JP2673595B2 - アクティブマトリクス液晶素子の駆動法 - Google Patents

アクティブマトリクス液晶素子の駆動法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、アクティブマトリクス素子によってメモリ
性を有する液晶表示素子を駆動するアクティブマトリク
ス液晶素子の駆動法に関する。
[従来技術] 従来より、アクティブマトリクス素子を設けた液晶表
示素子は、TN液晶を用いる場合に広く応用され、フラッ
トパネルディスプレイとして、あるいはプロジェクショ
ンテレビとして商品化されてきた。薄膜トランジスタ
(TFT)やダイオード素子、およびMIM(メタル・インシ
ュレータ・メタル)素子などに代表される上記アクティ
ブマトリクス素子は、そのスイッチング特性により、比
較的応答の遅い上記TN液晶に対し実質ライン選択周期よ
り長い間電圧印加状態を保持することにより液晶の光学
スイッチ応答を助け、また上記TN液晶等の様にメモリ性
(自己保持性)がない液晶に対し上記電圧印加状態保持
により1フレーム間の実質的メモリ状態をもたらすもの
である。あるいは各ライン間、画素間に対し原理的には
クロストークを与えず、良好な表示画面を与える特徴が
ある。第5図は、このようなアクティブマトリクス素子
を設けた液晶表示素子であるアクティブマトリクス液晶
素子の構造を示す。
近年では、上記TN液晶に比較して数桁応答速度の高い
強誘電性液晶(FLC)もその開発が進みこれを用いた表
示パネルやライトバルフ等も発表されている。ここで、
FLCを前記アクティブマトリックス素子により駆動する
ことによりさらに良好な表示品質を得る可能性がある。
FLCと前記TFTを組み合わせたものとしての特性は、例え
ばU.S.P.4,840,462やProceeding of the SID,Vol.30/2,
1989「Ferroelectvic Liquid−Crystal Video Displa
y」等に示されている。
一方、液晶を駆動する場合に現れる問題として、長時
間のDC成分の重量により、液晶が劣化したり、また、上
記FLCにおいては双安定性が失われて単安定になってし
まう等の応答性異常が発生したりする等がある。上記TN
液晶に対しては材料や駆動方法等の改善が長年努力され
問題は多少小さくなってきたが、高速応答およびメモリ
性等の利点を有する上記FLCにおいては自発分極を有す
ることに起因する本質的な問題が未だある。
上記の問題点は液晶をTFT等のアクティブマトリクス
素子により駆動する場合も同様に存在する。
例えば上記の各文献に示されるFLCのアクティブマト
リクスにおける駆動法によれば、直流的に閾値を有さな
いFLCに対しては、リセットパルスおよび記録パルスに
より各画素に作用する電圧印加は材料に対しさほどのDC
成分を作用させないが、分極反転に対し直流的に閾値を
有するFLCセルに対しては、記録パルス印加の後の記録
電圧保持による閾値電圧以下分のDC成分は避けられな
い。
この結果、このような材料に対しては表示品質が劣化
する等の問題点が出てくる可能性がある。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、上記の課題に鑑み特にハイビジョンTVなど
高精細でかつ、高速な駆動を要する表示素子を提供する
ことを目的とする。
[課題を解決するための手段] 以下、本発明を実施例に基づいて詳しく説明する。
第1図は、本発明の一実施例に係るFLC駆動法を示す
タイミングチャートである。
本発明の駆動法が適用される液晶は、少なくとも2つ
の安定状態を持つ光学変調物質、特に加えられる電界に
応じて第1の光学的安定状態と第2の光学的安定状態と
のいずれかを取る物質、すなわち電界に対する双安定状
態を有する物質からなり、特にこのような性質を有する
液晶である。
このような液晶としては強誘電性を示すカイラルスメ
クチック液晶が好ましく、カイラルスメクチックC相
(SmC)または(SmH)、さらにSmI,SmF,SmG
等のカイラルスメクチック液晶が適している。勿論、本
発明は、メモリ性を有する他の液晶についても、後述す
る充分な効果が得られる。また、これらの液晶に対し、
温度制御等をかけて用いてもよい。
本発明は第1図に示すように、TFTのスイッチング特
性すなわち画素(液晶)に対して印加した記録電圧信号
VXを記録電圧(作用電圧)VWとして保持するためのセル
両端の開放特性を、該画素の光学的状態変化に必要な時
間保った後、このセル両端を一旦、理想的にはアースま
たはグランド電圧(電圧=0)状態に切り換えることに
よって、リセット電圧Vrに対し、記録電圧VWが長く与え
られないようにし、DCオフセットを軽減するものであ
る。
リセット電圧Vrの印加時間内で液晶の状態変化が全て
起こるとすれば、基本的には記録電圧VWの印加時間も上
記リセット電圧印加時間と同等レベルの長さで良い。本
発明に使用する液晶はメモリ性を有するものであるの
で、上記のように画素の上下電極間の電圧を0にして
も、後は液晶自身のメモリ性により光学的状態は維持さ
れる。
上記の駆動法を有効に作用させるためには、各ライン
の記録区間を少なくとも3分割する。第1図において下
方に位置するタイミング図は、第nライン目の記録区間
Aを3分割した例を示す。すなわち、数ライン(第1図
では6ライン)後の画素をリセットするための該数ライ
ン後に相当するラインのゲートを開く分割区間a、およ
び第nライン目自身の記録のための第nライン目のゲー
トを開く分割区間bおよび数ライン(第1図では6ライ
ン)先の記録画素に対して電圧を0にするための該数ラ
イン先に相当するラインのゲートを再び開く分割区間c
に分割している。なお、第nライン目の記録区間A内に
おいて上記分割区間a,b,cはそれぞれabc/acb/bac/bca/c
ab/cbaのどの順になっていても良い。
第1図において、101〜104は第nライン目のある画素
の液晶の光学的状態を示す。第2図および第3図にこの
光学的状態を拡大して説明する。
第2図は、TFTアクティブマトリクスが形成された上
側電極基板11と全面が電極である下側基板間に挟持され
たFLCの模式図を示す。FLCの原理としては自発分極Psの
向きが上向き(201)である場合FLC分子長軸は実線1の
向きになり、自発分極Psの向きが下向き(202)である
場合点線2のようになる。ここで第3図C−1〜C−4
に示すリセット区間Rにおいて、上側電極を負に保つ
と、この区間において自発分極は理想的には全て上向き
201状態をとり、別にクロスポラライザの関係で設けた
偏光板301,302のいずれか一方を実線で示した長軸1方
向に合致させると、このとき画素は「黒」になる。第3
図B−1はこの「黒」状態を示す。
次に、記録区間Wにおいて記録する所望の階調電圧VW
を印加することにより、画素は、この階調電圧VWに応じ
た記録状態となる。すなわち、階調電圧VWが液晶の光学
的状態を変化させる閾値電圧以上であれば、第3図B−
2〜B−4に示すような「白」ドメインを発生し、一
方、この閾値より低ければ、第3図B−1の「黒」状態
を保つ。その後は、上下の電極をTFTの素子により一時
ショート状態にして両端の電圧を0にしても、メモリ性
のあるFLCの場合、記録状態を維持する。
したがって、再び第1図に戻り本発明を要約すると、
極性の異なるリセット電圧Vrおよび記録電圧VWがほぼ同
時間印加されることにより記録状態が定まり、しかも、
1フレーム間の光学状態の保持は液晶自身のメモリ性を
利用するため、DCオフセットによる表示品質劣化の問題
も大きく改善される。
例えば、最近言われるハイビジョン対応のテレビディ
スプレイにおいては走査線本数約1000本をノンインター
レース駆動する場合1フレーム約30m secで駆動する。
このため、1フレーム中で1ラインに割り当てわれる記
録時間は約30μ secとなる。本発明においては、nライ
ン目記録のためのこの30μ secを3分割(各約10μ sec
と)し、それぞれを、一例として、6ライン後に記録さ
れるライン画素をリセットするためのパルス印加区間、
nライン自身の画素を記録する記録パルス区間、および
6ライン先に記録されたライン画素に対して電圧をほぼ
0にする0電圧印加区間とすることで、リセットおよび
記録のための電圧印加時間はそれぞれ約6×30μ sec=
180μ secとなり、本発明者らの使用した材料に対して
は最大7V程度の駆動パルス電圧で充分な画像表示が得ら
れた。さらに、DCオフセットがほとんど無いために、0
電圧印加区間を設けない従来のTFT駆動法でFLCを駆動す
るのに比較し、経時的に単安定性になったり、不用な電
極反応が起こる等の問題点が大幅に改善された。
また、電圧0ボルトの印加は、前フレームで記録され
た際の残留電荷状態を電気的にリセットするための信号
であるため、次回の記録状態に対する前回状態の電気的
な影響が軽減され、安定した表示が出来る。
[他の実施例] 第4図は、本発明の他の実施例に係る駆動波形を示
す。本実施例は各フレーム(‥‥,第(N)フレーム,
第(N+1)フレーム,‥‥)毎にリセット条件を黒、
白、黒、白と変えるものであり、このようにすること
で、基本的にはDC成分をさらに軽減することができる。
さらに、リセット条件「黒」に対しては「白」を記録
し、リセット条件「白」に対しては「黒」を記録し、か
つ第1図に示した実施例と同様にリセット電圧が実質印
加されている時間とほぼ同程度の記録電圧印加の時間
後、セル両端の電圧をほぼ0とする電圧印加区間を設け
ることで前述例と同様に不用な電極反応等による画質低
下を防ぐことができる。
本実施例の方式でも、リセットパルス、記録パルス、
および0電圧パルス信号を前述の駆動法と同様それぞれ
約10μ secとし、リセットパルスを6ライン後の記録ラ
イン、0電圧パルスを6ライン先に記録されたラインの
画素に与えることで、最大7V程度の電圧印加でリセット
および記録が達成された。
なお、上述した2つの実施例において、前述の6ライ
ン先あるいは後のラインにリセットおよび0電圧それぞ
れのパルスを及ぼすといったライン間隔は使用する液晶
材料の応答性により適宜選択することが可能であるが、
画面上にフリッカ等が生じないように材料の応答性の上
限付近で小さくするのが好ましい。
また、例えば全「白」あるいは全「黒」状態の調整等
のためにそれぞれリセット電圧、記録電圧等の最大値を
変えるときなどは、リセット電圧印加時間、記録電圧印
加時間等は、その信号パルスにおいても実質のセル保持
時間においても、互いに異なるように設定しても前述と
同様の効果が失われることはない。
さらに、応答がさらに高速である液晶材料を使用する
場合においては、第Nライン目の画素の記録区間におい
て、該第Nラインのリセット電圧印加区間または0電圧
印加区間を設けてもよく、この場合1ラインアクセスに
必要な時間よりも充分小さなそれぞれの信号パルスを使
用してもそれぞれ電圧印加時間の和はTFTのスイッチン
グ効果により1ラインアクセスの所要時間幅まで広げる
ことができる。
本発明は、上述の様なノンインターレース走査駆動で
あっても、また従来知られたインタレース走査駆動にお
いても、同様の効果を得ることは容易に理解しうる。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の駆動法によれば長寿命
の画質の劣化しない良好なアクティブマトリクス液晶デ
ィスプレイを提供することができ、これにより、高精細
な直視型フラットディスプレイやプロジェクションテレ
ビが形成しうる。勿論、各画素毎にカラーフィルタを設
けたり、また本発明駆動法を用いた液晶素子を複数個使
用し、それぞれに対し、カラー光投射を行なうことで、
透過型、または反射型の高精細なフラットカラーテレビ
あるいはプロジェクションカラーテレビを構成すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例に係るFLC駆動法を示すタ
イミングチャート、 第2図および第3図は、第1図のタイミングで駆動され
るFLCの光学的状態を説明するための拡大説明図、 第4図は、FLC駆動電圧の一例をより詳しく説明するタ
イミングチャート、そして 第5図は、本発明の他の実施例に係るFLC駆動法を示す
タイミングチャートである。 VX:記録電圧信号 VW:記録電圧 VXX:補助電圧信号 VS:補助電圧 VR:リセット電圧信号 Vr:リセット電圧 101〜104:画素

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カイラルスメクチック液晶を備えた各画素
    をアクティブマトリクス素子によって順次駆動するアク
    ティブマトリクス液晶素子の駆動法であって、 各画素ごとにその画素の液晶の光学状態を決定する記録
    信号電圧を印加した後所定時間置いて接地信号を印加す
    るようにしたことを特徴とするアクティブマトリクス液
    晶素子の駆動法。
  2. 【請求項2】前記液晶が少なくとも2つの安定状態を有
    するものであることを特徴とする請求項1記載の駆動
    法。
  3. 【請求項3】前記液晶が強透電性を示すものであること
    を特徴とする請求項1または2記載の駆動法。
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