JP2679473B2 - 多結晶シリコンの選択的デポジション方法 - Google Patents

多結晶シリコンの選択的デポジション方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は一般に半導体ウエハへの
多結晶シリコンのデポジションに関し、さらに詳細には
多結晶シリコン、微結晶シリコンおよび非晶質ポリシリ
コンを選択的にデポジションする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年選択的に多結晶シリコンをデポジシ
ョンする方法の開発が試みられているが、これにはいく
つかの問題がある。選択性の消失、結晶粒度の制御、膜
の汚染といった問題は特に大きな関心の払われている問
題である。
【0003】
【解決すべき課題】半導体装置の製造においては膜の汚
染は大きな問題である。膜中の汚染物質は装置に対して
予測不可能な悪影響を引き起こす可能性がある。これら
の問題についてのFurumuraらによる研究内容はJournal
Electrochemical Society 133 (1986)ページ379-383、"
Selective Growth ofPolysilicon"中で開示され、多結
晶シリコンの選択的成長を行なう方法について説明され
ている。この技術では二塩化シランと水素とを含む混合
気体中におけるシリコンのエピタキシャル成長の間に、
三塩化エチレンを導入するというものである。汚染物質
である三塩化エチレンによって結晶成長のパターンを抑
止し、多結晶シリコンを生成させる。この技術は堆積膜
のバルク中にカーボン(炭素)による汚染が発見される
ことからあまりよい方法ではない。カーボンが膜に混入
することで多結晶シリコンは、汚染されていない膜より
も高抵抗になる。標準的なコンフォーマルデポジション
方法には厳しい制約があるということは理解されている
だろう。さらにこれまでに開示されてきた選択的に多結
晶シリコンをデポジションするための方法は上と同様
に、なんらかの不利点および問題を持っていることは明
らかである。従って選択的に多結晶シリコンをデポジシ
ョンする改良された方法を得ることは大変望ましい。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の目的および特徴
はCVD(Chemical Vapor deposition)反応炉中に半
導体ウェハを設置し、半導体ウェハ上に多結晶シリコン
を選択的にデポジションする方法によって達成される。
【0005】次にウェハは単結晶の成長を抑制するガス
にさらされる。その次にウェハはシリコンを含むガスと
水素とを含む雰囲気にさらされる。
【0006】
【実施例】図1には本発明の一実施例である選択的に多
結晶シリコンをデポジションするための準備が整った半
導体基板11の部分断面図が図示されている。本実施例
においては基板11はシリコンであるが、他の材料、例
えばゲルマニウム、ガリウムヒ素等も使用可能である。
しかしながら、基板11をシリコンから他の何かの材料
に変更するには特別な処理を必要とすることは理解され
るだろう。
【0007】基板11はトレンチ(溝)25のエッチン
グ境界を定義するエッチマスクフィルム10が施されて
いる。トレンチ25は基板11中所望の深さまでエッチ
ングされる。サイドウォール26は絶縁体12で被覆さ
れる。エッチマスク10によるエッチング、トレンチ2
5、サイドウォール絶縁体12の形成は半導体製造にお
いてよく知られた技術によって行なわれる。ここで理解
しておかなければいけないのは、トレンチ25の底部に
おいては汚染されない清浄表面13を得ることが本発明
の実施には重要であるということである。
【0008】一実施例としては、トレンチ25は新しい
絶縁体アイソレーション技術の用途に用いられる。この
場合トレンチ25を充填するのに選択的な低温多結晶シ
リコン成長が使われる。
【0009】このアイソレーションの方法は高速VLS
I回路における標準LOCOSアイソレーション技術の
欠点を解決するために用いられる。窒化物によってふち
どられたトレンチを四塩化シリコンと水素の系を用いて
選択的に多結晶シリコンをデポジションすることによっ
て、続く酸化工程において平坦な絶縁体アイソレーショ
ン領域が形成され、これによって横方向への酸化物の侵
食およびそれに伴う素子領域の減少という問題を防ぐこ
とができる。
【0010】 露出表面13はCVD反応炉の中に設置
される。ここでCVD反応炉はホットウォールのもので
も、コールドウォールのものでもどちらでも使用可能で
ある。表面13は清浄で汚染されていない面を得るため
にある程度の処理がされている。表面13を単結晶成長
抑制ガスにさらすことによって、清浄表面13をこのガ
スで処理する。表面13を単結晶成長抑制ガスにさらす
と、このガスが表面13に吸着し、表面13上で抑制席
(site)を占める。この抑制席は不規則な配列を持
つので、この後のプロセスにおいて単結晶成長を抑制
し、単結晶の代わりに多結晶シリコンを形成させる。単
結晶成長抑制ガスは窒素、アルゴンでよい。単結晶成長
抑制ガスによる清浄基板表面13の処理は温度範囲60
0℃から1000℃で行なわれるが最適な温度は800
℃である。ここで高い温度での処理には注意を払わなけ
ればならない。高い温度では表面13上でガスが吸着し
た抑制席から離れなくなって、結果としてエピタキシャ
ル成長したような膜が成長することがある。これは望ま
しいことではない。
【0011】単結晶成長ガスの圧力範囲は10ミリtorr
(millitorr)から大気圧までであるが、最適には74
0torrである。最適の処理条件において表面13を処理
するのに要する露出時間は最低1分間である。多結晶シ
リコンの結晶粒度は上述の露出時間によって影響を受け
る。短い露出時間では大きな結晶粒が生成され、長い露
出時間では小さな結晶粒が生成される。反応炉の温度、
圧力、処理時間等の条件が単結晶成長抑制ガスの表面1
3への吸着に影響を与えることは理解されるだろう。
【0012】表面13に選択的に多結晶シリコンをデポ
ジションする好適な方法は、まず始めに清浄表面13を
水素でプリベークすることである。水素によるプリベー
クは表面のクリーニング工程であり、半導体ウェハを水
素ガスにさらすことで行なわれる。最適なプリベークの
温度は975℃であり、温度範囲としては約600℃か
ら約1000℃である。圧力範囲は約10ミリtorrから
大気圧で、最適には50torrである。表面13における
シリコンの自然酸化は外界に数秒さらすだけで始まって
しまうので、単結晶成長抑制ガスに表面13をさらす前
にこの酸化物を取り除いて、清浄な下地の表面状態を得
ることが必要である。水素によるプリベークで自然酸化
した二酸化シリコンはシリコンへと還元され、いくらか
の量のシリコンとその他の汚染物質が取り除かれる。清
浄な表面に対して水素によるプリベークを行なうことは
一般に信じられていることとは反対の処理方法である。
なぜならば一般には他結晶シリコンの形成には超清浄表
面よりも汚染されている表面の方が好適であると思われ
ているからである。
【0013】水素によるプリベークに続いて、表面13
は、その上で抑制席を形成する単結晶成長抑制ガスにさ
らされる。水素によるプリベークと単結晶成長抑制ガス
への露出を組み合わせて用いることで、選択的に多結晶
シリコンをデポジションするための非常によく制御され
た特性を持つ表面を得ることができる。水素によるプリ
ベークを長時間行なうと酸化マスク10の下にアンダー
カットを生じさせてしまうことが理解されよう。しかし
ながら、もし清浄な表面13が最初から得られているの
ならば表面13を単結晶成長抑制ガスにさらす前に水素
によるプリベークをする必要はない。
【0014】多結晶シリコン、微結晶シリコン、および
非晶質(アモルファス)シリコンはどれもシリコンから
なるが、不規則な結晶配列をしている。結晶配列または
結晶粒度の違いによって異なった名前がつけられてい
る。多結晶シリコンは最も大きな結晶粒度を持ち、非晶
質シリコンは結晶粒を全く持っていない。微結晶シリコ
ンはそれらの中間の結晶粒度を持っている。本明細書中
で「多結晶シリコン」の語は多結晶シリコン、微結晶シ
リコン、非晶質ポリシリコン、非晶質シリコンの全て含
んだ意味で使われていることに注意されたい。多結晶シ
リコンは、スパッタリング、エバポレーション(蒸
発)、CVD等の様々な方法によって形成可能である。
しかしながらCVD(chemical vapor deposition)に
よるデポジションプロセスが最も広く使われ、さらに一
様な膜を作る上でいくつかの利点を有している。
【0015】一般的には多結晶シリコンは次の反応式で
表わされるようなシランの分解によってデポジションさ
れる。
【0016】SiH4+熱→Si+2H2 ここでこの反応は選択的なものではなく、通常はウェハ
表面に多結晶シリコンの一様な膜を生成するということ
は理解されよう。
【0017】単結晶成長抑制ガスで処理された表面13
の上に多結晶シリコンの種(seed)層を形成する好適な
方法は、四塩化シリコン(SiCl4)と水素(H2)を
使う方法である。一実施例としては、四塩化シリコンと
水素とが表面13に接触する。表面13において化学反
応が起こり、四塩化シリコンは水素と反応する。反応の
結果、シリコン原子は表面13に残り、塩化水素ガス分
子が放出される。ここでその他のシリコンを含むガス、
例えば三塩化シラン(SiHCl3)または二塩化シラ
ン(SiH2Cl2)等も使用可能であることは理解され
よう。さらにシラン(SiH4)および塩化水素ガス
(HCl)も水素を加えるために使用可能である。水素
はいくつかの異なった供給源から得ることが可能であ
る。水素を混合ガス中に直接加えてもよいし、水素を含
むシリコン分子から水素を分離するか、または塩化水素
その他によって水素を加えることができる。選択的な多
結晶シリコンのでポジションを最適化するためいくつか
の水素源を組み合わせて使用することが可能である。
【0018】反応炉の温度は多結晶シリコンの単層デポ
ジションの間約500℃から約1000℃の温度範囲
に、最適には700℃に保たれる。温度は非常に重要な
処理条件である。低い温度では多結晶シリコンの成長が
促進され、反対に高い温度では単結晶シリコンの成長が
促進される。反応炉内の圧力は10ミリtorrから大気圧
までの範囲で、最適には740torrである。露出時間は
温度、圧力等の処理条件によって変化する。しかし多結
晶シリコンの単層または種層を形成するのに十分なだけ
の時間が必要であることは理解されよう。露出時間は4
5分間よりは短くなければならないが、上述の処理条
件、圧力や温度といったものに依存している。清浄表面
13を単結晶成長抑制ガスにさらすことによって、この
ガスが表面13に吸着し、分子レベルで単結晶の成長を
抑制し、結果多結晶シリコンが成長するものと考えられ
ている。つまり単結晶成長抑制ガスで処理された基板1
3を露出すると、表面13に吸着した単結晶成長抑制ガ
スが分子レベルで単結晶シリコンの成長を抑制するので
多結晶シリコンが生成されると考えられる。さらに単結
晶シリコンの成長を抑制するためにも低い温度が望まし
い。単結晶シリコンの成長を抑制することで多結晶シリ
コン膜を形成することができるのである。このプロセス
による膜の成長速度は一般に遅いと考えられている。し
かしながら、もし十分な時間が与えられればこのプロセ
ス処理を続けることによって選択的に多結晶シリコンを
成長させることができる。
【0019】一度多結晶シリコンの種層が形成されれ
ば、選択的に多結晶シリコンの層を所望の厚さに成長さ
せるのに、より速いデポジション速度を持つプロセスを
使用することができる。単層の上に選択的に多結晶シリ
コンを速く成長させるのに最適な温度は、845℃であ
り、約700℃から約1150℃の範囲でそれが可能で
ある。高い温度域で処理を行なうときは、結晶粒度が所
望の大きさになっているかどうか注意が必要である。高
い温度を用いると大きな結晶粒をもたらす。高い温度に
おいて大きな結晶粒度が生まれる傾向は運動エネルギー
に起因する表面原子の再配列によるものである。10ミ
リtorrから大気圧までの圧力範囲で、最適には740to
rrの圧力が用いられる。高速デポジション率を持つ処理
に好適な反応ガスの組み合わせは、二塩化シランと水素
の組み合わせである。しかしながら水素の供給源を共に
用いることで他のシリコンを含むガスも使用可能である
ことが理解されるだろう。
【0020】ある特定の応用分野、垂直または水平方向
の相互接続等、においては多結晶シリコンをドープして
使用することができる。ドーピングは少量のドーパント
(dopant)ガスを多結晶シリコン成長用の混合ガス中に
吹きこむことで行なわれる。ドーパントは多結晶シリコ
ンの適当な伝導型を選ぶためのP型、N型どちらでもよ
い。混合ガス中に吹きこまれるドーパントの種類の量を
調整することで、形成される多結晶シリコンの伝導型を
変えることができる。
【0021】通常よく使われるドーパントは、ホスフィ
ン(PH3)、二ホウ化水素(B2 6)、ヒ化水素(A
sH3)等である。
【0022】さらにここで理解されるべきは、本発明の
方法は選択的に、多結晶体、微結晶体および非結晶体シ
リコンをデポジションして能動素子の一部、またはその
素子を形成する用途に使用可能であるということであ
る。一実施例としてはバイポーラトランジスタのエミッ
タを本発明の方法で形成できる。さらに高架型(elevat
ed)ソースおよびドレイン、積層キャパシタ、MOSト
ランジスタのポリシリコンゲート等を本発明の方法によ
って形成することができる。
【0023】ここで大きな縦横を持つアイソレーション
トレンチにおいて非常に有用な、選択的に多結晶シリコ
ンをデポジションする改良された方法が提供されたこと
が理解されるだろう。多結晶シリコンのデポジションの
選択性は所望のまたはよく選択された表面を準備するこ
とによって正確に実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明を実施する半導体ウエハの部分断
面図であって、選択的に多結晶シリコンをデポジション
するための準備が整った状態を示している。
【符号の説明】
10 酸化マスク 11 半導体基板 13 半導体表面 25 トレンチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ハン・ミン・リュウ アメリカ合衆国アリゾナ州スコッツデイ ル、ノース・ワンハンドレッドアンドフ ォース・ストリート11540 (56)参考文献 特開 昭62−291024(JP,A) 特開 昭60−66418(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体ウエハに多結晶シリコンを選択的
    に形成する方法であって: CVD反応炉内に半導体ウエハを設置する段階; 前記半導体ウエハを単結晶の成長を抑制させるために単
    結晶成長抑制ガスにさらす段階; 第1温度において、前記半導体ウエハ上に少なくとも多
    結晶の単一層をデポジションする段階;および 前記第1温度よりも高い第2温度において、前記半導体
    ウエハをシリコンを含むガスと水素源とにさらして所望
    の厚さの選択的多結晶シリコンを形成する段階; を含むことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 選択的に多結晶シリコンをデポジション
    する方法であって: プリベーク処理のために、水素雰囲気中に半導体ウエハ
    を設置する段階; 単結晶の成長を抑制させるために、前記半導体ウエハを
    窒素またはアルゴンからなる単結晶成長抑制ガスにさら
    す段階; 前記半導体ウエハを、少なくとも選択的多結晶シリコン
    の単一層を形成するために、シリコンを含むガスと水素
    ガス源とにさらす段階であって、CVD反応炉内の圧力
    は約10ミリTorrから大気圧の範囲に、温度は摂氏
    約500度から約1000度の範囲の第1温度に保たれ
    る段階;および 前記反応炉内の圧力を約10ミリTorrから大気圧の
    範囲に変更し、温度を摂氏約700度から約1150度
    の範囲内の前記第1温度よりも高い第2温度に変更し、
    シリコンを含むガスと水素ガス源とにさらしつづけて、
    前記単一層上へ選択的多結晶シリコンを急速に形成する
    段階; を含むことを特徴とする方法。
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