JP4406221B2 - 潤滑オイル供給構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オイル供給路を通じて被潤滑部に潤滑オイルを供給する潤滑オイル供給構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の潤滑オイル供給構造としては、例えば特許文献1に見られるような、内燃機関のバランスシャフトの軸受部の潤滑に用いられる構造が知られている。
【0003】
バランスシャフトは、内燃機関のシリンダブロックに設けられた軸受に回転可能に支持されている。バランスシャフトと軸受との摺接部には、所定量の間隙、すなわちオイルクリアランスが形成されており、そのオイルクリアランスには、シリンダブロック内部等に形成されたオイル供給路を通じて所定圧の潤滑オイルが供給されている。そしてその供給された潤滑オイルによって、バランスシャフトと軸受との間に油膜を形成することで、バランスシャフト軸受部の潤滑がなされている。
【0004】
【特許文献1】
実開昭62−130137号公報(第3−4頁、第2−3図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところでこうした潤滑オイル供給構造では、製造時の誤差等による上記軸受部のオイルクリアランス寸法のばらつきのため、バランスシャフト軸受部からの潤滑オイルのリーク量が変化して、同軸受部の潤滑オイルの消費量に個体差が生じる。こうした潤滑オイル消費量の個体差は、軸受部に形成される油膜の厚さに影響し、潤滑性能の低下を招く要因となる。
【0006】
ちなみに、バランスシャフト軸受部には通常、オイルポンプからシリンダヘッド内部に形成されたオイルギャラリを通じて潤滑オイルが供給されるようになっている。オイルギャラリからは、バランスシャフト軸受部以外にも、クランクシャフト軸受部等の他の被潤滑部にも潤滑オイルが分配供給されている。そのため、バランスシャフト軸受部の潤滑オイルの消費量が本来よりも多ければ、オイルギャラリ内のオイル圧が低下して、他の潤滑部の潤滑性能にも悪影響を与える虞がある。
【0007】
なおこうした問題は、バランスシャフト軸受部の場合に限らず、例えば上記クランクシャフト軸受部等の他の被潤滑部の潤滑オイル供給構造においても、概ね共通したものとなっている。
【0008】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、オイルクリアランス寸法の個体差に起因した被潤滑部の潤滑オイル消費量のばらつきを好適に抑制することのできる潤滑オイル供給構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
先ず、請求項1記載の発明は、オイル供給路を通じて内燃機関の被潤滑部に潤滑オイルを供給する潤滑オイル供給構造であって、前記オイル供給路は、前記被潤滑部のオイルクリアランスに潤滑オイルを流入させる流入口を有し、前記流入口の最小流路面積を、前記オイルクリアランスにおける潤滑オイルの流路面積以下で、且つ前記オイルクリアランスの流路面積がその許容寸法範囲内において最小となるときの流路面積とほぼ同一の面積に設定したことをその要旨とする。
【0010】
分岐や合流のないオイル経路では、そのオイル経路内での最小流路面積によって潤滑オイルの流量が制限される。ここで上記構成の潤滑オイル供給構造では、オイル供給路から被潤滑部に至り、その被潤滑部のオイルクリアランスからリークされる潤滑オイルのオイル経路が形成されている。そしてオイル供給路の上記流入口の最小流路面積が、被潤滑部のオイルクリアランスにおける潤滑オイルの流路面積以下の面積に設定されている。そのため、上記構成の上記オイル経路の潤滑オイルの流量は、オイル供給路の最小流路面積とされた流入口にて規制されるようになり、オイルクリアランス寸法に依存されないようになる。従って上記構成によれば、オイルクリアランス寸法の個体差に起因した被潤滑部の潤滑オイル消費量のばらつきを好適に抑制することができる。
又、上記のようにオイル供給路の上記流入口の最小流路面積を小さくすれば、自ずとオイルクリアランスへの潤滑オイルの供給量は減ることとなる。その点、上記構成では、オイルクリアランス寸法の個体差に起因した被潤滑部の潤滑オイル消費量のばらつきを回避し得る範囲内で、オイルクリアランスへの潤滑オイルの供給量を最大限に確保することができる。
ちなみに通常、オイルクリアランスの許容寸法範囲は、オイルクリアランスにおける潤滑オイルの流路面積がその範囲内で最小となったときにも、潤滑性能の確保に十分な量の潤滑オイルの供給を許容できるように設定されている。よって、上記のような最小流路面積の設定を通じて、潤滑オイル消費量のばらつきを回避しつつ、必要十分な潤滑オイルの供給量を確保することができる。
【0012】
また、上記構成では、オイル供給路にあって、外部に露呈するオイルクリアランスへの潤滑オイルの流入口に上記最小流路面積となる部位が形成されるため、容易且つ高精度にそうした部位を形成することができる。
【0016】
被潤滑部が複数ある場合にも、被潤滑部のそれぞれに上記各請求項に記載の潤滑オイル供給構造を適用することで、各被潤滑部の上記潤滑オイル消費量のばらつきを抑制することが可能である。一方、請求項2に記載の構成では、そうした複数の被潤滑部の潤滑オイル消費量のばらつきを一括して抑制することができる。
【0017】
請求項2記載の発明は、オイル供給路を通じて内燃機関の複数の被潤滑部に潤滑オイルを分配供給する潤滑オイル供給構造であって、前記オイル供給路は、前記複数の被潤滑部の各オイルクリアランスよりもオイル流れ方向上流側に設けられて前記各オイルクリアランスに潤滑オイルを流入させる流入口を有し、前記流入口の最小流路面積を、前記各オイルクリアランスにおける潤滑オイルの流路面積の総和以下で、且つ前記各オイルクリアランスの流路面積がその許容寸法範囲内において最小となるときの流路面積を総和したものとほぼ同一の面積に設定したことをその要旨とする。
【0019】
上記のようにオイル経路の潤滑オイルの流量は、そのオイル経路にあって最小流路面積とされた部位にて制限される。そうした潤滑オイルの流量は、近似的には、オイル経路の最小流路面積に概ね比例する。
【0020】
一方、請求項2に記載の潤滑オイル供給構造では、オイル供給路から各被潤滑部にそれぞれ分岐されて、各被潤滑部のオイルクリアランスからそれぞれリークされるように、途中分岐されたオイル経路が形成されている。ここで潤滑オイルの流量とオイル経路の最小流路面積との上記関係に基づけば、途中で複数に分岐されたオイル経路では、分岐後の各流路の最小流路面積の総和、及び分岐前のオイル経路の最小流路面積のいずれか小さい方によって、潤滑オイルの流量が決定される。
【0021】
さて請求項2に記載の構成では、オイル供給路の上記流入口の最小流路面積が、各被潤滑部のオイルクリアランスにおける潤滑オイルの流路面積の総和以下の面積に設定されている。そのため、潤滑オイルの流量は、オイル供給路の最小流路面積とされた流入口にて規制されるようになり、オイルクリアランス寸法に依存されないようになる。従って上記構成によれば、オイルクリアランス寸法の個体差に起因した被潤滑部の潤滑オイル消費量のばらつきを一括して好適に抑制することができる。
【0022】
ちなみに、こうした場合、複数の被潤滑部に対して、最小流路面積に設定された部位を1箇所しか必要としないため、各被潤滑部のオイル供給路に最小流路面積とされた部位を個別に設定した場合に比して、構成の簡易化が可能である。
【0023】
更に請求項2に記載のような最小流路面積の設定によれば、上記潤滑オイル消費量のばらつきを回避し得る範囲内で、各被潤滑部への潤滑オイルの供給量を最大限に確保することができる。
【0024】
なお請求項1または2に記載の各構成は、請求項3に記載のように、内燃機関のバランスシャフトの軸受部を被潤滑部として潤滑オイルを供給する潤滑オイル供給構造に適用することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、バランスシャフトの軸受部に潤滑オイルを供給する潤滑オイル供給構造として具体化した一実施形の形態について説明する。
【0026】
図1に示されるバランスシャフト10は、内燃機関のシリンダブロックに形成された支持部16,26に回転可能に支持されている。詳しくは、支持部16,26には、軸受となるライナ14,24が内周に設けられた円形の孔が形成されており、バランスシャフト10に形成されたジャーナル12,22の外周面がライナ14,24の内周面に摺接した状態で、バランスシャフト10が支持されている。
【0027】
バランスシャフト10は、内燃機関のクランクシャフトからの回転伝達によって回転するようになっている。バランスシャフト10には、その重心を軸心上からずらすための重りであるアンバランスマス(図示略)が設けられている。そして、内燃機関の運転中にピストンが往復移動するとともにバランスシャフト10が回転すると、その回転に基づき上記ピストンの慣性力が打ち消され、その慣性力によって生じる振動の発生が抑制される。
【0028】
次に、こうしたバランスシャフト10の軸受部に潤滑オイルを供給する潤滑オイル供給構造について説明する。
内燃機関のシリンダブロック内部には、オイルポンプによってオイルパン内から吸引され、加圧吐出された潤滑オイルが供給されるメインオイルギャラリが形成されている。そしてメインオイルギャラリからは、内燃機関の各被潤滑部に潤滑オイルが分配供給されるようになっている。
【0029】
上記支持部16の内部には、そうしたメインオイルギャラリに連通されたオイル供給路30が形成されている。オイル供給路30は、内周に上記ライナ14の配設された孔まで延伸されており、そのライナ14に形成された開口部32を介して、ライナ14の内周面とジャーナル12の外周面との間隙に連通されている。
【0030】
ジャーナル12の外周面には、周方向に延びる環状溝36が形成されている。又バランスシャフト10の内部には、ジャーナル12の外周面の環状溝36、及びもう一方のジャーナル22の外周面にそれぞれ開口され、それらを連通する連通路34が形成されている。
【0031】
メインオイルギャラリから支持部16内のオイル供給路30を通じて送られた潤滑オイルは、ライナ14の開口部32を介して、ジャーナル12外周の環状溝36に流入される。こうして環状溝36に流入した潤滑オイルの一部は、ジャーナル12の外周面とライナ14の内周面との間に形成されるオイルクリアランスに供給される。これにより、そのオイルクリアランスに油膜が形成され、ジャーナル12とライナ14との摺接部の潤滑が行われる。潤滑に用いられた潤滑オイルは、オイルクリアランスの軸方向両縁から外部にリークされる。
【0032】
一方、環状溝36に流入した潤滑オイルの残りの部分は、連通路34を通じてもう一方のジャーナル22に送られ、その外周面とライナ24の内周面との間に形成されるオイルクリアランスに供給される。こうしてそのオイルクリアランスに供給された潤滑オイルは、油膜を形成してジャーナル22とライナ24との摺接部の潤滑を行った後、そのオイルクリアランスの軸方向両縁から外部にリークされる。
【0033】
このように、本実施の形態の潤滑オイル供給構造においては、オイル供給路30を通じて送られる潤滑オイルは、ジャーナル12とライナ14との軸受部、及びジャーナル22とライナ24との軸受部の2つの被潤滑部に分配供給されている。すなわちこの潤滑オイル供給構造では、オイル供給路30から開口部32を通じて環状溝36に至ったところで、オイル経路が2つに分岐されている。以下、分岐後の2つの経路のうち、ジャーナル12とライナ14とのオイルクリアランスを介して外部にリークされる経路を「第1の経路」という。又、連通路34を通り、ジャーナル22とライナ24とのオイルクリアランスを通じて外部にリークされるもう一方の経路を「第2の経路」という。
【0034】
こうしたバランスシャフト10の軸受部における潤滑オイルの消費量は、上記各オイルクリアランスからの潤滑オイルのリーク量の和となる。そうした潤滑オイルのリーク量は、通常は、オイルクリアランスの寸法、より厳密にはオイルクリアランスにおける潤滑オイルの流路面積の大きさによって決まる。
【0035】
一方、ジャーナル12,22の外径やライナ14,24の内径には、その製造に際して一定の寸法公差が許容されているため、オイルクリアランスの大きさには個体差がある。そのため、バランスシャフト10の軸受部における潤滑オイルの消費量に、機関毎のばらつきが生じてしまうこととなる。
【0036】
そこで本実施の形態の潤滑オイル供給構造では、上記開口部32における潤滑オイルの流路面積の設定を通じて、潤滑オイルのリーク量がオイルクリアランス寸法に依存しないように、潤滑オイルの供給量を制限するようにしている。そしてこれにより、上記のような潤滑オイル消費量のばらつきを抑制して、潤滑オイルの安定した供給が行なえるようにしている。
【0037】
以下、そうした開口部32の流路面積の設定態様について説明する。
オイル供給圧一定の条件で、分岐や合流のないオイル経路の潤滑オイルの流量は、そのオイル経路における流路面積が最小となる部位(厳密には有効開口面積が最小となる部位)によって制限される。そしてその流量は、近似的にはオイル経路の最小流路面積に概ね比例する。従って本実施の形態のような途中で分岐されたオイル経路の流量は、分岐後の各経路の最小流路面積の総和、及び分岐前の経路における最小流路面積のうちの小さい方によって制限されるようになる。
【0038】
さて本実施の形態では、分岐後の各経路、すなわち上記第1及び第2の経路の最小流路面積となる部位は、ジャーナル12,22、ライナ14,24間の各オイルクリアランスの部位となっている。よって分岐前のオイル経路、すなわち環状溝36よりもオイル流れの上流側に、それらオイルクリアランスにおける潤滑オイルの流路面積の和以下の流路面積となる部位を形成すれば、オイル経路の潤滑オイルの流量が、オイルクリアランス寸法に依存されないようになる。
【0039】
そこで本実施の形態では、開口部32の流路面積を、各オイルクリアランスにおける潤滑オイルの流路面積の和以下の面積に設定するようにしている。この開口部32を円孔とした場合、その径dは下記態様で求めることができる。
【0040】
図2に、ジャーナル12側の軸受部の拡大断面構造を示す。同図では、オイルクリアランスの大きさが誇張して示されている。
ここでジャーナル12の外径の寸法公差範囲の下限値をAmin、上限値をAmaxとし、ライナ14の内径の寸法公差範囲の下限値をBmin、上限値をBmaxとする。このときのジャーナル12、ライナ14間のオイルクリアランスにおける潤滑オイルの流路面積の許容寸法範囲内の最小値Y1は、下式(1)の通りとなる。ここでπは、円周率を示している。
【0041】
【数1】
一方、ジャーナル22の外径の寸法公差範囲の下限値、上限値をCmin、Cmaxとし、ライナ24の内径の寸法公差範囲の下限値をDmin、上限値をDmaxとすれば、それらのオイルクリアランスにおける潤滑オイルの流路面積の許容寸法範囲内の最小値Y2は、下式(2)の通りとなる。
【0042】
【数2】
よって、開口部32の径dは、同開口部32の流路面積Yが上記最小値Y1及び最小値Y2の和以下となるように設定すれば良い(Y≦Y1+Y2)。本実施の形態では、潤滑オイル供給量がより多く確保されるように、上記流路面積Yが上記最小値Y1及び最小値Y2の和と一致するように、開口部32の径dを設定している。そうした開口部32の径dは、下式(3)に基づき算出される。
【0043】
【数3】
こうして径dの設定された開口部32は、オイルクリアランス寸法の個体差に拘わらず、本実施の形態に係る潤滑オイル供給構造におけるオイル経路の潤滑オイル流量を規定する最小絞り部となる。ちなみにそうした最小絞り部は、環状溝36よりもオイル流れの上流側であれば、潤滑オイル消費量のオイルクリアランス寸法への依存の回避は可能であるが、本実施の形態で、特に上記開口部32を最小絞り部としているのは、次の理由による。
【0044】
先ず、連通路34内の潤滑オイルには、バランスシャフト10の回転に伴う遠心力によって同連通路34の外部に押し出そうとする力が作用している。このため、オイル供給路30から環状溝36へと潤滑オイルを供給する際には、そうした力に抗して潤滑オイルを連通路34に押し込む必要がある。これに対し、オイル供給路30の中でも最もバランスシャフト10に近い位置に配設されるライナ14の開口部32を最小絞り部とすることで、オイル供給路30からオイルクリアランスに吐出される潤滑オイルの圧力、ひいては連通路34に送られる潤滑オイルの圧力が好適に高められる。これにより、オイル供給路30から連通路34へと潤滑オイルを好適に供給することが可能になる。
【0045】
又、オイルクリアランスの通路面積は極めて小さいために、その加工の都合上、同通路面積に相当する面積の穴、或いはそれよりも小さい穴を支持部16の内部に形成することは難しい。これに対し、開口部32を最小絞り部とすることで、そうしたごく小さな穴を、ライナ14にプレス加工等の簡易な加工手法をもって精度良く形成することができる。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)オイル供給路30における最小流路面積を各オイルクリアランスにおける潤滑オイルの流路面積の総和以下の面積に設定するようにした。このため、オイル供給路30を流れる潤滑オイルの流量は、同オイル供給路30の最小流路面積とされた部分にて規制されるようになり、各オイルクリアランス寸法に依存されないようになる。従って、各オイルクリアランス寸法の個体差に起因した被潤滑部の潤滑オイル消費量のばらつきを一括して好適に抑制することができるようになる。
【0047】
(2)また、上記最小流路面積を、各オイルクリアランスの流路面積がその許容寸法範囲内で最小となるときの流路面積を総和したものと同一の面積に設定するようにした。このため、潤滑オイル消費量のばらつきを回避し得る範囲内で、各被潤滑部への潤滑オイルの供給量を最大限に確保することができるようになる。
【0048】
(3)オイルクリアランスへの潤滑オイルの流入口である開口部32を最小絞り部としたために、オイルクリアランスの通路面積に相当するごく小さな穴を、容易且つ高精度に形成することができる。
【0049】
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施の形態では、開口部32の流路面積Yを前記算出される最小値Y1及び最小値Y2の和と一致するように設定したが、潤滑性能の低下を招くことのない範囲で、流路面積Yを上記和よりも小さい面積に設定することもできる。
【0050】
・上記実施の形態では、ジャーナル12側及びジャーナル22側の2つのオイルクリアランスへの潤滑オイルの供給量を、それらに対してオイル経路が分岐される前の部分に設けられた開口部32にて、一括して制限するようにしていた。これを図3に示すように、各オイルクリアランスに対してそれぞれ最小絞り部を設けて、潤滑オイルの供給量の制限を個別に行う構成としても良い。
【0051】
図3に例示するバランスシャフト40の軸受部への潤滑オイル供給構造では、オイル供給路30が、ジャーナル42、ライナ44間、及びジャーナル52、ライナ54間の2つのオイルクリアランスのそれぞれに向けて分岐されている。ここでは、分岐後のオイル経路のそれぞれに、上記開口部32と同様の最小絞り部が個別に設けられている。
【0052】
すなわち、ジャーナル42側の軸受部のオイルクリアランスは、ライナ44に形成された開口部44aを介して、ジャーナル52側の軸受部のオイルクリアランスは、ライナ54に形成された開口部54aを介して、それぞれ分岐後のオイル供給路30に連通されている。そして各開口部44a、54aにおける潤滑オイルの流路面積は、分岐後の各オイル経路の最小絞り部となるようにそれぞれ設定されている。このときの各開口部44a,54aを円孔とした場合、それらの開口部44a,54aの径d1、d2は、下式(4)、(5)にてそれぞれ算出することができる。下式(4)、(5)において、Emin、Gminは、ライナ44、54の内径の寸法公差範囲の最小値をそれぞれ示している。又Fmax、Hmaxは、ジャーナル42、52の外径の寸法公差範囲の最大値をそれぞれ示している。
【0053】
【数4】
・上記実施の形態では、開口部を最小絞り部とするようにしたが、これに限らず、オイル供給路30にあって支持部に形成される部分に絞りを形成してこれを最小絞り部とするようにしてもよい。要は、各オイルクリアランスよりもオイル流れ方向上流側に最小絞り部を形成すればよい。
【0054】
・本発明は、1つ又は3つ以上のオイルクリアランスに潤滑オイルを供給する潤滑構造にも適用することができる。
・本発明にかかる潤滑構造は、バランスシャフトの潤滑構造に限らず、例えばクランクシャフトの潤滑構造や、カムシャフトの潤滑構造、或いは可変バルブタイミング機構の潤滑構造等、回動軸を軸受によって支持する支持部位に潤滑オイルを供給する潤滑構造であれば適用可能である。又、そうした潤滑構造に限らず、直線移動する可動部材を支持部材によって支持する支持構造にも本発明にかかる潤滑構造は適宜適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる潤滑構造を示す断面図。
【図2】一方のジャーナル側の軸受構造を拡大して示す断面図。
【図3】同実施の形態にかかる潤滑構造の変形例を示す断面図。
【符号の説明】
10,40…バランスシャフト、12,22,42,52…ジャーナル、14,24,44,54…ライナ、16…支持部、30…オイル供給路、32,44a,54a…開口部、34…連通路、36…環状溝。
Claims (3)
- オイル供給路を通じて内燃機関の被潤滑部に潤滑オイルを供給する潤滑オイル供給構造であって、
前記オイル供給路は、前記被潤滑部のオイルクリアランスに潤滑オイルを流入させる流入口を有し、
前記流入口の最小流路面積を、前記オイルクリアランスにおける潤滑オイルの流路面積以下で、且つ前記オイルクリアランスの流路面積がその許容寸法範囲内において最小となるときの流路面積とほぼ同一の面積に設定した
ことを特徴とする潤滑オイル供給構造。 - オイル供給路を通じて内燃機関の複数の被潤滑部に潤滑オイルを分配供給する潤滑オイル供給構造であって、
前記オイル供給路は、前記複数の被潤滑部の各オイルクリアランスよりもオイル流れ方向上流側に設けられて前記各オイルクリアランスに潤滑オイルを流入させる流入口を有し、
前記流入口の最小流路面積を、前記各オイルクリアランスにおける潤滑オイルの流路面積の総和以下で、且つ前記各オイルクリアランスの流路面積がその許容寸法範囲内において最小となるときの流路面積を総和したものとほぼ同一の面積に設定した
ことを特徴とする潤滑オイル供給構造。 - 前記被潤滑部は、前記内燃機関のバランスシャフトの軸受部である請求項1または2に記載の潤滑オイル供給構造。
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