JP2663067B2 - 直接ポジ用ハロゲン化銀感光材料の現像処理方法 - Google Patents

直接ポジ用ハロゲン化銀感光材料の現像処理方法

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JP2663067B2
JP2663067B2 JP3201158A JP20115891A JP2663067B2 JP 2663067 B2 JP2663067 B2 JP 2663067B2 JP 3201158 A JP3201158 A JP 3201158A JP 20115891 A JP20115891 A JP 20115891A JP 2663067 B2 JP2663067 B2 JP 2663067B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、安定性の高い処理液を
用いて、直接ポジ画像を迅速に形成せしめるハロゲン化
銀写真感光材料の現像処理方法に関するものであり、特
にコンピューターアウトプット用フィルム(COM用フ
ィルム)に用いられる写真感光材料の現像処理方法に関
するものである。
【0002】
【従来技術】コンピューターの急速な発展は今日の情報
産業を興隆にし、膨大な記録をアウトプットする方法の
研究が盛んに行なわれてきた。この分野では、記録材料
として、反転処理適性を有したハロゲン化銀写真感光材
料が用いられている。この反転現像法の処理工程は、第
1現像処理によってネガ像を作り、これを定着処理する
ことなく漂白処理してネガ像の還元銀を脱銀する。残っ
ている未現像のハロゲン化銀を露光し、第2現像を行な
いポジ像を作成する。この方法は処理工程が、複雑なた
めフィルムの仕上がり速度が遅く、最大濃度(Dmax)、
最小濃度(Dmin)が変動しやすい。さらに漂白液に重ク
ロム酸カリ…等の強力な酸化剤を使用しなければなら
ず、公害という点でも、問題がある。
【0003】このような問題点を解決する方法として、
反転処理工程又はネガフィルムを必要とせずに、直接ポ
ジ像を得る写真法がよく知られている。従来知られてい
る直接ポジハロゲン化銀写真感光材料を用いてポジ画像
を作成するために用いられる方法は、特殊なものを除
き、実用的有用さを考慮すると、主として2つのタイプ
に分けることができる。
【0004】1つのタイプは、あらかじめカブラされた
ハロゲン化銀乳剤を用い、ソーラリゼーションあるいは
ハーシェル効果等を利用して露光部のカブリ核(潜像)
を破壊することによって現像後直接ポジ画像を得るもの
である。
【0005】もう1つのタイプは、カブラされていない
内部潜像型ハロゲン化銀乳剤を用い、画像露光後かぶり
処理を施した後かまたはかぶり処理を施しながら表面現
像を行い直接ポジ画像を得るものである。上記の如く、
選択的にカブリ核を生成させる手段としては、「化学的
かぶり法」と呼ばれる造核剤(nucleating agentを用い
る方法が知られている。この方法については、例えば
「リサーチ・ディスクロージャー」(Research Disclos
ure)誌第151巻No.15162(1976年11月発
行)の72〜87頁に記載されている。
【0006】また上記の内部潜像型ハロゲン化銀写真乳
剤とは、ハロゲン化銀粒子の主として内部に感光核を有
し、露光によって粒子内部に主として潜像が形成される
ようなタイプのハロゲン化銀写真乳剤をいう。
【0007】この後者のタイプの方法は、前者のタイプ
の方法に比較して、一般に感度が高く、高感度を要求さ
れる用途に適しており、本発明はこの後者のタイプに関
するものである。この技術分野においては種々の技術が
これまでに知られている。例えば、米国特許第2,59
2,250号、同第2,466,957号、同第2,4
97,875号、同第2,588,982号、同第3,
317,322号(同2,497,875号)、同第
3,761,266号、同第3,761,276号、同
第3,796,577号および英国特許第1,151,
363号、同第1,150,553号(同1,011,
062号)各明細書等に記載されているものがその主な
ものである。これら公知の方法を用いると直接ポジ型と
しては比較的高感度の写真感光材料を作ることができ
る。また、直接ポジ像の形成機構の詳細については、例
えばT.H.ジェームス著「ザ・セオリ・オブ・ザ・フット
グラフィック・プロセス」(The Theory of the Photog
raphic Process)第4版第7章182頁〜193頁や米
国特許第3,761,276号等に記載されている。
【0008】予めかぶらされていない内部潜像型ハロゲ
ン化銀感光材料の現像に用いられる現像液は、一般にp
H10.5以上のハイドロキノン−メトール又はハイド
ロキノン−ピラゾリゾン類の高アルカリ溶液が用いられ
る。
【0009】この現像液に対して、現像促進の目的でア
ミノ化合物を用いることが知られている。例えば、特開
昭56−106244号に記載のアミノ化合物、特にN
−メチルアミノエタノールがこの目的のために使用され
ている。
【0010】N−メチルアミノエタノールは比較的安価
で、容易に入手出来て良好な現像促進効果を持つが、次
の様な問題点がある。 1.アミン類に共通な不快な魚臭があり、調液、液入
れ、処理時などの作業上好ましくない。 2.処理剤に使用される様な低級アルキルのアミン(例
N−メチルアミノエタノール)は沸点が低く液扱い時し
ばしば発煙し、周辺の機材や壁に付着してベトツキが起
こる。 3.アミン類は大気中のCO2 吸収力が強くCO2 の多
い雰囲気ではCO2 を吸収しpH低下が起り、現像活性
が低下する。 4.アミン類はしばしば写真処理に用いられる自現機の
プラスチック製部材を劣化させることが知られている。 5.現像促進効果を出すには、1リットル当り40〜8
0gと大量に必要で、コスト高でもあり、又液濃縮化も
困難となる。 6.アミン類は常温で液体であるため、省容器対策のた
めの後述する1剤型粉末処理剤に出来ない。
【0011】(発明の目的)従って本発明の目的は、第
1に上述の問題点がなく、高いDmaxと低いDminを有する
直接ポジ画像を迅速かつ安定に形成する予めかぶらされ
ていない内部潜像型ハロゲン化銀写真感光材料用現像液
を提供することにある。第2は、予めかぶらされていな
い内部潜像型ハロゲン化銀乳剤と造核剤による反転性を
利用した作業性がよく、安全なCOMフィルム用直接ポ
ジハロゲン化銀写真感光材料処理システムを提供するこ
とにある。第3は、一剤型粉末処理剤を提供することに
ある。
【0012】(問題点を解決するための手段)本発明の
これらの目的は、支持体上に少なくとも一層の予めかぶ
らされていない内部潜像型ハロゲン化銀乳剤層を含有す
る直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光材料を露光後下記一
般式Aで表わされる化合物及び一般式Bで表わされる化
合物を含有する現像液で現像処理することを特徴とする
直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光材料の現像処理方法に
より達成された。
【0013】
【化2】
【0014】一般式Aにおいて、R1 、R2 、R3 、R
4 はH、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニ
ル基を表わす。但し、R1 、R2 、R3 、R4のうち、
いずれか一つはアルキル基あるいはヒドロキシアルキル
基である。一般式Bにおいて、式中、Yは、水素原子又
はメルカプト基を表し、Rは水素原子、ハロゲン原子、
ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、メル
カプト基、スルホ基、置換又は未置換のアルキル基、置
換又は未置換のアルケニル基、置換又は未置換のアルキ
ニル基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換
のアルコキシ基、ヒドロキシカルボニル基、アルキルカ
ルボニル基又はアルコキシカルボニル基を表す。
【0015】上記一般式で示されるような本発明に用い
られる一般式Aで表わされる化合物としては、例えば 2−メチルイミダゾール 4−メチルイミダゾール 2,4−ジメチルイミダゾール 2−エチル−4−メチルイミダゾール 2−アミル−イミダゾール 1−イソアミル−2−メチルイミダゾール 4,5−ジメチルイミダゾール 2−エチルイミダゾール 1−メチルイミダゾール 2,4,5−トリメチルイミダゾール 4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール 4−(2−ヒドロキシエチル)−5−メチルイミダゾー
ル 1−アリル−2−メチルイミダゾール 1−ビニル−2−メチルイミダゾール 4−ヒドロキシメチルイミダゾール 4−(β−ヒドロキシエチル)イミダゾール 2−ヒドロキシメチルイミダゾール 1−(β−ヒドロキシエチル)イミダゾール 等が挙げられる。これらの化合物は既知であり、これら
の化合物の合成法は "The Chemistry of Heterocyclic
Compounds Imidazole and Derivatives (1953、In
terscience Publishers Inc.New York) に記載されてい
る。
【0016】一般式Bで表わされる化合物としては、例
えば以下のものが挙げられる。 ベンゾトリアゾール 5−メチルベンゾトリアゾール 5−クロロベンゾトリアゾール 5−ニトロベンゾトリアゾール 5−エチルベンゾトリアゾール 5−カルボキシベンゾトリアゾール 5−ヒドロキシベンゾトリアゾール 5−アミノベンゾトリアゾール 5−スルホベンゾトリアゾール 5−シアノベンゾトリアゾール 5−メトキシベンゾトリアゾール 5−エトキシベンゾトリアゾール 5−メルカプトベンゾトリアゾール
【0017】これらの化合物は、写真分野においてカブ
リ防止剤として知られた化合物であり、公知の合成法で
合成でき、又、一部の化合物は化学用試薬として市販さ
れている。
【0018】特公昭47−45541号明細書には、本
発明と同じ一般式Aで表わされる化合物を現像促進剤と
して使用する旨記載されているが、本発明の予めかぶら
されていない内潜型反転ハロゲン化銀感材への適用につ
いては知られていなかった。一剤型粉末現像剤の場合に
は、アミン類が液体であるのに比し、本発明の一般式A
で表わされる化合物が固体であるため特に好ましい。
【0019】現像液への添加量は、感光材料中のハロゲ
ン化銀の活性、造核剤、造核促進剤の種類、量や現像液
の組成により異なるが、現像液1リットル当り一般式A
の化合物0.1〜20g(好ましくは1〜8g)、一般
式Bの化合物0.005〜1.0g(好ましくは0.0
2〜0.1g)の範囲で用いるのが普通である。
【0020】一般式Aで表わされる化合物はこのような
優れた現像促進性を有するので、本発明化合物の添加に
より現像を速め、現像温度を高めずに、迅速処理をする
ことも可能となる。もちろん現像温度を高めて更に本発
明化合物を添加することは、更に迅速処理できることは
いうまでもない。
【0021】本発明に使用する現像液に用いる現像主薬
にはジヒドロキシベンゼン類を含むことが好ましく、更
に現像能力の点でジヒドロキシベンゼン類と1−フェニ
ル−3−ピラゾリドン類の組合せまたはジヒドロキシベ
ンゼン類とp−アミノフェノール類の組合せが好まし
い。本発明に用いるジヒドロキシベンゼン現像主薬とし
てはハイドロキノン、クロロハイドロキノン、などがあ
るが、特にハイドロキノンが好ましい。本発明に用いる
1−フェニル−3−ピラゾリドン又はその誘導体の現像
主薬としては1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フ
ェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フ
ェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラ
ゾリドン、などがある。本発明に用いるp−アミノフェ
ノール系現像主薬としてはN−メチル−p−アミノフェ
ノール、p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシ
エチル)−p−アミノフェノール、等があるが、なかで
もN−メチル−p−アミノフェノールが好ましい。
【0022】現像主薬は通常0.05モル/リットル〜
0.8モル/リットルの量で用いられるのが好ましい。
またジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラ
ゾリドン類もしくはp−アミノフェノール類の組合せを
用いる場合には前者を0.05モル/リットル〜0.5
モル/リットル、後者を0.06モル/リットル以下の
量で用いるのが好ましい。
【0023】本発明に用いる亜硫酸塩の保恒剤としては
亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウ
ム、メタ重亜硫酸カリウム、などがある。亜硫酸塩は
0.25モル/リットル以上用いられる。本発明の現像
液のpHは10.0〜12.3の範囲であるが、好まし
くは10.3〜11.8である。pHの設定のために用
いるアルカリ剤には通常の水溶性無機アルカリ金属塩
(例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等)を用い
ることができる。
【0024】本発明に用いられる現像液には、緩衝剤と
して硼酸や特開昭60−93433号に記載の糖類(例
えばサッカロース)、オキシム類(例えばアセトオキシ
ム)、フェノール類(例えば5−スルホサルチル酸)、
第3リン酸塩などを用いる事ができる。上記の成分以外
に用いられる添加剤としては、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムの如きpH
調節剤;臭化ナトリウム、臭化カリウム、沃化カリウム
の如き現像抑制剤;エチレングリコール、ジエチレング
リコール、トリエチレングリコール、の如き有機溶剤;
ジエタノール、トリエタノールアミン等のアルカノール
アミン、及び特開昭56−106244号記載のアミノ
化合物、その誘導体等の現像促進剤;1−フェニル−5
−メルカプトテトラゾール等のメルカプト系化合物、5
−ニトロインダゾール等のインダゾール系化合物、をカ
ブリ防止剤として含みさらに必要に応じて色調剤、界面
活性剤、消泡剤、硬水軟化剤、硬膜剤等を含んでもよ
い。
【0025】近年環境改善のための、廃棄物減少の要求
が大きくなっているが、処理剤容器廃棄の観点から液剤
よりも粉剤の方が嵩が小さく有利である。粉剤技術の中
でも輸送コスト、保管スペース、作業性、経時安定性の
観点からEP196551記載の不活性層を持つ積層型
粉剤を利用するのが好ましい。
【0026】本発明に用いられる定着液は、定着剤を含
有する水溶液である。定着液には酸性硬膜剤、酢酸、二
塩基酸、などを更に添加してもよい。定着液のpHは
3.8以上、好ましくは4.4〜8.0、を有する。定
着剤はチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなど
の、チオ硫酸塩を必須成分とするものであり、定着速度
の点からチオ硫酸アンモニウムが特に好ましい。定着剤
の使用量は適宜変えることができ、一般には約0.1〜
約5モル/リットルである。特願平2−296400記
載のメソイオン化合物を含有してもよい。
【0027】本発明における定着液中の酸性硬膜剤とし
ては、水溶性アルミニウム塩がある。好ましい添加量は
0.01モル〜0.2モル/リットルである。前述の二
塩基酸として、酒石酸あるいはその誘導体、クエン酸あ
るいはその誘導体が単独で、あるいは二種以上を併用す
ることができる。これらの化合物は定着液1リットルに
つき0.005モル以上含むものが有効である。定着液
には所望により保恒剤(例えば、亜硫酸塩、重亜硫酸
塩)、pH緩衝剤(例えば、酢酸、硼酸)、pH緩衝剤
(例えば、硫酸)、キレート剤)、よう化カリを含むこ
とができる。本発明の方法によれば、現像、定着された
感光材料は水洗及び乾燥される。
【0028】水洗水の補充量は、1200ml/m2以下
(0を含む)であってもよい。水洗水(又は安定浴)の
補充量が0の場合とは、いわゆる潜水水洗方式による水
洗法を意味する。水洗浴又は安定浴には、R.T.Kselman
著 J.Image,Tech. Vol. 10、No.6242(198
4)に記載されたイソチアゾリン系化合物、リサーチ・
ディスクロージャー(R.D.)第205巻、No.20
526(1981年、5月号)に記載されたイソチアゾ
リン系化合物、などを防菌剤(Microbiocide) として使
用することもできる。その他、「防菌防黴の化学」堀口
博著、三共出版(昭57)、「防菌防黴技術ハンドブッ
ク」日本防菌防黴学会・博報堂(昭和61)に記載され
ているような化合物を含んでもよい。更に、少量水洗水
で水洗する時に発生し易い水泡ムラ防止及び/又はスク
イズローラーに付着する処理剤成分が処理されたフィル
ムに転写することを防止するために水溶性界面活性剤や
消泡剤を添加してもよい。現像処理温度および定着、水
洗処理温度は普通18℃から50℃の間で選ばれるが、
より好ましくは25℃から43℃である。本発明の現像
方法は特に自動現像機(例えば深タンク型やスレート
型)などを用いた迅速処理に適する。
【0029】本発明に有用な造核剤は、好ましくは下記
の一般式(X)で表わされる化合物である。
【0030】
【化3】
【0031】式中、Z1 は5ないし6員の複素環を形成
するに必要な非金属原子群を表わす。この複素環には更
に芳香環又は複素環が縮合していてもよい。R1 は脂肪
族基であり、Qは4ないし12員の非芳香族炭化水素
環、又は非芳香族複素環を形成するに必要な非金属原子
群を表わす。但し、R1 、Z1 の置換基及びQの置換基
のうち、少なくとも一つはアルキニル基を含む。さらに
1 、Z1 、及びQのうち少なくとも一つは、ハロゲン
化銀への吸着促進基を有してもよい。Yは電荷バランス
のための対イオンであり、nは電荷バランスをとるに必
要な数である。これらの化合物例およびその合成法は、
例えば特願昭63−51288及び同特許に引用された
特許又は文献に記載されている。
【0032】一般式(X)で表わされる化合物の具体例
を以下にあげるが、本発明はこれらに限定されるわけで
はない。
【0033】
【化4】
【0034】
【化5】
【0035】また、前記の造核剤としての機能は実質的
にないが、造核剤の作用を促進して直接ポジ画像の最大
濃度を高める及び/または一定の直接ポジ画像濃度を得
るに必要な現像時間を速める目的で「造核促進剤」を用
いることができる。本発明に有用な造核促進剤の具体例
を以下にあげるが、これらに限定されるわけではない。
【0036】
【化6】
【0037】
【化7】
【0038】これらの化合物例およびその合成法は例え
ば特願昭63−51288号及び同特許に引用された特
許又は文献に記載されている。
【0039】また、一般に感度の高い直接ポジ乳剤ほど
高照度露光に於る再反転ネガ像の発生が多くでるという
問題があり、特にCOM用フィルムは短露光での高感度
が要求され高照度露光での再反転ネガ像の防止は、重要
である。
【0040】再反転ネガ像の防止のため、特開平2−2
59749号記載の鉄錯体化合物をハロゲン化銀乳剤中
に添加することが好ましい。本発明に用いられる鉄錯体
化合物とは、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムK4 〔F
e(CN)6〕・3H2 O;ヘキサシアノ鉄(III) カリウ
ムK3 〔Fe(CN)6〕;EDTA鉄錯塩などがある。
これらの鉄錯体化合物の添加量は、ハロゲン化銀1モル
当り10-9〜10-2モルが好ましく10-6〜10-4モル
がより好ましい。またこれらの化合物は、2種以上を併
用してもよい。これらの化合物の添加時期は、予めかぶ
らされていない内部潜像型ハロゲン化銀乳剤の製造時の
各段階において適宜行なうことができる。すなわち予め
かぶらされていない内部潜像型ハロゲン化銀粒子の製造
法においてコア粒子核形成時、コア粒子核成長時、コア
粒子の化学熟成時、あるいは該コアを被覆するシェル成
長時のいずれの段階において添加されても良い。特にハ
ロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、より
好ましくはシェル成長時にハロゲン化銀粒子中に組み込
まれることである。
【0041】また分光増感の目的で下記一般式(III) で
表される増感色素を用いることができる。
【0042】
【化8】
【0043】式中、Z11及びZ12は、同一でも異なって
いてもよく、5員または6員の含窒素複素環核形成原子
群を表し、pは0または1を表す。より好ましい複素環
核としては、pが0の場合、Z11及びZ12は、同一でも
異なっていてもよく、チアゾール、ベンゾチアゾール、
ナフトチアゾール、ジヒドロナフトチアゾール、セレナ
ゾール、ベンゾセレナゾール、ナフトセレナゾール、ジ
ヒドロナフトセレナゾール、オキサゾール、ベンズオキ
サゾール、ナフトオキサゾール、ベンズイミダゾール、
ナフトイミダゾール、ピリジン、キノリン、イミダゾ
〔4,5−b〕キノキザリンまたは3,3−ジアルキル
インドレニン等の複素環核であり、pが1の場合には、
11はチアゾリン、チアゾール、ベンゾチアゾール、セ
レナゾリン、セレナゾール、ベンゾセレナゾール、オキ
サゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、
イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾー
ル、ピロリン等の複素環核を、Z12はオキサゾリン、オ
キサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾー
ル、チアゾリン、セレナゾリン、ピロリン、ベンズイミ
ダゾールまたはナフトイミダゾール等の複素環核を表す
場合である。
【0044】R11及びR12は同一でも異なっていてもよ
く、総炭素数10以下の置換されていてもよいアルキル
基又はアルケニル基を表す。
【0045】R13及びR15は、水素原子を表す。またR
13はR11と、R15はR12と連結して5員または6員環を
形成してもよい。R14は水素原子または低級アルキル基
(置換されていてもよく、例えば、メチル基、エチル
基、プロピル基、メトキシエチル基、フェネチル基等、
より好ましくは炭素数5以下のアルキル基)を表す。X
n は酸アニオン残基を表す。mは、0または1を表し、
分子内塩の場合は0である。」である。以下に、一般式
(III) で表わされる化合物の具体例を示す。
【0046】
【化9】
【0047】
【化10】
【0048】
【化11】
【0049】ハロゲン化銀の組成としては、塩化銀、臭
化銀のほかに、混合ハロゲン化銀、例えば塩臭化銀、塩
沃臭化銀、沃臭化銀などが代表的である。本発明に好ま
しく使用されるハロゲン化銀は沃化銀を含まないか含ん
でも3%モル以下の塩(沃)臭化銀、(沃)塩化銀また
は(沃)臭化銀である。
【0050】ハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズ(球状
もしくは球に近い粒子の場合は粒子直径を、立方体粒子
の場合は、稜長をそれぞれ粒子サイズとし投影面積にも
とずく平均であらわす)は、2μ以下で0.1μ以上が
好ましいが、特に好ましいのは1μ以下0.15μ以上
である。粒子サイズ分布は狭くても広くてもいずれでも
よいが、粒状性や鮮鋭度等の改良のために粒子数あるい
は重量で平均粒子サイズの±40%以内(より好ましく
は±30%以内、最も好ましくは±20%以内)に全粒
子の90%以上、特に95%以上が入るような粒子サイ
ズ分布の狭い、いわゆる「単分散」ハロゲン化銀乳剤を
本発明に使用するのが好ましい。また感光材料が目標と
する階調を満足させるために、実質的に同一の感色性を
有する乳剤層において粒子サイズの異なる2種以上の単
分散ハロゲン化銀乳剤もしくは同一サイズで感度の異な
る複数の粒子を同一層に混合または別層に重層塗布する
ことができる。さらに2種類以上の多分散ハロゲン化銀
乳剤あるいは単分散乳剤と多分散乳剤との組合わせを混
合あるいは重層して使用することもできる。
【0051】本発明に使用するハロゲン化銀粒子の形は
立方体、八面体、十二面体、十四面体の様な規則的(re
gular)な結晶体を有するものでもよく、また球状などの
ような変則的(irregular)な結晶形をもつものでもよ
く、またはこれらの結晶形の複合形をもつものでもよ
い。また平板状粒子でもよく、特に長さ/厚みの比の値
が5以上とくに8以上の平板粒子が、粒子の全投影面積
の50%以上を占める乳剤を用いてもよい。これら種々
の結晶形の混合から成る乳剤であってもよい。
【0052】本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、
ハロゲン化銀溶剤の存在下で調製することができる。ハ
ロゲン化銀溶剤としては、米国特許第3,271,15
7号、同第3,531,289号、同第3,574,6
28号、特開昭54−1019号、同54−15891
7号等に記載された有機チオエーテル類、特開昭53−
82408号、同55−77737号、同55−298
2号に記載されたチオ尿素誘導体である。本発明に使用
するハロゲン化銀乳剤は、粒子内部または表面に硫黄も
しくはセレン増感、還元増感、貴金属増感などの単独も
しくは併用により化学増感することができる。
【0053】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明がこれらによって限定されるものではな
い。
【0054】実施例1 下記の方法により乳剤Aを得た。 乳剤A 臭化カリウムの水溶液と硝酸銀の水溶液をAg1モルあ
たり2.5×10-3gの2−mercapto−3,4−methyl
thiazole溶剤の存在下ゼラチン水溶液に激しく攪拌しな
がら75℃で5分を要して同時に添加し、平均粒子径が
0.10μmの八面体臭化銀乳剤を得た。この乳剤に銀
1モル当りそれぞれ115mgのチオ硫酸ナトリウム及び
塩化金酸(4水塩)を加え75℃で50分間加熱するこ
とにより化学処理を行なった。こうして得た臭化銀粒子
をコアとして、Ag1モル当りヘキサシアノ鉄III 酸カ
リウム6.7×10-5モルを添加し、第1回目の沈澱環
境と同様にただし溶液のpAgが7.50になるように
コントロールしながら40分間処理することによりさら
に成長させ、最終的に平均粒子径0.25μmの立方体
単分散コア/シェル臭化銀乳剤を得た。水洗・脱塩後こ
の乳剤に銀1モル当りそれぞれ3.4mg量のチオ硫酸ナ
トリウム及び塩化金酸(4水塩)を加え75℃で60分
間加熱して化学増感処理を行い、内部潜像型ハロゲン化
銀乳剤Aを得た。次に上記乳剤Aに例示化合物(X−
2)の造核剤を2.5×10-6モル/Ag1モル、造核
促進剤として例示化合物(II−1)を8.7×10-4
ル/Ag/モル、増感色素として例示化合物(III−
6)を1.2×10-3モルAg1モル添加し、安定剤と
して4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3,3a−
テトラザインデンおよび5−メチルベンゾトリアゾー
ル、硬膜剤として1,3−ジビニルスルホニル−2−プ
ロパノールを、添加した。
【0055】一方、表面保護層用のゼラチン溶液にマッ
ト剤として平均粒径1.0μmの硫酸バリウムストロン
チウム、ハイドロキノン50mg/m2、下記構造式の化合
物20mg/m2、塗布助剤としてp−ドデシルベンゼンス
ルホン酸ソーダーおよび下記構造式の界面活性剤を添加
し、乳剤層と共に同時塗布法によりポリエチレンテレフ
タレートフィルム上にAg数1.6g/m2になるように
塗布し試料を作成した。
【0056】
【化12】
【0057】これらの試料を3.75×10-5Lux のキ
セノンフラッシュ光で10-4秒間連続ウェッジを介して
露光した。
【0058】露光后の試料を下記処方(表1)の現像液
を用いて35℃で30秒間現像を行い深タンク型自現機
を用いて停止、定着、水洗しポジ画像を得た。得られた
結果を表2に示す。表中においてDmaxは、反転像の最大
濃度を、Dminは最小濃度を意味する。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】表2より本反転感材には、添加剤A(一般
式Aの化合物)が必須であることが分かる。本発明の化
合物AはNo.2とNo.5の比較で明らかなように、既知
のアミン類と同等の促進効果を示し、かつ臭気もない利
点がある。一般式Bの化合物との併用はDmin低下に必須
であることが分かる。
【0062】〔実施例2〕粉剤型の処理剤として、アル
ミニウムにポリエチレンをラミネートした包材内に、下
記薬品を順次に秤量し充填后真空下でヒートシールし
た。(20リットル用) NaOH 226g Na2 SO3 1000 KBr* 24 2−メチルイミダゾール 60 K2 SO3 1840 4−メチル−4−ヒドロキシメチルピラゾリドン 100 ハイドロキノン 840 EDTA・2Na・2H2 O 20 *粉砕したKBr100gを、5−メチルベンゾトリア
ゾールの1%メタノール溶液25mlと混合后、乾燥させ
たもの。
【0063】上記処理剤は、液体(20リットル)に比
較して、コンパクトであり、軽量で作業性も良好で、液
モレの危険もなく、高温高湿放置しても経時劣化は殆ん
ど見られなかった。(アミン類の様に液体では、本実施
例の様に一剤化は出来ない)
【0064】
【発明の効果】本発明の現像処理方法によれば、カブリ
が低く、現像速度が速く、しかも臭気のない処理が可能
となる。また一剤粉剤化も可能である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 あらかじめカブラされていない内部潜像
    型ハロゲン化銀乳剤層、又はその他の親水性コロイド層
    中に4級塩造核剤及び造核促進剤を含有したハロゲン化
    銀感光材料を、少なくとも下記一般式Aで表わされる化
    合物及び一般式Bで表わされる化合物を含有する現像液
    で現像処理することを特徴とする現像処理方法。 【化1】 一般式Aにおいて、R1 、R2 、R3 、R4 は水素原
    子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基
    を表わす。但しR1 、R2 、R3 、R4 のうちいずれか
    1つはアルキル基あるいはヒドロキシアルキル基を表わ
    す。一般式Bにおいて、Yは、水素原子又はメルカプト
    基を表し、Rは水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ア
    ミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ス
    ルホ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ア
    リール基、アルコキシ基、ヒドロキシカルボニル基、ア
    ルキルカルボニル基又はアルコキシカルボニル基を表
    す。
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