接続し、油圧室33に圧力を掛
け、カッターピストン32をプランジャ側に移動させてオ
スカッタ20aとメスカッタ23とでゲートカットする。そ
の後、型開きを行なって成形品を取り出す。
なお、上記のように、完了と同時にまたは僅かな時間
経過後にゲートカットのときはソレノイド42を励磁する
ことを原則とするが、射出開始において、ソレノイド42
を励磁するようにしても良い。
この場合、オスカッタ32は油圧により後方に附勢され
るので、射出流動圧によりプランジャ20が前進してきた
とき、この流動圧が油圧の附勢力に打ち勝ってゲートを
開くようにすると共に流動圧が減少して油圧の附勢力が
打ち勝つときにゲートカットが行われるように、油圧回
路のリリーフ弁44を適宜調節することになる。
従来のCD成形では、冷却工程が短くとも3秒以上掛か
っていたが、本発明では1.2mm厚さのCDのみの冷却とな
るので、1〜2秒で充分冷却することができる。
(効 果) 本発明は、前記のような構成からなるものであるから
スプルを生成することなくディスクの射出成形を行なう
ことができ、したがって、材料を節約することができる
ので、製品を安価に製造することができ、またスプルの
冷却を標準として冷却時間を決めなくても良いので、製
造サイクルタイムを早めることができ、コストダウンを
図ることができ、更に、スプルの取出しがないだけ型開
き量が少なくて良いので金型の開閉時間が短くなり、製
造サイクルタイムの短縮に寄与するものとなる。
【図面の簡単な説明】 第1図は、本発明にかかる金型の要部縦断面図で、型開
きの状態を示す。第2図は、その型締めの状態を示す金
型の縦断面図である。第3図は、溶融樹脂を射出してい
る状態を示す金型の縦断面図である。第4図は、溶融樹
脂の射出後、ゲートカットをしている状態を示す金型の
縦断面図である。第5図は、従来のディスク金型の要部
縦断側面図である。 1〜固定金型、2〜移動金型、 1a〜注入口、3〜キャビテイ、 8〜ノズルチップ、15〜樹脂溜り、 16〜ゲート、18〜樹脂溜り部材、 19〜ヒータ、20〜プランジャ、 32〜カッターピストン、33〜油圧室。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】射出成形機の金型において、 移動金型に、成形用キャビテイに対して出没自在に油圧
    手段によって作動されるカッターピストンを取付け、 固定金型には、成形用キャビテイと溶融樹脂の注入口と
    の間に、樹脂溜りを設けて前記キャビテイと前記注入口
    とを連通し、前記樹脂溜りの周囲には加熱手段を設け、
    前記樹脂溜りの中に前記注入口側にばね付勢され、かつ
    摺動自在にオスカッタを備えたプランジャを取付け、前
    記プランジャは後退した位置では前記オスカッタが固定
    金型に当接して前記樹脂溜りと前記キャビテイとの連通
    を遮断し、射出樹脂圧により前記プランジャは前進して
    前記オスカッタの周囲に環状のゲートを形成するように
    設け、前記金型が型締めされているときはカッターピス
    トンと前記オスカッタとは当接していることを特徴とす
    るスプルレスディスク金型。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲(1)に記載された前記樹
    脂溜りの中に摺動自在に設けられた前記オスカッタを備
    えたプランジャは、前後方向に樹脂流動孔を有するプラ
    ンジャ部と、オスカッタと、それらの間に位置する小径
    部とからなることを特徴とするスプルレスディスク金
    型。
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