JP3663714B2 - 繊維補強ゴムホース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として工業用に用いられる合成繊維製補強材で補強されたゴムホースに関するものである。さらに詳しくは、補強用繊維が柔軟で被着ゴムとの接着性がよく、ホース成型加工性やホース性能がすぐれた繊維補強ゴムホースに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の工業用ホースとしては、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン66に代表されるポリアミド繊維、および芳香族アラミド繊維などの補強繊維を、用途にあわせた補強特性が得られるように適宜選定し、これにゴム質または可撓性樹脂を被覆したものが使用されている。
【0003】
ところが、ビニロン繊維は初期モジュラスが高く、乾熱収縮率が低いことから、ゴムホース用補強材として広く用いられているものの、ホース加硫時の湿熱劣化が大きいという問題があった。
【0004】
また、ナイロン66に代表されるポリアミド繊維は、ポリエステル繊維に比較して初期モジュラスが低いために、高圧ホース用の補強用繊維としては適さないという問題を有していた。
【0005】
さらに、芳香族アラミド繊維は、耐久性に乏しいものの、初期モジュラスが高く、乾熱収縮率が低く、耐薬品性にもすぐれているため、ポリエステル繊維と同様にホース補強用としてのバランスがとれており、最近ではポリエステル繊維と共に、この種の用途において広く使用されつつある。
【0006】
しかるに、これら従来のホース補強用繊維は、その硬さがゴムや可撓性樹脂に比較し硬いことと、補強繊維とゴム質または可撓性樹脂との接着性が悪く、耐疲労性に劣るという欠点を依然として有していた。
【0007】
一方、ホースの補強用繊維に対して、ゴムとの接着性を改良するために用いられる接着剤組成物は、主にタイヤコード用に開発された接着剤が適用されているのが常であり、その代表的な接着剤組成物の一例としては、2,6−ビス(2´,4´−ジヒドロキシフェニルメチル)−4−クロロフェノールのようなハロゲン化フェノ−ルと、レゾルシンとホルムアルデヒドとの反応生成物を、レゾルシン、ホルムアルデヒドとの初期縮合物およびゴムラテックスからなる液(RFL)に混合したものを用いる1浴処方(特公昭46−11251号公報)が挙げられるが、この処方では、接着剤の付着量を多くし、かつ高温処理を行なわないと十分な接着力が得られないという欠点があった。
【0008】
また、特公昭57−29586号公報に開示されているように、エポキシ化合物/ブロツクドイソシアネート/ベントナイトを含む混合液からなる第1処理液でで処理し、次いでRFLにエチレン尿素化合物添加した第2処理液で処理する2浴処方が開示されているが、この処方では、第1処理液に含まれるベントナイトの真比重が高くしかも粒子径が大きいため、粘性がなく沈降し処理液安定性に劣るという問題があった。
【0009】
さらに、特公昭60−24226号公報には、エポキシ化合物/ブロツクドイソシアネート/ゴムラテックスの混合液からなる第1処理液を付与し、次いでRFLからなる第2処理液を付与する2浴処方が開示されているが、この処方では、処理した基布とゴムとの初期接着力(引抜力)は高くなるが、逆に処理した繊維が硬くなり、その強力低下を招くばかりか、繊維がゴムまたは可撓性樹脂に比べ硬いために、ホースの寿命が短くなるという問題があった。
【0010】
なお、芳香族アラミド繊維とゴムとの接着改良技術としては、例えば、特開平3−40875号公報に記載されるように、芳香族アラミド繊維をポリエポキシ化合物/ブロックイソシアネート化合物/ゴムラテックスの混合物からなる第1処理液で処理し、次いでRFLに特殊なクロロフェノール化合物を配合した第2処理液で処理する処方が開示されているが、この処方では、処理した繊維とゴムとの接着力はポリエステル繊維の場合に近い値が得られるが、接着剤の付着量を多くする必要があり、そのために補強用繊維が硬くなり成型加工性が阻害されるばかりか、コストアップになるという問題を包含していた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果なされたものである。
【0012】
したがって、本発明の主たる目的は、ホース補強用繊維への接着剤の付着量を低減させることにより繊維の柔軟化および軽量化を図ってもすぐれた接着性を維持することができ、しかも、ホース成型加工性やホース性能が改良された繊維補強ゴムホースを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のホースは、合成繊維製補強材により補強されたゴムホースにおいて、前記合成繊維製補強材が、接着剤組成物で被覆されており、該接着剤組成物が、ゴムラテックス、ポリエポキシド化合物、ブロックドポリイソシアネート化合物、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス、およびエチレン尿素化合物から選ばれた少なくとも1種を主たるマトリックス成分とし、かつ、少なくともケイ素とマグネシウムを主成分とするケイ酸塩化合物を含有するものであり、このケイ素/マグネシウムの重量比が1/(0.1〜1.0)であることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明のホースにおいては、前記ケイ酸塩化合物が、マグネシウム含有量が5重量%以上、1%水分散液の光透過率Tが70%以上、2%水分散液のチクソトロピー指数が2.0〜10.0であることが好ましく、このケイ酸塩化合物の最適な例としてはスメクタイト、特に親水性スメクタイトが挙げられる。
【0015】
また、本発明のホースにおいて補強材として使用される補強用繊維は、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とする固有粘度が0.7以上であるポリエステル繊維または芳香族アラミド繊維からなることが好適である。
【0016】
そして、前記ケイ酸塩化合物中のマグネシウム含有量が5重量%以上であり、この接着剤組成物の付着量は、補強用繊維に対し乾燥重量比で0.3〜4.0重量%であることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳述する。
【0018】
本発明のホースにおいて、補強材として使用される補強用繊維は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、芳香族ポリアミド繊維およびビニロン繊維などの合成繊維からなる織物またはコードであるが、なかでもエチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とする固有粘度が0.7以上であるポリエステル繊維または芳香族アラミド繊維からなるコードを使用する場合に最も望ましい効果を得ることができる。
【0019】
次に、本発明のホースにおいて、補強用繊維の表面を被覆する接着剤組成物に含まれるケイ酸塩化合物とは、ケイ素及びマグネシウムを重量比1/(0.1〜1.0)で含有するものであり、好ましくはさらにナトリウム及びリチウムを含有する無機化合物であり、さらにフッ素および/またはアルミニウムを構成元素に含んでいてもよい。その代表例として、一般にスメクタイトと称される合成無機化合物が挙げられる。そのマグシウム含有量は5重量%以上、特に10重量%以上、1%水分散液の光透過率Tが70%以上、特に80%以上であることが重要であり、また2%水分散液のチクソトロピー指数TIが2.0〜10.0、特に3.0〜9.0であることが望ましく、さらにはB.E.T1点法によって測定した比表面積が100〜500、特に150〜400の範囲にあることが好ましい。
【0020】
なお、本発明でいう光透過率T、チクソトロピー指数TIおよび比表面積とは、次の方法により求めた値である。
【0021】
[光透過率T]
ケイ酸塩化合物の1%水溶液をよく撹拌した後、10mmのセルに入れ、U−3300型分光光度計(日立社製)を用いて波長500nmにおける光透過率を測定した値である。
【0022】
[チクソトロピー指数TI]
ケイ酸塩化合物の2%水分散液をよく攪拌した後、1昼夜静置し、沈降分離していない水分散液の粘度をB型粘度計(芝浦システム社製)で測定した。ローターはNo.3を使用し、6rpm、60rpmともに測定前2分間静止し、1分間回転後の粘度の比である。
TI=(6rpmでの粘度)/(60rpmでの粘度)
【0023】
[比表面積]
比表面積計カンタソープ(ユアサアイオニクス社製)の専用セルを秤量した後、このセルにケイ酸塩化合物を1/2程度(約0.15g)詰めて秤量し、常法によりカンタソープで測定して、次式により比表面積を算出した。
比表面積(m2 /g)=(A/AC)×(V×2.81/サンプル量g)
A:セルを液体窒素から外し室温の水に浸漬した後の積算計の値
AC:純液体窒素ガスを注入後の積算計の値
V:A/1300
【0024】
このような特性を有するケイ酸塩化合物、特に合成スメクタイトは、水に分散させるとチクソトロピック分散液となって安定な粘性が得られるので、接着剤組成物のマトリックス成分の濃度が低い場合でも、各接着剤マトリックス成分の凝集が抑制され安定化し、繊維表面に接着剤マトリックス成分が均一に付着するため、補強用繊維に対し少量の付着量であっても、ゴムとのすぐれた接着性を得ることができる。
【0025】
また、上記ケイ酸塩化合物は親水性であるので、接着剤組成物中の水分子を吸着してコード内部へ浸透し、エポキシ化合物、イソシアネート化合物およびゴムラテックスなどの接着剤マトリックス成分の基布内部ヘの浸透が抑制される。この状態で熱処理を施すと前記マトリックス成分がコードの表層部で固化するので繊維単糸間の自由度が大きく、補強用繊維の柔軟性が改善される。
【0026】
すなわち、ケイ酸塩化合物は浸透抑制剤および柔軟化剤として作用し、このケイ酸塩化合物を含有した接着剤組成物の補強用繊維に対する付着量を減少しても、コードとゴムとの接着性は安定してすぐれており、さらに処理されたコードは柔軟で、繊維本来の強力が維持されるのである。
【0027】
本発明の補強用繊維は、2浴処方によって接着剤処理され、前記ケイ酸塩化合物は2浴処方の第1処理液に配合されればよい。
【0028】
2浴処方とは、接着剤組成物を繊維に対して2段で付与する方法で、まず第1処理液の接着剤組成物を付与し、引き続いて70〜150℃で乾燥した後、220〜250℃で熱処理し、次いで第2処理液の接着剤組成物処理液を付与し、第1処理液の場合と同様に乾燥、熱処理を施す方法である。
【0029】
そして、第1処理液は、ケイ酸塩化合物を含むポリエポキシド化合物、ブロックドポリイソシアネート化合物、およびゴムラテックスの混合物を主たるマトリックス成分とし、第2処理液はレゾルシン・ホルムアルデヒドの初期縮合物とゴムラテックスの混合物(RFL)およびエチレン尿素化合物との混合物であることが好ましい。
【0030】
前記第1処理液に含まれるポリエポキシド化合物とは、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有する化合物であり、具体的にはグリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類とエピクロルヒドリンのようなハロゲン含有エポキシド類との反応生成物、レゾルシン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルメタン、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂などの多価フェノール類と前記ハロゲン含有エポキシド類との反応性生物、ビス−(3,4−エポキシ−6−メチル−ジシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘキセンエポキシドなどの不飽和結合部分を酸化して得られるポリエポキシド化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物またはビスフェノールA型エレタン変性エポキシ化合物などが挙げられ、これらのなかでも特に、多価アルコール類とエピクロルヒドリンの反応生成物(多価アルコールのポリグリシジルエーテル化合物)が好ましい。またこれらの1種または2種以上を混合使用しても良い。
【0031】
前記第1処理液に含まれるブロックドポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ジフェニールメタンジイソシアネート、ヘキサメチリンジイソシアネート、トリフェニールメタントリイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物とフェノール、クレゾール、レゾルシンなどのフェノール類,ε−カプロラクタム、バレロラクタムなどのラクタム類,アセトキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム類およびエチレンイミンなどのブロック化剤との反応物が挙げられ、加熱によりブロック剤が遊離して活性なイソシアネート化合物を生じるものである。これらの化合物のうち、特にε−カプロラクタムでブロックされた芳香族ポリイソシアネート化合物、およびジフェニルメタンジイソシアネートの芳香族化合物が良好な結果を与える。
【0032】
前記の第1処理液に含まれるゴムラテックスとしては、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(VPラテックス)を使用することが好ましい。
【0033】
前記第1処理液におけるポリエポキシド化合物・ブロックドポリイソシアネート化合物・ゴムラテックスの配合比は、10〜25重量%・20〜35重量%・20〜35重量%の割合が好ましい。
【0034】
ここで、ポリエポキシド化合物とブロックドポリイソシアネート化合物の配合量が、上記の割合よりも少ない場合は、処理した合成繊維の初期接着力が低下する傾向となるため好ましくない。
【0035】
上記第1処理液は、接着剤マトリックス成分の総固形分濃度が3〜15%、特に4〜10%の溶液(分散液を含む)として使用するのが好適である。
【0036】
一方、第2処理液は、レゾルシン・ホルムアルデヒドの初期縮合物(RF樹脂)とゴムラテックスの混合物(RFL)を主成分とするものであって、RF樹脂はアルカリ触媒下で得られたものが好ましく使用され、さらにRFLは接着性向上のためにレゾルシンとホルマリンとのノボラック型縮合体やクロロフェノール化合物などの収着型接着剤を含有することが好ましい。
【0037】
上記RFLにおいて、レゾルシンとホルマリン初期縮合物は、アルカリ触媒下で得られたもので、レゾルシンとホルマリンのモル比が1:0.3〜1:5、特に1:0.75〜1:2.0の範囲であることが好ましい。
【0038】
なお、上記RFLにおいてレゾルシンとホルマリンのノボラック型縮合物を使用するに際しては、アルカリ触媒水溶液に溶解後、ホルマリンを添加し、レゾルシンとホルマリン初期縮合物と同様のモル比にするのが好ましい。
【0039】
また、上記RFL(処理液A)におけるゴムラテックスとしては、天然ゴムラテックス、スチレン・ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル・ブタジエンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックスおよびビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックスなどのゴムラテックスを単独または混合して使用することができる。
【0040】
前記第2処理液に含まれるエチレン尿素化合物とは、加熱によりエチレンイミン環が開環して反応し、接着性を向上させるもので、その代表的なものとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどの芳香族、脂肪族イソシアネートとエチレンイミンとの反応性生物が挙げられ、特にジフェニルメタンジエチレン尿素の芳香族エチレン尿素化合物が良好な結果を与える。
【0041】
前記第2処理液において、接着性向上のために添加されるエチレン尿素化合物の配合量は、RFLに対して3〜30重量%、とくに10〜20重量%の範囲が好ましい。ここで、エチレン尿素化合物の配合量が3重量%よりも少ないと接着性向上効果が小さく、また30重量%より多く添加しても接着性向上が飽和状態となり、かえって硬化強力の低下などのマイナス要因を招くことになるため好ましくない。
【0042】
なお、前記第2処理液は、接着剤マトリックス成分の総固形分濃度が5〜20%、とくに7〜15%の溶液(分散液を含む)として使用するのが好適である。
【0043】
ケイ酸塩化合物の添加量は、前記第1処理液に対し1〜15重量%、特に2〜10重量%の範囲に設定することが好ましく、ケイ酸塩化合物の添加量が1重量%以下では補強用繊維の柔軟性や耐疲労性の改善効果が不十分であり、また、15重量%以上では補強用繊維のゴムに対する接着性が低下する傾向になるため好ましくない。
【0044】
接着剤マトリックス成分の補強用繊維への第1処理液、第2処理液をあわせた付着量は、乾燥重量比で補強用繊維に対しポリエステル繊維の場合は0.3〜4.0重量%、特に0.5〜2.5重量%の範囲が好ましく、芳香族ポリアミド繊維の場合は1.0〜4.5重量%、特に2.5〜4.0重量%の範囲が好ましい。 接着剤マトリックス成分の付着量が前記した範囲を下回ると、コードとゴムとの接着力が低下し、前記の範囲を上回って多量に付着すると、仕上がったコードの剛さが硬くなり、ホースの疲労性が悪くなるばかりか、ホース成型加工のトラブル発生や、接着剤処理加工工程におけるローラや各糸道ガイドなどへのガムアップ、さらにはコストアップを招くことになるため好ましくない。
【0045】
【実施例】
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。各測定値は次の方法により求めたものである。
【0046】
(1)引抜き接着力
JIS L−1017(1983年)の接着力−A法に準じて、下記条件で処理コードを未加硫ゴムに埋め込み、加圧下で150℃、30分間プレス加硫を行い、放冷後コードをゴムブロックから30cm/minの速度で引き抜き、その引き抜き加重をKg/cmで表示したものである。
なお、接着力評価にはゴムコンパウンドとして天然ゴムを主成分とするタイヤカーカス配合の未加硫ゴムを使用した。
【0047】
(2)コ−ド硬さ
処理コードを真直ぐな状態にして2cmに切り、テンシロン引張り試験機のブリッジ(1cm間隔、φ:0.6mm)上にのせ、コードと直角のフックバー (φ:0.6mm)をコード中央に掛けて下降(2cn/分)させた時の最大応力を求め、その値をコード硬さとした。
【0048】
(3)樹脂付着量(重量法)
生コード絶乾重量に対する接着剤付与後の絶乾重量の差を樹脂付着量とした。
【0049】
(4)成型加工性及びホース形状
ディップ処理時のカス発生、コード切れおよび加硫後のホース形状を観察し、良好:○、不良:×の基準で判定した。
【0050】
(5)接着性(引抜力)
ホース外管を一部はぎ取って補強コードを取出し、“テンシロン”(引抜速度:25cm/min)にて補強コードをホース外周のほぼ接線方向に引抜く力を測定した(単位:Kg/cm)。
【0051】
(6)耐屈曲性
長さ200mmのホースの両端を接続パイプに連結し、水をホースの中に封入して、その後封入液を抜取り、ホースの一端を固定し他端を水平位置から下方へ35mm繰返し可動させ、これを常温にて200万回の屈曲試験を行った後、ホースに内圧を負荷し、その破裂圧を測定した。値はブランクに対するホース破裂圧保持率(%)で示した。
【0052】
[実施例1〜6]
第1処理液として、エポキシ/ブロックイソシアネ−ト/ゴムラテックスを、固形分で11.0/23.0/66.0重量%の割合で混合してなる混合液100重量部に対し、表1に記載したケイ酸塩化合物A、Bの水溶液(重量%)を、それぞれ表3に示した割合で添加し、各混合液の固形分を6重量%とした。
【0053】
【表1】
【0054】
一方、第2処理液としてレゾルシン・ホルマリン(R/F)のモル比を1/1.5、固形分濃度を10重量%とし、通常用いられるアルカリ触媒下で4時間熟成した。このレゾルシン・ホルマリン初期縮合物(RF樹脂)をビニルピリジン・スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(VPラテックス)80重量部と低スチレン・ブタジエン・ラテックス(SBRラテックス)20重量部からなる100重量部に対し14.3重量部添加し24時間熟成した。
【0055】
RFL固形分濃度は20重量%とし、このRFL100重量部に対し、ジフェニルメタン−ビス4,4´−N,N´−ジエチレン尿素の水分散液を10重量部添加し、トータル固形分濃度を12%とすることにより第2処理液とした。
【0056】
ポリエチレンテレフタレートを高速溶融紡糸、延伸して得た1500デニールのマルチフィラメント(固有粘度0.90)を2本引き揃え、1m当たり100回の撚りをかけることにより生コードを得た。
【0057】
また、糸条繊度1500デニールの芳香族アラミド原糸(デュポン社:ケブラー)のマルチフィランメントを2本引き揃え、1m当たり100回の撚をかけて生コードを得た。
【0058】
次いで、リッラー社製コンピュートリーターシングルディッピングマシンを用いて、上記生コードに対し実施例に示した組成からなる接着剤組成物を付与し、エアーワイパー圧0.20Kg/cm2 で液切りを行い、引き続き乾燥ゾーンを120℃で100秒間定長で通過させた後、ホットストレッチゾーンで任意の張力でストレッチをかけて240℃で30秒間処理し、次いでノルマライジングゾーンで240℃で30秒間の間、任意の張力を与え熱処理し、接着コードとした。
【0059】
次に、EPDM配合物をまず押出し機にて内管として押出し、スパイラル加工速度1500r.p.mで前記した各接着コードを編組し、その外側に内管と同一のEPDM配合物を外管として押出し被覆した。
【0060】
それを長尺巻取成形あるいは短尺成形し、153℃で30分の蒸気缶加硫を行い内径16mm、外径24mmの補強ホースを作った。このようにして得られた各接着コードや補強ホースの特性の評価結果を表2に示した。
【0061】
【表2】
【0062】
[比較例1〜4]
表3に示したように、ケイ酸塩化合物を No.Cに変更した第1処理液、およびケイ酸塩化合物を添加しない第1処理液を用いた以外は、実施例1〜6と同様にして補強ホースを作成した。
【0063】
このようにして得られた各接着コードや補強ホースの特性の評価結果を表3に示した。
【0064】
【表3】
【0065】
[比較例5〜6]
アルカリ存在下でレゾルシン1モルに対しホルマリンを1.5モルを、固形分濃度10%で2時間熟成させて得られた初期縮合物を、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエン3元共重合ラテックス(VPラテックス)50重量部とブタジエン・ラテックス(BRラテックス)50重量部からなるラテックス100重量部に対し12.5重量部添加し、固形分濃度を30重量%(RFL)とし、25℃で24時間熟成した。
【0066】
その後、2,6−ビス(2´,4´−ジヒドロキシフェニルメチル)−4−クロロフェノール(Vulnax社製:“バルカボンド”E)を、前記RFL100重量部に25重量部添加し、固形分濃度を20%にし、最終液として25℃で24時間熟成した。
【0067】
次いで、リッラー社製コンピュートリーターシングルディッピングマシンを用いて、上記実施例と同一の生コードに接着剤組成物を付与し、エアーワイパー圧0.30Kg/cm2 で液切りを行い、引き続き乾燥ゾーンを120℃で100秒間定長で通過させた後、ホットストレッチゾーンで任意の張力でストレッチをかけて250℃で30秒間処理し、次いでノルマライジングゾーンで250℃で30秒間の間、任意の張力を与え熱処理した。
【0068】
このようにして得られた各補強コードの特性評価結果を表4に示した。
【0069】
【表4】
【0070】
【発明の効果】
本発明のホースは、軽量でかつ基布とゴムとの接着性がすぐれており、柔軟で耐疲労性および成型加工性がすぐれた高品位な性能を有することから、各種の工業用ホースとして適用した場合にすぐれた性能を発揮する。
Claims (8)
- 合成繊維製補強材により補強されたゴムホースにおいて、前記合成繊維製補強材が、接着剤組成物で被覆されており、該接着剤組成物が、ゴムラテックス、ポリエポキシド化合物、ブロックドポリイソシアネート化合物、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス、およびエチレン尿素化合物から選ばれた少なくとも1種を主たるマトリックス成分とし、かつ、少なくともケイ素とマグネシウムを主成分とするケイ酸塩化合物を含有するものであり、このケイ素/マグネシウムの重量比が1/(0.1〜1.0)であることを特徴とする繊維補強ゴムホース。
- 前記ケイ酸塩化合物中のマグネシウム含有量が5重量%以上であることを特徴とする請求項1記載の繊維補強ゴムホース。
- 前記ケイ酸塩化合物が、さらにナトリウム、リチウムおよびフッ素から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の繊維補強ゴムホース。
- 前記ケイ酸塩化合物の1%水分散液の光透過率Tが70%以上であり、かつ、2%水分散液のチクソトロピー指数TIが2.0〜10.0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維補強ゴムホース。
- 前記ケイ酸塩化合物がスメクタイトであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維補強ゴムホース。
- 前記合成繊維製補強材が、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とし固有粘度が0.8以上であるポリエステルからなるポリエステル繊維、及び/又は、芳香族ポリアミド繊維からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維補強ゴムホース。
- 前記マトリックス成分に対するケイ酸塩化合物の添加量が1〜15重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維補強ゴムホース。
- 前記接着剤組成物の付着量が、補強用繊維重量に対し、乾燥重量比で0.3〜4%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維補強ゴムホース。
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