JP2661740B2 - トナー用樹脂組成物 - Google Patents

トナー用樹脂組成物

Info

Publication number
JP2661740B2
JP2661740B2 JP1023075A JP2307589A JP2661740B2 JP 2661740 B2 JP2661740 B2 JP 2661740B2 JP 1023075 A JP1023075 A JP 1023075A JP 2307589 A JP2307589 A JP 2307589A JP 2661740 B2 JP2661740 B2 JP 2661740B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molecular weight
toner
styrene
resin composition
polymer component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP1023075A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02203355A (ja
Inventor
貞夫 鈴木
隆善 松永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP1023075A priority Critical patent/JP2661740B2/ja
Publication of JPH02203355A publication Critical patent/JPH02203355A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2661740B2 publication Critical patent/JP2661740B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はトナー用樹脂組成物に関し、詳しくは電子写
真や静電記録における静電荷像を乾式現像方式で現像す
るトナーの原料として好適に使用される樹脂組成物に関
する。
(従来の技術) 一般に、乾式現像方式では、トナーを鉄粉等のキャリ
アとの摩擦により帯電させて感光体上の静電潜像に付着
させ、これを用紙上に転写し、定着させて永久可視像を
形成している。この定着方法としては、トナーとの離型
性に富む表面を備えた加熱ローラーに、転写した用紙上
のトナー画像を圧接触させる加熱ローラー法が多用され
ている。
このような加熱ローラー法においては、消費電力等を
少なくして経済性を向上させるため、及び定着速度を上
げるため、より低温で定着性の高いトナーが求められて
いる。定着性の観点からは、トナーの原料樹脂として、
溶融粘度の低い樹脂や低分子量の樹脂を用いるのが有利
である。しかし、あまり溶融粘度の低い樹脂を用いる
と、通常ガラス転移点も低くなるので、得られるトナー
の耐ブロッキング性(貯蔵安定性)が悪くなり、貯蔵中
にトナー粒子が合着しやすくなる。また、あまり低分子
量の樹脂を用いると、得られるトナーの機械的強度が不
十分なものとなり、しかも、オフセット(用紙に転写さ
れたトナーの一部が定着時に加熱ローラー表面に移行
し、この移行したトナーが次の用紙に再び移行して画像
を汚す現像)が発生しやすくなる。
上記の問題に対処するため、低分子量重合体成分と高
分子量重合体成分より成る2山分布のスチレン−アクリ
ル系樹脂組成物を用いたトナーが既に提案されている
(特開昭56−158340号公報)。このトナーは、低分子量
重合体成分によって良好な定着性を付与すると共に、高
分子量重合体成分によってオフセットの防止と機械的強
度を付与することを図ったものである。
一方、トナーの原料樹脂がジオクチルフタレート等の
可塑剤の相溶性に富む場合は、定着した複写物を軟質ポ
リ塩化ビニルシート等に挟んで保管するうちに、該シー
トよりしみだしてくる可塑剤によって複写物の画像がシ
ート表面に付着し、判読困難になるという問題がある。
かかる問題に対処するため耐可塑剤性を付与したトナー
としては、カルボン酸含有ビニルモノマーを共重合した
スチレン−アクリル系樹脂を用いたトナー(特開昭59−
166965号公報)、(メタ)アクリル酸や炭素数3以下の
アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル等の特
定のアクリル系単量体を多量に含むスチレン−アクリル
系樹脂を用いたトナー(特開昭59−162564号公報)等が
知られている。
(発明が解決しようとする課題) 前述の2山分布のスチレン−アクリル系樹脂組成物を
用いたトナーは、低分子量及び高分子量の重合体成分の
割合を変化させたり、重合体の溶融粘度を変化させた
り、分子量を変化させるなどの方法によって、比較的自
由に樹脂物性を操作できる利点があるが、その反面、耐
可塑剤性が不十分であり、特に低分子量重合体成分がス
チレン系重合体やスチレン含有量の多いスチレン−アク
リル系重合体より成る場合は、耐可塑剤性が極めて乏し
いため、複写物の画像が短期間のうちに軟質ポリ塩化ビ
ニルシート等に付着するという問題があった。
一方、前述のカルボン酸等の極性基を含むスチレン−
アクリル系樹脂を用いたトナーは、耐可塑剤性には優れ
ているものの、極性基の影響で高温高湿下に吸湿しやす
いという性質があるため、吸湿により帯電量が低下して
カブリを生じたり、トナー粒子が合着してブロッキング
を生じるという問題があった。しかもカルボン酸やアミ
ドの含有量が多くなると、帯電量の制御が著しく困難と
なり、画質低下の大きな原因になるという問題もあっ
た。
また、前述の特定のアクリル系単量体を多量に含むス
チレン−アクリル系樹脂を用いたトナーは、スチレン系
単量体の不足によって帯電量が低下し、逆極性に帯電す
る粒子も発生するため、画像にカブリを生じやすいとい
う問題があった。
本発明は、上記問題を一挙に解決すべくなされたもの
で、優れた定着性、耐オフセット性、耐可塑剤性、耐ブ
ロッキング性を有し、且つ、荷電状態が安定していてカ
ブリを生じないトナー用の樹脂組成物を提供することを
目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明のトナー用樹脂組成物は、スチレン系単量体、
アクリル酸エステル系単量体及びメタクリル酸エステル
系単量体からなる群より選ばれる少なくとも2種の単量
体を構成単位とする共重合体である低分子量重合体成分
と、スチレン系単量体、アクリル酸エステル系単量体及
びメタクリル酸エステル系単量体からなる群より選ばれ
る少なくとも2種の単量体を構成単位とする共重合体で
ある高分子量重合体成分と、を含有するトナー用樹脂組
成物であって、該低分子量重合体成分は、メタクリル酸
メチルエステルを60重量%以上含有し、かつその分子量
が重量平均分子量で80,000以下であり、該高分子量重合
体成分は、スチレン系単量体を40重量%以上含有し、か
つその分子量が重量平均分子量で400,000以上であるこ
とを特徴としており、そのことにより上記目的が達成さ
れる。
即ち、本発明のトナー用樹脂組成物には、ビニル系単
量体を構成単位とする低分子量重合体成分が含まれるの
で、得られるトナーは優れた定着性を発揮し、しかも、
この低分子量重合体成分には、ジオクチルフタレート等
の可塑剤との相溶性に乏しいメタクリル酸メチルエステ
ルが構成単位として60重量%以上含有されているので、
得られるトナーの耐可塑剤性は大幅に向上する。更に、
本発明のトナー用樹脂組成物には、ビニル系単量体を構
成単位とする重量平均分子量が400,000以上の高分子量
重合体成分が含まれているので、得られるトナーは耐ブ
ロッキング性、耐オフセット性に優れ、しかも、この高
分子量重合体成分には、帯電性の良好なスチレン系単量
体が構成単位として40重量%以上含有しているので、得
られるトナーは荷電状態が安定しており、カブリを生じ
ることはない。また、このような高分子量重合体成分が
含まれると、耐可塑剤性がより一層向上する。
本発明における低分子量重合体成分及び高分子量重合
体成分は、スチレン系単量体、アクリル酸エステル系単
量体及びメタクリル酸エステル系単量体からなる群より
選ばれる少なくとも2種以上の単量体を構成単位とする
共重合体より成るものである。
上記のスチレン系単量体の具体例としては、スチレン
の他にo−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−
メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチ
レン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレ
ン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチ
レン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチ
レン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチ
レン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、
p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレンなどを挙
げることができる。
また、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル系単
量体の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、
アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アク
リル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アク
リル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸
エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチ
ル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチ
ル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリルな
どのアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステルの
他、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニ
ル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸フェニ
ル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸
ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエ
チル、メタクリル酸グリシジル、ビスグリシジルメタク
リレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、
メタクリロキシエチルホスフェートなどを挙げることが
でき、この中でも、アクリル酸エチル、アクリル酸プロ
ピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブ
チルなどが特に好ましく使用される。
また、適宜その他のビニル系単量体を用いてもよく、
その例としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチ
ルアクリル酸、クロトン酸などのアクリル酸及びそのα
−もしくはβ−アルキル誘導体、フマル酸、マレイン
酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン
酸及びそのモノエステル誘導体、コハク酸モノアクリロ
イルオキシエチルエステル、コハク酸モノメタクリロイ
ルオキシエチルエステル、フタル酸モノアクリロイルオ
キシエチルエステル、フタル酸モノメタクリロイルオキ
シエチルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニト
リル、アクリルアミドなどを挙げることができる。
本発明における低分子量重合体成分は、メタクリル酸
メチルエステルを共重合体の構成単位として少なくとも
60重量%以上含有することが必要である。このメタクリ
ル酸メチルエステルは、耐可塑剤性を向上させるために
含有されるもので、その含有量が60重量%未満では、満
足な耐可塑剤性を付与することが困難となる。好ましい
含有量は70重量%以上であり、含有量の上限は通常95重
量%である。また、この低分子量重合体成分の分子量
は、定着性を向上させるために、重量平均分子量で80,0
00以下とするものであり、好ましい範囲は4,000〜20,00
0である。
これに対し、高分子量重合体成分は、スチレン系単量
体を共重合体の構成単位として少なくとも40重量%以上
含有することが必要である。このスチレン単量体は、均
一且つ安定で十分な帯電性を付与してカブリを防止する
ために含有されるもので、その含有量が40重量%未満で
は、満足な帯電性を付与することが困難となる。好まし
い含有量は60重量%以上であり、含有量の上限は通常95
重量%である。また、この高分子重量合体成分の分子量
は、耐可塑剤性及び耐オフセット性を向上させるため
に、重量平均分子量で400,000以上とするものである。
尚、上記とは逆に低分子量重合体成分にスチレン系単
量体を多量に含有させ、高分子量重合体成分にメタクリ
ル酸メチルエステルを多量に含有させたとしても、耐可
塑剤性を向上する効果は期待できない。すなわち、高分
子量重合体に比べて低分子量重合体成分の方が可塑剤と
の相溶性が高いので、この低分子量重合体が特に可塑化
されるようになるからである。
低分子量重合体成分と高分子量重合体成分の比率は、
重量比で90:10〜30:70の範囲とするのが好ましい。低分
子量重合体成分がこの範囲を下回ると、定着性が不良と
なる等の不都合を生じやすくなり、逆に、この範囲を上
回ると耐オフセット性が不良となる等の不都合を生じや
すくなるからである。より好ましい範囲は85:15〜50:50
である。
低分子量重合体成分及び高分子量重合体成分の合成方
法としては、公知の懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊
重合などが利用できる。本発明のトナー用樹脂組成物
は、これらの重合方法によって低分子量重合体成分と高
分子量重合体成分を別々に合成したのち熱溶融ブレンド
してもよいし、また、より均質にするため双方の重合体
成分を溶剤に溶解してブレンドしたのち脱溶剤してもよ
いが、好ましくは、一方の重合体成分を合成し、該重合
体成分の共存下に他方の重合体成分を合成することによ
って製造される。
尚、本発明のトナー用樹脂組成物は、本発明の目的を
達成し得る範囲内で、酢酸ビニル、塩化ビニル、エチレ
ン等を低分子量重合体成分及び高分子重量合体成分のい
ずれかに共重合してもよく、また、これらモノマーの重
合体、更にはポリエステル樹脂やエポキシ樹脂等を混合
してもよいものである。
(実施例) 本発明を実施例について以下に説明する。尚、「部」
は重量部を表す。
実施例1 メタクリル酸メチルエステル85部、n−ブチルアクリ
レート15部を重合して得られた重量平均分子量8,000の
低分子量重合体350gと、スチレン85部、n−ブチルアク
リレート15部を重合して得られた重量平均分子量40万の
高分子量重合体200gを、窒素ガスにて置換したニーダー
で160℃、10分間混練し、これを冷却、粉砕して本発明
樹脂組成物Aを得た。
この樹脂組成物A100部、カーボンブラック(MA100:三
菱化成社製)5部、ポリプロピレン(ビスコール66OP:
三洋化成社製)4部をメルトブレンドして冷却後粗粉砕
し、更にジェットミルで微粉砕して約13〜15μmの平均
流度を有する粉末とし、この粉末に疎水性シリカ微粉末
を0.5重量%と なるように添加してトナーを作成し
た。
このトナー10gを100mlのサンプルビンに採って50℃の
恒温槽中に16時間放置し、粒子の合着の有無によって耐
ブロッキング性を評価した。その結果、耐ブロッキング
性は良好であった。また、この他に35℃、相対湿度90%
で1ケ月放置後、同じテストを行ったが、同様に耐ブロ
ッキング性は良好であった。
上記のトナー4部を、約50〜80μmの平均粒度を有す
る鉄粉キャリアー96部と混合して現像剤を作成し、この
現像剤を用いて電子写真複写機(富士ゼロックス3500)
により複写物を得て、定着性、定着温度幅、カブリ、耐
可塑剤性等を評価した。
定着性の評価は、電子写真複写機の熱ローラーの設定
温度を180℃にして得られた複写物を、タイプライター
用砂消しゴムで一定荷重を加えて摩擦したとき、複写画
像の濃度が85%以上のものを合格とし、定着温度幅は、
電子写真複写機の熱ローラーの設定温度を種々変えてオ
フセットを起こさずに定着する設定温度を調べた。ま
た、カブリの有無は目視によって判断し、耐熱可塑性の
評価は、可塑剤としてジオクチルフタレート40重量%を
含む塩化ビニルシートを5cm角に切って1Kgの圧力で複写
物に圧着させ、これを40℃の恒温槽中で24時間放置し
て、複写物が塩化ビニルシートに転写するか否かを見
た。
その結果、樹脂組成物Aを用いた上記の現像剤は定着
性が合格であり、定着温度幅も150℃〜200℃以上と十分
な幅をもち、耐オフセット性も良好であった。また、ト
ナー粒子の荷電状態が安定していて複写物の画像にはカ
ブリが一切見られず、解像度も優れていた。耐熱可塑性
についても転写は全く認められなかった。更に、上記の
現像剤を35℃、相対湿度90%で1ケ月放置した後、同様
に複写物を得てカブリの有無を調べてみたが、やはりト
ナー粒子の荷電状態は安定しており、複写物の画像には
カブリが見られなかった。
実施例2 3リットルのセパラブルフラスコにポリビニルアルコ
ール部分ケン化物(ゴーセノールGH−17:日本合成化学
社製)0.3gを入れて蒸留水500mlに溶解した。その中
に、スチレン60部、n−ブチルアクリレート20部、メタ
クリル酸メチルエステル20部を重合して得られた重量平
均分子量40万の高分子量重合体200gと、メタクリル酸メ
チルエステル210g、スチレン45g、n−ブチルアクリレ
ート45g及び過酸化ベンゾイル(重合開始剤)15gの混合
物を添加して懸濁分散し、気相を窒素ガスで置換してか
ら80℃に昇温し、同温度で10時間重合を行ったのち95℃
に昇温して同温度を4時間保ち、重合を完結した。この
段階で、低分子量重合体として重量平均分子量8,000程
度のポリマーが生成していると推定される。その後、冷
却して脱水と水洗を繰り返し、乾燥して本発明樹脂組成
物Bを得た。
この樹脂組成物Bを用いて実施例1と同様にトナー及
び現像剤を作成し、その性能を評価した。
トナーの耐ブロッキング性は良好であり、35℃、相対
湿度90%で1ケ月放置したものも粒子の合着が認められ
なかった。現像剤の定着性も合格であり、定着温度幅は
160℃〜200℃以上と十分であった。また、トナー粒子の
電荷状態が安定していて複写物の画像にはカブリが一切
見られず、解像度も優れており、35℃、相対湿度90%で
1ケ月放置したものもカブリは見られなかった。耐可塑
剤性についても、転写は全く認められなかった。
実施例3 2リットルのセパラブルフラスコにトルエン900gを入
れ、その中に、メタクリル酸メチルエステル10部、スチ
レン75部、n−ブチルアクリレート15部を重合して得ら
れた重量平均分子量40万の高分子重量合体150gを投入し
て溶解した。気相を窒素ガスで置換した後、この系をト
ルエンの沸点まで加温した。トルエンの還流が起きた状
態で、撹拌しながら、メタクリル酸メチルエステル298
g、n−ブチルアクリレート52g及びアゾビスイソブチロ
ニトリル(重合開始剤)14gを溶解した混合物を2.5時間
かけて滴下し、溶液重合をおこなった。滴下終了後、更
にトルエンの沸騰する温度で撹拌しながら、1時間熟成
した。この段階で、低分子量重合体として、重量平均分
子量8,000程度のポリマーが生成していると推定され
る。その後、系の温度を180℃まで徐々に上げながら、
減圧下にトルエンを脱溶剤し、残留樹脂分を冷却後粉砕
してフレーク状の本発明樹脂組成物Cを得た。
この樹脂組成物Cを用いて実施例1と同様にトナー及
び現像剤を作成し、その性能を評価した。
トナーの耐ブロッキング性は良好であり、35℃、相対
湿度90%で1ケ月放置したものも粒子の合着が認められ
なかった。現像剤の定着性も合格であり、定着温度幅は
160℃〜200℃以上と十分であった。また、トナー粒子の
荷電状態が安定していて複写物の画像にはカブリが一切
見られず、解像度も優れており、35℃、相対湿度90%で
1ケ月放置したものもカブリは見られなかった。耐可塑
剤性についても転写は全く認められなかった。
比較例1 メタクリル酸メチルエステル85部、n−ブチルアクリ
レート15部を重合して得られた重量平均分子量8,000の
低分子量重合体350gと、メタクリル酸メチルエステル85
部、n−ブチルアクリレート15部を重合して得られた重
量平均分子量40万の高分子重量合体200gを、窒素ガスに
て置換したニーダーで160℃、10分間混練し、これを冷
却、粉砕して樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物を用いて実施例1と同様にトナー及び
現像剤を作成し、その性能を評価した。
トナーの耐ブロッキング性は良好であり、35℃、相対
湿度90%で1ケ月放置したものも粒子の合着が認められ
なかった。現像剤の定着性も合格であり、定着温度幅は
160℃〜200℃以上と十分であった。また、耐可塑剤性に
ついても転写は全く認められなかった。
しかし、この樹脂組成物の高分子量重合体にはスチレ
ン系単量体が構成単位として含まれないため、トナー粒
子の電荷状態は不安定であり、複写物の画像にはカブリ
が多く見られ、解像度も劣っていた。また、35℃、相対
湿度90%で1ケ月放置したものも勿論カブリが多く見ら
れた。
比較例2 スチレン85部、n−ブチルアクリレート15部を重合し
て得られた重量平均分子量8,000の低分子量重合体350g
と、スチレン85部、n−ブチルアクリレート15部を重合
して得られた重量平均分子量40万の高分子量重合体200g
を、窒素ガスにて置換したニーダーで160℃、10分間混
練し、これを冷却、粉砕して樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物を用いて実施例1と同様にトナー及び
現像剤を作成し、その性能を評価した。
トナーの耐ブロッキング性は良好であり、35℃、相対
湿度90%で1ケ月放置したものも粒子の合着が認められ
なかった。現像剤の定着性も合格であり、定着温度幅は
160℃〜200℃以上と十分であった。また、トナー粒子の
荷電状態が安定していて複写物の画像にはカブリが見ら
れず、解像度も優れており、35℃、相対湿度90%で1ケ
月放置したものもカブリは見られなかった。
しかし、この樹脂組成物の低分子量重合体にはメタク
リル酸メチルエステルが構成単位として含まれないた
め、耐可塑剤性が劣っており、転写が認められた。
比較例3 スチレン85部、n−ブチルアクリレート15部を重合し
て得られた重量平均分子量8,000の低分子量重合体350g
と、メタクリル酸メチルエステル85部、n−ブチルアク
リレート15部を重合して得られた重量平均分子量40万の
高分子量重合体200gを、窒素ガスにて置換したニーダー
で160℃、10分間混練し、これを冷却、粉砕して樹脂組
成物を得た。
この樹脂組成物を用いて実施例1と同様にトナー及び
現像剤を作成し、その性能を評価した。
トナーの耐ブロッキング性は良好であり、35℃、相対
湿度90%で1ケ月放置したものも粒子の合着が認められ
なかった。現像剤の定着性も合格であり、定着温度幅は
160℃〜200℃以上と十分であった。また、トナー粒子の
荷電状態が安定していて複写物の画像にはカブリが見ら
れず、解像度も優れており、35℃、相対湿度90%で1ケ
月放置したものもカブリは見られなかった。
しかし、この樹脂組成物も比較例2の樹脂組成物と同
様、低分子量重合体にメタクリル酸メチルエステルが構
成単位として含まれないため、耐可塑剤性が劣ってお
り、転写が認められた。
比較例4 メタクリル酸メチルエステル45部、スチレン40部、n
−ブチルアクリレート15部を重合して得られた重量平均
分子量8,000の低分子量重合体を用いて、実施例1と同
様にトナー及び現像剤を作成し、その性能を評価した。
トナーの耐ブロッキング性は良好であり、35℃、相対
湿度90%で1ケ月放置したものも粒子の合着が認められ
なかった。また、トナー粒子の荷電状態が安定していて
複写物の画像にはカブリが見られず、解像度も優れてお
り、35℃、相対湿度90%で1ケ月放置したものもカブリ
は見られなかった。
現像剤の定着性は合格であったが、高分子量重合体成
分が存在しないため定着温度幅はまったくなかった。ま
た、メタクリル酸メチルエステルの配合量が少なく、高
分子量重合体成分が存在しないため、耐可塑性が劣って
おり、転写が認められた。
比較例5 メタクリル酸メチルエステル45部、スチレン40部、n
−ブチルアクリレート15部を重合して得られた重量平均
分子量40万の高分子量重合体を用いて、実施例1と同様
にトナー及び現像剤を作成し、その性能を評価した。
トナーの耐ブロッキング性は良好であり、35℃、相対
湿度90%で1ケ月放置したものも粒子の合着が認められ
なかった。また、トナー粒子の荷電状態が安定していて
複写物の画像にはカブリが見られず、解像度も優れてお
り、35℃、相対湿度90%で1ケ月放置したものもカブリ
は見られなかった。耐可塑剤性についても転写は全く認
められなかった。
しかし、低分子量重合体成分が存在しないため、定着
性は不合格であり、定着温度幅は200℃以上であった。
比較例6 アクリル酸35部、スチレン50部、n−ブチルアクリレ
ート15部を重合して得られた重量平均分子量8,000低分
子量重合体350gと、スチレン80部、n−ブチルアクリレ
ート20部を重合して得られた重量平均分子量40万の高分
子重量合体150gを、窒素ガスにて置換したニーダーで16
0℃、10分間混練し、これを冷却、粉砕して樹脂組成物
を得た。
この樹脂組成物を用いて実施例1と同様にトナー及び
現像剤を作成し、その性能を評価した。
トナーの耐ブロッキング性は良好であり、現像剤の定
着性も合格で、定着温度幅は160℃〜200℃以上であっ
た。また、トナー粒子の荷電状態は安定していて複写物
の画像にはカブリが見られず、解像度も優れていた。耐
可塑剤性についても転写は全く認められなかった。
しかし、低分子量重合体成分にアクリル酸を含むた
め、35℃、相対湿度90%で1ケ月放置したトナーは、吸
湿により耐ブロッキング性が非常に悪く、同様に、35
℃、相対湿度90%で1ケ月放置した現像剤も、画像のカ
ブリが見られた。
比較例7 メタクリル酸メチルエステル85部、n−ブチルアクリ
レート14部と、ゲル化密度を上げるための架橋剤として
ジビニルベンゼン1部を、過酸化ベンゾイルを触媒とし
てトルエン下で共重合したのち脱溶剤し、ゲル化密度30
重量%、ガラス転移点60℃、MI値18、溶解度指数9.3以
上の樹脂を得た。
この樹脂を用いて実施例1と同様にトナー及び現像剤
を作成し、その性能を評価した。
トナー耐ブロッキング性は良好であり、35℃、相対湿
度90%で1ケ月放置したものも粒子の合着が認められな
かった。また、耐可塑剤性についても転写は全く認めら
れなかった。
しかし、スチレン系単量体を含まず、メタクリル酸メ
チルエステルとn−ブチルアクリレートでほぼ全体が占
められているため、トナー粒子の荷電状態が不安定で複
写物の画像にカブリが多く見られ、解像度も悪かった。
また、ゲル化密度や溶解度指数が比較的高いため、定着
性は不合格であり、定着温度幅も180℃〜200℃以上とあ
まり好ましくなかった。
比較例8 スチレン85部、n−ブチルアクリレート15部を重合し
て得られた重量平均分子量40万の高分子量重合体200gに
替えて、スチレン85部、n−ブチルアクリレート15部を
重合して得られた重量平均分子量35万の高分子量重合体
200gを使用し、それ以外は実施例1と同様にして樹脂組
成物を得た。
この樹脂組成物を用いて実施例1と同様にしてトナー
及び現像剤を作成し、その性能を評価した。
トナーの耐ブロッキング性は良好であった。また、35
℃、相対湿度90%で1ケ月放置後のトナーの耐ブロッキ
ング性も良好であった。現像剤の定着性も合格であった
が、定着温度幅は150〜190℃で高温側が不十分であっ
た。
また、トナーの荷電状態は安定していて複写物の画像
にはカブリが一切見られず、解像度も優れていた。ま
た、35℃、相対湿度90%で1ケ月放置後のトナーの荷電
状態も安定していて複写物の画像にはカブリはみられな
かった。しかし、耐可塑剤性テストでは転写が認められ
た。
(発明の効果) 本発明のトナー用樹脂組成物の構成は上述の通りであ
り、定着性、耐可塑剤性、耐オフセット性に優れ、荷電
状態が安定でカブリを生じることがなく、高温高湿下で
もブロッキングしないトナーを得ることができる利点が
ある。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スチレン系単量体、アクリル酸エステル系
    単量体及びメタクリル酸エステル系単量体からなる群よ
    り選ばれる少なくとも2種の単量体を構成単位とする共
    重合体である低分子量重合体成分と、スチレン系単量
    体、アクリル酸エステル系単量体及びメタクリル酸エス
    テル系単量体からなる群より選ばれる少なくとも2種の
    単量体を構成単位とする共重合体である高分子量重合体
    成分と、を含有するトナー用樹脂組成物であって、 該低分子重合体成分は、メタクリル酸メチルエステルを
    60重量%以上含有し、かつその分子量が重量平均分子量
    で80,000以下であり、該高分子重合体成分は、スチレン
    系単量体を40重量%以上含有し、かつその分子量が重量
    平均分子量で400,000以上であることを特徴とするトナ
    ー用樹脂組成物。
JP1023075A 1989-01-31 1989-01-31 トナー用樹脂組成物 Expired - Fee Related JP2661740B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1023075A JP2661740B2 (ja) 1989-01-31 1989-01-31 トナー用樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1023075A JP2661740B2 (ja) 1989-01-31 1989-01-31 トナー用樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02203355A JPH02203355A (ja) 1990-08-13
JP2661740B2 true JP2661740B2 (ja) 1997-10-08

Family

ID=12100283

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1023075A Expired - Fee Related JP2661740B2 (ja) 1989-01-31 1989-01-31 トナー用樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2661740B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06166719A (ja) * 1992-11-30 1994-06-14 Kuraray Co Ltd メタクリル樹脂

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS56158340A (en) * 1980-05-13 1981-12-07 Konishiroku Photo Ind Co Ltd Toner for developing electrostatic charge image

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02203355A (ja) 1990-08-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5547801A (en) Toner resin composition and toner
JPH0421860A (ja) 加熱ローラー定着用トナー樹脂組成物
JP2661740B2 (ja) トナー用樹脂組成物
JPH05313413A (ja) トナー用樹脂組成物およびトナー
JP2726171B2 (ja) トナー用樹脂組成物
US5597674A (en) Toner resin composition and toner
US5789130A (en) Resin composition for toner
JP2512442B2 (ja) トナ−用樹脂の製造方法
JP2726172B2 (ja) トナー用樹脂組成物
JP3169543B2 (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JP2575127B2 (ja) トナ−用樹脂組成物及びその製造方法
JPH08305082A (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JPH08123080A (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JPH0153780B2 (ja)
JPH07219269A (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JP2812657B2 (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JP3152997B2 (ja) 正帯電性トナー用バインダーレジンの製造方法
JP2872258B2 (ja) イエロートナー
JP2635441B2 (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JPH08123078A (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JPH08305080A (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JP2559497B2 (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JP3372063B2 (ja) トナー用バインダー樹脂
JPH10123750A (ja) トナー用樹脂組成物及びトナー
JPH04190245A (ja) 電子写真用トナーバインダー

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees