JP2672623B2 - ゴム補強用ポリビニルアルコール系合成繊維 - Google Patents

ゴム補強用ポリビニルアルコール系合成繊維

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、耐疲労性の大幅改良されたゴム補強用とし
てのポリビニルアルコール系合成繊維(以下「PVA繊
維」と略記する)に関するものである。
(従来の技術) 従来、PVA繊維はゴム補強材料として広く産業用繊維
として使用されてきた。しかし、この繊維は耐疲労性が
劣り、また元来水に可溶であるというポリマー特性を有
している為に、耐熱水性に劣るという欠点を有してい
る。従って、屈曲歪を多く受けるタイヤを始めとするゴ
ム補強用コードとしては、使用が極めて限定されてい
た。
ところが、今日、特開昭59−130314号および同59−10
0710号各公報に見られる様に超高分子量(例えば平均分
子量40万以上)化によってPVA繊維の高強力化が可能と
なった。しかし、かかる超高分子量のPVAポリマーを工
業的に生産することは難しく、また、製造面の困難さか
らコスト的にもポリエステルやナイロン等の一般のゴム
補強用コードに供される繊維に比し大幅に割高となり、
商業的に競争力を持ち得ないものであった。
以上の様は背景から、PVAポリマーを従来のPVA繊維の
分子量より若干大きい程度の分子量とすることで、工業
的にも比較的容易にかつ多量に高強力PVA繊維を供給出
来る方法が見い出され(例えば特開昭60−126311号およ
び同60−126312号各公報)、ゴム補強用コードとして工
業的、商業的に用いることの見通しがついた。この様に
して供給された高強力PVA繊維はアラミド繊維には強力
および弾性率の面でともに及ばないものの、従来のナイ
ロンやポリエステル等の繊維よりは大幅に強度も向上
し、一見、ゴム補強用コードとして十分使用可能なもの
と考えられた。また、かかる方法で得られた高強力PVA
繊維は特開昭61−108713号公報にも記述されている様に
従来のPVA繊維に比し機械的な歪入力に対しても大幅に
改善される為、ゴム補強用タイヤコードとしての耐疲労
性も十分実用に耐え得るものと考えられた。
一方、従来のPVA繊維の繊維性能向上手段としては特
公昭47−8186号、同同48−7887号、同48−9210号、同48
−32623号、同48−32624号、同48−9209号、同52−2560
2号および同53−1368号等の公報記載の手段が知られて
おり、耐湿熱性、高温時での初期モジュラス等の改良が
図れてきた。しかし、上記特開昭60−126311号および同
第60−126312号等記載の方法で得られる高強力PVA繊維
は下記の第1表に示す様に15g/d以上の強度を有してい
るのに対し、従来の改良PVA繊維では高々フィラメント
の強度が11g/dに過ぎなかった。
従って、かかる高強力PVA繊維では従来のPVA繊維に比
し強力、耐疲労性ともに大幅に改善された為、ゴム補強
用繊維として極めて有望であると考えられた。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら本発明者らは、上記特開昭60−126311号
および同60−126312号等記載の方法により得られた高強
力PVA繊維は耐疲労性に関して重大な欠点を有している
ことを明らかにした。すなわち、このままでは全くタイ
ヤコードとしての耐疲労性が不足し、通常の実地走行で
もコード切れ(以下「CBU」:コードブレーキングアッ
プと呼ぶ)が発生し、タイヤ安全上到底実用には適さな
いことを明らかにした。以下、この点につき更に詳細に
説明する。
下記の第2表に示す各種繊維材料を同表に示す撚り数
でカーカスプライのコードとして用いたタイヤサイズ19
5/70 SR 14の乗用車用タイヤを試作し、これらタイヤに
つき、カーカスプライのコードの強力保持率をドラム走
行および実地走行後に新品時のコード強力との対比で評
価した。得られた結果を第2表に併記する。尚、カーカ
スプライコードの強力保持率の測定個所は、第1図に示
すタイヤの×印の部分とした。
第2表から明らかな様に、高強力PVA繊維のドラム走
行後の強力保持率はポリエステル繊維とほぼ同等であっ
たが、実地走行後のコード強力保持率はポリエステル繊
維が90%以上であるのに対して、高強力PVA繊維は20〜4
0%にまで低下してしまい、また場合によってはCBUが発
生し、タイヤパンクの寸前の状態であった。
上記の実地走行試験は通常の車輌に試験タイヤを取り
付け、内圧も通常内圧(通常は1.7kg/cm2)で試験を実
施したものであるが、これはあくまでタイヤ使用条件と
しては管理状態におかれたものであり、一般市場では過
剰積載や時として内圧1.0kg/cm2以下という異常状態で
使用されることもあり得る為、管理状態下で実施走行5
万km走行時のコード強力保持率が20〜40%であったとい
うことは、一般市場での安全性を全く保証出来ないと判
断せざるを得ず、このままでは到底実用には供し得ない
と判断された。
上述の様に、タイヤドラム試験や所謂チューブ疲労試
験等のLABO試験では検出出来ない様な現像はPVA繊維特
異な現象と考えられる為、本発明者らは上記の様な疲労
原因の徹底的究明を実施すべき、更に次のような試験を
行った。まず、下記の第3表に示す各種繊維材料を同表
に示す条件下でベルトコードとして用いた第2図に示す
フォールドベルト構造の、タイヤサイズP235/75 R15の
乗用車用タイヤを試作した。これらタイヤにつき、前述
の様にして実地走行後のベルトコードの強力保持率を評
価した。得られた結果を第3表に併記する。尚、ベルト
コードの強力保持率の測定個所は、第2図に示す×印の
部分とした。
上記第3表から明らかな様に、高強力PVA繊維をベル
トコードとして使用してもコードの強力保持率は、新品
時対比約60%にまで低下し、やはり耐疲労性に大きな問
題があることが判明した。
従って本発明の目的は、例えば空気入りタイヤに適用
した場合には実地走行後も殆どコード強力の低下を生ず
ることのない耐疲労性の大幅に向上したゴム補強用PVA
繊維コードを入手することのできる技術を提供すること
にある。
(問題点を解決するための手段) 本発明者は前記実地走行後の高強力PVA繊維コードの
強力低下原因につき鋭意検討した結果、以下に示す知見
を得た。
まず、実地走行後タイヤから取り出したコードをエポ
キシ樹脂中に埋め込み、ミクロトームで切断した該コー
ド横断面を観察したところ、上撚りと下撚りの交錯面近
傍のフィラメントが著しく変形し、フィラメント10本以
上が凝集束化していることが分かった。通常フィラメン
トはコードにかかる歪をフィラメント一本一本に分散す
る役割を有する為、フィラメントが凝集し歪を均一に分
散することが出来なくなればフィラメントまたはコード
の強力低下は促進されてしまうことになる。
次に、この様なフィラメント凝集体現象を更に明確化
する為に、上撚り、下撚りをほぐし、上撚りと下撚りが
接しているコード界面を顕微鏡で観察した。するとやは
りフィラメントは数本〜数十本単位であたかもプレスさ
れた様にフィルム状になっている形跡が認められ、フィ
ラメント元来の役割と考えられる歪入力の緩和を図るこ
とは不可能であることが分かった。この様なフィラメン
ト同士の凝集現象はポリエステル、アラミド繊維には認
められず、PVA繊維のみに見られる現象であった。
一方、ドラム走行(2万km走行、コード強力保持率60
%)したコードでは一部で上記フィラメント凝集現象が
若干認められるものの、その程度は極めて小さく、ドラ
ム走行においてはフィラメント各1本ずつに歪入力がま
だ均一に分散されているものと考えられる。また、従来
のPVA繊維ではドラム走行でも4700kmでCBUが発生してし
まっているが、前記高強力PVA繊維は2万kmでも残強力
が60%であり、従来のPVA繊維と較べ大幅に耐疲労性が
改良されていることが分かる。しかし、この様に改良さ
れた高強力PVA繊維でも実地走行後のコードで大きく強
力低下するという現象は従来の知見からは到底予測する
ことの出来ない現象であった。
そこで本発明者らは、実地走行後とドラム走行後のコ
ードおよびフィラメントを詳細に観察することにより、
以下の相違を見い出した。即ち、 (1)実地走行においては走行と停止をくり返す為、10
0℃〜常温までの不規則な温度履歴を繰り返して受け
る。
(2)実地走行においては、コードの受ける歪入力も不
規則に絶えず変化し、これに従い、フィラメント同士の
こすれ個所、こすれ入力も変化することになる。
(3)これに対してドラム走行におけるコードは絶えず
100℃以上の高温下にあり、フィラメント自体の軟化に
よりフィラメント同士のこすれ入力を緩和し易い。
上記知見は、ドラム走行後のコードのフィラメントは
フィラメント同士のこすれがフィラメント中の一箇所に
集中することにより所謂バイアス状カット面を有するの
に対し、実地走行後のコードのフィラメント面には多数
箇所でフィラメント同士のこすれ傷が見られ、またバイ
アス状カット面だけを見てもバイアス状カットの中に数
箇所のこすれ傷跡が見られることによっても説明され
る。
以上説明した様なフィラメント凝集束化によるフィラ
メント入力を減少させ、高強力PVA繊維のコードの耐疲
労性を高める為には、フィラメント凝集を阻止すれば良
いという知見に基づき、本発明は以下に示す考察の下に
なされたものである。
即ち、PVA繊維は元来分子内に水素結合を有している
為、僅かな水の存在によっても水素結合が水分子と親和
性を持ち、このことがPVA繊維自体が凝集し易いという
欠点となっていると考えられる。また、所謂水分子はPV
A繊維の非晶部に浸入し、PVA繊維非晶部の膨潤を引き起
こすことが、例えばガラス転移点の低下等を招く結果と
なっていると考えられる。
尚、前記高強力PVA繊維では高強力発現の一手段とし
て非晶部の緻密化や、高配向化により高強力を可能とし
ており、特開昭61−108713号公報では、かかる高強力PV
A繊維の耐蒸圧性も向上することが報告されているが、
これだけではまだまだ実地走行後のコードの耐疲労性を
向上させることは不可能であることは、前述の結果から
見て明らかであった。
そこで本発明者らは、フィラメントに架橋処理を施せ
ばフィラメント同士の凝集摩滅を防止することができ、
これにより実地走行での高強力PVA繊維コードの強力低
下を実質的に阻止し、耐疲労性を付与することが出来る
と考え、OH基をもつPVA繊維に対し種々の架橋剤の検討
を行った。
例えば、ホルムアルデヒドやホウ酸を用いて架橋され
たPVA繊維は耐熱性が向上することはよく知られてい
る。しかし、このような架橋は強力が低下したり、曲げ
による圧縮歪に対して脆くなる可能性が高いといった問
題があった。実際に、ホウ酸を用いて架橋されたPVA繊
維に圧縮歪を加えたところ、耐疲労性は劣っていた。
そこで、本発明者らは、好ましい架橋剤を見出せれば
耐疲労性が改良されるとの考えの下に鋭意検討を行った
ところ、有機チタンが架橋剤として優れていることを見
出した。チタンはPVA繊維のOH基と反応すると次式 のような架橋を形成する。しかし、このような反応は、
結合力が強いために反応のコントロールが難しく、PVA
繊維の強力を著しく低下させる。
そこで本発明者らは、PVA繊維のOH基とTiを間接的に
結合させれば強力低下の少ない架橋が形成されるという
考えの下に、Tiに有機物を付加させたものを架橋剤とし
て用いたところ、PVA繊維の耐疲労性を向上させること
に成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は原糸強度として15g/d以上を有す
るPVA繊維を有機チタンを用いて架橋処理した後、接着
剤処理したゴム補強用PVA繊維コードに関するものであ
る。
本発明における有機チタンとしては、Ti(OR)4で表わ
されるアルコキシド、Ti(OR)4-n(OCOR′)で表わさ
れるアシレート、Ti(OR)4-nAnやTi(OH)4-n・Anなどで表
わされるキレートが考えられる。一般にこれらの化合物
は加水分解しやすいので、水の存在下では使用出来ない
が、水に対して比較的安定といわれるキレートにOH基を
付与すると加水分解せず水に可溶になる。
具体的にはアルコシドにはTi(O-isoC3H7)4,TTi(O-nC
4H9)4、Ti(OCH2CH(CH5)C4H9)4、Ti(O-C17H35)4などがあ
り、またアシレートとしてはTi(O-nC4H9)3(OCOC
17H35)、Ti(O-iC3H7)(OCOC17H35)3などが考えられ、更
にチタンキレートとしてはTi(O-iC3H7)2〔OC(CH3)CHCOC
H3、Ti(OH)2〔OCH(CH3)COOH〕などが考えられ
る。特に、Ti(OH)2〔OCH(CH3)COOH〕は水に安定でか
つ可溶であるため、産業的、工業的にも期待が大きい。
これらの架橋剤は、水又はその他の有機溶媒に希釈し
た処理剤として使用する。この処理剤をフィラメント表
面のみに付着させるか、あるいはフィラメントの内部ま
で浸透させるかで表面架橋、内部架橋といった二種類の
架橋形態が考えられる。これら形態はともに疲労改良効
果があるが、特に表面架橋は摩擦疲労に効果があり、こ
れに対し内部架橋は摩擦・圧縮歪下において効果を発揮
する。
表面架橋は、原糸又は生コードの表面に処理剤を付着
させ、その後熱処理を施すことで架橋反応を行わしめる
ことができる。
また、内部架橋は、原糸あるいは生コードを水、その
他の有機溶媒にて膨潤させ、架橋剤をフィラメント内部
まで浸透させた後、余分な架橋剤を洗い流し、乾燥熱処
理することで架橋反応を行わしめることができる。ある
いは、紡糸原液中に架橋剤を投入し、紡糸後、熱を加え
ることによって架橋反応を行わしめてもよい。
それぞれの架橋方法について更に詳しく説明する。
先ず表面架橋方としては、架橋剤を水及び有機溶媒に
溶解して0.5重量%以上2重量%以下になるようにす
る。次に、PVA繊維を上記処理液中に浸漬した後、乾燥
熱処理を施す。処理温度は150℃以上240℃以下が好まし
い。架橋処理に供するPVA繊維は、原糸、生コードどち
らでもかまわないが、好ましくは原糸処理した後油剤を
付与し撚りをかけるのがよい。
次に内部架橋法であるが、この方法では先ず架橋剤を
1重量%以上5重量%以下になるよう水又は有機溶媒に
希釈した液に原糸または生コードを浸漬する。この際、
温度をかけることによりPVA繊維のアモルファス部を膨
潤させ、架橋剤がフィラメント内部まで入り込むように
する。温度は50℃以上80℃以下が好ましく、浸漬時間は
10分以上40分以内がよい。その後、表面に付着した余分
な架橋剤を洗い流した後、乾燥熱処理を行なう。この乾
燥は100℃以下で行ない、熱処理は150℃以上240℃以下
の温度で行なう。
一方、紡糸原液中に架橋剤を投入する方法において
は、先ずPVAをDMSO等の溶媒に溶かして5〜50重量%に
なるようにする。
さらにこの紡糸原液に、有機チタンを溶媒に溶かして
50重量%としたものを最終的にPVAのTi含有量が0.01〜
0.1重量5になるように投入する。
その後、この紡糸原液を紡糸工程へ供するが、紡糸は
乾式、湿式あるいはその両者を組み合わせた乾・湿式法
のいずれでもかまわない。紡糸後、凝固浴を通過したPV
A繊維はメタノール浴中で延伸し、さらに160℃〜240℃
の高温下で延伸するととに架橋反応を行なわしめること
ができる。その後、油剤を塗布し、撚糸することにより
生コードを入手できる。
このようにして得られたコードを通常のRFL接着剤処
理することにより、ゴム補強用コードとして用いること
が出来る。
尚、このようにして得られたコードのTi含有量は0.01
〜0.1重量%になるのが好ましい。この理由は、0.01重
量%未満では疲労性改良効果があまりなく、一方0.1重
量%を超えると改良効果は飽和し、強力低下、接着低下
を起こす心配があるからである。
(実施例) 次に本発明を実施例に基づき説明する。
実施例1〜4、比較例1,2 ここでは、紡糸原液中に架橋剤を投入して架橋を行な
った例を示す。
先ず、重合度3500の完全ケン化型(ケン化度99.5%以
上)のPVAの20重量%のDMSO溶液をつくり、この溶液に
架橋剤を溶剤で50重量%としたものを投入し、PVA100に
対し0.05重量%のTiを含有するように調整した。架橋剤
としては、下記の第4表に示す有機チタン架橋剤のうち
のTi(O-isoC3H7)4をi−プロパノールで希釈したも
の、のTi(O-nC4H9)4をn−ブタノールで希釈したも
の、のTi(O-iC3H7)2〔OC(CH3)CHCOCH3をi−プロ
パノールで希釈したもの、のTi(OH)2〔OCH(CH3)COO
H〕を水で希釈したものを夫々実施例1,2,3,4とした。
このようにして得られた紡糸原液を紡糸した後、メチ
ルアルコール凝固液中で乾湿紡糸した。得られた凝固糸
条をメタノールで洗浄し、DMSO等の溶媒を除去した後、
メタノール浴中で3倍に延伸した。その後、乾燥させた
凝固糸条を230℃に加熱し、5倍に延伸すると同時に架
橋反応を行わしめた。
このようにして得られたPVA繊維原糸に油剤を付与
し、合糸及び撚糸することにより1500d/2、撚り数31×3
1の生コードを得た。
次に、これら生コードを下記の第5表に示すRFL接着
剤の処理に供した。
この処理は緊張下で乾燥熱処理するものであり、その
条件はRFLディップ液に浸漬後、ドライゾーン150℃×12
0秒×0.1g/d、ホットゾーン200℃×40秒×1g/d及びノル
マゾーン200℃×40秒×0.5g/dとした。
上述のようにして処理した各RFLディップ処理コード
の強力と疲労試験後のコード強力を測定し、ディップコ
ード対比の強力保持率を求めた。また、かかるコードの
繊維中のTi含量を定量した。
コード強力測定法、疲労試験及びTi含量の定量は下記
のようにして行なった。
コード強力測定法 JIS L 1017に従い常温で引張り、破断強力を測定し
た。
コード疲労試験 PVA繊維コードが上撚り、下撚りの界面で凝集、摩滅
することによりコードと直角方向に圧縮を受ける試験法
として、いわゆるベルト屈曲試験法があり、この試験法
をコード疲労試験として採用した。試験サンプルの形状
は幅50mm、厚さ1cm、長さ50cmの板状とし、この中に供
試コードとスチールコードを入れ、100kg/cm2の圧力
下、150℃で30分間加硫した後、プーリー径50mmφ、荷
重100kg下で10万回屈曲疲労を与え、しかる後、供試コ
ードの強力を上述のコード強力測定法に従い測定した。
Ti含量の定量 試料1gを灰化後、灰分を熱濃硫酸で白煙処理し溶解し
た。次いで、この溶液を希釈し、ICP−AES法にてTiを定
量した。尚、測定に用いた装置は日立(株)製スーパー
スキャン306、標準溶液は市販の1000ppm溶液を希釈し、
調製したものとした。
得られた試験結果を下表の第6表に示す。
尚、比較のために比較例1においては従来のPVA繊維
を用いた試験結果を、また比較例2においては高強力PV
A繊維を用いてはいるが架橋処理の施されていない試験
結果を夫々第6表に併記する。
第6表より以下のことが確認された。
先ず、比較例1は従来のPVA繊維を用いた例である
が、この場合コード強力が低く、また耐疲労性も悪くベ
ルト屈曲試験では破断した。
比較例2は高強力PVA繊維を使用し紡糸溶媒としてDMS
Oを用いていることから、比較例1に比し耐疲労性はか
なり改良された。
実施例1〜4はいずれも異なる架橋剤を紡糸原液に投
入し、紡糸後延伸、熱処理をして架橋反応を行わしめた
例であるが、これらの場合いずれの架橋剤においてもコ
ード強力が高く、耐疲労性はすべて比較例2よりも大幅
に改良された。
実施例5〜12,比較例3 次に第4表に示す架橋剤〜のすべての各種溶媒に
希釈して膨潤架橋を行なった例を示す。
高強力PVA繊維コードは、特開昭61−108711号、同61
−108712号、同61−108713号公報等記載の方法により得
られた原糸強度17.5g/dの高強力PVAフィラメントを合糸
して1500デニールとし、これに31回/10cmの撚をかけた
もの2本をさらに上撚り31回/10cmで撚り合わせたもの
を用いた。
この高強力PVA繊維コードを、架橋剤〜を夫々の
溶剤に溶かし2%とした液中に浸漬した。この温度は60
℃に保ち、30分間浸漬させた後、表面に付着している余
分な架橋剤を洗い流した。次いで、緊張下で乾燥熱処理
を行ない架橋反応を行なわした。乾燥条件は、処理温度
150℃×露出時間120秒×張力0.1g/d+200℃×120秒×0.
5g/dとした。
その後、かかるコードを前述のRFL接着剤処理に供し
た。
このようにした得られた各RFLディップ処理コードを
上記と同様の試験に供した。得られた結果を下記の第7
表に示す。
第7表に示す実施例5〜12はいずれも生コードの繊維
を膨潤させ、特定の架橋剤で架橋反応を行なわしめた例
であるが、これらの場合いずれも優れた耐疲労性改良効
果が認められた。また、これら実施例から、極性溶媒を
用いた方が繊維の膨潤が大きく、耐疲労性改良効果も大
きいことが分かった。
これに対し比較例3はTi(SO4)2を架橋剤として用いた
例であるが、この場合著しい強力低下が認められた。
実施例13〜20,比較例4 ここでは、高強力PVA繊維表面のみに架橋剤を付着さ
せ、架橋を行なった例を示す。
先ず、架橋剤〜を夫々の溶剤で希釈し、1.5%に
なるようにした。次いで、上記高強力PVA繊維コードを
上記溶液でディップ処理し、緊張下で熱処理を施すこと
により架橋反応を行わしめた。尚、この緊張熱処理条件
は200℃×120秒×0.5g/dとした。
その後は前述のようにしてRFL接着剤処理を施し、次
いで上記と同様の試験を行った。得られた結果を下記の
第8表に示す。
第8表に示す実施例13〜20はいずれも特定の架橋剤で
フィラメントの表面のみ架橋反応を行わしめた例である
が、これらの場合いずれも耐疲労性の改良効果が認めら
れた。
これに対し比較例4はTi(SO4)2を架橋剤として用いた
例であるが、この場合はコード強力低下が見られた。
尚、このような疲労試験から、フィラメント表面のみ
の架橋よりも前述の内部架橋の方が効果が大きいことも
分かった。
(発明の効果) 以上説明してきた様に本発明のゴム補強用PVA繊維に
おいては、高強力PVA繊維に有機チタンで架橋処理を施
すことにより、例えばこれを空気入りタイヤに適用した
場合には実地走行後も殆どコード強力の低下を来すこと
がないという効果が得られる。この結果、タイヤを始め
とするゴム製品の耐久性を大幅に向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はカーカスプライコードの強力保持率の測定個所
を示すタイヤの部分断面図、 第2図はベルトコードの強力保持率の測定個所を示すタ
イヤの部分断面図である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原糸強度として15g/d以上を有するポリビ
    ニルアルコール系合成繊維において、有機チタンで架橋
    処理された後接着剤処理されたことを特徴とするゴム補
    強用ポリビニルアルコール系合成繊維。
  2. 【請求項2】架橋処理されたポリビニルアルコール系合
    成繊維におけるチタン含有量が0.01〜0.1重量%である
    請求項1記載のゴム補強用ポリビニルアルコール系合成
    繊維。
JP1400589A 1989-01-25 1989-01-25 ゴム補強用ポリビニルアルコール系合成繊維 Expired - Lifetime JP2672623B2 (ja)

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