JP2676375B2 - きのこ類の栽培方法 - Google Patents

きのこ類の栽培方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はきのこ類の栽培方法に関するものである。
(従来の技術) 従来シイタケ、ナメコ、ヒラタケ、エノキタケ等のき
のこ類の栽培は、ほだ木栽培あるいは鋸屑栽培で行われ
てきたが培養基をビンにつめて行う、いわゆるビン栽培
が人工栽培の一種として行われている。このような人工
栽培において、栽培室など施設の利用効率を上げ、生産
性を高めるために、きのこの生長を促進し栽培期間を短
縮する方法の開発が望まれている。
(発明が解決しようとする課題) このような目的を満足するため生育の過程によって温
湿度などを最適にした栽培室を設けて移動するなどの方
法をとっている。しかし、栽培室を分けて作るので施設
費がかさむなどの問題があり、また一時期に集中して移
動を行うため労働負荷が大きくなる。
一方、培地に添加しうる生長促進剤があればよい。し
かし、このようなものとしては食用に供するものを対象
とするので、使用しうる物質も非常に制限され、適当な
物質の開発が望まれている。
本発明は上記の自然栽培及び人工栽培のいずれにも使
用できる天然物由来で無害のきのこ類生長促進剤を用い
たきのこ類の栽培方法を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明者らはこのようなきのこ類の栽培に関する問題
点を克服するために鋭意研究を重ねた結果、エビやカニ
のカラを塩酸で処理することによって得られるD−グル
コサミンを添加して培地を調製し、これにきのこの種菌
を接種、培養することによりきのこの生長促進栽培に成
功し、本発明に到達するに至った。
すなわち本発明は、グルコサミン又はその塩を含有す
る培地を用いてきのこ類を栽培することを特徴とするき
のこ類の栽培方法を提供するものである。
本発明を適用しうる培地には特に制限はなく、液体培
地、木粉(鋸屑)培地でもよく、またほだ木を用いる自
然栽培に適用してもよい。例えば、びんに詰める培地
は、通常、鋸屑と米ヌカを主成分とするものあるいはポ
テトエキスにグルコースを添加したものなどがあるが、
これに制限されず、公知のどのような培地を用いてもよ
い。このような培地は従来からきのこ類、例えばエノキ
タケ、ナメコ、ヒラタケ、シイタケ、クリタケ、ブナシ
メジ、タモギタケ、マイタケ、ヤナギマツタケ、マッシ
ュルーム、マンネンタケなどの固体培地もしくは液体培
地として用いられている。とりわけ本発明の栽培方法は
食用きのこ類の栽培に好適である。
この培地は適量の水を含有することが必要である。水
分含有量は培養条件などを考慮して適宜定められるが、
エノキタケの固体培地では培地全体に対し60〜65重量%
が好ましい。
本発明に用いられるグルコサミンはD−体でもL−体
でもよいが、D−体がより好ましい。また、グルコサミ
ンは、塩酸塩などの無機酸の塩として用いるのが好まし
い。
グルコサミンの添加量は例えば人工培地中0.05重量%
以上が好ましく、0.3〜1.0重量%がより好ましい。グル
コサミンが少なすぎると子実体の発生が悪くなり、多す
ぎると子実体の形が正常でない場合がある。
グルコサミンの添加方法として、培地を調製する時に
添加してもよく、菌糸が生長した時点で子実体が発生す
る直前に添加してもよい。さらに一度子実体を発生させ
た培地を子実体収穫後再使用する時の添加も有効であ
る。ほだ木の場合も人工栽培に準じて適用しグルコサミ
ン又はその塩の水溶液中へほだ木を浸漬し、適宜含浸さ
せることができる。
(発明の効果) このようにしてつくられた培地できのこ類を栽培する
と、比較的短時間で子実体の発生にまで至り、また発生
する子実体の収量も従来のものに比しはるかに多く、肉
質のよい子実体が発生する。
(実施例) 次に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明する。
実施例1 次の培地を調製した。pHは1N水酸化ナトリウム又は1N
塩酸で調整した。
ポテトデキストロース液体培地 ポテトエキス 200.0g/ グルコース 20.0g/ チアミン 1mg/ pH 5.8 この培地5mlを20ml容広口びんに入れ、これにD−グ
ルコサミン塩酸塩を0.5重量%を混合し(培地Bとい
う)又は1.0重量%を混合して(培地Cという)培地を
調製し、これに供試用食用きのこ菌種としてエノキタケ
を接種、培養した。なおびんの口には布で軽く栓をし
た。またコントロールとしてD−グルコサミン塩酸塩を
添加しない培地(培地Aという)についてもエノキタケ
を接種、培養した。このようにしてエノキタケを20℃の
明所で20日間培養し、菌糸の生育状況を観察した結果、
D−グルコサミン塩酸塩1.0重量%添加区ではコントロ
ールよりも菌糸の生育が少し劣るが0.5重量%添加区で
は菌糸の生育がコントロールとほとんど同じであった。
菌糸の乾燥重量を第1表に示す。
上記と同様の培養試験を繰り返したところ培養後20日
間で菌糸が蔓延したので菌かきし、さらに培養したとこ
ろ66日目で添加区のサンプルびんすべてに子実体が見ら
れたが、コントロールには全く見られなかった。
実施例2 250容の水槽に水200を入れ、これにD−グルコサ
ミン塩酸塩1kgを添加混合し、完全に溶解させた。この
水槽に予めシイタケの菌糸を蔓延させたほだ木(直径約
10cm、長さ約100cm)10本を浸漬し、水温15℃で24時間
静置した。その後、ほだ木を水槽からひき上げ、シイタ
ケ培養を行った。一方、D−グルコサミン塩酸塩無添加
の水を入れた水槽に同様のほだ木を浸漬した後、同様に
シイタケ培養を行い、比較した。子実体の収量及び大き
さ別の個数を第2表に示す。
第2表の結果から明らかなように本発明によるグルコ
サミン塩酸塩添加区は子実体収量が多く、また子実体も
大型、中型が60%以上を占め肉質がよい。これに対し無
添加区では収量が少なく、小型の子実体が約60%を占め
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】グルコサミン又はその塩を含有する培地を
    用いてきのこ類を栽培することを特徴とするきのこ類の
    栽培方法。
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