JP2675273B2 - カムシャフトの給油構造 - Google Patents

カムシャフトの給油構造

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JP2675273B2 JP7055629A JP5562995A JP2675273B2 JP 2675273 B2 JP2675273 B2 JP 2675273B2 JP 7055629 A JP7055629 A JP 7055629A JP 5562995 A JP5562995 A JP 5562995A JP 2675273 B2 JP2675273 B2 JP 2675273B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本出願にかかる発明は、エンジ
ン、例えば自動車,特に自動二輪車に適したカムシャフ
トおよびその周辺部位の給油構造(この明細書において
単に「カムシャフトの給油構造」という)に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
自動二輪車,自動車を中心として、エンジンの高性能化
が促進され、とりわけ軽量で且つ高性能なエンジンが要
求される自動二輪車の場合、オーバーヘッドカム型エン
ジン、特にダブルオーバーヘッドカム型エンジンが多用
されている。
【0003】この種のカムシャフトを有するエンジン、
例えばダブルオーバーヘッドカム型エンジンでは、シリ
ンダヘッド上に吸気用のカムシャフトと排気用のカムシ
ャフトが平行に配設され、吸気バルブと排気バルブがそ
れぞれのカムシャフト上のカムによって駆動される。
【0004】上記各カムシャフト上に形成されているカ
ムは、カム面がバルブリフタ(タペット)に摺接・押圧
して適宜タイミングでバルブ(排気バルブあるいは吸気
バルブ)を開閉動作させる。
【0005】従って、エンジンが円滑に回転するために
は、カムシャフト、つまり、上記カムシャフトの支持部
分(ジャーナル部とも呼ばれている;カムシャフトの軸
受部とこれを支持するシリンダヘッド側の軸受面からな
る)、およびカムとバルブリフタ(タペット)との摺接
部分に、必要量の潤滑オイル(単にオイルともいう)が
供給される必要がある。
【0006】従来、上記カムシャフトの支持部分、およ
びカムとバルブリフタ(タペット)との摺接部分へのオ
イルの供給は、図7に図示するように、カムシャフト1
上方に、オイル供給管22を別に配設し、このオイル供
給管22に上記カムシャフト1の支持部分Bおよび上記
カムCとバルブリフタ(タペット)Lとの摺接部分へオ
イルを供給するためのオイル供給穴1cをそれぞれ設け
て、強制的にオイルを供給しようとする手法がある。
【0007】しかし、上記構成では、カムシャフト1上
に、オイル供給管22を配設するため、エンジンの全高
が高くなってしまい、自動二輪車あるいは自動車に搭載
した場合には、この高くなった分が、デザイン的にある
いは構造上の制限となってしまう。
【0008】また、別の給油手法として、図8に図示す
るように、カムシャフト1内に長手方向に延びるオイル
供給通路1bを形成するとともに、このオイル供給通路
1bから、半径方向外方へ延び外周面に至るオイル供給
穴1cを、上記カムシャフト1の支持部分Bと上記カム
C全ての部分に設けて、これらの必要な部分へオイルを
供給するものがある。
【0009】しかし、この構成の場合には、カムシャフ
ト1自体が硬い鋳鉄製であることから、生産コストを配
慮した製造技術上、直径2mmより小さい径の穴を開け
ることは困難である。
【0010】従って、この場合、全オイル供給穴1cの
合計断面積が、オイルポンプ側から供給されるオイル流
路の断面積を上回り、潤滑システム全体のバランスを損
なうとともに、カムシャフト部分へのオイルの供給圧力
が低下してしまう。
【0011】また、図9に図示するように、オイル供給
穴1cを軸受部1aのみに形成して、オイルの供給圧力
を所定圧力に保つようにすることも考えられるが、それ
ではオイルが部分的に不足する箇所ができる。
【0012】なお、この種の先行技術として、本出願人
の出願にかかる実開昭61−53507号,実願平5−
65502号がある。
【0013】本願発明は、このような現況に鑑みおこな
われたもので、製造技術上簡単に実施でき、しかもエン
ジンの全高を高くすることがなく、必要な箇所に必要な
量のオイルが適正にバランス良く供給できるカムシャフ
トの給油構造を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本請求項1記載の発明に
かかるカムシャフトの給油構造は、複数の軸受部によっ
て回転自在に支持されているカムシャフトに、長手方向
に沿って内部にオイル供給通路を形成し、このオイル供
給通路から外周面に連通するオイル供給穴を形成すると
ともに、このオイル供給穴とシリンダ側の軸受面との間
にカム側へオイルを導く隙間を、供給側から離れた部位
では大きくするとともに、最も小さい隙間は通常の軸受
機構のクリアランスのみで形成し、大きな隙間はカムシ
ャフトのオイル供給穴の一部がシリンダの軸受面から露
呈させることによって形成して、カムシャフトの所定の
軸受部とカム周辺にオイルを供給するよう構成したカム
シャフトの給油構造において、上記カムシャフトが排気
用と吸気用の2本のカムシャフトからなり、排気用ある
いは吸気用のいずれか1本のカムシャフトのオイル供給
通路へは直接シリンダヘッド側からオイルを供給し、残
りの1本のカムシャフトのオイル供給通路へは上記1本
のカムシャフトを経てオイルを間接的に供給するよう構
成し、 上記直接シリンダヘッド側からオイルの供給をう
けるカムシャフト側の隙間を、上記間接的に供給するカ
ムシャフト側の隙間より、小さくしたことを特徴とす
【0015】本請求項2記載の発明にかかるカムシャフ
トの給油構造は、請求項1記載のカムシャフトの給油
造において、カムシャフトに形成されているカムのうち
カムチェーン側に最も近いカムに、カムシャフトの内部
のオイル供給通路から外周面に連通する第2のオイル供
給穴を設けると、カムチェーンの張力によってカムシャ
フトが多少変形してカムチェーン側に最も近いカム近傍
の隙間を狭めるような状況になっても、該カムチェーン
側に最も近いカムにも、円滑にオイルを供給することが
できる。
【0016】
【作用】しかして、本請求項1記載の発明にかかるカム
シャフトの給油構造によれば、排気用と吸気用の各カム
シャフトにバランス良くオイルを供給することができ
る。そして、カムシャフトの支持部分(軸受部と軸受
面)及びカム周辺部位には、カムシャフトの軸受部とシ
リンダ側の軸受面との間の隙間から吐出するオイルによ
って潤滑され、しかも、給油側から離れた部位では上記
隙間が大きくなっているため、圧力の高いところでは小
さな隙間から、また圧力の低下したところでは大きな隙
間から、ほぼ均一のオイルが供給される結果、全体にバ
ランス良くオイルが供給される。また、上記隙間を、通
常の軸受機構のクリアランスのみで形成した最も小さい
隙間と、カムシャフトのオイル供給穴の一部がシリンダ
の軸受面から露呈させて形成する大きな隙間(大きい隙
間)で構成すると、最小の隙間から隙間の大きい隙間が
露呈程度を調整するだけで任意に形成できるため、従来
の給油構造の如きドリルで穿設して形成するオイル給油
穴に比べて簡単に加工がおこなえ且つ所定の給油量に設
定することが容易となり、加工工数も低減できる。
【0017】
【実施例】以下、本願発明の実施例にかかるカムシャフ
トの給油構造を図面を参照しながら具体的に説明する。
【0018】図1は本願発明の実施例にかかるカムシャ
フトの給油構造を示すダブルオーバーヘッドカム型4気
筒エンジンのシリンダヘッドカバーとベアリングキャッ
プを取り除いた状態での平面図、図2は図1に示す吸気
側のカムシャフトのカムチェーン近傍部位の構成を示す
図1のI−I矢視部分側断面図、図4は図1に示す排気
側のカムシャフトのカムチェーン側の構成を示す図1の
II−II矢視部分側断面図である。
【0019】図1において、1はカムシャフトで、1A
は吸気用のカムシャフト、1Bは排気用のカムシャフ
ト、2はシリンダヘッドである。
【0020】上記吸気用のカムシャフト1Aと排気用の
カムシャフト1Bは、共に長手方向略全域にわたるオイ
ル供給通路1bが内部に形成され、両端はオイルが流出
しないよう閉塞されている。そして、これら吸気用のカ
ムシャフト1Aと排気用のカムシャフト1Bは、それぞ
れシリンダヘッド2上に回転自在に並設されている。つ
まり、各カムシャフト1A,1Bには、適宜間隔で軸受
部1aがそれぞれ5箇所設けられ、この軸受部1aが、
シリンダヘッド2側に凹設された軸受面2a上に回転自
在に支持されている。また、各カムシャフト1A,1B
の一端(図1において右端)には、図示しないチェーン
を介してクランク軸(図示せず)によって駆動されるカ
ムチェーン用のスプロケット3が固設されている。
【0021】そして、この実施例では、吸気用のカムシ
ャフト1Aの図1において右端の軸受部(第1軸受部と
いう)1a1 には、オイル流入穴1dが周方向に4箇所
形成されている。このオイル流入穴1dには、シリンダ
ヘッド2の上面に形成されている吐出口2bから、図示
しないベアリングキャップに形成された連通路を介して
加圧されたオイルが供給されるよう構成されている。そ
して、上記吐出口2bは、基端が潤滑オイルポンプ(図
示せず)につながるオイル供給流路につながり、このオ
イル供給路から、加圧されたオイルが供給されるよう構
成されている。つまり、上記オイル流入穴1dのあるカ
ムシャフト1Aの第1軸受部1a1 は、シリンダヘッド
2の第1軸受面2a1 と図示しないベアリングキャップ
の軸受面で回転自在に支持されるが、この図示しないベ
アリングキャップの軸受面に、半リング状の供給路4a
(図3参照)と、該供給路4aと上記吐出口2bをつな
ぐ図示しない連通路が、形成されることによって、この
シリンダヘッド2上面の吐出口2bから上記オイル流入
穴1dに加圧されたオイルが供給される。
【0022】また、このカムシャフト1Aの第1軸受部
1a1 を除く各軸受部1aには、内部のオイル供給通路
1bと外周面を連通するオイル供給穴1cが形成され、
軸受部1aとそこに当接するシリンダヘッド2側の軸受
面2a(図1において二本の破線で囲まれた「くびれ」
状の部分参照)からなる支持部分にオイルを供給するよ
う構成されている。そして、上記オイル供給穴1cは、
加工が容易な直径2mm以上のドリルによって穿設した
ものでよい。
【0023】そして、上記カムシャフト1Bの、図1に
おいて右端の軸受部(第1軸受部という)1a1 ´に
は、オイル流入穴1dが周方向に4箇所形成され、この
オイル流入穴1dには、上記カムシャフト1Aの半リン
グ状の供給路4a(図3参照)から連通路を介してオイ
ルが供給される。つまり、上記オイル流入穴1dのある
カムシャフト1Bの第1軸受部1a1 ´は、シリンダヘ
ッド2の第1軸受面2a1´とベアリングキャップ4
(図4参照)の軸受面で回転自在に支持されるが、この
ベアリングキャップ4の軸受面に、半リング状の供給路
4a(図4参照)と、該供給路4aと上記カムシャフト
1A側の半リング状の供給路4a(図3参照)をつなぐ
図示しない連通路が、形成されることによって、該カム
シャフト1A側を経てやや圧力の低下したオイルが供給
される。また、このカムシャフト1Bの第1軸受部1a
1 ´を除く各軸受部1a(1a2 ´〜1a5´ )には、
内部のオイル供給通路1bと外周面を連通するオイル供
給穴1cが形成され、軸受部1aとそこに当接するシリ
ンダヘッド2側の軸受面2aからなる支持部分にオイル
を供給するよう構成されている。上記オイル供給穴1c
も、加工が容易な直径2mm以上のドリルによって穿設
したものでよい。
【0024】ところで、図2あるいは図3に図示するよ
うに、上記カムシャフト1Aの第1軸受部1a1 では、
カムシャフト1Aに形成されているオイル流入穴1dの
一部(カムC1 側よりの一部)が、軸受面2aから下方
に露呈するよう、軸受面2aを図1に破線で図示するよ
うに切り欠いて、図2,図3に図示するようにオイル供
給穴1c(図2参照)を軸受面2aから位置的にずらし
ている。そして、図2に図示するように、カムシャフト
1Aの第2軸受部1a2 では、カムシャフト1Aに形成
されているオイル供給穴1cが軸受面2a上にあって、
オイルは第2軸受部1a2 と軸受面2aの隙間、つまり
軸受機構の通常のクリアランスのみで構成されている隙
間から供給されるよう構成されている。なお、図2,図
, 図4において、4はベアリングキャップである。
【0025】さらに、図示しないが、カムシャフト1A
の第3軸受部1a3 ,第4軸受部1a4 , 第5軸受部1
5 でも、上記第2軸受部1a2 の場合と同様に、それ
ぞれ軸受面2aとの隙間は、軸受機構の通常のクリアラ
ンスのみで構成されている。
【0026】従って、この実施例においてオイルの供給
側に近いこの吸気用のカムシャフト1Aでは、支持部分
近傍のカムC1 は、供給されるオイルの圧力がカムシャ
フト1B側に比して高いため、第1軸受部1a1 を除い
て、全て軸受機構の通常のクリアランスからなる隙間よ
り突出(流出)するオイルで給油されることになる。
【0027】但し、下流側の軸受部(第2軸受部1a2
以降の軸受部)1aにおいてオイル供給量が不足する懸
念のある場合には、図5に図示するように、オイル供給
穴1cの外周面を面取りすることによって、あるいはオ
イル供給穴1cを軸受面2aから位置的にずらすことに
よって、より大きな隙間を形成すればよい。また、この
場合には、下流側のオイル供給穴1cほど外周面の面取
り程度を大きくする等して、各軸受部1aでのオイルの
供給量を均一にしてもよい。
【0028】また、図4に図示するように、上記排気用
のカムシャフト1Bの第1軸受部1a1 ´では、カムシ
ャフト1Bに形成されているオイル流入穴1dが軸受面
2a(2a1 ´)上にあって、第1軸受部1a1 ´と軸
受面2a1 ´の隙間は、軸受機構の通常のクリアランス
のみで構成され、従って、隣接するカムC1 へは、圧力
が低いカムシャフト1Bではオイルはこの隙間から少量
しか供給されない。そこで、このカムシャフト1Bで
は、この第1軸受部1a1 ´に隣接するカムC1に内部
のオイル供給通路1bから外周面に至る第2のオイル供
給穴1c´を穿設して形成し、この第2のオイル供給穴
1c´から供給されるオイルで上記カムC1 が潤滑され
るよう構成されている。なお、このオイル供給穴1c´
は加工の容易な最小径である直径2mm程度の径となっ
ている。
【0029】そして、カムシャフト1Bの第2軸受部1
2 ´では、図4あるいは図5に図示するように、オイ
ル供給穴1cが形成されるとともにその外周面が面取り
されることによって、オイル供給穴1cがシリンダヘッ
ド2の軸受面2aから露呈するようにして、大きな隙間
が形成されている。なお、図4において、4はベアリン
グキャップである。
【0030】また、図示しないが、カムシャフト1Bの
第3軸受部1a3 ´,第4軸受部1a4 ´, 第5軸受部
1a5 ´でも、上記第2軸受部1a2 ´の場合と同様
に、オイル供給穴1cの外周面を面取りすることによっ
て、積極的に隙間が形成されている。
【0031】このため、図5に拡大して詳細に図示する
ように、各軸受部1aのオイル供給穴1cからのオイル
は両方に分かれて両側のカムCを潤滑することができる
よう構成されている。
【0032】そして、上記全ての隙間の合計断面積が、
上記吐出口2bの断面積を上回ることがないよう設定さ
れている。
【0033】しかして、このように構成された本実施例
にかかるカムシャフトの給油構造によれば、以下のよう
にカムシャフトの支持部分とカム周辺を潤滑する。
【0034】即ち、エンジン運転中は、図示しない潤滑
オイルポンプにつながるオイル供給流路から加圧された
オイルが供給され、このオイルは図1に示すシリンダヘ
ッド2上面の吐出口2bから、図示しないベアリングキ
ャップの連通路および半リング状の供給路4a(図3参
照)を介して、吸気用のカムシャフト1Aのオイル流入
穴1dから内部のオイル供給通路1bに供給される。こ
のため、オイル供給通路1b内へ流入するオイルによっ
てカムシャフト1Aの第1軸受部1a1 は供給される。
また、この際、図2に図示するように、第1軸受部1a
1 では、オイル流入穴1dの一部が軸受面2aから下方
に露出しているため、ここからオイルが突出して隣接す
るカムC1 へオイルが供給される。
【0035】そして、第2軸受部1a2 から第5軸受部
1a5 までの各軸受部1aでは、上記軸受機構の通常の
クリアランスからなる隙間から、各軸受部1aに隣接し
たカムCにオイルが供給されが、このカムシャフト1A
が供給側に設けられ比較的オイルの圧力が高いため、必
要且つ十分な潤滑がおこなわれる。
【0036】一方、排気用のカムシャフト1Bへは、上
記吸気用のカムシャフト1A(正確にはカムシャフト1
Aの第1軸受部1a1 の一部)を経て間接的にオイルが
供給される。このため、オイルの圧力はカムシャフト1
Aのオイルの圧力に比べてやや低下している。そして、
カムシャフト1Bでは、オイル流入穴1dを経て内部の
オイル供給通路1bに供給される。このため、オイル供
給通路1b内へ流入するオイルによってカムシャフト1
Bの第1軸受部1a1 ´は潤滑される。
【0037】そして、カムシャフト1Bの第1軸受部1
1 ´に隣接するカムC1 は、そこに形成されている第
2のオイル供給穴1c´から供給されるオイルによって
潤滑される。従って、オイルの圧力は比較的低いが、十
分な量のオイルによって潤滑されることになる。
【0038】また、カムシャフト1Bの第2軸受部1a
2 ´から第5軸受部1a5 ´までの各軸受部1aでは、
外周面が面取りされた各オイル供給穴1cから両側にオ
イルが供給されて各両側のカムCにオイルを供給するこ
とができる。そして、この第2軸受部1a2 ´から第5
軸受部1a5 ´でも、オイルの圧力はカムシャフト1A
に比べて低いが、上述のようにオイル供給穴1cを面取
りすることによって大きな隙間が形成されているため、
十分な量のオイルによって潤滑されることになる。
【0039】このように、このカムシャフトの給油構造
は、圧力が低くなる下流側のカムシャフト(1B)で隙
間を大きくしてオイルの供給量を増やすよう配慮してい
るため、上流側(供給側)にある吸気用のカムシャフト
1Aとその下流側にある排気用のカムシャフト1Bへ
も、バランスよく給油することができる。
【0040】また、一般に、カムシャフト1は、カムチ
ェーンの張力によって、スプロケット3が付設されてい
る図1において右端で下方(図1において紙面直角方向
の奥方)へ湾曲させるような応力が作用して、図6に誇
張して図示するような状態になり、第2軸受部1a2 ´
のオイル供給穴1cのカムC1 側への給油が損なわれる
が、排気側のカムシャフト1Bでは第1軸受部1a1 ´
に近接したカムC1 に第2のオイル供給穴1c´が形成
されているため、このような応力が作用している状況下
においても、第1軸受部1a1 ´および近傍のカムC1
において円滑な潤滑がおこなわれる。
【0041】
【発明の効果】本願発明にかかるカムシャフトの給油構
造によれば、カムシャフトへの小径の穿設加工を可及的
に無くすことによって簡単に製造することができ、しか
もオイル供給穴の径に関係なくオイルを供給するための
隙間を自在に設定することが可能となる。従って、カム
シャフトの給油構造のための加工が容易になるととも
に、加工工数を削減される。
【0042】しかも、エンジンの全高を高くすることが
なく、供給側もその下流側もオイルの供給圧力の変化に
かかわらずバンラスの良い潤滑をおこなうことができ
る。
【0043】特に、請求項1記載のカムシャフトの給油
構造によれば、一箇所からオイルが供給される吸気用と
排気用の2本のカムシャフトにおいてそれぞれ均一なバ
ランスの良い潤滑をおこなうことができる。
【0044】また、請求項2記載のカムシャフトの給油
構造によれば、特に必要な箇所には積極的に潤滑するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の実施例にかかるカムシャフトの給
油構造を示すダブルオーバーヘッドカム型4気筒エンジ
ンのシリンダヘッドカバーとベアリングキャップを取り
除いた状態での平面図である。
【図2】 図1に示す吸気側のカムシャフトのカムチェ
ーン近傍部位の構成を示す図1のI−I矢視部分側断面
図である。
【図3】 図2に示す第1軸受部近傍の詳細な構成を示
す図2の二点鎖線Xで囲んだ部分の拡大図である。
【図4】 図1に示す排気側のカムシャフトのカムチェ
ーン側の構成を示す図1のII−II矢視部分側断面図であ
る。
【図5】 図3に示す第2軸受部近傍の詳細な構成を示
す図3の二点鎖線Yで囲んだ部分の拡大図である。
【図6】 図4に示す排気用のカムシャフトにカムチェ
ーン側からの張力が作用して変形した状態を誇張して図
示した部分側断面図である。
【図7】 従来のカムシャフトの給油構造を示すカムシ
ャフトの一部とその上方のオイル供給管を表した部分側
断面図である。
【図8】 従来のカムシャフトの給油構造を示すカムシ
ャフトの一部を表した部分側断面図である。
【図9】 従来のカムシャフトの給油構造を示すカムシ
ャフトの一部を表した部分側断面図である。
【符号の説明】
1…カムシャフト 1A…吸気用のカムシャフト 1B…排気用のカムシャフト 1a…軸受部 1b…オイル供給通路 1c…オイル供給穴 1c´…第2のオイル供給穴 2…シリンダヘッド 2a…軸受面 C…カム

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の軸受部によって回転自在に支持さ
    れているカムシャフトに、長手方向に沿って内部にオイ
    ル供給通路を形成し、このオイル供給通路から外周面に
    連通するオイル供給穴を形成するとともに、このオイル
    供給穴とシリンダ側の軸受面との間にカム側へオイルを
    導く隙間を、供給側から離れた部位では大きくするとと
    もに、最も小さい隙間は通常の軸受機構のクリアランス
    のみで形成し、大きな隙間はカムシャフトのオイル供給
    穴の一部がシリンダの軸受面から露呈させることによっ
    て形成して、カムシャフトの所定の軸受部とカム周辺に
    オイルを供給するよう構成したカムシャフトの給油構造
    において、上記カムシャフトが排気用と吸気用の2本のカムシャフ
    トからなり、排気用あるいは吸気用のいずれか1本のカ
    ムシャフトのオイル供給通路へは直接シリンダヘッド側
    からオイルを供給し、残りの1本のカムシャフトのオイ
    ル供給通路へは上記1本のカムシャフトを経てオイルを
    間接的に供給するよう構成し、 上記直接シリンダヘッド側からオイルの供給をうけるカ
    ムシャフト側の隙間を、上記間接的に供給するカムシャ
    フト側の隙間より、小さくしたことを特徴とする カムシ
    ャフトの給油構造。
  2. 【請求項2】 前記カムシャフトに形成されているカム
    のうちカムチェーン側に最も近いカムに、カムシャフト
    の内部のオイル供給通路から外周面に連通する第2のオ
    イル供給穴を設けたことを特徴とする請求項1記載のカ
    ムシャフトの給油構造。
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