JP4239710B2 - バランスシャフト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の振動抑制に用いられるバランスシャフトに関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の運転中には、ピストンの往復移動に伴って生じる慣性力が振動発生の原因となる。こうした振動の発生を抑制するためには、ピストンの往復移動に起因する慣性力を可能な限り打ち消すことが好ましい。そこで従来は、重心をその回転軸線上からずらしたバランスシャフトを内燃機関に設け、このバランスシャフトをクランクシャフトと同期して回転させることで、上記慣性力を打ち消すようにしている。
【0003】
こうしたバランスシャフトでは、その内部に形成され、ジャーナルに開口する潤滑通路から同ジャーナルとこれを支持する軸受との間に潤滑油を供給し、これらの間に油膜を形成するようにしている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
ここで、上記潤滑通路の開口はジャーナルにおいて反アンバランスマス側に設定されている。これは次のような理由による。バランスシャフトの重心はその軸線上からずれているため、ジャーナルの外周面と軸受の内周面との面圧はその周方向において異なったものとなる。すなわち、アンバランスマス側に位置するジャーナルと軸受との面圧は、反アンバランスマス側に位置する同面圧よりも高くなる。このため、ジャーナルと軸受との間の油膜の圧力についてもこの面圧に応じて異なるものとなる。従って、従来では、潤滑通路の開口を油膜圧力の低い反アンバランスマス側に形成するようにしている。
【0005】
【特許文献1】
実開昭57−102743号公報(第2頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したように、反アンバランスマス側に位置するジャーナルと軸受との油膜圧力は低いために、ジャーナルと軸受との接触面積が小さくなるように、反アンバランスマス側の形状を多少変更したとしても、その形状変更が潤滑性能に及ぼす影響は小さい。そのため、例えば図9及び図10に示すように、ジャーナル100の反アンバランスマス側の軸心L方向における幅(ジャーナル幅)を狭くしてジャーナル100の重量を低減することで、内燃機関の駆動損失を低減させてその運転効率の向上を図ることが可能になる。
【0007】
仮に潤滑通路108を反アンバランスマス側のジャーナル幅が狭い部位(幅狭部104)で開口させると、その他の部位(幅広部106)全体に潤滑油を十分に行き渡らせることができなくなるおそれがある。これは、幅広部106に形成される位置であってジャーナル100表面の油膜の厚みが最も薄く且つその圧力が最も高くなる位置P1’における油膜の厚みや油膜圧力の不足を招くこととなり好ましくない。よって、幅狭部104を形成する場合には、潤滑通路108の開口を形成可能な部位は幅広部106に限定される。
【0008】
ここで、重量低減により駆動損失を低下させるといった点にのみ着目すると、幅狭部104の形成範囲が大きいほどよい。しかしながら、この場合には幅広部106の形成範囲が小さくなるために、開口の形成位置が自ずと上記位置P1’に近づき、同開口における油膜圧力が高くなって潤滑性能の低下を招き易くなる。一方、潤滑性能を維持するといった観点から、幅広部106の形成範囲を広くしてより油膜圧力の低い位置で開口させるようにすると、その分だけ幅狭部104の形成範囲が小さくなり重量についての低減効果が低下する。
【0009】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、重量の低減と潤滑性能の維持との好適な両立を図ることのできるバランスシャフトを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
先ず、請求項1記載の発明は、軸受により回転可能に支持され、反アンバランスマス側部分の少なくとも一部のジャーナル幅がアンバランスマス側部分よりも狭い幅狭部を有するジャーナルを備え、ジャーナルの外周面に開口して同ジャーナルと前記軸受との間に潤滑油を供給する潤滑通路がその内部に形成されてなるバランスシャフトにおいて、前記潤滑通路の開口は前記ジャーナルと前記軸受との間の油膜圧力が最も高くなる位置よりも軸回転方向前側の位置であって前記幅狭部と他の部分との境界部分に形成され、その前記ジャーナルの外周面には前記開口から軸回転方向前側に向けて前記幅狭部に延びる溝が形成されることをその要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、幅狭部をジャーナルの周方向において広い範囲にわたって形成するために、潤滑通路を比較的油膜圧力の高い位置に開口せざるを得ず、したがって同開口から十分な量の潤滑油を供給できない場合でも、その開口より油膜圧力の低くなる位置にある溝からの潤滑油供給によりこれが補われる。従って、ジャーナルと軸受の間に十分な量の潤滑油を供給することができ、内燃機関の駆動損失の低減と潤滑性能の維持との好適な両立を図ることができるようになる。また上記構成によれば、高い油膜圧力のために開口から潤滑油が供給され難くなるのを極力回避しつつ、ジャーナルと軸受との間に偏りなく潤滑油を供給することができるようになる。
【0015】
ここで、前記溝の縁部と幅狭部の各縁部との距離が過度に短く設定されると、十分なシール性が得られず、同開口から吐出された潤滑油がジャーナルと軸受との間から過度に漏れてしまうおそれがある。
【0016】
これに対し、請求項記載の構成によるように、幅狭部の幅が狭い部分ほど同部分に位置する溝の幅を狭く設定することにより、こうした潤滑油の漏れを抑制することができるようになる。
請求項3記載の発明は、軸受により回転可能に支持され、反アンバランスマス側部分の少なくとも一部のジャーナル幅がアンバランスマス側部分よりも狭い幅狭部を有するジャーナルを備え、ジャーナルの外周面に開口して同ジャーナルと前記軸受との間に潤滑油を供給する潤滑通路がその内部に形成されてなるバランスシャフトにおいて、前記潤滑通路の開口は前記ジャーナルと前記軸受との間の油膜圧力が最も高くなる位置よりも軸回転方向前側の位置に設けられ、その前記ジャーナルの外周面には前記開口から軸回転方向前側に向けて前記幅狭部に延びる溝が形成されるとともに、前記幅狭部の幅が狭い部分ほど同部分に位置する前記溝の幅も狭く設定されることをその要旨とする。
上記構成によれば、幅狭部をジャーナルの周方向において広い範囲にわたって形成するために、潤滑通路を比較的油膜圧力の高い位置に開口せざるを得ず、したがって同開口から十分な量の潤滑油を供給できない場合でも、その開口より油膜圧力の低くなる位置にある溝からの潤滑油供給によりこれが補われる。従って、ジャーナルと軸受の間に十分な量の潤滑油を供給することができ、内燃機関の駆動損失の低減と潤滑性能の維持との好適な両立を図ることができるようになる。また上記構成によれば、幅狭部の幅が狭い部分ほど同部分に位置する溝の幅を狭く設定することにより、同開口から吐出された潤滑油がジャーナルと軸受との間から漏れてしまうことを抑制することができるようになる。
【0017】
例えば、請求項記載の構成によるように、幅狭部がアンバランスマス側部分から離れる側に位置する部分ほどその幅が狭く設定されるものであるときには、溝についてもこれに対応して設定する、すなわち軸回転方向前側に位置する部分ほどその幅を狭く設定するのが望ましい。
【0018】
なお、こうした潤滑油の過度な漏れを好適に抑制するためには、請求項記載の構成によるように、溝の縁部と幅狭部の両端縁部との最短距離が一定になるようにその溝を形成するのが望ましい。
一方、潤滑通路からの潤滑油の供給は、請求項6に記載の構成によるように、潤滑通路の開口を前記油膜圧力が同開口から吐出される潤滑油の吐出圧力よりも低い部位に形成するのが望ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を内燃機関のバランスシャフトに具体化した一実施形態について説明する。
【0020】
図1に示されるバランスシャフト1は、軸受2a,2bによって内燃機関の支持部3a,3bに対し回転可能に支持されるジャーナル6a,6bと、同バランスシャフト1の重心を軸心L上からずらすための重りであるアンバランスマス5とを備えている。このバランスシャフト1は、内燃機関の出力軸からの回転伝達によって回転する。そして、機関運転中にピストンが往復移動するとともにバランスシャフト1が回転すると、その回転に基づき上記ピストンの慣性力が打ち消され、その慣性力によって生じる振動の発生が抑制される。
【0021】
バランスシャフト1の一方のジャーナル6bの外周面にあって、アンバランスマス側7と反対側に位置する反アンバランスマス側8の一部の軸線方向長さ(ジャーナル幅)は、アンバランスマス側7のジャーナル幅よりも短くなっている。これにより、反アンバランスマス側8が軽くなるため、アンバランスマス5をそれほど重くしなくてもバランスシャフト1の重心を上記軸心L上から所望の量だけずらすことができるようになる。従って、反アンバランスマス側8のジャーナル幅を上記のように短くしない場合と比べると、アンバランスマス5を重くしなくてもよい分、バランスシャフト1全体を軽量化することができるようになる。なお、反アンバランスマス側8にあってそのジャーナル幅が短い部分(幅狭部9)は、その幅がアンバランスマス側7から離れる側に位置する部分ほど短くなるように形成されている。
【0022】
バランスシャフト1の内部には、支持部3aの油通路10から潤滑油の供給を受ける潤滑通路11が軸線方向に延びるように設けられている。潤滑通路11において、ジャーナル6aの内部に位置する部分は、同ジャーナル6aの外周面に向かって延び、同外周面に形成された環状溝12と連通している。そして、その部分には上記油通路10から環状溝12を介して潤滑油が供給される。また、油通路10から環状溝12に供給される潤滑油の一部は、ジャーナル6aの外周面と軸受2aの内周面との間に入り込む。これにより、ジャーナル6aの外周面と軸受2aの内周面との間に油膜が形成され、その間の潤滑が行われるようになる。
【0023】
潤滑通路11において、ジャーナル6bの内部に位置する部分は、同ジャーナル6bの外周面に向かって延び、その外周面上で開口している。潤滑通路11内を流れる潤滑油は、同潤滑通路11の開口13からジャーナル6bの外周面と軸受2bの内周面との間に吐出される。これにより、ジャーナル6bの外周面と軸受2bの内周面との間に油膜が形成され、その間の潤滑が行われるようになる。そして、ジャーナル6bの外周面と軸受2bの内周面との間の潤滑に用いられた後の潤滑油は、ジャーナル6bの軸線方向両縁から外部に流れ落ちる。
【0024】
図2に、図1のバランスシャフト1を矢印A−A方向から見た断面構造を示す。
同図2においてバランスシャフト1は、内燃機関の出力軸からの回転伝達によって矢印B方向に回転する。なお、同図2においてジャーナル6bと軸受2bとの隙間は、その理解が容易になるように、実際の隙間よりも誇張している。
【0025】
同図2に示すように、バランスシャフト1の重心Gは上述したようにその軸心L上からずれている。このため、バランスシャフト1は軸受2bの円心M周りに同軸受2bの内周面に沿って回転する。そして、このようにバランスシャフト1が回転するときのジャーナル6bの外周面の各位置における油膜圧力は、その回転位相に拘わらずほぼ同じ分布となる。
【0026】
図3は、図2に示す状態でのジャーナル6bの外周面の各位置における油膜圧力を示している。
同図3に示すように、ジャーナル6bの外周面の下端よりも若干遅角側(バランスシャフト1(軸)回転方向後側)の位置P1で同ジャーナル6bに接する油膜の厚さが最も薄くなり、その圧力が最も高くなる。その油膜圧力は、位置P1よりも進角側(軸回転方向前側)の部位では位置P1に向かうほど指数的に高くなり、また位置P1から遅角側(軸回転方向後側)の部位では位置P1から離れるに伴って急激に低くなる。バランスシャフト1(図2)はこうした圧力分布を有した状態で回転しているために、開口13を形成する部位が以下のように規制される。
【0027】
すなわち先ず、前述したように、ジャーナル6bにおいて幅狭部9以外の他の部位(幅広部14)全体に潤滑油を十分に行き渡らせることができなくなるおそれがあることから、上記幅狭部9に開口13を形成することはできない。
【0028】
また、開口13から吐出された潤滑油はジャーナル6bの外周面においてバランスシャフト1の回転方向と反対の方向に流れる。このため、上記位置P1(図2)に十分な量の潤滑油を供給するためには、開口13を幅広部14の中でも位置P1よりも軸回転方向前側の部位に形成する必要がある。
【0029】
更に、この部位は上記位置P1に近づくほど油膜圧力が高くなる領域であるために、当該部位の中でも油膜圧力が潤滑油の吐出圧力よりも高い部位に上記開口13を形成すると、その油膜圧力によって潤滑油の吐出が妨げられ、その吐出が困難なものとなる。従って、潤滑油を円滑に供給するためには、開口13を油膜圧力よりも潤滑油の吐出圧が高い部位に形成することが望ましい。
【0030】
そこで、本実施の形態では、こうした実情を考慮し、上記位置P1よりも軸回転方向前側にあって、吐出圧力が最も低くなる機関運転状態のもとでその吐出圧力と油膜圧力とが等しくなる位置よりも軸回転方向前側の位置P2に開口13を形成するようにしている。すなわち、内燃機関の運転中に吐出圧力が低くなっても、少なくとも開口13から潤滑油を吐出する機能は確保することのできる位置P2に開口13が設けられる。
【0031】
ここで、先の図3は開口13及び後述する溝15が設けられない状態での油膜圧力の分布を示している。ジャーナル6bの外周面に開口13や溝15を設けると油膜圧力は低下することから、上述した態様での開口13の設定を上記分布に基づき行えば、確実に潤滑油の吐出圧力が油膜圧力よりも高くなり、吐出機能が確保されるようになる。
【0032】
そして、そうして設定された開口13の配設位置に基づき、上述したバランスシャフト1の重量低減について最も大きな効果を得るべく、幅狭部9の形成範囲が以下のように設定されている。
【0033】
すなわち、この幅狭部9は軸回転方向において先の位置P2を起点とし同回転方向前側に向けて形成されている。このように位置P2を起点とすることにより、幅広部14側に潤滑油を吐出する機能を確保しつつ、幅狭部9の形成範囲についてもこれが極力広く設定されることとなる。また、位置P1よりも軸回転方向後側では、バランスシャフト1の重心が最も下方に位置した状態(図2に示す状態)において、その軸心Lを通過する垂直な線Nを基準として上記位置P2の線対称となる位置P3が幅狭部9と幅広部14との境界、すなわち終点に設定されている。このように位置P3を終点とすることにより、換言すれば、軸心Lを基準としてアンバランスマス5と点対称の位置に幅狭部9を形成することにより、同幅狭部9の配設位置がバランスシャフト1のアンバランスマス側7と反アンバランスマス側8との重量バランスを崩すことのない位置に設定される。
【0034】
ところで、上記開口13を位置P2に設けることで、潤滑油を吐出する機能は確保される。しかしながら、そうした位置P2に開口13を形成したところで、吐出圧力が低下して同吐出圧力と油膜圧力との差が小さくなると、潤滑油の吐出量が低下して必要な量を確保することができなくなるおそれがある。このため、本実施の形態では、そうした吐出量の不足を補償するために以下のような溝15を設けている。
【0035】
以下、そうした溝15の具体的な形状を図4及び図5を参照して説明する。
なお、図4は図1のバランスシャフト1を矢印C−C方向から見た断面構造を、また図5は図4のバランスシャフト1を矢印D方向から見た正面構造をそれぞれ示している。
【0036】
図4及び図5に示すように、ジャーナル6bの外周面には開口13から軸回転方向前側に延びる溝15が形成されている。この溝15は、例えば予め開口13が形成されたジャーナル6bの外周面に工具を押し付けて同外周面を塑性変形させる等といった手法により形成される。
【0037】
この溝15により、開口13の形成位置よりも軸回転方向前側の位置、すなわち油膜圧力が低いために潤滑油を比較的多量に供給可能な位置においても潤滑通路11が開口される。これにより、開口13に加えて溝15からも潤滑油が吐出され、上記不足分が補われるようになる。
【0038】
なお、ジャーナル6bの外周面において、その両端縁部と溝15の縁部との間にはある程度の間隔を確保する必要がある。これは同間隔が短すぎると、十分なシール性が得られないために開口13から吐出された潤滑油がジャーナル6bと軸受2bとの間から過度に漏れ、それらの間の潤滑が適切に行えなくなるためである。
【0039】
そのため、溝15の幅は、幅狭部9の形状に対応するように、アンバランスマス側7から離れる側に位置する部分ほどその幅が狭く設定されている。具体的には、溝15の縁部とジャーナル6bの軸線方向両縁との最短距離が所定の長さa以上の距離となるように溝15が形成されている。なお、この所定の長さaは潤滑油の漏れ量を許容値未満に抑制可能な値が実験等により求められ、設定されている。
【0040】
また、本実施の形態では、必ずしも潤滑油の吐出圧力が油膜圧力よりも高くなる位置に開口13を形成する必要はない。これは、少なくとも溝15の途中で油膜圧力よりも吐出圧力が高くなる構成であれば、溝15、すなわち流路抵抗の少ない部分を通じて潤滑油が迂回して、潤滑通路11からジャーナル6b及び軸受2bの間へと潤滑油が流れ込むようになるからである。これに対し、本実施の形態では、開口13において油膜圧力よりも吐出圧力が高くなるようにしているために、吐出量が十分に確保される。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)開口13をジャーナル6bと軸受2bとの間の油膜圧力が最も高くなる位置P1よりも軸回転方向前側の位置P2に形成するとともに、開口13から軸回転方向前側に向けて幅狭部9に延びる溝15を形成するようにした。このため、幅狭部9をジャーナル6bの周方向において広い範囲にわたって形成するために、開口13を比較的油膜圧力の高い位置に開口せざるを得ず、したがって同開口13から十分な量の潤滑油を供給できない場合でも、油膜圧力の低い位置に形成された溝15からの潤滑油供給によりこれが補われる。従って、ジャーナル6bと軸受2bの間に十分な量の潤滑油を供給することができ、重量の低減と潤滑性能の維持との好適な両立を図ることができるようになる。
【0042】
(2)開口13をジャーナル6bと軸受2bとの間の油膜圧力が潤滑油の吐出圧力よりも低くなる位置P2に形成するようにしたために、潤滑通路11から潤滑油を吐出する機能を確保することができる。
【0043】
(3)また、開口13を幅狭部9と幅広部14との境界部分に形成するようにしたために、高い油膜圧力のために開口13からの潤滑油供給がなされ難くなるのを極力回避しつつ、ジャーナル6bと軸受2bとの間に偏りなく潤滑油を供給することができるようになる。
【0044】
(4)幅狭部9の幅が狭い部分ほど同幅狭部9に位置する溝15の幅を狭く設定するようにしたために、十分なシール性を確保して、開口13から吐出された潤滑油がジャーナル6bと軸受2bとの間から過度に漏れることを的確に抑制することができるようになる。
【0045】
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施の形態において、溝15の形状は図5に示す形状に限られない。こうした溝としては、例えば図6に示すような均一の幅で延びる形状の溝25を形成すること等も可能である。要は、ジャーナル6bの両端縁部と溝の縁部との最短距離が所定の長さa以上に設定されるのであれば、潤滑性能に支障を来すことのない範囲で溝の形状は変更可能である。なお、図7に示すように、そうした溝としてその縁部とジャーナル6bの両端縁部との最短距離が前記所定の長さaで一定に保たれる形状で延びる溝35を形成するようにしてもよい。こうした構成によれば、溝の幅をより広くすることができ、潤滑油の吐出量をより好適に確保することができるようになる。
【0046】
・上記実施の形態では、反アンバランスマス側8に向かうほどジャーナル幅が徐々に短く設定される幅狭部9を備えたバランスシャフト1に本発明を適用するようにした。本発明は、図8に示すように、幅狭部41と幅広部42とが段形状に形成されるバランスシャフトにも適用可能である。なお、この構成にあって、開口13の縁部とジャーナル43の両端縁部との最短距離を所定の長さa以上に設定するためには、幅狭部41と幅広部42との境界を開口13が形成される位置よりも軸回転方向前側の位置に設定する必要がある。とはいえ、この構成にあっても、開口13のみを設ける構成と比べて、開口13の形成位置を軸回転方向後側に設定して幅狭部41の形成範囲を広く設定することができ、内燃機関の駆動損失の低減と潤滑性能の維持との好適な両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかるバランスシャフト及びその支持構造を示す断面図。
【図2】図1のバランスシャフトを矢印A−A方向から見た断面図。
【図3】ジャーナルの外周面の各位置における油膜圧力を示すグラフ。
【図4】図1のバランスシャフトを矢印C−C方向から見た断面図。
【図5】図4のジャーナルを矢印D方向から見た正面図。
【図6】溝の変形例を示す正面図。
【図7】溝の変形例を示す正面図。
【図8】上記ジャーナルの変形例を示す正面図。
【図9】従来のジャーナルの形状を示すバランスシャフトの側面図。
【図10】図9のジャーナルを矢印Z方向から見た正面図。
【符号の説明】
1…バランスシャフト、2a,2b…軸受、3a,3b…支持部、5…アンバランスマス、6a,6b,43…ジャーナル、7…アンバランスマス側、8…アンバランスマス側、9,41…幅狭部、10…油通路、11…潤滑通路、12…環状溝、13…開口、14,42…幅広部、15,25,35…溝。

Claims (6)

  1. 軸受により回転可能に支持され、反アンバランスマス側部分の少なくとも一部のジャーナル幅がアンバランスマス側部分よりも狭い幅狭部を有するジャーナルを備え、ジャーナルの外周面に開口して同ジャーナルと前記軸受との間に潤滑油を供給する潤滑通路がその内部に形成されてなるバランスシャフトにおいて、
    前記潤滑通路の開口は前記ジャーナルと前記軸受との間の油膜圧力が最も高くなる位置よりも軸回転方向前側の位置であって前記幅狭部と他の部分との境界部分に形成され、その前記ジャーナルの外周面には前記開口から軸回転方向前側に向けて前記幅狭部に延びる溝が形成される
    ことを特徴とするバランスシャフト。
  2. 前記幅狭部の幅が狭い部分ほど同部分に位置する前記溝の幅も狭く設定される
    請求項1記載のバランスシャフト。
  3. 軸受により回転可能に支持され、反アンバランスマス側部分の少なくとも一部のジャーナル幅がアンバランスマス側部分よりも狭い幅狭部を有するジャーナルを備え、ジャーナルの外周面に開口して同ジャーナルと前記軸受との間に潤滑油を供給する潤滑通路がその内部に形成されてなるバランスシャフトにおいて、
    前記潤滑通路の開口は前記ジャーナルと前記軸受との間の油膜圧力が最も高くなる位置よりも軸回転方向前側の位置に設けられ、その前記ジャーナルの外周面には前記開口から軸回転方向前側に向けて前記幅狭部に延びる溝が形成されるとともに、前記幅狭部の幅が狭い部分ほど同部分に位置する前記溝の幅も狭く設定される
    ことを特徴とするバランスシャフト。
  4. 前記幅狭部は前記アンバランスマス側部分から離れる側に位置する部分ほどその幅が狭く設定されるものであり、前記溝はこれに対応してその幅が設定される
    請求項2または3記載のバランスシャフト。
  5. 前記溝はその縁部と前記幅狭部の両端縁部との最短距離が一定になるように形成される
    請求項1〜の何れか一項に記載のバランスシャフト。
  6. 前記潤滑通路の開口は前記油膜圧力が同開口から吐出される潤滑油の吐出圧力よりも低い部位に形成される
    請求項1〜5の何れか一項に記載のバランスシャフト。
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