JP2844869B2 - 乳化特性を持つ油脂およびその製造法 - Google Patents

乳化特性を持つ油脂およびその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はすぐれた乳化特性を持つ食用油脂を、乳化剤
を添加することなく製造する方法に関するものである。
[従来の技術および問題点] 従来、乳化特性を持つ食用油脂の製造法としては、レ
シチンや各種脂肪酸グリセリンエステル、シュガーエス
テルなど、食用添加物として認可されている乳化剤を添
加する方法が知られている。特にマーガリン等の水との
乳化状態の油脂製品を製造するためには、乳化剤を添加
することが必要不可欠であった。しかし今日では消費者
の意識として一般的に天然志向や自然志向が強まり、乳
化剤等の添加物の添加されていない商品を要求するする
意向が非常に高まってきている。
また、マーガリン等の製造時に急冷固化する段階で、
この温度ショックにより、乳化剤の選択を誤ると乳化が
破壊される場合もある。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は乳化剤を添加することなく、すぐれた乳化特
性を持つ食用油脂を製造するためになされたものであ
る。
[課題を解決するための手段] 本発明はすぐれた乳化特性を持つ食用油脂を、乳化剤
を添加することなく製造する方法に関するものである。
また従来、オレイン酸モノグリセリドを乳化剤として
用いた場合、他の乳化剤、例えばステアリンモノグリセ
リドなどを用いた場合よりも温度ショックに対する乳化
の耐性や高温に対する乳化の耐性が強いとされている。
本発明の製造方法で得られた油脂はオレイン酸モノグリ
セリドを多く含むため、温度ショック耐性にすぐれてい
る。
さらに本発明により製造された食用油脂は、マーガリ
ンおよびショートニング製造後にテンパリングの必要が
ない、すなわちテンパリング前後において、油脂の結晶
型や硬さに変化がなく、生産効率が極めて良くなる。
上記課題を達成するために、トリグリセリドの2位置
に40%以上オレイン酸を含んでいる食用植物油脂の混合
物を、1,3−位置特異性リパーゼを用いる加水分解反応
およびエステル交換反応をすることによりすぐれた乳化
特性の油脂を得る方法である。すなわち、油脂中の水分
を100ppmから800ppmの範囲、好ましくは200ppmから400p
pmの範囲で1,3−位置特異性リパーゼを用いて、選択的
加水分解反応およびエステル交換反応を行なうことによ
って、優れた乳化特性を有する油脂を得ることができ
る。
原料としては、オリーブ油、サフラワー油、ひまわり
油、なたね油、ごま油などトリグリセリドを2位置に40
%以上オレイン酸を含んでいる食用液体油脂のうちから
選ばれた少なくとも1種類と、トリグリセリドの2位置
に40%以上オレイン酸を含んでいるパーム油の混合油脂
を用いることができる。
本発明で用いるリパーゼとして、リゾープス属(Rhiz
opus)、アスペルギルス属(Aspergillus)、ムコール
属(Mucor)、フミコーラ属(Humicola)、ペニシリウ
ム属(Penicillium)由来のリパーゼなどを用いること
ができる。具体的には、天野製薬(株)が販売している
次のリパーゼを用いることができる。すなわち、Rhizop
us delemer由来の「リパーゼD」(商品名、以下同
じ)、Rhizopus javanicus由来の「リパーゼF−AP1
5]、Rhizopus niger由来の「リパーゼAP」、Mucor j
avanicus由来の「リパーゼM−AP」、Humicola lanugi
nosa由来の「リパーゼCE」、Penicillium roqueforti
由来の「リパーゼR−20」などである。
本発明の選択的加水分解およびエステル交換反応は次
の方法にて行なう。
反応に使用するリパーゼをレシチンなどの酵素活性化
剤と共に水にとかしてセライトやイオン交換樹脂などの
担体に固定化し、固定化酵素を調製する。この固定化酵
素剤をカラムに充填し、油脂中の水分を100ppmから800p
pmの範囲、好ましくは200ppmから400ppmの範囲に調製
し、混合油脂(基質)を30〜60℃で連続的にカラムに流
して、反応を行なう。
実施例1 Rhizopus delemer由来のリパーゼ(天野製薬(株)
商品名「リパーゼD」)265gと精製粉末大豆レシチン
80gを水600mlに溶かし、9Kgの陽イオン交換樹脂「WK−1
3」(三菱化成(株)製)に加え、約30分間よく撹拌
し、樹脂の表面にリパーゼを均一にコーティングし乾燥
することなく用いた。反応基質として、なたね油(2位
置のオレイン酸比率が59.2%の物)25%、パーム油(2
位置のオレイン酸比率が63.5%の物)75%の比率で混合
したものを減圧乾燥し、水分を300ppmに調整した。固定
化リパーゼ3Kgをカラムに充填して、カラム全体を60℃
に保った。上記の混合原料油脂を60℃に加温し、ポンプ
で毎分60mlを定量的にカラムに流し、60℃で連続的に酵
素反応を行なった。カラム出口での油脂の持つ水分量が
350ppmに達してからサンプリングを開始し、反応油40Kg
を得た。この時点で反応油には分解生成物として脂肪酸
が6%程度含まれていたが、以下の精製工程により除去
することができた。すなわち、反応生成物に2%の活性
白土を加えて80℃、30分間、20mmHgの減圧下に撹拌した
後、50℃保温下に自然濾過を行ない、脱色油を得た。得
られた脱色油を250℃、50分間、2mmHg、吹き込み水蒸気
量2.5%で真空水蒸気蒸留(脱臭)を行なって37Kgの精
製油を得た。この精製油には約0.4%のモノグリセリド
と約12.5%のジグリセリドが含まれていた。
この反応油30Kgを60℃に加温して完全に融解し油相
(80%)とした。次にあらかじめ水6.38Kg(17%)、食
塩0.38Kg(1.5%)、粉乳0.38Kg(1.5%)を配合した合
計20%の水相を添加し、通常用いられる予備乳化機、マ
ーガリン製造機にて乳化、急冷、固化、練圧を行ない、
乳化剤を乳化することなく30Kgの良好な性状のマーガリ
ンを製造した。
比較例1 実施例1の原料油脂と同じ組成の油脂を用い、乳化剤
を用いることなくマーガリンを製造した。すなわち、な
たね油(2位置のオレイン酸比率が59.2%の物)25%、
パーム油(2位置のオレイン酸比率が63.5%の物)75%
の比率で混合した油脂30Kgを60℃に加温して完全に融解
し油相(80%)とした。次にあらかじめ水6.38Kg(17
%)、食塩0.38Kg(1.5%)、粉乳0.38Kg(1.5%)を配
合した合計20%の水相を添加し、通常用いられる予備乳
化機、マーガリン製造機にて乳化、急冷、固化、練圧を
行ない、乳化剤を添加することなく30Kgのマーガリンを
製造した。しかし、乳化剤を加えていないため、通常の
方法では予備乳化の段階での乳化が充分行なわれず油脂
と水分が分離し、性状の良いマーガリンを得ることはで
きなかった。
実施例2 Rhizopus delemer由来のリパーゼ(天野製薬(株)
商品名「リパーゼD」)263gと精製粉末大豆レシチン7
8.8gを水3500mlに溶かし、4.91Kgのセライトに加え、約
30分間よく撹拌し、セライトの表面にリパーゼを均一に
コーティングした。リパーゼが均一にコーティングされ
たセライトを40℃、15mmHgで3時間乾燥処理し、固定化
リパーゼを調製した。この酵素剤は水分含量が1%であ
った。反応基質として。サフラワー油(2位置のオレイ
ン酸比率が84.0%の物)30%、パーム油(2位置のオレ
イン酸比率が63.5%)70%の比率で混合したのもを減圧
乾燥し、水分を30ppmに調整した。この混合原料油脂
を、実施例1と同様に酵素反応、精製を行ない40Kgの反
応精製油を得た。この精製油には約0.4%のモノグリセ
リドと約12.3%のジグリセリドが含まれていた。
この反応油を実施例1と同様にしてマーガリンを製造
した。つまり、反応油30Kgを60℃に加温して完全に融解
し油相(80%)とした。次にあらかじめ水6.38Kg(17
%)、食塩0.38Kg(1.5%)、粉乳0.38Kg(1.5%)を配
合した合計20%の水相を添加し、通常用いられる予備乳
化機、マーガリン製造機にて乳化、急冷、固化、練圧を
行ない、乳化剤を添加することなく30Kgのマーガリンを
製造した。
比較例2 実施例2の原料油脂と同じ組成の油脂を用い、乳化剤
を用いることなくマーガリンを製造した。すなわち、サ
フラワー油(2位置のオレイン酸比率が84.0%の物)30
%、パーム油(2位置のオレイン酸比率が63.5%)70%
の比率で混合した油脂30Kgを60℃に加温して完全に融解
し油相(80%)とした。次にあらかじめ水6.38Kg(17
%)、食塩0.38Kg(1.5%)、粉乳0.38Kg(1.5%)を配
合した合計20%の水相を添加し、通常用いられる予備乳
化機、マーガリン製造機にて乳化、急冷、固化、練圧を
行ない、乳化剤を添加することなく30Kgのマーガリンを
製造した。しかし、この場合も比較例1と同じく、乳化
剤を加えていないため、通常の方法では予備乳化の段階
での乳化が充分行なわれず油脂と水分が分離し、性状の
良いマーガリンを得ることはできなかった。これらの結
果を表1にまとめた。マーガリンの高温耐制は、25℃に
一定時間曝すことにより、マーガリン表面に分離して現
れる油分を観察したものである。
[発明の効果] 本発明は、今まで乳化剤を添加しなければ製造するこ
とが極めて困難であったマーガリン等の原料油脂とし
て、乳化剤を添加しなくてもすぐれた乳化特性を持つ油
脂の製造を可能にしたものである。また本発明の方法に
より得られた油脂は、マーガリン製造時の急冷固化の温
度ショックに対する耐性や高温に対する耐性にも優れて
おり、またテンパリングの必要もないため、極めて効率
的にマーガリン等を製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−8787(JP,A) 特開 平2−190146(JP,A) 特開 昭64−63341(JP,A) 特開 昭64−63032(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A23D 7/00,7/005 C12P 7/64

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トリグリセリドの2ー位置に40%以上オレ
    イン酸を含んでいる食用植物油脂の混合物を、トリグリ
    セリドの1、3ー位置特異性を有するリパーゼを用いて
    反応系の水分を100ppmから800ppmの範囲に保った状態で
    加水分解反応およびエステル交換反応を行なって得られ
    る乳化特性を有する油脂。
  2. 【請求項2】食用油脂の混合物がトリグリセリドの2位
    置に40%以上オレイン酸を含んでいるオリーブ油、サフ
    ラワー油、ひまわり油、なたね油、ごま油のうちから選
    ばれた少なくとも1種類以上とトリグリセリドの2位置
    に40%以上のオレイン酸を含んでいるパーム油の混合油
    脂である請求項1記載の油脂。
  3. 【請求項3】反応系の水分が200ppmから400ppmである請
    求項1記載の油脂。
  4. 【請求項4】乳化特性を有する油脂がマーガリン又はシ
    ョートニング製造用である請求項1記載の油脂。
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