JP2718977B2 - ポリビニルアルコール系合成繊維よりなるタイヤ補強用コードおよびこのコードにより補強された空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

ポリビニルアルコール系合成繊維よりなるタイヤ補強用コードおよびこのコードにより補強された空気入りラジアルタイヤ

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JP2718977B2 JP1050139A JP5013989A JP2718977B2 JP 2718977 B2 JP2718977 B2 JP 2718977B2 JP 1050139 A JP1050139 A JP 1050139A JP 5013989 A JP5013989 A JP 5013989A JP 2718977 B2 JP2718977 B2 JP 2718977B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、空気入りタイヤ補強用ポリビニルアルコー
ル系合成繊維(以下「PVAセ繊維」と略す)の耐疲労性
を大幅に向上することのできるコード処理技術に関する
ものである。
(従来の技術) 従来、PVA繊維はゴム補強材料として広く産業用繊維
として使用されてきた。しかし、この繊維は耐疲労性が
劣り、また元来水に可溶であるというポリマー特性を有
している為に、耐熱水性に劣るという欠点を有してい
る。従って、屈曲歪を多く受けるタイヤを始めとするゴ
ム補強用コードとしては、使用が極めて限定されてい
た。
ところが、今日、特開昭59−130314号および同59−10
0710号各公報に見られる様に超高分子量(例えば平均分
子量40万以上)化によってPVA繊維の高強力化が可能と
なった。しかし、かかる超高分子量のPVAポリマーを工
業的に生産することは難しく、また、製造面の困難さか
らコスト的にもポリエステルやナイロン等の一般のゴム
補強用コードに供される繊維に比し大幅に割高となり、
商業的に競争力を持ち得ないものであった。
以上の様な背景から、PVAポリマーを従来のPVA繊維の
分子量より若干大きい程度の分子量とすることで、工業
的にも比較的容易にかつ多量に高強力PVA繊維を供給出
来る方法が見い出され(例えば特開昭60−126311号およ
び同60−126312号各公報)、ゴム補強用コードとして工
業的、商業的に用いることの見通しがついた。この様に
して供給された高強力PVA繊維はアラミド繊維には強力
および弾性率の面でともに及ばないものの、従来のナイ
ロンやポリエステル等の繊維よりは大幅に強度も向上
し、一見、ゴム補強用コードとして十分使用可能なもの
と考えられた。また、かかる方法で得られた高強力PVA
繊維は特開昭61−108713号公報にも記述されている様に
従来のPVA繊維に比し機械的な歪入力に対しても大幅に
改善される為、ゴム補強用タイヤコードとしての耐疲労
性も十分実用に耐え得るものと考えられた。
一方、従来のPVA繊維の繊維性能向上手段としては特
公昭47−8186号、同48−7887号、同48−9210号、同48−
32623号、同48−32624号、同48−9209号、同52−25602
号および同53−1368号等の公報記載の手段が知られてお
り、耐湿熱性、高温時での初期モジュラス等の改良が図
れてきた。しかし、上記特開昭60−126311号および同第
60−126312号等記載の方法で得られる高強力PVA繊維は
下記の第1表に示す様に15d/g以上の強度を有している
のに対し、従来の改良PVA繊維では高々フィラメントの
強度が11g/dに過ぎなかった。
従って、かかる高強力PVA繊維では従来のPVA繊維に比
し強力、耐疲労性ともに大幅に改善された為、ゴム補強
用繊維として極めて有望であると考えられた。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら本発明者らは、上記特開昭60−126311号
および同60−126312号等記載の方法により得られた高強
力PVA繊維は耐疲労性に関して重大な欠点を有している
ことを明らかにした。すなわち、このままでは全くタイ
ヤコードとしての耐疲労性が不足し、通常の実地走行で
もコード切れ(以下「CBU」:コードブレーキングアッ
プと呼ぶ)が発生し、タイヤ安全上到底実用には適さな
いことを明らかにした。以下、この点につき更に詳細に
説明する。
下記の第2表に示す各繊維材料を同表に示す撚り数で
カーカスプライのコードとして用いたタイヤサイズ195/
70 SR 14の乗用車用タイヤを試作し、これらタイヤにつ
き、カーカスプライのコードの強力保持率をドラム走行
および実地走行後に新品時のコード強力との対比で評価
した。得られた結果を第2表に併記する。尚、カーカス
プライコードの強力保持率の測定個所は、第1図に示す
タイヤの×印の部分とした。
第2表から明らかな様に、高強力PVA繊維のドラム走
行後の強力保持率はポリエステル繊維とほぼ同等であっ
たが、実地走行後のコード強力保持率はポリエステル繊
維が90%以上であるのに対して、高強力PVA繊維は20〜4
0%にまで低下してしまい、また場合によってはCBUが発
生し、タイヤパンクの寸前の状態であった。
上記の実地走行試験は通常の車輛に試験タイヤを取り
付け、内圧も通常内圧(通常は1.7kg/cm2)で試験を実
施したものであるが、これはあくまでタイヤ使用条件と
しては管理状態におかれたものであり、一般市場では過
剰積載や時として内圧1.0kg/cm2以下という異常状態で
使用されることもあり得る為、管理状態下で実地走行5
万km走行時のコード強力保持率が20〜40%であったとい
うことは、一般市場での安全性を全く保証出来ないと判
断せざるを得ず、このままでは到底実用には供し得ない
と判断された。
上述の様に、タイヤドラム試験や所謂チューブ疲労試
験等のLABO試験では検出出来ない様な現象はPVA繊維特
異な現象と考えられる為、本発明者らは上記の様な疲労
原因の徹底的究明を実施すべき、更に次のような試験を
行った。まず、下記の第3表に示す各種繊維材料を同表
に示す条件下でベルトコードとして用いた第2図に示す
フォールドベルト構造の、タイヤサイズP235/75 R15の
乗用車用タイヤを試作した。これらタイヤにつき、前述
の様にして実施走行後のベルトコードの強力保持率を評
価した。得られた結果を第3表に併記する。尚、ベルト
コードの強力保持率の測定個所は、第2図に示す×印の
部分とした。
上記第3表から明らかな様に、高強力PVA繊維をベル
トコードとして使用してもコードの強力保持率は、新品
時対比約60%にまで低下し、やはり耐疲労性に大きな問
題があることが判明した。
従って本発明の目的は、例えば空気入りタイヤに適用
した場合には実地走行後も殆どコード強力の低下を生ず
ることのない耐疲労性の大幅に向上したゴム補強用PVA
繊維コードを入手するくことのできる技術を提供するこ
にある。
(課題を解決するための手段) 本発明者は前記実地走行後の高強力PVA繊維コードの
強力低下原因につき鋭意検討した結果、以下に示す知見
を得た。
まず、実地走行後タイヤから取り出したコードをエポ
キシ樹脂中に埋め込み、ミクロトームで切断した該コー
ド横断面を観察したところ、上撚りと下撚りの交錯面近
傍のフィラメントが著しく変形し、フィラメント10本以
上が凝集束化していることが分かった。通常フィラメン
トはコードにかかる歪をフィラメント一本一本に分散す
る役割を有する為、フィラメントが凝集し歪を均一に分
散することが出来なくなればフィラメントまたはコード
の強力低下は促進されてしまうことになる。
次に、この様なフィラメント凝集体現象を更に明確化
する為に、上撚り、下撚りをほぐし、上撚りと下撚りが
接しているコード界面を顕微鏡で観察した。するとやは
りフィラメントは数本〜数十本単位であたかもプレスさ
れた様にフィルム状になっている形跡が認められ、フィ
ラメント元来の役割と考えられる歪入力の緩和を図るこ
とは不可能であることが分かった。この様なフィラメン
ト同士の凝集現象はポリエステル、アラミド繊維には認
められず、PVA繊維のみに見られる現象であった。
一方、ドラム走行(2万km走行、コード強力保持率60
%)したコードでは一部で上記フィラメント凝集現象が
若干認められるものの、その程度は極めて小さく、ドラ
ム走行においてはフィラメント各1本ずつ歪入力がまだ
均一に分散されているもと考えられる。また、従来のPV
A繊維ではドラム走行でも4700kmでCBUが発生してしまっ
ているが、前記高強力PVA繊維は2万kmでも残強力が60
%であり、従来のPVA繊維と較べ大幅な耐疲労性が改良
されていることが分かる。しかし、この様に改良された
高強力PVA繊維でも実地走行時のコードで大きく強力低
下するという現象は従来の知見からは到底予測すること
の出来ない現象であった。
そこで本発明者らは、実施走行後とドラム走行後のコ
ードおよびフィラメントを詳細に観察することにより、
以下の相違を見い出した。即ち、 (1)実地走行においては走行と停止をくり返す為、10
0℃〜常温まで不規則なお温度履歴を繰り返して受け
る。
(2)実地走行においては、コードの受ける歪入力も不
規則に絶えず変化し、これに伴い、フィラメント同士の
こすれ個所、こすれ入力も変化することになる。
(3)これに対してドラム走行におけるコードは絶えず
100℃以上の高温下にあり、フィラメント自体の軟化に
よりフィラメント同士のこすれ入力を緩和し易い。
上記知見は、ドラム走行後のコードのフィラメントは
フィラメント同士のこすれがフィラメント中の一箇所に
集中することにより所謂バイアス状カット面を有するの
に対し、実施走行後のコードのフィラメント面には多数
箇所でフィラメント同士のこすれ傷が見られ、またバイ
アス状カット面だけを見てもバイアス状カットの中に数
箇所のこすれ傷跡が見られることによっても説明され
る。
以上説明した様なフィラメント凝集束化によるフィラ
メント入力を減少させ、高強力PVA繊維のコードの耐疲
労性を高める為には、フィラメント凝集を阻止すれば良
いという知見に基づき、本発明は以下に示す考察の下に
なされたものである。
即ち、PVA繊維は元来分子中に水素結合を有している
為、僅かな水の存在によっても水素結合が水分子と親和
性を持ち、このことがPVA繊維自体が凝集し易いという
欠点となっていると考えられる。また、所謂水分子はPV
A繊維の非晶部に浸入し、PVA繊維非晶部の潤滑を引き起
こすことが、例えばガラス転移点の低下等を招く結果と
なっていると考えられる。
尚、前記高強力PVA繊維では高強力発現の一手段とし
て非晶部の緻密化や、高配向化により高強力を可能とし
ており、特開昭61−108713号公報では、かかる高強力PV
A繊維の耐蒸圧性も向上することが報告されているが、
これだけではまだまだ実地走行後のコードの耐疲労性を
向上させることは不可能であることは、前述の結果から
見て明らかであった。
そこで本発明者らは、更に非晶構造を緻密化するかも
しくは所謂スキン−コア構造を生ぜしめればフィラメン
ト同士の凝集摩滅を防止することができ、これにより実
地走行での高強力PVA繊維コードの強力低下を実質的に
阻止し、耐疲労性を付与することが出来るとの考えの下
に更に鋭意検討を行った結果、本発明を達成するに至っ
た。
すなわち、本発明は、原糸強度として15g/d以上であ
るPVA繊維の表面を、アルデヒド類、メチロール類、カ
ルボン酸類および無機化合物から選択した架橋剤により
架橋反応した後、レゾルシン−ホルマリン/ラテックス
により接着剤処理したPVA繊維よりなるタイヤ補強用コ
ード、およびこのタイヤ補強用コードをカーカスおよび
/またはベルトの補強用コードとして使用した空気入り
ラジアルタイヤに関するものである。
本発明における架橋反応はPVA分子の分子内架橋、分
子間架橋のどちらかの架橋反応でも耐疲労性改良効果が
得られる。かかる架橋反応を生ぜしめる架橋剤として、
アルデヒド類、メチロール類、もしくはカルボン酸類の
有機化合物およびリン酸類、塩酸、シリカ、チタニウム
等の無機化合物が使用される。但し、ホウ酸は効果が認
められない。
なお、イソシアネート類、エポキシ類、有機過酸化物
類は本発明の範囲外であるが、これらの架橋剤も効果的
である。
具体的にはアルデヒド類として、ホルムアルデヒド、
ノニルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロロアセター
ルアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、クロ
トンアルデヒド、グリオキサール、テレフタルジアルデ
ヒド、フルフラール、ヘキサヒドロベンズアルデヒド、
p−トリアルデヒド、α−ナフトアルデヒド、4−フェ
ニルベンズアルデヒド、9−アントラアルデヒド、o−
クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒ
ド、2,4−ジクロロベンズアルデヒド、n−ブチルアル
デヒド、イソバレルアルデヒド、ペンタアルデヒド、フ
ェニルアセトアルデヒド、3,5,5−トリメチルヘキサー
ル等がある。
メチロール類としては、アクリロニトリル、N−メチ
ロールアクリロアミド、N−メチロールメラミン等があ
る。
カルボン酸類としては、ギ酸、酢酸等のモノカルボン
酸およびアジピン酸、テレフタル酸等のジカルボン酸が
ある。ジカルボン酸の場合、いわゆるPVA分子間に次
式、 で表わされる分子間または分子内架橋を生じ得る。
イソシアネートとしては4,4−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート(MDI:プロミネートXC武田薬品工業(株)
製)を代表とするブロック化されたイソシアネート、例
えばトリレンジイソシアネート(TDI)、ナフチレンジ
イソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(T
ODI)、キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジ
イソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネー
ト、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添化
MDI)が、またエポキシ化合物としては2官能以上のエ
ポキシ基を有するエポキシ化合物がある。
有機過酸化物としてジクミルペルオキシド、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(tert−ベチルペルオキシ)ヘキサ
ン、2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジ(ペルオキシドベ
ンゾエート)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチル
ペルオキシ)ヘキサン−3等がある。
有機過酸化物は熱を加えることにより次式、 に従いラジカルO・を発生し、次いで水素の引きぬきが
起こり架橋反応を形成する。
リン酸類としてはメタリン酸、ピロリン酸、オルトリ
ン酸、三リン酸または四リン酸を使用することができ
る。
上記架橋剤のうち、エポキシ類、イソシアネート類は
熱を加えることによって容易に反応するので表面架橋に
適している。一方アルデヒド類、メチロール類、無機酸
類よび有機酸類は潤滑浴中で反応させるのが好ましいた
め、これら架橋剤を繊維の内部まで入り込ませ、均一に
架橋されるのが好ましい。
無機酸としては塩酸、リン酸などが好ましく、また有
機酸としてはギ酸、酢酸などのカルボン酸が好ましい。
これらの酸はPVAの−OH基と反応して次式、 に従いエステル結合またはエーテル結合を形成すると考
えられる。
上記架橋剤による架橋処理によりPVA繊維は架橋され
るが、少なくともフィラメント表面層のみが架橋される
ようにする。
また、架橋処理は原糸または生コードどちらで実施し
ても良く、例えば、原糸で架橋処理する場合の具体例を
示すと、架橋処理後十分に風乾した後、通常の方法で撚
糸して1500d/2、31×31(回/10cm)の撚りをかけ、スダ
レ反とし、次いでこれを接着剤処理として通常のレゾル
シン−ホルマリン/ラテックス(以下「RPL」と略記す
る)液に浸漬し、150℃×120秒間×10g/d(ディップテ
ンション)、200℃×30秒間×1g/dおよび205℃×30秒間
×0.6g/dの各ドライ、ホット、ノルマゾーンにて緊張熱
処理を施し、しかる後通常の方法でゴムシートの被覆、
その後の加硫(例えば150℃×30分間)を行う。この場
合REL液は特にその成分が規定されるものではない。ま
た、生コードを架橋処理する場合にもスダレ反以降は上
記と同様の過程で高強力PVA繊維補強ゴムを得ることが
できる。
尚、架橋処理は原糸製造段階でも生コード段階でもそ
の効果が変わるものではない。
架橋処理によってコードは若干その強力の低下を来た
すが、架橋処理による強力低下を10%以下に抑えるのが
好ましい。一方、架橋反応条件によっては前記RFL液付
着後の緊張熱処理によっても反応が進行し、ディップコ
ードの強力低下が起こることがあるので、架橋反応させ
た後のコードは十分に水洗することが好ましい。
(作 用) 一般にこれまでは、繊維に架橋等の処理を施すとフィ
ラメントが硬化する為に機械的歪みによってフィラメン
トの動きが拘束されて耐疲労性が低下すると言われてお
り、架橋によって耐疲労性が改良されたという報告は未
だないのが現状である。事実、従来のPVA繊維の架橋処
理は全て防湿熱性の向上や染色性の向上に関するもので
あった。
ところが、本発明において初めて、PVA繊維の架橋処
理によりゴム補強繊維としての耐疲労性に改良効果があ
ることが見出された。このことは、従来より考えられて
いた、フィラメント硬化すると耐疲労性は低下するとい
う概念を打破したものであり、上述の様にして本発明者
が詳細にPVA繊維の疲労挙動を検討した結果、PVA繊維の
耐疲労性改良手段として表面効果が有効であることを突
き止めたものである。
本発明における架橋処理による耐疲労性改良効果は従
来の11g/d程度の比較的強力の低いPVA繊維についても有
効であるが、この様なPVA繊維はあまりにも耐疲労性が
劣る為、ナイロンやポリエステル繊維等のゴム補強汎用
繊維の耐疲労性レベルには到達せず、よって前述した特
開昭59−130314号、同59−100710号等記載の高強力PVA
繊維に適用して初めて高強力でかつ耐疲労性の向上とい
うメリットが得られ、従来のナイロンやポリエステル繊
維等の汎用ゴム補強様繊維に比し極めて有用である。
(実施例) 次に本発明を実施例および比較例により説明する。
比較例1 特開昭59−130314号および同59−100710号公報記載の
方法にて得られた高強力PVA繊維に撚りをかけ、1500d/
2、31×31回/10cmの撚りコードとし、これを通常のRFL
ディップ液に浸漬し、150℃×120秒間×0.1g/d、200℃
×30秒間×1g/dおよび205℃×30秒間×0.6g/dの各ドラ
イ、ホットおよびノルマゾーンにて緊張熱処理を施し
た。このコードを以下の実施例および比較例のコントロ
ールとした。
実施例1 比較例1と同様にして得た撚りコードをH2SO420%、N
a2SO410%およびホルマリン(ホルムアルデヒド37%水
溶液)37重量%の水溶液の浴中に60℃で30分間浴比50:1
にて浸漬した。次いで、1分に水洗洗浄した後、24時間
風乾後、乾燥状態で48時間乾燥させた。その後は比較例
1と同様のRFLディップ処理を施した。
実施例2 比較例1と同様にして得た撚りコードをH2SO420%、N
a2SO410%およびテレフタルアルデヒド4重量%のエタ
ノール溶液にて実施例1と同様の浸漬処理を施し、次い
で同様のRELディップ処理を施した。
実施例3 比較例1と同様にして得た撚りコードをアクリロニト
リル5%、Na2SO48%およびNaOH0.5%の水溶液の浴中に
60℃で60分間浴比50:1にて浸漬した。次いで、十分に水
洗した後風乾して、比較例1と同様のRFLディップ処理
を施した。
実施例4 比較例1と同様にして得た撚りコードをN−メチロー
ルアクリルアミド5%、NH4Cl0.5%およびNaNO20.5%の
水溶液の浴中に50℃で10分間浴比50:1で浸漬し、そのま
ま50℃で10分間、次いで100℃で10分間乾燥処理を施し
た後、NaOH20%、Na2SO43%の水溶液にて60℃で60分間
アルカリ処理を施した。しかる後、十分に風乾した後に
比較例1と同様のRFLディップ処理を施した。
比較例2 比較例1と同様にして得た撚りコードをホウ酸3.5%
の水溶液の浴中に100℃で5分間浴比50:1にて浸漬し、
次いで乾燥させた後、比較例1と同様のRFLディップ処
理を施した。
実施例5 比較例1と同様にして得た撚りコードをH2SO45.7%、
(NH2)CO14.3重量%の水溶液の浴中に60℃で30分間浴
比50:1にて浸漬し、十分に水洗した後に100℃で30分間
の乾燥処理、次いで190℃で3分間の熱処理を施した。
しかる後、比較例1と同様のRFLディップ処理を施し
た。
参考例1 ブロックイソシアネートとしてカプロラクタムでブロ
ックされたMDI(商品名:武田薬品(株)製プロミネー
トXC−929)を用い、比較例1と同様にして得た撚リー
ドを該MDI1.7%の水溶液の浴中に浴比50:1にて浸漬し、
150℃で2分間、次いで200℃で1分間の処理を施した。
しかる後、比較例1と同様のRFLディップ処理を施し
た。
実施例6、7 比較例1と同様にして得た撚りコードをアジピン酸ク
ロライド(実施例7)またはフタル酸クロライド(実施
例8)1%、およびトリエチルアミン0.5%のTHF溶液に
室温で15時間浸漬し、次いでメチルアルコールで洗浄、
風乾した後、比較例1と同様のRFLディップ処理を施し
た。
参考例2、3 比較例1と同様にして得た撚りコードをテレフタル酸
ジグリシジルエステル(参考例2)またはo−フタル酸
ジグリシジルエステル(参考例3)(商品名:ナガセ産
業、エポキシEX 711,EX 721)6.5%、およびDMP:30 0.2
%のアセトン溶液に5分間浸漬後、150℃で2分間、次
いで200℃で1分間の熱処理を施し、しかる後比較例と
同様のRFLディップ処理を施した。
参考例4 比較例1と同様にして得た撚りコードをジクミルパー
オキサイド(商品名:日本油脂(株)製パークミルD)
10%のアセトン溶液の浴中に15分間浸漬し、200℃で3
分間熱処理を施し、しかる後比較例1と同様のRFLディ
ップ処理を施した。
上述のようにして処理した各RFLディップ処理コード
(以下「ディップコード」と略記する)の強力と疲労試
験後のコード強力を測定し、ディップコード対比の強力
保持率を求めた。
コード強力測定法および疲労試験は下記の様にして行
った。
実施例8、9 比較例1と同様にして得た撚りコードをpH3に調整し
た塩酸またはギ酸の水溶液中に60℃で30分浸漬し、水洗
いで余分な酸を除去した後、緊張処理を行った。その条
件は、150℃×120秒間×張力0.1g/d後、200℃×40秒間
×1g/d、続いて200℃×40秒間×0.5g/dとした。
しかる後に、比較例1と同様のRFLディップ処理を施
し、コード試験を行った。
コード強力測定法および疲労試験は下記の様にして行
った。
(1)コード強力測定法 ベルト屈曲試料およびタイヤから取り出したコードか
らはさみで付着ゴムを取り除いた後、該コードをチャッ
ク間距離10cmでJIS L1017に従い常温で引張り、破断時
の強力を測定し、破断強力を撚糸前のトータルデニール
数で除した値を強力S(g/d)とした。尚、トータルデ
ニール数は撚糸前のデニール数を用いたが、これはコー
ド処理行程やタイヤ加硫工程で若干コードの伸縮があ
り、またタイヤから取り出したコードは若干ゴム付着が
ある為、繁雑化を避ける為である。
(2)コード疲労試験 PVA繊維コードが上撚り、下撚りの界面で凝集、摩滅
することによりコードと直角方向に圧縮を受ける試験法
として、いわゆるベルト屈曲試験法があり、この試験法
をコード疲労試験として採用した。試験サンプルの形状
は幅50mm、厚さ1cm、長さ50cmの板状とし、この中に供
試コードとスチルコードを入れ、100kg/cm2の圧力下、1
50℃で30分間加硫した後、プーリー径50mmφ、荷重100k
g下で10万回屈曲疲労を与え、しかる後、供試コードの
強力を上述のコード強力測定方法に従い測定した。
得られた試験結果を下表の第4表に示す。
第4表に示す試験結果から明らかな様に、実施例1〜
7および参考例1〜3はコントロールに比しディップコ
ード強力はほぼ同等で、耐疲労性が大幅に改善された。
また実施例8、9および参考例4ではディップコード強
力および耐疲労性の双方が改善された。
これに対し比較例2では上記改善効果は見られなかっ
た。
比較例3〜4、実施例10〜15、参考例5、6 次に、上記各種コードのタイヤへの適用として、かか
るコードをベルトに用いカーカスプライにはポリエステ
ルコードを用いた185/70R13サイズのタイヤと、当該コ
ードをカーカスプライに用いベルトにはスチールコード
を用いた195/70R14サイズのタイヤを試作した。
これら試作タイヤにつき、以下のドラム走行試験およ
び実地走行試験を行った。
(1)BFドラム走行試験 試作タイヤを25℃±2℃の室内で内圧3.0kg/cm2に調
整し後、24時間放置後、空気圧の再調整を行い、JIS荷
重の2倍荷重をタイヤに負荷し、直径約3cmのドラム上
で速度60kg/時で2万km走行させた。その後タイヤから
コードを取り出し、コード強力を上述の様にJIS L107に
従い測定した。
(2)実地走行試験 試作タイヤを規定リムで組んだ後、一般乗車に取り付
けて一般走行させ、195/70 SR 14サイズのカーカスプラ
イ検討用試作タイヤでは実地走行約5万km、また185/70
R 13のベルトコード検討用試作タイヤでは3.2万km走行
させた後のコード強力を上述の様にJIS L1017に従い測
定した。
得られた試験結果を第5表に示す。
尚、同表中のコードの撚計数αは次式により求めたも
のである。
(式中のαは撚計数、Nはコード10cm当たりの撚り数、
Dはコードのトータルデニール数の1/2、ρは繊維の比
重を示す) 第5表に示す試験結果から明らかな様に、実施例10〜
12および参考例5、6は比較例2に比し、また実施例13
〜15は比較例4に比し夫々走行後のコードの強力保持率
が改善された。
(発明の効果) 以上説明してきた様に本発明のPVA繊維よりなるタイ
ヤ補強用コードにおいては、高強力PVA繊維の表面が架
橋反応されたことにより、例えばこれを空気入りタイヤ
に適用した場合は実地走行後も殆どコード強力の低下を
来すことがないという効果が得られる。この結果、かか
るコードで補強された本発明の空気入りラジアルタイヤ
においては耐久性の大幅向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図はカーカスプライコードの強力保持率の測定個所
を示すタイヤの部分断面図、 第2図はベルトコードの強力保持率の測定個所を示すタ
イヤの部分断面図である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原糸強度として15g/d以上を有するポリビ
    ニルアルコール系合成繊維の少なくとも表面を、アルデ
    ヒド類、メチロール類、カルボン酸類および無機化合物
    から選択した架橋剤により架橋反応した後、レゾルシン
    −ホルマリン/ラテックスにより接着剤処理したことを
    特徴とするポリビニルアルコール系合成繊維よりなるタ
    イヤ補強用コード。
  2. 【請求項2】請求項1記載のタイヤ補強用コードをカー
    カスおよび/またはベルトの補強用コードとして使用し
    たことを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
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