JP2665234B2 - シャーリングマシン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） この発明は、シャーリングマシンに関する。

（従来の技術） シャーリングマシンにおいて、ワークに剪断加工を行
なう場合、左右方向へ延びた下刃と上刃の前後方向のク
リアランスを適正な値に設定する必要がある。すなわ
ち、クリアランスが小さすぎると、ワークに２次剪断が
生じ、またクリアランスが大きすぎると、通常の剪断加
工でなく、いわばワークは引きちぎった状態となってし
まう。このことを考慮して、通常クリアランスはワーク
における板厚の７〜10％程度が適正といわれている。

ところで、剪断時には、上刃，下刃の剪断刃およびこ
れらを保持するラムおよびテーブルが左右方向に沿って
湾曲して、上刃と下刃の前後方向のクリアランスが広が
ってしまう。

そこで、従来は、テーブルの形状を大きくすると共
に、ラムの後側にステーを一体的に取付けてラムの形状
を大きくすることで、クリアランスの拡大を防止してき
た。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、ラムの形状を大きくすべく、ステーを
一体的に備えると、ラム全体の重量が非常に重くなり、
ラムが上下方向へ移動する際におけるラムの振動がより
大きくなるという問題がある。

また、ラムに備えられたステーにはバックゲージが取
付けられているため、振動によりバックゲージ装置の位
置も狂ってしまうという問題があった。

［発明の構成］ （課題を解決するための手段） 前述のごとき、従来の問題点を解決するために、本発
明においては、フレームの下部に左右方向へ延びたワー
クテーブルを設け、このワークテーブルの後側に下刃を
設け、この下刃と協働してワークに対して剪断加工を行
う上刃を下側に備えたラムを昇降シリンダの作動により
上下方向へ移動可能に設けてなるシャーリングマシンに
おいて、 上記フレームの上部に左右方向へ延びたフロントプレ
ートを一体的に設け、上記フレームの上部における上記
フロントプレートの後方側に左右方向へ延びたステーを
一体的に設け、このステーにワークの前後方向の位置決
めを行うためのバックケージ装置を設け、上記ステーに
対して前記ラムを上下方向へ案内するため、上記ステー
の前側に上下方向へ延びたガイド部材を左右方向へ適宜
に複数設けると共に、上記ラムの後側に第１支持部材と
第２支持部材からなる支持セットを左右方向へ適宜に複
数設け、各支持セットにおける上記第１支持部材を対応
する上記ガイド部材を後方側から上下方向へ移動自在に
支持するように構成すると共に、各支持セットにおける
上記第２支持部材を対応する上記ガイド部材を前方側か
ら上下方向へ移動自在に支持するように構成してなるこ
とを特徴とする。

（作用） 前記の構成により、バックゲージ装置を用いてワーク
を前後方向へ位置決めした後に、昇降シリンダの作動に
よりラムを下降させる。これによって、上刃がラムと一
体的に下降して上刃と下刃の協働によりワークに対して
剪断加工を行う。ここで、ラムの下降中、各支持セット
における第１支持部材により対応するガイド部材を後方
側から上下方向へ移動自在に支持すると共に、各支持セ
ットにおける第２支持部材により対応するガイド部材を
前方側から上下方向へ移動自在に支持することにより、
ラムの前後方向のガタつきをなくして、剪断時にラムが
左右方向に沿って湾曲することを抑制し、上刃と下刃の
前後方向のクリアランスが所定のクリアランスよりも広
がることを抑制している。

（実施例） 以下、この発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明
する。

第４図を参照するに、シャーリングマシン１における
下部フレーム（フレームの下部）３の前方（第４図にお
いて左方）にはワークＷを載置するテーブル５が設けら
れており、このテーブル５の後方肩部には下刃７が設け
られている。

前記下部フレーム３の上方には上部フレーム（フレー
ムの上部）９が設けられており、上方フレーム９と下部
フレーム３との間にはギャップ部11が形成されている。
上記上部フレーム９の前上方には昇降シリンダ13がシャ
ーリングマシン１の長手方向両端付近に設けられてお
り、この昇降シリンダ13の下部には昇降シリンダ13の作
動によって上下動する上下動自在なラム15が取付けられ
ている。

この上下動自在なラム15の下部に前記下刃７と協働し
てワークＷに剪断加工を行なう上刃17が備えられてい
る。

前記上部フレーム９の前方にはフロントプレート19が
設けられており、この前フレーム19の下部には板押え21
が備えられている。前記ラム15における下部の後方には
バックゲージ装置23が位置している。

前記上部フレーム９にはステー25が取付けられてお
り、このステー25にはガイド装置27を介して前記ラム15
が摺動自在に取付けられている。また、前記バックゲー
ジ装置23はステー25の下部に取付けられている。

上記構成により、ワークＷを載置し、ワークＷの後端
部をバックゲージ装置23における突当て部材に突当て位
置決めし、昇降シリンダ13を作動せしめることによっ
て、ラム15がステー25に摺動されながらガイド装置27に
案内されて上下動する。ラム15の上下動により、下刃７
に対して上刃17が上下動すると共に、板押え21がワーク
Ｗを押え、下刃７と上刃17との協働でワークＷに所望の
剪断加工が行なわれることになる。

前記ガイド装置27の具体的な構成が第１図，第２図お
よび第３図に示されている。

第１図，第２図および第３図において、ステー25の長
手方向（第２図において左右方向）における前側の適宜
な間隔には、互いに相対向したＬ字形部のガイド部材29
A,29B;31A,31Bが複数一体的に取付けられている。

このガイド部材29A,29Bで形成された凹部溝33内に
は、シャフト35の両端に回転自在に支承されたガイドロ
ーラ（第１支持部）37が第１図において上下方向へ適宜
な間隔で複数組例えば２組設けられている。前記シャフ
ト35のほぼ中央部には支持ブラケット39が嵌着されてい
る。

この支持ブラケット39の前端部は、前記ラム15の前側
から皿ばね41を介して複数の引きボルト43でラム15に取
付けられている。

前記ガイド部材29A,29Bの前面には摺動部材45A,45Bを
備えており、この摺動部材45A,45Bに対応したラム15の
後側には支持プレート（第２支持部材）47A,47Bを備え
ている。

上記構成により、複数の引きボルト43を調整すること
によって、前記ガイドローラ37が前記ガイド部材29A,29
BのＬ字形部の後面に当接すると共に、摺動部材45A,45B
が支持プレート47A,47Bに当接している。したがって、
ラム15が上下方向へ上下動する際、支持プレート47A,47
Bが摺動部材45A,45Bに摺動し、ガイドローラ37がガイド
部材29A,29BのＬ字形部の後面に当接し案内されなが
ら、前後方向のガタをなくして、ラム15がステー25に対
して上下動されることになる。

また、ガイド部材31A,31Bで形成された凹部溝49内に
もシャフト51の両端に回転自在に支承されたガイドロー
ラ（第１支持部材）53が第３図に示すごとく一組設けら
れている。前記シャフト51のほぼ中央部には支持ブラケ
ット55が嵌着されている。

この支持ブラケット55の前端部は、前記ラム15の前側
から皿ばね57を介して複数の引きボルト59でラム15に取
付けられている。

前記ガイド部材31A,31Bの前面には摺動部材61A,61Bが
取付けられており、この摺動部材61A,61Bに対応したラ
ム15の後側には支持プレート（第２支持部材）63A,63B
が取付けられている。

上記構成により、複数の引きボルト59を調整すること
によって、前記ガイドローラ53が前記ガイド部材31A,31
BのＬ字形部の後面に当接すると共に、摺動部材61A,61B
が支持プレート63A,63Bに当接している。したがって、
ラム15が上下方向へ上下動する際、支持プレート63A,63
Bが摺動部材61A,61Bに摺動し、ガイドローラ53がガイド
部材31A,31BのＬ字形部の後面に案内されながら、前後
方向のガタをなくして、ラム15がステー25に対して上下
動されることになる。

而して、ラム15はガイドローラ37,53で前後方向のガ
タをなくして、摺動部材45A,45B;61A,61Bに支持プレー
ト47A,47B;63A,63Bに摺動してラム15がステー25に対し
て上下方向へ安全に上下動されることとなる。

前記ステー25における前記ガイド部材29Aとガイド部
材31Bとの間には、ガイド部材65A、65Bが第３図におい
て上下方向へ延伸して一体的に取付けられている。この
ガイド部材65A,65Bには、シャフト67に回転自在に支承
されたガイドローラ69が当接して設けられている。な
お、ガイドローラ69はシャフト67の後端部にナット71で
締付けられており、シャフト67の前端部はボルト73で前
記ラム15に取付けられている。

上記構成により、ラム15が上下方向へ上下動される
際、ラム15はガイドローラ69を介して前記ステー25に案
内され、左右方向のガタをなくして移動されることとな
る。

このように、ラム15を上下動せしめる際、ステー25に
取付けられた摺動部材45A,45B;61A,61Bに対してラム15
に取付けられた支持プレート47A,47B;63A,63Bが摺動自
在に設けられているから、ラム15はガイドローラ37,53,
69に案内されて前後方向へのガタをなくして上下に移動
される。

本実施例の発明の構成をまとめると以下のようにな
る。

即ち、下部フレーム３に左右方向（第１図および第４
図において紙面に向かって裏表方向、第２図および第３
図において左右方向）へ延びたワークテーブル５を設
け、このワークテーブル５の後側（第１図および第２図
において右側、第２図において上側、第３図において紙
面に向かって裏側）に下刃７を設け、この下刃７と協働
してワークに対して剪断加工を行う上刃17を下側に備え
たラム15を昇降シリンダ13の作動により上下方向（第１
図，第３図，第４図において上下方向、第２図において
紙面に向かって表裏方向）へ移動可能い設けてなるシャ
ーリングマシン１において、上部フレーム９に左右方向
へ延びたフロントプレート19を一体的に設け、上部フレ
ーム９におけるフロントプレート19の後方側に左右方向
へ延びたステー25を一体的に設け、このステー25にワー
クの前後方向の位置決めを行うためのバックゲージ装置
23を設け、上記ステー25に対してラム15を上下方向へ案
内するため、ステー25の前側に上下方向へ延びたガイド
部材29A,29B,31A,31Bを左右方向へ適宜に複数設けると
共に、ラム15の後側にガイドローラ37（53）と支持プレ
ート47A,47B（63A,63B）からなる支持セットを左右方向
へ適宜に複数設け、各支持セットにおけるガイドローラ
37（53）に対応するガイド部材29A,29B;31A,31Bを後方
側から上下方向へ移動自在に支持するように構成すると
共に、各支持セットにおける支持プレート47A,47B,63A,
63Bと対応するガイド部材29A,29B,31A,31Bを前方側から
上下方向へ移動自在に支持するように構成してなること
を特徴とする。

本実施例の作用をまとめると以下のようになる。

即ち、バックゲージ装置23を用いてワークＷを前後方
向へ位置決めした後に、昇降シリンダ13の作動によりラ
ム15を下降させる。これによって、上刃17をラム15に切
り換える。これによって、上刃17がラム15を一体的に下
降して、上刃17と下刃７の協働によりワークＷに対して
剪断加工を行う。ここで、ラム15の下降中、各支持セッ
トにおけるガイドローラ37,53により対応するガイド部
材29A,29B,31A,31Bを後方側から上下方向へ移動自在に
支持すると共に、各支持セットにおける支持プレート47
A,47B,63A,63Bによりガイド部材29A,29B,31A,31Bを前方
側から上下方向へ移動自在に支持することにより、ラム
15の前後方向のガタつきをなくして、剪断加工時にラム
15が左右方向に沿って湾曲することを抑制し、上刃17と
下刃７の前後方向のクリアランスが所定のクリアランス
よりも広がることを抑制している。

本実施例の発明によれば、ラム15にステー25を一体的
に備えてラム15自体を大型化することなく、複数の支持
セットにおけるガイドローラ37,53および支持プレート4
7A,47B,63A,63Bにより剪断加工時にラム15が左右方向に
沿って湾曲することを抑制し、上刃17と下刃７の前後方
向のクリアランスが所定のクリアランスよりも広がるこ
とを抑制することができる。従って、ラム15の振動を抑
制しつつ、上刃17と下刃７のクリアランスを所定のクリ
アランスに保った状態のもとで、高精度な剪断加工を行
うことができる。

又、上部フレーム９に固定したステー25にバックゲー
ジ装置23を設けたことにより、剪断加工時にバックゲー
ジ装置23の位置ずれが生じることをなくして、上記効果
のより一層の向上を図る。

［発明の効果］ 以上のごとき、本発明によれば、ラムにステーを一体
的に備えてラム自体を大型化することなく、複数の支持
セットにおける第１支持部材および第２支持部材によ
り、剪断加工時にラムが左右方向に沿って湾曲すること
を抑制し、上刃と下刃の前後方向のクリアランスが所定
のクリアランスよりも広がることを抑制している。従っ
て、ラムの振動を抑えつつ、上刃と下刃の前後方向のク
リアランスが所定のクリアランスを保った状態のもと
で、高精度な剪断加工を行うことができる。

又、フレームの上部に固定したステーにバックゲージ
装置を設けたことにより、剪断加工時にバックゲージ装
置の位置ずれをなくして、上記効果をより一層向上せし
める。

【図面の簡単な説明】

第１図は第４図におけるＩ矢視部の拡大図、第２図は第
１図における一部を省略したII矢視図、第３図は第２図
におけるIII−III線に沿った矢視図、第４図はこの発明
を実施した一実施例のシャーリングマシンの概略側面図
である。 １……シャーリングマシン ３……下部フレーム ５……テーブル ７……下刃 ９……上部フレーム 15……ラム 17……上刃 23……バックゲージ装置 25……ステー 37,53,69……ガイドローラ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】フレームの下部に左右方向へ延びたワーク
   テーブルを設け、このワークテーブルの後側に下刃を設
   け、この下刃と協働してワークに対して剪断加工を行う
   上刃を下側に備えたラムを昇降シリンダの作動により上
   下方向へ移動可能に設けてなるシャーリングマシンにお
   いて、 上記フレームの上部に左右方向へ延びたフロントプレー
   トを一体的に設け、上記フレームの上部における上記フ
   ロントプレートの後方側に左右方向へ延びたステーを一
   体的に設け、このステーにワークの前後方向の位置決め
   を行うためのバックケージ装置を設け、上記ステーに対
   して前記ラムを上下方向へ案内するため、上記ステーの
   前側に上下方向へ延びたガイド部材を左右方向へ適宜に
   複数設けると共に、上記ラムの後側に第１支持部材と第
   ２支持部材からなる支持セットを左右方向へ適宜に複数
   設け、各支持セットにおける上記第１支持部材を対応す
   る上記ガイド部材を後方側から上下方向へ移動自在に支
   持するように構成すると共に、各支持セットにおける上
   記第２支持部材を対応する上記ガイド部材を前方側から
   上下方向へ移動自在に支持するように構成してなること
   を特徴とするシャーリングマシン。