JP2680127C - - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は、Si3N4焼結体に関するもので、例えば、ディーゼルエンジン部品
、ガスタービンエンジン部品、軸受等の製造方法に利用すると有効である。 (従来の技術) 高強度かつ高硬度セラミクスの一つである窒化珪素Si3N4は、周知のごとく
、常温から約1400℃の高温まで高強度を示し、比重が約3.2g/ccと金
属の半分以下の軽量であり、耐摩耗性、耐熱性、耐食性が優れている等の特性を
もつことから、エンジン部品、摺動部材等の利用分野への研究開発が盛んに行な
われている。 Si3N4の焼結法としては、大別して次の3法があり、常圧焼結法は大気圧
下のN2等のガス雰囲気中で焼結する方法、加圧焼結法は1.5〜100気圧 程度のN2等のガス雰囲気中で焼結する方法、熱間等方静水圧プレス(以下「
HIP」という)法は500〜3000気圧のガス圧下で等方加圧して焼結する
方法である。 これらのの焼結法により得られた焼結体の特性は、曲げ強度、硬度、密
度などの点において一般によりも、よりもが優れている。さらに、前記 HIP法は、セラミクス成形体の表面を緻密なガラスの膜で覆った後、HIP法
で焼結する方法である。 (発明が解決しようとする課題) しかしながら、前述した焼結HIP法あるいはガラスカプセルHIP法により
得られたSi3N4焼結体によると、その焼結体表面の近傍から深さ約3mm程度
までの表層に多数の気孔が残留しやすく、この多孔質表層が一因となって、焼結
体の密度、強度、靭性等の点においてバラツキが生じる問題がある。また、焼結
体表面近傍から深さ5mm程度までの表層に中心部と色相の異なる変色層が生成
されやすく、この変色層によって焼結体の商品としての価値を低下させるという
問題がある。 このようなSi3N4焼結体の特性が得られる結果について原料粉末から焼結体
に至る過程を一つの粉体現象として解析するためにはSi3N4粉末、成形体など
の中間体キャラクタを適切に記述できる粉体パラメータが必要になり、これらの
粉体パラメータとおのおのの製造段階で起こる粉体現象との間の相関関係が明確
になれば、製造プロセスの制御や焼結体の品質管理を能率良く行なうことができ
るようになる。 本発明者らは、かかる観点より前記Si3N4焼結体の有する問題の解決策を見
出すためにまず第1に原料粉末の制御が重要であることに着目し、Si3N4原料
粉末粒子の比表面積とその平均含有酸素量を一定範囲に限定して使うことで、上
記問題点を解決する手法を見出し本発明を完成するに至った。 本発明が解決しようとする課題は、焼結体表層の気孔の残留割合が少なく、表 面変色層が薄く、かつ焼結体の密度、強度、硬度のバラツキが小さく、外観面か
らの焼結体の商品価値を高めるようにしたSi3N4焼結体を提供することにある
。 (課題を解決するための手段) 前記課題を解決するための本発明のSi3N4焼結体は、粉末粒子の比表面積が
9.5〜11.0m2/gであって、かつその粉末粒子の含有する平均酸素量が
1.00〜1.50wt%の範囲にあるSi3N4原料粉末に焼結助剤を添加混合
した粉末を成形した後、ガス雰囲気中で予備焼結し、この予備焼結体を熱間静水
圧プレス焼結したSi3N4焼結体であって、気孔径10μm以上の気孔が残存す
る表層の厚さが2.0mm以下であるあることを特徴とする。 また、本発明のSi3N4焼結体は、粉末粒子の比表面積が9.5〜11.0m
2/gであって、かつその粉末粒子の含有する平均酸素量が1.00〜1.50
wt%の範囲にあるSi3N4原料粉末に焼結助剤を添加混合した粉末を成形し、
この成形体をガラスカプセルで被覆した後、熱間静水圧プレス焼結したSi3N4
焼結体であって、気孔径10μm以上の気孔が残存する表層の厚さが2.0mm
以下であることを特徴とする。 以下、本発明の実施例を示すことにより本発明の内容を明らかにする。 (実施例) 試験例 1 まずSi3N4原料粉末粒子の比表面積、平均粒径および含有酸素量を一定の範
囲に限定した原料粉末を用いた。第1表に原料粉末の比表面積、平均粒径および
平均含有酸素量を示す。 このSi3N4粉末に焼結助剤としてSrO、MgO、CeO2を第1表に示す
ように総量10wt%以下になるよう添加した。これらの原料粉末を調合した後
成形し、1480〜1500℃に昇温し一次焼結を行なった。得られた一次焼結
体を温度1600℃、圧力800気圧に昇温昇圧し、HIP処理した。 得られた焼結体について、理論密度、気孔が残存する表層の厚さ、変色層の厚
さをそれぞれ測定したところ、その結果は第1表に示すとおりであった。 第1表において、比表面積はBET法によりN2ガスの吸着量で決定し、その
測定誤差は±0.1m2/g以下であった。気孔残存厚さについては、気孔の径
が10μmのものが存在する表層の深さを測定値とし、変色層の厚さは、焼結体
の切断面の表層部から中心方向の変色層の深さを測定値とした。 第1表から明らかなように、本発明の範囲では理論密度が98.0%以上あり
気孔の残存厚さも1.5mm以下でかつ変色層の厚さも3.0mm以下となった
。 これに対し比較例では、理論密度が98.0%未満でかつ気孔残存厚さは2.
1mm以上、変色層の厚さは3.2mm以上あった。 さらに、比表面積が9.5〜11.0m2/gの原料粉末のうち、比表面積が
10.0〜10.5m2/gの原料粉末を用いると、より一層好ましいことも第
1表から理解される。 この結果から、Si3N4原料粉末粒子の比表面積と含有平均酸素量を一定の範
囲に限定することによって、焼結体の密度、強度、硬度、靭性等の特性が改善さ
れるとともに焼結体表層面に形成される変色層の厚さが薄くなり、商品価値が向
上されることが解った。 なお、焼結体の製品としては、表層の除去加工代を考慮すると、気孔径10μ
m以上の気孔が残存する領域つまり表面部分からの深さを2.0mm以下にする
のが好ましい。変色層は、特性的には問題は少ないが商品としての価値を下げる
という点で薄いほど好ましい。 試験例 2 試験例1と同様に、Si3N4原料粉末粒子の比表面積、平均粒径および含有酸
素量を一定の範囲に限定した原料粉末を用いた。第2表にその比表面積、平均粒
径および含有酸素量を示す。 このSi3N4粉末に焼結助剤として、Y2O3、Al2O3を第2表に示すように
総量10wt%以下になるよう添加した。これらの原料粉末を成形し、1580
℃に昇温し一次焼結し、得られた一次焼結体を温度1600℃、圧力800気圧
に昇温昇圧し、HIP処理した。 得られた焼結体について、理論密度、気孔が残 存する表層の厚さ、変色層の
厚さをそれぞれ測定したところ、その結果は第2表に示すとおりであった。 第2表から明らかなように、本発明の範囲では理論密度が98.0%以上あり
気孔の残存厚さも2.0mm以下でかつ変色層の厚さも3.5mm以下となった
。 これに対し比較例では、理論密度が98.0%未満でかつ気孔残存厚さも2.
4mm以上、変色層の厚さは4.0mm以上あった。 この結果から、Si3N4原料粉体粒子の比表面積と含有平均酸素量を一定の範
囲に限定することによって、焼結体の密度、強度、硬度、靭性等の特性が改善さ
れるとともに焼結体表層面に形成される変色層の厚さが薄くなり商品価値が向上
されることが解った。 試験例 3 試験例1、2と同様に、Si3N4原料粉末粒子の比表面積、平均粒径および含
有酸素量を一定の範囲に限定した原料粉末を用いた。第3表にその比表面積、平
均粒径および含有酸素量を示す。 このSi3N4粉末に焼結助剤として、Y2O3、MgO、ZrO2を第3表に示
すように総量11wt%以下になるよう添加した。これらの原料粉末を成形し1
600℃に昇温し一次焼結し、得られた一次焼結体を温度1600℃、圧力80
0気圧に昇温昇圧し、HIP処理した。 得られた焼結体について、理論密度、気孔が残存する表層の厚さ、変色層の厚
さをそれぞれ測定したところ、その結果は第3表に示すとおりであった。 第3表から明らかなように、本発明の範囲では理論密度が98.0%以上あり
気孔の残存厚さが1.5mm以下でかつ変色層の厚さが2.8mm以下となった
。 これに対し比較例では、理論密度が98.0%未満でかつ気孔残存厚さは2.
1mm以上、変色層の厚さは3.0mm以上あった。 この結果から、Si3N4原料粉体粒子の比表面積と含有平均酸素量を一定の範
囲に限定することによって、焼結体の密度、強度、硬度、靭性等の特性が改善さ
れるとともに焼結体表層面に形成される変色層の厚さが薄くなり商品価値が向上
されることが解った。 試験例 4 Si3N4原料粉末粒子の比表面積、平均粒径および含有酸素量を一定の範囲に
限定した原料粉末を用いた。第4表にその詳細を示す。 このSi3N4粉末にSrO、MgO、CeO2を所定量添加した。これをアト
ライターで調合した後、スプレードライ法で造粒し、成形した。この成形体を大
気中、500℃で5時間仮焼し、この成形体中の残存有機質を除去した。得られ
た成形体をガラスカプセルで被覆した後、1500気圧のN2雰囲気中でHIP
処理した。 得られた焼結体についての測定結果は第4表に示すとおりである。 第4表から明らかなように、ガラスカプセルHIP法においても、所定の原料
比表面積と酸素量を有するSi3N4原料粉末を利用すると、気孔残存量が少なく
、表面変色層が薄く、高密度の焼結体が得られることが判る。さらに、原料比表
面積が10〜10.5m2/gのものは、一層好ましい効果が発現することは第
4表からも理解される。 (発明の効果) 以上説明したように、本発明の窒化珪素の原料粉末または焼結方法を用いると
、使用原料の比表面積と酸素量を所定範囲に限定して使うことにより、焼結体表
層面の気孔が残存する領域を薄くし、難加工材の除去加工代を狭め、後加工を容
易に行なえるという効果がある。 また、Si3N4焼結体の商品価値を低下させる一因となる変色層の厚さを薄く
あるいは無くすことで、外観面からの商品価値を向上させることができるだけで
なく、焼結体の特性面での密度、強度、硬度のバラツキを少なくし、商品として
の信頼性を大幅に高めることができる。
、ガスタービンエンジン部品、軸受等の製造方法に利用すると有効である。 (従来の技術) 高強度かつ高硬度セラミクスの一つである窒化珪素Si3N4は、周知のごとく
、常温から約1400℃の高温まで高強度を示し、比重が約3.2g/ccと金
属の半分以下の軽量であり、耐摩耗性、耐熱性、耐食性が優れている等の特性を
もつことから、エンジン部品、摺動部材等の利用分野への研究開発が盛んに行な
われている。 Si3N4の焼結法としては、大別して次の3法があり、常圧焼結法は大気圧
下のN2等のガス雰囲気中で焼結する方法、加圧焼結法は1.5〜100気圧 程度のN2等のガス雰囲気中で焼結する方法、熱間等方静水圧プレス(以下「
HIP」という)法は500〜3000気圧のガス圧下で等方加圧して焼結する
方法である。 これらのの焼結法により得られた焼結体の特性は、曲げ強度、硬度、密
度などの点において一般によりも、よりもが優れている。さらに、前記 HIP法は、セラミクス成形体の表面を緻密なガラスの膜で覆った後、HIP法
で焼結する方法である。 (発明が解決しようとする課題) しかしながら、前述した焼結HIP法あるいはガラスカプセルHIP法により
得られたSi3N4焼結体によると、その焼結体表面の近傍から深さ約3mm程度
までの表層に多数の気孔が残留しやすく、この多孔質表層が一因となって、焼結
体の密度、強度、靭性等の点においてバラツキが生じる問題がある。また、焼結
体表面近傍から深さ5mm程度までの表層に中心部と色相の異なる変色層が生成
されやすく、この変色層によって焼結体の商品としての価値を低下させるという
問題がある。 このようなSi3N4焼結体の特性が得られる結果について原料粉末から焼結体
に至る過程を一つの粉体現象として解析するためにはSi3N4粉末、成形体など
の中間体キャラクタを適切に記述できる粉体パラメータが必要になり、これらの
粉体パラメータとおのおのの製造段階で起こる粉体現象との間の相関関係が明確
になれば、製造プロセスの制御や焼結体の品質管理を能率良く行なうことができ
るようになる。 本発明者らは、かかる観点より前記Si3N4焼結体の有する問題の解決策を見
出すためにまず第1に原料粉末の制御が重要であることに着目し、Si3N4原料
粉末粒子の比表面積とその平均含有酸素量を一定範囲に限定して使うことで、上
記問題点を解決する手法を見出し本発明を完成するに至った。 本発明が解決しようとする課題は、焼結体表層の気孔の残留割合が少なく、表 面変色層が薄く、かつ焼結体の密度、強度、硬度のバラツキが小さく、外観面か
らの焼結体の商品価値を高めるようにしたSi3N4焼結体を提供することにある
。 (課題を解決するための手段) 前記課題を解決するための本発明のSi3N4焼結体は、粉末粒子の比表面積が
9.5〜11.0m2/gであって、かつその粉末粒子の含有する平均酸素量が
1.00〜1.50wt%の範囲にあるSi3N4原料粉末に焼結助剤を添加混合
した粉末を成形した後、ガス雰囲気中で予備焼結し、この予備焼結体を熱間静水
圧プレス焼結したSi3N4焼結体であって、気孔径10μm以上の気孔が残存す
る表層の厚さが2.0mm以下であるあることを特徴とする。 また、本発明のSi3N4焼結体は、粉末粒子の比表面積が9.5〜11.0m
2/gであって、かつその粉末粒子の含有する平均酸素量が1.00〜1.50
wt%の範囲にあるSi3N4原料粉末に焼結助剤を添加混合した粉末を成形し、
この成形体をガラスカプセルで被覆した後、熱間静水圧プレス焼結したSi3N4
焼結体であって、気孔径10μm以上の気孔が残存する表層の厚さが2.0mm
以下であることを特徴とする。 以下、本発明の実施例を示すことにより本発明の内容を明らかにする。 (実施例) 試験例 1 まずSi3N4原料粉末粒子の比表面積、平均粒径および含有酸素量を一定の範
囲に限定した原料粉末を用いた。第1表に原料粉末の比表面積、平均粒径および
平均含有酸素量を示す。 このSi3N4粉末に焼結助剤としてSrO、MgO、CeO2を第1表に示す
ように総量10wt%以下になるよう添加した。これらの原料粉末を調合した後
成形し、1480〜1500℃に昇温し一次焼結を行なった。得られた一次焼結
体を温度1600℃、圧力800気圧に昇温昇圧し、HIP処理した。 得られた焼結体について、理論密度、気孔が残存する表層の厚さ、変色層の厚
さをそれぞれ測定したところ、その結果は第1表に示すとおりであった。 第1表において、比表面積はBET法によりN2ガスの吸着量で決定し、その
測定誤差は±0.1m2/g以下であった。気孔残存厚さについては、気孔の径
が10μmのものが存在する表層の深さを測定値とし、変色層の厚さは、焼結体
の切断面の表層部から中心方向の変色層の深さを測定値とした。 第1表から明らかなように、本発明の範囲では理論密度が98.0%以上あり
気孔の残存厚さも1.5mm以下でかつ変色層の厚さも3.0mm以下となった
。 これに対し比較例では、理論密度が98.0%未満でかつ気孔残存厚さは2.
1mm以上、変色層の厚さは3.2mm以上あった。 さらに、比表面積が9.5〜11.0m2/gの原料粉末のうち、比表面積が
10.0〜10.5m2/gの原料粉末を用いると、より一層好ましいことも第
1表から理解される。 この結果から、Si3N4原料粉末粒子の比表面積と含有平均酸素量を一定の範
囲に限定することによって、焼結体の密度、強度、硬度、靭性等の特性が改善さ
れるとともに焼結体表層面に形成される変色層の厚さが薄くなり、商品価値が向
上されることが解った。 なお、焼結体の製品としては、表層の除去加工代を考慮すると、気孔径10μ
m以上の気孔が残存する領域つまり表面部分からの深さを2.0mm以下にする
のが好ましい。変色層は、特性的には問題は少ないが商品としての価値を下げる
という点で薄いほど好ましい。 試験例 2 試験例1と同様に、Si3N4原料粉末粒子の比表面積、平均粒径および含有酸
素量を一定の範囲に限定した原料粉末を用いた。第2表にその比表面積、平均粒
径および含有酸素量を示す。 このSi3N4粉末に焼結助剤として、Y2O3、Al2O3を第2表に示すように
総量10wt%以下になるよう添加した。これらの原料粉末を成形し、1580
℃に昇温し一次焼結し、得られた一次焼結体を温度1600℃、圧力800気圧
に昇温昇圧し、HIP処理した。 得られた焼結体について、理論密度、気孔が残 存する表層の厚さ、変色層の
厚さをそれぞれ測定したところ、その結果は第2表に示すとおりであった。 第2表から明らかなように、本発明の範囲では理論密度が98.0%以上あり
気孔の残存厚さも2.0mm以下でかつ変色層の厚さも3.5mm以下となった
。 これに対し比較例では、理論密度が98.0%未満でかつ気孔残存厚さも2.
4mm以上、変色層の厚さは4.0mm以上あった。 この結果から、Si3N4原料粉体粒子の比表面積と含有平均酸素量を一定の範
囲に限定することによって、焼結体の密度、強度、硬度、靭性等の特性が改善さ
れるとともに焼結体表層面に形成される変色層の厚さが薄くなり商品価値が向上
されることが解った。 試験例 3 試験例1、2と同様に、Si3N4原料粉末粒子の比表面積、平均粒径および含
有酸素量を一定の範囲に限定した原料粉末を用いた。第3表にその比表面積、平
均粒径および含有酸素量を示す。 このSi3N4粉末に焼結助剤として、Y2O3、MgO、ZrO2を第3表に示
すように総量11wt%以下になるよう添加した。これらの原料粉末を成形し1
600℃に昇温し一次焼結し、得られた一次焼結体を温度1600℃、圧力80
0気圧に昇温昇圧し、HIP処理した。 得られた焼結体について、理論密度、気孔が残存する表層の厚さ、変色層の厚
さをそれぞれ測定したところ、その結果は第3表に示すとおりであった。 第3表から明らかなように、本発明の範囲では理論密度が98.0%以上あり
気孔の残存厚さが1.5mm以下でかつ変色層の厚さが2.8mm以下となった
。 これに対し比較例では、理論密度が98.0%未満でかつ気孔残存厚さは2.
1mm以上、変色層の厚さは3.0mm以上あった。 この結果から、Si3N4原料粉体粒子の比表面積と含有平均酸素量を一定の範
囲に限定することによって、焼結体の密度、強度、硬度、靭性等の特性が改善さ
れるとともに焼結体表層面に形成される変色層の厚さが薄くなり商品価値が向上
されることが解った。 試験例 4 Si3N4原料粉末粒子の比表面積、平均粒径および含有酸素量を一定の範囲に
限定した原料粉末を用いた。第4表にその詳細を示す。 このSi3N4粉末にSrO、MgO、CeO2を所定量添加した。これをアト
ライターで調合した後、スプレードライ法で造粒し、成形した。この成形体を大
気中、500℃で5時間仮焼し、この成形体中の残存有機質を除去した。得られ
た成形体をガラスカプセルで被覆した後、1500気圧のN2雰囲気中でHIP
処理した。 得られた焼結体についての測定結果は第4表に示すとおりである。 第4表から明らかなように、ガラスカプセルHIP法においても、所定の原料
比表面積と酸素量を有するSi3N4原料粉末を利用すると、気孔残存量が少なく
、表面変色層が薄く、高密度の焼結体が得られることが判る。さらに、原料比表
面積が10〜10.5m2/gのものは、一層好ましい効果が発現することは第
4表からも理解される。 (発明の効果) 以上説明したように、本発明の窒化珪素の原料粉末または焼結方法を用いると
、使用原料の比表面積と酸素量を所定範囲に限定して使うことにより、焼結体表
層面の気孔が残存する領域を薄くし、難加工材の除去加工代を狭め、後加工を容
易に行なえるという効果がある。 また、Si3N4焼結体の商品価値を低下させる一因となる変色層の厚さを薄く
あるいは無くすことで、外観面からの商品価値を向上させることができるだけで
なく、焼結体の特性面での密度、強度、硬度のバラツキを少なくし、商品として
の信頼性を大幅に高めることができる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 粉末粒子の比表面積が9.5〜11.0m2/gであって、か
つその粉末粒子の含有する平均酸素量が1.00〜1.50wt%の範囲にある
Si3N4原料粉末に焼結助剤を添加混合した粉末を成形した後、ガス雰囲気中で
予備焼結し、この子備焼結体を熱間静水圧プレス焼結したSi3N4焼結体であっ
て、 気孔径10μm以上の気孔が残存する表層の厚さが2.0mm以下であること
を特徴とするSi3N4焼結体。 【請求項2】 粉末粒子の比表面積が9.5〜11.0m2/gであって、か
つその粉末粒子の含有する平均酸素量が1.00〜1.50wt%の範囲にある
Si3N4原料粉末に焼結助剤を添加混合した粉末を成形し、この成形体をガラス
カプセルで被覆した後、熱間静水圧プレス焼結したSi3N4焼結体であって、 気孔径10μm以上の気孔が残存する表層の厚さが2.0mm以下であること
を特徴とするSi3N4焼結体。
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