JP2678915B2 - 脂肪酸の製造法 - Google Patents

脂肪酸の製造法

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JP2678915B2 JP63121870A JP12187088A JP2678915B2 JP 2678915 B2 JP2678915 B2 JP 2678915B2 JP 63121870 A JP63121870 A JP 63121870A JP 12187088 A JP12187088 A JP 12187088A JP 2678915 B2 JP2678915 B2 JP 2678915B2
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昭夫 延広
豊 加藤
公男 木之下
武顕 江藤
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Soda Aromatic Co Ltd
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は油脂の加水分解による脂肪酸の製造法に関
し、特にリパーゼを用いる油脂の加水分解による脂肪酸
の製造法に関する。
(従来の技術) 油脂(トリグリセライド)の加水分解法としては古く
からケン化分解法、高圧分解法、トイツチエル分解法な
どが知られている。これらの方法によって得られる脂肪
酸は一般に熱による副反応のため極端に着色していたり
異臭を伴うため、高品質の製品を要求される用途には不
適当であった。
これらの問題点を解決する方法としてリパーゼを用い
る油脂の加水分解法が提案され実用化されている。リパ
ーゼによる油脂の加水分解方法は常温常圧で加水分解が
行えるため副反応による着色や異臭の発生がなく、省エ
ネルギーであるなどの利点を有している。しかしながら
一般にリパーゼは油脂の加水分解中にに失活し反応効率
が極端に低下することが知られている。そのため高価な
リパーゼを大量に使用しなければならない欠点を有して
いた。そこでリパーゼの失活を防ぐため近年多くの検討
がなされている。例えば、特開昭57−57799号では、融
解した脂肪と冷却したリパーゼ水溶液とを混合して脂肪
の融点以下の安定な分散液を得たのち、この状態で加水
分解し、高い分解率で脂肪酸を得ている。しかし、この
方法は、脂肪の融点以下の加水分解反応であるため、反
応に長時間を要する欠点を有している。また特開昭59−
173080号では、リパーゼと一価または多価アルコールの
ポリオキシアルキレンエーテルとを併用して比較的短時
間にて高い分解率で脂肪酸を得ている。しかし、この方
法も後処理で添加物を除去する必要があるため工程が煩
雑になりしかもコストがかかる欠点を有している。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明の目的は上記従来技術の問題点を解決すること
にあり、特にリパーゼを用いる油脂の加水分解におい
て、ポリオキシアルキレンエーテルなどの添加物を特に
必要とすることなく、高分解速度でしかも高分解率まで
効率的に加水分解反応を行うことのできる方法を提供す
ることにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、油脂を市販のリパーゼを用いて高分解
速度でしかも高分解率まで加水分解するために、リパー
ゼの微生物起源、基質特異性、力価等を考慮し鋭意検討
した結果、基質特異性を有しない特定のリパーゼを組み
合わせることにより相乗効果が得られる事を見い出した
本発明に至った。
即ち本発明は油脂をリパーゼを用いて加水分解して脂
肪酸を製造するに際し、リパーゼとしてキャンディダ
シリンドラセ(Candida cylindracea)リパーゼとシュ
ードモナス フルオレセンス(Pseudomonas fluorescen
s)リパーゼとを併用することを特徴とする脂肪酸の製
造法である。
本発明方法に供する油脂は特に制限されず、適宜の油
脂を用いることができる。前記したとおり本発明方法で
用いる2種のリパーゼはいずれも基質特異性を有しない
ため油脂を構成するトリグリセリドの種類にかかわらず
共通的に効果を示す。植物性油脂としては、オリーブ
油、ヤシ油、大豆油、パーム油などが、また動物性油脂
としては、豚脂、牛脂、乳脂肪などがある。これらの油
脂は精製したもの、分別したもの、さらにはこれらを他
の成分と混合したものなど適宜の状態で加水分解反応に
供することができる。
リバーゼの力価は、37℃で1分間当たり、1マイクロ
モルに相当する脂肪酸を遊離する酵素量を1単位として
示されるが、リパーゼの使用量は、キャンディダ シリ
ンドラセ リパーゼ及びシュードモナス フルオレセン
ス リパーゼともに、リパーゼの力価で、それぞれ油脂
1gに対し、10〜1000単位が好ましい。また、キャンディ
ダ シリンドラセ リパーゼとシュードモナス フルオ
レセンス リパーゼとの力価比率は1:4〜4:1が好まし
く、さらに1:3〜3:1が好ましく、とくに、2:3〜3:2の範
囲が最も好ましい。
加水分解反応の条件はリパーゼを用いる一般的加水分
解条件に準じて決定しうる。
水の添加量については、とくに制限はないが、通常油
脂に対し50〜200重量%程度が好ましい。反応温度につ
いては70℃以下、とくに35〜60℃が好ましく、40〜50℃
が最も好ましい。pHについては、中性から酸性側が好ま
しく、とくにpH7近辺から4近辺までが良好な結果を示
す。
反応は通常の撹拌下、又はホモゲナイザー等の高速撹
拌による乳化状態で良好に進行するが、乳化状態にした
のち冷却して固化させるなど、さらには撹拌なしでも反
応を進めることができる。
(発明の効果) 本発明方法においては、キャンディダ シリンドラセ
リパーゼとシュードモナス フルオレセンス リパー
ゼを併用することによりそれぞれ単独で用いた結果から
は予期し得ない相乗効果が得られるのであり、極めて効
率的且つ経済的に高品質の脂肪酸を取得することができ
る。
(実施例) 次に実施例に基づいて本発明を説明するが、これは本
発明の例示であり本発明を制限するものではない。
以下において、加水分解反応における分解率は反応液
を加熱して、リパーゼを失活させたのち、遠心分離法に
より分離した油層の酸価とケン化価とを測定し、下式か
ら求めた。
実施例 1 オリーブ油50g、蒸留水50gに、キャンディダ シリン
ドラセ リパーゼ15,000単位、シュードモナス フルオ
レセンス リパーゼ15,000単位を同時に添加し、45℃に
おいて撹拌した。第1図に示すように反応2時間で分解
率は98.5%であった。
比較例 1 実施例1において、キャンディダ シリンドラセ リ
パーゼ30,000単位、シュードモナス フルオレセンス
リパーゼ30,000単位を単独に用いた以外は同様に操作し
た。第1図に示すように反応4時間でキャンディダ シ
リンドラセ リパーゼでは90%、シュードモナス フル
オレセンス リパーゼでは58%であった。
上述の結果から、本発明の特定の2種リパーゼの併用
により、単独使用に比べ短時間に高分解率を得ることが
できるという相乗効果が得られることがわかる。
実施例 2 豚脂50g、蒸留水50g、キャンディダ シリンドラセ
リパーゼ15,000単位、シュードモナス フルオレセンス
リパーゼ15,000単位を同時に添加し、45℃において撹
拌した。第2図に示すように反応2.3時間で分解率は90
%であった。
比較例 2 実施例2において、キャンディダ シリンドラセ リ
パーゼ30,000単位、シュードモナス フルオレセンス
リパーゼ30,000単位を単独に用いた以外は同様に操作し
た。第2図に示すように反応3.5時間でキャンディダ
シリンドラセ リパーゼでは91%、シュードモナス フ
ルオレセンス リパーゼでは63%であった。従って単独
で使用した場合は本発明に比べ1.5倍以上の時間を要し
たことになる。
実施例 3 ヤシ油50g、蒸留水50gに、キャンディダ シリンドラ
セ リパーゼ15,000単位、シュードモナス フルオレセ
ンス リパーゼ15,000単位を同時に添加し、45℃におい
て撹拌した。第3図に示すように反応6時間で分解率は
90%であった。
比較例 3 実施例3において、キャンディダ シリンドラセ リ
パーゼ30,000単位、シュードモナス フルオレセンス
リパーゼ30,000単位を単独に用いた以外は同様に操作し
た。第3図に示すように反応8時間でキャンディダ シ
リンドラセ リパーゼでは90%、シュードモナス フル
オレセンス リパーゼでは54%であった。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第3図は油脂の加水分解における反応時間と分
解率との関係を示す図であり、第1図はオリーブ油、第
2図は豚脂、第3図はヤシ油の場合を示す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】油脂をリパーゼを用いて加水分解して脂肪
    酸を製造するに際し、リパーゼとしてキャンディダ シ
    リンドラセ リパーゼとシュードモナス フルオレセン
    ス リパーゼとを併用することを特徴とする脂肪酸の製
    造法。
  2. 【請求項2】キャンディダ シリンドラセ リパーゼと
    シュードモナス フルオレセンス リパーゼとの割合が
    リパーゼ力価比率で1:4〜4:1である請求項1記載の方
    法。
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