JP2016114219A - 高強度コイルばね及び多重スプリング - Google Patents

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Abstract

【課題】ばね表面の粗さのばらつきを抑制し高応力部での応力集中の助長を抑制することを可能とする高強度コイルばねを提供する。【解決手段】表面硬さが900Hvを超えるコイル巻線のコイル1ばねであって、コイル巻線の断面方向でのコイル巻線間側1a、コイル内径側1b、及びコイル外径側1cを含めて有効巻き部での表面粗さがRz=2μmを下回り、バルブスプリングなどとして使用され、荷重を受けたときに、粗さのばらつきによる高応力部での応力集中の助長を抑制し、折損を防止するか抑制し、高強度コイルばねの耐久性を著しく向上させることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用のバルブスプリングなどに供される高強度コイルばね及び多重スプリングに関する。
従来、コイルばねとして、特許文献1に示すものがある。このコイルばねは、窒化処理により表面硬度を高め、窒化処理後のショットピーニングにより残留応力を付与し、その後電解研磨により表面粗さをRcで、例えば2.9μmとしたものである。
しかし、かかる窒化処理後のコイルばねの表面は硬く、しかも、その後のショットピーニングにおいてコイルばねの内径又は線間にはメディアが十分に当たり難く、表面粗さもRzで4.5μmとなり、ばらつき易かった。
このため、高い応力を受けるコイル内径側部分で、粗さのばらつきが応力集中を助長し易く、要求される耐久回に至らず折損するケースがあった。
更に、径が大小異なる2つのコイルばねを内外に二重にして使用するダブルスプリングの場合には、インナースプリングの外側とアウタースプリングの内側とが伸縮する際に接触、摩耗し、耐久性を低下させている。また、この種のコイルばねは、表面硬度が高いもので約1000Hvとなる為、インナースプリングのコイル外径側の摩耗の割合も高く、クラックの発生頻度も多くなっていた。
特開2009−270150号公報
解決しようとする問題点は、ばね表面の粗さが、コイル内径側、コイル外径側、コイル巻線間側でばらついて高応力部で応力集中し、耐久性の低下を助長していた点である。
本発明の高強度コイルばねは、ばね表面の粗さのばらつきを抑制し高応力部での応力集中の助長を抑制することを可能とするために、コイル形状に巻かれたばね素線に窒化処理を施して表面硬さが900Hvを超える様に形成し、その後ショットピーニングを施したコイル巻線の高強度コイルばねであって、前記コイル巻線の少なくとも有効巻き部での表面粗さがRz=2μmを下回ることを特徴とする。
本発明の高強度コイルばねは、上記構成であるから、表面硬さが900Hvを超える高強度コイルばねであって、コイル巻線の少なくとも有効巻き部での表面粗さがRz=2μmを下回るため、相対的に高応力部となる部分での応力集中の助長を抑制し、疲労折損が発生し難くなった。
また、多重スプリングでは、さらに内外コイルばね間での表面粗さのばらつきによる摩耗等を抑制し、耐久性向上を図ることもできた。
高強度コイルばねを、一部断面にして示した正面図である。(実施例1) ばね表面の粗さを示し、(A)は、コイル線間側、(B)は、コイル内径側、(C)は、コイル外径側における拡大写真である。(実施例1) ばね表面の粗さを示し、(A)は、コイル線間側、(B)は、コイル内径側、(C)は、コイル外径側における拡大写真である。(比較例) 高強度コイルばねの製造工程図である。(実施例1) シングルスプリングの評価結果を示す図表である。(実施例1) ダブルスプリングの断面図である。(実施例1) ダブルスプリングの評価結果を示す図表である。(実施例1)
ばね表面の粗さのばらつきを抑制し高応力部での応力集中の助長を抑制することを可能にするという目的を、表面硬さが900Hvを超えるように形成し、その後ショットピーニングを施したコイル巻線の高強度コイルばねであって、前記コイル巻線の少なくとも有効巻き部での表面粗さがRz=2μmを下回る高強度コイルばねで実現した。
前記コイル巻線の断面方向での形状が円形又はオーバル形状であってもよい。
コイル形状に巻かれたばね素線に窒化処理で900Hvを超える表面硬さを設定し、その後ショットピーニングを施し、さらに前記表面硬さのばね素線の表面に酸化膜を形成すると共に非研磨性のメディアを用いて振動バレル研磨することにより前記酸化膜を除去し前記表面粗さがRz=2μmを下回る表面を形成してもよい。
前記高強度コイルばねのコイル径が異なる複数を内外配置して用いてもよい。
図1は、本発明実施例の高強度コイルばねを、一部断面にして示した正面図である。
図1の高強度コイルばね1は、コイル巻線の断面方向での形状が円形となっている。この高強度コイルばね1は、断面形状が円形のいわゆる丸線のばね素線が用いられ、コイル形状に巻かれ、コイル巻線とされた所謂シングルスプリングである。
本発明実施例の高強度コイルばね1は、コイル巻線の断面方向での形状を、オーバル形状に形成することもできる。コイル巻線の断面方向での形状がオーバル形状の場合、断面形状がオーバル形のばね素線が用いられ、コイル形状に巻かれ、コイル巻線とされたものである。
オーバル形状の高強度コイルばねは、例えば、コイル外径側部分又はコイル内径側部分を、x+y=bで表わされる半円形状とし、コイル内径側部分又はコイル外径側部分を、(x/a)α+(y/b)α=1で表わされる長径=a,短径=bの非円形形状とされたものである。
但し、高強度コイルばねとしては、その他の断面形状にすることもでき、例えば楕円断面のものを採用することもできる。
この高強度コイルばね1は、コイル形状に巻かれたばね素線に窒化処理を施して表面硬さが900Hvを超える様に形成し、その後ショットピーニングを施したコイル巻線のコイルばねである。
また、高強度コイルばね1は、有効巻き部でコイル巻線間側1a、コイル内径側1b、及びコイル外径側1cでの表面粗さがRz=2μmを下回るように設定されている。つまり、本実施例では、高強度コイルばね1の有効巻き部の全体において、コイル径方向におけるコイル巻線の断面の全周でRz=2μmを下回るように設定している。但し、Rz=2μmを下回る設定は、応力を考慮して必要箇所に適用すればよく、有効巻き部の全体ではなく、有効巻き部でコイル巻線間側1a、コイル内径側1b、及びコイル外径側1cの各部での部分的な設定も可能である。
本実施例において、有効巻き部としたのは、図1のように座巻部と一巻き目との間に、後述するREM処理で用いる非研磨性のメディアが入り込む隙間が無いためである。したがって、座巻部を形成しないオープンエンドや座巻部と一巻き目との間に、ショットピーニングを可能とするためなどの隙間を形成したコイルばねの場合は、座巻部を含むコイルばね全体でRz=2μmを下回るように設定されてもよい。かかる態様を含める範囲において発明としては少なくとも有効巻き部でRz=2μmを下回るように設定されていれば良い。
図2は、実施例1に係るばね表面の粗さを示し、(A)は、コイル線間側、(B)は、コイル内径側、(C)は、コイル外径側における拡大写真、図3は、比較例に係るばね表面の粗さを示し、(A)は、コイル線間側、(B)は、コイル内径側、(C)は、コイル外径側における拡大写真である。
図2のように、本発明実施例の高強度コイルばね1は、有効巻き部での(A)のコイル線間側、(B)のコイル内径側、(C)のコイル外径側の何れにおいても表面粗さがRz=2μmを下回り、表面粗さのばらつきをなくした。
図3の比較例は、(A)のコイル線間側、(B)のコイル内径側、(C)のコイル外径側の何れにおいても表面粗さがRz=2μmを超えた例を示すもので 、実測でRz≒4μm程度の状態である。
従来のコイルばねでは、例えば、前記特許文献1に開示されるRcで2.9μmとしても、Rzでは4.5μmであり、比較例の図3とほぼ同様となる。
図2、図3の比較から、本発明実施例のコイル有効巻き部での(A)のコイル線間側、(B)のコイル内径側、(C)のコイル外径側の何れにおいても表面粗さがRz=2μmを下回り、表面粗さのばらつきをなくした表面状態と従来のコイルばねの表面状態とでは応力集中の観点からすると大きく異なることが判る。
図4は、高強度コイルばねの製造工程図である。
図4の高強度コイルばねの製造工程は、コイリング工程S1と熱処理工程S2と窒化処理工程S3とショットピーニング工程S4と研磨工程S5とショットピーニング工程S6とを備えている。この製造工程により、工程S1〜S6がこの順に行なわれ、例えば、バルブスプリングが製造される。
コイリング工程S1では、線送りローラーによってコイリング工程へ押し込まれてくる線材は、ワイヤガイドによって位置を固定され、コイリングピンに当てられ、コイル状に成形される。予め設定された長さが線送りローラーから押し出されると自動停止し、コイル形状に巻かれたばね素線が切断により切り離される。
熱処理工程S2では、例えば焼鈍によりコイリング時の塑性変形により発生したばね素線の残留応力を減じ又は除去し、強度と耐久性を高める。
窒化処理工程S3では、窒化処理により表面全体、すなわちコイル形状に巻かれたばね素線の断面方向でコイル巻線間側、コイル内径側、及びコイル外径側を含め、全周をコイルばね全体で硬化させる。この窒化処理による硬化によって900Hvを超える表面硬さのコイル巻線とされる。
ショットピーニング工程S4では、窒化処理後にばね表面に金属の粒子を高速で打ちつけるショットピーニングを施す。このショットピーニングでは、コイル巻線の断面方向でコイル巻線間側、コイル内径側、及びコイル外径側を含め、全体をショットピーニングして圧縮残留応力を付加する。
研磨工程S5では、米国REM Chemicals社(アールイーエム ケミカルズ社)(REM Surface engineering社(アールイーエム サフィス エンジニアリング社))の化学的促進振動仕上げとして知られているREM処理(アールイーエム処理)を用いることができる。
すなわち、ばね素線の表面に酸化膜を形成する。この酸化膜は、弱酸性の薬品、例えばクエン酸を主成分とした弱酸性溶液により、コイル巻線の表面に酸化膜を形成し、同時処理により酸化膜を除去する。
酸化膜の除去では、非研磨性のメディア、例えばセラミックス製メディアを用いて振動バレル研磨する。この研磨によりコイル巻線の表面の酸化膜を除去し、前記表面粗さがRz=2μmを下回る表面をコイル有効巻き部の全周、全体に形成する。処理時間は、6時間とした。
ショットピーニング工程S4後の研磨工程S5での処理後に、表面粗さがRz=2μmを下回る表面を形成し得るエッチング量(研磨量)については、処理前後での製品重量差からエッチング量=3μmを確認した。
振動バレル研磨には、一般の振動バレル研磨機を用いることができる。
この場合、研磨量は、REM処理時間に比例するが、ある程度研磨時間を長くすると粗さの低減が平衡化する。この平衡化までの時間が6時間であった。
これにより、表面硬さが900Hvを超えるコイル巻線の断面方向で、少なくともコイル巻線間側1a、コイル内径側1b、及びコイル外径側1cでの表面粗さがRz=2μmを下回るように研磨することができ、高応力部での応力集中の助長を抑制することができ、或いは少なくすることができた。
なお、研磨工程S5での研磨は、表面硬さが900Hvを超えるコイル巻線の断面方向で少なくともコイル巻線間側1a、コイル内径側1b、及びコイル外径側1cでの表面粗さがRz=2μmを下回るように研磨できればよく、REM処理の他に、エクスツールドホーン(砥粒流動加工)を用いることもできる。
この、エクスツールドホーンは、半固体状の粘弾性樹脂液に砥粒を混練したメディアを圧送する。このメディアとともにばね素線を閉じ空間内で低速流動させながら研磨して前記表面粗さがRz=2μmを下回る表面を、前記同様に形成する。
ショットピーニング工程S6は、必要に応じて行なわれ、このショットピーニング工程S6では、研磨工程S5での研磨後に再度仕上げのショットピーニングを施す。
こうして、窒化処理及びショットピーニングを施し900Hvを超える表面硬さを設定した後に、有効巻き部でコイル巻線間側1a、コイル内径側1b、及びコイル外径側1cを含めて全周に表面粗さRz=2μmを下回る表面を形成した。
このため、荷重を受けたときに表面粗さのばらつきが応力集中を助長するのを抑制し、折損を防止するか抑制できる。また、線径の縦横比が1を上回り、縦横比が異なる断面がオーバル形状の高強度コイルばねにおいても、同様に表面粗さのばらつきによる応力集中の助長を抑制でき折損を防止するか抑制できる。
したがって、高強度コイルばねの耐久性を著しく向上させることができる。
図5は、シングルスプリングの評価結果を示す図表である。
図表中の表面硬さは、端部から3巻目線材の最表面硬さを測定値とした。表面粗さ(=最大高さ Rz)は、端部から3巻目の線間、内径側、外径側の3ヶ所で測定した。耐久試験は、圧縮による繰り返し荷重で、繰り返し回数は10回までとして試験を行った。
シングルスプリングの耐久評価条件は、次の通りである。
[応力振幅]
760±650MPa、温度=120℃(温間)
[試験サンプル仕様]
線径=4.0mm、コイル平均径D/線径d=5.5、巻数:有効巻数3.2(総巻数5.2)
図5のシングルスプリングの場合は、コイル巻線の断面形状が円形の丸線、オーバル形状のオーバルについて、表面硬さHvおよび高強度コイルばねの有効巻き部でのコイル巻線間側1a(線間)、コイル内径側1b(内径側)、コイル外径側1c(外径側)での最大高さRzμm を測定し、 耐久回数について評価を行なった。
この結果、表面硬さが900Hvを超えるコイル巻線の高強度コイルばねであって、コイル巻線の有効巻き部での断面方向でコイル巻線間側1a、コイル内径側1b、及びコイル外径側1cを含めて全周の表面粗さがRz=2μmを下回る本実施例は、丸線、オーバルの何れにおいても、自動車用のバルブスプリングなどに供される高強度コイルばねに求められる1×10回以上の耐久性を示した。
本実施例1での丸線の表面硬さは、915Hv、1018Hv、1044Hvであり、例えば丸線では、表面硬さ915Hv、最大高さRzが線間1.107μm、内径側1.138μm、外径側0.881μmの形態で、1×10回以上の耐久を示した。表面硬さ1018Hv、1044Hvについても図表のとおりとなった。
これに対し、この実施例1の形態から外れる比較例の丸線、オーバルは、上記説明した表面粗さのばらつきが高応力部での応力集中を助長し、本実施例1の耐久回数には及ばなかった。
例えば、丸線では、表面硬さ875Hv、最大高さRzが線間1.138μm、内径側1.197μm、外径側0.909μmの形態で、5.72×10回で折損した。オーバルでは、表面硬さ882Hv、最大高さRzが線間1.011μm、内径側1.173μm、外径側0.979μmの形態で、6.79×10回で折損した。何れも1×10回以上の耐久性を確保出来なかった。
このように、最大高さが2〜5μmと粗くばらつきが大きい従来品と比較して、本発明実施例の高強度コイルばねは、全ての条件で、線間、内径側、外径側の最大高さRzが1.2μm以下であり、少なくとも有効巻き部で線径の全周に渡って一様に研磨されているのが解る。その結果、耐久試験結果でも耐久性が向上した。
図6、図7は、実施例2に係り、図6は、ダブルスプリングの断面図、図7は、ダブルスプリングの評価結果を示す図表である。
図6のように、本実施例の多重スプリングは、高強度コイルばねのコイル径が大小異なる2つの高強度コイルばねを内外に二重にしたダブルスプリング1Aである。このダブルスプリング1Aのインナースプリング1Aa及びアウタースプリング1Abのコイル巻線間側1Aaa、1Aba、コイル内径側1Aab、1Abb、コイル外径側1Aac、1Abcを含めてコイル有効巻き部での表面粗さがRz=2μmを下回るように設定されている。
したがって、高強度コイルばね1と同様な作用効果を奏する。
さらに、ダブルスプリング1Aでは、伸縮する際にインナースプリング1Aaのコイル外径側1Aacとアウタースプリング1Abのコイル内径側1Abbとが接触する。
この場合、上記説明のように、インナースプリング1Aaのコイル外径側1Aacが図2の(C)の粗さであっても、アウタースプリング1Abのコイル内径側1Abbの粗さが図3の(B)となるばらつきがあると、インナースプリング1Aaのコイル外径側1Aacがアウタースプリング1Abのコイル内径側1Abbによって削られ、摩耗、クラックの発生を招いていた。
これを、本実施例2では、インナースプリング1Aaのコイル外径側1Aacが図2の(C)の粗さであり、アウタースプリング1Abのコイル内径側1Abbの粗さも図2の(B)となって粗さのばらつきが抑制され、摩耗、クラックの発生を防止又は抑制し、耐久性を著しく向上させることができる。
図7のダブルスプリングの場合は、コイル巻線の断面形状が円形の丸線について、表面硬さHv及び
内側の高強度コイルばね(インナー、インナースプリング1Aa)及び外側の高強度コイルばね(アウター、アウタースプリング1Ab)について、コイル有効巻き部でのコイル巻線間側(線間)、コイル内径側(内径側)、コイル外径側(外径側)での最大高さRzμmを測定し、耐久回数について評価を行なった。
[試験サンプル仕様]
(インナー)
線径=4.0mm、コイル平均径D/線径d=5.5、巻数:有効巻数4.0(総巻数6.0)
(アウター)
線径=5.0mm、コイル平均径D/線径d=6.2、巻数:有効巻数2.4(総巻数4.4)
その他の耐久評価条件は、シングルスプリングと同様にした。
この結果、表面硬さが900Hvを超えるコイル巻線の高強度コイルばねであって、コイル巻線の断面方向でコイル巻線間側、コイル内径側、及びコイル外径側を含めてコイル有効巻き部での表面粗さがRz=2μmを下回る本実施例は、1×10回以上の耐久性を示した。
本実施例での丸線の表面硬さは、909Hv、1004Hv、1044Hvであり、表面硬さ909Hv、最大高さRzでインナーが、線間0.930μm、内径側0.992μm、外径側0.917μm、アウターが、線間0.958μm、内径側1.181μm、外径側0.942μmの形態で、1×10回以上の耐久性を示した。表面硬さ1004Hv、1044Hvについても図表のとおりとなった。
これに対し、この実施例の形態から外れる比較例の丸線のダブルスプリングは、かかる耐久回数には及ばなかった。表面硬さ858Hv、最大高さRzでインナーが、線間1.083μm、内径側1.197μm、外径側0.928μm、アウターが、線間1.103μm、内径側1.171μm、外径側0.941μmの形態で、4.78×10回で折損の耐久結果で、1×10回以上の耐久性を確保出来なかった。
特に、ダブルスプリングにおいて、従来品は単品のばらつきによる応力集中に加え、インナー外径側とアウターの内径側の最大高さに差があると両者間で摩耗し合い、クラックの発生や、線径の減少によって耐久性を著しく低下させていたことが分かった。
一方、本発明実施例のダブルスプリングは、ばねの大きさを問わず表面を一様に研磨した為、インナー外径側1Aacとアウターの内径側1Abbの最大高さの差が小さくなる事で摩耗を抑え、耐久性を飛躍的に向上させることができた。
[実施例の効果]
本発明の高強度コイルばね1は、表面硬さが900Hvを超えるコイル巻線の高強度コイルばねであって、前記コイル巻線の断面方向でコイル巻線間側1a、コイル内径側1b、及びコイル外径側1cを含めてコイル有効巻き部全体での表面粗さがRz=2μmを下回る。
このため、表面粗さのばらつきにより高応力部での応力集中の助長を抑制し、バルブスプリングなどとして使用され、荷重を受けたときに、応力集中を発生し難く、折損を防止するか抑制し、高強度コイルばね1の耐久性を著しく向上させることができる。
また、線径の縦横比が1を上回り、縦横比が異なるオーバル断面の高強度コイルばねは、丸線と比較して密着高さ比、応力比等において有利であるが、本発明はオーバル断面においても有効であり、表面粗さのばらつきを抑えることで応力集中を防止、または抑制することで、高強度コイルばねの耐久性を著しく向上させることができる。
本発明実施例の高強度コイルばね1は、コイル形状に巻かれたばね素線に窒化処理を施して900Hvを超える表面硬さを設定し、その後ショットピーニングを施し、さらに前記ばね素線の表面に酸化膜を形成すると同時に非研磨性のメディアを用いて振動バレル研磨することにより前記酸化膜を除去し前記表面粗さがRz=2μmを下回る表面を形成した。
このため、表面粗さのばらつきによる応力集中の助長を抑制し、高強度コイルばねの耐久性を著しく向上させることができる。
更に、ダブルスプリング1Aが伸縮する際に、インナースプリング1Aaのコイル外径側1Aacとアウタースプリング1Abのコイル内径側1Abbとが接触しても、粗さのばらつきが抑制されているから、インナースプリング1Aaのコイル外径側1Aacがアウタースプリング1Abのコイル内径側1Abbによって削られるような磨耗が抑制される。
このため、ダブルスプリング1Aでの摩耗、クラックの発生を防止又は抑制し、耐久性を著しく向上させることができる。

Claims (3)

  1. コイル形状に巻かれたばね素線に窒化処理を施して表面硬さが900Hvを超えるように形成し、その後ショットピーニングを施したコイル巻線の高強度コイルばねであって、
    前記コイル巻線の少なくとも有効巻き部での表面粗さがRz=2μmを下回る、
    ことを特徴とする高強度コイルばね。
  2. 請求項1記載の高強度コイルばねであって、
    前記コイル巻線の断面方向での形状が円形形状又は縦横比が1を上回るオーバル形状である、
    ことを特徴とする高強度コイルばね。
  3. 請求項1又は2に記載の高強度コイルばねを用いた多重スプリングであって、
    前記高強度コイルばねのコイル径が異なる複数を内外配置した、
    ことを特徴とする多重スプリング。
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