JP2678876B2 - 粉粒体の制御に適するトラニオン型ボール弁 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、粉粒体、例えば樹脂性
チップ等の流れを制御するのに適するトラニオン型ボー
ル弁に関する。

【０００２】

【従来の技術】粉粒体の流れを制御するのに、弁体の両
側に環状シートが圧接されているボール弁を使用する
と、弁筐の内部に粉粒体が溜まって、弁の作動不良が生
じることがある。

【０００３】

【発明の解決しようとする課題】そのため、弁体の片側
のみに環状シートを圧接したトラニオン型ボール弁によ
り、粉粒体を制御するようにしたものもあるが、このも
のでは、全閉時に逆圧力が加えられると、環状シートに
逆推力が作用して、この部分からの漏れが多くなり、ま
たエロージョンを起こす原因となる。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題を解
決しようとするものであり、その具体的手段は、弁筐
と、弁筐内を通過する粉粒体の流路と連通自在な通孔を
中心に有し、かつ前記流路に対してほぼ直交する軸回り
に回転可能に弁筐内に収容された球状弁体と、流路の上
流側または下流側のいずれか一方に配置され、前記球状
弁体の周面に当接されている筒状シートと、この筒状シ
ートと弁筐との間に配置され、筒状シートを球状弁体側
に押圧するための押圧手段と、前記筒状シートの外周
に、流路方向に摺動可能として嵌合され、前記筒状シー
トと弁筐との間をシールするシール手段とを備えるトラ
ニオン型ボール弁において、前記筒状シートは、金属製
であり、かつ球状弁体に近い位置と、それより流路方向
に遠去かった位置とにおいて、その外周部に設けられた
ダストシールにより、シール状態で弁筐の内壁を摺動自
在となっており、前記筒状シートの球状弁体に当接する
部分は、スクレーパ状となっており、前記シール手段
は、前記両ダストシールの間において、筒状シートと弁
筐との間に配置された環状の伝圧リングと、この伝圧リ
ングの内外周面に嵌合されたＯリングとからなってい
る。

【０００５】

【作用】球状弁体と弁筐との間は、筒状シートおよびこ
の筒状シートと弁筐との間に配置されたシール手段によ
り、二重にシールされ、正逆いずれの方向の粉粒体の流
れを制御することができる。

【０００６】

【実施例】以下、添付図面を参照して、本発明のトラニ
オン型ボール弁について説明する。弁筐(１)は、半割筐
体(３)(３)の大径となっている内端面同士を互いに当接
させて結合してなり、一方の半割筐体(３)の流路の当接
部に近い内側端部には、後述する筒状シート(５)が軸線
方向に摺動しうる摺動孔(６)が設けられている。

【０００７】半割筐体(３)(３)の当接する対向端部内に
は、中心に横方向の貫通孔(８)を有する球状弁体(10)が
収容されている。この球状弁体(10)は、弁筐(１)内の流
路を通過する流れの方向(Ａ)、すなわち弁の中心軸線Ｘ
Ｘ'に対してほぼ直交する回転軸ＹＹ’を中心として回
転しうるように、上下面より上下方向に延びる垂直のス
テム(12)(12)により、弁筐(１)内に支持されている。

【０００８】上下のステム(12)(12)は、半割筐体(３)
(３)の当接面の間に対向して形成された断面半円形の垂
直の凹溝内に、シール状態で回転自在に嵌合されてお
り、適当なレバーまたはアクチュエータ（いずれも図示
されず）により回転駆動される。図に示すように、弁体
(10)の通孔(８)が中心軸線ＸＸ’に対して直交した時、
弁は全閉状態にあり、通孔(８)が中心軸線ＸＸ’と同軸
となった時、弁は全開状態となる。

【０００９】筒状シート(５)は、金属製の円筒状部材で
あり、水平円筒部(14)と、その内側端に設けられた、ス
クレーパ状となっていて、弁体(10)に摺動可能に当接す
る当接部(16)と、この当接部(16)の内側端より遠心方向
へ延び、弁筐(１)における摺動孔(６)にシール状態で摺
接する摺動鍔(18)とからなっている。

【００１０】水平円筒部(14)の外周面の軸線方向の中間
部には、内向段部(27)が設けられ、その外側方は薄肉部
となっている。

【００１１】筒状シート(５)の摺動鍔(18)の外周面に
は、弁体(10)に近接し、かつ摺動孔(６)に当接する環状
のダストシール(20)が嵌合されている。水平円筒部(14)
の薄肉の外側端部近くにおいて、弁筐(１)の摺動孔(６)
の内周には、前記ダストシール(20)より流路方向に遠去
かって位置する環状のダストシール(22)が嵌合された環
状の凹孔が設けられている。

【００１２】筒状シート(５)は、水平円筒部(14)の外周
の内向段部(27)に係止したリング状ホルダ(26)と摺動孔
(６)の外側端面との間に縮設したスプリング(24)によ
り、内側方、すなわち球状弁体(10)の方向へ押され、筒
状シート(５)の内側端の当接部(16)は、常時所定の力
（スプリング力＋上流側と下流との圧力差×π（Ｄ₁ ²−
Ｄ₃ ²）／４）で、球状弁体(10)の外周面を押圧してい
る。なお、Ｄ₁は、摺動孔(６)の径、Ｄ₃ は、当接部(1
6)の最小径である。スプリング(24)およびリング状ホル
ダ(26)は、他の適当な押圧手段、例えば皿バネ等に置換
してもよい。

【００１３】摺動孔(６)と筒状シート(５)の水平円筒部
(14)との間の空間内におけるリング状ホルダ(26)の内側
方、すなわち弁体(10)側には、シール手段(28)が設けら
れている。このシール手段(28)は、摺動鍔(18)の外側方
において、摺動孔(６)と水平円筒部(14)との間に、軸線
方向に摺動可能として嵌合された環状の伝圧リング(30)
と、伝圧リング(30)の内周面および外周面に嵌合された
２つのＯリング(32)とからなっている。

【００１４】弁筐(１)の両側端部は、適当な導管に接続
されており、この導管内を流れる粉流体は、弁体(10)が
図示した位置、すなわち通孔(８)が軸線ＸＸ’と直交し
ている時には、流れの方向に拘らず通過を阻止され、ス
テム(12)を回転させて、通孔(８)を軸線ＸＸ’と平行に
すれば、送給される。

【００１５】すなわち、例えば粉粒体を含む流体がＡ印
のように左から右へ流れる際には、 筒状シート(５)は、
スプリング(24)と、球状弁体(10)より遠い側のダストシ
ール(22)の内面より筒状シート(５)の外周部へ洩れて入
る粉粒体を除く流体成分により内側方へ押されるリング
状ホルダ(26)により、球状弁体(10)に圧接され、粉粒体
を含む流体の通過は阻止される。

【００１６】逆に、粉粒体を含む流体が右から左へ流れ
る際には、この流体中における粉粒体は、球状弁体に近
い側のダストシール(20)により通過を阻止されるが、粉
粒体を除く流体成分は、このダストシール(20)と摺動孔
(６)の間を通って 、 伝圧リング(30)の裏側へ流入し、伝
圧リング(30)と摺動鍔(18)を介して、筒状シート(５)を
内側方へ押し、当接部(16)を球状弁体(10)に圧接させ
る。

【００１７】

【発明の効果】本発明のトラニオン型ボール弁は、一つ
の筒状シートしか備えていないので、筒状シートの付近
における粉粒体の滞留は少なく、かつ筒状シートと弁体
との摩擦も小さいので、ステムを回転するのに必要なト
ルクは小さくてすむ。

【００１８】正圧（上流側の圧力のほうが高い状態）ま
たは逆圧（下流側の圧力のほうが高い状態）のいずれで
も、筒状シートは弁圧に押圧され、高いシール性が得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のトラニオン型ボール弁の一実施例を示
す縦断面図である。

【符号の説明】

(１)弁筐 (３)半割弁筐 (５)筒状シート (６)摺動孔 (８)通孔 (10)球状弁体 (12)回転ステム (14)水平円筒部 (16)当接部 (18)摺動鍔 (20)(22)ダストシール (24)スプリング (26)リング状ホルダ (27)内向段部 (28)シール手段 (30)伝圧リング (32)Ｏリング

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 弁筐と、弁筐内を通過する粉粒体の流路
   と連通自在な通孔を中心に有し、かつ前記流路に対して
   ほぼ直交する軸回りに回転可能に弁筐内に収容された球
   状弁体と、流路の上流側または下流側のいずれか一方に
   配置され、前記球状弁体の周面に当接されている筒状シ
   ートと、この筒状シートと弁筐との間に配置され、筒状
   シートを球状弁体側に押圧するための押圧手段と、前記
   筒状シートの外周に、流路方向に摺動可能として嵌合さ
   れ、前記筒状シートと弁筐との間をシールするシール手
   段とを備えるトラニオン型ボール弁において、 前記筒状シートは、金属製であり、かつ球状弁体に近い
   位置と、それより流路方向に遠去かった位置とにおい
   て、その外周部に設けられたダストシールにより、シー
   ル状態で弁筐の内壁を摺動自在となっており、 前記筒状シートの球状弁体に当接する部分は、スクレー
   パ状となっており、 前記シール手段は、前記両ダストシールの間において、
   筒状シートと弁筐との間に配置された環状の伝圧リング
   と、この伝圧リングの内外周面に嵌合されたＯリングと
   からなっていることを特徴とする粉粒体の制御に適する
   トラニオン型ボール弁。