JP2666265B2 - TiO2を主たる成分とする誘電体セラミクスに用いられる焼結助剤 - Google Patents
TiO2を主たる成分とする誘電体セラミクスに用いられる焼結助剤Info
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Description
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
この発明はセラミクス用焼結助剤に関し、特にTiO2を
主たる成分として含有する誘電体材料に添加混合される
セラミクス用焼結助剤に関する。 (従来技術) たとえば、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ス
トロンチウム(SrTiO3)、酸化チタン(TiO2)などを主
体とする誘電体磁器は、通常1,300℃以上の温度で焼成
される。 (発明が解決しようとする問題点) このような磁器組成物を用いてたとえば積層コンデン
サを製造する場合には、各セラミック層の間に内部電極
が介在されるが、誘電体組成物は上述したように1,300
℃以上の温度で焼成されるため、未焼成のセラミック積
層体には、内部電極として高融点の白金,パラジウムな
どの貴金属のペーストが用いられる。しかしながら、こ
れらの貴金属は高価なため、積層コンデンサに占める内
部電極の材料費が30〜50%にものぼり、積層コンデンサ
のコストダウンに対応できないことになる。 また、焼成温度が1,300℃以上になれば、使用される
焼成炉の損傷が激しいので、焼成炉の保守,管理コスト
が使用時間の経緯とともに高くなり、しかも、焼成温度
が高いため、磁器化に要するエネルギコストも膨大なも
のとなる。 このため、最近では、低温焼結用の材料として鉛系の
コンデンサ材料、内部電極に安価なニッケルを用いた非
還元性のコンデンサ材料、さらには、内部電極として
鉛,鉛−錫合金を用い、あらかじめ積層体に内部電極が
形成される領域に空隙層を形成しておき、この空隙層に
溶融した鉛,鉛−錫合金を注入し、冷却,固化すること
により、積層コンデンサとしたものがある。 しかしながら、従来よりすでに存在する誘電体材料に
ついて、そのものが有する特性が使用要求レベルに十分
に応えられるものである以上、この特性を損なわずに低
温で焼成できれば、それに越したことはない。 それゆえに、この発明の主たる目的は、TiO2を主たる
成分とする誘電体材料の焼成温度を下げることができ
る、セラミクス用焼結助剤を提供することである。 (問題点を解決するための手段) この発明は、Li2Oが2〜45モル%、ZnO,SnOおよびMnO
の合計が40モル%以下(ただし、ZnO,SnOおよびMnOのう
ち少なくとも1種)、RO(ただし、RはBa,Sr,Caおよび
Mgのうち少なくとも1種)が5〜40モル%、および(T
i,Si)O2が30〜70モル%(ただし、(Ti,Si)O2のうちS
iO2成分が15モル%以上)からなる主成分に、100重量部
の主成分に対して、Al2O3,B2O3,CuO,Nb2O5,Ta2O5,Ga
2O3,GeO2,Y2O3,ZrO2,WO3,MoO3,Fe2O3,CoO,NiO,PbOおよ
びBiO2O3のうち少なくとも1種を0〜20重量部(ただ
し、Y2O3,ZrO2,WO3,MoO3,Fe2O3,CoO,NiO,PbOおよびBi2O
3については10重量部以下)添加した、TiO2を主たる成
分とする誘電体セラミクスに用いられる焼結助剤であ
る。 この発明のTiO2を主たる成分とする誘電体セラミクス
に用いられる焼結助剤を上述のような組成範囲に限定し
たのは次の理由による。 つまり、Li2Oが2モル%未満では焼成温度が1,300℃
を超えてしまい、この発明の目的が達成できなくなるか
らである。一方、Li2Oが45モル%を超えると、焼結助剤
そのものの溶融温度が800℃未満となり、その焼結助剤
を誘電体材料に配合して成形体とし、焼成プロセスにも
たらされる場合、焼結が完了する前に成形体が軟化変形
するため、焼結助剤としての役割を果たさないからであ
る。それと同時に、一旦ガラス化する際に、焼結助剤そ
のものが溶融固化してしまい、200メッシュの篩を通過
する粉末が得られないからである。 また、ZnO,SnOおよびMnOの合計が40モル%を超える場
合には、焼成温度が1,300℃を超えてしまうからであ
る。 ROが5モル%未満あるいは40モル%を超えても、焼成
温度が1,300℃を超えてしまうからである。 さらに、(Ti,Si)O2が30モル%未満あるいは70モル
%を超えると、焼成温度が1,300℃を超えてしまい、こ
の発明の目的が達成できなくなってしまうからである。
(Ti,Si)O2のうち、SiO2が15モル%未満あるいはTiO2
が含有されない場合にも、焼成温度の低減化が実現され
ないからである。 また、Li2O,ROおよび(Ti,Si)O2などからなる主成分
に、100重量部の主成分に対して、Al2O3,B2O3,CuO,Nb2O
5,Ta2O5,Ga2O3,GeO2,Y2O3,ZrO2,WO3,MoO3,Fe2O3,CoO,Ni
O,PbOおよびBi2O3のうち少なくとも1種を20重量部(Y2
O3,ZrO2,WO3,MoO3,Fe2O3,CoO,NiO,PbOおよびBi2O3につ
いては10重量部)を超えた範囲で添加した場合にも、焼
成温度の低減化が実現されないからである。 (発明の効果) この発明によれば、TiO2を主たる成分とする誘電体材
料の焼成温度を下げることができる。しかも、この場
合、焼結された誘電体磁器はその誘電損失に悪影響が与
えられない。 この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利
点は、以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろ
う。 (実施例) この発明のTiO2を主たる成分とする誘電体セラミクス
に用いられる焼結助剤は、主体となる誘電体材料を焼結
する際に、あらかじめ所定の割合で誘電体材料の主成分
に添加混合された後成形体とされ、その後焼成プロセス
にもたらされる。この場合、誘電体セラミクス用焼結助
剤は誘電体材料の主成分に対して、個々に添加してもよ
いが、あらかじめ誘電体セラミクス用焼結助剤を配合し
ておき、これを熱処理して溶融し、その後ガラス化して
粉砕したものを、誘電体材料の主成分に添加混合しても
よい。 なお、この発明の誘電体セラミクス用焼結助剤を誘電
体材料の主成分に添加する割合は、誘電体材料の主成分
によって異なるが、全体の0.05〜25.0重量%の範囲であ
る。これは、誘電体セラミクス用焼結助剤の添加する割
合が0.05重量%未満では焼成温度の低減化が実現され
ず、一方、25.0重量%を超えると誘電体特性が著しく損
なわれるからである。 実施例1 まず、別表1に示した組成の焼結助剤が得られるよう
に、各成分の酸化物,炭酸塩あるいは水酸化物を調合し
た。これらをアルミナボールを玉石としてポリポットミ
ルで16時間湿式混合,粉砕した後蒸発乾燥して、粉末を
得た。得られた粉末をジルコニア質の匣に入れて800℃
の温度で2時間焼成した後、200メッシユの篩を通過す
るように粗粉砕して、焼結助剤を準備した。 一方、セラミック原料として、84BaTiO3−10CaSnO3−
6CaZrO3(モル比)の主成分にMnOが1重量%添加された
組成物が得られるように、各原料の酸化物または炭酸塩
を調合した。これらをアルミナボールを玉石としてポリ
ポットミルで16時間湿式混合,粉砕した後蒸発乾燥し
て、粉末を得た。得られた粉末をジルコニア質の匣にい
れて1,100℃の温度で2時間焼成した後、200メッシュの
篩を通過するように粗粉砕して、誘電体粉末を準備し
た。 次に、準備した誘電体粉末に焼結助剤を別表1に示す
割合で添加し、これにポリビニルアルコール系のバイン
ダを加えてポリポットミルで16時間湿式混合した。これ
を蒸発乾燥し、造粒した後、1,000kg/cm2の圧力で加圧
して直径10mm,厚み1mmの円板に成形して成形体を得た。
この成形体を自然雰囲気中で1,000℃〜1,350℃の温度で
2時間焼成して、焼結体を得た。 得られた焼結体について、ふくしん液に漬けて焼結度
の試験を行い、最適焼成温度を決定した。 また、得られた焼結体の両面に電極となる銀ペースト
を印刷塗布し、銀ペーストを空気中で800℃の温度で30
分間焼いて、電極を形成して、コンデンサ(試料)を得
た。得られたコンデンサ(試料)について25℃の温度に
おける1KHz,1Vr.m.sでの誘電率(ε)、誘電損失(Tan
δ)および+20℃を基準にした−25〜+85℃の温度範囲
で誘電率の温度特性を測定した。この測定結果を別表2
に示した。 なお、別表1および別表2中、*印のものはこの発明
範囲外のものである。 また、別表2において、温度特性について、B,C,D,E
およびFの各特性はJIS規格による温度特性を意味し、
各特性について詳細に説明すれば次のとおりである。 B特性:20℃における静電容量を基準として、−25℃〜
+85℃における容量変化率が−10〜+10%を超えない。 C特性:20℃における静電容量を基準として、−25℃〜
+85℃における容量変化率が−20〜+20%を超えない。 D特性:20℃における静電容量を基準として、−25℃〜
+85℃における容量変化率が−30〜+20%を超えない。 E特性:20℃における静電容量を基準として、−25℃〜
+85℃における容量変化率が−55〜+20%を超えない。 F特性:20℃における静電容量を基準として、−25℃〜
+85℃における容量変化率が−80〜+30%を超えない。 この実施例1においては、この発明の焼結助剤をTiO2
を主たる成分とする誘電体材料に添加して焼成すること
によって、焼結助剤を未添加のものに比べて、焼結温度
を低減できることがわかる。また、焼結助剤の添加量を
増加していくと、室温における誘電率は低下するが、一
方では、誘電率の温度特性がF特性→E特性→D特性→
C特性→B特性のように変化し、その変化率を徐々に少
なくでき、温度特性の改善に効果がみられることがわか
る。さらに、100重量%の誘電体材料に対して0.05重量
%の焼結助剤が添加されているときには、誘電率の低下
現象はみられないことがわかる。また、室温における誘
電損失は焼結助剤の添加量にほとんど影響されないこと
がわかる。 実施例2 セラミック原料として、35SrTiO3−15PbTiO3−17CaTi
O3−7Bi2O3−26TiO2(モル比)にMnOが0.1重量%添加さ
れた組成の誘電体粉末を実施例1と同様に準備し、別表
3に示した組成の焼結助剤を添加して、実施例1と同様
に評価した。得られた結果を別表4に示した。なお、別
表3および別表4中、*印のものはこの発明範囲外のも
のである。 この実施例2においても、実施例1と同様に、この発
明の焼結助剤をTiO2を主たる成分とする誘電体材料に添
加して焼成することによって、焼結助剤を未添加のもの
に比べて、焼結温度を低減できることがわかる。また、
焼結助剤の添加量を増加していくと、室温における誘電
率は低下するが、一方では、誘電率の温度特性がC特性
→B特性のように変化し、その変化率を徐々に少なくで
き、温度特性の改善に効果がみられることがわかる。さ
らに、焼結助剤が0.05重量%添加されているときには、
誘電率の低下現象はみられないことがわかる。また、室
温における誘電損失は焼結助剤の添加量にほとんど影響
されないことがわかる。 実施例3 セラミック原料として、81.5BaTiO3−8BaZrO3−10CaZ
rO3−0.5MgO(モル比)にMnOが0.3重量%添加された組
成の誘電体粉末を実施例1と同様に準備し、別表5に示
した組成の焼結助剤を添加して実施例1と同様に評価し
た。ただし、この実施例3ではその焼成雰囲気として還
元性雰囲気(H2を1%含むN2雰囲気)を用いて焼成し
た。得られた結果を別表6に示した。なお、別表5およ
び別表6中、*印のものはこの発明範囲外のものであ
る。 この実施例3のように、還元性雰囲気で焼成した場合
でも、他の実施例と同様に、この発明の焼成助剤をTiO2
を主たる成分とする誘電体材料に添加して焼成すること
によって、焼結助剤を未添加のものに比べて、焼結温度
を低減できることがわかる。また、焼結助剤の添加量を
増加していくと、室温における誘電率は低下するが、一
方では、誘電率の温度特性がF特性→E特性→D特性の
ように変化し、その変化率を徐々に少なくでき、温度特
性の改善に効果がみられることがわかる。さらに、焼結
助剤が0.1重量%のときには、誘電率の低下現象は認め
られないことがわかる。また、室温における誘電損失は
焼結助剤の添加量にほとんど影響されないこともわか
る。 上述の各実施例から明らかなように、この発明の焼結
助剤を、TiO2を主たる成分として含有する誘電体材料に
添加することによって、誘電体損失に悪影響を与えず焼
結温度の低減化を図ることができる。これは、焼結助剤
にも、TiO2が含まれ、それと誘電体材料中のTiO2との焼
結温度域における濡れ性がよくなり、緻密な誘電体セラ
ミクス焼結体が得られるように働くことによるものであ
る。
主たる成分として含有する誘電体材料に添加混合される
セラミクス用焼結助剤に関する。 (従来技術) たとえば、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ス
トロンチウム(SrTiO3)、酸化チタン(TiO2)などを主
体とする誘電体磁器は、通常1,300℃以上の温度で焼成
される。 (発明が解決しようとする問題点) このような磁器組成物を用いてたとえば積層コンデン
サを製造する場合には、各セラミック層の間に内部電極
が介在されるが、誘電体組成物は上述したように1,300
℃以上の温度で焼成されるため、未焼成のセラミック積
層体には、内部電極として高融点の白金,パラジウムな
どの貴金属のペーストが用いられる。しかしながら、こ
れらの貴金属は高価なため、積層コンデンサに占める内
部電極の材料費が30〜50%にものぼり、積層コンデンサ
のコストダウンに対応できないことになる。 また、焼成温度が1,300℃以上になれば、使用される
焼成炉の損傷が激しいので、焼成炉の保守,管理コスト
が使用時間の経緯とともに高くなり、しかも、焼成温度
が高いため、磁器化に要するエネルギコストも膨大なも
のとなる。 このため、最近では、低温焼結用の材料として鉛系の
コンデンサ材料、内部電極に安価なニッケルを用いた非
還元性のコンデンサ材料、さらには、内部電極として
鉛,鉛−錫合金を用い、あらかじめ積層体に内部電極が
形成される領域に空隙層を形成しておき、この空隙層に
溶融した鉛,鉛−錫合金を注入し、冷却,固化すること
により、積層コンデンサとしたものがある。 しかしながら、従来よりすでに存在する誘電体材料に
ついて、そのものが有する特性が使用要求レベルに十分
に応えられるものである以上、この特性を損なわずに低
温で焼成できれば、それに越したことはない。 それゆえに、この発明の主たる目的は、TiO2を主たる
成分とする誘電体材料の焼成温度を下げることができ
る、セラミクス用焼結助剤を提供することである。 (問題点を解決するための手段) この発明は、Li2Oが2〜45モル%、ZnO,SnOおよびMnO
の合計が40モル%以下(ただし、ZnO,SnOおよびMnOのう
ち少なくとも1種)、RO(ただし、RはBa,Sr,Caおよび
Mgのうち少なくとも1種)が5〜40モル%、および(T
i,Si)O2が30〜70モル%(ただし、(Ti,Si)O2のうちS
iO2成分が15モル%以上)からなる主成分に、100重量部
の主成分に対して、Al2O3,B2O3,CuO,Nb2O5,Ta2O5,Ga
2O3,GeO2,Y2O3,ZrO2,WO3,MoO3,Fe2O3,CoO,NiO,PbOおよ
びBiO2O3のうち少なくとも1種を0〜20重量部(ただ
し、Y2O3,ZrO2,WO3,MoO3,Fe2O3,CoO,NiO,PbOおよびBi2O
3については10重量部以下)添加した、TiO2を主たる成
分とする誘電体セラミクスに用いられる焼結助剤であ
る。 この発明のTiO2を主たる成分とする誘電体セラミクス
に用いられる焼結助剤を上述のような組成範囲に限定し
たのは次の理由による。 つまり、Li2Oが2モル%未満では焼成温度が1,300℃
を超えてしまい、この発明の目的が達成できなくなるか
らである。一方、Li2Oが45モル%を超えると、焼結助剤
そのものの溶融温度が800℃未満となり、その焼結助剤
を誘電体材料に配合して成形体とし、焼成プロセスにも
たらされる場合、焼結が完了する前に成形体が軟化変形
するため、焼結助剤としての役割を果たさないからであ
る。それと同時に、一旦ガラス化する際に、焼結助剤そ
のものが溶融固化してしまい、200メッシュの篩を通過
する粉末が得られないからである。 また、ZnO,SnOおよびMnOの合計が40モル%を超える場
合には、焼成温度が1,300℃を超えてしまうからであ
る。 ROが5モル%未満あるいは40モル%を超えても、焼成
温度が1,300℃を超えてしまうからである。 さらに、(Ti,Si)O2が30モル%未満あるいは70モル
%を超えると、焼成温度が1,300℃を超えてしまい、こ
の発明の目的が達成できなくなってしまうからである。
(Ti,Si)O2のうち、SiO2が15モル%未満あるいはTiO2
が含有されない場合にも、焼成温度の低減化が実現され
ないからである。 また、Li2O,ROおよび(Ti,Si)O2などからなる主成分
に、100重量部の主成分に対して、Al2O3,B2O3,CuO,Nb2O
5,Ta2O5,Ga2O3,GeO2,Y2O3,ZrO2,WO3,MoO3,Fe2O3,CoO,Ni
O,PbOおよびBi2O3のうち少なくとも1種を20重量部(Y2
O3,ZrO2,WO3,MoO3,Fe2O3,CoO,NiO,PbOおよびBi2O3につ
いては10重量部)を超えた範囲で添加した場合にも、焼
成温度の低減化が実現されないからである。 (発明の効果) この発明によれば、TiO2を主たる成分とする誘電体材
料の焼成温度を下げることができる。しかも、この場
合、焼結された誘電体磁器はその誘電損失に悪影響が与
えられない。 この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利
点は、以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろ
う。 (実施例) この発明のTiO2を主たる成分とする誘電体セラミクス
に用いられる焼結助剤は、主体となる誘電体材料を焼結
する際に、あらかじめ所定の割合で誘電体材料の主成分
に添加混合された後成形体とされ、その後焼成プロセス
にもたらされる。この場合、誘電体セラミクス用焼結助
剤は誘電体材料の主成分に対して、個々に添加してもよ
いが、あらかじめ誘電体セラミクス用焼結助剤を配合し
ておき、これを熱処理して溶融し、その後ガラス化して
粉砕したものを、誘電体材料の主成分に添加混合しても
よい。 なお、この発明の誘電体セラミクス用焼結助剤を誘電
体材料の主成分に添加する割合は、誘電体材料の主成分
によって異なるが、全体の0.05〜25.0重量%の範囲であ
る。これは、誘電体セラミクス用焼結助剤の添加する割
合が0.05重量%未満では焼成温度の低減化が実現され
ず、一方、25.0重量%を超えると誘電体特性が著しく損
なわれるからである。 実施例1 まず、別表1に示した組成の焼結助剤が得られるよう
に、各成分の酸化物,炭酸塩あるいは水酸化物を調合し
た。これらをアルミナボールを玉石としてポリポットミ
ルで16時間湿式混合,粉砕した後蒸発乾燥して、粉末を
得た。得られた粉末をジルコニア質の匣に入れて800℃
の温度で2時間焼成した後、200メッシユの篩を通過す
るように粗粉砕して、焼結助剤を準備した。 一方、セラミック原料として、84BaTiO3−10CaSnO3−
6CaZrO3(モル比)の主成分にMnOが1重量%添加された
組成物が得られるように、各原料の酸化物または炭酸塩
を調合した。これらをアルミナボールを玉石としてポリ
ポットミルで16時間湿式混合,粉砕した後蒸発乾燥し
て、粉末を得た。得られた粉末をジルコニア質の匣にい
れて1,100℃の温度で2時間焼成した後、200メッシュの
篩を通過するように粗粉砕して、誘電体粉末を準備し
た。 次に、準備した誘電体粉末に焼結助剤を別表1に示す
割合で添加し、これにポリビニルアルコール系のバイン
ダを加えてポリポットミルで16時間湿式混合した。これ
を蒸発乾燥し、造粒した後、1,000kg/cm2の圧力で加圧
して直径10mm,厚み1mmの円板に成形して成形体を得た。
この成形体を自然雰囲気中で1,000℃〜1,350℃の温度で
2時間焼成して、焼結体を得た。 得られた焼結体について、ふくしん液に漬けて焼結度
の試験を行い、最適焼成温度を決定した。 また、得られた焼結体の両面に電極となる銀ペースト
を印刷塗布し、銀ペーストを空気中で800℃の温度で30
分間焼いて、電極を形成して、コンデンサ(試料)を得
た。得られたコンデンサ(試料)について25℃の温度に
おける1KHz,1Vr.m.sでの誘電率(ε)、誘電損失(Tan
δ)および+20℃を基準にした−25〜+85℃の温度範囲
で誘電率の温度特性を測定した。この測定結果を別表2
に示した。 なお、別表1および別表2中、*印のものはこの発明
範囲外のものである。 また、別表2において、温度特性について、B,C,D,E
およびFの各特性はJIS規格による温度特性を意味し、
各特性について詳細に説明すれば次のとおりである。 B特性:20℃における静電容量を基準として、−25℃〜
+85℃における容量変化率が−10〜+10%を超えない。 C特性:20℃における静電容量を基準として、−25℃〜
+85℃における容量変化率が−20〜+20%を超えない。 D特性:20℃における静電容量を基準として、−25℃〜
+85℃における容量変化率が−30〜+20%を超えない。 E特性:20℃における静電容量を基準として、−25℃〜
+85℃における容量変化率が−55〜+20%を超えない。 F特性:20℃における静電容量を基準として、−25℃〜
+85℃における容量変化率が−80〜+30%を超えない。 この実施例1においては、この発明の焼結助剤をTiO2
を主たる成分とする誘電体材料に添加して焼成すること
によって、焼結助剤を未添加のものに比べて、焼結温度
を低減できることがわかる。また、焼結助剤の添加量を
増加していくと、室温における誘電率は低下するが、一
方では、誘電率の温度特性がF特性→E特性→D特性→
C特性→B特性のように変化し、その変化率を徐々に少
なくでき、温度特性の改善に効果がみられることがわか
る。さらに、100重量%の誘電体材料に対して0.05重量
%の焼結助剤が添加されているときには、誘電率の低下
現象はみられないことがわかる。また、室温における誘
電損失は焼結助剤の添加量にほとんど影響されないこと
がわかる。 実施例2 セラミック原料として、35SrTiO3−15PbTiO3−17CaTi
O3−7Bi2O3−26TiO2(モル比)にMnOが0.1重量%添加さ
れた組成の誘電体粉末を実施例1と同様に準備し、別表
3に示した組成の焼結助剤を添加して、実施例1と同様
に評価した。得られた結果を別表4に示した。なお、別
表3および別表4中、*印のものはこの発明範囲外のも
のである。 この実施例2においても、実施例1と同様に、この発
明の焼結助剤をTiO2を主たる成分とする誘電体材料に添
加して焼成することによって、焼結助剤を未添加のもの
に比べて、焼結温度を低減できることがわかる。また、
焼結助剤の添加量を増加していくと、室温における誘電
率は低下するが、一方では、誘電率の温度特性がC特性
→B特性のように変化し、その変化率を徐々に少なくで
き、温度特性の改善に効果がみられることがわかる。さ
らに、焼結助剤が0.05重量%添加されているときには、
誘電率の低下現象はみられないことがわかる。また、室
温における誘電損失は焼結助剤の添加量にほとんど影響
されないことがわかる。 実施例3 セラミック原料として、81.5BaTiO3−8BaZrO3−10CaZ
rO3−0.5MgO(モル比)にMnOが0.3重量%添加された組
成の誘電体粉末を実施例1と同様に準備し、別表5に示
した組成の焼結助剤を添加して実施例1と同様に評価し
た。ただし、この実施例3ではその焼成雰囲気として還
元性雰囲気(H2を1%含むN2雰囲気)を用いて焼成し
た。得られた結果を別表6に示した。なお、別表5およ
び別表6中、*印のものはこの発明範囲外のものであ
る。 この実施例3のように、還元性雰囲気で焼成した場合
でも、他の実施例と同様に、この発明の焼成助剤をTiO2
を主たる成分とする誘電体材料に添加して焼成すること
によって、焼結助剤を未添加のものに比べて、焼結温度
を低減できることがわかる。また、焼結助剤の添加量を
増加していくと、室温における誘電率は低下するが、一
方では、誘電率の温度特性がF特性→E特性→D特性の
ように変化し、その変化率を徐々に少なくでき、温度特
性の改善に効果がみられることがわかる。さらに、焼結
助剤が0.1重量%のときには、誘電率の低下現象は認め
られないことがわかる。また、室温における誘電損失は
焼結助剤の添加量にほとんど影響されないこともわか
る。 上述の各実施例から明らかなように、この発明の焼結
助剤を、TiO2を主たる成分として含有する誘電体材料に
添加することによって、誘電体損失に悪影響を与えず焼
結温度の低減化を図ることができる。これは、焼結助剤
にも、TiO2が含まれ、それと誘電体材料中のTiO2との焼
結温度域における濡れ性がよくなり、緻密な誘電体セラ
ミクス焼結体が得られるように働くことによるものであ
る。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.Li2Oが2〜45モル%、 ZnO,SnOおよびMnOの合計が40モル%以下(ただし、ZnO,
SnOおよびMnOのうち少なくとも1種)、 RO(ただし、RはBa,Sr,CaおよびMgのうち少なくとも1
種)が5〜40モル%、および (Ti,Si)O2が30〜70モル%(ただし、(Ti,Si)O2のう
ちSiO2成分が15モル%以上)からなる主成分に、 100重量部の前記主成分に対して、Al2O3,B2O3,CuO,Nb2O
5,Ta2O5,Ga2O3,GeO2,Y2O3,ZrO2,WO3,MoO3,Fe2O3,CoO,Ni
O,PbOおよびBiO2O3のうち少なくとも1種を0〜20重量
部(ただし、Y2O3,ZrO2,WO3,MoO3,Fe2O3,CoO,NiO,PbOお
よびBi2O3については10重量部以下)添加した、TiO2を
主たる成分とする誘電体セラミクスに用いられる焼結助
剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61300250A JP2666265B2 (ja) | 1986-12-16 | 1986-12-16 | TiO2を主たる成分とする誘電体セラミクスに用いられる焼結助剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61300250A JP2666265B2 (ja) | 1986-12-16 | 1986-12-16 | TiO2を主たる成分とする誘電体セラミクスに用いられる焼結助剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63151658A JPS63151658A (ja) | 1988-06-24 |
JP2666265B2 true JP2666265B2 (ja) | 1997-10-22 |
Family
ID=17882520
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61300250A Expired - Lifetime JP2666265B2 (ja) | 1986-12-16 | 1986-12-16 | TiO2を主たる成分とする誘電体セラミクスに用いられる焼結助剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2666265B2 (ja) |
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---|---|---|---|---|
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JP5128783B2 (ja) * | 2006-04-17 | 2013-01-23 | 株式会社ヨコオ | 高周波用誘電体材料 |
JP2011068510A (ja) * | 2009-09-25 | 2011-04-07 | Nihon Yamamura Glass Co Ltd | ガラス組成物、及び、誘電体製造方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS60119009A (ja) * | 1983-11-30 | 1985-06-26 | 太陽誘電株式会社 | 誘電体磁器組成物 |
-
1986
- 1986-12-16 JP JP61300250A patent/JP2666265B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63151658A (ja) | 1988-06-24 |
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