JP2677295B2 - 光ビーム走査装置及び定置ホログラム板の製造方法及びホログラム回転体及び光配線装置 - Google Patents

光ビーム走査装置及び定置ホログラム板の製造方法及びホログラム回転体及び光配線装置

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JP2677295B2 JP4506988A JP50698892A JP2677295B2 JP 2677295 B2 JP2677295 B2 JP 2677295B2 JP 4506988 A JP4506988 A JP 4506988A JP 50698892 A JP50698892 A JP 50698892A JP 2677295 B2 JP2677295 B2 JP 2677295B2
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茂生 茅嶌
智司 前田
成健 岩田
文雄 山岸
雅人 中島
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守 穂刈
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は光ビーム走査装置及び定置ホログラム板の製
造方法及びホログラム回転体及び光配線装置に係り、特
にホログラムディスクを用いた光ビーム走査装置及び定
置ホログラム板の製造方法及びホログラム回転体及び光
配線装置に関する。
背景技術 レーザプリンタ、レーザファックスなどのOA機器、レ
ーザ描画装置、レーザ検査装置などでは高精度で高解像
のレーザ走査光学系が用いられている。この光学系とし
て、従来から回転多面鏡と複数枚の組み合わせによるf
−θレンズを用いるものが使用されている。
上記の多面鏡を使用する方式では回転多面鏡の高い加
工精度や、倒れ補正光学系も兼ねるf−θレンズのよう
な多くのレンズ群が必要であるため低価格化のためには
限界があった。
これに対しホログラムを用いたホログラム走査装置は
複製による大量生産が可能である。このようなホログラ
ム走査装置として充分良く収差補正をした高い解像能力
を持つビームを直線に走査するホログラム走査装置を本
出願人は出願している(特願昭63−072633号および特願
昭61−060846号)。この光ビーム走査装置はレーザプリ
ンタ用の走査光学系として高精度の仕様を充分満足でき
ており、安定した印字品質が得られている。しかし更
に、400〜600dpiあるいは1000dpiのように更に高い解像
度を持つレーザ走査光学系が要求されており、加えて、
より一層の低価格化が要求されている。
ホログラムスキャナをこのように解像度の極めて高
く、かつ低価格のもので実現するためには下記のような
幾つかの課題がある。
走査ビーム径を例えば60μm程度(400dpi相当)と均
一に微細化する。
ホログラム回転体の等角速度の回転に対し等速に走査
する。
また、走査光源に使用する半導体レーザの波長は周囲
温度に応じて波長が変わり、また縦モードが幾つか出る
場合もある。このため、 走査線の主走査方向の位置変動を補償する。
走査線の副走査方向の位置変動を補償する。
また、ホログラム回転体の基板として低価格かつ研磨
の不要なフロートガラスやインジェクション作成が可能
なプラスティック基板(例えばPMMAなど)を使用する時
に、基板の反りにより走査線の位置が変動する。このた
め、 プラスティック基板の平行度の劣化による、走査線の
位置変動を補償する。
上記の課題を解決する方式として本出願人は特願昭58
−119098号を提案している。即ち、第14図に示すよう
に、ホログラム回転板10、このホログラム回転板10と結
像面4の間に定置ホログラム板20を配置した構成であ
る。図中で、10は複数枚のホログラムを配置し高速で回
転するホログラム回転板、20は定置ホログラム板、4は
結像面、5は再生光、6はホログラム回転板10からの回
折波、7は定置ホログラム20からの回折波である。図示
しない半導体レーザからの再生光5が回転するホログラ
ム回転板10に斜めに光束として入射し、ホログラム回転
板10の回転により回折波6が走査され、定置ホログラム
板20に入射し、ここから回折された回折波7で結像面4
を走査する。
以上の構成において、半導体レーザの波長変動による
走査ビームの位置変動を補償し、ホログラム回転板10の
等角速度回転による走査ビームの速度を一定とし走査ビ
ームによる直線走査を得ている。また定置ホログラム板
20が走査光をホログラム回転板10の走査方向と逆方向に
曲げることにより、半導体レーザの波長変動による走査
線の主副両走査方向の位置変動を補正している。
なお半導体レーザの波長変動に対する副走査方向の走
査ビームの位置ずれをよりよく補償する方法として本出
願人は特願昭60−168830号を出願し、ホログラム回転板
の前段にホログラムによる固定板を用いることを提案し
た。
また、本出願人は特願平2−179437号(特願平1−24
0720号の国内優先主張)を提案し、少なくともホログラ
ムを2枚以上用いることにより、入射波から結像面まで
の光路長を一定になし、その再生光源の波長変動に対す
る結像面での波面の特性の劣化を防止できる構造を提案
した。しかし特願平2−179437号では、2枚以上のホロ
グラムは全て固定しており、結像点も一点である光学系
が対象であった。このため、これを本走査光学系に適用
しても、ビームの走査に伴って光路長が刻々と変化し走
査中心より走査端の方が必然的に光路長が長くなるため
適用には困難がある。従って、上述した従来技術では上
記乃至等の課題をすべて解決することはできなかっ
た。
本発明は上記のような乃至等の課題に対して、光
学レンズや曲率を持ったはミラーなどの補助光学系を使
用せずに大量の複製が可能なホログラムのみを使用した
高解像度の光ビーム走査装置及び定置ホログラム板の製
造方法を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、少なくとも2つのホログラムを
用いた光走査装置において、光源の波長変動あるいは波
長分散性に起因した波長ずれが発生しても、走査ビーム
の品質あるいは走査性能が低下しない光ビーム走査装置
及び定置ホログラム板の製造方法を提供することにあ
る。
更に本発明の目的は、少なくとも2つのホログラムを
用いた光ビーム走査装置において、光源の波長変動ある
いは波長分散性に起因した波長ずれによる色収差を補正
することができる光ビーム走査装置を提供することにあ
る。
更に本発明の目的は、少なくとも2つのホログラムを
用いた光ビーム走査装置において、光源の波長変化ある
いは波長分散性に起因した波長ずれが発生しても、走査
面における走査ビームの位置変動あるいはフォーカスぼ
けを小さくし得る光ビーム走査装置を得るための、ホロ
グラムの構造及び配置、再生波面の構成等を得ることに
ある。
発明の開示 上記目的達成のため、本発明に係る光ビーム走査装置
は、回折格子を備えた回転体とこの回転体で走査される
結像面との間に回折格子を記録した固定板を定置した光
ビーム走査装置において、上記回転体の回折格子に入射
回折され、更に上記固定板の回折格子に入射回折して走
査し、結像面上の走査点に収束するときの主軸での光束
の光路長および主軸を外れた周辺軸での光束の光路長と
の光路長差の二乗値もしくは絶対値を結像面の全域を含
む走査点毎に重みづけた値の総和を最小とするような回
折格子を回転体および固定板に備えたことを特徴とする
ものである。
また、回折格子を備えた回転板とこの回転板で走査さ
れる結像面との間に回折格子を記録した固定板を定置し
た光ビーム走査装置において、上記回転体の回折格子に
入射回折され、更に上記固定板の回折格子に入射回折し
て走査し、結像面上の走査点に収束するときの、再生入
射光束の主軸を外れた周辺軸での回転体の回折格子の位
相の主軸からのずれ量と固定板に入射する時の回折格子
に記録される位相の主軸からのずれ量と、の和の二乗値
もしくは絶対値を該結像面の全域を含む走査点毎に重み
づけた値の総和を最小とするような回折格子を回転体お
よび固定板に備えたことを特徴とするものである。
本発明では、ホログラムを用いた光ビーム走査装置に
おいて、ホログラムを再生する入射波から各走査点まで
の光束の、主軸からの光路長ずれ、または、位相ずれ
を、全走査領域で最小とする構造を持つ。
このため、微細な走査ビームが得られ、ホログラム回
転体の等角速度の回転に対し、等速に走査し、再生光に
波長のゆらぎのある半導体レーザを用いた時の走査線の
位置変造を補償することができる。
図面の簡単な説明 第1図は第1の発明の実施例の説明図 第2図は光ビーム走査装置の主走査方向の説明図、 第3図は光ビーム走査装置の副走査方向の説明図、 第4図は本発明を説明する走査装置の構成図、 第5図は定置ホログラム板作成の説明図、 第6図は走査装置の光路長差、ビーム半径、走査軌跡
を説明する図、 第7図は定置ホログラム板の作成波の説明図、 第8図はホログラフィック露光による走査ビームのス
ポット像を示す図、 第9図は収束球面波が入射した時の走査軌跡、ビーム
半径を説明する図、 第10図は走査装置の副、主走査方向の説明図、 第11図は第10図による走査装置の走査軌跡、ビーム半
径、波長変動による位置ずれ量を説明する図、 第12図は定置ホログラム板作成の説明図、 第13図は定置ホログラム板の実施例の説明図、 第14図は従来例の説明図、 第15図は第2の発明の原理を説明するための図、 第16図は第2の発明における第1の態様を示す図、 第17図は第2の発明における第1の態様の光ビーム走
査装置の構成例を示す図(第1のホログラムが右側に位
置する場合)、 第18図は第2の発明における第1の態様の光ビーム走
査装置の構成例を示す図(第1のホログラムが中央に位
置する場合)、 第19図は第2の発明における第1の態様の光ビーム走
査装置の構成例を示す図(第1のホログラムが左側に位
置する場合)、 第20図は第2の発明における第2の態様を示す図、 第21図は第2の発明における第3の態様を示す図、 第22図は入射波とkとの関係を示す図、 第23図は第2の発明における第1乃至第3の態様の光
ビーム走査装置の一実施例を示す図、 第24図はx1/F11の関係を示す図、 第25図(A)はW,Δλ,ξの関係を示す図、 第25図(B)は第2のホログラム及び走査距離につい
ての設計例を示す図、 第25図(C)は異なる出射角度において結像距離が略
等しくなる構成例を示す図、 第26図は第2の発明における第1の態様の他の実施例
を示す図、 第27図は第2の発明における第1の態様の他の実施例
を示す図、 第28図は第2の発明における第1の態様の他の実施例
を示す図、 第29図は第2の発明における第1の態様の他の実施例
を示す図、 第30図は第29図に示した光ビーム走査装置を改良した
構成例を示す図、 第31図は第2の発明における第1の態様の他の実施例
を示す図、 第32図は第31図に示した光ビーム走査装置を改良した
構成例を示す図、 第33図は第1の発明における問題点を説明するための
図、 第34図は第1の発明における問題点を説明するための
図、 第35図は本発明の原理図、 第36図は本発明の第1の実施例構成図、 第37図は本発明の第1の実施例定置ホログラムの作成
説明図、 第38図は本発明の第1の実施例走査ビームの強度分布
図(その1)、 第39図は本発明の第1の実施例走査ビームの強度分布
図(その2)、 第40図は本発明の第2の実施例の構成図、 第41図は定置ホログラム板の等速補正機能を説明する
ための図、 第42図は本発明の第1の実施例構成図(副走査方
向)、 第43図は本発明の第1の実施例構成図(主走査方
向)、 第44図は本発明の第1の実施例定置ホログラム板の説
明図、 第45図は本発明の第1の実施例の説明図、 第46図は本発明の第1の実施例の説明図、 第47図は光ビーム走査距離に対し定置ホログラム板の
長さを短く設定した場合における各特性を示す図、 第48図は光ビーム走査距離に対し定置ホログラム板の
長さを長く設定した場合における各特性を示す図、 第49図は第6の発明の一実施例を示す構成図、 第50図は本発明装置の第1の実施例の構成図、平面
図、 第51図は第50図の装置を説明するための特性図、 第52図は第50図の装置のホログラムを説明するための
図、 第53図は本発明装置の第2の実施例の構成図、 第54図は本発明装置の第2実施例の側面図、平面図、 第55図は第53図の装置のホログラムを説明するための
図、 第56図は本発明の一実施例である光学素子の構成図、 第57図は本発明の一実施例である光学素子の原理を説
明するための図、 第58図は第56図に示す光学素子の変形例を示す図、 第59図は第56図に示す光学素子の他の変形例を示す
図、 第60図は第9の発明の原理図、 第61図は本発明の一実施例構成図(副走査方向)、 第62図は本発明の一実施例構成図(主走査方向)、 第63図は本発明の一実施例定置ホログラム板の説明図
(物体波)、 第64図は本発明の一実施例定置ホログラム板の説明図
(参照波)、 第65図は本発明の一実施例定置ホログラム板の説明図
(参照波)、 第66図は本発明の一実施例スポットダイアグラム図、 第67図は本発明の一実施例定置ホログラム板の作成説
明図(その1)、 第68図は本発明の一実施例定置ホログラム板の作成説
明図(その2)、 第69図は本発明のホログラム作成露光系の第1の実施
例説明図、 第70図は本発明のホログラム作成露光系の第2の実施
例説明図、 第71図は本発明のホログラム作成露光系の第3の実施
例説明図、 第72図は第1の発明で用いたホログラム回転体のファ
セットホログラムを示す図、 第73図は第10の発明の一実施例構成図、 第74図は本発明の一実施例ホログラムディスクの作成
説明図、 第75図は本発明の一実施例スポットダイアグラム図、 第76図は第1の発明に用いてホログラム回転体の周波
数分布と入射ビームを示す図、 第77図は第11の発明の原理を説明するための図、 第78図は本発明のホログラム回転体を説明するための
図、 第79図は本発明の光ビーム走査装置の構成を説明する
ための図、 第80図は本発明の効果を説明するための図、 第81図は10次における場合の変化係数を示す図であ
る。
発明を実施するための最良の形態 以下、本発明の原理的な説明を行ない、ついで具体的
な構成、作用を詳細に説明する。先ず、以下順次説明を
行なう各発明において基本的な考え方となる第1の発明
について説明する。
〔第1の発明〕 第1図は図示しない半導体レーザの波長変動に対して
ホログラムを用いた走査光学系の回折光の位置変動を補
償する説明図であり、ホログラム回転板10には、走査を
行なうための回折格子1aが複数個備わっている。また、
レーザプリンタなどでは、感光ドラム3が結像面4にな
る。レーザを走査する方向M3と直交方向であるM2は、副
走査方向と呼ばれる。ここで、焦点位置をMOに持つ収束
球面以下(以下、入射波5という)を入射し、ホログラ
ム回転体10の回転により、走査ビームが結像面4で走査
点kに収束したとする。ここで再生光である入射波5の
光束はホログラム回転体10に入射し、回折波6となり、
更に定置ホログラム板20で回折されて、回折波7とな
り、走査点kに収束する。ここで入射波5のホログラム
回転体10に対して主軸MAである光線に関して、それぞれ
の入射光束から走査点kに至る光路長LDは、(1)式と
なる。ただし、入射光束に対しては、ホログラム回転体
10と、収束点P0を中心とした参照球面までの光路長で表
す。なお、収束波では光路長の符号は反転して負とな
る。また、下式において括弧〔 〕は、その中に記載さ
れた各点の距離を示しており、例えば〔A0 k P0〕は点A
0 kと点P0との離間距離を示している。また、(1)式以
降に現われる各式においても同様の意味を持つものとす
る。
L0=−〔A0 k P0〕+〔A0 k B0 k〕 +〔B0 k k〕 …(1) 一方、入射波5の中の周辺軸MIに入射する入射光束か
ら走査点kにいたる光路長L1は(2)式となる。
L1=−〔Ai k P0 i〕+〔Ai k Bi k〕 +〔Bi k k〕 …(2) 従って、走査点kで半導体レーザからの入射波5が波
長変動を起こしたとしても、走査線が走査点kからずれ
ない条件は(3)式となる。
−〔Ai k P0 i〕+〔Ai k Bi k〕+〔Bi k k〕 =−〔Aj k P0 j〕+〔Aj k Bj k〕+〔Bj k k〕 …(3) つまり、光束内の主軸MA以外に入射する入射波5の光
路が等しければよい。また半導体レーザによる入射波5
のモードホップによる波長変動において走査ビーム結像
面4上での焦点距離に変動がない条件は(4)式とな
る。
−〔A0 k P0〕+〔A0 k B0 k〕+〔B0 k k〕 =−〔Ai k P0 i〕+〔A0 k Bi k〕+〔Bi k k〕 …(4) つまり、主軸MAと周辺軸MIに入射する入射波5の光路
が等しければよい。従って半導体レーザの波長変動に対
して、感光ドラム3上の結像面4での全走査領域で走査
ビームの劣化を防止するために、走査点kで(3)式と
(4)式を同時に満足する構造を実現する。
ここで、光路長を一定にするという条件では、走査点
kでの光束の主軸MAとその周辺軸MIに入射する光束の光
路長の差をδlkとして、下記(5)式または(5−1)
式の評価関数を最小とするように最適化する。
但し、Wkは各走査点で光路長をどの程度小さくするか
の重み 次に、ホログラムの位相による場合を説明する。以下
に使用する記号とし、Φinはホログラム回転板10に入射
する波面の位相、ΦH kはホログラム回転板10が走査点k
を走査している時のホログラム回転板10の主軸MAのホロ
グラムの位相伝達関数、ΦH2 kは定置ホログラム板20の
走査点kに相当する主軸のホログラムの位相伝達関数を
それぞれ示している。また、δΦinは入射光束の周辺の
波面の位相の主軸からのずれ、δΦH kはホログラム回転
板10のホログラムの位相伝達関数の主軸からのずれ、δ
ΦH2 kは定置ホログラム板20の位相伝達関数の主軸から
のずれを、それぞれ示している。
走査ビームに収差がない良好な結像を行うため、つま
り、波面収差を除去するために、結像面での位相を一致
させる条件は、ホログラム上での出射波の位相がホログ
ラム上の入射波の位相とホログラムの位相伝達関数の和
であることから、(6)式を得る。
Φin+ΦH k+k2〔A0 k B0 k〕 +Φ2H k+k2〔B0 k k〕 =Φin+δΦin+ΦH k+δΦH k +k2〔Ai k Bi k〕+Φ2H k+δΦH2 k +k2〔Bi k k〕 …(6) 但し、k2は波長(2π/λ)を示す この(6)式は、波長変動に対する走査線のずれに関
連する(3)式、及び結像面4上での焦点距離変動に関
連する(4)式を満足させると下記の(7)式となる。
δΦ≡δΦH k+δΦH2 k=0 …(7) この(7)式を走査点kで満足させればよい。(7)
式は結像性を良好に保ち、ホログラム回転板10と定置ホ
ログラム板20のそれぞれに記録される位相伝達関数のず
れの和を各走査点kで零とすれば良いことを示す。な
お、(7)式は具体的には後述するように上記(7)式
の走査点kの位相ずれδΦを走査領域で最小となるよ
うに、たとえば下記の(8)式または(8−1)式の評
価関数Eを用いる。
但し、Wkは、各走査点での位相ずれを減らすための重
み ホログラムの最適化は(8)式または(8−1)式が
最小となるようにする。
次に光路長が等しくなるケースを第2図を用いて説明
する。第2図は主走査方向に関する光路説明図であり、
同図(a)はホログラム回転体10から平行波6aが出射し
た状態図、この時入射波5aを焦点をMOとする収束球面波
とし、結像面4上の各走査点で光束内の光線の光路長が
等しくなるようにするには、第2図からも分かるよう
に、定置ホログラム板20から回折波7aを殆ど垂直に出射
させればよい。
また、同図(b)はホログラム回転体10から焦点をMO
とする発散波6bが出射した状態図、ここで入射波5bは同
図(a)と同様に収束球面波とする。この時の結像面4
上の各走査点での光束内の光線の光路長が等しくなるよ
うにするには、定置ホログラム板20からの出射波7bは定
置ホログラム板20への入射波6bの方向をより走査中心に
向けるが、しかし、回折角度の正負を反転させない構造
が最適である。
次に、同図(c)はホログラム回転体10から収束波6c
が出射した状態図、ここで入射波5cも同図(a)と同様
に収束球面波とし、結像面4上の各走査点で光束内の光
線の光路長が等しくなるようにするには、定置ホログラ
ム板20からの出射波7cは定置ホログラム板20への収束波
6cの方向を走査中心に戻し、しかも回折角度の正負を逆
点させる構造が最適である。
以上は主走査方向での構造であるが、次に副走査方向
について説明する。第3図は副走査方向の走査を説明す
る図で、副走査の方向について光路長を一定にする構造
を示す側面図である。ここに、ホログラム回転体10に入
射する入射波5aにより、回折波6dが出射され、さらに定
置ホログラム板20から出射回折後、感光ドラム3上の結
像面4に結像するものであり、第2図内の記号と同一記
号は同一物を示す。ここでは再生光源の波長変動に対す
る結像面4上の走査線のずれを補償し、光路長を一定に
するために定置ホログラム板20をホログラム回転体10に
対して傾斜させる。この傾斜角度βは走査線のずれを最
小となるようにしている。従って、各走査領域での光束
の光路長が一定でしかも結像面4上で直線走査を行うた
めに、ホログラム回転体10からの出射波6dが平行波の時
は、走査端では定置ホログラム板20で点線6′dのよう
に垂下の軌跡を辿らせる。そして、定置ホログラム板20
により、もとの結像点に戻せばよく、こうして直線走査
が可能になる。なお、この場合、走査中央と走査端のホ
ログラム回転体10の軌跡を逆にしてもよい。
また第2図(a)に示すように、再生光源の波長変動
による走査ビームの焦点距離の変動を最も良く補正する
ために、ホログラム回転体10に入射する入射波5aの波面
を収束球面波とし、主軸MAとその周辺軸MIの光束の光路
長を同一にすれば良い。この時、収束球面波5aのホログ
ラム回転体10面から焦点MOまでの距離を、ホログラム回
転体10面から定置ホログラム板20面までの距離またはそ
の近傍にすることにより、最も良好な補償効果を得るこ
とができる。
次に、ホログラム回転体10が等角速度で回転している
時、通常のホログラム回転板10では走査の端になるにつ
れ走査速度が速くなるが、本発明では定置ホログラム板
20により走査線の回折方向を走査中心に戻しているか
ら、定量的にも適合し、最終的に走査面での速度も、同
時に一定になるように補償できる。以下に上記作用をも
つホログラムによる光ビーム走査装置の実施例を説明す
る。
〔第1の実施例〕 第1の実施例を第2図(a)を参照し、第4図及び第
5図を用いて説明する。この例では、ホログラム回転体
10の回折波6は平行波6aであり、定置ホログラム板20か
らの出射波がほぼ定置ホログラム板20に対し垂直に出射
している。第5図において、定置ホログラム板20を作成
する波長は再生時に使用する波の波長λ2と同一の波長
である。定置ホログラム板20の作成波のうち物体波OWは
ホログラム回転体10からの出射波が走査中心で当たる定
置ホログラム板20の中心軸Aを軸中心とする球面収差波
であり、軸Aから外側に移るにつれてより内側に曲がる
いわゆる「正の球面収差波」である。とくに、この量が
中心軸から出射する点Pから定置ホログラム板20に当た
る点Qまでの光路長〔PQ〕がどの点においても下記(1
1)式に示すように一定の距離(d)であるようにする
のが最適である。
d=P0Q0=P1Q1=P2Q2=・・・・・=PnQn …(9) また、参照波RWは入射角度α(≠0)を持つ斜めに入
射する平行波である。こうして前出の評価関数(5)式
または(8)式を満たし、また収差を低減し、等速走査
を行うように上記パラメータdとαを適切に定める。
第6図は上記の設定による値である。同図(a)は
(5)式を用いての最適化を行った結果で、横軸は感光
ドラムの走査中心を0.0とする走査幅を示し、縦軸は光
路長差である。この図によれば、走査幅±108mm(A4判
走査)での主走査方向の光束の最外郭同士の光路長の差
は最大で30λ以内であり、これは距離に換算すると0.03
mm以内となる。全光路長はこの例では641mmであり、光
路長の差は殆どなく同一と見做せる。再生波の半導体レ
ーザの波長λ2=780nm、ホログラム回転板10は均一ピ
ッチでその空間周波数は1765〔本/mm〕とした。ホログ
ラム回転板10への入射角度は44.2゜、入射するホログラ
ム回転体10の半径は40mmであった。また、定置ホログラ
ム板20のパラメータに関してはd=364mm、α=6.5゜で
あった。ホログラム回転体10と定置ホログラム板20の距
離は218mm、また定置ホログラム板20から結像面4まで
の距離は360mmであった。
また、評価関数(8)式を満足するために、ホログラ
ム回転体10に対する定置ホログラム板20の傾きは45.0゜
とした。第6図(b)はその時の走査ビームの特性を示
している。即ち、走査幅が216mmに対して、ビーム半径
は18μm以内であり、直線性は第6図(c)に示すよう
に±78μm以内、また等速性は±0.12%以内であった。
さらに、半導体レーザの波長変動に対しては、モードホ
ップによる0.3nmの波長ずれに対しても、主走査方向で
1μm以内と非常に小さくできた。第3図に示したよう
に、定置ホログラム板20で最終的に直線走査にするた
め、定置ホログラム板20上でのホログラム回転板10によ
る走査線は第3図のように単調に曲がり、1mmのずれが
あった。
本作成例の定置ホログラム板の干渉縞のパターンが分
かったため、電子ビームやレーザプロッタによる描画で
作成できる。この定置ホログラム板ホログラフィック露
光により作成する方法については、次の例で述べる。
一般に高回折効率を持つホログラム材料の波長感度
は、半導体レーザの波長より短い所にある。このため、
一般的にホログラフィック露光で作成するためにはこの
波長比による収差も考慮しなければならない。作成波の
波長をλ1として、また波長比をλ2/λ1で定義する。
この波長波による収差を考慮した結果、ホログラムに必
要な球面収差波は、第1の実施例で用いたdを、dとs
の積に置き換えるだけで良い。そして、第1の実施例と
同様に、斜めに入射する平行光である参照波を用いて最
適化を行った。適切な干渉縞分布がわかれば、この複雑
な収差を持つホログラムをホログラフィック露光により
作成する必要がある。この時、ホログラフィック露光で
は出来るだけ簡素な光学系を用いる。
第7図は、本発明における定置ホログラム板20の第2
の実施例を示し、この球面収差波は、無収差の発散球面
波を球面レンズである平凹レンズに入射して出射する波
面のものを用いた時である。この収差量に一致するよう
に、平凹レンズを含めて他のパラメータを最適化した。
即ち、λ1=441.6nm(HeCdレーザ)とし、また半導体
レーザの設計波長λ2=780nmである。この時の平凹レ
ンズの厚みは中心で3.0mm、材質BK7、屈折率1.51、曲率
115.0mmであった。また発散球面波の点光源位置S0から
平凹レンズまでの距離d0=439.0mm、平凹レンズから定
置ホログラム板20までの距離LT1=469.0mmである。
また、第8図(a)は第7図による設計結果のホログ
ラフィック露光により作成した定置ホログラム板20によ
る走査ビームの収差像であり、20μm以内の非常に小さ
な収差になっている。また、第8図(b)に示したもの
は、第5図で得た必要なホログラムによる走査ビームの
スポット像であり、ほぼ同一である。この作成例ではホ
ログラフィック露光を簡単な球面収差波で達成でき、露
光系の調整も極めて容易という著しい効果を有する。
〔第3の実施例〕 以下に説明する第3の実施例では、ホログラム回転板
10に入射する入射波は収束球面波である。この時のホロ
グラム回転体10の位相伝達関数Ψは下記の(10)式を満
足すればよい。
これは、参照波は、点光源が回転体の回転軸上の距離
F1にあり、作成波長がλ′であることを示す。ここで
λ′は仮想的な作成波長とする。また、物体波は、点
光源位置が走査中心軸上の回転軸上から距離Y2、高さF2
/Sの球面波であり、この作成波長は仮想的な波長λ
であることを示す。このように、参照波と物体波の作成
波長を仮想的に異ならせることを考える。また、再生波
のλと、λ″の比λ2″がSである。ここで収
束球面波を入射すると仮定して(10)式のホログラム回
転体10を持つ走査装置において、(5)式の最適化を試
みた。
この結果、直線性は第9図(a)に示すように±0.1m
m以内となった。またビーム半径は第9図(b)に示す
ように18μm以内であった。また等速性は±0.22%以内
と良好であった。また半導体レーザの波長変動に対する
主走査方向の変動量は0.3nmの波長変動では1μm以内
と充分であった。ここで、ホログラム回転体10に入射す
る半径は45mm、ホログラムた回転板10と定置ホログラム
板20の距離は182mm、定置ホログラム板20から結像面ま
での距離は277mmであり、定置ホログラム板20の傾きは
ホログラム回転体10に対し64.2゜であった。また、参照
波のλ1′=330nm、F1=200mmであった。物体波のλ
1″=78nmであり、従ってS=10であり、F2=1060mm、
Y2=95mmであった。
この実施例では入射波は収束球面波であり、しかも、
ホログラム回転体面から収束する点までの距離は、定置
ホログラム板面と結像面までの距離にほぼ等しい200mm
とした。この時、半導体レーザの波長の変動が環境条件
で10nm変わることがあっても、ビーム半径は18μmが1
8.5μmになる程度でビーム径の劣化は全くなかった。
なお(10)式で表されるホログラムは作成波の波長を仮
想的なものとしているが、電子ビームやレーザプロッタ
による描画が作成できる。また、これをホログラフィッ
ク露光により作成する時は本出願人の出願になる特願昭
63−72633号で提唱したような補助光学系を用いて作成
できる。
〔第4の実施例〕 次に第4の実施例を説明する。第10図(a),(b)
はホログラム回転体10の基板の平行度による走査線の位
置変動を補償するものである。この第4の実施例では、
ホログラム回転体10に入射するビームは同図(a),
(b)に示すように、走査方向(ホログラム回転体10上
では回転方向)と直交方向の副走査方向で収束するビー
ムを用いている。この場合、定置ホログラム板20に入射
する波は円筒波であるため、これに適した参照波に変え
ることを考えた。この結果、定置ホログラム板20を作成
する物体波については第5図と同様な球面収差波を用
い、参照波はたとえば、下記(11)式に示すような方向
余弦を持つ波を用いればよい。
但し、C0,y0,Z0は定数 参照波は上記(11)式のようにコマ収差波であるが、
物体波は球面収差波である。この収差量は所望の性能を
出すように適切に選択できる。第11図はこの結果を示し
ている。同図(a)は直線性を示し、同図(b)はその
時のビーム半径である。
このように本発明による時は、直線性±0.4μm以内
と極めて良好である。また、ビーム半径は最大で8μm
以内と充分な収差補正が出来る。等速性が±0.13%以内
と良好である。また、半導体レーザの波長変動が1nmあ
っても第11図(c)に示すように主走査方向でも3μm
以内、副走査方向でも3μm以内と大幅に補償できる。
ここで、物体波、再生波、ホログラム回転体10のパラメ
ータや、定置ホログラム板との相互の位置関係は、第1
の実施例と全く同一のパラメータとした。またy0=−5m
m、Z0=321mmであった。
次に、ホログラム回転体の基板の平行度の精度の緩和
状態は以下の程度である。ホログラム回転体10の基板の
平行度が1分(P−P)と大きいものであっても、副走
査方向のずれは5μm以内と極めて補正度は良好であ
る。これは、従来のホログラム回転体10の基板の平行度
が数秒しか許容できなかったことに対し、大幅に緩和さ
れており、ホログラム基板の低価格化にとって非常に効
果が大きい。
この定置ホログラム板を作成するためには、第12図に
示すように、物体波は球面レンズにより球面収差波を発
生し、参照波は(11)式のようなコマ収差9の方向余弦
を満足するように同様の球面レンズ8を用いて実現すれ
ばよい。
〔第5の実施例〕 第13図は第5の実施例を示している。1枚の定置ホロ
グラム板に2枚のホログラムを形成し、一方のホログラ
ム20−1の作成波には今まで述べてきた定置ホログラム
板作成用物体波と波面Cを記録し、もう一方のホログラ
ム20−2の作成波には、今まで述べてきた定置ホログラ
ム板作成用参照波と波面Cで作成し、図のように重ねあ
わせれば、先の実施例と同様の特性が出る。この実施例
では、定置ホログラム板がほとんどイン・ライン型に近
い場合にホログラフィック露光が難しい時に最適であ
る。
こうして、それぞれは軸外し型のホログラムになるた
め、回折効率も高いものとなる。また、この2つのホロ
グラム板により、さらに光路長を一定にし、半導体レー
ザの波長変動による走査光の特性劣化をより細かく補償
できる。なお、以上の定置ホログラム板はインジェクシ
ョンを用いて大量の複製が可能であるから工業的かつ価
格的に有利である。なお、ホログラム回転体はディスク
に限ることなく、円筒、円錐、角錐などの形態にも本発
明は適応できることはいうまでもない。
以上説明してきたように、本第1の発明によれば2枚
のホログラムにより、簡素で低価格な光学系が提供でき
る。そして、半導体レーザの波長の変動に対する走査線
のずれもなく信頼性の高い走査光学系が容易に実現でき
る。
〔第2の発明〕 次に本出願に係る第2の発明について第15図及び第16
図を用いて説明する。第15図は、本発明の第1の態様の
光ビーム走査装置を示す斜視図であり、第16図はその平
面図である。光ビーム走査装置100は、少なくとも第1
のホログラム板110及び第2のホログラム板112から成
る。120は走査面である。
第1のホログラム板110は、例えば収束球面波を平行
波に変換する可動ホログラムであり、第2のホログラム
板112は、例えば平行波を収束球面波に変換する固定ホ
ログラムである。第1のホログラム板110から収束点ま
での距離をF1、第2のホログラム板112から収束点まで
の距離をF2、第1のホログラム板110から第2のホログ
ラム板112までの距離をLとする。光源の中心波長をλ
とする。
ビーム径Wの入射ビームが第1のホログラム板110に
垂直に入射し、角度θにて回折した後、第1のホログ
ラム板110に平行な第2のホログラム板112に入射し、角
度θにて回折し、第2のホログラム板112から距離F2
の所に位置する走査面120に結像するものとする。
ここで、第1のホログラム板110及び第2のホログラ
ム板112の空間周波数をそれぞれf1,f2とすると次式が成
立する。
sinθ=f1λ sinθ+sinθ=f2λ 故に、 sinθ=(f2−f1)λ 光源の中心波長λにΔλだけ波長ずれが生じたとする
と、 cosθ・Δθ=f1Δλ cosθ・Δθ+cosθ・Δθ=f2Δλ が成立する。
故に、 cosθ・Δθ=(f2−f1)Δλ =sinθ(Δλ/λ) となる。
波長ずれによって発生する走査ビームの位置ずれ量Δ
Xは、 ΔX=Δθ(F2/cosθ)/cosθ =F2sinθ(Δλ/λ)/cos3θ …(21) となる。
走査ビーム径DはFナンバと開口Wによって、 D=k・F・λ =k・λ(F2/cosθ)/(Wcosθ)/cosθ =k(F2/W)(λ/cos3θ) …(22) で与えられる。ここで、kはけられに関連した定数であ
る。
一般にプリンタなどの光走査装置において適切な解像
度を維持するためには、走査ビームの位置ずれ量ΔXは
走査ビーム径の1/4以下が要求される。したがって、ΔX
/Dは、式(21)及び式(22)より、 ΔX/D=sinθ・(W/k)(Δλ/λ)<1/4 …(23) となる。
一方、光路差Δφ位置は、W・sinθで与えられ
る。したがって、式(23)より、 Δφ=Wsinθ<(1/4)k(λ2/Δλ) …(24) となる。
ここで、一般に、k〜2であるから、 Δφ<C(λ2/Δλ) …(25) となる。ここで、C=0.5以下の定数である。
以上によって、波長変化に対して光走査装置が十分な
解像度を得るためには、走査ビーム内の光路差が、C
(λ2/Δλ)以下であることが必要となる。
走査ビームの波長ずれによるフォーカスぼけについて
も上述の条件が以下により成立する。Rayleighの分解能
によると、フォーカスぼけを生じない波面収差はλ/4以
下である。ここで、波長ずれがΔλのときの波面収差
は、走査ビームの光路差をΔφとすると、 Δφ(Δλ/λ)<λ/4) で与えられる。
故に、 Δφ<(1/4)(λ2/Δλ) …(26) となる。
以上の式(25)及び(26)から、波長変化あるいは波
長分散に対して走査ビームの解像度を一定に保つために
は、走査ビームの光路差Δφは、 Δφ=Δφ+Δφ<C(λ2/Δλ) …(27) の関係を満足することが必要である。
ここで、Cは定数である。したがって、式(27)を満
たす光ビーム走査装置においては、たとえ光源に波長ず
れが生じても、走査ビームの位置ずれ、走査ビームのフ
ォーカスぼけやフォーカスずれが発生することがない。
第17図〜第19図に式(27)を満足する光走査装置の構
成例を示す。第17図〜第19図では、可動である第1のホ
ログラム板110及び固定された第2のホログラム板112が
それぞれ7つのセグメントに分かれている。
第18図で第1のホログラム板110の位置がx4のとき入
射ビームは第1のホログラム板110のセグメント4が回
折され、ついで第2のホログラム板112のセグメント
4′で回折され、点P4に到達するが、ここでビーム内の
光路差が(1/2)(λ2/Δλ)以下となるように2つの
ホログラム板110,112は設定されている。
ついで第1のホログラム板10がたい17図に示すように
右方に移動したとき、入射ビームはセグメント1て回折
され、更に第2のホログラム板112のセグメント1′で
回折され、点P1に到達する。
同様に第19図では、入射光はセグメント7及びセグメ
ント7′で回折され、点P7に到達する。
以上の第M番目及び第M′番目のセグメントの間でい
ずれの場合もビーム内の光路差が(1/2)(λ2/Δλ)
以下となるように、第1のホログラム板110及び第2の
ホログラム板112を設定する。
以上の光ビーム走査装置で第1のホログラム板110を
往復動させることにより、波長ずれΔλに対して走査ビ
ーム位置及び走査ビームのフォーカスぼけあるいはフォ
ーカスずれのないディジタル光走査装置を得ることがで
きる。尚、セグメント間が連続となるようにホログラム
を構成するとアナログ光走査装置が得られる。
次に、第20図に示した代表的なホログラム走査系の平
面図によって本第2の発明の第2の態様にかかる光ビー
ム走査装置の原理を説明する。尚、第20図において第15
図及び第16図で示した構成と対応する構成には同一符号
を付す。第20図における光ビーム走査装置100は、少な
くとも第1のホログラム板110及び第2のホログラム板1
12から成る。
第20図に示す光ビーム走査装置100の第1のホログラ
ム板110(焦点距離11)には走査ビームとして収束球面
波が入射角αにて入射し、この収束球面波は第1のホロ
グラム板110によって発散球面波に変換されて出射角δ
にて第1のホログラム板110を出射する。第2のホログ
ラム板112は、第1のホログラム板110と平行に且つ光軸
距離14(第20図のH1〜H3間の距離)の位置に配置されて
いる。
第1のホログラム板110から出射された発散球面波
は、入射角δ、焦点距離13(同図のH2〜H3間の距離)に
て第2のホログラム板112に入射し、第2のホログラム
板112によって収束球面波に変換され、かかる収束球面
波が焦点距離12(同図のH3〜H4間の距離)、出射角βに
て第2のホログラム板112から出射されるとする。
このとき、走査ビーム光束の光路差を0にするために
は、即ち、光軸及び結像に関して色消しとなる条件とし
て、 sinα={l3/(l3−l4)}sinβ −{l4/(l3−l4)}sinδ …(28) cos2α/2/l1={l4/(l3−l42/2}cos2δ +{l3 2/(l3−l42/l2/2}cos2β …(29) が成立しなければならない。
ここで、第1のホログラム板110に対して入射する球
面波の光軸が垂直であるとすれば、即ちα=0とすれ
ば、 k(δ)=l4/l3 …(30) とおけば式(28)は、 sinβ=k(δ)sinδ …(31) となる。
尚、k(δ)は、第1のホログラム板110を出射する
走査ビームの発散の程度を表すハラメータと考えること
ができる。
したがって、式(31)を満足する光ビーム走査装置に
おいては、本発明の第1の態様で説明した式(27)の走
査ビームの光路差Δφの値を0とすることができる。
それ故、本発明の第2の態様によれば、光源に波長ず
れが生じても、本発明の第1の態様の光走査装置よりも
一層、走査ビームの位置ずれ、走査ビームのフォーカス
ぼけやフォーカスずれが発生することのない光走査装置
を得ることができる。
ここで、k(δ)をδに関して展開し近似すると、 k(δ)=k0+k1δ …(32) となる。
第2のホログラム板112の空間周波数f(x)は、(s
inδ−sinβ)/λであるから、 λf(x)={1−k(δ)}sinδ =(1−k0−k1δ)sinδ …(33) が成立する。
空間周波数f(x)の一次微分f′(x)は、第1の
ホログラム板110と第2のホログラム板112との間の距離
をL(L=l4)とすれば、tanδ=x/Lであるから、式
(31)より、 λf′(x)={−2k1δsinδ+(1−k0 −k1δ)cosδ}×cos2δ/L …(34) となる。
一方、一般に第2のホログラム板112において、入射
波の物点から第2のホログラム板112までの距離及び像
点から第2のホログラム板112までの距離を各々a
(δ)及びb(δ)とすれば、次の結像関係 cos3δ/a(δ)+cos3β/b(δ)=λf′(x) …(35) が成立する。
走査の中心部(δ→0)では、式(34)と式(35)か
ら、 1/a(0)+1/b(0)=(1−k0)/L …(36) が成立する。
上式において、平面結像となるためには、b(δ)=
b(0)=b0となればよい。また、 k(δ)=l4/l3=L/a(δ) …(37) の関係がある。
ここで、a(δ)をδのべき級数で展開すると、 1/a(δ)=λf′(x)/cos3δ−cos3β/cos3δ/b0 ={−2k1δ(δ+δ3/3+…) +(1−k0)−k1δ}/L −{1+(3/2)(1−k0 2)δ}/b0 …(38) となる。
式(37)より、 1/a(δ)=k(δ)/L =(k0+k1δ)/L …(39) である。
したがって、式(38)と式(39)を比較すると、 1/b0=(1−2k0)/L …(40) k1=−(3/8)(1−k0 2)(1−2k0) …(41) となる。
結局、k(δ)及びa(δ)を、下式 k(δ)=k0−(3/8)(1−k0 2)(1−2k0)δ …(42) a(δ)=L/k(δ) …(43) に従って定めれば、光源の波長ずれに対して光軸が変動
しない光走査装置が得られる。
ここで、k0は光学系の特性を定めるパラメータであ
る。式(40)において、b0が正であり、k(δ)が0以
上を仮定していることにより、 0<k0<0.5 …(44) となる。
また、第1のホログラム板110に入射する収束球面波
は、式(29)よりα=0及び式(30)、式(32)により
定まる。ここで、l1は第1のホログラム板110へ入射す
る走査ビームから一般的には定数となる。したがって、
δ=0の場合を考えれば十分である。以上の結果より、
l1は次式で与えられる。
1/l1=(k0 2/L+1/b0)/(1−k0 式(40)から結局、 l1=L …(45) となる。
以上の結果より、色収差のない光走査装置の条件とし
て次のことが導かれる。
結像に関する色消し条件を満足するためには、第1の
ホログラム板110に入射する入射波は収束球面波である
ことが必要である。
第2のホログラム板112への入射角をδとしたとき、
第2のホログラム板112の空間周波数f(x)を、 f(x)={1−k(δ)}sinδ また、 k(δ)=k0−(3/8)(1−k0 2)(1−2k0)δ とする必要がある。
上式でk(δ)は、第2のホログラム板112に対する
発散入射波光源の位置を定めるものであり、光軸に関す
る色消し条件を満足するためには、 a(δ)=L/k(δ) とする必要がある。
このとき、第2のホログラム板112から出射する走査
ビームは、 1/b0=(1−2k0)/L に従って平面結像する。
次に、第21図に示した代表的なホログラム走査系の平
面図によって本第2の発明の第3の態様にかかる光ビー
ム走査装置の原理を説明する。第21図における光ビーム
走査装置100は、少なくとも第1のホログラム板110及び
第2のホログラム板112から成る。
第21図に示す光ビーム走査装置100の第1のホログラ
ム板110(焦点距離l1)には走査ビームとして収束球面
波が入射角αにて入射し、この収束球面波は第1のホロ
グラム板110によって収束球面波に変換されて出射角δ
にて第1のホログラム板110を出射する。
第2のホログラム板112は、第1のホログラム板110と
平行にかつ光軸距離l4(第21図のH1〜H3間の距離)の位
置に配置されている。第1のホログラム板110から出射
された収束球面波は、入射角δ、焦点距離(l3−l4
(同図のH2〜H3間の距離)にて第2のホログラム板112
に入射し、第2のホログラム板112によって収束球面波
に変換され、かかる収束球面波が焦点距離l2(同図のH3
〜H4間の距離)、出射角βにて第2のホログラム板112
から出射されるとする。ここで、13は図7のH1〜H2間の
距離である。
このとき、走査ビーム光束の光路差を0にするために
は、即ち、光軸及び結像に関して色消しとなる条件とし
て、次式 sinα=(1−l4/l3)sinβ +(l4/l3)sinδ …(46) cos2α/2/l1={l4/l3 2/2}cos2δ +{(l3−l42/l2/l3 2/2}cos2β …(47) が成立しなければならない。
ここで、k′(δ)=l4/l3とおくと、本発明の光ビ
ーム走査装置の第2の態様において議論したと同様に、
色収差のない光ビーム走査装置を得るためとの条件とし
て次のことが導かれる。
結像に関する色消し条件を満足するためには、第1の
ホログラム板110に入射する入射波は収束球面波である
ことが必要である。
第2のホログラム板112への入射角をδとしたとき、
第2のホログラム板112の空間周波数f(x)を、 f(x)={1−k(δ)}sinδ また、 k(δ)=k′(δ)/{1−k′(δ)} =k0−(3/8)(1−k0 2)δ k0=k′0/(1−k′) k′=L/(L−a0) とする必要がある。
上式でk′(δ)は、第2のホログラム板112に対す
る収束入射波光源の位置を定めるものであり、光軸に関
する色消し条件を満足するためには、 a(δ)=L/k(δ) ={k′(δ)−1}L/k′(δ)<0 とする必要がある。ここで、a0が負の値をもつというこ
とは、第2のホログラム板112に入射するビームが収束
球面波であることを示す。
このとき、第2のホログラム板112から出射する走査
ビームは、 1/b0=(1+k′)/(1−k′)/L に従って平面結像する。
上式において、b0は正であるから、0<k′<1で
なければならない。
以上から判るように、第2のホログラム板112に入射
する光が、本発明の第2の態様にて述べた発散球面波の
場合のkに対して、本発明の第3の態様における第2の
ホログラム板112から出射する光が収束球面波の場合の
k′は、 k′(δ)=k(δ)/{k(δ)−1} と置けばよいことになる。
このとき、kは0〜0.5から、−∞〜0.5の範囲に拡張
することができる。尚、η=1−k、η′=1−k′、
η=1/η′とおくと一般化することができる。
第22図に、第17図〜第20図に示す構成において、因子
kを変えた場合の第1のホログラム板への入射波及び出
射波、並びに第2のホログラム板からの出射波の形態を
示す。
〔第1の実施例〕 第23図に、上記した第1の態様に係る並進型の光ビー
ム走査装置の第1の実施例を示す。可動である第1のホ
ログラム150は、ボイスコイルモータなどの並進機構160
によって、図中X方向に直進駆動される。ホログラム面
内でX方向に垂直な方向をY方向とする。
第1のホログラム板150、及びこれと距離Lだけ離れ
た位置に配置され固定された第2のホログラム板112と
して、X方向及びY方向の空間周波数分布fx,fyが次式 第1のホログラム50: fxλ=x1/F1 fyλ=y1/F1 …(48) 第2のホログラム12: fxλ=x2/F2 fyλ=y2/F2 …(49) で表されるものを用いる。ここで、添字はそれぞれ第1
のホログラム板150及び第2のホログラム板112上の座標
を示す。
今、可動である第1のホログラム板150に対して垂直
に焦点距離F1の収束球面波を入射すると、ほぼ平面波の
走査ビームが第1のホログラム板150から出射される。
このビームは固定された第2のホログラム板112によっ
て回折され、走査面120上に収束する。第1のホログラ
ム板150が距離x1だけ移動すると、第1のホログラム板1
50からの出射ビームは角度θ=sin-(x1/F1)だけ変
更される。この出射ビームは、第2のホログラム板112
上の1Ltanθに角度θにて入射し、角度θにて出
射される。
ここで、 sinθ=x2/F2−sinθ =Ltanθ1/F2−sinθ =Ltan{sin-(x1/F1)}/F2−x1/F1 である。
波長ずれΔλに対して良好な条件は、式(27)より Δφ=W・sinθ<(1/4)(λ2/Δλ) である。
故に、 sinθ=Ltan{sin-(x1/F1)}/F2 −x1/F1<(1/4W)(λ2/Δλ)≡ξ …(50) x2=Ltanθ …(51) となる。
ここで、L=F2とするとx1/F11の関係は、第
24図のようになる。また、ξ=(1/4W)(λ2/Δλ)
は、λ=780nmのとき第25図のようになる。
以上のとおり、表2のsinθと表3のξの値より、
波長変動に強い走査光学系の構成が得られる。
一例として、波長変動1nmの半導体レーザを用い、式
(48)、式(49)でF1=F2=200mmなるホログラムを用
い、第1のホログラム板150と第2のホログラム板112の
距離Lを200mmとし、再生ビームのビーム径を2mm(Fナ
ンバー100)とする光ビーム走査装置を構成すると、こ
のときのξは第25図(A)から0.076になる。
本装置で第1のホログラム板150を±100mm並進駆動
(x1/F1=0.5)させると、第24図に掲載したとおり、si
=0.077となり、式(50)が略成立する。この結
果、走査幅(x2の2倍)が252mm(B4サイズ)の光走査
装置が得られ、且つ本装置では波長ずれに起因するビー
ム位置ずれによって走査性能が低下することはなかっ
た。
〔第2の実施例〕 本発明の第1の態様による別の実施例を第26図に示
す。第1のホログラムとして回転ホログラムディスク15
0を用いた。この場合でも、固定された第2のホログラ
ム板112と組合せ、式(27)の条件を満足するように可
動である第1のホログラム板150と固定された第2のホ
ログラム板112を構成すればよい。
好適な実施例は、第1のホログラム板150に平行に第
2のホログラム板112を配置し、第2のホログラム板112
のホログラムの中心軸Oが第1のホログラム150のビー
ム出射点に重なるように配置することによって達成され
る。
〔第3の実施例〕 本発明の第1の態様による更に別の実施例を第27図に
示す。可動である第1のホログラムとして回転円錐台ホ
ログラム150を用いている。円錐台表面上にホログラム
を球面波と平面波で作成する。好ましくは、回転軸に中
心を持つ波面を円錐台表面に垂直な平面波で作成する。
固定された第2のホログラム板112は第1のホログラ
ム150の円錐台表面と類似の傾斜を有し、好ましくは平
行に配置されている。本構造で式(27)を満足するよう
に、第1及び第2のホログラム150,112を設定すると波
長ずれに強い光ビーム走査装置が得られる。
〔第4の実施例〕 可動である第1のホログラムとして円筒ホログラム15
0を用いた、本発明の第1の態様による更に別の実施例
を第28図に示す。円筒表面上にホログラムを球面波と平
面波で作成する。好ましくは、回転軸に中心を持つ波面
と平面波で作成する。
固定された第2のホログラム板112は好ましくは円筒
面と平行に配置されている。本構造で式(27)を満足す
るように、第1及び第2のホログラム112,150を設定す
ると、波長ずれに強い光ビーム走査装置が得られる。
〔第5の実施例〕 第29図に、本発明の第1の実施態様による電子式光ビ
ーム走査装置の実施例を示す。可動である第1のホログ
ラム110は、音響光学素子によって形成される。代表的
には酸化テルル結晶に55MHz程度の中心周波数の高周波
電界を印加し、±18MHzの周波数変調を行うと、ピッチ
dが9〜18μmの干渉縞の回折格子が発生する。この縞
の時間的変化によって光走査ビームが回折される。
ホログラム面内でX方向に(第1のホログラムの移動
方向)垂直な方向をY方向とし、第1のホログラム110
及びこれと距離L離れた固定された第2のホログラム板
112として、空間周波数分布fx,fyが次式 fxλ=Asinωt+B,fyλ=0 [第1のホログラム110] fxλ=x2/F2,fyλ=y2/F2 [第2のホログラム112] で表されるものを用いる。
今、第1のホログラム110に垂直に平面波ビームを入
射すると、平面波の走査ビームが出射される。このビー
ムは第2のホログラム板112によって回折され、走査面1
20上に収束する。第1のホログラム110によって回折さ
れた出射ビームは角度θ=sin-(Asinωt+B)だけ
偏向される。この出射ビームは、第2のホログラム板11
2上の位置Ltanθに角度θで入射し、第2のホログ
ラム板112から角度θで出射される。
ここで、 sinθ=x2/F2−sinθ =Ltanθ1/F2−sinθ =Ltan{sin-(Asinωt+B)} /F2 -(Asinωt+B) である。
波長ずれに対して良好な条件は、式(27)より Δφ=Wsinθ<(1/4)(λ2/Δλ) である。
故に、 |Ltan{sin-(Asinωt+B)}/F2 −(Asinωt+B)|<(1/4W)(λ2/Δλ) となる。
sinθが小さい場合は、上式の左辺は|(L/F2
1)sinθ1MAX|となる。ここでθ1MAXは5゜程度であ
る。
ここで、光源114として中心波長が780nm、波長ずれが
5nmの半導体レーザを用い、入射ビーム径Wを5mmとする
と、 (1/2W)(λ2/Δλ)=0.012 となる。従って、L/F2=1±0.14とすればよい。一例と
して、L=100mmとしてF2=110mmの光ビーム走査装置を
構成したところ、波長ずれに影響されない光ビーム走査
装置を得ることができた。
第29図には、1つの第1のホログラムを使用する実施
例を示したが、第1のホログラムを2つ以上多段階に配
置することもできる。
〔第6の実施例〕 第30図には、更に好適な構成として、走査ビームのフ
ォーカスぼけを防止するため、前記した第5の実施例の
前段で且つ発散光源の後に収束レンズ116及び拡大ホロ
グラムレンズ118を配置することによって平行光を形成
し、これを入射ビームとした例を示す。
第5の実施例では、平行光を収束するため走査ビーム
の中心と端とで光路差Δφを生じている。この値は、F2
=110mmの場合には、110μmとなる。しかし、許容値は
Δφ<(1/4)(λ2/Δλ)=30μmであるため走査ビ
ームにフォーカスぼけが生じる。
本実施歩ではこの差80μmを補正することができる。
一例として、球面の収束レンズ116の焦点距離を10mmと
し、半導体レーザ114をレンズから11mmの距離に配置す
ると、焦点距離110mmの収束波が得られる。拡大ホログ
ラムレンズ118の焦点距離を110mmとして、この収束波を
ほぼ平行な波に変換すると、前述の光路差を打ち消すこ
とができる。その結果、フォーカスぼけのない走査ビー
ムを得ることができる。
〔第7の実施例〕 第31図に、第6の実施例で用いた音響光学素子の代わ
りに、第1のホログラム110として液晶素子を用いた場
合を示す。光源114と第1のホログラム110との間には、
拡大ホログラムレンズ118及び収束レンズ116が配置され
ている。
ピッチ0.5μmの周期を持つ櫛形透明電極に電界を印
加すると、液晶の内部に位相差が生じるため、ホログラ
ムが形成される。印加電界を変化させることによって縞
の無い状態とピッチが0.5μm及び1μmの回折格子を
作ることができる。光源として半導体レーザ114を入射
し、第2のホログラム板112で回折させることによって
波長ずれに影響されない、例えば光スイッチングを実現
することができる。尚、第31図には、1つの第1のホロ
グラムを使用する実施例を示したが、第1のホログラム
を2つ以上多段階に配置することもできる。
第32図に、第1のホログラムとして反射型の液晶素子
を使用する例を示す。
第7の実施例にて使用した液晶素子の代わりに、電気
光学結晶、例えばLiNbO3、SrxBa(1-x)NbO3、KDP、GaA
s、ZnO、LiTaO3から第1のホログラムを構成することに
よって、走査ビームを回折させることもできる。また、
第1のホログラムとして音響光学素子、液晶素子あるい
は電気光学結晶を使用することにより、第1のホログラ
ムにおける走査ビームの回折を電気的に制御することが
できる。
したがって、第1のホログラムを機械的に移動させる
よりも高速で走査ビームを走査させることができるだけ
でなく、光走査装置の小型化が図れ、可動部分がないた
め光走査装置の機械的性能の劣化を招くこともない。
第23図に示した光ビーム走査装置に基づき、本発明の
光ビーム走査装置の第2の態様及び第3の態様を以下具
体的に説明する。
第1のホログラム110は平板状で収束波を発散波に変
換する。第2のホログラム112も平板状であるが発散波
を収束波に変換する。第1のホログラム110を第2のホ
ログラム112に対して相対的に移動させる。第1のホロ
グラム110の移動方向をX方向とすると前述の解析に従
って、次の諸式が成立するように第1及び第2のホログ
ラムを形成することによって、波長ずれに対して走査ビ
ーム位置が変化しない光ビーム走査装置を得ることがで
きる。
k(δ)=k0−(3/8)(1−k0 2)(1−2k0)δ k1=−(3/8)(1−k0 2)(1−2k0)δ b0=L/(1−2k0) a(δ)=L/k(δ) sinβ=k(δ)sinδ W=Ltanδ+b0tanβ ここで、第1のホログラムに光が垂直に入射するもの
とし、第1のホログラムの移動に伴って出射波の回折角
度δが時間と共に変化することとなる。
第25図(B)に、k0をパラメータにした場合のk1,b0
の所要値及びδが35゜の場合の第2のホログラムの回折
角β、及び走査距離Wについて設計例を示した。
また、平面結像性を得るために、ディスクからの出射
角度δが0゜と35゜で結像距離がほぼ同じになるよう構
成例を第25図(C)に示した。
尚、設計においては、次式を用いた。
1/a(δ)=k(δ)/L=(k0+k1δ)/L sinβ=k(δ)sinδ W=Ltanδ+b0tanβ b0=L/(1−2k0) 本発明によれば、波長変動あるいは波長分散性を有す
る光源に対しても走査ビーム位置ずれあるいは走査ビー
ムのフォーカスずれやフォーカスぼけのない光走査装置
を得ることができる。また、波長ずれを補正するだけで
なく、平面結像性を有する光ビーム走査装置を得ること
ができる。本発明の光ビーム走査装置は安価な半導体レ
ーザあるいは発光ダイオードを使用できるため、光ビー
ム走査装置が安価に製造可能になる。また、ホログラム
は量産複製ができるため、従来のポリゴンスキャナに比
べて安価な光ビーム走査装置を得ることができる。本発
明はレーザプリンタ用スキャナ、POSスキャナ、光ヘッ
ド、3次元形状検査装置、光スイッチなどに応用でき
る。
〔第3の発明〕 前記した第1の発明は、入射光から結像面までの光束
内の周辺光路長を等しくする点に特徴を有し、この構成
とすることにより走査線の位置ずれ補償を行なってい
る。
従って、第33図及び第34図に示されるように、光源部
の半導体レーザからの発散光をコリメータレンズ31で、
並行光にし、シリンドリカルレンズ32で、副走査方向で
収束し、主走査方向は並行光とした場合(又は主走査方
向も収束した場合)には、入射波の副走査方向の焦点
を、ホログラム回転体10上に持ってくる必要がある。
しかしながら、第1の発明では、次の問題が発生する
おそれがある。
入射光から結像面4aまでの光束内の周辺光路長を等し
くさせるには、定置ホログラム板20の回折角を小さくす
る必要があり、例えば、0.5゜程度とせざるを得ず、空
間周波数(単位当たりの干渉縞の本数)が低く、回折効
率が悪く、結像面4aでの光パワーが弱くなる。
回折角が小さい所謂イン・ライン型のホログラムは、
ホログラムの作成において、参照波と物体波とを近づけ
る必要があり、光露光では、極めて難しい。
回折角が小さいと、高次回折光の分離が困難となり、
不要な光が混在してしまう。
本第3の発明は上記の問題点に鑑み、入射光から結像
面4aまでの光束内の周辺の光路長を等しくするようにし
ても、定置回折格子板の回折角を大きくすることができ
る光ビーム走査装置を提供することを目的とするもので
ある。
第35図は本第3の発明の原理を説明するための図であ
る。
本第3の発明では、光源部201と、回折格子を記録し
た回転体202と、この回転体202と走査面204との間に設
けられ、回折格子を記録した固定板203とを有し、上記
光源部201からの入射光を、回転体202の回折格子で回折
するとともに、回転体202の回転により、回折光を走査
し、固定板203で回折して、走査面204を光走査する光ビ
ーム走査装置において、走査方向と直交する方向におい
て、回転体202に入射する入射光の収束位置を、回転体
面より結像面側又は入射光側とし、固定板203が回転体2
02からの回折光を回折して、入射光から走査面204まで
の光束内の周辺の光路長を等しくしたことを特徴とする
ものである。以下、具体的な実施例について説明する。
〔第1の実施例〕 第36図は、本第3の発明における第1の実施例を示す
構成図である。同図において、半導体レーザ210の発散
光は、コリメータレンズ211により、並行光とされ、シ
リンドリカルレンズ212により、副走査方向Yで収束す
る。ここで、一方の光路長R1+R2+R3と、他方の光路長
R1′+R2′+R3′とを等しくする条件において、定置ホ
ログラム板203に回折角を持たせるには、光路長R3と、R
3′との長さに差を持たせれば良い。このためには、そ
の差だけ、光路長R1+R2と、光路長R1′+R2′とに差を
持たせる必要がある。
そこで、本実施例では、走査方向と直交する方向にお
いて、ホログラム回転体202に入射する入射光の収束位
置を、ホログラム回転体面より結像面側とし、光路長R1
+R2と、光路長R1′+R2′とに差を持たせて、定置ホロ
グラム板203でホログラム回転体202からの回折光を大き
く回折して、入射光から走査面204aまでの光束内の周辺
の光路長を等しくするようにした。具体的には、このシ
リンドリカルレンズ212を、第34図の位置より、ホログ
ラム回転体202側に移動することにより、焦点位置は、
ホログラム回転体202より結像面側、即ち奥側のM1に設
定できる。
従って、入射光である収束球面波は、ホログラム回転
体202で回折され、途中で収束した後、発散して、定置
ホログラム板203に入射する。
この時、ホログラム回転体202から中心M1の参照球面
までの光路長R1,R1′は、R1<R1′となり、ホログラム
回路体202から定置ホログラム板203までの光路長R2,
R2′は、R2<R2′となるから、定置ホログラム板203か
ら中心M2(結像面204a)の参照球面までの光路長R3,
R3′は、R3<R3′とすることができる。
従って、定置ホログラム板203から出射する走査ビー
ムを曲げる必要があり、このため、定置ホログラム板20
3の回折角を大きくでき、イン・ライン型のホログラム
から、オフ・アクシス型のホログラムになり、回折効率
を大きくできる。
ここでは、焦点位置M1を、ホログラム回転体202によ
り結像面側にしているため、定置ホログラム板203の回
折方向は、正の方向、即ちホログラム回転体202の回折
方向と同一方向にする必要がある。
このようにして、半導体レーザ210の温度変動に伴う
波長変動(中心波長の変動、マルチモードの分布変動)
による走査線の位置変動の条件を満たしつつ、定置ホロ
グラム板203の回折角を大きくでき、結像面での光パワ
ーの減少を防止し、ホログラム板の製作を容易とし、不
要高次回折波の混在を防止できる。
第37図は本発明の第1の実施例定置ホログラム板の作
成説明図である。
同図に示すように、定置ホログラム板203は、物体波
(球面収差波)と、参照波の干渉により、作成する。こ
の物体波と参照波により作成されるホログラムの位相分
布Φは、物体波の位相をΦ、参照波の位相をΦ
すると、下記(61)式で示される。
Φ=Φ−Φ …(61) この時、ホログラム回転体202の回折波は、円筒球面
波であるから、参照波の位相Φは、点Z0を中心とする
球面波と円筒波の位相差で示され、下記(62)式で示さ
れる。
但し、k2は、再生波の波数、Xは主走査方向の座標、
Yは副走査方向の座標、Zは主走査方向と副走査方向に
直交する方向の座標である。
一方、物体波は、ホログラム回転体202からの出射波
が、走査中心で当たる定置ホログラム板203の中心軸A
を中心とする球面収差波であり、軸Aから外側に移るに
つれてより内側に曲がる所謂「正の球面収差波」であ
り、物体波の位相Φは、下記(63)式で示される。
Φ=k2〔C1・(X2+Y2)+C0・Y〕 …(63) 但し、C0,C1は定数である。
従って、ホログラムの分布位相Φは、下記(64)式
となる。
これにより、X(主走査)方向、Y(副走査)方向の
物体波の方向余弦fx,fyは、ホログラムの分布位相Φ
を、X,Yで偏微分したものであるから、下記(65)式、
(66)式となる。
従って、中心軸P1,P2,P3,P4から定置ホログラム板203
にあたる点Q1,Q2,Q3,Q4までの光路長〔PQ〕が、どの点
においても同一の1/2C1であるようにするのが最適であ
る。
ここで、(62)の式でのC0・yの項により、Y(副走
査)方向に、回折角を持たせることができる。
第38図,第39図は本第3の発明の第1の実施例による
効果を示す走査ビームの強度分布図であり、第38図に半
導体レーザの波長がシングルであるときの波動光学的な
走査ビーム形状を示し、第39図に半導体レーザの波長が
マルチモードであるときの波動光学的な走査ビーム形状
を示す。
第36図において、ホログラム回転体202と定置ホログ
ラム板203との距離を、223mm、定置ホログラム板203と
結像面204aまでの距離を、265mmとした場合に、ホログ
ラム回転体202から収束点M1までの光軸上の距離を、35.
5mmとした。
このようにすると、半導体レーザ210の波長変動によ
る位置ずれを補償するための定置ホログラム板203の出
射角は、14.4゜となり、回折角を大きくでき、高次光の
分離も容易となる。
この適切な値において、直線走査誤差は、±0.1mm以
内、等速走査誤差は、0.3%以内の良好な直線走査が得
られた。
この時、半導体レーザ10の波長が、シングルモードで
ある時の走査中心、走査位置146mmでの走査ビームの強
度分布は、第38図(A),(B),(C)に示す通りで
ある。
これに対し、半導体レーザ210の波長が、マルチモー
ドである時、例えば、マルチモード幅が、2nmと非常に
大きく、且つパワー比が中心1に対して、0.6と非常に
大きい場合を、波長変動のある例として、計算した。
実際の半導体レーザ210は、これよりはるかに中心に
集まったスペクトル特性である。
この時の走査中心、走査位置73mm、走査位置146mmで
の走査ビームの強度分布は、第39図(A),(B),
(C)に示すものが得られた。
この結果から、波長変動のある例としたマルチモード
分布でも、シングルモードの場合と変わらない走査ビー
ム強度分布が得られ、半導体レーザ210の波長変動の影
響は、完全に補償されていることが判った。
このように、半導体レーザ210の温度変動に伴う波長
辺変動(中心波長の変動、マルチモードの分布変動)に
よる走査線の位置変動の条件を満たしつつ、定置ホログ
ラム板203の回折角を大きくでき、結像面での光パワー
の減少を防止し、ホログラム板の製作を容易とし、不要
高次回折波の混在を防止できる。
〔第2の実施例〕 第40図は本発明の第2の実施例構成図である。
第40図において、第36図で示したものと対応する構成
については、同一の記号で記してある。本実施例では、
走査方向と直交する方向において、ホログラム回転体20
2に入射する入射光の収束位置を、ホログラム回転体面
よりも入射光側とし、光路長R1+R2と光路長R1′+R2
として差を持たせて、定置ホログラム203でホログラム
回転体202からの回折光を大きく回折して、入射光から
走査面204aまでの光束内の周辺の光路長を等しくするよ
うに構成したものである。
半導体レーザ201の発散光は、コリメータレンズ211に
より、並行光とされ、シリンドリカルレンズ212によ
り、副走査方向Yで収束する。このシリンドリカルレン
ズ212を、第34図の位置より、半導体レーザ210側に移動
することにより、焦点位置は、ホログラム回転体202よ
り入射光側、即ち手前のM1に設定できる。
従って、入射光である収束球面波は、途中で収束した
後、発散してホログラム回転体202で回折され、定置ホ
ログラム板203に入射する。
この時、ホログラム回転体202から中心M1の参照球面
までの光路長R1,R1′は、R1<R1′となり、ホログラム
回転体202から定置ホログラム板203までの光路長R2,
R2′は、R2<R2′となるから、定置ホログラム板203か
ら中心M2(結像面204)の参照球面までの光路長R3,R3
は、R3<R3′とすることができる。
従って、定置ホログラム板203から出射する走査ビー
ムを曲げる必要があり、このため、定置ホログラム板20
3の回折角を大きくでき、イン・ライン型のホログラム
から、オフ・アキシス型のホログラムになり、回折効率
を大きくできる。
ここでは、焦点位置M1を、ホログラム回転体202より
入射光側にしているため、定置ホログラム板203の回折
方向は、負の方向、即ちホログラム回転体202の回折方
向と逆方向にする必要がある。
このようにしても、半導体レーザ210の温度変動に伴
う波長変動(中心波長の変動、マルチモードの分布変
動)による走査線の位置変動の条件を満たしつつ、定置
ホログラム板203の回折角を大きくでき、結像面での光
パワーの減少を防止し、ホログラム板の製作を容易と
し、不要高次回折波の混在を防止できる。
尚、上述の実施例に他に、本発明は、次のような変形
が可能である。
光ビーム走査装置の適用な電子写真印刷装置で説明し
たが、レーザ描画装置、レーザ検査装置等にも適用でき
る。
回折格子をホログラムで説明したが、他の回折格子で
構成することもできる。
ホログラム回転体を、ディスク形状で説明したが、ド
ラム形状等他のものを適用できる。
収束位置の変更を、シリンドリカルレンズ212の位置
変更により説明したが、シリンドリカルレンズ212の焦
点距離を変えても良い。
以上本発明を実施例により説明したが、本発明の主旨
の範囲内で種々の変形が可能であり、これらを本発明の
範囲から排除するものではない。
以上説明したように、本第3の発明によれば、走査方
向と直交する方向において、ホログラム回転体202に入
射する入射光の収束位置を、回転体面より結像面側又は
入射光側とし、光路長R1+R2と、光路長R1′+R2′とに
差を持たせて、定置ホログラム板203でホログラム回転
体202からの回折光を大きく回折して、入射光から走査
面204までの光束内の周辺の光路長を等しくするように
したので、半導体レーザ210の温度変動に伴う波長変動
による走査線の位置変動の条件を満たしつつ、定置ホロ
グラム板203の回折角を大きくでき、結像面での光パワ
ーの減少を防止できる。
また、定置ホログラム板203の回折角を大きくできる
ので、回折格子板の製作を容易とし、安価に安定に提供
できると共に、定置ホログラム板203の回折角を大きく
できるので、不要高次回折波の混在を防止できる。
〔第4の発明〕 光ビーム走査装置をレーザプリンタ等に適用するに
は、走査ビームが感光ドラム上で常に一定の速度で走査
する必要がなる。このため、定置ホログラム板には等速
補正機能が付与されている。第1の発明における定置ホ
ログラム板の等速補正機能は、第41図に示すように、ホ
ログラム回転体の等角速度走査による光ビームの走査速
度が、実線で示すように、中心から走査端に行くにつ
れ、速くなることから、第33図に示すように、中心から
走査端に行くにつれ、回折角を大きくして、中心に向か
うように回折して、各走査位置での走査速度を一定のV0
(第41図(A)参照)とするものである。
このため、第41図(B),(C)に示すように、定置
ホログラム板20の干渉縞分布を作成する物体波は、球面
収差波である必要があり、更に結像面4でのビーム口径
を、主走査方向と副走査方向とで同一とするため、物体
波の収差量は、主走査方向と副走査方向で同一としてい
た。
しかしながら、第1の発明では次の問題が生ずるおそ
れがある。
装置の小型化を実現するには、ホログラム回転体10か
ら結像面4までの光路長を短くする必要があり(第1図
参照)、ホログラム回転体10と定置ホログラム板10との
光路長を小さくすることが考えられる。
この時、ホログラム回転体10の走査幅をそのままとす
ると、結像面4での主走査幅が小さくなるので、ホログ
ラム回転体10の走査幅を大きくする必要があり、このよ
うにすると、定置ホログラム板20への入射角が増大し、
同一の空間周波数では、回折光を走査中心に戻しすぎ、
第41図(A)の点線に示すように、等速性がマイナス方
向に劣化してしまう。
本第4の発明は、光路長を小さくしても、等速性が劣
化せず、しかもビーム収差の生じない光ビーム走査装置
を提供することを目的とするものである。
〔一実施例〕
第42図は本発明の一実施例構成図(副走査方向)、第
43図は本発明の一実施例構成図(主走査方向)、第44図
は本発明の一実施例定置ホログラム板の説明図である。
第42図の副走査方向において、半導体レーザ310の発
散光は、コリメータレンズ311により、並行光とされ、
X側シリンドリカルレンズ312を介し、Y側シリンドリ
カルレンズ313により、副走査方向Yでホログラム回転
体302上で収束し、ホログラム回転体302で回折され、定
置ホログラム板303入射し、回折、収束され、感光ドラ
ム304の結像面304aに収束する。
一方、第43図の主走査方向では、半導体レーザ310の
発散光は、コリメータレンズ311により、並行光とさ
れ、X側シリンドリカルレンズ312で収束され、Y側シ
リンドリカルレンズ313を介し、主走査方向Xでホログ
ラム回転体302の先のM1で収束され、ホログラム回転体3
02の回折走査され、定置ホログラム板303に入射し、回
折、収束され、感光ドラム304の結像面304aに収束す
る。
この定置ホログラム板303は、主走査方向と副走査方
向の物体波の方向余弦の変化率が異なっている。
このため、定置ホログラム板303の干渉縞を作成する
物体波が、従来では、等方な球面波であったが、本発明
では、第44図(A),(B)に示すように、主走査方向
と、副走査方向との収差量を異ならしめており、各々の
方向では、どの場所でも、光軸からホログラム面までの
距離が等しい収差として、等速走査を実現している。
この理由は、従来技術では、ホログラム回転体302と
定置ホログラム板303との光路長を小さくし、ホログラ
ム回転体302の走査幅を大きくすると、定置ホログラム
板303の空間周波数が高いため、回折光を走査中心に戻
すため、等速性がマイナスに劣化する。
そこで、主走査方向の空間周波数を下げるため、第44
図(B)の主走査方向の収差量を決定するどの場所で
も、光軸からホログラム面までの距離を等しい長さF1と
し、長さF1が、第44図(A)の副走査方向の等しい長さ
F2より長くする。
即ち、副走査方向において、光軸からホログラム面ま
での距離は、下記(71)式を満たす。
P1Q1=P2Q2=P3Q3・・・・・=F2 …(71) 又、主走査方向において、光軸からホログラム面まで
の距離は、下記(72)式を満たす。
P1′Q1′=P2′Q2′=P3′Q3′・・・・・=F1 …(72) そして、この距離F2,F1は、下記(73)式の条件とす
る。
F1>F2 …(73) このようにすると、定置ホログラム板303の主走査方
向の空間周波数が低くなり、等速性の過剰補正がなくな
る。
このような定置ホログラム板303に記録される上式を
満足する物体波の位相Φ(X,Y)は、下記(74)式で
示される。
Φ(X,Y)=k2・〔C1・X2+C2・Y2+C0・Y〕 …(74) ここで、X,Yは、それぞれ定置ホログラム板303の走査
中心を原点とする主走査方向、副走査方向の座標であ
り、kには、再生波の波長λの波数である。
(74)式で判るように、C0・Yは、オフ・アキシスの
ための修正項であるから、物体波の位相としては、X,Y
に関し、第44図(D)に示すように、楕円となっている
ことが必要であり、第44図(C)に示すように、従来の
等方球面波による円とは異なる。
尚、この時の参照波の位相Φは、点Z0を中心とする
球面波と円筒波の位相差で示され、下記(75)式で示さ
れる。
但し、Zは主走査方向と副走査方向に直交する方向の
座標である。
従って、物体波の主走査方向の方向余弦fx、副走査方
向の方向余弦fyは、(74)式を各々偏微分したものであ
るから、各々下記(76)式、(77)式となる。
(76)式、(77)式を比較すると、(73)式の条件か
ら、主走査方向の物体波の方向余弦fxの変化率は、副走
査方向の物体波の方向余弦fyの変化率より小さく、主走
査方向の空間周波数fxを小さくできる。
このように、距離をF1に変えると、結像面304aでの、
主走査方向と副走査方向とのビーム結像距離が異なり、
この補正が必要である。
第43図に示すように、副走査方向では、定置ホログラ
ム板303が、パラメータF2の時に、結像距離Lで結像す
るものとすると、主走査方向で、パラメータF1で、結像
距離Lで結像するには、ホログラム回転体302から出射
した発散波の焦点距離d1は、周知の結像式により、式
(78)式で得られる。
1/d1=1/F1−1/L …(78) ここで、ホログラム回転体302の位置は、副走査方向
の結像条件の関係から、変えられないので、入射波の入
射焦点距離d0を調整する。
即ち、X側シリンドリカルレンズ312により、入射光
の焦点距離d0を調整し、ホログラム回転体302の先に、
入射収束点M1を設定すると、ホログラム回転体302の出
射波点位置M2は、定置ホログラム板303から距離d1とな
り、主走査方向でも、パラメータF1で、結像距離Lで結
像し、主走査方向と副走査方向とのビーム口径の差を補
正できる。なお通常はX側シリンドリカルレンズ312は
省略することができ、X方向はコリメートLD間の位置調
整で行うことが可能である。
次に、具体例で説明すると、ホログラム回転体302と
定置ホログラム板303との光路長L1を234mmを短くし、定
置ホログラム板303と結像面304aとの光路長Lを、276mm
として、F1,F2を279mmとした。
この時、適切なパラメータを選ぶことにより、50ミク
ロン以内の直線で、収差の少ないビームが得られるが、
等速性は−1.4%と大きかった。
そこで、F1をF2より大きくし、F1を356mm、F2を226mm
としたところ、L1が273mm、L2が226mmとなり、総合光路
長は変わらないが、直線性が50ミクロン以内で、ビーム
収差が無く、等速性は0.6%と小さくなり、実用上十分
な特性を得た。
尚、(74)式では、物体波の位相の定数k2は、再生波
の波長λの波数としたが、この波数を、再生波の波数
と異ならせることもできる。
これは、再生波に、半導体レーザ310を用いた場合、
波長λが780nmであり、高い回折効率を持つホログラ
ム材料の波長感度は、この波長より短い波長域にあるこ
とから、ホログラム作成は、波長の短いレーザ光源を用
いる必要があり、例えば、波長λが488nmのアルゴン
レーザを用いる。
このため、物体波の波長は、λで、再生波の波長
は、λとなるから、物体波の位相を変更する必要があ
る。
そこで、作成波長λの波数をk1とし、再生と作成の
波長比をS(=λ2)とすると、物体波の位相Φ
(X,Y)は、下記(79)式とすれば良い。
従って、半導体レーザ310と異なるホログラム作成波
長λの波数k1の時は、(74)式に基づいて適切に選ん
だF1とF2を波長比倍することにより、物体波の距離F1,F
2が求まる。
このようにして、ホログラム回転体302から結像面304
aの距離を短くして、小型化しても、等速走査を実現
し、光ビーム収差のない光走査が実現できる。
〔他の実施例〕
上述の実施例の他に、本発明は、次のような変形が可
能である。
光ビーム走査装置の適用を電子写真印刷装置で説明し
たが、レーザ描画装置、レーザ検査装置等にも適用でき
る。
回折格子をホログラムで説明したが、他の回折格子で
構成することもできる。
ホログラム回転体を、ディスク形状で説明したが、ド
ラム形状等他のものを適用できる。
前述の例では、等速性がマイナス方向に劣化する場合
で説明したが、プラス方向に劣化する場合には、F1をF2
より小とし、主走査方向の空間周波数の変化率を副走査
方向の空間周波数の変化率より大きくすれば良い。
以上説明したように、本発明によれば、次の効果を奏
する。
定置ホログラム板303の主走査方向の物体波の方向余
弦の変化率を、副走査方向の物体波の方向余弦の変化率
と異ならしめたので、光路長を短くしても、等速走査が
実現できる。
このようにして、主走査方向と副走査とで、ビーム結
像距離が変化しても、ホログラム回転体302に入射する
入射光を、主走査方向と副走査方向とで焦点距離が異な
るように構成して、ビーム収差量の変化を補正でき、ビ
ーム収差をなくすことができる。
〔第5の発明〕 本発明も前記した第4の発明と同様、光路長を小さく
しても、等速性が劣化せず、しかもビーム収差の生じな
い光ビーム走査装置を提供することを目的とするもので
ある。
〔一実施例〕
第45図及び第46図は本第5の発明の一実施例を示す図
である。第45図において、歪曲収差を少なくするには、
凸レンズ光学系で知られているように、焦点距離Fを大
きくすれば良く、ホログラムで実現するには、物体波の
点光源位置とホログラム面からの距離を長くすれば良い
ことになる。即ち、同図における物体波の球面波の点光
源位置をD0からD0′とすれば良い。
しかし、このように参照球面波の距離Fを大きくする
と、中央部の結像位置も遠くなるため、歪曲収差を小さ
くできるものの、ゼロとすることはできない。
この時、例えば前記の(62)式の参照波の位相Φ
(X,Y)は、下記(81)式で示される。
即ち、参照波の位相は、(81)式の前項の球面波位相
と、後項の円筒波の位相差で示され、主走査方向では参
照波はほぼ垂直平行光に等しい。k2は再生波長λの波
数(2π/λ)であり、作成波長λの波数k1と同一
であり、ホログラム光軸からホログラムディスク2面上
までの距離と同一のD0Oを球面波光軸とする波面を含ん
でいる。
そこで、中心の焦点距離はF(D0O)で、端に行くほ
ど焦点距離が増加する非球面レンズをホログラムで実現
すれば良いから、ホログラムを作成する参照波の位相Φ
を下記(82)式のようにする。
(82)式と、前記の(81)式との違いは、再生波長λ
波数k2の代わりに、作成波長λの波数k1を使用した
ことにある。
この作成波長λを、λより長くすると、波数k
1は、k2より小さくなり、参照波の位相は小さくなる。
従って、定置ホログラム板403には、ホログラム回転
体402からの回折波が該定置ホログラム板403に入射する
波面とは、異なる波面が記録されることになる。
このため、再生時に再生波長λを使用すれば、中心
の焦点距離はF(D0O)で、端に行くほど焦点距離が増
加する非球面レンズをホログラムで実現できる。
これにより、第46図(A)に示すように、走査中心の
収束位置は変わらず、走査端の収束位置が、結像面404a
側に移動し、湾曲収差のない走査ビームが得られ、第46
図(B)に示すように、走査端のビームが外側に移動す
るため、等速走査も実現できる。
(82)式の位相式では、円筒波の項の係数もk1として
いるが、球面波のみが上述の収差補正と、等速走査に機
能するため、円筒波の項の係数をk2のままとして、下記
(83)式の位相式を用いても、同一の機能を果たす。ま
た参照波の波面をホログラム回転体402から定置ホログ
ラム板403に入射する波面と異ならせても同様に効果が
得られる。この時の参照波の位相は(82)式で参照波の
点光源位置D0を変えればよく、Z0をZ0′とすればよい。
具体例で示すと、光路長が500mmの時に、(81)式の
位相式による定置ホログラム板403を用いた場合には、
ビーム収差半径は、80ミクロンと大きく、等速性は、0.
5%以内であり、直線性は、50ミクロン以内であった。
これに対し、(82)式の位相式による定置ホログラム
板403を用いた場合は、ビーム収差半径は、20ミクロン
と大幅に減少し、等速性も、0.4%以内と低減し、直線
性は、50ミクロン以内を保持した。
この時の波長比(λ1)1.02とした。
こうして、必要な位相が得られれば、電子ビームやレ
ーザによる描画又は補助光学系を用いて、ホログラムが
作成でき、このホログラムの型を取り、定置ホログラム
板403を複製できる。
このように、定置ホログラム板の干渉縞を作成する参
照波の位相を変化することにより、非球面レンズのホロ
グラムとすることにより、光路長を短くしても、湾曲収
差をなくすことができ、等速走査性を向上できる。
尚、上述の実施例の他に、本発明は、次のような変形
が可能である。
光ビーム走査装置の適用を電子写真印刷装置で説明し
たが、レーザ描画装置、レーザ検査装置等にも適用でき
る。
ホログラム回転体を、ディスク形状で説明したが、ド
ラム形状等の他のものを適用できる。
参照波、球面波、円筒波の点光源位置を、Y軸(副走
査方向)に移動しても良い。
以上説明したように、本発明によれば、定置ホログラ
ム板が、球面波の波数が再生波長の波数と異なる位相を
有する波により作成された干渉縞分布を有するので、非
球面レンズを構成し、光路長を短くしても、湾曲収差を
なくし、収差のない走査ビームか得られ、又、非球面レ
ンズのため、光路長を短くしても、等速走査が実現でき
る。
〔第6の発明〕 前記した第1乃至第5の発明は、ホログラム回転体と
低ホログラム板とを具備した構造を有している。しかる
に、上記各発明においては、ホログラムを構成する干渉
縞の形成方法については詳述されているものの、ホログ
ラム回転体、定置ホログラム板の形状に係る最適条件に
ついては何ら考慮されていなかった。
そして、一般に定置ホログラム板の走査方向に対する
長さは光ビームが走査する距離よりも小さく設定されて
いた。これは、定量ホログラム板が小さければ小さい
程、その作成が容易だったことによる。
しかるに、定置ホログラム板の長さと光ビームが走査
距離に着目し、定置ホログラム板の長さに対して光ビ
ームの走査距離が長い場合、及び定置ホログラム板の
長さに対して光ビームの走査距離が短い場合の双方につ
いて実験を行い、各種特性を調べたところ、第47図及び
第48図に示す結果を得た。第47図は定置ホログラム板の
長さに対して光ビームの走査距離が長いの場合を示し
ており、第48図は定置ホログラム板の長さに対して光ビ
ームの走査距離が短いの場合を示している。
実験条件としては、光ビーム走査装置の構成としては
第1図に示される基本構成を採用し、またホログラム回
転体10と定置ホログラム板20との離間距離を275mm、定
置ホログラム板20と感光ドラム3との離間距離を391m
m、この時に必要な走査幅を291mmとし、また上記の実
験においては位置ホログラム板20の主走査方向に対する
長さを244mm(走査幅の291mmよりも短い)とし、上記
の実験においては定置ホログラム板20の走査方向に対す
る長さを344mm(走査幅の291mmよりも長い)とし、夫々
についてコンピュータを用いて最適設計を行った。
第47図に示す結果より、定置ホログラム板20の長さに
対して光ビームの走査距離が長い場合には、等速性及び
ビーム収差が大きくなっており、良好な光ビーム走査を
行うことができないことを示している。
これに対して、第48図に示す結果より、定置ホログラ
ム板20の長さに対して光ビームの走査距離が短い場合
(換言すれば、光ビームの走査距離よりも定置ホログラ
ム板20が短い場合)には、等速性、ビーム収差、及び主
走査方向に対する波長変動による位置変動は小さな値と
なっており、レーザプリンタ等に十分に採用できる値と
なっている。
したがって、第49図に示す如く、定置ホログラム板20
の主走査方向の長さX1を光ビームの走査距離X2よりも短
く設定することにより、等速性に優れ、かつ位置変動及
びビーム収差の少ない光ビーム走査を実現することがで
きる。
〔第7の発明〕 前記した第1の発明、及び第3乃至第6の発明に係る
光ビーム走査装置は、円周上に複数のホログラムレンズ
を設けたホログラム回転体を定速回転させ、レーザ光を
コリメートレンズを通してホログラム回転体に照射し、
ここで偏向されたレーザ光を定置ホログラム板を通して
結像面上に結像させる構成とされている。
しかるに、このホログラム回転体とホログラム光学系
とからなる光ビーム走査装置では、ホログラム回転体を
回転させるため、モータが必要となる。このモータは高
価であると共に回転数に上限(通常軸受けでは10,000rp
m、空気軸受けでは4〜5万rpm)があった。一方、ホロ
グラム光学系は例えばFθレンズ光学系に比して低価格
であるのでコスト面については有利であるが、高速化、
小型化については難点があった。
また、ガルバノミラーを用いる光走査装置の場合に
は、正弦波振動であるため走査周波数(例えば20kHz)
がモータ回転周波数(例えば10,000rpm=167Hz)に比べ
て大幅に高い特長がある。しかし、ミラーの振動が正弦
波モードであるため、結像面上での中央部と周辺端部と
では走査速度が変化してしまい線型走査(中央と両端と
で光走査速度が等しい)できず、ガルバノミラーの駆動
波形を鋸歯状波とし振動モードの線型領域を拡大するこ
とで、線型走査を確保することが考案され既に開発され
ている。しかしながら、この手段を用いると振動周波数
が低くなり回転ミラーに比しても走査速度が大幅に低く
なる問題(数百Hz)とガルバノ波形駆動回路を付加する
必要があり高価になる問題が避けられない。
本発明は、高速の線型走査を行い、小型かつ低価格の
光ビーム走査装置を提供することを目的とする。
〔第1の実施例〕 第50図(A),(B)は本発明装置の第1の実施例の
構成図、平面図を示す。
第50図(A)中、レーザダイオード530より出射され
たレーザ光はコリメートレンズ53により平行光とされて
ガルバノミラー532に照射される。
ガルバノミラー532は正弦波モード駆動回路533で発生
した正弦波の駆動波形によって駆動されて第51図(A)
に示す如く正弦波モードの振動を行なう。この振動周波
数は例えば20kHzである。しかし、このままでは等速走
査は実現できない。
上記ガルバノミラー532で反射されたレーザ光は第50
図(B)に示す如く、同一平面上に配置された第1ホロ
グラム534と第2ホログラム535を通して結像面536上に
結像する。
第1ホログラム534は第52図(A)に示す如く、中央
部の縞密度を略1700本/mmで両端部の縞密度を略1800本/
mmとして中央部から左右端部に向けて回折角を徐々に大
きくした逆正弦変換を行なう縞形状であり、第51図
(B)に示す光走査速度変換特性を持っている。この第
1ホログラム534を通すことによって光走査速度は第51
図(C)に示す如く結像面の中央部で略一定であるが両
端部で急に低下する特性となる。
第2ホログラム535は第52図(B)に示す如く、中央
部の縞密度を略400本/mmで両端部の縞密度を略700本/mm
として、中央部から左右中間部にかけては回折角をほと
んど変えず、左右端部で回折角を急に大きくした正接変
換を行なう縞形状であり、第51図(D)に示す光走査速
度変換特性をもっている。この第2のホログラム535を
通すことによって第1ホログラム534で外側に回折され
た光が内側に回折され、第51図(C)の特性であった光
走査速度が補正されて第51図(E)に示す如く結像面上
の中央から半分以上の領域で一定となる。このように第
1ホログラム534及び第2ホログラム535を用いることに
よって正弦波駆動によっても等速走査を行なうことが可
能となる。
〔第2の実施例〕 第53図は本発明装置の第2の実施例の構成図を示す。
同図中、第50図と同一部分に同一符号を付す。
第53図において、コリメートレンズ53を通したレーザ
光はトーションバーミラー540に照射される。トーショ
ンバーミラー540は正弦波モード駆動回路533により駆動
されて正弦波モードの振動を行なう。トーションバーミ
ラー540で反射されたレーザ光は第54図(A),(B)
の側面図、平面図夫々に示す如く立体配置された第1ホ
ログラム542と第2ホログラム543を通して結像面536上
に結像する。
第1ホログラム534は第55図(A)に示す如く、中央
部から左右端部に向けて回折角を大きくして逆正弦変換
を行なうと共に、中央部の上部延長線上に中心を持つ円
弧状として長手方向の全域で鉛直上方に向けて一定の回
折角の縞形状である。
第2ホログラム543は第55図(B)に示す如く、中央
部から左右中間部にかけて回折角をほとんど変えず、左
右端部で回折角を急に大きくして正接変化を行なうと共
に、中央部の下部延長線上に中心を持つ円弧状として長
手方向の全域で鉛直下方に向けて一定の回折角の縞形状
である。
このように、正弦波モード信号ミラーを用いること
で、振動周波数すなわち走査周波数が10〜100倍以上高
くなる。すなわち、モータ回転の場合には回転周波数
は、高価な空気軸受を用いても1KHz(5万rpm)が上限
で、走査手段としてポリゴンミラーを用いた場合にはこ
の回転数では脆性破壊の問題があり、ガラス基板製は利
用できないが、正弦波モード振動ミラーでは20kHzのも
のも市販されており、高周波数駆動できることは周知で
ある。また、ポリゴンミラーの場合、それ自身が高価で
あることと同時に、高精度のモータ(回転ジッタが0.01
%以下が所要)を必要とし、高価であり、かつその部分
が大型で重くなる問題がある。これに比べ、ガルバノミ
ラーやトーションバーミラーは小型で安価(鋸歯状波振
動ミラーは高価)であることが知られている。分解能に
関しては、ホログラム光学形を利用することで400dpi
(400ドット/インチ)や400dpiが容易に実現できる。
ところで第50図の実施例ではホログラム534の中央部
及びホログラム535の両端部夫々の縞間隔が大きく、非
回折光の割合いが大きくなり、結像面536上の各部で光
量にバラツキを生じるおそれがあるが、第53図の実施例
ではホログラム542,543夫々の各部で非回折光の割合い
は非常に小さく結像面536上の各部で光量にバラツキを
生じない。
また、第1ホログラム534,542と第2ホログラム535,5
43とを組合わせたホログラム光学系をもいているため、
レーザダイオード530の温度変化に伴い、レーザ光の波
長が変化して各ホログラムによるレーザ光の回折方向が
微小量変化しても第1ホログラムと第2ホログラマとで
回折方向の変化が互いに吸収されビーム結像位置が変動
するのを抑止できる。
上述の如く、本発明の光走査装置によれば、高速の線
型走査を行ない、装置を小型かつ低価格に構成でき、実
用上きわめて有用である。
〔第8の発明〕 本発明は、二枚のホログラム板を用いた光学的デバイ
ダに関するものである。
近年、VLSI(Very Large Scale Integrated Circui
t)の高速化に伴いVLSIに供給されるクロックは速くな
る傾向にある。また、集積化の密度も高くなるため、ク
ロック信号を各VLSI間で共通にすることが望まれてい
る。
しかるに、リード線を用いてクロックを供給する方法
では、リード線の有する容量によりクロック信号に遅延
が発生し、各VLSI間で周期が取れなくなってしまう。
これに対応するため、光信号を用いてVLSIにクロック
を供給する方法が提案されている。光信号により周期を
取る構成では、リード線のように遅延が生じないため、
周期を正確に取ることができる。この光信号の光源とし
ては、小型の利点を有する半導体レーザが一般に用いら
れ、半導体レーザからのレーザ光は光学的デバイダによ
り分割され各VLSIに設けられてフォトディテクタにレー
ザ光を照射する構成とされている。
しかるに、この半導体レーザに波長変動が生じた場
合、各VLSIに設けられたフォトディテクタに収束する収
束光の位置がずれたり、また焦点ぼけが発生し正確な周
期を取れなくなるおそれがある。
本第8の発明は、収束光の位置ずれも焦点ぼけの発生
を防止した光学素子を提供することを目的とするもので
ある。
〔一実施例〕
第56図及び第57図は、本発明の一実施例である光学素
子の構成図を示している。
各図において、600は第1のホログラムであり、また6
01は第2のホログラムである。この第1のホログラム60
0と第2のホログラム601は、対向離間した状態で構成さ
れている。また、第2のホログラム601の下方位置に
は、VLSIに配設されたフォトディテクタ602がマトリク
ス状(本実施例では6×6のマトリクス)列設されてい
る。
図示しない半導体レーザから発射されたレーザ光は、
先ず第1のホログラム600に入射し、この第1のホログ
ラム600により均等な光強度に分割される。この第1の
ホログラム600としては、例えばDamann grating等が使
用可能である。尚、入射光は収束波が最適であるが、平
行波でも可能である。
第1のホログラム600により均等な光強度に分割され
た回折光は、第2のホログラム601に照射される。第2
のホログラム601は、マトリクス状に列設されたフォト
ディテクタ602と対応したマトリクス構造(6×6マト
リクス)とされており、上記回折光はこの第2のホログ
ラム601により各フォトディテクタ602に均等に集光され
る。尚、第1のホログラム600から平行光が出射する時
は、第2のホログラム601は、レンズ近軸の移相を拡張
した位相を用いるのが良い。いま、この位相をΦ(X,
Y)とすると、このΦ(X,Y)を下式で求められる値に設
定することにより、レーザ光を個々のフォトディテクタ
素子で収束させることができる。
Φ(X,Y)=k2×(X2+Y2)/2F 但し、 X,Y:各フォトディテクタの座標 k2:定数 F:第1のホログラムからフォトディテクタに至る距離 また、第57図に示されるように、マトリクス構造のフ
ォトディテクタ602の内、任意のn地点におけるフォト
ディテクタ素子に注目し、入射光の光路長R1と、n地点
に対応する出射波の光路長R2(n)と、同じくn地点に
対応する回折波の光路長R3(n)との総和をE0とし、ま
たこのn地点に照射する光束の主軸点の光路長をE1とし
た時、その差(E0−E1)をδWm(n)とすると、 で求められるEが最小になるように最適化することによ
り、半導体レーザの波長変動に対する収束位置の変動は
小となる。これにより、フォトディテクタ602を構成す
る各フォトディテクタ素子に均一なレーザ光を配分する
ことができ、収束位置のずれの発生や、焦点ぼけの発生
を確実に防止することができる。
尚、第58図は光使用効率を増大するために、ホログラ
ムがインラインではなく軸外しになっている例を示して
おり、また第59図は第2のホログラム601とフォトディ
テクタ602との間に液晶シャッタ605を配設し、フォトデ
ィテクタ602を構成する複数のフォトディテクタ素子に
個別選択的にレーザ光を照射できるようにしたものであ
る。
〔第9の発明〕 本第9の発明は、光路長を小さくしても、等速性が劣
化せず、しかもビーム収差の生じない光ビーム走査装置
を提供することを目的とするものである。また、本発明
は光路長を小さくしても、等速性が劣化せず、しかもビ
ーム収差の生じない光ビーム走査装置の定置ホログラム
板の製造方法を提供することを目的とするものである。
第60図は本発明の原理図である。本発明は、光源部70
1からの入射光を、ホログラム回転体702で回折するとと
もに、このホログラム回転体702の回転により回折光を
走査し、定置ホログラム板703で回折して、走査面704を
光走査する光ビーム走査装置において、定置ホログラム
板703は、主走査方向をXとし、副走査方向をYとする
と、下記(91)式で示される位相分布Φを有し、且つ
上記ホログラム回転体702に入射する入射光が、主走査
方向と副走査方向とで焦点距離が異なるように構成した
ことを特徴とするものである。
また本発明は、光源部701からの入射光を、ホログラ
ム回転体702で回折するとともに、ホログラム回転体702
の回転により回折光を走査し、定置ホログラム板703で
回折して、走査面704を光走査する光ビーム走査装置に
おいて、上記定置ホログラム板703は、主走査方向をX
とし、副走査方向をYとすると、下記(92)式で示され
る位相分布Φを有し、且つホログラム回転体702に入
射する入射光が、主走査方向と副走査方向とで焦点距離
が異なるように構成したことを特徴とするものである。
また本発明は、光源部701からの入射光を、ホログラ
ム回転体702で回折するとともに、ホログラム回転体702
の回転により回折光を走査し、定置ホログラム板703で
回折して、走査面704を光走査する光ビーム走査装置の
定置ホログラム板703を製造する方法において、Y方向
の収差量の球面収差と非点収差とコマ収差とを持つ一の
波と、X方向の収差量を有し、再生波の波長と異なった
波長の球面収差と非点収差とを持つ他の波とにより定置
ホログラム板703の干渉縞分布を作成することを特徴と
するものである。
更に本発明は、光源部701からの入射光を、ホログラ
ム回転体702で回折するとともに、ホログラム回転体702
の回転により回折光を走査し、定置ホログラム板703で
回折して、走査面704を光走査する光ビーム走査装置の
定置ホログラム板703を製造する方法において、点光源
からの球面収差と楕円位相波のY方向とコマ収差とを受
け持つ一の波と、線光源波面と楕円位相波のX方向とを
受け持つ他の波とにより定置ホログラム板703の干渉縞
分布を作成することを特徴とするものである。
前記した各発明では定置ホログラム板により、結像面
でのビーム口径を、主走査方向に副走査方向とで同一と
するため、主走査方向と副走査方向との空間周波数の変
化率を同一としていたが、光路長を小さくしても、主走
査方向の等速性を保つには、主走査方向の空間周波数の
変化率をこれに合わせれば良く、物体波の位相を楕円波
とすれば良い。
このようにすると、主走査方向と副走査方向とで、ビ
ーム収差量が変化するので、ホログラム回転体702に入
射する入射光を、主走査方向と副走査方向とで焦点距離
が異なるように構成して、ビーム収差量の変化を補正す
る。
第2に、歪曲収差を少なくするには、凸レンズ光学系
で知られているように、レンズの焦点距離Fを大きくす
れば良く、ホログラムで実現するには、ホログラム面か
ら参照波の点光源位置との距離を長くすれば良いことに
なる。
しかし、このように参照球面波の距離Fを大きくする
と、中央部の結像位置も遠くなるため、歪曲収差を小さ
くできるものの、ゼロとすることはできない。
歪曲収差をゼロとするには、レンズで言えば、レンズ
中央部はそのままのFで、端の部分に行くにつれ、Fを
大きくする非球面レンズで実現でき、ホログラムでは、
作成波と再生波との違いにより実現できる。
そこで、本発明では、物体波の位相式におけるXとY
の係数をC1とC2で異ならせて、楕円位相を実現し、主走
査方向の空間周波数の変化率を下げ、走査中心への過剰
補正を防止し、等速走査を実現するとともに、回転体70
2に入射する入射光を、主走査方向と副走査方向とで焦
点距離が異なるように構成して、ビーム収差量の変化を
補正し、参照波の位相式において、係数a、bにより、
球面波の波数を再生波長の波数と異なる位相として、走
査中央から走査端に行くにつれ、Fが大きくなる特性を
持たせ、歪曲収差をゼロとした。
また本発明では、更にC0・Yを加え、定置ホログラム
板3に回折光が副走査方向に回折するオフ・アキシス特
性を持たせ、回折効率を向上し、結像面704での光パワ
ーの劣化を防止した。
また本発明では、Y方向の収差量の球面収差と非点収
差とコマ収差とを持つ一の波と、X方向の収差量を有
し、再生波の波長と異なった波長の球面収差と非点収差
とを持つ他の波とにより定置ホログラム板703の干渉縞
分布を作成するので、等速走査、湾曲収差補正の可能な
定置ホログラム板703を、露光により、容易に作成でき
る。
更に本発明では、点光源からの球面収差と楕円位相波
のY方向とコマ収差とを受け持つ一の波と、線光源波面
と楕円位相波のX方向とを受け持つ他の波とにより定置
ホログラム板703の干渉縞分布を作成するので、簡易な
露光光学系で、等速走査、湾曲収差補正の可能な定置ホ
ログラム板703を作成できる。
〔光ビーム走査装置の一実施例の説明〕
第61図は本発明の一実施例構成図(副走査方向)、第
62図は本発明の一実施例構成図(主走査方向)、第63図
は本発明の一実施例定置ホログラム板の説明図(物体
波)、第64図は本発明の一実施例定置ホログラム板の説
明図(参照波)、第65図は本発明の一実施例定置ホログ
ラム板の説明図(参照波)である。
第61図の副走査方向において、半導体レーザー710の
発散光は、コリメータレンズ711により並行光とされ、
X側シリンドリカルレンズ712を介し、Y側シリンドリ
カルレンズ713により、副走査方向Yでホログラムディ
スク702上で収束し、ホログラムディスク702で回折さ
れ、定置ホログラム板703に入射し、回折、収束され、
感光ドラム704の結像面704aに収束する。一方、第62図
の主走査方向では、半導体レーザー710の発散光は、コ
リメータレンズ711により、並行光とされ、X側シリン
ドリカルレンズ712で収束され、Y側シリンドリカルレ
ンズ713を介し、主走査方向Xでホログラムディスク702
の先のM1で収束し、ホログラムディスク702で回折走査
され、定置ホログラム板703に入射し、回折、収束さ
れ、感光ドラム704の結像面704aに収束する。
この定置ホログラム板703は、主走査方向と副走査方
向の空間周波数の変化率が異なっている。
このため、定置ホログラム板703の干渉縞を作成する
物体波が、従来は、等方な球面波であったが、本発明で
は、第63図(A)、(B)に示すように、主走査方向
と、副走査方向との収差量を異ならしており、各々の方
向では、どの場所でも、光軸からホログラム面までの距
離が等しい収差として、等速走査を実現している。
この理由は、ホログラムディスク702と定置ホログラ
ム板703との光路長を小さくし、ホログラムディスク702
の走査幅を大きくすると、定置ホログラム板703の空間
周波数が高いため、回折光を走査中心に戻すため、等速
性がマイナスに劣化する。
そこで、主走査方向の空間周波数を下げるため、第63
図(B)の主走査方向の収差量を決定するどの場所で
も、光軸からホログラム面までの距離を等しい長さF1と
し、長さF1が、第63図(A)の副走査方向の等しい長さ
F2より長くする。
即ち、副走査方向において、光軸からホログラム面ま
での距離は、下記(93)式を満たす。
P1Q1=P2Q2=P3Q3・・・・・=F2 …(93) 又、主走査方向において、光軸からホログラム面まで
の距離は、下記(94)式を満たす。
P1′Q1′=P2′Q2′=P3′Q3′・・・・・=F1 …(94) そして、この距離F2、F1は、下記(95)式の条件とす
る。
F1>F2 …(95) このようにすると、定置ホログラム板703の主走査方
向の空間周波数が低くなり、等速性の過剰補正がなくな
る。
このような定置ホログラム板703に記録される上式を
満足する物体波の位相Φ(X,Y)は、下記(96)式で
示される。
Φ=k2・〔C1・X2+C2・Y2+C0・Y〕 …(96) ここで、X、Yは、それぞれ定置ホログラム板703の
走査中心を原点とする主走査方向、副走査方向の座標で
あり、k2は、再生波の波長λの波数である。
(94)式で判るように、C0・Yは、定置ホログラム板
703からの回折光を副走査方向で曲げて、回折効率を上
げるためのオフ・アキシス項であるから、物体波の位相
としては、X、Yに関し、第63図(D)に示すように、
楕円であり、第63図(C)に示すように、従来の等方球
面波による円とは異なる。
従って、主走査方向の空間周波数fx、副走査方向の空
間周波数fyは、(96)式を各々偏微分したものであるか
ら、各々下記(97)式、(98)式となる。
(96)式、(97)式を比較すると、(95)式の条件か
ら、主走査方向の空間周波数Fxの変化率は、副走査方向
の空間周波数fyの変化率より小さく、主走査方向の空間
周波数fxを小さくできる。
このように、主走査方向の距離をF1に変えると、結像
面704aでの、主走査方向と副走査方向とのビーム口径が
異なり、この補正が必要である。
第62図に示すように、副走査方向では、定置ホログラ
ム板703が、パラメータF2の時に、結像距離Lで結像す
るものとすると、主走査方向で、パラメータF1で、結像
距離Lで結像するには、ホログラムディスク702から出
射した発散波の焦点距離d1は、周知の結像式により、式
(99)式で得られる。
1/d1=1/F1−1/L …(99) ここで、ホログラムディスク702の位置は、副走査方
向の結像条件の関係から、変えられないので、入射波の
入射焦点距離d0を調整する。
即ち、X側シリンドリカルレンズ712により、入射光
の焦点距離d0を調整し、ホログラムディスク702の先
に、入射収束点M1を設定すると、ホログラムディスク70
2の出射波点位置M2は、定置ホログラム板703から距離d1
となり、主走査方向でも、パラメータF1で、結像距離L
で結像し、主走査方向と副走査方向とのビーム口径の差
を補正できる。
尚、(96)式では、物体波の位相の定数k2は、再生波
の波長λの波数としたが、この波数を、再生波の波数
と異ならせることもできる。
これは、再生波に、半導体レーザー710を用いた場
合、波長λが780nmであり、高い回折効率を持つホロ
グラム材料の波長感度は、この波長より短い波長域にあ
ることから、ホログラム作成は、波長の短いレーザー光
源を用いる必要があり、例えば、波長λが488nmのア
ルゴンレーザーを用いる。
このため、物体波の波長は、λで、再生波の波長
は、λとなるから、物体波の位相を変更する必要があ
る。
そこで、作成波長λの波数をk1とし再生と作成の波
長比をS(=λ2)とすると、物体波の位相Φ
(X、Y)は下記(100)式とすれば良い。
従って、半導体レーザー710と異なるホログラム作成
波長λの波数k1の時は、(94)式に基づいて適切に選
んだF1とF2を波長比倍することにより、物体波の距離F
1、F2が求まる。
次に、歪曲収差を小さくするには、第64図に示すよう
に、参照波の球面波の点光源位置をD0からD0′とすれば
良いが、そのようにすると、走査中心の結像位置が遠く
なり、歪曲収差をゼロにできない。
この時、例えば前記した(62)式の参照波の位相
Φ′(X、Y)は、下記(101)式で示される。
即ち、参照波の位相は、(101)式の前項の球面波位
相と、後項の円筒波の位相の差で示され、k2は再生波長
の波数(2π/λ)であり、作成波長λの波数k1
同一であり、ホログラム光軸からホログラムディスク2
面上までの距離と同一のD0Oを、球面波光軸とする波面
を含んでいる。
歪曲収差をゼロとするには、中心の焦点距離はF(D0
O)で、端に行くほど焦点距離が増加する非球面レンズ
をホログラムで実現すれば良いから、ホログラムを作成
する参照波の位相Φ(X、Y)を、下記(102)式の
ようにする。
(102)式と、(101)式との違いは、再生波長λ
波数k2の代わりに、作成波長λの波数k1を使用したこ
とにある。この作成波長λを、λより長くすると、
波数k1は、k2より小さくなり、参照波の位相は、小さく
なる。
従って、定置ホログラム板703には、ホログラムディ
スク702からの回折波が定置ホログラム板703に入射する
波面とは、異なる波面が記録されることになる。このた
め、再生時に、再生波長λを使用すれば、中心の焦点
距離は、F(D0O)で、端に行くほど焦点距離が増加す
る非球面レンズをホログラムで実現できる。
これにより、第65図(A)に示すように、走査中心の
収束位置は変わらず、走査端の収束位置が、結像面704a
側に移動し、歪曲収差のない走査ビームが得られ、第65
図(B)に示すように、走査端のビームが外側に移動す
るため、等速走査も実現できる。
(102)式の位相式では、円筒波の項の係数もk1とし
ているが、球面波のみが歪曲収差の補正に機能するた
め、円筒波の項の係数をk2のままとして、下記(103)
式の位相式を用いても、同一の効果を果たす。
このように、等速走査補正と歪曲収差補正を果たす定
置ホログラム板703の位相分布Φ(X、Y)は、物体
波位相Φから参照波位相Φを差し引いたものとな
り、下記(104)式又は下記(105)式で示される。
第66図は本発明の一実施例スポットダイアグラム図で
ある。
上述の(105)式の位相分布を有する定置ホログラム
板703を用いた第61図、第62図の光ビーム走査装置で
は、第66図に示すような走査中心から走査端までの各位
置のビーム径が得られ、ビーム径は、60ミクロン以内に
抑えることができ、400dpiの解像度に十分適用できる。
又、等速性は、0.7パーセント以下であり、感光ドラ
ム704での直線性は、200ミクロン以下であり、半導体レ
ーザーの波長変動による走査位置の変動も極めて少ない
結果が得られた。
このようにして、ホログラムディスク702から結像面7
04aの距離を短くして、小型化しても、等速走査を実現
し、歪曲収差のない光走査が実現できる。〔定置ホログ
ラム板作成の実施例の説明〕 第67図,第68図は本発明の一実施例である定置ホログ
ラム板の作成説明図(その1)、(その2)である。定
置ホログラム板703の位相関数Φ(X、Y)は、上述
の(105)式で示されるので、定置ホログラム板703の空
間周波数(X方向fx、Y方向fy)は、(105)式を偏微
分することで得られ、下記(106)式、(107)式とな
る。
これらの波面を記録したホログラムは、電子ビームや
レーザー描画により、達成できるが、大面積であるた
め、描画に時間がかかる。又、ホログラムを補助光学系
として露光する場合、S/Nが劣化することになる。
そこで、これらの波面を発生させるS/Nの良いホログ
ラムを作成する露光光学系が必要となる。
更に、前述の位相の実現には、ホログラムの材料感度
の点から、再生波長と異なる波長で作成する必要もあ
る。
(106)式、(107)式を検討すると、2C1・Xと、2C2
・Yは、第67図(A)の光線を意味し、第63図で示した
ように、楕円位相波を示している。
次に、(106)式、(107)式の第3項において、bを
除いたものは、第67図(B)に示すように、座標(0、
Y0、Z0)の点光源からの光線を示し、これにbを掛ける
と、ホログラムのレンズを、波長を変えて再生したもの
と等しくなり、球面収差を持った波となる。
又、(106)式の第2項は、第67図(C)に示すよう
に、座標(0、0、Z0)を通過する線光源の光線を示
し、(107)式の第2項のC0は、第68図(A)に示すよ
うに、平面波を斜めに入射したものと等しく、これと他
の光線の組み合わせにより、コマ収差が発生する。
これは、第68図(B)に示すように、レンズに斜めか
ら光線を入射させるのと同一である。
従って、X方向では、第67図(C)の線光源からの波
面と、第67図(B)の点光源からの球面収差と、第67図
(A)のX方向の楕円位相波とを持った波であり、Y方
向では、第67図(B)の点光源からの球面収差と、第68
図(A)のコマ収差と、第67図(A)のY方向の楕円位
相波とを持った波であることが判る。
即ち、線光源からの波面と、点光源からの球面収差
と、X方向の楕円位相波とを持った一の波と、点光源か
らの球面収差と、コマ収差と、Y方向の楕円位相波とを
持った他の波とを作成し、2つの波の干渉により、(10
5)式の位相関数を持つ干渉縞分布が得られる。
これらの各種波面の生成は、球面収差は、第68図
(C)に示すように、例えば平凸レンズに、光線をオン
・アキシス(ON・AXIS)で入射すれば、生成でき、コマ
収差は、第68図(D)に示すように、平凸(又は平凹)
円筒(シリンドリカル)レンズに、光線を斜めから入射
するか、第68図(E)に示すように、平凸(又は平凹)
円筒(シリンドリカル)レンズに、光線を軸はずしで入
射するかのいずれかで生成できる。
更に、楕円位相波は、第68図(F)に示すように、X
方向とY方向の直交させた平凹(又は平凸)円筒(シリ
ンドリカル)レンズで生成できる。
ここで、(106)式のX方向では、分子、分母ともX
が含まれ、それぞれが相殺しあうため、変化の度合い
は、小さく、(107)式のY方向では、分子、分母とも
(Y−Y0)が含まれ、それぞれ相殺し合うが、分母に大
きく変化するXが入っているため、変化の度合いが大き
い。
そこで、定置ホログラム板703の長手方向Xに作用す
るレンズと、これに直交する方向Yに作用するレンズに
分割して、ホログラム作成光学系を設計し、変化の度合
いの小さいX方向については、簡単な光学系で実現す
る。
従って、参照側をX方向とし、線光源波面(球面収
差、非点収差が出る)、楕円位相波のX方向を、物体側
をY方向とし、点光源からの球面収差、コマ収差、楕円
位相波のY方向を実現すれば良いことになる。
ここで、球面収差は、参照側と、物体側の両方に入る
が、物体側で実現する。第69図は本発明のホログラム作
成露光系の第1の実施例説明図であり、第69図(A)は
座標Y−Z面から見た構成図、第69図(B)は座標X−
Z面から見た構成図である。
参照側は、点光源750の発散波を、X側の平凸円筒レ
ンズ751により、X方向の楕円位相と線光源波面を発生
し、定置ホログラム板703に照射する。
一方、物体側は、点光源760の発散波を、平凸レンズ7
61により、球面収差を発生し、これをY側の平凹円筒レ
ンズ762により、Y方向の楕円位相とコマ収差とを発生
し、定置ホログラム板703に照射する。
この構成により、基本的に、参照側をX方向とし、線
光源波面(球面収差、非点収差が出る)、楕円位相波の
X方向を、物体側をY方向とし、点光源からの球面収
差、コマ収差、楕円位相波のY方向を生成でき、(10
5)式の位相分布が得られる。
第70図は本発明のホログラム作成露光系の第2の実施
例説明図であり、座標Y−Z面から見た構成図であり、
第69図で示したものと同一のものは、同一の記号で示し
ている。
この例では、物体波側に、平凸円筒レンズ763を追加
している。
第69図の構成では、物体波側と参照波側が十分に離れ
ており、各レンズが挿入できる場合に適用できるが、物
体波側において、結像位置が、参照波側を遮る場合で、
平凸円筒レンズ762だけでは、コマ収差量が不十分の場
合には、適用できない。
そこで、物体側は、点光源760の発散波を、平凸レン
ズ761により、球面収差を発生し、これをY側の平凸円
筒レンズ763により、コマ収差を発生し、更にY側の平
凹円筒レンズ762により、Y方向の楕円位相とコマ収差
とを発生し、定置ホログラム板703に照射する。
これにより、定置ホログラム板703のY側の長さが長
くても、レンズを挿入でき、コマ収差量も大きくでき
る。
第71図は本発明のホログラム作成露光系の第3の実施
例説明図であり、第71図(A)は座標X−Z面から見た
構成図、第71図(B)は座標Y−Z面から見た構成図で
ある。
この実施例では、必要なコマ収差量を得るため、第70
図の構成に加えて、2つの平凸円筒レンズ764、765を、
物体波側に設けたものである。
参照側は、点光源750の発散波を、X側の平凸円筒レ
ンズ751により、X方向の楕円位相と線光源波面を発生
し、定置ホログラム板703に照射する。
一方、物体側は、点光源760の発散波を、球面平凸レ
ンズ761により、球面収差を発生し、これを3つのY軸
の平凸円筒レンズ764、765、763により、軸はずし入射
により必要なコマ収差を得て、Y側の平凹円筒レンズ76
2により、Y方向の楕円位相とコマ収差とを発生し、定
置ホログラム板703に照射する。
この構成により、参照側をX方向とし、線光源波面
(球面収差、非点収差が出る)、楕円位相波のX方向
を、物体側をY方向とし、点光源からの球面収差、コマ
収差、楕円位相波のY方向を生成でき、(105)式の位
相分布が得られる。このため、露光系のレンズ群は、光
軸が共通なものが多く、調整が容易であるという利点が
ある。
尚、このように作成された定置ホログラム板703を原
盤として、型を取り、型を用いて、かかる特性の定置ホ
ログラム板703を複製する。
〔他の実施例の説明〕
上述の実施例の他に、本発明は、次のような変形が可
能である。
本発明による定置ホログラム板の製造方法において
は、電子ビームを上記した各式に従ってコンピュータ制
御し、これによりホログラム乾板上に所定の干渉縞を形
成する方法(所謂電子ビーム露光法)を採用することも
可能である。また、前記したようにレーザビームを上記
した各式に従ってコンピュータ制御し、これによりホロ
グラム乾板上に所定の干渉縞を形成する方法(所謂レー
ザビーム露光法)を採用することも可能である。
これらの方法は、定置ホログラム板を量産化したり、
或いは大きさ,光の偏光形態が逐次変更されるような場
合に適している。また、これらの露光方法はコンピュー
タ制御となり、製造装置の大型化が問題となるが、上記
した実施例の方法によれば、比較的安価に小型の製造方
法にて定置ホログラム板を製造することができる。
光ビーム走査装置の適用を電子写真印刷装置で説明し
たが、レーザー描画装置、レーザー検査装置等にも適用
できる。
ホログラム回転体を、ディスク形状で説明したが、ド
ラム形状等他のものを適用できる。
以上説明してきたように、本発明では、物体波の位相
式におけるXとYの係数をC1とC2で異ならせて、楕円位
相を実現し、主走査方向の空間周波数の変化率を下げ、
走査中心への過剰補正を防止し、等速走査が実現でき
る。また、回転体702に入射する入射光を、主走査方向
と副走査方向とで焦点距離が異なるように構成して、ビ
ーム収差量の変化を補正できる。更に、参照波の位相式
において、係数a、bにより、球面波の波数を再生波長
の波数と異なる位相として、走査中央から走査端に行く
につれ、Fが大きくなる特性を持たせ、歪曲収差をゼロ
とできる。
尚、以上本発明を実施例により説明したが、本発明の
主旨の範囲内で種々の変形が可能であり、これらを本発
明の範囲から排除するものではない。
〔第10の発明〕 第72図は、前記した第1の発明に用いられているホロ
グラム回転体のファセットホログラムを示している。同
図に示すように、第1の発明に用いられているホログラ
ム回転体802aのファセットホログラム820aは、干渉縞の
分布は位置的に一定であるプレーングレーティングのホ
ログラムを使用している。
図では、第72図(A)のホログラム回転体802a上の点
A、Bに入射したレーザー光が、第72図(B)の定置ホ
ログラム板803aの点A′、B′を通過するものとしてお
り、ホログラム回転体802a上の点A、Bでは、ホログラ
ム回転体802aの回転中心からホログラム回転体802a上で
の走査中心位置方向の空間周波数は、等しく、これと直
交する方向Xでは、空間周波数はゼロである。
従って、ホログラム回転体802aが回転しても、レーザ
ー光が入射する位置での空間周波数は変化せず、走査中
心におけるホログラム回転体802aへのレーザー光入射角
と、出射角が決定されると、定置ホログラム板803a上の
レーザー光走査軌跡が決定されることになる。
しかしながら、近年のレーザプリンタ等の小型化の要
求により、光ビーム走査装置も小型かする必要があり、
そのためにはホログラム回転体802aから結像面までの光
路長を短くしなければならないが、ホログラム回転体80
2aと定置ホログラム板803aとの光路長を小さくすると、
走査幅が小さくなる。
逆に、定置ホログラム板803aと結像面との光路長を小
さくすると、定置ホログラム803aは等速補正機能、直線
走査機能、レーザー光の結像機能を受け持っているの
で、定置ホログラム板803aが所望の光学特性を実現でき
なくなってしまう。
そこで、本発明は走査幅を維持し、定置ホログラム板
の光学特性を保持し、ホログラム回転体から結像面まで
の光路長を短くし、装置の小型化を実現することを目的
とするものである。
〔一実施例〕
第73図は本発明の一実施例構成図である。
ホログラム回転体802のファセット820は、第73図
(B)に示すように、ホログラム回転体802の回転中心
Mからホログラム回転体802上での走査中心位置方向Y
の空間周波数のみ分布が変化するホログラムを用いた場
合には、レーザー光が入射する位置での空間周波数を変
化させることができる。
即ち、レーザー光が、ホログラム回転体802に入射す
る位置をr0とし、ホログラム回転体802上の位置r(ホ
ログラム回転体2の回転中心Mからホログラム回転体80
2上での走査中心位置方向Yでの距離)における空間周
波数をfとし、ホログラム回転体802の回転中心Mにお
ける、ホログラム回転体802へのレーザー光の入射、出
射角度から決定される空間周波数(位置r0)における空
間周波数)をf0とすると、ホログラム回転体802の回転
中心Mからホログラム回転体802上での走査中心位置方
向における空間周波数分布が、下記(121)式に設定す
る。
f=f0+a×(r−r0) …(121) 但し、aは空間周波数の変化の割合であり、定数であ
る。
ここで、aを負とすると、位置rにおける空間周波数
fは、位置r0の空間周波数f0より高くなり、空間周波数
が、ホログラム回転体802の中心に向かい、次第に高く
なる分布となり、主走査方向の回折角を大きくでき、走
査幅を大きくできる。
このため、結像面での走査幅を変えずに、ホログラム
回転体802と定置ホログラム板803との光路長を短くでき
る。
この時、定置ホログラム803と結像面804との光路長を
そのままとすると、ホログラム回転体802と定置ホログ
ラム板803との光路長を短くなった分、結像面804での収
束性や直線性が悪くなるので、定置ホログラム板803と
結像面804との光路長を若干長くした。
尚、定置ホログラム板803は、主走査方向をX、副走
査方向をY、これらと直交する方向をZとすると、X方
向の方向余弦を1、Y方向の方向余弦をmは、下記(12
2)式、(123)式で示され、これらの式で示す波面を実
現している。
但し、上記各式においてa、b、c0、d、e、y0、z0
は定数である。
第74図は、本発明の一実施例ホログラム回転体の作成
説明図である。第74図に示すように、ホログラム回転体
802は、物体波と、参照波の干渉により作成する。
プレーングレーティングのディスクの作成には、物体
波と、参照波との各々を、平面波とすればよいが、回転
中心方向に空間周波数を変化するには、物体波の平面波
の間隔を回転中心方向に変化する必要がある。
このため、物体波は、平面波をシリンドリカル(円
筒)凹レンズ805により発散特性を与えて、ホログラム
回転体802に照射する。
このようにすると、シリンドリカル(円筒)凹レンズ
805からの照射波と、平面参照波のなす角は、回転中心
に行くほど大きくなり、即ちθr>θr0となり、密度が
濃くなり、空間周波数を大きくできる。
実際には、装置の光源である半導体レーザーの光パワ
ーは小さく、ホログラム作成の露光に不十分のため、ア
ルゴンレーザー等の光パワーの大きいものを露光に用い
る。
この時、半導体レーザーの波長λは、780nmであ
り、アルゴンレーザーの波長λは、488nmであるか
ら、再生時と露光時で波長が異なる。
このため、第74図(B)に示すように、必要な空間周
波数fを得れる半導体レーザーの波長λにおける物体
波の照射角度θと、参照波の照射角度θとを、下記
(124)式により設定しておく。
f=(sinθ+sinθ)/λ (124) そして、第74図(C)に示すように、この決定された
空間周波数fを、アルゴンレーザーの波長λで作成す
るための物体波の照射角度θ′と、参照波の照射角度
θ′とを、下記(125)式より得る。
f=(sinθ′+sinθ′)/λ …(125) この求めた物体波の照射角度θ′と、参照波の照射
角度θ′とで、第74図(A)のように、平面物体波と
凹レンズ805からの照射波とを、波長λでホログラム
回転体802に照射すれば、半導体レーザーの波長λ
の所定の空間周波数をもつホログラムが作成できる。
第75図は本発明の一実施例によるスポットダイアグラ
ム図である。
従来のプレーングレーティングのディスクでは、ホロ
グラム回転体802から定置ホログラム板803までの距離L1
と、定置ホログラム板803から結像面804aまでの距離L2
が、各々L1=295mm、L2=255mmであったが、第73図で説
明した空間周波数分布を持つホログラム回転体2を使用
したところ、L1=225mm、L2=265mmとすることができ、
全体の光路長を短くできた。
この時、定置ホログラム板803から結像面804aまでの
距離L2を若干長くして、結像面804での収束性や直線性
を保持している。
この時の走査中心から走査端におけるビーム径は、第
75図のようになり、最大でも、走査端で直径60ミクロン
と、400dpiの解像度を保証できる。
又、等速性は、0.5%以下であり、ドラム804上での直
線性は、100ミクロン以下であり、半導体レーザーの波
長変動による走査位置の変動も極めて小さく、実用上十
分な値を得た。
このようにして、ホログラム回転体802の走査幅を大
きくして、ホログラム回転体802と定置ホログラム板803
との距離を小さくでき、装置の小型化が可能となるとと
もに、このようしても、半導体レーザーの温度変動に伴
う波長変動(中心波長の変動、マルチモードの分布変
動)による走査線の位置変動を防止でき、等速性、直線
性、ビーム径の低下を防止できる。
以上説明したように、本発明によればホログラム回転
体802を構成するファセットのホログラム820の中央にお
けるビーム照射位置から両端のビーム照射位置にかけ
て、しだいに空間周波数が高くなるように構成して、主
走査方向の回折角を大きくして、走査幅を大きくし、ホ
ログラム回転体802から定置ホログラム板803までの光路
長を短くできる。また、このようにしても、走査幅を大
きくしたので、走査幅が変わることがなく、小型化が実
現できる。
尚、上記した実施例では、ビーム走査装置の適用を電
子写真印刷装置で説明したが、レーザー描画装置やレー
ザー検査装置等にも本発明を適用できる。また上記した
実施例ではホログラムの干渉縞を、並行線状のもので説
明したが、他の形状のものでも実現できる。更に、本発
明の主旨の範囲内で種々の変形が可能であり、これらを
本発明の範囲から排除するものではない。
〔第11の発明〕 本発明は、ホログラム回転体に入射するレーザ光のス
ポット形状について考案したものである。図76図は、ホ
ログラム回転体902aの1ファセットを拡大して示した図
である。また、ホログラム回転体902aが回転することで
ビームの入射位置が変化する様子を模式的に示したもの
である(A→B→Cと移動する)。
同図に示すように、ホログラム回転体902aに入射する
レーザ光のビーム径は楕円形状となっており、前記して
きた各光ビーム走査装置では、その楕円形状はホログラ
ム回転体902aの半径方向にその短軸が沿ったビーム形状
となってる。
今、ビームが位置Aにある時、位置Bにある時とのそ
の回転中心を通る中心線のなす角度をθとし、またレ
ーザ光のビームが位置Aから位置Bまで移動するために
ホログラムを形成しなければならない範囲をθとした
場合の、角度θと角度θとの比を有効ホログラム比
Hと定義する(H=θb)。
ホログラム回転体902aを有効に利用するには、この有
効ホログラム比Hは1に近いほど好ましい。
しかし、第76図に示す光ビーム走査方式では、入射ビ
ーム(楕円形を有する)の長軸とホログラム回転体902a
の回転方向が一致するため、有効ホログラム比Hを1に
近づけるには限界があった。即ち、ビーム形が回転方向
に長い楕円形であることに起因して、ホログラム回転体
902aの1ファセット内にはどうしても無駄な部分θ
(=θ−θ)が発生してしまい、ホログラム回転
体902aを効率的に機能させることができなかった。これ
により、走査効率が低下してしまうという問題点が生じ
る。
一方、上記の問題点を解決する手段として、レーザ光
のビーム形を円形にすることが考えられるが、上記長軸
の大きさは、定置ホログラム板が主走査方向に走査ビー
ムを収束させるために必要な大きさであり、所定寸法以
下とすることはできない(即ち、円形とすることはでき
ない)。
本発明では、レーザー光のビーム形が楕円形状であっ
ても有効ホログラム比Hを1に近づけ、ホログラム回転
体の効率的な使用を行うことを目的とするものである。
〔一実施例〕
第77図は、本発明の原理を示している。本発明では、
ホログラム回転体902の回転方向(図中、矢印で示す)
と、光源(図示せず:例えば半導体レーザ)から照射さ
れるレーザ光の楕円形状ビーム910の短軸とを一致させ
た構成とすることを特徴とするものである。
この構成とすることにより、同図に示されるように、
ホログラム回転体902のファセット920内に発生する無駄
な部分θ′(−θ′−θ′)を少なくすることが
でき、有効ホログラム比Hを1に近付けることができ
る。
第78図から第80図は本発明の具体的実施例を示してい
る。
第78図は、本発明に用いるホログラム回転体902の1
ファセット920を拡大して示す図である。上記したよう
に、本発明ではホログラム回転体902の回転方向と、レ
ーザ光の楕円形状ビーム910の短軸とを一致させる構成
とするため、この構成としても適切な光ビーム走査を実
現できるよう、ホログラムを設計する必要がある。そこ
で、本発明では、空間周波数分布を下式のように設定し
た。
fx=0 fy=f0+ΣCi*(r*Sinθ) ここで、θはホログラム回転体902の回転角,rはビー
ムの入射半径,Ciは空間周波数の変化の割合(非球面係
数),f0は回転角θがゼロの時の空間周波数である。上
記空間周波数分布を有するホログラム回転体902を用い
ることにより、以下に示す光ビーム走査装置を実現でき
る。
第79図は、光源からの入射ビームの位置とホログラム
回転体902の回転中心とを結ぶ線分と、該回転中心と定
置ホログラム板903とを結ぶ線分とのなす角を90゜に設
定したものである。
この構成とすることにより、ホログラム回転体902の
回転方向と、レーザ光の楕円形状ビーム910の短軸とを
一致させることができ、有効ホログラム比Hを1に近付
けることができる。
第80図は、実際に有効ホログラム比Hを計算した例を
示しており、第76図で示した構成(第80図(A)に示
す)では有効ホログラム比Hが0.844であったのに対し
て、第80図(B)に示す本発明に係る方式では、有効ホ
ログラム比Hを0.933と向上させることができ、ホログ
ラム回転体902の効率的な使用が可能となったことが実
証された。
第81図に、上記空間周波数関数におけるi=1〜10の
10次項の例を示す。シュミレーションによれば、同図に
示すように、偶関数で構成される空間周波数分布にする
ことにより、ホログラム回転体902の回転方向と、照射
されるビームの短軸とを一致させることがわかる。
以上のように、ホログラム回転体902の回転方向と入
射ビーム径の短軸とを一致させることで有効ホログラム
比Hを大きくすることができ、また入射ビームの位置と
ホログラム回転体902の回転中心、定置ホログラム板903
中心が90゜に来るよう配置することにより、有効ホログ
ラム比Hを大きくし、ホログラム回転体902の効率的な
使用を可能とした光ビーム走査装置を実現できる。
産業上の利用可能性 以上のように、本発明にかかる光ビーム走査装置は、
2枚のホログラムにより簡素で低価格な光学系が提供で
き、そして半導体レーザの波長変動に対する走査線のず
れもなく高い信頼性を実現できるため、レーザプリン
タ、レーザファックス等のOA機器、レーザ描画装置、レ
ーザ検査装置等に組み込まれるレーザ走査光学系として
有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平3−277497 (32)優先日 平3(1991)10月24日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平3−277498 (32)優先日 平3(1991)10月24日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平3−277499 (32)優先日 平3(1991)10月24日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平3−277500 (32)優先日 平3(1991)10月24日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平3−320162 (32)優先日 平3(1991)12月4日 (33)優先権主張国 日本(JP) 審判番号 平7−13139 (72)発明者 前田 智司 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 岩田 成健 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 山岸 文雄 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 中島 雅人 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 有竹 敬和 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 穂刈 守 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−240619(JP,A) 特開 昭60−11817(JP,A) 特開 昭62−28708(JP,A) 特開 昭63−241519(JP,A) 特開 昭50−118737(JP,A) 特開 昭60−121011(JP,A)

Claims (62)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の回折格子(1a)と、第2の回折格子
    (2a)とを備えた光ビーム走査装置において、 該第1の回折格子(1a)に入射回折され、更に該第2の
    回折格子(2a)に入射回折して走査面上に結像する光ビ
    ームの主軸(MA)での光束の光路長および、該主軸(M
    A)を外れた周辺軸(M1)での光束の光路長との光路長
    差の二乗値、もしくは絶対値を該結像面の全域を含む走
    査点毎に重み付けた値の総和を最小とするような回折格
    子を、該第1の回折格子(1a)および該第2の回折格子
    (2a)に備えたことを特徴とする光ビーム走査装置。
  2. 【請求項2】第1の回折格子(1a)と、第2の回折格子
    (2a)とを備えた光ビーム走査装置において、 該第1の回折格子(1a)に入射回折され、更に該第2の
    回折格子(2a)に入射回折して走査面上に結合する光ビ
    ームの、再生入射光束の主軸(MA)を外れた周辺軸(M
    1)での該第1の回折格子(1a)の位相の主軸からのず
    れ量と、該第2の回折格子(2a)に入射する時の回折格
    子に記録される位相の主軸からのずれ量との和の二乗
    値、もしくは絶対値を結像面の全域を含む走査点ごとに
    重み付けた値の総和を最小とするような回折格子を、該
    第1の回折格子(1a)並びに該第2の回折格子(2a)に
    備えたことを特徴とする光ビーム走査装置。
  3. 【請求項3】該第1の回折格子(1a)は回転体(10)に
    備えられるとともに、 該第2の回折格子(2a)は、該第1の回折格子(1a)と
    該走査面との間に配置された固定板(20)であることを
    特徴とする、請求項1記載の光ビーム走査装置。
  4. 【請求項4】該第1の回折格子(1a)は回転体(10)に
    備えられるとともに、 該第2の回折格子(2a)は、該第1の回折格子(1a)と
    該走査面との間に配置された固定板(20)であることを
    特徴とする、請求項2記載の光ビーム走査装置。
  5. 【請求項5】該回折格子(1a)に入射する再生光(5)
    の光源の波長の変動に対し、該結像面(4)上における
    走査ビームの位置変動が最も小さくなるように該回転体
    (10)に対して該固定板(20)を傾斜対向したことを特
    徴とする請求項3記載の光ビーム走査装置。
  6. 【請求項6】該回折格子(1a)に入射する再生光(5)
    の光源の波長の変動に対し、該結像面(4)上における
    走査ビームの位置変動が最も小さくなるように該回転体
    (10)に対して該固定板(20)を傾斜対向したことを特
    徴とする請求項4記載の光ビーム走査装置。
  7. 【請求項7】該回折格子(1a)から出射後の回折方向と
    該回折格子(2a)から出射後の回折方向は逆傾向にある
    回折格子が記録されていることを特徴とする請求項1記
    載の光ビーム走査装置。
  8. 【請求項8】該回折格子(1a)から出射後の回折方向と
    該回折格子(2a)から出射後の回折方向は逆傾向にある
    回折格子が記録されていることを特徴とする請求項2記
    載の光ビーム走査装置。
  9. 【請求項9】該回折格子(1a)に入射する波面は収束光
    もしくは平行光であることを特徴とする請求項1記載の
    光ビーム走査装置。
  10. 【請求項10】該回折格子(1a)に入射する波面は収束
    光もしくは平行光であることを特徴とする請求項2記載
    の光ビーム走査装置。
  11. 【請求項11】該回折格子(1a)から出射回折して該回
    折格子(2a)に入射する光が発散光である時、該回折格
    子(2a)から出射する時の収束球面波の回折される角度
    が該固定板(20)の法線に対し逆符号の回折方向になる
    回折格子が記録されていることを特徴とする請求項9記
    載の光ビーム走査装置。
  12. 【請求項12】該回折格子(1a)から出射回折して該回
    折格子(2a)に入射する光が発散光である時、該回折格
    子(2a)から出射する時の収束球面波の回折される角度
    が該固定板(20)の法線に対し逆符号の回折方向になる
    回折格子が記録されていることを特徴とする請求項10記
    載の光ビーム走査装置。
  13. 【請求項13】請求項9記載の収束光の、該回折格子
    (1a)面から収束する焦点(MO)までの距離が、該回折
    格子(1a)面から該固定板(20)面までの距離近傍であ
    ることを特徴とする光ビーム走査装置。
  14. 【請求項14】請求項10記載の収束光の、該回折格子
    (1a)面から収束する焦点(MO)までの距離が、該回折
    格子(1a)面から該固定板(20)面までの距離近傍であ
    ることを特徴とする光ビーム走査装置。
  15. 【請求項15】該回折格子(2a)を作成するホログラム
    作成波の物体波は該回折格子(1a)から出射するビーム
    が該固定板(20)に走査中心で入射する点を中心にかつ
    該固定板(20)の基板に対し垂直に入射し、中心軸から
    離れるにつれてより中心軸方向に曲がる球面収差をもつ
    波か、または該物体波を用いて形成される干渉縞分布と
    同一のものが記録されていることを特徴とする請求項3
    記載の光ビーム走査装置。
  16. 【請求項16】該回折格子(2a)を作成するホログラム
    作成波の物体波は該回折格子(1a)から出射するビーム
    が該固定板(20)に走査中心で入射する点を中心にかつ
    該固定板(20)の基板に対し垂直に入射し、中心軸から
    離れるにつれてより中心軸方向に曲がる球面収差をもつ
    波か、または該物体波を用いて形成される干渉縞分布と
    同一のものが記録されていることを特徴とする請求項4
    記載の光ビーム走査装置。
  17. 【請求項17】該回折格子(1a)に入射する波面は、走
    査方向においては平行波もしくは収束波であり、走査の
    直交方向においては該回転体(10)上に収束する波面を
    有し、該回折格子(2a)は物体波に球面収差波を用い、
    参照波にコマ収差波を用いて作成もしくはこれらの作成
    波を用いて形成される干渉縞分布と同一のものが記録さ
    れていることを特徴とする請求項3記載の光ビーム走査
    装置。
  18. 【請求項18】該回折格子(1a)に入射する波面は、走
    査方向においては平行波もしくは収束波であり、走査の
    直交方向においては該回転体(10)上に収束する波面を
    有し、該回折格子(2a)は物体波に球面収差波を用い、
    参照波にコマ収差波を用いて作成もしくはこれらの作成
    波を用いて形成される干渉縞分布と同一のものが記録さ
    れていることを特徴とする請求項4記載の光ビーム走査
    装置。
  19. 【請求項19】該固定板(20)は複数の回折格子から構
    成されることを特徴とする請求項3記載の光ビーム走査
    装置。
  20. 【請求項20】該固定板(20)は複数の回折格子から構
    成されることを特徴とする請求項4記載の光ビーム走査
    装置。
  21. 【請求項21】該回折格子(1a)は、均一の干渉縞ピッ
    チを有し、該回転体(10)による走査線の軌跡が該固定
    板(20)の面で湾曲したことを特徴とする請求項3記載
    の光ビーム走査装置。
  22. 【請求項22】該回折格子(1a)は、均一の干渉縞ピッ
    チを有し、該回転体(10)による走査線の軌跡が該固定
    板(20)の面で湾曲したことを特徴とする請求項4記載
    の光ビーム走査装置。
  23. 【請求項23】第1及び第2の少なくとも2つのホログ
    ラム(110,112)から成る光ビーム走査装置であって、
    光源から第1及び第2のホログラム(110,112)を経由
    し走査面(120)に至るまでの走査ビーム光束内の光路
    差Δφが、光源中心波長λ及び該光源中心波長からの波
    長ずれΔλに対して、Δφ<C(λ2/Δλ)、ここでC
    は定数、であることを特徴とする光ビーム走査装置。
  24. 【請求項24】前記定数Cは0.5以下であることを特徴
    とする請求項23記載の光ビーム走査装置。
  25. 【請求項25】光源が半導体レーザあるいは発光ダイオ
    ードから成り、前記第1のホログラム(110)が非回動
    かつ可動のホログラム(150)であり、前記第2のホロ
    グラム(112)が固定ホログラムであることを特徴とす
    る請求項23記載の光ビーム走査装置。
  26. 【請求項26】前記第2のホログラム(112)が第1の
    ホログラム(110)の後方に配置されていることを特徴
    とする請求項23記載の光ビーム走査装置。
  27. 【請求項27】前記第1のホログラム(110)に入射す
    る光束が収束波であることを特徴とする請求項23記載の
    光ビーム走査装置。
  28. 【請求項28】第1及び第2の少なくとも2つのホログ
    ラム(110,112)から成る光ビーム走査装置(100)であ
    って、入射した収束球面波を発散球面波に波面変換する
    第1のホログラム(110)から出射角δにて出射した発
    散球面波が、第1のホログラム(110)と平行で且つ光
    軸距離l4の所に配置された第2のホログラム(112)に
    対して、焦点距離l3、入射角δにて入射し、収束球面波
    が第2のホログラム(112)の波面変換によって出射角
    βにて第2のホログラム(112)から出射されるとき、
    k(δ)=l4/l3とした場合、 sinβ=k(δ)1sinδ を満たすことを特徴とする光ビーム走査装置。
  29. 【請求項29】k0をパラメータとしたとき、k(δ)
    が、 k(δ)=k0−(3/8)(1−k0 2)(1−2k0)δ を満たすことを特徴とする請求項28に記載の光ビーム走
    査装置。
  30. 【請求項30】第1のホログラム(110)と第2のホロ
    グラム(112)との間の距離をL、第2のホログラム(1
    12)に入射する光束の第2のホログラムに対する焦点距
    離をa(δ)とするとき、 a(δ)=L/k(δ) を満たすことを特徴とする請求項28記載の光ビーム走査
    装置。
  31. 【請求項31】第1及び第2の少なくとも2つのホログ
    ラム(110,112)から成る光ビーム走査装置(100)であ
    って、入射した収束球面波を収束球面波に波面変換する
    第1のホログラム(100)から出射角δにて出射した収
    束球面波が、第1のホログラム(100)と平行で且つ光
    軸距離l4の所に配置された第2のホログラム(112)に
    対して、焦点距離(l3−l4)、入射角δにて入射し、収
    束球面波が第2のホログラム(112)の波面変換によっ
    て出射角βにて第2のホログラム(112)から出射され
    るとき、 k′(δ)=l4/l3、k(δ) 106 =k′(δ)/{k′(δ)−1} とした場合、 sinβ=k(δ)sinδ を満たすことを特徴とする光ビーム走査装置。
  32. 【請求項32】k0をパラメータとしたとき、k(δ)
    が、 k(δ)=k0−(3/8)(1−k0 2)(1−2k0)δ を満たすことを特徴とする請求項31に記載の光ビーム走
    査装置。
  33. 【請求項33】第1のホログラム(110)と第2のホロ
    グラム(112)との間の距離をL、第2のホログラム(1
    12)に入射する光束の第2のホログラムに対する焦点距
    離をa(δ)とするとき、 a(δ)=L/k(δ) を満たすことを特徴とする請求項31記載の光ビーム走査
    装置。
  34. 【請求項34】光源部(210)と、回折格子を記録した
    回転体(202)と、該回転体(202)と走査面(204)と
    の間に設けられ、回折格子を記録した定置板(203)と
    を有し、 該光源部(210)からの入射光を、該回転体(202)の回
    折格子で回折するととに、該回転体(202)の回転によ
    り、回折光を走査し、該定置板(203)で回折して、該
    走査面(204)を光走査する光ビーム走査装置におい
    て、 該走査方向と直交する方向において、該回転体(202)
    に入射する入射光の収束位置を、該回転体面より結像面
    側又は入射光側とし、 該定置板(203)で該回転体(202)からの回折光を回折
    して、入射光から走査面(204)までの光束内の周辺の
    光路長を等しくしたことを特徴とする光ビーム走査装
    置。
  35. 【請求項35】前記走査方向と直交する方向において、
    前記回転体(202)に入射する入射光の収束位置を、前
    記回転体面より結像面側とした時に、前記定置板(20
    3)の回折方向を、前記回転体(202)の回折方向と同方
    向としたことを特徴とする請求項34の光ビーム走査装
    置。
  36. 【請求項36】前記走査方向と直交する方向において、
    前記回転体(202)に入射する入射光の収束位置を、前
    記回転体面より入射光側とした時に、前記定置板(20
    3)の回折方向を、前記回転体(202)の回折方向と逆方
    向としたことを特徴とする請求項34の光ビーム走査装
    置。
  37. 【請求項37】光源部(310)からの入射光を、回転体
    (302)の回折格子で回折するとともに、該回転体(30
    2)の回転により、回折光を走査し、定置板(303)で回
    折して、走査面(304)を光走査する光ビーム走査装置
    において、 該定置板(303)の主走査方向の物体波の方向余弦の変
    化率を、副走査方向の物体波の方向余弦の変化率と異な
    らしめ、且つ該回転体(302)に入射する入射光が、主
    走査方向と副走査方向とで焦点距離が異なるように構成
    したことを特徴とする光ビーム走査装置。
  38. 【請求項38】前記ホログラム固定板(303)は、主走
    査方向と副走査方向の収差量が異なる波により作成さた
    干渉縞分布を有することを特徴とする請求項37の光ビー
    ム走査装置。
  39. 【請求項39】前記干渉縞分布を作成する前記波の収差
    が、前記ホログラム固定板(303)の主走査方向の各点
    から軸中心までの光路長が等しく、且つ副走査方向の各
    点から軸中心までの光路長が等しく、前記主走査方向の
    光路長と前記副走査方向の光路長とを異ならした収差で
    あることを特徴とする請求項38の光ビーム走査装置。
  40. 【請求項40】前記干渉縞分布を作成する前記波の位相
    が、前記主走査方向と前記副走査方向に対し、楕円の位
    相であることを特徴とする請求項38の光ビーム走査装
    置。
  41. 【請求項41】光源部からの入射光を、ホログラム回転
    体(402)で回折するとともに、該ホログラム回転体(4
    02)の回転により回折光を走査し、定置ホログラム板
    (403)で回折して、走査面(404a)を光走査する光ビ
    ーム走査装置において、 該定置ホログラム板(403)は、球面波の波数が再生波
    長の波数と異なる位相を有する波により作成された干渉
    縞分布を有することを特徴とする光ビーム走査装置。
  42. 【請求項42】前記定置ホログラム板(403)の干渉縞
    分布を作成する参照波は、作成波の波数k2と再生波の波
    数k1とが異なり、参照波の位相Φ(X,Y)が、下記式
    で示されるものであることを特徴とする請求項41の光ビ
    ーム走査装置。
  43. 【請求項43】前記定置ホログラム板(403)の干渉縞
    分布を作成する参照波は、作成波の波数k2と再生波の波
    数k1とが異なり、参照波の位相Φ(X,Y)が、下記式
    で示されるきであることを特徴とする請求項41の光ビー
    ム走査装置。
  44. 【請求項44】回折格子を記録した回転体(10)と、該
    回転体(10)と走査面(4a)との間に、回折格子を記録
    した固定板(20)を定置した光ビーム走査装置におい
    て、必要な走査幅(X2)に対し、固定ホログラム板(2
    0)のホログラム領域(X1)が同等か、またはそれより
    大きいものであることを特徴とする光ビーム走査装置。
  45. 【請求項45】請求項44において、走査方向の固定ホロ
    グラム板(20)に入射するディスク出射波の角度が、固
    定ホログラム板(20)から出射走査回折波の角度と逆で
    あることを特徴とする光ビーム走査装置。
  46. 【請求項46】正弦波駆動により振動し、レーザ光源
    (531)よりのレーザ光を反射する振動ミラー(532,54
    0)と、 該振動ミラーで反射された走査レーザ光を該走査レーザ
    光の波長変動による特性劣化を発生させない構成で、か
    つ該走査レーザ光を逆正弦変換する干渉縞を有する第1
    のホログラム(534,542)と、 該第1のホログラム(534,542)を通した走査レーザ光
    を該走査レーザ光の波長変動による特性劣化を発生させ
    ない構成で、かつ該走査レーザ光を正接変換して結像面
    (536)上に結像させる干渉縞を有する第2のホログラ
    ム(535,543)とを有し、 結像面(536)上でレーザ光の線型走査を行なうことを
    特徴とする光ビーム走査装置。
  47. 【請求項47】光源部(701)からの入射光を、ホログ
    ラム回転体(702)で回折するとともに、該回転体(70
    2)の回転により回折光を走査し、定置ホログラム板(7
    03)で回折して、走査面(704)を光走査する光ビーム
    走査装置において、 該定置ホログラム板(703)は、主走査方向をXとし、
    副走査方向をYとすると、下記式で示される位相分布Φ
    を有し、且つ該ホログラム回転体(702)に入射する
    入射光が、主走査方向と、副走査方向に焦点距離が異な
    るように構成したことを特徴とする光ビーム走査装置。
  48. 【請求項48】光源部(701)からの入射光を、ホログ
    ラム回転体(702)で回折するとともに、該回転体(70
    2)の回転により回折光を走査し、定置ホログラム板(7
    03)で回折して、走査面(704)を光走査する光ビーム
    走査装置において、 該定置ホログラム板(703)は、主走査方向をXとし、
    副走査方向をYとすると、下記式で示される位相分布Φ
    を有し、且つ該ホログラム回転体(702)に入射する
    入射光が、主走査方向と副走査方向とで焦点距離が異な
    るように構成したことを特徴とする光ビーム走査装置。 但し、k2=2π/λ(λは入射光の波長)
  49. 【請求項49】前記定置ホログラム板(703)は、Y方
    向の収差量の球面収差と非点収差とコマ収差とを持つ一
    の波と、X方向の収差量を有し、再生波の波長と異なっ
    た波長の球面収差と非点収差とを持つ他の波とにより作
    成された干渉縞分布を有することを特徴とする請求項48
    の光ビーム走査装置。
  50. 【請求項50】前記定置ホログラム板(703)は、点光
    源(760)から平凸レンズ(761)で球面収差を発生し、
    平凹円筒レンズ(762)で楕円位相とコマ収差とを発生
    した前記一の波と、点光源(750)から平凸円筒レンズ
    (751)で楕円位相と線光源波面とを発生した前記他の
    波とにより作成された前記干渉縞分布を有することを特
    徴とする請求項50の光ビーム走査装置。
  51. 【請求項51】光源部(701)からの入射光を、ホログ
    ラム回転体(702)で回折するとともに、該回転体(70
    2)の回転により回折光を走査し、定置ホログラム板(7
    03)で回折して、走査面(704)を光走査する光ビーム
    走査装置の定置ホログラム板(703)を製造する方法に
    おいて、 Y方向の収差量の球面収差と非点収差とコマ収差とを持
    つ一の波と、X方向の収差量を有し、再生波の波長と異
    なった波長の球面収差と非点収差とをもつ他の波とによ
    り該定置ホログラム板(703)の干渉縞分布を作成する
    ことを特徴とする光ビーム走査装置の定置ホログラム板
    の製造方法。
  52. 【請求項52】光源部(701)からの入射光を、ホログ
    ラム回転体(702)で回折するとともに、回転体(702)
    の回転により回折光を走査し、定置ホログラム板(70
    3)で回折して、走査面(704)を光走査する光ビーム走
    査装置の定置ホログラム板(703)を製造する方法にお
    いて、 点光源からの球面収差と楕円位相波のY方向とコマ収差
    とを受け持つ一の波と、線光源波面と楕円位相波のX方
    向とを受け持つ他の波とにより該定置ホログラム板(70
    3)の干渉縞分布を作成することを特徴とする光ビーム
    走査装置の定置ホログラム板の製造方法。
  53. 【請求項53】点光源(760)から平凸レンズ(761)で
    球面収差を発生し、平凹円筒レンズ(762)で楕円位相
    とコマ収差とを発生した前記一の波と、点光源(750)
    から平凸円筒レンズ(751)で楕円位相と線光源波面と
    を発生した前記他の波とにより前記定置ホログラム板
    (730)の前記干渉縞分布を作成することを特徴とする
    請求項51の光ビーム走査装置の定置ホログラム板の製造
    方法。
  54. 【請求項54】点光源(760)から平凸レンズ(761)で
    球面収差を発生し、平凹円筒レンズ(762)で楕円位相
    とコマ収差とを発生した前記一の波と、点光源(750)
    から平凸円筒レンズ(751)で楕円位相と線光源波面と
    を発生した前記他の波とにより前記定置ホログラム板
    (730)の前記干渉縞分布を作成することを特徴とする
    請求項52の光ビーム走査装置の定置ホログラム板の製造
    方法。
  55. 【請求項55】光源部からの入射ビームを回折する複数
    のファセットを有しており、該複数のファセットが回転
    することにより走査させるホログラム回転体において、
    該ファセットのホログラム(820)の中央におけるビー
    ム照射位置から両端のビーム照射位置にかけて、次第に
    空間周波数が高くなるよう構成したことを特徴とするホ
    ログラム回転体。
  56. 【請求項56】前記ファセットのホログラム(820)
    は、その回転中心から走査中心のビームを発生させるビ
    ーム方向において、前記空間周波数を異ならしめ、前記
    方向と直交する方向では、空間周波数がゼロであるよう
    に分布してることを特徴とする請求項55のホログラム回
    転体。
  57. 【請求項57】前記ビームの方向の空間周波数は、前記
    ビーム方向の位置変化に対して、一次の関数であること
    を特徴とする請求項56のホログラム回転体。
  58. 【請求項58】前記ファセットのホログラム(820)の
    空間周波数は、前記回転中心に近くなるにつれて高くし
    たことを特徴とする請求項55のホログラム回転体。
  59. 【請求項59】光源部と、回転するホログラム回転体
    (902)と、該ホログラム回転体(902)と走査面との間
    に設けられた定置ホログラム板(903)とを有し、 該光源部からの入射ビーム(910)を、該ホログラム回
    転体(902)で回折するとともに、該ホログラム回転体
    (902)の回転により、回折光を走査し、該定置ホログ
    ラム板(903)で回折して、該走査面を光走査する光ビ
    ーム走査装置において、 該ホログラム回転体(902)に入射される入射ビーム(9
    10)のビーム径の短軸と、該ホログラム回転体(902)
    の回転方向を一致させたことを特徴とする光ビーム走査
    装置。
  60. 【請求項60】該入射ビーム(910)の位置と該ホログ
    ラム回転体(902)の回転中心、定置ホログラム板(90
    3)中心のなす角が90゜となるよう構成したことを特徴
    とする請求項59の光ビーム走査装置。
  61. 【請求項61】光源からの光を同時に複数の光に分配す
    る光配線装置において、第1のホログラム(600)に入
    射する光は収束波或いは平行波であり、該第1のホログ
    ラム(600)から複数の光を第2のホログラム(601)に
    向け出射し、該第2のホログラム(601)により複数の
    照射点(602)に該光を収束させる構成とされており、
    該光を複数点に分配する各点において、該光の主軸にお
    ける入射波,第1のホログラム(600)からの回折波,
    及び第2のホログラム(601)からの回折波の光路長の
    和と、周辺光束における入射波,第1のホログラム(60
    0)からの回折波,及び第2のホログラム(601)からの
    回折波の光路長の和との差の総和が最小となるよう前記
    第1及び第2のホログラム(600,601)を構成してなる
    ことを特徴とする光配線装置。
  62. 【請求項62】前記第1のホログラム(600)に入射す
    る収束波の収束位置は、前記第2のホログラム(601)
    の面近傍にあることを特徴とする請求項61の光配線装
    置。
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