JP2663603B2 - 地盤用排水部材、その製造方法および液状化対策工法 - Google Patents

地盤用排水部材、その製造方法および液状化対策工法

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  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は鋼管、コンクリート管、合成樹脂パイプ、棒
鋼などの条鋼、その他の棒状体を利用した地盤用排水部
材、その製造方法および該地盤用排水部材を液状化対策
杭などとして利用する液状化対策杭などとして利用する
液状化対策工法に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、地盤の液状化対策などの目的で施工される排水
工法としては、例えば、 杭の周囲近傍に砕石などを充填して、地震時に地盤
の間隙水圧が上昇したとき、土粒子間の間隙水をこの砕
石などの部分を通して上方へ排出させ、杭の周囲地盤の
液状化を防止するもの(特公昭61−51093号公報参照) 杭または孔あき管の周面に多数の小孔を設け、地震
時、地盤の過剰間隙水圧が上昇したときの地盤の間隙水
をその小孔から杭内部へ排出させるもの(特開昭57−14
6910号公報、特開昭62−211416号公報など参照) などがある。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、においては、杭の周囲近傍に砕石を充填す
る作業が面倒な上、杭の周囲地盤を緩ませたり、乱すお
それがある。さらに、時間の経過に伴い、土の細粒分が
間隙水の排出路である透水性材料としての砕石などの間
隙に侵入し、目詰まりを生じることとなり、液状化防止
機能を失ってしまうという問題がある。
また、においては、杭本体に多数の小孔を設けるの
で、杭の耐荷力が減少するという問題がある。
本発明は上述のような従来技術における問題点の解決
を図ったものである。
〔課題を解決するための手段〕
以下、本発明の概要を説明する。
本発明の地盤用排水部材は主として液状化対策杭また
は液状化対策用の排水部材として利用されるもので、そ
の他、地すべり抑止杭を兼ねた排水部材、排水機能を付
与したアースアンカーなどとしても利用することができ
る。
本発明の地盤用排水部材はマット状またはパイプに成
形した立体網状構造体を鋼管などの棒状体外周に環状に
装着し、該立体網状構造体上に土砂流入防止用の透水性
のあるフィルターを被せてなる。
なお、ここで言う棒状体は、鋼管杭または鋼管、コン
クリート杭またはコンクリート管、鋼管コンクリート複
合杭または鋼管コンクリート複合管の他、ポリエチレン
などの合成樹脂管、鉄筋、棒鋼などの条鋼、グラスファ
イバーなどの繊維製棒状耐、ポリエチレンなどの合成樹
脂製棒状体のいずれでもよい。また、棒状体として鋼管
矢板、H形鋼杭、鋼矢板などを用い、外周全面にまたは
外周半面など部分的に、同様の液状化対策を施すことも
できる。
前記フィルター上にさらにフィルター破損防止用の防
護カバーとして、該フィルターの網目または間隙のより
大きい孔を多数有する防護板、または該フィルターの網
目または間隙より大きい網目を有する防護ネットを設け
てもよい。
防護カバーとしては、あらかじめ孔あけ加工を施して
ある熱収縮製チューブを用い、これを加熱収縮させるこ
とにより形成される孔あき板や、熱収縮性を有するネッ
ト状チューブを加熱収縮させた防護ネットワークなどを
用いることもできる。また、熱収縮性のネット状チュー
ブは、上記立体網状構造体を鋼管などの杭本体に固く留
めるだけの目的に利用してもよい。
本発明の地盤用排水部材を液状化対策杭として用いる
場合には、上述の地盤用排水部材を液状化の可能性のあ
る地盤に打設し、地震時に該地盤内に発生する過剰間隙
水圧を前記立体網状構造体部分に通して逸散させること
により、液状化を防ぐことができる。
なお、立体網状構造体およびフィルターなどは棒状体
の長手方向全長にわたって装着する必要はなく、地震時
に液状化の可能性のある地層に位置する部分のみに、上
記構成による排水機構を設け、液状化の可能性のない地
層に位置する部分には立体網状構造体およびフィルター
などの装着しない構造とすることもできる。例えば、液
状化の可能性のある地層が地盤上部のみである場合に
は、この地層に位置する部分のみ液状化対策を施すよう
構成することができる。さらに、液状化の可能性のある
地層が地盤中間部にある場合などでは、この地層より上
部にある液状化の可能性のない地層に位置する部分に
は、必ずしも液状化の可能性のある地層に位置する部分
と同じ排水機構を設ける必要はない。例えば、孔または
間隙のない防護カバーを用い、フィルターを省略しても
よい。要するに、液状化の可能性のない地層に位置する
部分の排水機構は、液状化の可能性のある地層から排水
され、前記棒状体側面に沿って、地盤上部へ流れる間隙
水を円滑に地盤上部へ排出する機構であればよい。
また、前述のように本発明の地盤用排水部材の用途は
液状化対策杭に限られず、地すべり抑止杭を兼ねた排水
部材、排水機能を付与したアースアンカーなどとしても
利用することができる。
〔作 用〕
上述のような構成により、本発明の地盤用排水部材を
液状化対策杭として用いた場合には、地震時、地盤の間
隙水圧が上昇したときの間隙水を杭の外周を通じて杭の
上部より排出するなどとして、液状化対策を講じること
ができる。
第24図は本発明に係る液状化対策杭と通常の杭につい
て、加振時の過剰間隙水圧比の経時変化を比較したもの
で、縦軸で示される過剰間隙水圧比(過剰間隙水圧と有
効鉛直応力の比)が0.3以下なら一般に液状化には至ら
ないとされており、本発明の地盤用排水部材による液状
化対策杭は十分この範囲に入っており、液状化対策効果
は大きい。
通常の杭(鋼管杭、コンクリート杭、鋼管コンクリー
ト複合杭など)を液状化する地盤に用いると、地震時、
杭を支持する地盤の抵抗が極めて低下するため、液状化
の程度に応じて土質定数(変形係数E、地盤反力係数
K)を低減させる必要がある。これに対し、本発明では
上述のように、液状化の発生を抑制できるため、土質定
数の低減が必要なくなり、その工学上のメリット、効果
は極めて大きい。
さらに、熱収縮性材料を用いることにより、本発明の
地盤用排水部材を容易に製造することができる。
一方、本発明の地盤用排水部材は液状化対策のみなら
ず、斜面安定のために使用することもできる。例えば、
急傾斜地の地すべり抑止杭として用いれば杭の強度のみ
ならず、地すべりを誘起させる原因であるすべり層の間
隙水を排出させることができるので、地すべり抑止対策
としては極めて効果的である。さらに、アースアンカー
のどとして利用する場合にも、地盤に浸透した雨水など
をアンカー材としての棒状体の外周を通じて排水するこ
とができ、地盤の安定が図れる。
〔実施例〕
次に、主として本発明の地盤用排水部材を液状化対策
杭として適用した場合の実施例について説明する。
(1) タイプI 棒状体(杭本体)+立体網状構造体+フィルター+防
護カバー(孔あき板またはネット)……第1図〜第6図
参照 第1図および第2図はタイプIにおける一実施例を示
したもので、液状化対策杭1として、鋼管杭2の外周に
立体網状構造体3を環状に装着し、その上にフィルター
4を被せ、さらにその外周に防護カバーとして孔あき板
5を被せたものである。
第3図および第4図は上記実施例における要部の断面
を示したもので、第3図は孔あき板5の孔6が大きい場
合、第4図は孔あき板の孔6が小さい場合である。
また、第5図および第6図はタイプIにおける他の実
施例として、上記実施例の鋼管杭2に代え、芯材となる
棒状体として棒鋼2′を用いた場合である。この場合は
通常、杭としてではなく、単に地盤中へ打設される液状
化対策用の排水部材あるいは排水機能を有するアンカー
材などとして利用される。
このタイプIの液状化対策杭1は、フィルター4の損
傷防止のために、最外周面に防護カバーを設けてあるの
で、運搬時や、杭1の地盤への接地時などにおける取り
扱いが容易である。
上述の鋼管杭2に代え、コンクリート杭、鋼管コンク
リート複合杭などの杭を利用することもでき、また棒鋼
2′の他、ポリエチレンなどの合成樹脂管、鉄筋なども
使用できる。さらに、芯材となる棒状体として鋼管矢
板、H形鋼杭、鋼矢板などを用いてもよい。
鋼管杭2、棒鋼2′などの外面に取り付ける立体網状
構造体3は、排水路を形成するものであり、例えばポリ
プロピレン、ポリエチレン、ポリエステルなどの熱可塑
性合成樹脂を加熱溶融し、ノズルより押し出して、織條
とし、それを立体網状とし、接点を溶着または接着した
構造体などを用いることができ。この構造体表面の開孔
率は80%以上、構造体の空隙率は通常80〜95%あり、構
造体表面から大きな荷重が作用した場合でも、空隙率が
50%以上あれば十分である。例えばポリプロピレン製
で、織條の径が約1〜2mmの立体網状構造体は10t/m2
載荷重に対しても空隙率は75%以上である。
立体網状構造体3の鋼管杭2などへの取り付けは、上
述の立体網状構造体3をマット状に製作し、鋼管杭2な
どの外周面に巻付け、装着すればよい。ロープを環状、
またはらせん状にしばり付け、鋼管杭2などに固定して
もよいし、立体網状構造体3の継ぎ部を金具などで、該
立体網状構造体3が鋼管杭2などの周面に密着するよう
に固定してもよい。他の取り付け方法としては、立体網
状構造体3をパイプ状とし、パイプの内径と鋼管杭2な
どの芯材となる棒状体の外径をほぼ等くし、この立体網
状構造体3のパイプを鋼管杭2などに被せてもよい。
これらの場合、地盤への杭施工時に、立体網状構造体
3を有する鋼管杭2などの下端部からパイプ状またはマ
ット状の立体網状構造体3が離脱しやすいので、留め金
具で端部を固定するなどの処置しておくことが望まし
い。また、立体網状構造体3をより固く装着するため
に、第12図に示すように留めバンド7を用いてもよい。
この場合、第18図に示すように、熱収縮性のネット状チ
ューブ7aを用い、加熱収縮させることにより、留めバン
ド7とすることもできる。
液状化時、土粒子間の間隙水は、この立体網状構造体
3を通って液状化対策杭1の上部から排出されることと
なる。したがって、立体網状構造体3の杭軸に直角な断
面の断面積は、間隙水が排出されるに必要な大きさを有
する必要がある。この断面積は、種々検討した結果、杭
本体の径や立体網状構造体3の空隙率、液状化地盤の性
質などにもよるが、杭本体すなわち鋼管杭2などの径が
小さいときでも、20〜160cm2以上あるのが好ましく、杭
本体の径が大きくなるにつれて、液状化対策杭1が地盤
に接する単位長さ当りの面積が大きくなり、立体網状構
造体3の確保すべき面積も20〜160cm2より大きくするこ
とができる。すなわち、杭本体の径が40cmのときで、こ
の面積を40〜320cm2以上、杭本体の径が100cmのとき
で、80〜640cm2以上確保するのが望ましい。
例えば、杭本体の外径が40cm、立体網状構造体3の杭
軸の直角な断面の断面積を40〜320cm2以上と設定すれ
ば、立体網状構造体3の杭径方向の厚みは、0.3〜2.4cm
以上必要となる。また、杭本体の外径が100cm、立体網
状構造体3の杭軸と直角な断面の断面積を250cm2以上と
設定すれば、その杭径方向の厚みは約0.8cm以上とな
る。
以上の点を考慮した場合、液状化対策杭1の外周に装
着される立体網状構造体3の厚さは杭本体の径が300cm
以内なら、立体網状構造体1の製造可能範囲、取り付け
の容易さ、排水性能、施工性、杭の地盤への設置時など
に受ける土圧を考慮して、一般には0.5cm〜150cmの範囲
に設定するのが望ましい。
立体網状構造体3の外周土に設けられる土砂流入防止
用のフィルター4としては、合成繊維製のものや合成樹
脂製のものが好ましく、例えばナイロン製、ポリエチレ
ンモノフィラメント製などの経編布や、ポリプロピレン
製、ポリエステル繊維製などの不織布などを用いること
ができる。また、合成繊維どうし、合成樹脂どうし、あ
るいは合成樹脂と合成樹脂を組み合わせたり、重ね合せ
たりして、フィルター4としてもよい。例えば、薄い経
編布や不織布からなる合成繊維のフィルターの片面また
は両面に、この合成繊維製フィルターより厚く、メッシ
ュの大きい合成樹脂製のフィルター、または合成繊維製
フィルターより厚く、そのメッシュより大きい小孔を多
数有する合成樹脂製のフィルターを重ね合せて補強した
フィルター4を用いることができる。
フィルター4としての経織布や不織布などのメッシュ
間隔または間隙は、液状化防止などの対象とする地盤
(一般には砂地盤)の土の粒径分布を勘案して、土砂に
よるフィルター4の目詰まりを起こさないように設定す
るのがよい。このメッシュ間隔または間隙は、液状化の
可能性のある地盤で、土の粒径が特別大きく、比較的均
一に分布している地盤では1〜3mm程度に大きく設定す
ることも可能であるが、こうした地盤は少なく、液状化
の可能性のある一般的な地盤では1〜3mm程度よりかな
り小さく設定するのがよい。
液状化対策におけるフィルター4の透水係数は、液状
化対策杭1などの設置地盤にもよるが、一般に10-2cm/s
ec〜10-1cm/sec程度以上のものが好ましい。
フィルター4の立体網状構造体3外周上への取付け方
法としては、フィルター4を立体網状構造体3の外周に
巻付け、フィルター4の端部を留め金具で留めるなどし
て行うことができる。また、巻付けたフィルター4の外
周を針金、ロープなどでしばり付けて留めてもよいし、
第12図に示すように留めバンド7で留めてもよい。
防護カバーとしては、フィルター4の外周上に孔あき
板5または防護ネット5′を取り付ける。
孔あき板は第13図に示すように多数の小孔6を有し、
小孔6の面積比率は液状化対策を講じる場合には、孔あ
き板5の面積の5%以上とするのが好ましい。この孔あ
き板5はフィルター4を防護する役割を果たすものであ
り、鋼、ステンレスなどの金属製、ポリエチレン、強化
プラスチックなどの合成樹脂製などからなる。小孔6の
大きさはフィルター4の網目または間隙より大きいもの
が好ましいが、液状化対策杭1の運搬、施工時に、中の
フィルター4の破損防止機能を失わない程度の大きさに
とどめるのがよい。孔あき板5の小孔6の大きさがフィ
ルター4の網目または間隙と同じであれば、フィルター
4を省略して孔あき板5をフィルターとして機能させて
もよいということになるが、液状化の可能性のある一般
の地盤の場合には、土砂流入防止用フィルターとして機
能するために単一材料から成るフィルターは多数の小さ
な網目または間隔を有し、一般に強度も低く、防護カバ
ーの役割を兼ねることは難しい。
しかし、前述した合成繊維と合成樹脂などからなる重
ね合せフィルターを用いる場合は、合成樹脂製フィルタ
ー部分が防護カバーの役割を果たすことも可能である。
また、液状化の可能性のある地盤で、土の粒子が大きく
分布する特別の地盤では、フィルターの網目または間隙
は一般の地盤より大きくよいから、孔あき板または防護
ネットをフィルターとして兼用することが可能である。
孔あき板5のフィルター4上への取付けは、第15図に
示すように鋼管杭2などの杭本体の曲率に合うように成
形した孔あき板5をボルト9などで固定してもよいし、
ロープなどを孔あき板5の外周に回して、固定してもよ
い。なお、図中Aのルートは立体網状構造体3およびフ
ィルター4をあらかじめ、鋼管杭2などの杭本体の外周
に装着しておく場合であり、Bのルートは立体網状構造
体3およびフィルター4を孔あき板5の内側に装着して
おく場合である。
また、第14図に示すように、フィルターの防護用には
上述の孔あき板5の代りに、金属製または合成樹脂製な
どの、防護ネット5′を使用してもよい。合成樹脂製ネ
ットとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンエ
チレン−酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂を主な
原材料として、連続的に押出成形したものなどを用いる
ことができる。防護ネット5′に多数設けられている間
隙の面積比率は、液状化対策を講じる場合には、防護ネ
ット5′の面積の5%以上とするのが好ましい。防護ネ
ットワーク5′の網目または間隙は、孔あき板5の場合
と同様に、フィルター4の網目または間隙より大きいも
のとする。防護ネット5′は、液状化対策杭1などの運
搬、施工時に容易に外れないよう、十分緊張して取付け
る。また、防護ネット5′の両端周面はバンドプレート
などで固定しておくとよい。
以上、防護カバーとして、孔あき板5または防護ネッ
ト5′を用いる場合について述べたが、もちろん、フィ
ルター4上に防護ネット5′を取り付け、さらにその上
に孔あき板5を取付けるなど、防護ネット5′と孔あき
板5を併用し、防護機能を増加させることもできる。
孔あき板5の取り付け方法としては、前述したボルト
などで固定する方法以外に、第16図に示すように、ポリ
エチレンなどの重合体からなる熱収縮性チューブ5aを用
いて孔あき板5とすることもできる。熱収縮性チューブ
5aの径は杭本体の径よりやや大きくしておき、杭本体に
被せる。熱収縮性チューブ5aにあらかじめ孔あけ加工を
施しておく。この孔6aも熱により収縮するので、孔6aの
大きさ、配置などについては、該チューブ5aの収縮率を
考慮する必要がある。この熱収縮性チューブ5aを被せた
後、150℃程度の熱を加えれば、熱収縮により、強力に
被覆することができる。このチューブ5aには、多くの孔
6aが穿設されているので、収縮作業時、杭本体とチュー
ブ5a間に空気が滞留することもなく、作業は良好であ
る。
第17図(a)に示すように、一体成された継ぎ目なし
の円筒状チューブ5aの場合は、杭本体の端部から嵌めて
ゆき、杭本体に熱収縮作業により被せる。
収縮前の被せ作業をより簡便化するために、第17図
(b)に示すようにチューブ5aの管軸方向にファスナー
8を設けてもよい。ファスナー付チューブは、杭本体が
長い場合には有効である。
この熱収縮性チューブ5aを用いで孔あき板5とする方
法は、作業性が良く確実に取り付けられるので利点が多
い方法である。
同様に、防護ネット5′の取り付け方法として、第18
図に示すように、ポリエチレンなどの重合体からなる熱
収縮性を持たせたネット状チューブ5′aを用いて、防
護ネット5′を構成してもよい。網目の大きさ、配置に
ついては同様に収縮率を考慮して設定しておく、この防
護ネット5′の被覆作業は熱収縮性チューブ5aの場合と
同様である。もちろん、この防護ネット5′は継ぎ目な
しの一体成形としてもよいし、管軸方向にファスナーを
設けてもよい。また、ファスナーを用いずに、金属線、
ロープなどで管軸方向の継ぎ目を留めてもよい。この熱
収縮性ネット状チューブ5′aを用いて、防護ネット
5′を構成させる方法も、前述の熱収縮性チューブ5aを
用いる場合と同様に利点が多い。
(2)タイプII 棒状体(杭本体)+立体網状構造体+フィルター……
第2図〜第11図参照 第7図〜第9図はタイプIIにおける一実施例を示した
もので、液状化対策杭11として、鋼管杭2の外周に立体
網状構造体3を環状に装着し、その上にフィルター4を
被せたものである。
また、第10図および第11図はタイプIIにおける他の実
施例として、上記実施例の鋼管杭2に代え、芯材となる
棒状体として棒鋼2′を用いた場合である。
タイプIIの液状化対策杭11はタイプIにおいて最外周
の防護カバーを省略した構造を有し、立体網状構造体3
およびフィルターの材料、鋼管杭2などの杭本体への装
着方法への装着方法はタイプIの場合と同様である。
この液状化対策杭11は防護カバーがないので杭の取り
扱いには、フィルター4を破断しないよに注意する必要
があるが、製作はタイプIより簡単である。この杭の施
工においては、地盤へ直接打ち込むなどすると、フィル
ター4の損傷の懸念がある。したがって、一般には以下
に述べる手順により、設置するのがよい。すなわち、ま
ずケーシングパイプを地盤に鉛直または斜め方向に設置
し、オーバーでケーシングパイプ内の土を排除し、次に
タイプIIの液状化対策杭11をケーシングパイプ内に建込
む。その後で、ケーシングパイプを地盤上に引抜けばよ
い。または、パイプ外面に螺旋状のリブが付き、パイプ
先端に開閉式の蓋のついたケーシングパイプを鉛直また
は斜め方向に地盤の所定深さまでは、機械力により、パ
イプ先端の蓋が閉じたまま、回転圧入し、次に、タイプ
IIの液状化対策杭11をケーシングパイプ内に建込む。そ
の後で、パイプ先端の蓋を開けて、ケーシングパイプを
地盤上に引抜けばよい。
第19図〜第27図は本発明の地盤用排水部材の種々の適
用例を示したものである。
第19図および第20図は上述のように構成される地盤用
排水部材13を、液状化のおそれのある地盤21内に所要間
隔で配置した状態を示したものである。この場合は、必
ずしも上部構造物も支持しないため、杭としてではなく
単に液状化対策用の排水部材として使用している。した
がって、棒状体として合成樹脂管、鉄筋などの棒鋼、グ
ラスファイバーなどの繊維製棒状体、ホリエチレンなど
の合成樹脂製棒状体などを使用することもできる。
第21図〜第23図の実施例は液状化対策杭1をケーソン
22のマウンド23下、建物24下、橋脚25下などの液状化の
おそれのある地盤21,21′に設置し、構造物の基礎とし
ても利用した場合の例である。
一方、本発明の地盤用排水部材は液状化対策のみなら
ず、斜面安定のためなどにも使用することができる。例
えば、第25図に示すように急傾斜地の地すべり抑止杭12
として用いれば杭の強度のみならず、地すべりを誘起さ
せる原因であるすべり層の間隙水を排出させることがで
きるので、すべり抑止対策としては極めて効果的であ
る。この場合は、鋼管杭2などの杭本体に取り付けた立
体網状構造体3などによる排水対策処理は、間隙水を含
む地すべり層に設置される部分にのみ施してもよい。ま
た、立体網状構造体3の杭径方向の厚さは、すべり層の
性質に応じて適当に制定すればよい。
第26図は本発明の地盤用排水部材13を斜め方向に設置
し、アースアンカーとして兼用した場合の例である。こ
のように、本発明の地盤用排水部材を数多く用いる場合
には、経済性、剛性の点から芯材となる棒状体の材料は
鉄筋、鋼棒、小径管、グラスファイバーなどの繊維製棒
状体、ポリエチレンなどの剛性樹脂製棒状体などが好ま
しい。なお、不動層にある地盤用排水部材13の先端回り
には、グラウト14などを注入して、先端を不動層に固定
することができる。また、排水対策はすべり層に位置す
る部分にのみ施せばよい。
第27図は同じく地盤用排水部材15を水平方向に設置
し、盛土あるいは擁壁のアンカーとして兼用した場合の
例である。この場合も、土構造物の補強のみならず、地
盤中の間隙水を排出させることができるので極めて安定
した土構造物を築造することが可能である。この場合
も、経済性、剛性の点から棒状体の材料は鉄筋、鋼棒、
小径管、グラスファイバーなどの繊維製棒状体、ポリエ
チルンなどの剛性樹脂製棒状体などが好ましい。
以上述べたように、本発明の地盤用排水部材を斜面安
定のために使用する場合で、地盤用排水部材の構成部材
として防護カバーのあるときには、この防護カバー(孔
あき板5または防護ネット5′)の小孔または間隙の好
ましい面積比率は、必ずしも防護カバーの面積の5%以
上とする必要はなく、斜面安定の対象地盤の透水係数な
どを考慮して設定すればよい。
〔発明の効果〕 本発明の地盤用排水部材周面の透水性材料としての
立体網状構造体の間隙率は極めて大きいので、流水抵抗
は砕石などと比べ極めて小さい。したがって、本発明の
地盤用排水部材を液状化の可能性ある地盤に設置すれ
ば、地震時に、地盤の過剰間隙水圧が上昇したとき、間
隙水を鋼管杭などの棒状体周面の透水性材料を通じて、
短時間に円滑に排出することができるので、地盤の液状
化防止効果は従来の方法に比べて大きい。
従来の砕石などを用いた液状化対策工法における杭
周面の透水性材料の土粒子による目詰まりがなく、半永
久的に効果を発揮させることが可能である。
棒状体が鋼管杭、コンクリート杭、鋼管コンクリー
ト杭などからなる場合、構造物の基礎杭として活用でき
る。特に、液状化の可能性のある砂地盤に液状化対策杭
として適用すれば、地盤の液状化防止機能、地盤の側方
移動抑止機能を有する基礎杭として活用でき、効果的で
ある。
本発明の地盤用排水部材は透水性材料を芯材となる
杭などの棒状部材と一体化しており、従来の杭施工と同
様のハンマー打込み工法、ケーシングオーガーなどによ
る中掘工法、ケーシングパイプなどによる埋設工法など
により施工することができ、施工が簡単かつ迅速に行え
る利点がある。
前記タイプI,IIの液状化対策杭のうち、タイプIの
ものは、杭の外周に防護カバーが付いており、運搬、施
工がタイプIIより容易である。タイプIIのものは防護カ
バーがないので、運搬、施工時にフィルターを損傷しな
いように留意する必要があるが、製作が容易で経済的で
ある。
本発明の地盤用排水部材を地すべり抑止杭、アース
アンカーとして利用すれば、地盤の補強のみならず、地
盤中の間隙水を排出することができるので、地すべり地
帯、土構造物の斜面の安定化対策として効果的である。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明におけるタイプIの実施例を示す斜視
図、第2図はその水平断面図、第3図は第2図の部分拡
大図、第4図は第3図の変形例としての部分拡大図、第
5図はタイプIにおいて鋼管の代わりに棒鋼を用いた場
合の実施例を示す斜視図、第6図はその水平断面図、第
7図は本発明におけるタイプIIの実施例を示す斜視図、
第8図はその水平断面図、第9図は第8図の部分拡大
図、第10図はタイプIIにおいて鋼管の代わりに棒鋼を用
いた場合の実施例を示す斜視図、第11図はその水平断面
図、第12図は留めバンドを使用した場合の実施例を示す
側面図、第13図は防護カバーとして孔あき板を用いた場
合における防護カバーの表面の示す側面図、第14図は防
護カバーとして防護ネットを用いた場合における防護カ
バーの表面を示す側面図、第15図は本発明の地盤用排水
部材の製造方法を示す工程図、第16図は熱収縮性チュー
ブを用いた場合の製造方法を示す斜視図、第17図
(a),(b)は熱収縮性チューブの形態を示す斜視
図、第18図は熱収縮性ネット状チューブを用いた場合の
製造方法を示す斜視図、第19図および第20図はそれぞれ
液状化のおそれのある地盤への地盤用排水部材の配置例
を示す平面図および鉛直断面図、第21図はケーソンマウ
ンド周囲への配置例を示す鉛直断面図、第22図および第
23図はそれぞれ地盤用排水部材が建物および橋脚の基礎
杭を兼ねる場合の使用例を示す鉛直断面図、第24図は本
発明に係る液状化対策杭と通常の杭について加振時の過
剰間隙水圧比の経時変化を比較したグラフ、第25図は本
発明の地盤用排水部材を地すべり抑止杭として利用した
場合の実施例を示す鉛直断面図、第26図は本発明の地盤
用排水部材をアースアンカーとして利用した場合の実施
例を示す鉛直断面図、第27図は本発明の地盤用排水部材
を盛土または擁壁の斜面安定用のアンカーとして利用し
た場合の実施例を示す鉛直断面図である。 1……液状化対策杭、2……鋼管杭、2′……棒鋼、3
……立体網状構造体、4……フィルター、5……孔あき
板、5′……防護ネット、5a……熱収縮性チューブ、
5′a……熱収縮性ネット状チューブ、6……孔、6a…
…孔、7……留めバンド、8……ファスナー、9……ボ
ルト、11……液状化対策杭、12……地すべり抑止杭、1
3、15……地盤用排水部材、14……グラウト、21、21′
……液状化地盤、22……ケーソン、23……マウンド、24
……建物、25……橋脚
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 喜田 浩 東京都千代田区大手町1丁目1番3号 住友金属工業株式会社内 (56)参考文献 実開 昭49−28808(JP,U) 実開 昭51−62204(JP,U)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】立体網状構造体を棒状体外周に環状に装着
    し、該立体網状構造体上に土砂流入防止用の透水性のあ
    るフィルターを被せたことを特徴とする地盤用排水部
    材。
  2. 【請求項2】立体網状構造体は線状合成樹脂を溶着し、
    マット状またはパイプ状に成形したものである請求項1
    記載の地盤用排水部材。
  3. 【請求項3】前記フィルター上にさらに防護カバーを被
    せてなる請求項1または2記載の地盤用排水部材。
  4. 【請求項4】孔または網目を有する熱収縮性チューブを
    前記フィルター上に被せ、該チューブを加熱収縮させて
    防護カバーとして構成させる請求項3記載の地盤用排水
    部材の製造方法。
  5. 【請求項5】熱収縮性を有するネット状チューブを前記
    立体網状構造体上に被せ、該チューブを加熱収縮させ
    て、前記立体網状構造体の前記棒状体への留めバンドと
    して構成させる請求項1または2記載の地盤用排水部材
    の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1、2または3記載の地盤用排水部
    材を液状化の可能性のある地盤に打設し、地震時に該地
    盤内に発生する過剰間隙水圧を前記立体網状構造体部分
    を通して逸散させることを特徴とする液状化対策工法。
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