JP2666217B2 - 電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

電解コンデンサの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、電解コンデンサの製造方法に係り、特に
硬質の絶縁板を有する封口板にリベットを挿通して端子
部を形成する電解コンデンサの封口板の組み立て方法の
改良に関する。
〔従来の技術〕
電解コンデンサは、コンデンサ素子内部に液体の電解
質を有することから、この液体電解質の漏れを防ぐ封口
方法に様々な改良がなされてきた。
電解コンデンサには、直径が数mm以下の小型のものか
ら直径が数十mm以上の大型のものまで各種の寸法のもの
が製造されている。この中で比較的小型のものは、各種
のゴムや弾性プラスチックからなる円盤状の単体成形品
を封口部材として用い、内部にコンデンサ素子を収納し
た外装ケースの開口端を封口している。
しかし直径がおよそ20mm以上の大型のものになると、
弾性部材単体の封口部材では機械的強度などが不足し、
封口が困難となる。そこで大型の電解コンデンサでは、
硬質の絶縁板に弾性部材を貼り付けたいわゆる封口板が
用いられている。
第2図および第3図は、このような硬質の絶縁板を用
いた電解コンデンサをあらわしている。第2図は、完成
状態の電解コンデンサの内部構造を示した断面図、また
第3図は、封口板の組み立て状態を説明する分解斜視図
である。
まず第2図のように、図示しない帯状のアルミニウム
などの皮膜形成能を有する金属電極の表面をエッチング
処理により拡面化しその表面に陽極酸化処理によって誘
電体酸化皮膜層を形成した陽極電極箔と、同様の帯状の
金属(エッチング、陽極酸化処理は必ずしも必要ない)
からなる陰極電極箔とを、セパレータ紙を挟んで巻回し
てなる円筒状のコンデンサ素子1が、有底筒状の金属製
外装ケース2に収納されている。
このコンデンサ素子1の双方の電極箔には、短冊状の
電極リード3,4が超音波溶接、ステッチ、コールドウエ
ルド等の手段によって接続され、一方の巻回端面より引
き出されている。
これら電極リード3,4には、その先端部に透孔が設け
られており、外装ケース2の開口端を閉じるように配置
された封口板5に設けられたリベット6,7の先端に、前
記透孔が嵌め込まれ、第3図の封口部の分解斜視図で示
すように、第1の板状ワッシャ11と、第2の板状ワッシ
ャ12とを介して、プレス圧潰等の手段でリベット6,7に
電気的に接続されている。
またリベット6,7は、断面略T字型をしており、径大
の頭部にはL字型の板状の外部端子10と電気的に接続さ
れるとともに、封口板5に設けられた貫通孔を通じて内
部に突出し、前記電極リード3,4と接続がなされてい
る。
そして封口板5は、弾性部材8と、硬質の絶縁板9の
二層構造をなし、コンデンサの内側に硬質の絶縁板9
が、外側にゴムシートなどからなる弾性部材8が位置し
ており、外装ケース2の開口端部が内側に屈曲して弾性
部材8に食い込み密閉がなされている。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、このような構造の電解コンデンサにおい
て、電解コンデンサの組立時には、コンデンサ素子1
と、外部端子10が取り付けられた封口板5とはそれぞれ
別個に組み立てられ、最後の組立工程で一体化される。
このため、外部端子10やリベット6,7が取り付けられ
た封口板5は、中間組立の状態で、各所に移送される。
ところがこの移送の際の振動などにより、仮に組み立て
られた部品の位置がずれたり、外れでしまい、後工程の
組み立て時に不良が発生したり、自動組立機が停止して
しまうなどの不都合が発生し、電解コンデンサの製造を
著しく非効率にしていた。
この発明は、従来のこのような欠点を改良したもの
で、電解コンデンサの組み立て、特に封口部の組立時に
おける不良の発生を防止し、かつ製造効率の向上を図る
ことを目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
この発明の電解コンデンサの製造方法は、硬質絶縁板
を有する封口板に設けた貫通孔に、該封口板の外面側で
外部端子と電気的に接続したリベットを挿通し、封口板
内面側に突出した前記リベットに第1の板状ワッシャを
被嵌し、この板状ワッシャ表面を突起部を有するプレス
により押圧してワッシャを仮固定した後、コンデンサ素
子から引き出された電極リードを接続することを特徴と
している。
またこの発明では、前記第1の板状ワッシャの仮固定
を、この板状ワッシャ表面の全周あるいは一部に円弧状
の溝を形成しておこなうことを特徴としている。
さらにこの発明は、前記第1の板状ワッシャの仮固定
を、この板状ワッシャ表面に複数個の略円錐形の凹部を
形成しておこなうことも特徴としている。
〔作用〕
この発明では、封口板の透孔に挿通されたT字型リベ
ットに板状のワッシャを嵌め、この板状のワッシャをプ
レスにより押圧され、プレスに設けられた突起によっ
て、ワッシャの表面に溝部あるいは円錐状の凹部が形成
される。この結果、板状ワッシャが変形し、その径方向
に突出し、このため挿通されたT字状リベットの壁面部
に板状ワッシャの内周面が押し付けられ、リベットから
の抜けあるいは浮き上がりが防止され、仮固定がおこな
われる。
〔実 施 例〕
以下、この発明を実施例に基づいてより詳細に説明す
る。
第1図の(a)ないし(c)は、この発明の製造方法
の工程を示した説明図である。
まず、同図(a)のように、封口板5の弾性部材8側
から外部端子10に設けられたリベットの挿通孔を通じ
て、断面略T字状のリベット6,7が挿通される。これに
より、外部端子10の基部はリベット6,7の頭部の径大部
と弾性部材8の表面とに挾持、固定される。さらにリベ
ット6,7の、封口体5の硬質絶縁板9側への突出部には
中央に貫通孔が設けられた第1の板状ワッシャ11が載置
されている。
次にこの状態で、同図(b)のようにプレス下型15に
リベット6,7の頭部が接するように配置し、図面の上部
方向から、プレス上型13で板状ワッシャ11の表面をプレ
スする。このときプレス上型13には、リベット6,7の突
出部を押圧変形しないように中央部が空洞となってい
る。またプレス上型13の下部のプレス面には環状突起14
が設けられており、この環状突起14が板状ワッシャ11の
表面に当接するようになっている。
同図(c)はプレスがおこなわれた後の状態を示した
もので、プレス上型13に設けられた環状突起14によって
板状ワッシャ11の表面には、環状溝16が形成される。そ
してこの環状溝16が形成されることによって、板状ワッ
シャ11はその径方向に突出し、リベット6,7の壁面を押
圧することで仮固定がなされる。
このようにして仮固定がなされた中間組み立て状態の
封口体5には、第3図の分解斜視図で示された順番のよ
うに、コンデンサ素子1からの電極リード3,4の先端の
透孔がリベット6,7の突出端にそれぞれ嵌め込まれ、さ
らにその上部に第2の板状ワッシャ12が嵌め込まれ、リ
ベット6,7の突出端を別のプレスによって圧潰して固定
がなされ、封口板5と電極リード3,4との最終的な電気
的、機械的接続が完了する。
この発明において、第1の板状ワッシャ11の仮固定
は、上述の実施例の環状溝16に限定されるものでなく、
板状ワッシャ11の表面を押圧することで何らかの凹部が
形成され、板状ワッシャ11が径方向に膨張、拡大する手
段を取ればよい。
第4図ないし第6図はこの発明の他の実施例を示した
もので、いずれも(a)が板状ワッシャ11を上部から見
た平面図、(b)が正面断面図である。
第4図は板状ワッシャ11の表面に2個の断面V字状の
弧状溝17を部分的に設けたものである。この弧状溝17は
2個に限らず、3個あるいはそれ以上であってもよい。
第5図は、溝18を第1の実施例と同じように、連続し
た環状としたものであるが、溝18の断面が略四角形をし
た場合である。このように溝18の断面形状についても特
に限定されるものではない。
さらに第6図は、仮固定のための凹部を複数の円錐形
凹部19としたもので、この実施例では8個の円錐形凹部
19を円形にほぼ等間隔に配置したものである。
〔発明の効果〕
以上述べたようにこの発明によれば、外部端子が取り
付けられた封口板のリベット部にコンデンサ素子からの
引出しリードを接続する製造工程において、リベットに
披着された板状ワッシャが引出しリードの取り付け時に
脱落したり、あるいは浮き上ることによって、リードの
取り付けを阻害しないので、ワッシャなしの不良品や取
り付け不良による電気的接触不良が防止でき、電解コン
デンサの信頼性を高めることができる。
また組み立て時に板状ワッシャが脱落しないので、組
立装置の停止などが起きず、電解コンデンサの製造効率
を上げることができる。
さらには、板状ワッシャ表面に凹部が形成されている
ので、電極リードと接触面積が増え、板状ワッシャと、
電極リードとの電気的接続が良好になるなどの効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の電解コンデンサ用封口板の製造工程
を説明する説明図、第2図は完成状態の電解コンデンサ
を示す断面図、第3図は封口板の構造を説明する分解斜
視図、第4図ないし第6図はこの発明の他の実施例にお
ける板状ワッシャを示す平面図および断面図である。 1……コンデンサ素子、2……外装ケース、3,4……電
極リード、5……封口板、6,7……リベット、8……弾
性部材、9……硬質絶縁板、10……外部端子、11……第
1の板状ワッシャ、12……第2の板状ワッシャ、13……
プレス上型、14……環状突起、15……プレス下型、16…
…環状溝、17……弧状溝、18……溝、19……円錐形凹
部。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】硬質絶縁板を有する封口板に設けられた貫
    通孔に、該封口板の外面側で外部端子と電気的に接続し
    たリベットを挿通し、該封口板の内面側でコンデンサ素
    子から引き出された電極リードと前記リベット部とを電
    気的に接続する構造の電解コンデンサにおいて、前記リ
    ベットを封口板に挿通後、封口板内面側に突出したリベ
    ットに板状ワッシャを被嵌し、この板状ワッシャ表面を
    突起部を有するプレスにより押圧してワッシャを仮固定
    した後、コンデンサ素子から引き出された電極リードを
    接続することを特徴とする電解コンデンサの製造方法。
  2. 【請求項2】仮固定が、板状ワッシャ表面に全周あるい
    は一部に円弧状の溝を形成しておこなわれるところの請
    求項1記載の電解コンデンサの製造方法。
  3. 【請求項3】仮固定が、板状ワッシャ表面に複数個の略
    円錐形の凹部を形成しておこなわれるところの請求項1
    記載の電解コンデンサの製造方法。
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