JP2682645B2 - オイルテンパー硬引鋼線ばね及びその製造方法 - Google Patents
オイルテンパー硬引鋼線ばね及びその製造方法Info
- Publication number
- JP2682645B2 JP2682645B2 JP16818488A JP16818488A JP2682645B2 JP 2682645 B2 JP2682645 B2 JP 2682645B2 JP 16818488 A JP16818488 A JP 16818488A JP 16818488 A JP16818488 A JP 16818488A JP 2682645 B2 JP2682645 B2 JP 2682645B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- steel wire
- oil
- section
- deformed
- cross
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Metal Extraction Processes (AREA)
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Springs (AREA)
- Wire Processing (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、異形断面を有するオイルテンパー硬引異形
鋼線により構成されたばね及びその製造方法に関し、特
に高強度でねじれがなく、コイリングが容易であり、も
って優れた特性のばねの製造を可能にするオイルテンパ
ー硬引異形鋼線ばね及びその製造方法に関するものであ
る。
鋼線により構成されたばね及びその製造方法に関し、特
に高強度でねじれがなく、コイリングが容易であり、も
って優れた特性のばねの製造を可能にするオイルテンパ
ー硬引異形鋼線ばね及びその製造方法に関するものであ
る。
(従来の技術) 一般に、コイルばねに使用される材料の断面は円形で
あるが、コイルばねの設計面からすると、断面がオーバ
ル(卵形)形状、梯形形状等々の異形断面の方が厳しい
使用条件に耐えるので、好ましい。
あるが、コイルばねの設計面からすると、断面がオーバ
ル(卵形)形状、梯形形状等々の異形断面の方が厳しい
使用条件に耐えるので、好ましい。
近年、コイルばねには過酷な設計条件が課せられるよ
うになり、また同時に高品質の確保も併わせて要求され
るようになってきたが、円形断面の材料ではこのような
要請に充分応えることができないため、異形断面を有す
るオイルテンパー鋼線の製造が研究され、特殊な分野で
はあるが一部利用されつつある。
うになり、また同時に高品質の確保も併わせて要求され
るようになってきたが、円形断面の材料ではこのような
要請に充分応えることができないため、異形断面を有す
るオイルテンパー鋼線の製造が研究され、特殊な分野で
はあるが一部利用されつつある。
円形断面のオイルテンパー鋼線は、通常、熱間圧延線
材を酸洗後、焼鈍、酸洗し、円形断面に冷間加工した後
にオイルテンパー処理を施して製造され、コイリングに
供されているところであるが、断面が異形のオイルテン
パー鋼線をこのプロセスに従って製造する場合には、焼
鈍後の酸洗(脱スケール)工程とオイルテンパー処理工
程との間に伸線等により異形断面にする冷間加工工程が
必要である。
材を酸洗後、焼鈍、酸洗し、円形断面に冷間加工した後
にオイルテンパー処理を施して製造され、コイリングに
供されているところであるが、断面が異形のオイルテン
パー鋼線をこのプロセスに従って製造する場合には、焼
鈍後の酸洗(脱スケール)工程とオイルテンパー処理工
程との間に伸線等により異形断面にする冷間加工工程が
必要である。
(発明が解決しようとする課題) しかし乍ら、このようなプロセスにより製造されるオ
イルテンパー異形鋼線は、オイルテンパー処理において
冷間加工歪及び焼入歪のアンバランスが生じるため、異
形断面の1点が長手方向でよじれる“ねじれ”(倒れ)
が発生し、このようなねじれ状態の鋼線をコイリングす
ると、正常なばね形状を有するばねが得られない。仮り
にコイリング治具にて無理に形状を出そうとして倒れを
起こしつつコイリングすると、無理な力が加わって疵が
発生したり或いは折損に至るという問題がある。したが
って、このような鋼線を用いて成形されるばねは、倒れ
をもったままコイリングされることになるので、応力分
布が不均一となり、所定の圧縮たわみ量が得られなかっ
たり、早期に疲労破断してしまい、ばねとしての所定の
設計条件を満足できず、品質が悪く、しかも歩留りも極
めて低いという問題がある。
イルテンパー異形鋼線は、オイルテンパー処理において
冷間加工歪及び焼入歪のアンバランスが生じるため、異
形断面の1点が長手方向でよじれる“ねじれ”(倒れ)
が発生し、このようなねじれ状態の鋼線をコイリングす
ると、正常なばね形状を有するばねが得られない。仮り
にコイリング治具にて無理に形状を出そうとして倒れを
起こしつつコイリングすると、無理な力が加わって疵が
発生したり或いは折損に至るという問題がある。したが
って、このような鋼線を用いて成形されるばねは、倒れ
をもったままコイリングされることになるので、応力分
布が不均一となり、所定の圧縮たわみ量が得られなかっ
たり、早期に疲労破断してしまい、ばねとしての所定の
設計条件を満足できず、品質が悪く、しかも歩留りも極
めて低いという問題がある。
また、オイルテンパー鋼線は熱処理スケールが付着し
たままコイリングに供されるので、円形鋼線の場合に比
べて線表面に疵が生じ易く、またコイリング治具のメン
テナンスも難しいという問題もある。
たままコイリングに供されるので、円形鋼線の場合に比
べて線表面に疵が生じ易く、またコイリング治具のメン
テナンスも難しいという問題もある。
このような事情から、異形断面を有するオイルテンパ
ー鋼線は特殊な分野でしか実用化されていないのが現状
である。
ー鋼線は特殊な分野でしか実用化されていないのが現状
である。
本発明の目的は鋼線の異形断面の対称線が鋼線の長手
方向に一定の方向を有しているオイルテンパー硬引異形
鋼線ばねを提供することにある。
方向に一定の方向を有しているオイルテンパー硬引異形
鋼線ばねを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、コイリングが容易であ
り、鋼線の異形断面の対称線が鋼線の長手方向に一定の
方向を有しているオイルテンパー硬引異形鋼線ばねを安
価に製造する方法を提供することにある。
り、鋼線の異形断面の対称線が鋼線の長手方向に一定の
方向を有しているオイルテンパー硬引異形鋼線ばねを安
価に製造する方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成するため、本発明者は、冷間加工によ
り異形断面を出した後にオイルテンパー処理を施すと、
前述の如く冷間加工歪や焼入歪のアンバランスが生じ、
倒れが生じたオイルテンパー鋼線しか得られないことに
鑑みて、これを防止する方策を見い出すべく鋭意研究を
重ねた。
り異形断面を出した後にオイルテンパー処理を施すと、
前述の如く冷間加工歪や焼入歪のアンバランスが生じ、
倒れが生じたオイルテンパー鋼線しか得られないことに
鑑みて、これを防止する方策を見い出すべく鋭意研究を
重ねた。
その結果、オイルテンパー処理後にダイスを通して冷
間加工する工程によれば、この冷間加工前のオイルテン
パー鋼線がアンバランスな焼入歪が存在していても、こ
れが冷間加工により形成される異形断面には影響を及ぼ
すことがなく、したがって、ねじれのない状態でコイリ
ングを行うことが可能であることを見い出した。
間加工する工程によれば、この冷間加工前のオイルテン
パー鋼線がアンバランスな焼入歪が存在していても、こ
れが冷間加工により形成される異形断面には影響を及ぼ
すことがなく、したがって、ねじれのない状態でコイリ
ングを行うことが可能であることを見い出した。
しかし、その場合、オイルテンパー鋼線を熱処理スケ
ールの付着のままでコイリングするため、コイリング等
の治具の摩耗が多く、鋼線表面に疵が付いて品質を低下
させるので、これを防止するべくオイルテンパー処理後
にリン酸塩皮膜処理等の表面皮膜処理を含む脱スケール
工程をおくプロセスを試みたところ、コイル状態で前記
処理が可能であることを見い出すに至り、ここに本発明
をなしたものである。
ールの付着のままでコイリングするため、コイリング等
の治具の摩耗が多く、鋼線表面に疵が付いて品質を低下
させるので、これを防止するべくオイルテンパー処理後
にリン酸塩皮膜処理等の表面皮膜処理を含む脱スケール
工程をおくプロセスを試みたところ、コイル状態で前記
処理が可能であることを見い出すに至り、ここに本発明
をなしたものである。
すなわち、本発明に係るオイルテンパー硬引異形鋼線
ばねは、必要な場合は表面にリン酸塩皮膜等の表面処理
皮膜を有し、オイルテンパー処理後の冷間加工により断
面が異形に加工されたオイルテンパー硬引異形鋼線によ
り構成され、前記鋼線の異形断面の対称線が鋼線の長手
方向に一定の方向を向いていることを特徴とするもので
ある。
ばねは、必要な場合は表面にリン酸塩皮膜等の表面処理
皮膜を有し、オイルテンパー処理後の冷間加工により断
面が異形に加工されたオイルテンパー硬引異形鋼線によ
り構成され、前記鋼線の異形断面の対称線が鋼線の長手
方向に一定の方向を向いていることを特徴とするもので
ある。
また、本発明に係るオイルテンパー硬引異形鋼線ばね
の製造方法は、熱間圧延線材を脱スケールした後、焼
鈍、脱スケール、冷間加工を施し、次いでオイルテンパ
ー処理を施した後、脱スケールし、必要な場合は更にリ
ン酸塩皮膜処理等の表面皮膜処理を施し、その後冷間加
工により異形断面形状にする工程によりオイルテンパー
硬引異形鋼線を製造し、前記鋼線をその異形断面の対称
線が鋼線の長手方向に一定の方向を向くようにコイルば
ね形状にコイリングすることを特徴とするものである。
の製造方法は、熱間圧延線材を脱スケールした後、焼
鈍、脱スケール、冷間加工を施し、次いでオイルテンパ
ー処理を施した後、脱スケールし、必要な場合は更にリ
ン酸塩皮膜処理等の表面皮膜処理を施し、その後冷間加
工により異形断面形状にする工程によりオイルテンパー
硬引異形鋼線を製造し、前記鋼線をその異形断面の対称
線が鋼線の長手方向に一定の方向を向くようにコイルば
ね形状にコイリングすることを特徴とするものである。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
まず、本発明法が対象とする鋼線は、従来よりコイル
ばね等のばね用に使用されている各種材質の鋼からな
り、特にその鋼種は限定されない。例えば、炭素鋼、Si
−Mn鋼、Mn−Cr鋼、Cr−V鋼、Mn−Cr−B鋼、Si−Cr
鋼、Cr−Mo鋼などが用いられる。
ばね等のばね用に使用されている各種材質の鋼からな
り、特にその鋼種は限定されない。例えば、炭素鋼、Si
−Mn鋼、Mn−Cr鋼、Cr−V鋼、Mn−Cr−B鋼、Si−Cr
鋼、Cr−Mo鋼などが用いられる。
該鋼を素材とし、従来と同様、熱間圧延により製造し
た線材を酸洗等により脱スケールし、次いで焼鈍、脱ス
ケールし、伸線等の冷間加工により所望寸法の鋼線素材
とする。
た線材を酸洗等により脱スケールし、次いで焼鈍、脱ス
ケールし、伸線等の冷間加工により所望寸法の鋼線素材
とする。
次いで、これをオイルテンパー処理した後、必要な場
合はリン酸塩皮膜処理等の表面皮膜処理をを施す。コイ
ル状態でリン酸塩皮膜処理等の表面皮膜処理を施すのが
好ましい。この表面皮膜処理に先立って、メカニカル脱
スケール又は酸洗等の脱スケールを行う必要がある。こ
の脱スケール工程により表面に熱処理スケールの付着が
なくなり、所望厚さの表面処理皮膜を備えたオイルテン
パー鋼線を得ることができる。
合はリン酸塩皮膜処理等の表面皮膜処理をを施す。コイ
ル状態でリン酸塩皮膜処理等の表面皮膜処理を施すのが
好ましい。この表面皮膜処理に先立って、メカニカル脱
スケール又は酸洗等の脱スケールを行う必要がある。こ
の脱スケール工程により表面に熱処理スケールの付着が
なくなり、所望厚さの表面処理皮膜を備えたオイルテン
パー鋼線を得ることができる。
なお、オイルテンパー処理は従来と同様の条件でよ
く、脱スケールも通常の処理条件で行えばよいが、コイ
ル状態で酸洗する場合には予め曲げ応力を緩和しておく
のがよい。
く、脱スケールも通常の処理条件で行えばよいが、コイ
ル状態で酸洗する場合には予め曲げ応力を緩和しておく
のがよい。
表面皮膜処理の一例とし、リン酸塩皮膜処理は、酸性
リン酸塩溶液に所要時間浸漬してリン酸塩の不溶性保護
皮膜を得る処理であり、表面処理皮膜の厚さは5〜10g/
m2が適当である。
リン酸塩溶液に所要時間浸漬してリン酸塩の不溶性保護
皮膜を得る処理であり、表面処理皮膜の厚さは5〜10g/
m2が適当である。
脱スケール又はその後表面皮膜処理を施した後、異形
断面の形状に応じた伸線等の冷間加工を行い、所定の異
形断面を有する硬引異形鋼線を得る。この場合、従来の
オイルテンパー鋼線よりも更に高い強度のものを得るこ
とも容易である。
断面の形状に応じた伸線等の冷間加工を行い、所定の異
形断面を有する硬引異形鋼線を得る。この場合、従来の
オイルテンパー鋼線よりも更に高い強度のものを得るこ
とも容易である。
次いで、従来と同様、所望ばね設計でのコイリングを
行った後、低温焼鈍を施し、オイルテンパー硬引異形鋼
線ばねを得ればよい。この低温焼鈍(ブルーイング)は
ばね特性の1つである弾性限比、耐力比等を向上させる
ために行うもので、従来の鋼線ばね材の場合と同様の条
件で行うことができる。
行った後、低温焼鈍を施し、オイルテンパー硬引異形鋼
線ばねを得ればよい。この低温焼鈍(ブルーイング)は
ばね特性の1つである弾性限比、耐力比等を向上させる
ために行うもので、従来の鋼線ばね材の場合と同様の条
件で行うことができる。
得られたオイルテンパー硬引異形鋼線ばねは、例え
ば、鋼線がオーバル形状の異形断面を有している場合、
この鋼線の異形断面の対称線が鋼線の長手方向に一定の
方向を向いており、第2図に示すように、異形断面の対
称線の傾きが一定でなくなる現象、又は第3図に示すよ
うに、異形断面の対称線の傾きが不均一に倒れる現象が
発生しない。なお、各図中、1点鎖線は異形断面の対称
線を示している。
ば、鋼線がオーバル形状の異形断面を有している場合、
この鋼線の異形断面の対称線が鋼線の長手方向に一定の
方向を向いており、第2図に示すように、異形断面の対
称線の傾きが一定でなくなる現象、又は第3図に示すよ
うに、異形断面の対称線の傾きが不均一に倒れる現象が
発生しない。なお、各図中、1点鎖線は異形断面の対称
線を示している。
(実施例) 次に本発明の実施例を示す。
実施例1 第1表に示す化学成分(wt%)を有する鋼の鋼片を熱
間圧延により9.0mmφのロッドとし、これを酸洗した
後、伸線加工を行って7.6mmφに仕上げた。次いで、オ
イルテンパー処理(焼入温度920℃×5min、焼戻温度450
℃×2min)を施してコイル状に巻取った後、酸洗を施し
た。なお、酸洗は15%塩酸に15分間常温で浸漬する条件
で行った。
間圧延により9.0mmφのロッドとし、これを酸洗した
後、伸線加工を行って7.6mmφに仕上げた。次いで、オ
イルテンパー処理(焼入温度920℃×5min、焼戻温度450
℃×2min)を施してコイル状に巻取った後、酸洗を施し
た。なお、酸洗は15%塩酸に15分間常温で浸漬する条件
で行った。
酸洗後、伸線により第4図に示す断面形状、6.0mm×
7.2mm寸法のオーバル形状に成形し、次いでコイリング
を行って圧縮コイルばねを成形した後、低温焼鈍(400
℃×20min)を施した。
7.2mm寸法のオーバル形状に成形し、次いでコイリング
を行って圧縮コイルばねを成形した後、低温焼鈍(400
℃×20min)を施した。
前記工程の各段階で得られたオイルテンパー鋼線、オ
イルテンパー硬引異形鋼線及び低温焼鈍後の各機械的性
質を第2表に示す。同表より本発明法により得られるオ
イルテンパー硬引異形鋼線はばねとして充分な特性を備
えていることがわかる。
イルテンパー硬引異形鋼線及び低温焼鈍後の各機械的性
質を第2表に示す。同表より本発明法により得られるオ
イルテンパー硬引異形鋼線はばねとして充分な特性を備
えていることがわかる。
また、得られたばねの倒れを調査したところ、倒れ角
(第2図に示す異形断面中心線のなす角θ)は5゜以内
であり、ねじれの問題はないことが確認された。
(第2図に示す異形断面中心線のなす角θ)は5゜以内
であり、ねじれの問題はないことが確認された。
実施例2 第1表に示す化学成分(wt%)を有する鋼の鋼片を熱
間圧延により9.0mmφのロッドとし、これを酸洗した
後、伸線加工を行って7.6mmφに仕上げた。次いで、オ
イルテンパー処理(焼入温度920℃×5min、焼戻温度450
℃×2min)を施してコイル状に巻取った後、酸洗及びリ
ン酸亜鉛皮膜処理を施した。なお、酸洗は15%塩酸に15
分間常温で浸漬する条件で行い、またリン酸亜鉛皮膜処
理は全酸度30ポイント、温度80℃、浸漬時間7分間の条
件で行い、皮膜重量は5〜10g/m2の範囲にコントロール
した。
間圧延により9.0mmφのロッドとし、これを酸洗した
後、伸線加工を行って7.6mmφに仕上げた。次いで、オ
イルテンパー処理(焼入温度920℃×5min、焼戻温度450
℃×2min)を施してコイル状に巻取った後、酸洗及びリ
ン酸亜鉛皮膜処理を施した。なお、酸洗は15%塩酸に15
分間常温で浸漬する条件で行い、またリン酸亜鉛皮膜処
理は全酸度30ポイント、温度80℃、浸漬時間7分間の条
件で行い、皮膜重量は5〜10g/m2の範囲にコントロール
した。
リン酸亜鉛皮膜処理後、伸線により第4図に示す断面
形状、6.0mm×7.2mm寸法のオーバル形状に成形し、次い
でコイリングを行って圧縮コイルばねを成形した後、低
温焼鈍(400℃×20min)を施した。
形状、6.0mm×7.2mm寸法のオーバル形状に成形し、次い
でコイリングを行って圧縮コイルばねを成形した後、低
温焼鈍(400℃×20min)を施した。
前記工程の各段階で得られたオイルテンパー鋼線、オ
イルテンパー硬引異形鋼線及び低温焼鈍後の各機械的性
質を第3表に示す。同表より本発明法により得られるオ
イルテンパー硬引異形鋼線はばねとして充分な特性を備
えていることがわかる。
イルテンパー硬引異形鋼線及び低温焼鈍後の各機械的性
質を第3表に示す。同表より本発明法により得られるオ
イルテンパー硬引異形鋼線はばねとして充分な特性を備
えていることがわかる。
また、得られたばねの倒れを調査したところ、倒れ角
(第2図に示す異形断面中心線のなす角θ)は5゜以内
であり、ねじれの問題はないことが確認された。
(第2図に示す異形断面中心線のなす角θ)は5゜以内
であり、ねじれの問題はないことが確認された。
なお、上記実施例ではシリコンクロム鋼を用いた場合
について説明したが、この種の用途に供されるばね鋼
(JISG4801)全般についても適用できることは云うまで
もなく、また断面形状も梯形形状等の他の形状のもので
も同様の効果が得られることは云うまでもない。
について説明したが、この種の用途に供されるばね鋼
(JISG4801)全般についても適用できることは云うまで
もなく、また断面形状も梯形形状等の他の形状のもので
も同様の効果が得られることは云うまでもない。
(発明の効果) 以上詳述したように、本発明によれば、断面が異形の
オイルテンパー鋼線固有の倒れの問題を解決するため
に、オイルテンパー処理後に異形断面を形成する冷間加
工を施し、これをコイリングするように構成し、又はそ
の際、加工性並びに鋼線の表面性状向上のためにオイル
テンパー処理後に脱スケールを行ってからリン酸塩皮膜
処理等の表面皮膜処理を施し、冷間加工−コイリングに
供するように構成したので、鋼線の異形断面の対称線が
鋼線の長手方向に一定の方向を向いており、所望特性を
備えた高品質のオイルテンパー硬引異形鋼線ばねを製造
することができる。しかも、本発明によれば、従来のオ
イルテンパー鋼線円形断面ばねよりも高強度のものも容
易に製造できる。
オイルテンパー鋼線固有の倒れの問題を解決するため
に、オイルテンパー処理後に異形断面を形成する冷間加
工を施し、これをコイリングするように構成し、又はそ
の際、加工性並びに鋼線の表面性状向上のためにオイル
テンパー処理後に脱スケールを行ってからリン酸塩皮膜
処理等の表面皮膜処理を施し、冷間加工−コイリングに
供するように構成したので、鋼線の異形断面の対称線が
鋼線の長手方向に一定の方向を向いており、所望特性を
備えた高品質のオイルテンパー硬引異形鋼線ばねを製造
することができる。しかも、本発明によれば、従来のオ
イルテンパー鋼線円形断面ばねよりも高強度のものも容
易に製造できる。
特にオーバル形状、梯形形状等の断面が異形の鋼線の
場合、本発明によれば、従来のように倒れ状態を起こし
つつコイリング治具に送給する等の煩雑で、しかも極め
て困難な作業は一切不要となり、かつ、疵の発生乃至折
損のトラブルもないので、作業性がよく、歩留りも高く
なり、ばねの製造コストの低減化が可能となる。したが
って、高品質の異形断面鋼線ばねを安価に製造可能にす
るもので、その実用上の効果は大きい。
場合、本発明によれば、従来のように倒れ状態を起こし
つつコイリング治具に送給する等の煩雑で、しかも極め
て困難な作業は一切不要となり、かつ、疵の発生乃至折
損のトラブルもないので、作業性がよく、歩留りも高く
なり、ばねの製造コストの低減化が可能となる。したが
って、高品質の異形断面鋼線ばねを安価に製造可能にす
るもので、その実用上の効果は大きい。
第1図乃至第3図はそれぞれオイルテンパー異形鋼線を
コイリングしたばねの倒れを説明する図であって、第1
図は倒れがない場合を示し、第2図及び第3図は倒れの
ある場合を示している。 第4図はオーバル形状を示す断面図である。
コイリングしたばねの倒れを説明する図であって、第1
図は倒れがない場合を示し、第2図及び第3図は倒れの
ある場合を示している。 第4図はオーバル形状を示す断面図である。
Claims (4)
- 【請求項1】オイルテンパー処理後の冷間加工により断
面が異形に加工されたオイルテンパー硬引異形鋼線によ
り構成され、前記鋼線の異形断面の対称線が鋼線の長手
方向に一定の方向を向いていることを特徴とするオイル
テンパー硬引異形鋼線ばね。 - 【請求項2】表面に表面処理皮膜を有し、オイルテンパ
ー処理及び表面皮膜処理後の冷間加工により断面が異形
に加工されたオイルテンパー硬引異形鋼線により構成さ
れ、前記鋼線の異形断面の対称線が鋼線の長手方向に一
定の方向を向いていることを特徴とするオイルテンパー
硬引異形鋼線ばね。 - 【請求項3】熱間圧延線材を脱スケールした後、焼鈍、
脱スケール、冷間加工を施し、次いでオイルテンパー処
理を施した後、脱スケールし、その後冷間加工により異
形断面形状にする工程によりオイルテンパー硬引異形鋼
線を製造し、前記鋼線をその異形断面の対称線が鋼線の
長手方向に一定の方向を向くようにコイルばね形状にコ
イリングすることを特徴とするオイルテンパー硬引異形
鋼線ばねの製造方法。 - 【請求項4】熱間圧延線材を脱スケールした後、焼鈍、
脱スケール、冷間加工を施し、次いでオイルテンパー処
理を施した後、脱スケールし、コイル状態で表面皮膜処
理を施し、その後冷間加工により異形断面形状にする工
程によりオイルテンパー硬引異形鋼線を製造し、前記鋼
線をその異形断面の対称線が鋼線の長手方向に一定の方
向を向くようにコイルばね形状にコイリングすることを
特徴とするオイルテンパー硬引異形鋼線ばねの製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16818488A JP2682645B2 (ja) | 1987-07-10 | 1988-07-06 | オイルテンパー硬引鋼線ばね及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17237287 | 1987-07-10 | ||
JP62-172372 | 1987-07-10 | ||
JP16818488A JP2682645B2 (ja) | 1987-07-10 | 1988-07-06 | オイルテンパー硬引鋼線ばね及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01104719A JPH01104719A (ja) | 1989-04-21 |
JP2682645B2 true JP2682645B2 (ja) | 1997-11-26 |
Family
ID=26491987
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16818488A Expired - Lifetime JP2682645B2 (ja) | 1987-07-10 | 1988-07-06 | オイルテンパー硬引鋼線ばね及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2682645B2 (ja) |
Families Citing this family (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100493965B1 (ko) * | 2002-08-19 | 2005-06-13 | 주식회사 코우 | 리트랙터용 토션바의 제조방법 |
JP4571868B2 (ja) * | 2005-01-07 | 2010-10-27 | 新日本製鐵株式会社 | 伸線前鋼線及びその潤滑下地処理方法 |
JP4532438B2 (ja) * | 2006-06-01 | 2010-08-25 | サンコール株式会社 | 異形断面線の製造方法 |
WO2008044859A1 (en) * | 2006-10-11 | 2008-04-17 | Posco | Steel wire rod for high strength and high toughness spring having excellent cold workability, method for producing the same and method for producing spring by using the same |
JP5557196B2 (ja) * | 2011-11-29 | 2014-07-23 | 住友電工スチールワイヤー株式会社 | 鋼線、及び鋼線の製造方法 |
CN106489042B (zh) * | 2014-06-19 | 2019-11-26 | 日本发条株式会社 | 螺旋弹簧组装体 |
JP2016114219A (ja) * | 2014-12-17 | 2016-06-23 | 日本発條株式会社 | 高強度コイルばね及び多重スプリング |
KR102408047B1 (ko) * | 2018-03-29 | 2022-06-13 | 닛폰 하츠죠 가부시키가이샤 | 코일스프링조립체 |
CN112853067A (zh) * | 2020-12-31 | 2021-05-28 | 河南富瑞德金属制品有限公司 | 一种异形截面油淬火-回火弹簧钢丝制备工艺 |
CN114277231B (zh) * | 2021-11-19 | 2023-12-05 | 铃木加普腾钢丝(苏州)有限公司 | 电动尾门油淬火钢丝在线去氢工艺 |
CN114317901B (zh) * | 2021-12-20 | 2024-04-12 | 贵阳华丰航空科技有限公司 | 一种十字槽盘头螺钉加工方法 |
-
1988
- 1988-07-06 JP JP16818488A patent/JP2682645B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01104719A (ja) | 1989-04-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5624503B2 (ja) | ばねおよびその製造方法 | |
EP1029720A3 (en) | Manufacturing method for hollow stabilizer | |
JP2682645B2 (ja) | オイルテンパー硬引鋼線ばね及びその製造方法 | |
EP0218167B1 (en) | High tensile strength drawn steel wire with improved ductility | |
KR920001611B1 (ko) | 스프링용 오일템퍼링 경화 인발강선 및 그 제조방법 | |
US7255758B2 (en) | Steel wire and method of manufacturing the same | |
JPH05148537A (ja) | コイルばねの製造方法 | |
US6627005B1 (en) | High fatigue-strength steel wire and spring, and processes for producing these | |
JP2822849B2 (ja) | 自動車用継目無鋼管の製造法 | |
JPH02125813A (ja) | ばね用オイルテンパー硬引丸鋼線並びにばねの製造方法 | |
JP3353537B2 (ja) | 伸線性に優れたばね用鋼線材の製造方法 | |
JP3033842B2 (ja) | 冷間加工用線材の製造方法及び冷間加工用線材の製造設備 | |
JPH05156351A (ja) | オイルテンパー線によるコイルばねの製造方法 | |
JP2563601B2 (ja) | 平線の製造方法 | |
JPH089734B2 (ja) | 延性の優れた超高張力鋼線の製造方法 | |
JPH0146566B2 (ja) | ||
JP3582371B2 (ja) | 高炭素クロム鋼線の製造方法及び機械構造部品 | |
JP3539843B2 (ja) | 高疲労強度鋼線とその製造方法 | |
JP2716141B2 (ja) | ばね用材料 | |
JPH08109437A (ja) | 加工性に優れた冷間鍛造用鋼材 | |
JPH0765096B2 (ja) | 延性の優れた超高張力鋼線の製造方法 | |
JPS6159380B2 (ja) | ||
GB2088258A (en) | Making High Tensile Steel Wire | |
JPH01205838A (ja) | コイルばねの製造方法 | |
JPH07188745A (ja) | 高級ばね用オイルテンパー線の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Year of fee payment: 10 Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070808 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Year of fee payment: 11 Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080808 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |