JP2895489B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はタイヤ補強用コード、特に耐疲労性を改良し
た高強力ポリビニルアルコールタイヤコードで補強した
空気入りタイヤに関するものである。
(従来の技術) 従来、ポリビニルアルコール繊維(以下「PVA繊維」
と略す)はゴム補強材料として広く産業用繊維として使
用されてきた。しかし、この繊維は耐疲労性が劣り、ま
た元来水に可溶であるというポリマー特性を有している
為に、耐熱水性に劣るという欠点を有している。従っ
て、屈曲歪を多く受けるタイヤ補強用コードとしては、
比較的入力歪の少ないラジアルタイヤのベルト材として
一部用いられているに過ぎないものであった。
ところが、今日、特開昭59−130314号および同59−10
0710号各公報に見られる様に超高分子量(例えば平均分
子量40万以上)化によってPVA繊維の高強力化が可能と
なった。しかし、かかる超高分子量のPVAポリマーを工
業的に生産することは難しく、また、製造面の困難さか
らコスト的にもポリエステルやナイロン等の一般のタイ
ヤ用コードに供される繊維に比し大幅に割高となり、商
業的に競争力を持ち得ないものであった。
以上の様な背景から、PVAポリマーを従来のPVA繊維の
分子量より若干大きい程度の分子量とすることで、工業
的にも比較的容易にかつ多量に高強力PVA繊維を供給出
来る方法が見い出され(例えば特開昭60−126311号およ
び同60−126312号各公報)、タイヤコードとして工業
的、商業的に用いることの見通しがついた。この様にし
て供給された高強力PVA繊維はアラミド繊維には強力お
よび弾性率の面でともに及ばないものの、従来のナイロ
ンやポリエステル等の繊維よりは大幅に強度も向上し、
一見、タイヤコードとして十分使用可能なものと考えら
れた。また、かかる方法で得られた高強力PVA繊維は特
開昭61−103713号公報にも記述されている様に従来のPV
A繊維に比し機械的な歪入力に対しても大幅に改善され
る為、タイヤコードとしての耐疲労性も十分実用に耐え
得るものと考えられた。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら本発明者らは、上記方法により得られた
高強力PVA繊維は耐疲労性に関して重大な欠点を有して
いることを明らかにした。すなわち、このままでは全く
タイヤコードとしての耐疲労性が不足し、通常の実地走
行でもコード切れ(以下「CBU」:コードブレーキング
アップと呼ぶ)が発生し、タイヤ安全上到底実用には適
さないことを明らかにした。以下、この点につき更に詳
細に説明する。
下記の第1表に示す各種繊維材料を同表に示す条件下
でカーカスプライのコードとして用いたタイヤサイズ19
5/70 SR 14の乗用車用タイヤを試作し、これらタイヤに
つき、カーカスプライのコードの強力保持率をドラム走
行および実地走行後に新品時のコード強力との対比で評
価した。得られた結果を第1表に併記する。尚、カーカ
スプライコードの強力保持率の測定個所は、第1図に示
すタイヤの×印の部分とした。
第1表から明らかな様に、高強力PVA繊維のドラム走
行後の強力保持率はポリエステル繊維とほぼ同等であっ
たが、実地走行後のコード強力保持率はポリエステル繊
維が90%以上であるのに対して、高強力PVA繊維は20〜4
0%にまで低下してしまい、また場合によってはCBUが発
生し、タイヤパンクの寸前の状態であった。
上記の実地走行試験は通常の車輌に試験タイヤを取り
付け、内圧も通常内圧(通常は1.7kg/cm2)で試験を実
施したものであるが、これはあくまでタイヤ使用条件と
しては管理状態におかれたものであり、一般市場では過
剰積載や時として内圧1.0kg/cm2以下という異常状態で
使用されることもあり得る為、管理状態下で実地走行5
万km走行時のコード強力保持率が20〜40%であったとい
うことは、一般市場での安全性を全く保証出来ないと判
断せざるを得ず、このままでは到底実用には供し得ない
と判断された。
更にベルトに関しても次の様な試験を行なった。
先ず下記の第2表に示す各種繊維材料を同表に示す条
件下でベルトコードとして用いた第2図に示すフォール
ドベルト構造の、タイヤサイズP 235/75 R 15の乗用車
用タイヤを試作した。これらタイヤにつき、前述の様に
して実地走行後のベルトコードの強力保持率を評価し
た。得られた結果を第2表に併記する。尚、ベルトコー
ドの強力保持率の測定個所は、第2図に示す×印の部分
とした。
第2表から明らかな様に、高強力PVA繊維をベルトコ
ードとして使用してもコードの強力保持率は、新品時対
比約60%にまで低下し、やはり耐疲労性に大きな問題が
あることも判明した。
従って本願発明の目的は、実地走行後も殆どコードの
強力の低下を生ずることのない高強力PVA繊維を確立
し、該高強力PVA繊維をタイヤ補強用コードとして使用
することにより空気入りタイヤの耐久性を改善すること
にある。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは前記実地走行後の高強力PVA繊維コード
の強力低下原因につき鋭意検討した結果、以下に示す知
見を得た。
先ず、実地走行後タイヤから取り出したコードをエポ
キシ樹脂中に埋め込み、ミクロトームで切断した該コー
ド横断面を観察したところ、上撚りと下撚りの交錯面近
傍のフィラメントが著しく変形し、フィラメント10本以
上が凝集束化していることが分かった。通常フィラメン
トはコードにかかる歪をフィラメント一本一本に分散す
る役割を有する為、フィラメントが凝集し歪を均一に分
散することが出来なくなればフィラメントまたはコード
の強力低下は促進されてしまうことになる。
次に、この様なフィラメント凝集体現象を更に明確化
する為に、上撚り、下撚りをほぐし、上撚りと下撚りが
接しているコード界面を顕微鏡で観察した。するとやは
りフィラメントは数本〜数十本単位であたかもプレスさ
れた様にフィルム状になっている形跡が認められ、フィ
ラメント元来の役割と考えられる歪入力の緩和を図るこ
とは不可能であることが分かった。この様なフィラメン
ト同士の凝集現象はポリエステル、アラミド繊維には認
められず、PVA繊維のみに見られる現象であった。
一方、ドラム走行(2万km走行、コード強力保持率60
%)したコードでは一部で上記フィラメント凝集現象が
若干認められるものの、その程度は極めて小さく、ドラ
ム走行においてはフィラメント各1本ずつに歪入力がま
だ均一に分散されているものと考えられる。また、従来
のPVA繊維ではドラム走行でも4700kmでCBUが発生してし
まっているが、前記高強力PVA繊維は2万kmでも残強力
が60%であり、従来のPVA繊維と較べ大幅に耐疲労性が
改良されていることが分かる。しかし、この様に改良さ
れた高強力PVA繊維でも実地走行後のコードで大きく強
力低下するという現象は従来の知見からは到底予測する
ことの出来ない現象であった。
そこで本発明者らは、実地走行後とドラム走行後のコ
ードおよびフィラメントを詳細に観察することにより、
以下の相違を見い出した。即ち、 (1)実地走行においては走行と停止をくり返す為、10
0℃〜常温までの不規則な温度履歴を繰り返して受け
る。
(2)実地走行においては、コードの受ける歪入力も不
規則に絶えず変化し、これに従い、フィラメント同士の
こすれ個所、こすれ入力も変化することになる。
(3)これに対してドラム走行におけるコードは絶えず
100℃以上の高温下にあり、フィラメント自体の軟化に
よりフィラメント同士のこすれ入力を緩和し易い。
上記知見は、ドラム走行後のコードのフィラメントは
フィラメント同士のこすれがフィラメント中の一個所に
集中することにより所謂バイアス状カット面を有するの
に対し、実地走行後のコードのフィラメント面には多数
個所でフィラメント同士のこすれ傷が見られ、またバイ
アス状カット面だけを見てもバイアス状カットの中に数
個所のこすれ傷跡が見られることによっても説明され
る。
以上説明した様なフィラメント凝集束化によるフィラ
メント入力を減少させ、高強力PVA繊維のコードの耐疲
労性を高める為には、フィラメント凝集を阻止すれば良
いという知見に基づき、本発明は以下に示す考察の下に
なされたものである。
即ち、PVA繊維は元来分子内に水素結合を有している
為、僅かな水の存在によっても水素結合が水分子と親和
性を持ち、このことがPVA繊維自体が凝集し易いという
欠点となっていると考えられる。また、所謂水分子はPV
A繊維の非晶部に浸入し、PVA繊維非晶部の膨潤を引き起
こすことが、例えばガラス転移点の低下等を招く結果と
なっていると考えられる。
尚、前記高強力PVA繊維では高強力発現の一手段とし
て非晶部の緻密化や、高配向化により高強力を可能とし
ており、特開昭61−108713号公報では、かかる高強力PV
A繊維の耐蒸圧性も向上することが報告されているが、
これだけではまだ実地走行後のコードの耐疲労性を向上
させることは不可能であることは、前述の結果から見て
明らかであった。
更に特開昭61−252313号公報では−8×10-3≦(Δ
n)−(Δn)≦2×10-3を満たす事が結節強度に
優れた高強力PVA繊維であると開示されているが、上記
式を満足する高強力繊維はタイヤコードとしての耐疲労
性が不十分であることも本発明者らにより明らかにされ
た。
そこで本発明者らは前記強力低下メカニズム解明とと
もに繊維の配向と疲労性を詳細に検討する事により本発
明を達成するに至った。
即ち本発明は原糸強度として14g/d以上であるPVA繊維
により補強された空気入りタイヤにおいて、該コードを
構成するPVA繊維の表層部の複屈折率(Δn)が45×1
0-3以下であり、且つ該繊維の中心部の複屈折率(Δ
n)≧50×10-3であることを特徴とする空気入りタイ
ヤに関するものである。
本発明の空気入りタイヤは原糸強度が14g/d以上であ
るPVA繊維のコードにより補強されたものであり、用い
られるPVA繊維としては有機溶媒系紡糸浴から紡糸され
たものが好ましい。また補強に用いられるコードを構成
するPVA繊維の表層部の複屈折率(Δn)が45×10-3
以下で且つ中心部の複屈折率(Δn)が50×10-3以上
であることを必要とするが、PVA繊維としては表層部の
複屈折率(Δn)を繊維表面から2μの位置における
複屈折率とした場合、該複屈折率と繊維の中心部におけ
る複屈折率(Δn)が次式 (Δn)−(Δn)≧10×10-3 を満足する高強力PVA繊維を用いるのが好ましい。
以下更に本発明を詳細に説明する。
従来PVA繊維は水系紡糸浴から紡糸されることが常で
あり、水系溶媒にホウ酸等を加え高強力化は可能となる
ものの、疲労性は有機溶媒系から紡出されたPVA繊維よ
り大幅に劣る。この理由として紡出、熱処理された繊維
のモルホロジーの違いが最も大きな要因となると考えら
れ、事実有機溶媒系から紡出されたPVA繊維と水系溶媒
系から紡出されたPVA繊維ではSEMで観察する限り繊維表
面の緻密性が全く異なり、水系溶媒から紡出されたPVA
繊維は繊維表面にボイド状の欠陥が多数認められる。こ
の様な有機系溶媒と水系溶媒から紡出されたPVA繊維の
疲労性の違いは本発明者らにより始めて見い出された事
実であり、水系溶媒から紡出されたPVA繊維はタイヤコ
ードとして耐疲労性に大きな欠陥があると考えられる。
又、上記有機溶媒系より紡出されたPVA繊維は、前述
した様にタイヤコードとしては今一歩耐疲労性が不足す
るが、PVA繊維表層の複屈折率を低下させることにより
耐疲労性が改良されることが本発明者らによって明確化
された。この理由は現在のところ明確ではないが、前記
疲労メカニズムから考え、繊維表面配向が高いと繊維同
士のこすれに対する抵抗性が低下する為と考えられる。
従って耐疲労性改良の為には表面配向を出来るだけ低
下させ且つ強力を発現させるべく、繊維全体の配向、又
は繊維の中心部の配向を出来るだけ大きくすることが、
耐疲労性を改良した高強力PVA繊維には不可欠となる。
即ち高強力且つ耐疲労性を両立させる為には、繊維中
心部の複屈折率(Δn)≧50×10-3、繊維表層の複屈
折率(Δn)≦45×10-3であることが必要となる。
本発明に使用されるPVA繊維のポリマーとしては完全
ケン化された重合度2000以上が好ましいが、部分ケン化
PVA系ポリマー、一部共重合化されたものでも本発明の
目的の達成を阻害するものではない。又PVAポリマーを
溶解する溶媒としてはジメチルスルホキシド、グリセリ
ン、エチレングリコール等の多価アルコール系溶媒が主
として用いられるが、ジメチルスルホキシドと水等の混
合溶媒でも構わない。この場合は水の比率は50%以下と
することが紡糸後の延伸倍率向上強いては高強力化の為
に好ましく、紡糸原液濃度も18%以上とすることが好ま
しい。PVAポリマーを上記溶媒に溶解した紡糸原液の紡
糸方法としては特開昭61−252313号公報に開示されてい
る乾・湿式紡糸法が好ましいが、冷却媒体によってゲル
化させたゲル紡糸法でも構わない。
又凝固浴液、未延伸糸の加熱延伸工程は特に限定され
るものではなく、特開昭61−252313号、同61−215711
号、同61−108713号公報に開示されている様な凝固浴、
延伸方法を採用することが出来るが、強力発現及び(Δ
n)≧50×10-3を満足する為に全延伸倍率は15倍以上
となる様又、延伸、熱処理は230℃以上で行なうことが
好ましい。この様に熱処理された高強力PVA繊維の表面
配向は表層から2μの位置で測定した複屈折率(Δn)
≦45×10-3が好ましいが、これを達成する手段として
熱延伸される高強力PVA繊維をその多段延伸後半におい
て、定長下、又は緊張下で熱処理することによって表面
配向を調整することが可能となる。本発明において多段
延伸、熱処理工程後半の熱延伸処理過程が繊維表面配向
を決定するが、これは完全延伸熱処理される前に繊維表
面のみを熱により緩和させることによって達成されるこ
とが好ましい。
(発明の効果) 本発明において、上述のようにして得られた高強力PV
A繊維に通常の撚糸を施し、RFL塗布後緊張熱処理したタ
イヤコードは従来法によって得られる高強力PVAに較べ
耐疲労性が大幅に改良され、従ってこのような高強力PV
A繊維コードを使用した本発明の空気入りタイヤは従来
のナイロンやポリエステル繊維に比し大幅な強力及び弾
性率の向上が可能となる。この結果従来の繊維コードに
比し大幅にコードの使用量削減が可能となり、タイヤの
軽量化や低転り抵抗化、更にはかかるコードをベルト材
として用いた場合にはスチールコードでは得られなかっ
た低ロードノイズ化や振動乗心地の大幅な向上が図れる
ことになる。
(試験例) 本発明を次の試験例により説明する。尚試験例におい
てコードおよびタイヤの性能は次に示す試験方法により
評価した。
(1)コード強度(S)測定試験 測定位置に対応する位置でタイヤから取り出したコー
ドからはさみで付着ゴムを取り除いた後、該コードをチ
ャック間距離10cmでJIS L1017に従い常温で引張り、破
断時の強力を測定し、破断強力を撚糸前のトータルデニ
ール数で除した値を強力S(g/d)とした。尚、トータ
ルデニール数は撚糸前のデニール数を用いたが、これは
コード処理工程やタイヤ加硫工程で若干コードの伸縮が
あり、またタイヤから取り出したコードは若干ゴム付着
がある為、繁雑化を避ける為である。なお原糸強度はJI
S L1017に従い常温で引張り試験を実施した。
(2)実地走行試験 供試タイヤを規定リムで組んだ後一般乗用車に取り付
けて一般走行させ、195/70 SR 14サイズのカーカスプラ
イ検討用タイヤでは実地走行5万km、又185/70 SR 13の
ベルトコード検討用タイヤでは約3.2万km走行させた後
のコード強力を上述の方法に従って測定した。
(3)複屈折率 カール・ツァイス・イエナ社の干渉顕微鏡を使用し、
繊維軸方向の屈折率(n)と繊維軸直角方向の屈折率
(n⊥)を測定し繊維断面方向各位置におけるΔn=n
−n⊥を計算した(詳細は光学技術コンタクトVol.1
2,No.7,37参照)。
この様に繊維断面方向中心から繊維最外層を10等分し
た位置での10個のΔn測定値をプロットし、表層から2
μの位置の(Δn)と繊維中心部の(Δn)を内挿
法により求めた。なお各繊維の測定本数はn=5であ
り、その平均値を求めた。
(4)ビード部耐久性能試験 試作タイヤを25℃±2℃の室内中で内圧3.0kg/cm2
調整した後、24時間放置後、空気圧の再調整を行い、JI
S荷重の2倍荷重をタイヤに負荷し、直径約3mのドラム
上で速度60km/時で2万km走行させた。その後タイヤか
らコードを取り出し、コード強力を上述の様にJIS L101
7に従い測定した。
試験例1〜10 下記PVA繊維コードを用いて、カーカスプライ検討用
の試験例1,2および3のモノプライカーカスのタイヤサ
イズ195/70 SR 14のタイヤおよびベルト検討用の試験例
4〜10のタイヤサイズ185/70 SR 13のタイヤを試作し
た。尚タイヤのクラウン部でのコードの打込数はカーカ
スプライは33本/5cm、ベルトは40本/5cmである。
試験例3,6,7および10は後述する製法で得たPVAフィラ
メント3デニールのフィラメント500本を合糸し1500dと
し、これに一定回数の撚を付与した下撚コードを2本合
糸し、一定回数の上撚をかけた1500d/2のコードを用い
た。又試験例1は商品名#5501〔(株)クラレ製〕と呼
ばれている市場で最も強力の高いPVA繊維1800d/2であ
り、試験例4は水素の高張力PVAである。試験例2及び
5の繊維は特開昭61−252313号公報により得られた高強
力PVA繊維を用いた。
これらの撚コードを通常のRFLディップ液に浸漬させ
た後直ちにドライ、ホット、ノルマゾーンでコードに緊
張熱処理を実施したが、その熱処理条件はドライゾーン
処理温度150℃×露出時間120秒間×張力0.1g/dであり、
ホットゾーン200℃×40秒間×1g/d、ノルマゾーン200℃
×40秒間×0.5g/dであった。この様にディップ処理をし
て得られた処理コードをスダレ織にし通常の方法でゴム
シートを被覆しゴム引き布としたものをカーカスプライ
又はベルト部材として使用した。
これ等のコードおよびタイヤにつき性能を評価し、結
果を第3表に示す。
試験例1においてはカーカスプライとして一般市場に
出廻っている前記PVA繊維〔(株)クラレ製、商品名#5
501〕に36×36T/10cmの撚をかけ1800d/2としたカーカス
プライを様いたところBFドラム4600kmでビード部にCBU
が発生し、カーカスプライとしては安全上全く使用に耐
えられないレベルであった。
試験例2では前記特開昭61−252313号公報に記載の試
験例3の高強力PVA繊維を1500d/2、39×39T/10cmとした
コードを用いた。即ちPVA繊維は重合度3100の完全ケン
化型PVAをジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し15%
溶液とした紡糸原液からメタノール凝固浴で凝固させ
た。得られた未延伸糸を室温で4倍延伸し更に230℃の
加熱チューブで全延伸倍率が18倍になる様に熱延伸して
得たものであるが、実地走行後のコード強力保持率は30
%とCBU寸前であった。
試験例3では紡糸原液濃度20%としたジメチルスルホ
キシドを溶媒とする重合度3100の完全ケン化型PVAをジ
メチルスルホキシドに溶解した紡糸原液を試験例2と同
様に全延伸倍率18倍になる様に熱延伸したが室温で4倍
延伸した後、230℃,235℃,235℃の3つの非接触ゾーン
で熱延伸を施し、第2,第3ゾーンでは若干の延伸を加え
ながら熱延伸を実施した。その結果繊維表面配向が低下
し、実地走行後のコード強力低下率も著しく改良され
た。
試験例4では試験例1と同様にして水溶媒で紡糸され
た高強力PVA繊維をベルト材として用いた。又試験例5
では試験例2と同様に作られた高強力PVA繊維を用いた
が、試験例4に較べ試験例5は大幅に耐疲労性は改良さ
れたものの実地走行後のコード強力保持率は試験例4で
は45%、試験例5では55%とタイヤ安全上満足のいくレ
ベルにはならなかった。
試験例6,7,8及び10では試験例3と同様多段延伸熱処
理中において各ゾーンでの延伸倍率を適宜調整し(全延
伸倍率は18倍)繊維表層と繊維中心部の配向を変えたも
のであるが、繊維表面の配向が低い程実地走行後のコー
ド強力保持率は改良された。
しかし試験例8に見られる様に表面配向が50を超える
と耐疲労性の改良効果はほとんど認められなかった。
試験例9では全延伸倍率を16倍としたため繊維中心の
配向が低く満足な原糸強度は得られなかった。
【図面の簡単な説明】
第1図はカーカスプライのコードの強力保持率を測定す
るのに用いたタイヤサイズ195/70 SR 14の乗用車タイヤ
の左半分の断面図、 第2図はベルトコードの強力保持率を測定するのに用い
たフォールドベルト構造のタイヤサイズP 235/75 R 15
の乗用車用タイヤの左半分の断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−252313(JP,A) 特開 昭63−35844(JP,A) 特開 昭63−165548(JP,A) 特開 昭60−126312(JP,A) 特開 昭61−103713(JP,A) 特開 昭59−130314(JP,A) 特開 昭59−100710(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60C 9/00 D02G 3/48 D01F 6/14 D02J 13/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原糸強度として14g/d以上であるポリビニ
    ルアルコール繊維のコードにより補強された空気入りタ
    イヤにおいて、該コードを構成するポリビニルアルコー
    ル繊維の表層部の複屈折率(Δn)が45×10-3以下で
    あり、且つ該繊維の中心部の複屈折率(Δn)が50×
    10-3以上であることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 【請求項2】ポリビニルアルコール繊維の表層部と中心
    部の複屈折率が次式 (Δn)−(Δn)≧10×10-3 〔式中の(Δn)は繊維表面から2μの位置における
    複屈折率、(Δn)は繊維の中心部における複屈折率
    を示す〕を満足した高強力ポリビニルアルコール繊維を
    使用したことを特徴とする請求項1記載の空気入りタイ
    ヤ。
  3. 【請求項3】上記ポリビニルアルコール繊維が有機溶媒
    系紡糸浴から製造されたものであることを特徴とする請
    求項1記載の空気入りタイヤ。
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