JP2012187594A - 伸線ダイス - Google Patents

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伸彦 藤原
Hirotaka Amano
弘崇 天野
Kimihiko Ito
公彦 伊藤
Shunya Kawamura
旬哉 河村
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Abstract

【課題】伸線後の金属線の表面に発生する引っ張り残留応力が低減されうる伸線ダイス1の提供。
【解決手段】リダクション部5とベアリング部6とを含むダイス孔2が形成されており、このリダクション部の表面が鏡面仕上げされており、ベアリング部の表面が上記鏡面仕上げより粗くされている。上記リダクション部5の表面粗さは、十点平均粗さRzでは、1.40μm未満であり、中心線平均粗さRaであれば、0.19μm未満である。上記ベアリング部6の表面粗さは、十点平均粗さRzであれば、1.40μm以上1.90μm以下であり、中心線平均粗さRaであれば、0.19μm以上0.28μm以下である。
【選択図】図2

Description

本発明は伸線ダイスに関する。さらに詳しくは、本発明は、鋼線等の金属製素線をその孔部を通過させることにより、この金属製素線を縮径して伸線するための伸線ダイスに関する。
伸線加工においては、例えば鋼線が、この鋼線の外径より小径の伸線ダイスの孔を通過させられる。これにより、鋼線は塑性変形を起こして断面積が減少する。このため、伸線された鋼線の表面には引っ張り残留応力が生じる。この引っ張り残留応力が大きい場合には、その鋼線の疲労強度が低下する。
従来、鋼線の伸線加工に伴う疲労強度の低下を抑制するための各種方法が提案されている。例えば、特開平08−291369号公報においては、伸線ダイスのアプローチ角度及びベアリング長さそれぞれを所定の好適な範囲に規制することが提案されている。
特開平11−199979号公報においては、伸線加工時の伸線ダイスと鋼線との間の摩擦係数を所定値未満に抑制することが提案されている。
特開2007−118067公報には、最終の伸線加工後の鋼線に張力を負荷することが提案されている。具体的には、多段の伸線ダイスを備えた伸線装置の、最終段の伸線ダイスと、鋼線巻き取りリールとの間に、ダンサローラ等を含んだ引っ張り残留応力低減装置が設置される。
特開平05−104181号公報には、伸線後の金属線に残留圧縮応力を付与する方法が提案されている。具体的には、伸線後の金属線が、千鳥配置の多段のローラ群に通過させられることにより、この金属線に残留圧縮応力が付与される。
特開平08−291369号公報 特開平11−199979号公報 特開2007−118067公報 特開平05−104181号公報
前述のように、伸線ダイスのアプローチ角度及びベアリング長さを規制しても、十分な引っ張り残留応力の低減は期待できない。この場合、伸線後に残留応力低減のためのさらなる矯正加工が必要となる。伸線ダイスと鋼線との間の摩擦係数を規制する方法については、上記特開平11−199979号公報には具体的に示されていない。
最終の伸線ダイスの下流に、引っ張り残留応力低減装置、多段のローラ群等を設置する方法の場合、設備コストの上昇、生産速度の低下を招来するおそれがある。さらに、伸線の残留応力を制御する他の方法として、スキンパス、矯直加工、ショットピーニング等が提案されている。しかし、これらの方法にも種々の問題点が挙げられている(特開平11−199979号公報参照)。
本発明は、以上の現状に鑑みてなされたものであり、伸線後の金属線に対しては特別な処理を施すことなく、金属線の引っ張り残留応力の発生を効果的に抑制することのできる伸線ダイスを提供することを目的としている。
本発明に係る伸線ダイスは、
リダクション部とベアリング部とを含む孔部が形成されており、
上記リダクション部の表面が鏡面仕上げにされており、
上記ベアリング部の表面が上記鏡面仕上げより粗くされている。
かかる構成の伸線ダイスによれば、リダクション部の表面がなめらかであるので、被処理金属線に対する引き抜き動作への悪影響が防止される。これとともに、ベアリング部の表面が比較的粗くされているので、被処理金属線に対してスキンパス効果を与えることができる。このスキンパス効果により、伸線後の金属線の表面に発生する引っ張り残留応力が低減されうる。
好ましくは、上記リダクション部の表面粗さが、十点平均粗さRzで、1.40μm未満とされ、
上記ベアリング部の表面粗さが、十点平均粗さRzで、1.40μm以上1.90μm以下とされている。
好ましくは、上記リダクション部の表面粗さが、中心線平均粗さRaで、0.19μm未満とされ、
上記ベアリング部の表面粗さが、中心線平均粗さRaで、0.19μm以上0.28μm以下とされる。
好ましくは、上記ベアリング部の表面粗さが、十点平均粗さRzで、1.50μm以上1.70μm以下とされる。
好ましくは、上記ベアリング部の表面粗さが、中心線平均粗さRaで、0.20μm以上0.26μm以下とされる。
本発明に係る伸線ダイスによれば、伸線後の金属線の表面に発生する引っ張り残留応力が低減されうる。その結果、その金属線の耐疲労強度が向上する。また、遊離砥粒ソーワイヤによる切断時のウエハ精度の向上にもつながる。
図1は、本発明に係る伸線ダイスの一実施形態を含んだダイスセットを示す縦断面図である。 図2は、図1のダイスセットに含まれた、伸線ダイスの一実施形態のダイス孔を示す縦断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1に示されたダイスセット10は、伸線ダイス(以下、単にダイスという)1がダイスホルダ(ダイスケース、ダイスハウジングともいう)11に装着された状態のものである。ダイスホルダ11は、ダイス1を保護するとともに、伸線装置への装着を容易にする。このダイスセット10には、その中央部を貫通するように孔部(ダイス孔2という)が形成されている。金属線の伸線加工時には、外径D1の金属素線Mがこのダイス孔2に挿通される。その結果、この金属素線Mが伸線されて、その外径がD2に縮小される。伸線による金属素線Mの減免率(%)は、(D1− D2)/D1 ×100で表される。
ダイス1の材料は、伸線対象の金属線Mの材質、サイズ等によって種々のものが採用されうる。極細線用には、一般にダイヤモンドが使用される。例えば、天然ダイヤモンド、合成の単結晶ダイヤモンド、合成の多結晶ダイヤモンド等である。
図2に示されるように、上記ダイス孔2には、金属素線Mの入り口側から出口側に向けて順に、エントランス部3、アプローチ部4、リダクション部5、ベアリング部6、バックリリーフ部7及びイグジット部8が形成されている。エントランス部3、アプローチ部4及びリダクション部5は、それぞれ出口側に向かって縮径されている。ベアリング部6は均一内径にされている。バックリリーフ部7及びイグジット部8は、それぞれ出口側に向かって拡径されている。
図2においては、各部3〜8の範囲を視認しやすいように、各部3〜8が直線で示され且つ角によって分けられている。しかし、実際の縦断面形状では、各部3〜8は曲線状に連続している。また、本実施形態では、ダイス孔2が上記6つの部位3〜8から構成されているが、かかる構成には限定されない。リダクション部5に相当する部位、及び、ベアリング部6に相当する部位以外については、その存在や形状に何らの限定もない。
従来、ダイス孔2の内周面は、被処理金属線Mに対する摩擦抵抗を低減するために、一般的に鏡面仕上げされる。鏡面仕上げは、JISB0601、JISB0031の表面粗さ規定で表すと、一般的に十点平均粗さRz(以下、単にRzで表すこともある)であれば、1.40μm未満であるといえる。又は、中心線平均粗さRa(以下、単にRaで表すこともある)であれば、0.19μm未満であるといえる。しかし、ここで説明される実施形態に係るダイス1のダイス孔2の表面粗さは、従来のダイスのそれとは異なる。以下のとおりである。
本実施形態に係るダイス1では、ベアリング部6の表面粗さがリダクション部5の表面粗さとは異なる。リダクション部5の表面は、摩擦係数が小さくなるように鏡面仕上げされる。具体的には、リダクション部5の表面の表面粗さは、Rzであれば1.40μm未満にされる。Raであれば0.19μm未満にされている。リダクション部5は、金属線Mの断面積を減少させる部位であり、金属線Mに対して大きな抵抗力を負荷する部位だからである。
しかし、後述する目的のため、ベアリング部6の表面はリダクション部5の表面より粗く仕上げられる。ベアリング部6の表面の表面粗さは、Rzであれば、1.40μm以上1.90μm以下にされる。Raであれば0.19μm以上0.28μm以下にされる。好ましくは、十点平均粗さRzであれば1.50μm以上1.70μm以下にされ、RaであればRa0.20μm以上0.26μm以下にされる。
エントランス部3、アプローチ部4、バックリリーフ部7及びイグジット部8の各面の表面粗さは特別に規定はされない。これらの部位は、伸線に際して、金属線Mに大きな抵抗力を負荷することもなく、その表面粗さが伸線加工性や金属線Mの特性に大きな影響を与えないからである。本実施形態では、上記各部位3、4、7、8の表面粗さは、リダクション部5と同じく、Rzであれば1.40μm未満、Raであれば0.19μm未満にされている。すなわち、鏡面仕上げされている。しかし、かかる仕上げに限定はされない。以上述べた表面粗さの数値の範囲は、十点平均粗さRz及び中心線平均粗さRaのうちのいずれか一方の測定値で判定してよいことはもちろんである。
ダイヤモンド製のダイス1の場合、上記ダイス孔2は、例えば収束イオンビームを照射することによって形成される。ダイス孔2の面の表面仕上げは、ダイアモンド砥粒を用いて研磨されている。ベアリング部6と他の部位3、4、5、7、8とでは、研磨時に異なる粒径の砥粒が用いられる。ベアリング部6の研磨に用いられる砥粒の径は、他の部位3、4、5、7、8の研磨に用いられる砥粒の径より大きい。こうすることにより、ベアリング部6の表面は、リダクション部5及び他の部位3、4、7、8の表面より粗くなる。
以上のごとく、金属線Mの断面積を減少させる部位であるリダクション部5の面が鏡面仕上げされることにより、従来のダイスと同様に、金属線Mを縮径する動作に対する摩擦抵抗が低減される。一方、ベアリング部6の表面は、粗く仕上げられることによって摩擦係数が高くなる。しかし、金属線Mがベアリング部6から受ける面圧は、リダクション部5から受ける面圧に較べて低いため、引き抜き動作にとって問題にはならない。ベアリング部6の表面から金属線Mに作用する摩擦力により、金属線Mの表面に小さい歪が与えられる。いわゆるスキンパス効果が得られる。このスキンパス効果により、伸線後の金属線Mの表面に発生する引っ張り残留応力が低減されうる。
このように、ダイス孔2の表面仕上げ程度をわずかに変更するだけで、伸線装置に特別な装置を付加する必要なく、アプローチ角度(リダクション角度)やベアリング部長さ等の、ダイスの基本的な構造を変化させることなく、金属線Mの引っ張り残留応力の低減が可能となる。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図2に示されたダイス1を装着したダイスセット10が22個用意された。この22個のダイスセット(以下、ダイスという)10が伸線装置内の一つの伸線ラインを構成する。後述する鋼線が、上記22個のダイス1のダイス孔2に順次挿通され、伸線される。これらのダイス1は、ダイス孔径等は異なるが、いずれも減面率が約15%のダイスである。各ダイス1におけるリダクション角、すなわち、図2における、ダイス1の中心軸CLに対するリダクション部5の内面のなす角度αは、12°にされている。各ダイス1のベアリング長さ、すなわち、図2における中心軸CLに沿ったベアリング部6の長さBLは、ベアリング部6の内径寸法の1/2の長さにされている。上記22個のダイス1は、いずれも合成多結晶ダイヤモンドから形成されている。ラインの最下流(22番目)のダイス1は、そのリダクション部5が鏡面仕上げされ、ベアリング部6は指定粗さとされた。具体的には、リダクション部5の表面粗さは、Rzが1.38μm、Raが0.15μmとされ、ベアリング部6の表面粗さは、Rzが1.40μm、Raが0.21μmとされている。その他(第1から第21番目)のダイス1は、そのリダクション部5及びベアリング部6を含め、ダイス孔2の内周面は、鏡面仕上げ(Rzが1.40μm未満、Raが0.19μm未満)されている。この伸線ラインにより、線径0.8mmのメッキ鋼線が、最終的に線径0.12mmとなるまで伸線された。このメッキ鋼線は、線径が5.5mmのピアノ線材(JISG3506のSWRS82A相当)に、パテンチング及び伸線加工を繰り返して、表面に真鍮メッキを施した線径0.8mmの線材である。
[実施例2]
実施例2としても、一つの伸線ラインを構成する22個のダイス1が用意された。22個のダイス1のうち、第1から第21番目のダイス1として、上記実施例1の第1から第21番目のダイス1が用いられた。第22番目のダイス1は、その寸法形状及び材質が、実施例1の第22番目のダイス1と同じである。この第22番目のダイス1は、そのリダクション部5が鏡面仕上げされ、ベアリング部6は指定粗さとされた。具体的には、リダクション部5の表面粗さは、Rzが1.35μm、Raが0.16μmとされ、ベアリング部6の表面粗さは、Rzが1.50μm、Raが0.20μmとされている。この伸線ラインにより、実施例1と同じ線径0.8mmのメッキ鋼線が、最終的に線径0.12mmとなるまで伸線された。
[実施例3]
実施例3としても、一つの伸線ラインを構成する22個のダイス1が用意された。22個のダイス1のうち、第1から第21番目のダイス1として、上記実施例1の第1から第21番目のダイス1が用いられた。第22番目のダイス1は、その寸法形状及び材質が、実施例1の第22番目のダイス1と同じである。この第22番目のダイス1は、そのリダクション部5が鏡面仕上げされ、ベアリング部6は指定粗さとされた。具体的には、リダクション部5の表面粗さは、Rzが1.38μm、Raが0.16μmとされ、ベアリング部6の表面粗さは、Rzが1.62μm、Raが0.23μmとされている。この伸線ラインにより、実施例1と同じ線径0.8mmのメッキ鋼線が、最終的に線径0.12mmとなるまで伸線された。
[実施例4]
実施例4としても、一つの伸線ラインを構成する22個のダイス1が用意された。22個のダイス1のうち、第1から第21番目のダイス1として、上記実施例1の第1から第21番目のダイス1が用いられた。第22番目のダイス1は、その寸法形状及び材質が、実施例1の第22番目のダイス1と同じである。この第22番目のダイス1は、そのリダクション部5が鏡面仕上げされ、ベアリング部6は指定粗さとされた。具体的には、リダクション部5の表面粗さは、Rzが1.30μm、Raが0.15μmとされ、ベアリング部6の表面粗さは、Rzが1.70μm、Raが0.26μmとされている。この伸線ラインにより、実施例1と同じ線径0.8mmのメッキ鋼線が、最終的に線径0.12mmとなるまで伸線された。
[実施例5]
実施例5としても、一つの伸線ラインを構成する22個のダイス1が用意された。22個のダイス1のうち、第1から第21番目のダイス1として、上記実施例1の第1から第21番目のダイス1が用いられた。第22番目のダイス1は、その寸法形状及び材質が、実施例1の第22番目のダイス1と同じである。この第22番目のダイス1は、そのリダクション部5が鏡面仕上げされ、ベアリング部6は指定粗さとされた。具体的には、リダクション部5の表面粗さは、Rzが1.38μm、Raが0.16μmとされ、ベアリング部6の表面粗さは、Rzが1.88μm、Raが0.28μmとされている。この伸線ラインにより、実施例1と同じ線径0.8mmのメッキ鋼線が、最終的に線径0.12mmとなるまで伸線された。
[比較例1]
比較例1としても、一つの伸線ラインを構成する22個のダイス1が用意された。22個のダイス1のうち、第1から第21番目のダイス1として、上記実施例1の第1から第21番目のダイス1が用いられた。第22番目のダイス1は、その寸法形状及び材質が、実施例1の第22番目のダイス1と同じである。しかし、この第22番目のダイス1は、そのリダクション部5及びベアリング部6ともに鏡面仕上げされた。具体的には、リダクション部5の表面粗さは、Rzが1.35μm、Raが0.16μmとされ、ベアリング部6の表面粗さは、Rzが1.33μm、Raが0.16μmとされている。この伸線ラインにより、実施例1と同じ線径0.8mmのメッキ鋼線が、最終的に線径0.12mmとなるまで伸線された。
[比較例2]
比較例2としても、一つの伸線ラインを構成する22個のダイス1が用意された。22個のダイス1のうち、第1から第21番目のダイス1として、上記実施例1の第1から第21番目のダイス1が用いられた。第22番目のダイス1は、その寸法形状及び材質が、実施例1の第22番目のダイス1と同じである。しかし、この第22番目のダイス1は、そのリダクション部5が指定粗さとされ、ベアリング部6は鏡面仕上げされた。具体的には、リダクション部5の表面粗さは、Rzが1.50μm、Raが0.20μmとされ、ベアリング部6の表面粗さは、Rzが1.30μm、Raが0.15μmとされている。この伸線ラインにより、実施例1と同じ線径0.8mmのメッキ鋼線が、最終的に線径0.12mmとなるまで伸線された。
[比較例3]
比較例3としても、一つの伸線ラインを構成する22個のダイス1が用意された。22個のダイス1のうち、第1から第21番目のダイス1として、上記実施例1の第1から第21番目のダイス1が用いられた。第22番目のダイス1は、その寸法形状及び材質が、実施例1の第22番目のダイス1と同じである。しかし、この第22番目のダイス1は、そのリダクション部5が鏡面仕上げされ、ベアリング部6は指定粗さとされた。具体的には、リダクション部5の表面粗さは、Rzが1.35μm、Raが0.16μmとされ、ベアリング部6の表面粗さは、Rzが1.98μm、Raが0.21μmとされている。この伸線ラインにより、実施例1と同じ線径0.8mmのメッキ鋼線が、最終的に線径0.12mmとなるまで伸線された。
[比較例4]
比較例4としても、一つの伸線ラインを構成する22個のダイス1が用意された。22個のダイス1のうち、第1から第21番目のダイス1として、上記実施例1の第1から第21番目のダイス1が用いられた。第22番目のダイス1は、その寸法形状及び材質が、実施例1の第22番目のダイス1と同じである。しかし、この第22番目のダイス1は、そのリダクション部5及びベアリング部6ともに指定粗さとされた。具体的には、リダクション部5の表面粗さは、Rzが1.63μm、Raが0.22μmとされ、ベアリング部6の表面粗さは、Rzが1.71μm、Raが0.24μmとされている。この伸線ラインにより、実施例1と同じ線径0.8mmのメッキ鋼線が、最終的に線径0.12mmとなるまで伸線された。
[伸線加工品の評価]
上記実施例1から5及び比較例1から4に係るダイスによって伸線加工された鋼線に対して、それらの表層の残留応力の測定、及び、疲労試験が行われた。表1に、各例の第22番目のダイス1のダイス孔2の表面粗さと、上記の各試験結果とが示される。各試験結果に基づいて各例におけるダイスが評価された。
[鋼線の表層の残留応力の測定]
上記各例について、伸線加工後の鋼線から切り取られた15cm長さの部分が供試品とされた。採用された表層の残留応力の測定方法は周知であり、特開2003−301390公報に詳しい。すなわち、供試品のメッキは過硫酸アンモニウム水によって除去される。この供試品の表面の半周部分が、長手方向全長にわたってラッカーで被覆される。このように1/2部分が被覆された供試品は、硝酸溶液中でエッチングが施される。残留応力が生じた表層の半分の範囲を除去する目的である。エッチング後の供試品の最大の曲がり量が残留応力値とされる。残留応力値は、比較例1についての結果を指数100とし、これが基準値とされて、他の例の残留応力指数が算出される。表1に、各例の供試品の表層引っ張り残留応力指数が示される。残留応力指数は小さいほど好ましい。
[鋼線の疲労特性の試験]
上記各例について、伸線加工後の鋼線から切り取られた同一長さの部分が供試品とされた。この供試品について、周知のハンター式回転曲げ疲労試験機によって疲労強度が測定された。まず、供試品は、その表面に発生する引っ張り応力の最大値が1500MPaとなるように、U字状に湾曲される。U字状の供試品の一端が回転自在に支持される。供試品がU字状に支持された状態で、供試品の他端がモータ等によって自軸回りに回転させられる。これにより、供試品の表層には圧縮応力と引っ張り応力とが短周期で繰り返し発生する。供試品が、疲労によって切断させるまでの回転数が測定される。耐疲労強度は、比較例1についての試験結果(回転数)を指数100とし、これが基準値とされて、他の例の耐疲労強度が算出される。表1に、各例の供試品の疲労特性指数が示される。疲労特性指数は大きいほど好ましい。
Figure 2012187594
表1に示されるように、実施例1から5の最下流ダイス1は、リダクション部5の面が鏡面仕上げされ、ベアリング部6の面が鏡面より粗い所定範囲の粗さにされている。比較例1の最下流ダイス1は、リダクション部5及びベアリング部6ともに、その面が鏡面仕上げされている。比較例2の最下流ダイス1は、リダクション部5の面が鏡面より粗い所定範囲の粗さにされ、ベアリング部6の面が鏡面仕上げされている。比較例3の最下流ダイス1は、リダクション部5の面が鏡面仕上げされ、ベアリング部6の面が鏡面より粗い所定範囲の粗さにされている。しかし、ベアリング部6の面の粗さは、実施例1から5の最下流ダイス1のベアリング部6の表面粗さより大幅に粗い。比較例4の最下流ダイス1は、リダクション部5及びベアリング部6ともに、その面が鏡面より粗い所定範囲の粗さにされている。上記実施例1から5の各最下流ダイス1は、表面粗さにおいて、比較例1から4の各最下流ダイス1とは大きく異なる。
表1に示されるように、上記実施例1から5の最下流ダイス1によって伸線された鋼線は、比較例1から4の最下流ダイス1によって伸線された鋼線より、その表面引っ張り残留応力指数及び疲労特性指数ともに優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係る伸線ダイスは、各種金属線を縮径して伸線する加工に適用される。
1・・・ダイス
2・・・ダイス孔
3・・・エントランス部
4・・・アプローチ部
5・・・リダクション部
6・・・ベアリング部
7・・・バックリリーフ部
8・・・イグジット部
10・・・ダイスセット
11・・・ダイスホルダ
α・・・リダクション角度

Claims (5)

  1. リダクション部とベアリング部とを含む孔部が形成されており、
    上記リダクション部の表面が鏡面仕上げにされており、
    上記ベアリング部の表面が上記鏡面仕上げより粗くされている伸線ダイス。
  2. 上記リダクション部の表面の十点平均粗さRzが、1.40μm未満であり、
    上記ベアリング部の表面の十点平均粗さRzが、1.40μm以上1.90μm以下である請求項1に記載の伸線ダイス。
  3. 上記リダクション部の表面の中心線平均粗さRaが、0.19μm未満であり、
    上記ベアリング部の表面の中心線平均粗さRaが、0.19μm以上0.28μm以下である請求項1又は2に記載の伸線ダイス。
  4. 上記ベアリング部の表面の十点平均粗さRzが、1.50μm以上1.70μm以下である請求項1から3のうちのいずれかに記載の伸線ダイス。
  5. 上記ベアリング部の表面の中心線平均粗さRaが、0.20μm以上0.26μm以下である請求項3から4のうちのいずれかに記載の伸線ダイス。
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