JP5133670B2 - ゴム物品補強用スチールコード、タイヤ、及び、螺旋型付けブラスメッキ鋼線の製造方法 - Google Patents

ゴム物品補強用スチールコード、タイヤ、及び、螺旋型付けブラスメッキ鋼線の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、螺旋状に型付けが施されたブラスメッキ鋼線の製造方法、及び、上記ブラスメッキ鋼線を用いて作製されたゴム物品補強用スチールコードとこのスチールコードを補強材に用いたタイヤとに関する。
従来、ブラスメッキ鋼線の強度を高める方法としては、伸線時の加工量を大きくすることが一般的である。しかしながら、その結果として、表面層には引張り残留応力が発生するため、耐腐食性が低下することは、広く知られている。
一方、螺旋状の型付けが施されたブラスメッキ鋼線を複数本より合わせずに束ねて成るスチールコードが知られている。ブラスメッキ鋼線に螺旋状の型付けをする型付け装置としては、例えば、図7(a)に示すような、巻き取り方向に直角方向に交互にずらして配置された複数の円柱状のピン51を備えたプレフォーマー50などが用いられる(例えば、特許文献1参照)。この型付け処理によって、上記ブラスメッキ鋼線10は塑性変形させられるため、図7(b)に示すように、上記螺旋型付けされたブラスメッキ鋼線10の螺旋内側10aの表面層には大きな残留引張り応力が発生する。なお、螺旋外側10bの表面層では、残留応力は圧縮である。
また、腐食環境下に曝された場合には、螺旋内側の最大引っ張り残留応力部分より腐食疲労が進展し、耐腐食疲労性の低下を招くことも知られている。
伸線後のブラスメッキ鋼線の引張り残留応力を低減する方法としては、ブラスメッキ鋼線に圧縮空気を用いた空気投射式のショットピーニング処理を行う方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、伸線されたブラスメッキ鋼線を複数本撚り合わせてスチールコードを作製した後、このスチールコードを千鳥状に配置された複数のローラーを備えた矯正装置に通して、上記撚り合わされたブラスメッキ鋼線の残留応力及び進捗性を改善する方法(例えば、特許文献3参照)や、スチールコードを撚り合わせる工程で、張力負荷装置を設け、千鳥状に配置された複数のローラーにより曲げ加工を与えてブラスメッキ鋼線の表層部に残留応力を与えて表層部の残留応力を制御する方法(例えば、特許文献4参照)などが提案されている。
特開2006−225801号公報 特開平7−308707号公報 特開平10−325088号公報 特開平10−129211号公報
しかしながら、上記伸線後のブラスメッキ鋼線にショットピーニング処理を行う方法では、伸線後のブラスメッキ鋼線の引張り残留応力は低減できるが、螺旋型付けされたブラスメッキ鋼線の螺旋内側の表層部には依然として引張り応力が残るため、耐腐食疲労性を改善することが困難であった。
また、スチールコードを作製した後に矯正装置に通す方法では、ブラスメッキ鋼線に傷が入りやすいだけでなく、各ブラスメッキ鋼線に残留応力を均一に付与できないといった問題点があった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、螺旋型付けが施されたブラスメッキ鋼線の耐腐食疲労性を向上させる方法と、耐疲労性に優れたブラスメッキ鋼線を用いたゴム物品補強用スチールコード、及び、タイヤを提供することを目的とする。
本願の請求項1に記載の発明は、表面にブラスメッキが施された炭素含有量が0.7重量%以上の高炭素鋼線材料を伸線加工して得られた、直径0.10〜0.60mmφ、破断強力が3000MPa以上であるブラスメッキ鋼線に、螺旋内側の表層部の残留応力が圧縮応力状態であるような螺旋状の型付けを施して成るブラスメッキ鋼線の単品から成る、または実質的に同一ピッチで螺旋型付けした上記ブラスメッキ鋼線の複数本を、撚り合わせずに束ねて成ることを特徴とするものである。
請求項2に記載のタイヤは、請求項1に記載のゴム物品補強用スチールコードをプライまたはベルトのいずれか一方または両方に適用したことを特徴とするものである。
また、請求項3に記載の発明は、表面にブラスメッキが施された炭素含有量が0.7重量%以上の高炭素鋼線材料に湿式伸線加工を施して、直径0.10〜0.60mmφのブラスメッキ鋼線を作る伸線工程と、伸線加工後のブラスメッキ鋼線を、伸線時のブラスメッキ鋼線に引き抜き力を与える駆動キャプスタンに巻付ける巻付工程と、千鳥足状に配置された複数のローラー群を備えた矯正装置に入線させて上記ローラー間を通過させる矯正工程と、上記矯正されたブラスメッキ鋼線に螺旋状の型付けを施す螺旋型付け工程とを有する螺旋型付けブラスメッキ鋼線の製造方法において、上記巻付工程では、上記駆動キャプスタンに360度未満の巻き付け角度で巻付けることで、上記湿式伸線加工により得られた螺旋型付け前のブラスメッキ鋼線の表層部の残留応力量Rsoを圧縮応力とする処理を施し、螺旋型付け後の螺旋内部側の表層部の残留応力量Rsを圧縮応力とすることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の螺旋型付けブラスメッキ鋼線の製造方法において、上記巻き付け角度を180度以下としたことを特徴とする。
本発明のゴム物品補強用スチールコードは、表面にブラスメッキが施された炭素含有量が0.7重量%以上の高炭素鋼線材料を伸線加工して得られた、直径0.10〜0.60mmφ、破断強力が3000MPa以上であるブラスメッキ鋼線に、螺旋内側の表層部の残留応力が圧縮応力状態になるように螺旋型付けが施されたブラスメッキ鋼線の単品、または実質的に同一ピッチで螺旋型付けしたブラスメッキ鋼線の複数本撚り合わせずに束ねて作したので、耐疲労性を向上させることができる。
更に、このようなゴム物品補強用スチールコードを有するプライやベルトを作製し、これをタイヤの補強部材とすれば、耐疲労性に優れたタイヤを提供することができる。
また、螺旋状の型付けブラスメッキ鋼線を型付けする際に、伸線加工後のブラスメッキ鋼線を、伸線時のブラスメッキ鋼線に引き抜き力を与える駆動キャプスタンに360度未満の巻き付け角度で巻き付けてから、千鳥足状に配置された複数のローラー群を備えた矯正装置に入線させて上記ローラー間を通過させた後、上記伸線工程とは別に設けられた螺旋型付け工程にて、上記ブラスメッキ鋼線に螺旋状の型付けを施したので、螺旋型付け後の螺旋内部側の表層部の残留圧縮応力を確実に圧縮応力にすることができる。
以下、本発明の最良の形態について、図面に基づき説明する。
図1(a),(b)は、本最良の形態に係る螺旋型付けブラスメッキ鋼線10の製造方法を示す図で、同図において、11は伸線工程の最終ダイス、12は伸線時のブラスメッキ鋼線10に引き抜き力を与えるための駆動キャプスタン、13はブラスメッキ鋼線10を上記駆動キャプスタン12へ巻き付ける際の巻付け角を規定する補助プーリ、14は伸線工程で伸線されたブラスメッキ鋼線10の真直性を矯正する矯正装置、15は上記矯正装置14で矯正されたブラスメッキ鋼線10を巻き取るための巻取り用のボビンである。
矯正装置14は、入線されたブラスメッキ鋼線10の送り方向の左側と右側とから当接する千鳥足状に配置された複数のローラー14rを備えた第1の矯正部14aと、この第1の矯正部14aの後段に配置されたブラスメッキ鋼線10の上側と下側とから当接する千鳥足状に配置された複数のローラー14rを備えた第2の矯正部14bと、上記第2の矯正部14bから出線されたブラスメッキ鋼線10を上記駆動キャプスタン12に戻すための戻しローラー14c,14dとを備えている。
なお、上記伸線工程の最終ダイス11から引き抜かれたブラスメッキ鋼線10は、表面にブラスメッキが施された炭素含有量が0.7重量%以上の高炭素鋼線材料を直径0.10〜0.60mmφに伸線した、破断強力が3000MPa以上であるブラスメッキ鋼線である。
また、上記巻取り用のボビン15に巻き取られたブラスメッキ鋼線10は、例えば、図7(a)に示したような、周知の螺旋型付け装置と同様の構成の型付け装置を備えた螺旋型付け工程に送られて螺旋状に型付けされる。
本例では、図1(a),(b)に示すように、伸線工程の最終ダイス11から引き抜いたブラスメッキ鋼線10を駆動キャプスタン12に所定角度だけ巻き付けた後、上記駆動キャプスタン12から離れて補助プーリ13に渡し、この渡されたブラスメッキ鋼線10を上記補助プーリ13に所定角巻き付けた後に角度を変えて上記駆動キャプスタン12に戻す。そして、再度駆動キャプスタン12に所定角度だけ巻き付けた後に矯正装置14に入線する。このとき、上記駆動キャプスタン12の周面に掛け渡される伸線されたブラスメッキ鋼線10の範囲を、合計で、上記駆動キャプスタン12の中心角でみてθになるようにする。
一方、従来は、図2(a),(b)に示すように、ブラスメッキ鋼線10は駆動キャプスタン12に1回巻きされた後、矯正装置14に入線される。このように、ブラスメッキ鋼線10を駆動キャプスタン12に一周(360°)巻き付けてから矯正装置14に入線させるようにしているのは、矯正装置14に入線するブラスメッキ鋼線10に作用する張力を弱めて断線を低減するためである。
これに対して本例では、図1(b)に示すように、ブラスメッキ鋼線10は、駆動キャプスタン12に所定角θだけ巻き付けられてから矯正装置14に入線されるので、入線前のブラスメッキ鋼線の表層部の残留圧縮応力が、従来よりも大きくなる。したがって、上記矯正装置14から出線されて巻取り用のボビン15に巻取られたブラスメッキ鋼線10の表層部の残留圧縮応力も、従来よりも大きくなる。
このブラスメッキ鋼線10は、その後、別工程の螺旋型付け工程に送られて螺旋状の型付けが施される。上記型付け前のブラスメッキ鋼線10の表層部の残留応力は圧縮応力であり、かつ、残留応力量が従来よりも大きいので、螺旋状の型付けを行った場合は、螺旋型付けされたブラスメッキ鋼線10の表面層の螺旋内側の残留応力を残留圧縮応力にすることができる。したがって、螺旋型付けブラスメッキ鋼線10の耐腐食性を向上させることができる。
これを詳細に説明すると、一般に、矯正装置14による曲げ加工時には、入線するブラスメッキ鋼線10に作用する張力を弱めて、ブラスメッキ鋼線10を駆動キャプスタン12に一周(360°)巻き付けてから矯正装置14に入線させるようにしているが、これによって、入線するブラスメッキ鋼線10の表面層の残留圧縮応力は減少してしまう。
これに対して、本例では、ブラスメッキ鋼線10を駆動キャプスタン12に巻き付ける角度θを一周よりも小さくして、上記表面層の残留圧縮応力の減少を抑制する。すなわち、従来の方法に対して、本発明では、入線前のブラスメッキ鋼線10にその表面の残留圧縮応力が増加するような処理を施していることになる。なお、上記θの値は、上記補助プーリ13の径や上記補助プーリ13と駆動キャプスタン12との距離を適宜調整することにより設定することができる。また、上記θの大きさとしては、360度未満であればよいが、矯正装置14から出線するブラスメッキ鋼線10の表層部の残留圧縮応力を確実に高めるためには、上記θを180度以下とすることが好ましい。
なお、本例では、矯正装置14に入線するブラスメッキ鋼線10は、表面にブラスメッキが施された炭素含有量が0.7重量%以上の高炭素鋼線材料を直径0.10〜0.60mmφに伸線した、破断強力が3000MPa以上であるブラスメッキ鋼線であるので、入線するブラスメッキ鋼線10に作用する張力を従来よりも高くしても、矯正装置14による断線等の恐れがないので、上記ブラスメッキ鋼線10を、螺旋内側の表層部の残留応力を圧縮応力状態に保ったままで型付けすることができる。
このように、本最良の形態によれば、伸線工程の最終ダイス11から引き抜いたブラスメッキ鋼線10を螺旋状に型付けする前に、上記ブラスメッキ鋼線10を駆動キャプスタン12に所定角度だけ巻き付けた後、補助プーリ13に渡し、この渡されたブラスメッキ鋼線10を上記補助プーリ13に所定角巻き付けた後に角度を変えて上記駆動キャプスタン12に戻すことにより、上記ブラスメッキ鋼線10を駆動キャプスタン12に一周よりも少ない所定角度θだけ巻き付けた後に矯正装置14に入線させるようにしたので、矯正装置14から出線されるブラスメッキ鋼線10の表面層の残留圧縮応力を大きくすることができる。したがって、上記出線されるブラスメッキ鋼線10を巻取り用のボビン15に巻取り、このボビン15を別途設けられた型付け工程に送って上記ブラスメッキ鋼線10に螺旋状の型付けを施すようにすれば、上記ブラスメッキ鋼線10を、螺旋内側の表層部の残留応力を圧縮応力状態に保った状態で型付けすることができるので、上記螺旋型付けされたブラスメッキ鋼線10の耐腐食疲労性を改善することができる。
また、上記のブラスメッキ鋼線10単品、または実質的に同一ピッチで螺旋型付けしたブラスメッキ鋼線の複数本を、撚り合わせずに束ねてゴム物品補強用スチールコードを作製すれば、ゴム物品補強用スチールコードの耐疲労性を向上させることができる。
更に、このようなゴム物品補強用スチールコードを有するプライやベルトを作製し、これをタイヤの補強部材とすれば、耐疲労性に優れたタイヤを提供することができる。
なお、上記最良の形態では、伸線されたブラスメッキ鋼線10を駆動キャプスタン12に一周よりも少ない所定角度だけ巻き付けた後に矯正装置14に入線するようにしたが、図3(a),(b)に示すように、伸線されたブラスメッキ鋼線10を駆動キャプスタン12を通さず、直接矯正装置14に入線するようにしてもよい。これにより、矯正装置14から出線されるブラスメッキ鋼線10の表面層の残留圧縮応力の値は、上記最良の形態の場合よりも更に大きくなるので、螺旋状に型付けされたブラスメッキ鋼線10の螺旋内側の表層部の残留応力を確実に圧縮応力状態にすることができる。
また、上記例では、補助プーリ13を用いて駆動キャプスタン12への巻付け角を調整したが、巻付け角の大きさによっては、図1(a)に示した駆動キャプスタン12側の戻しローラー14dへブラスメッキ鋼線10を巻き付けた後に駆動キャプスタン12へ戻すようにすることにより、補助プーリ13を省略して上記戻しローラー14dを上記補助プーリ13の代わりに用いるようにすることも可能である。
[実施例]
表面にブラスメッキが施された炭素含有量が0.8重量%以上の高炭素鋼線材料を伸線加工して得られた、線径が0.21mmφ、抗張力が3600MPaのブラスメッキ鋼線と、線径が同じで破断強力が3950MPaのブラスメッキ鋼線をそれぞれ準備し、各ブラスメッキ鋼線について、矯正装置への入線方法を変えて入線させたときに、矯正装置から出線されるブラスメッキ鋼線の表面の残留圧縮応力量Rs(mm)を測定するとともに、その腐食疲労性について評価した。その結果を図4の表に示す。
比較例1は線径が0.21mmφ、抗張力が3600MPaのブラスメッキ鋼線を駆動キャプスタンに1周(360°)巻き付けた後に矯正装置へ入線させたものである。
実施例1は比較例1と同じブラスメッキ鋼線を駆動キャプスタンに180°の巻付け角で巻き付けた後に矯正装置へ入線させたものである。
実施例2は比較例1と同じブラスメッキ鋼線を直接矯正装置へ入線させたものである。
比較例2は線径が0.21mmφ、抗張力が3950MPaのブラスメッキ鋼線を駆動キャプスタンに1周巻き付けた後に矯正装置へ入線させたものである。
実施例3は比較例2と同じブラスメッキ鋼線を駆動キャプスタンに180°の巻付け角で巻き付けた後に矯正装置へ入線させたものである。
実施例4は比較例2と同じブラスメッキ鋼線を直接矯正装置へ入線させたものである。
矯正装置で矯正されるブラスメッキ鋼線に作用する張力を「大,中,小」で評価すると、駆動キャプスタンに1周(360°)巻き付けた場合が「小」で、駆動キャプスタンに180°の巻付け角で巻き付けた場合は「中」、駆動キャプスタンに巻き付けない場合が「大」となる。
矯正装置から出線されるブラスメッキ鋼線の表面の残留圧縮応力量Rs(mm)は、以下のようにして測定した。
ブラスメッキ鋼線を120mmの長さに切断した試験片を準備し、この試験片のブラスメッキ層を過硫酸アンモニウム水溶液により除去し、図5(a)に示すように、その端部を20mm程度直角に折り曲げる。そして、長さが100mmの部分の半周部分を、エッチングがされないようにラッカーで被覆する。なお、端部の20mmの部分は全周をラッカーで被覆する。次に、この試験片を50℃の50容量%硝酸水溶液中に浸漬してエッチング処理を行い、端部20mmを基準として、鋼線の曲りが最大となった時の曲り量を残留圧縮応力量Rs(mm)とした。
残留応力は、図5(b)に示すように、エッチング処理された側に曲った場合が圧縮(−)、ラッカー被覆側に曲った場合が引張り(+)である。なお、表の→( )中の残留圧縮応力量は螺旋型付け後のブラスメッキ鋼線の螺旋内側表面の残留圧縮応力量で、エッチング処理した後の螺旋の曲率半径の変化から求めた参考値である。
また、螺旋型付けされたブラスメッキ鋼線の腐食疲労性については、以下のようにして評価した。
螺旋型付けされたブラスメッキ鋼線を100mmの長さに切断した試験片を準備し、この試験片を少量の硝酸イオン及び硫酸イオンを含む水溶液中に浸漬し、毎分1000回転の速度で294N/mmの繰り返し応力を与え、上記鋼線が破断するまでの回転数を求めた。表では、比較例1及び比較例2での回転数を100として指数表示した。数値が大きいほど腐食疲労性に優れていることを表している。
図4の表から明らかなように、破断強力の大きさに関わらず、螺旋型付けされる前のブラスメッキ鋼線に作用する張力が大きいほど残留圧縮応力量Rsが大きく、腐食疲労性に優れていることがわかる。これにより、螺旋型付けされる前のブラスメッキ鋼線の表面の残留圧縮応力を大きく(残留圧縮応力量Rsで50mm以上)することにより、螺旋型付けされたブラスメッキ鋼線の腐食疲労性が向上することが確認された。
次に、鋼線の炭素含有量を0.9重量%として同様の試験を行った結果を図6に示す。
比較例3は鋼線の炭素含有量を除いて比較例1と同条件である。
実施例5は鋼線の炭素含有量を除いて実施例1と同条件である。
実施例6は鋼線の炭素含有量を除いて実施例2と同条件である。
比較例4は鋼線の炭素含有量を除いて比較例2と同条件である。
実施例7は鋼線の炭素含有量を除いて実施例3と同条件である。
実施例8は鋼線の炭素含有量を除いて実施例4と同条件である。
図4及び図6から、炭素含有量を0.9重量%とした場合も、矯正装置で矯正されるブラスメッキ鋼線に作用する張力を「中」もしくは「大」とすれば、炭素含有量が0.8重量%の場合と同様に、螺旋型付けされる前のブラスメッキ鋼線の表面の残留圧縮応力を大きく(残留圧縮応力量Rsで50mm以上)とすることができるので、螺旋型付けされたブラスメッキ鋼線の耐腐食疲労性を向上させることができる。
本発明によれば、耐腐食疲労性に優れたブラスメッキ鋼線、及び、耐疲労性に優れたゴム物品補強用スチールコードを得ることができる。
また、上記ゴム物品補強用スチールコードを用いてプライやベルトを作製してこれをタイヤの補強部材とすれば、耐疲労性に優れたタイヤを提供することができる。
本発明の最良の形態に係る螺旋型付けブラスメッキ鋼線の製造方法を示す図である。 従来のブラスメッキ鋼線への型付け方法の一例を示す図である。 本発明による螺旋型付けブラスメッキ鋼線の製造方法の他の例を示す図である。 本発明による製造方法により製造したブラスメッキ鋼線と従来の製造法により製造したブラスメッキ鋼線との耐腐食性を比較した表である。 鋼線表面の残留応力の測定方法を示す図である。 本発明による製造方法により製造したブラスメッキ鋼線と従来の製造法により製造したブラスメッキ鋼線との耐腐食性を比較した表である。 螺旋型付け装置の一例と螺旋型付けされたブラスメッキ鋼線の残留応力状態を説明するための模式図である。
符号の説明
10 ブラスメッキ鋼線、11 伸線工程の最終ダイス、12 駆動キャプスタン、
13 補助プーリ、14 矯正装置、14a 第1の矯正部、14b 第2の矯正部、
14c,14d 戻しローラー、14r 矯正装置のローラー、
15 巻取り用のボビン。

Claims (4)

  1. 表面にブラスメッキが施された炭素含有量が0.7重量%以上の高炭素鋼線材料を伸線加工して得られた、直径0.10〜0.60mmφ、破断強力が3000MPa以上であるブラスメッキ鋼線に、螺旋内側の表層部の残留応力が圧縮応力状態であるような螺旋型付けを施して成るブラスメッキ鋼線の単品から成る、または実質的に同一ピッチで螺旋型付けした上記ブラスメッキ鋼線の複数本を、撚り合わせずに束ねて成ることを特徴とするゴム物品補強用スチールコード。
  2. 請求項1に記載のゴム物品補強用スチールコードをプライまたはベルトのいずれか一方または両方に適用したことを特徴とするタイヤ。
  3. 表面にブラスメッキが施された炭素含有量が0.7重量%以上の高炭素鋼線材料に湿式伸線加工を施して、直径0.10〜0.60mmφのブラスメッキ鋼線を作る伸線工程と、伸線加工後のブラスメッキ鋼線を、伸線時のブラスメッキ鋼線に引き抜き力を与える駆動キャプスタンに巻付ける巻付工程と、千鳥足状に配置された複数のローラー群を備えた矯正装置に入線させて上記ローラー間を通過させる矯正工程と、上記矯正されたブラスメッキ鋼線に螺旋状の型付けを施す螺旋型付け工程とを有する螺旋型付けブラスメッキ鋼線の製造方法において、
    上記巻付工程では、上記駆動キャプスタンに360度未満の巻き付け角度で巻付けることで、上記湿式伸線加工により得られた螺旋型付け前のブラスメッキ鋼線の表層部の残留応力量Rsoを圧縮応力とする処理を施し、螺旋型付け後の螺旋内部側の表層部の残留応力量Rsを圧縮応力とすることを特徴とする螺旋型付けブラスメッキ鋼線の製造方法。
  4. 上記巻き付け角度が180度以下であることを特徴とする請求項3に記載の螺旋型付けブラスメッキ鋼線の製造方法。
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