JPH09207509A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

空気入りラジアルタイヤ

Info

Publication number
JPH09207509A
JPH09207509A JP8016245A JP1624596A JPH09207509A JP H09207509 A JPH09207509 A JP H09207509A JP 8016245 A JP8016245 A JP 8016245A JP 1624596 A JP1624596 A JP 1624596A JP H09207509 A JPH09207509 A JP H09207509A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
compound
pneumatic radial
radial tire
aromatic polyamide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8016245A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasumi Kanda
やすみ 神田
Hiromitsu Shoji
宏光 東海林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP8016245A priority Critical patent/JPH09207509A/ja
Publication of JPH09207509A publication Critical patent/JPH09207509A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Tires In General (AREA)
  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コードへの接着剤付着量を低減させてコー
ドの柔軟化や軽量化を図ってもすぐれたゴムとの接着性
を維持することができ、タイヤの軽量化や耐久性向上が
可能であって、高性能を発揮できる空気入りラジアルタ
イヤを提供する。 【解決手段】 空気入りラジアルタイヤのカーカスプ
ライに、ケイ酸塩化合物を含有する接着剤組成物で被覆
された芳香族ポリアミド繊維を用いてなり、このケイ酸
塩化合物が少なくともケイ素とマグネシウムを構成元素
とし、ケイ素/マグネシウムの比が1/(0.1〜1.
0)である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は空気入りラジアルタ
イヤに関するものである。更に詳しくは、軽量化や耐久
性向上を図る際に有効な乗用車用空気入りラジアルタイ
ヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】乗用車用ラジアルタイヤのカーカス補強
材として一般的な有機繊維は、レーヨン繊維、ポリアミ
ド繊維およびポリエステル繊維などであるが、近年の自
動車の高速化および高性能化に伴い、芳香族ポリアミド
繊維が使用されるようになってきた。
【0003】芳香族ポリアミド繊維は、その高い比強度
や比弾性率、繊維自体の優れた耐熱性および寸法安定性
などの優れた特性を有しているが、繊維自身の表面が不
活性なことから、脂肪族ポリアミド繊維やポリエステル
繊維等に比較して、ゴムとの接着性に乏しいという問題
を有している。
【0004】これまでに知られているゴムとの接着性改
良技術としては、例えば、特開平3−40875号公報
のように、芳香族ポリアミド繊維をポリエポキシ化合
物、ブロックイソシアネ−ト化合物およびゴムラテック
スの混合物からなる第1処理液で処理し、引き続いてレ
ゾルシン−ホルマリン初期縮合物とゴムラテックスの混
合物(RFL)に特殊なクロロフェノール化合物を配合
した第2処理液で処理する方法がある。
【0005】しかし、この方法で得られる芳香族ポリア
ミド繊維は、ゴムとの接着力は一応脂肪族ポリアミド繊
維やポリエステル繊維に近いものになるものの、その接
着力を満足するためには接着剤組成物の付着量を多くす
る必要があり、処理された繊維が重くなるという問題が
あった。
【0006】また、特公平6−74401号公報に記載
のように、芳香族ポリアミド繊維をポリエポキシ化合物
で前処理後、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエン共
重合体ラテックスとレゾルシン−ホルマリン初期縮合物
の混合物で処理する方法もある。
【0007】しかし、この方法では初期接着力は向上す
るものの、処理された繊維が硬くなってしまい、タイヤ
中で繰り返し伸縮を受けた時に繊維が疲労しやすくなる
ため、タイヤ寿命が低下し、また繊維が硬いことに起因
してタイヤの成型加工が困難になるという問題があっ
た。
【0008】一方、芳香族ポリアミド繊維に対する接着
剤付着量と接着性とは比例関係にあるので、芳香族ポリ
アミド繊維への接着剤の付着量を低減させると、繊維と
ゴムとの接着性が低下し、タイヤのバースト障害が起こ
りやすくなるという問題が生じてくる。従って、従来
は、接着剤付着量を低減させることは困難と考えられて
いた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点の解決を課題として検討した結果
達成されたものである。
【0010】したがって、本発明の主たる目的は、タイ
ヤ補強用ポリエステル繊維への接着剤の付着量を低減さ
せて繊維の柔軟化や軽量化を図ってもすぐれた接着性を
維持することができ、これにより、タイヤの軽量化や耐
久性向上を図ることができる空気入りラジアルタイヤを
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の空気入りラジアルタイヤは、タイヤのト
レッド内側に芳香族ポリアミド繊維で補強されているカ
ーカスプライを配置した空気入りラジアルタイヤにおい
て、前記芳香族ポリアミド繊維の表面が、接着剤マトリ
ックス成分に少なくともケイ酸塩化合物を含有する接着
剤組成物で被覆されており、前記ケイ酸塩化合物が少な
くともケイ素とマグネシウムから構成され、このケイ素
/マグネシウムの重量比が1/(0.1〜1.0)であ
ることを特徴とする。
【0012】さらに、本発明の空気入りラジアルタイヤ
において、前記ケイ酸塩化合物は、マグネシウム含有量
が5重量%以上であること、1%水分散液の光透過率T
が50%以上であること、さらに、2%水分散液のチク
ソトロピー指数が2.0〜10.0であることが好まし
く、このケイ酸塩化合物の最適な例として合成クレーの
スメクタイトが挙げられる。
【0013】また、本発明の空気入りラジアルタイヤの
補強材として使用される芳香族ポリアミド繊維は、下撚
と上撚を施されたコードであることが好ましく、その表
面を被覆する接着剤組成物は、レゾルシン・ホルムアル
デヒド・ゴムラテックスの混合物、又は、10〜25重
量%のポリエポキシド化合物と、20〜35重量%のブ
ロックドポリイソシアネート化合物及び/又はエチレン
尿素化合物と、0〜70重量%のゴムラテックスとを含
有する混合物から構成されるものであることが好まし
く、さらにケイ酸塩化合物が1〜15重量%添加された
組成物であること、この接着剤組成物の付着量は、芳香
族ポリアミド繊維に対する乾燥重量比で2.0〜6.0
重量%であることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳述する。
【0015】本発明の空気入りラジアルタイヤにおい
て、タイヤ補強材、つまりカーカスプライの補強繊維と
して使用する芳香族ポリアミド繊維は、ポリ−P−フェ
ニレンテレフタルアミド、ポリ−P−フェニレン・3−
4´ジフェニルエ−テルテレフタルアミドおよびこれら
を主体とする共重合体からなるフィラメント糸、コ−
ド、織物および織布などの形態を含み、下記に詳述する
接着剤組成物で表面を被覆されていることを特徴とする
が、特に撚係数が1500〜2300の撚を下撚および
上撚それぞれ反対方向にかけたコード形態のものが望ま
しい。
【0016】次に、本発明の空気入りラジアルタイヤに
おいて、補強用芳香族ポリアミド繊維の表面を被覆する
接着剤組成物に含まれるケイ酸塩化合物とは、ケイ素及
びマグネシウムを重量比1/(0.1〜1.0)で含有
するものであり、好ましくはさらにナトリウム及びリチ
ウムを含有する無機化合物であり、さらにフッ素および
/またはアルミニウムを構成元素に含んでいてもよい。
その代表例として、一般にスメクタイトと称される合成
無機化合物が挙げられる。そのマグシウム含有量は5重
量%、特に10重量%以上、1%水分散液の光透過率T
は50%以上、特に70%以上であることが好ましく、
また2%水分散液のチクソトロピー指数TIが2.0〜
10.0、特に3.0〜9.0であることが好ましい。
さらにはB.E.T1点法によって測定した比表面積が
100〜500、特に150〜400の範囲にあること
が好ましい。
【0017】なお、本発明でいう光透過率T、チクソト
ロピー指数および比表面積とは、次の方法により求めた
値である。
【0018】[光透過率T]ケイ酸塩化合物の1%水溶
液をよく撹拌した後、10mmのセルに入れ、U−33
00型分光光度計(日立社製)を用いて波長500nm
における光透過率を測定した値である。
【0019】[チクソトロピー指数TI]ケイ酸塩化合
物の2%水分散液をよく攪拌した後、1昼夜静置し、沈
降分離していない水分散液の粘度をB型粘度計(芝浦シ
ステム社製)で測定した。ローターはNo.3を使用
し、6rpm、60rpmともに測定前2分間静止し、
1分間回転後の粘度の比である。 TI=(6rpmでの粘度)/(60rpmでの粘度) [比表面積]比表面積計カンタソープ(ユアサアイオニ
クス社製)の専用セルを秤量した後、このセルにケイ酸
塩化合物を1/2程度(約0.15g)詰めて秤量し、
常法によりカンタソープで測定して、次式により比表面
積を算出する。 比表面積(m2 /g)=(A/AC)×(V×2.81
/サンプル量g) A:セルを液体窒素から外し室温の水に浸漬した後の積
算計の値 AC:純液体窒素ガスを注入後の積算計の値 V:A/1300
【0020】このような特性を有するケイ酸塩化合物、
特に合成スメクタイトは、水に分散させるとチクソトロ
ピック分散液となって安定な粘性が得られるので、接着
剤組成物のマトリックス成分の濃度が低い場合でも、各
接着剤マトリックス成分の凝集が抑制され安定化し、繊
維表面に接着剤マトリックス成分が均一に付着するた
め、芳香族ポリアミド繊維に対する付着量を減少させて
も、ゴムとのすぐれた接着性を得ることができる。
【0021】さらに、上記ケイ酸塩化合物は親水性であ
るので、接着剤組成物中の水分子を吸着して繊維コード
内部へ浸透し、エポキシ化合物、イソシアネート化合物
およびゴムラテックスなどの接着剤マトリックス成分の
繊維コードヘの浸透が抑制される。この状態で熱処理を
施すと前記マトリックス成分が繊維コードの表層部で固
化するので繊維単糸間の自由度が大きく、柔軟性が改善
された繊維コードとなる。
【0022】すなわち、ケイ酸塩化合物は浸透抑制剤お
よび柔軟化剤として作用し、このケイ酸塩化合物を含有
した接着剤組成物の芳香族ポリアミド繊維に対する付着
量を減少させても、芳香族ポリアミド繊維とゴムとの接
着性は安定してすぐれており、さらに処理されたコード
は柔軟で、繊維本来の強力が維持されるのである。
【0023】本発明の空気入りラジアルタイヤの補強材
である芳香族ポリアミド繊維は、1浴処方や2浴処方に
よって接着剤処理され、前記ケイ酸塩化合物は1浴処方
の処理液や2浴処方の第1処理液に配合されればよい。
【0024】上記1浴処方とは、紡糸・延伸時にポリエ
ポキシド化合物で前処理された芳香族ポリアミド繊維に
対して接着剤組成物を1段で付与し、引き続いて70〜
150℃で乾燥した後、200〜225℃で熱処理を施
す方法であり、1浴処方の接着剤組成物(以下、処理液
Aと称する)は、レゾルシン・ホルムアルデヒドの初期
縮合物(RF樹脂)とゴムラテックスの混合物(RF
L)を主成分とするものであって、RF樹脂はアルカリ
触媒下で得られたものが好ましく使用され、さらにRF
Lは接着性向上のためにクロロフェノール化合物などの
収着型接着剤を含有することが好ましい。
【0025】上記RFLにおいて、レゾルシンとホルマ
リン初期縮合物は、アルカリ触媒下で得られたもので、
レゾルシンとホルマリンのモル比が1:0.3〜1:
5、特に1:0.75〜1:2.0の範囲であることが
好ましい。
【0026】なお、上記RFLにおいてレゾルシンとホ
ルマリンのノボラック型縮合物を使用するに際しては、
アルカリ触媒水溶液に溶解後、ホルマリンを添加し、レ
ゾルシンとホルマリン初期縮合物と同様のモル比にする
のが好ましい。
【0027】また、上記RFL(処理液A)におけるゴ
ムラテックスとしては、天然ゴムラテックス、スチレン
・ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル・ブタ
ジエンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックスお
よびビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテッ
クスなどのゴムラテックスを単独または混合して使用す
ることができる。
【0028】この処理液Aは、接着剤マトリックス成分
の総固形分濃度が5〜20%、特に8〜16%の溶液
(分散液を含む)として使用するのが好適である。
【0029】また、前記2浴処方とは、接着剤組成物を
芳香族ポリアミド繊維に対して2段で付与する方法であ
り、まず第1の接着剤組成物(以下、処理液Bと称す
る)を付与し、引き続いて70〜150℃で乾燥した
後、200〜225℃で熱処理し、ついで第2の接着剤
組成物処理液(以下、処理液Cと称する)を付与し、処
理液Bの場合と同様に乾燥、熱処理を施す方法である。
【0030】前記処理液Bはポリエポキシド化合物、ブ
ロックドポリイソシアネート化合物、エチレン尿素化合
物およびゴムラテックスの混合物をマトリックスの主成
分とし、処理液CはRFLとエチレン尿素化合物との混
合物をマトリックスの主成分とすることが好ましい。
【0031】上記処理液Bに含まれるポリエポキシド化
合物とは、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有する
化合物であり、具体的にはグリセロール、ペンタエリス
リトール、ソルビトール、エチレングリコール、ポリエ
チレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピ
レングリコールなどの多価アルコール類とエピクロルヒ
ドリンのようなハロゲン含有エポキシド類との反応生成
物、レゾルシン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメ
チルメタン、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、レゾ
ルシン・ホルムアルデヒド樹脂など多価フェノール類と
前記ハロゲン含有エポキシド類との反応生成物、ビス−
(3,4−エポキシ−6−メチル−ジシクロヘキシルメ
チル)アジベート、3,4−エポキシシクロヘキセンエ
ポキシドなどの不飽和結合部分を酸化して得られるポリ
エポキシド化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物
またはビスフェノールA型ウレタン変性エポキシ化合物
などが挙げられ、これらのなかでも、とくに多価アルコ
ール類とエピクロルヒドリンの反応生成物(多価アルコ
ールのポリグリシジルエーテル化合物)が好ましく使用
されるが、これらの一種または2種以上を混合して使用
しても良い。
【0032】上記処理液Bに含まれるブロックドポリイ
ソシアネート化合物は、熱によりブロック剤が遊離して
活性なイソシアネート化合物を生じる化合物であり、具
体的にはトリレンジイソシアネート、メタフェニレンジ
イソシアネート、ジフェニールメタンジイソシアネー
ト、ヘキサメチリンジイソシアネートおよびトリフェニ
ールメタントリイソシアネートなどのポリイソシアネー
ト化合物と、フェノール、クレゾール、レゾルシンなど
のフェノール類、ε−カプロラクタム、バレロラクタム
などのラクタム類、アセトキシム、メチルエチルケトン
オキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム類お
よびエチレンイミンなどから選ばれたブロック化剤との
反応生成物などが挙げられる。
【0033】これらブロックドポリイソシアネート化合
物のなかでは、とくにε−カプロラクタムでブロックさ
れた芳香族ポリイソシアネート化合物およびジフェニル
メタンジイソシアネートの芳香族化合物の使用が良好な
結果を与える。
【0034】同じく上記処理液Bに含まれるエチレン尿
素化合物とは、加熱によりエチレンイミン環が開環して
反応し、接着性を向上させる化合物であり、その代表例
としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレン
ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート
およびトリフェニルメタントリイソシアネートなどの芳
香族、脂肪族イソシアネートと、エチレンイミンとの反
応性生物などが挙げられる。これらエチレン尿素化合物
のなかでは、とくにジフェニルメタンジエチレン尿素の
芳香族エチレン尿素化合物の使用が良好な結果を与え
る。
【0035】上記の各処理液Bに含まれるゴムラテック
スとしては、天然ゴムラテックス、スチレン・ブタジエ
ンゴムラテックス、アクリロニトリル・ブタジエンゴム
ラテックス、クロロプレンゴムラテックスおよびビニル
ピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックスなどの
ラテックスを単独または混合して使用することができ
る。
【0036】上記処理液Bにおけるポリエポキシド化合
物・ブロックドポリイソシアネート化合物・エチレン尿
素化合物・ゴムラテックスの配合比は、10〜25重量
%・20〜35重量%・20〜35重量%・0〜70重
量%の割合が好ましい。
【0037】ここで、ポリエポキシド化合物とブロック
ドポリイソシアネート化合物およびエチレン尿素化合物
の配合量が、上記の割合よりもが少ない場合は、処理し
た合成繊維の初期接着力が低下する傾向となるため好ま
しくない。
【0038】上記処理液Bは、接着剤マトリックス成分
の総固形分濃度が2〜10%、特に4〜7%の溶液(分
散液を含む)として使用するのが好適である。
【0039】また、上記処理液Bに次いで合成繊維に付
与する処理液C(第2処理液)としては、RFLと、エ
チレン尿素化合物との混合物であることが好ましく、前
記RFLにおけるゴムラテックスとしては、上記第1処
理液で使用したものと同様にビニルピリジン−スチレン
−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン−ブタジエ
ン系ゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン系
ゴムラテックス、クロロプレン系ゴムラテックス、クロ
ロスルホン化ポリエチレンラテックス、アクリレ−ト系
ゴムラテックスおよび天然ゴムラテックスなどが適宜使
用される。
【0040】また、上記処理液Cに含まれるエチレン尿
素化合物としては、上記処理液Bで使用したものと同様
にヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシ
アネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフ
ェニルメタントリイソシアネートなどの芳香族、脂肪族
イソシアネートと、エチレンイミンとの反応性生物など
が挙げられる。
【0041】上記処理液Cにおいて、接着性向上のため
に添加されるエチレン尿素化合物の配合量は、RFLに
対して3〜30重量%、とくに10〜20重量%の範囲
が好ましい。ここで、エチレン尿素化合物の配合量が3
重量%よりも少ないと接着性向上効果がが小さく、また
30重量%より多く添加しても接着性向上が飽和状態と
なり、かえって硬化し、強力の低下などのマイナス要因
を招くことになるため好ましくない。
【0042】なお、上記処理液Cは、接着剤マトリック
ス成分の総固形分濃度が5〜20%、とくに7〜15%
の溶液(分散液を含む)として使用するのが好適であ
る。
【0043】ケイ酸塩化合物の添加量は、上記処理液A
または処理液Bに含まれる接着剤マトリックス成分10
0重量%に対し1〜15重量%が好ましいが、処理液A
の場合には2〜5重量%、処理液Bの場合には3〜10
重量%の範囲が特に好ましい。
【0044】ケイ酸塩化合物の添加量が1重量%未満で
は、処理繊維コードの柔軟性および耐疲労性が劣り、1
5重量%を越えると、処理繊維コードのゴムに対する接
着性が低下する傾向になるため好ましくない。
【0045】接着剤組成物のマトリックス成分の芳香族
ポリアミド繊維コードへの付着率は、1浴処方、2浴処
方ともに乾燥重量比で繊維コードに対し2.0〜6.0
重量%、好ましくは、3.0〜5.0重量%が最適であ
る。2.0重量%を下まわると接着力が低下し、6.0
重量%を越えるとコードが硬くなり、耐疲労性が低下す
るため好ましくない。
【0046】以上の構成からなるゴム補強用芳香族ポリ
アミド繊維で補強された本発明の空気入りラジアルタイ
ヤは、軽量でかつ繊維コードとゴムとの接着性がすぐれ
ており、柔軟で耐疲労性がすぐれた高品位な性能を発揮
する。
【0047】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
る。各測定値は次の方法により求めたものである。
【0048】(1)処理液安定性 処理液を調整後、1昼夜静置し、処理液が均一状態であ
れば良好(○)、沈降分離している場合は不良(×)と
する。
【0049】(2)引抜き接着力 JIS L−1017(1983年)の接着力−A法に
準じて下記条件で処理コードを未加硫ゴムに埋め込み、
加圧下で150℃、30分間プレス加硫を行ない、放冷
後コードをゴムブロックから30cm/minの速度で
引き抜き、その引き抜き荷重を処理コードの正量繊度で
割り返しg/dで表示したものである。
【0050】(3)コード硬さ 処理コードを真直ぐな状態にして2cmに切り、テンシ
ロン引張り試験機のブリッジ(1cm間隔、φ:0.6
mm)上にのせ、コードと直角のフックバー(φ:0.
6mm)をコード中央に掛けて下降(2cm/分)させ
た時の最大応力を求め、その値をコード硬さとする。
【0051】(4)樹脂付着量 JIS Lー1017(1983年)に準じ、重量法で
求める。
【0052】(5)高速耐久性 試験タイヤについてドラム試験機を用い、80km/時
の速度で120分ならし走行し、次いで3時間以上放冷
した後に試験空気圧に調整し、本走行を開始した。本走
行は、120km/時の速度より開始し、30分走行毎
に速度を10km/時ずつ段階的に上昇させ、故障した
速度を記録し、比較例2の値を100として指数表示す
る。
【0053】なお、以下の実施例で使用するケイ酸塩化
合物は本発明の規定を満足する合成スメクタイトであ
り、比較例で使用するケイ酸塩化合物は本発明の規定を
満たさない天然系のケイ酸塩化合物である。
【0054】[実施例1〜5、比較例1〜2]エポキシ
/ブロックイソシアネート/ゴムラテックスを固形分で
11.0/23.0/66.0重量%配合してなる混合
液100重量部に、表1および2に記載した特性を有す
るケイ酸塩化合物の水溶液(2重量%)を、それぞれ表
1および表2に記載の割合で添加し、各混合液の固形分
を6重量%とすることにより、第1処理液を調整した。
【0055】一方、第2処理液としてレゾルシン・ホル
マリン(R/F)のモル比を1/1.5、固形分濃度を
10重量%とし、通常用いられるアルカリ触媒下で4時
間熟成した。このレゾルシン・ホルマリン初期縮合物
(RF樹脂)をビニルピリジン・スチレン・ブタジエン
共重合ラテックス(VPラテックス)100重量部に対
し14.3重量部添加し24時間熟成して、RFL固形
分濃度を20重量%とし、さらにこのRFL100重量
部にジフェニルメタン−ビス4,4´−N,N´−ジエ
チレン尿素の水分散液を10重量部添加し、固形分濃度
を12%とすることにより、第2処理液とした。
【0056】糸条繊度1500デニ−ル、単糸数100
0本の芳香族ポリアミド原糸(デュポン社製:“ケブラ
ー”)のマルチフィラメント2本を、それぞれ10cm
当たり35回の下撚をかけた後、この下撚コード2本を
合わせて下撚と反対方向に同数の上撚をかけて生コード
を得た。
【0057】次いで、リッツラー社製コンピュートリー
ターシングルディッピングマシンを用いて、上記生コー
ドに対し、上記各第1処理液を樹脂付着量1.5%を目
標に付与し、引き続き乾燥ゾーンを130℃で150秒
間定長で通過させた後、ホットストレッチゾーンで張力
0.5g/dになるようにストレッチをかけて240℃
で60秒間処理し、引続き第2処理液を樹脂付着量2.
5%を目標に付与し、引き続き乾燥ゾーンを100℃で
150秒間定長で通過させた後、ホットストレッチゾー
ンで張力0.25g/dになるようにストレッチをかけ
て230℃で30秒間で定長処理した。
【0058】前記の手法によって得られた各処理コード
をカーカス材として用いて、通常のタイヤ製造工程と同
様に、ラジアルタイヤ(タイヤサイズ165ーSR1
3)を製造した。なお、トレッドの内側には2枚のスチ
ールベルトを配置して補強した。
【0059】また、比較例1および2は、第1処理液の
ケイ酸塩化合物のみを変更したものおよびケイ酸塩化合
物を添加しないものであり、第2処理液と他の配合は上
記の実施例と同一の手法で行った。
【0060】各第1処理液、接着コードおよびタイヤの
評価結果を表1および表2に併せて示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】表1及び表2に示すように、本発明の場合
は、比較例の場合に比べ接着性か高く、コードが柔軟で
あり、高速耐久性が格段に優れたライアルタイヤが得ら
れた。
【0064】[実施例6〜9、比較例3〜5]アルカリ
触媒の存在化でレゾルシン1モルに対しホルマリンを
1.50モルを2時間熟成させ得られた固形分濃度10
%の初期縮合物(RF樹脂)を、ビニルピリジン・スチ
レン・ブタジエン共重合ラテックス(VPラテックス)
100重量部に対し12.5重量部添加し、24時間熟
成した。各RFL固形分は30重量%とし24時間熟成
した。
【0065】その後、収着型接着剤として“デナボン
ド”(長瀬化成社製)を、前記RFL100重量部に2
5重量部添加し、水にて固形分を14%に調整し、24
時間熟成した。
【0066】上記混合液100重量部に対し、表3およ
び4に記載した特性を有するケイ酸塩化合物の水溶液
(2重量%)を、それぞれ表1および表2に記載の割合
で添加し、各混合液の固形分を12重量%とすることに
より、処理液を準備した。
【0067】ポリグリシジルエーテル化合物を含有した
紡糸油剤を付与した糸条繊度1500デニ−ル、単糸数
1000本の芳香族ポリアミド原糸(デュポン社製“ケ
ブラ−”)のマルチフィラメント2本を、それぞれ10
cm当たり35回の下撚をかけた後、この下撚コード2
本を合わせて下撚と反対方向に同数の上撚をかけて生コ
ードを得た。
【0068】次いで、リッツラー社製(米)コンピュー
トリーターシングルディッピングマシンを用いて、上記
生コードに対し、上記各処理液を樹脂付着量4.0%を
目標に付与し、引き続き乾燥ゾーンを130℃で150
秒間定長で通過させた後、ホットストレッチゾーンで張
力0.25g/dになるようにストレッチをかけて24
0℃で60秒間処理し、次いでノルマライジングゾーン
で240℃で60秒間の間、1.5%の弛緩を与えて熱
処理した。
【0069】前記の手法によって得られた各処理コード
をカーカス材として用いて、通常のタイヤ製造工程と同
様に、ラジアルタイヤ(タイヤサイズ165ーSR1
3)を製造した。なお、トレッドの内側には2枚のスチ
ールベルトを配置して補強した。 また、比較例3、4
および5は、第1処理液のケイ酸塩化合物のみを変更し
たものおよびケイ酸塩化合物を添加しないものであり、
タイヤの製造方法は実施例6〜7と同様に行った。
【0070】各処理液、接着コード及びタイヤの評価結
果を表3および表4に併せて示す。
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】表3及び表4に示すように、本発明のラジ
アルタイヤは、比較例の場合に比べ高速耐久性が格段に
優れていた。
【0074】
【発明の効果】本発明では、コードへの接着剤付着量を
低減させてコードの柔軟化や軽量化を図ってもすぐれた
ゴムとの接着性を維持することができるので、タイヤの
軽量化や耐久性向上ができ、高性能を発揮できる空気入
りラジアルタイヤとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09J 175/04 JEZ C09J 175/04 JEZ D02G 3/48 D02G 3/48 D06M 11/79 D06M 15/693 15/693 11/06

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タイヤのトレッド内側に芳香族ポリア
    ミド繊維で補強されたカーカスプライが配置されてなる
    空気入りラジアルタイヤにおいて、前記芳香族ポリアミ
    ド繊維の表面が、接着剤マトリックス成分に少なくとも
    ケイ酸塩化合物が含有された接着剤組成物で被覆されて
    おり、前記ケイ酸塩化合物が少なくともケイ素とマグネ
    シウムから構成され、このケイ素/マグネシウムの重量
    比が1/(0.1〜1.0)であることを特徴とする空
    気入りラジアルタイヤ。
  2. 【請求項2】 前記ケイ酸塩化合物中のマグネシウム
    含有量が5重量%以上であることを特徴とする請求項1
    記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 【請求項3】 前記ケイ酸塩化合物が、さらにナトリウ
    ムおよびリチウム元素を含有することを特徴とする請求
    項1又は2記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 【請求項4】 前記ケイ酸塩化合物の1%水分散液の
    光透過率Tが50%以上であり、かつ、2%水分散液の
    チクソトロピー指数TIが2.0〜10.0であること
    を特徴とする請求項1、2又は3記載の空気入りラジア
    ルタイヤ。
  5. 【請求項5】 前記ケイ酸塩化合物がスメクタイトで
    あることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記
    載の空気入りラジアルタイヤ。
  6. 【請求項6】 前記芳香族ポリアミド繊維が、撚係数
    1500〜2300の下撚および上撚がそれぞれ反対方
    向にかけられたコードであることを特徴とする請求項1
    〜5のいずれか1項に記載の空気入りラジアルタイヤ。
  7. 【請求項7】 前記接着剤組成物の接着剤マトリック
    ス成分が、レゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテッ
    クスを主成分として構成されていることを特徴とする請
    求項1〜6のいずれか1項に記載の空気入りラジアルタ
    イヤ。
  8. 【請求項8】 前記接着剤組成物の接着剤マトリックス
    成分が、10〜25重量%のポリエポキシド化合物と、
    20〜35重量%のブロックドポリイソシアネート化合
    物及び/又はエチレン尿素化合物と、0〜70重量%の
    ゴムラテックスとの混合物から構成されていることを特
    徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気入り
    ラジアルタイヤ。
  9. 【請求項9】 接着剤マトリックス成分に対するケイ酸
    塩化合物の添加量が1〜15重量%であることを特徴と
    する請求項1〜8のいずれか1項に記載の空気入りラジ
    アルタイヤ。
  10. 【請求項10】 前記接着剤組成物の付着量が、芳香族
    ポリアミド繊維に対する乾燥重量比で2.0〜6.0重
    量%であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1
    項に記載の空気入りラジアルタイヤ。
JP8016245A 1996-01-31 1996-01-31 空気入りラジアルタイヤ Pending JPH09207509A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8016245A JPH09207509A (ja) 1996-01-31 1996-01-31 空気入りラジアルタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8016245A JPH09207509A (ja) 1996-01-31 1996-01-31 空気入りラジアルタイヤ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09207509A true JPH09207509A (ja) 1997-08-12

Family

ID=11911181

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8016245A Pending JPH09207509A (ja) 1996-01-31 1996-01-31 空気入りラジアルタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09207509A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009143486A (ja) * 2007-12-17 2009-07-02 Sumitomo Rubber Ind Ltd ランフラットタイヤ
KR100960047B1 (ko) * 2005-12-30 2010-05-31 주식회사 효성 내피로성이 향상된 고강도 폴리(p-페닐렌테레프탈아미드)섬유 및 이의 제조방법
JP2017150105A (ja) * 2016-02-25 2017-08-31 東レ株式会社 有機繊維コードおよびゴム製品
CN110662798A (zh) * 2017-05-08 2020-01-07 倍耐力轮胎股份公司 用于自行车车轮的轮胎

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100960047B1 (ko) * 2005-12-30 2010-05-31 주식회사 효성 내피로성이 향상된 고강도 폴리(p-페닐렌테레프탈아미드)섬유 및 이의 제조방법
JP2009143486A (ja) * 2007-12-17 2009-07-02 Sumitomo Rubber Ind Ltd ランフラットタイヤ
JP2017150105A (ja) * 2016-02-25 2017-08-31 東レ株式会社 有機繊維コードおよびゴム製品
CN110662798A (zh) * 2017-05-08 2020-01-07 倍耐力轮胎股份公司 用于自行车车轮的轮胎
CN110662798B (zh) * 2017-05-08 2022-01-04 倍耐力轮胎股份公司 用于自行车车轮的轮胎

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3146920B2 (ja) ゴム・繊維用接着剤組成物、ゴム補強用合成繊維および繊維補強ゴム構造物
EP2813376B1 (en) Pneumatic radial tire
Takeyama et al. Recent developments with tire cords and cord-to-rubber bonding
WO2012133745A1 (ja) タイヤ
EP1129125B1 (en) Process for producing an adhesive-treated polyester fiber cord
JP4982188B2 (ja) ゴム・繊維用接着処理剤、ゴム補強用合成繊維コード、およびその製造方法
EP1225260B1 (en) Wrapped cord
JP2007177360A (ja) ポリエステルタイヤキャッププライコードの製造方法
JP5899762B2 (ja) ゴム補強用ポリエステル繊維コードの製造方法およびタイヤ
JPH09207509A (ja) 空気入りラジアルタイヤ
JPH09207508A (ja) 空気入りラジアルタイヤ
JP3663714B2 (ja) 繊維補強ゴムホース
JP3228287B2 (ja) ゴム・繊維用接着剤組成物、ゴム補強用合成繊維および繊維補強ゴム構造物
JP3921659B2 (ja) ゴム補強用芳香族ポリアミド繊維の製造方法及び繊維強化ゴム複合材料
JPH11323738A (ja) ゴム補強用芳香族ポリアミド繊維、その製造方法および繊維強化ゴム複合材料
JPH10273877A (ja) ゴム補強用繊維の製造方法
JP2001234143A (ja) ゴム・繊維用接着処理剤、ゴム補強用繊維コードおよびその製造方法
JPH09209276A (ja) ゴム補強用合成繊維
JPH0921073A (ja) ゴム補強用芳香族ポリアミド繊維およびその製造方法
JP3762581B2 (ja) ポリエステル繊維コードの製造方法
JPH08108492A (ja) ゴム補強用高剛性芳香族ポリアミドコードおよびそのコードを用いた空気入りタイヤ
JPH09210138A (ja) 繊維補強ゴムベルト
Takeyama et al. Tire cord and cord to rubber bonding
JPH11350282A (ja) ゴムホース補強用ポリエステルコードおよびその製造方法
JPH11279291A (ja) 補強ゴム製品の製造方法