JP2011068510A - ガラス組成物、及び、誘電体製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸化物換算の質量%で、SiO2が30〜60%;ZrO2及びTiO2のいずれか一方又は両方が合計3〜20%;B2O3が0〜20%;Al2O3が0〜15%;ZnOが0〜15%;MgO、CaO、SrO及びBaOの内の1種以上が合計0〜25%;Li2O、Na2O及びK2Oの内の1種以上が合計0〜20%の組成比を有し、しかも、B2O3、MgO、CaO、SrO、BaO、Li2O、Na2O、及びK2Oの総合計が、40質量%以下となる組成比を有しており、セラミック誘電体粒子の焼結助剤に用いられることを特徴とガラス組成物などを提供する。
【選択図】 なし
Description
例えば、デジタル電子機器の小型化、高機能化にともなって積層セラミックコンデンサ(MLC)などにおいては小型化、高容量化が求められており、近年のMLCでは、BaTiO3のような高い誘電率を有する物質で形成された誘電体が複数層積層された状態で用いられている。
そして、この誘電体の層厚みを10μm以下の薄さとすることが求められたりしている。
このグリーンシートには、セラミック誘電体粒子を単独で焼結させるような場合よりも低温での焼結を可能にすることを目的として焼結を補助する焼結助剤が含有される場合があり、この焼結助剤としてガラス成分を含有させることが下記特許文献1などにおいて検討されている。
なお、この焼結助剤としてグリーンシートに含有されたガラス成分は、通常、焼結後の誘電体に残存することとなる。
したがって、誘電体に残存する前記ガラス成分が水に対して溶出されやすいものであった場合には、当該誘電体に耐水性の点で問題を発生させるおそれを有する。
このようなゲル化が発生すると基材上への塗布や印刷を困難にさせることとなりグリーンシートの作製を困難にさせるおそれを有する。
また、水性分散体を利用してグリーンシートを作製させる場合に焼結助剤として含有させる粉末ガラスを形成させるのに適したガラス組成物が見出されていないために、誘電体の製造における環境負荷の軽減を図ることが困難な状況となっている。
セラミック誘電体粒子の焼結助剤として用いられるガラス組成物であって、
酸化物換算の質量%で、
SiO2:30〜60%、
ZrO2及びTiO2のいずれか一方又は両方:合計3〜20%、
B2O3:0〜20%、
Al2O3:0〜15%、
ZnO:0〜15%、
MgO、CaO、SrO及びBaOの内の1種以上:合計0〜25%、
Li2O、Na2O及びK2Oの内の1種以上:合計0〜20%
となる組成比を有し、しかも、
B2O3、MgO、CaO、SrO、BaO、Li2O、Na2O、及びK2Oの総合計が、40質量%以下となる組成比を有していることを特徴としている。
酸化物換算の質量%で、
SiO2:30〜60%、
ZrO2及びTiO2のいずれか一方又は両方:合計3〜20%、
B2O3:0〜20%、
Al2O3:0〜15%、
ZnO:0〜15%、
MgO、CaO、SrO及びBaOの内の1種以上:合計0〜25%、
Li2O、Na2O及びK2Oの内の1種以上:合計0〜20%
となる組成比を有し、しかも、
B2O3、MgO、CaO、SrO、BaO、Li2O、Na2O、及びK2Oの総合計が、40質量%以下となる組成比を有するガラス組成物を焼結助剤として用いてセラミック誘電体粒子の焼結を実施して誘電体を作製することを特徴としている。
そして、耐水性に優れたガラスの形成に有用なガラス組成物が提供されることから、当該ガラス組成物を焼結助剤として用いることで水系溶剤を利用して誘電体を製造することができ、環境負荷の軽減を図ることができる。
本実施形態におけるガラス組成物は、酸化物換算の質量%で、SiO2が30〜60%;ZrO2及びTiO2のいずれか一方又は両方が合計3〜20%;B2O3が0〜20%;Al2O3が0〜15%;ZnOが0〜15%;MgO、CaO、SrO及びBaOの内の1種以上が合計0〜25%;Li2O、Na2O及びK2Oの内の1種以上が合計0〜20%;となる組成比を有し、しかも、B2O3、MgO、CaO、SrO、BaO、Li2O、Na2O、及びK2Oの総合計が、40質量%以下となる組成比を有しており、セラミック誘電体粒子の焼結助剤として用いられるものである。
各成分に関して上記のような範囲が設定されているのは、次のような理由によるものである。
下限値が30質量%とされているのは、本実施形態のガラス組成物におけるSiO2の含有量が30質量%未満の場合は、得られるガラスの耐水性が不十分となり、スラリー等の水性分散体を作製した時にゲル化が生じる可能性を有するためである。
上限値が60質量%とされているのは、60質量%を超えて含有されると得られるガラスの軟化点が高くなり過ぎ、焼結助剤として十分な効果が得られなくなる可能性を有するためである。
このような点において、SiO2の含有量は、好ましくは35〜55質量%、より好ましくは40〜50質量%である。
本実施形態のガラス組成物に含有させる場合において、その上限値が20質量%とされているのは、含有量が20質量%を超えた場合は、得られるガラスの耐水性が不十分となり、スラリー等の水性分散体を作製した時にゲル化が生じる可能性があるためである。
このような点においてB2O3の含有量は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
本実施形態のガラス組成物に含有させる場合において、その上限値が15質量%とされているのは、含有量が15質量%を超えた場合は、得られるガラスに結晶化を生じさせる可能性があるためである。
このような点においてAl2O3の含有量は、好ましくは2〜13質量%、より好ましくは5〜10質量%である。
上限値が15質量%とされているのは、本実施形態のガラス組成物におけるZnOの含有量が15質量%を超えた場合は、得られるガラスに結晶化を生じさせる可能性を有するためである。
このような点においてZnOの含有量は、好ましくは0〜13質量%、より好ましくは0〜10質量%である。
上限値が25質量%とされているのは、本実施形態のガラス組成物におけるこれらの含有量の合計が25質量%を超えた場合は、得られるガラスの耐水性が不十分となり、スラリー等の水性分散体を作製した時にゲル化が生じる可能性を有するためである。
このような点においてMgO、CaO、SrO及びBaOの合計量は好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0〜15質量%である。
これらの合計含有量の上限値が20質量%とされているのは、本実施形態のガラス組成物におけるこれらの含有量の合計が20質量%を超えた場合は、得られるガラスの耐水性が不十分となり、スラリー等の水性分散体を作製した時にゲル化が生じる可能性があるためである。
このような点においてLi2O、Na2O及びK2Oの合計量は好ましくは0〜15質量%、より好ましくは0〜10質量%である。
これらの合計量における下限値が3質量%とされているのは、本実施形態のガラス組成物におけるZrO2及びTiO2の含有量の合計が3質量%未満の場合は、得られるガラスの耐水性が不十分となり、スラリー等の水性分散体を作製した時にゲル化が生じる可能性を有するためである。
上限値が20質量%とされているのは、本実施形態のガラス組成物に20質量%を超えて含有されると得られるガラスに結晶化を生じさせるおそれを有するためである。
このような点においてZrO2及びTiO2合計量は好ましくは3〜15質量%であり、より好ましくは5〜15質量%である。
本実施形態のガラス組成物におけるこれらの成分の合計量が40質量%を超えると、仮に各成分の組成比が先述の範囲内となっている場合であってもガラスの耐水性が不十分となり、スラリー等の水性分散体を作製した時にゲル化が生じるおそれを有する。
このようなことから、これらの成分の合計量のより好ましい割合としては、35質量%以下である。
本発明のガラス組成物は、実質的に上記成分のみからなることが好ましいが、例えば、10質量%以下程度であれば本発明の効果を著しく損ねない範囲において他の成分が含有されていても良い。
このような方法によれば、手軽に誘電体を形成しうるのみならず、有機溶剤の使用が抑制されることから、環境負荷の軽減に有効であり、しかも、良好なる作業環境とすることができる。
さらには、防爆などのために特別な装置を用いる必要性も低減させ得る。
したがって、本実施形態のガラス組成物は、焼結助剤として用いられる場合において、厚みの薄い誘電体を精度良く形成させることが求められている用途に適しているということができ、積層セラミックコンデンサの誘電体を作製するのに好適であるといえる。
すなわち、本実施形態においては、平均粒子径が2μm以下の微細な粉末ガラスが作製されるためにガラスからの成分溶出がより顕著なものとなりやすい点、ならびに有機溶剤を水などの水系溶剤に置き換えることを強く求められている点においてセラミック誘電体粒子の焼結助剤として用いる場合を例示しているが、主として誘電体粒子として利用されないような比誘電率が10未満の物質からなるセラミック粒子や、金属粒子などとともに水性分散体に含有させる粉末ガラスを形成させるべく本実施形態のガラス組成物を利用することでゲル化の抑制を図ることができるという点においては、上記例示と同様である。
(セラミッス誘電体粒子焼結助剤用粉末ガラスの作製)
表1〜3に示す配合組成となるよう原料を調合し、混合の後、白金ルツボ中で約1200〜1500℃の温度に加熱し1〜2時間溶融させた。
この溶融したガラスをステンレス製の冷却ロールにて急冷し、ガラスフレークを作製した。
なお、実施例及び比較例において使用した原料はSiO2、B2O3、Al2O3、ZnO、Mg(OH)2、CaCO3、SrCO3、BaCO3、Li2CO3、Na2CO3、K2CO3、TiO2及びZrO2である。
1)耐水性
ガラスフレークを乳鉢で粉砕し、600μmメッシュを通過し、425μmメッシュに留まる粉末を採取して、この粉末にエタノールを加え、超音波分散した後に上澄みを除去することによって粉末中の微粉を除去した。
この微粉除去を5回繰り返した後に乾燥し、耐水性試験用試料とした。
この耐水性試験用試料を目開きが200μmの白金製の籠にガラスの比重と同じグラム数入れ、沸騰水中に1時間浸漬した後にエタノール中で洗浄し、乾燥した。
この沸騰水に浸漬する前後の質量を比較し、その重量減量率(減量/初期質量×100%)を算出した。
結果を、表に示す。
なお、減量率が小さいガラスは、耐水性が良いと判定でき、減量率が大きいガラスは、耐水性が悪いと判定できる。
アルミナ製ボールミルにチタン酸バリウム粉末100重量部、蒸留水100重量部、各実施例、比較例のガラス粉末3重量部を入れ、ジルコニアボールを用いて湿式分散を行い、ゲル化が発生したものを「×」、ゲル化はしないがスラリーの粘性が上昇したものを「△」、分散後もスラリーの粘度が上昇しなかったものを「○」とした。
結果を、表に示す。
ゲル化の評価においてゲル化が発生しなかったスラリーを乾燥し、乾燥した粉末を比重と同じグラム数となるように量り取り20mmφにプレス成形し、1200℃で1時間焼成し焼結体を作製した。
焼結体の断面を顕微鏡で観察し、緻密に焼結できているものを「○」、空隙が多く残っているものを「×」とした。
結果を、表に示す。
Claims (6)
- セラミック誘電体粒子の焼結助剤として用いられるガラス組成物であって、
酸化物換算の質量%で、
SiO2:30〜60%、
ZrO2及びTiO2のいずれか一方又は両方:合計3〜20%、
B2O3:0〜20%、
Al2O3:0〜15%、
ZnO:0〜15%、
MgO、CaO、SrO及びBaOの内の1種以上:合計0〜25%、
Li2O、Na2O及びK2Oの内の1種以上:合計0〜20%
となる組成比を有し、しかも、
B2O3、MgO、CaO、SrO、BaO、Li2O、Na2O、及びK2Oの総合計が、40質量%以下となる組成比を有していることを特徴とするガラス組成物。 - 前記セラミック誘電体粒子によって積層セラミックコンデンサの誘電体を形成させる際の焼結助剤として用いられる請求項1記載のガラス組成物。
- 前記焼結助剤が粉末ガラスの状態で水系溶剤に分散されて用いられる請求項2記載のガラス組成物。
- 酸化物換算の質量%で、
SiO2:30〜60%、
ZrO2及びTiO2のいずれか一方又は両方:合計3〜20%、
B2O3:0〜20%、
Al2O3:0〜15%、
ZnO:0〜15%、
MgO、CaO、SrO及びBaOの内の1種以上:合計0〜25%、
Li2O、Na2O及びK2Oの内の1種以上:合計0〜20%
となる組成比を有し、しかも、
B2O3、MgO、CaO、SrO、BaO、Li2O、Na2O、及びK2Oの総合計が、40質量%以下となる組成比を有するガラス組成物を焼結助剤として用いてセラミック誘電体粒子の焼結を実施して誘電体を作製することを特徴としている誘電体製造方法。 - 作製する前記誘電体が、積層セラミックコンデンサの誘電体である請求項4記載の誘電体製造方法。
- 前記焼結助剤が粉末ガラスの状態で水系溶剤に分散されているとともに前記セラミック誘電体粒子が分散されている水性分散体を作製する工程と、該水性分散体を基材上に塗布、乾燥してグリーンシートを作製する工程とを実施し、該グリーンシートを焼成して前記誘電体を作製する請求項4又は5記載の誘電体製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013103871A (ja) * | 2011-11-16 | 2013-05-30 | Okuno Chemical Industries Co Ltd | 低膨張ガラス及びペースト状ガラス組成物 |
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- 2009-09-25 JP JP2009219974A patent/JP2011068510A/ja active Pending
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