JP2660945B2 - 壁パネル下部の取付け構造 - Google Patents

壁パネル下部の取付け構造

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JP2660945B2
JP2660945B2 JP24878892A JP24878892A JP2660945B2 JP 2660945 B2 JP2660945 B2 JP 2660945B2 JP 24878892 A JP24878892 A JP 24878892A JP 24878892 A JP24878892 A JP 24878892A JP 2660945 B2 JP2660945 B2 JP 2660945B2
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秀機 福永
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MISAWA SERAMITSUKUSU KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、建物のいわゆるカー
テンウォール構法に係り、特には該カーテンウォール構
法において壁パネル下部を取付部材を介して鉄骨フレー
ム等の建物構造体に取付ける構造に関する。
【0002】
【従来の技術】いわゆるカーテンウォール構法における
壁パネル下部の取付構造が、例えば特公昭63−541
01号公報に示される。このカーテンウォール構法で
は、梁等の建物構造体に定規アングルと称する支持アン
グルが固着され、この支持アングルに、壁パネルの下部
に取り付けた所要形状の取付金物を係合して、壁パネル
が支持される。
【0003】すなわち、特公昭63−54101号公報
には、壁パネルの下部にイナズマ金物を取付け、このイ
ナズマ金物と壁パネルの間に支持アングルの立片を挟む
ように上方から係合して固定する構造が示される。壁パ
ネルの自重は支持アングルの別位置に取り付けた受けア
ングルによって受けられる。
【0004】上記したような従来の壁パネル下部の取付
構造にあっては、壁パネルの面方向に対する前後調整
(出入り調整)が煩雑ないしは困難であるという問題が
ある。
【0005】ところで、カーテンウォール構法の建物に
あっては、壁パネルが取り付けられる梁材、柱材の構造
体としてH形鋼等の鋼材が多用されるのであるが、しか
しながら、これらの鋼材は、部材としての直線度および
平坦度等の精度にばらつきがあることはよく知られてい
るところである。また、一方の壁パネルにあっても、こ
れを平面度で見ると、特にプレキャストコンクリート板
によるパネルの場合は大板になるほど物理的影響を受け
てたわみ、その平面度に若干のばらつきを生ずることが
避けられない。さらに、取付用の金物類にも寸法誤差が
ある。
【0006】そのため、これらの鋼材からなる構造体に
壁パネルを取り付けるにあたっては、作業の容易性など
の施工技術を考慮すれば、介在物となる取付金物に、壁
面前後方向への出入り調整機能を設けておくことがより
好ましい。また、この場合の調整機能は、いわゆる熟練
を要せずに簡単に設定できるものが施工技術的に望まし
いものであることはいうまでもない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記した
状況に鑑み提案されたものであって、極めて簡単な構成
で壁パネルの面方向の前後位置の調整(すなわち出入り
調整)ができ、建物構造物や壁パネルあるいは取付用の
金物類に寸法の誤差があっても容易かつ正確に取付をな
すことができる新規な壁パネル下部の取付け構造を提供
しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、この発明は、
底片および立片を有する側面略L字形の支持部材が前記
底片を介して建物構造体に固着され、一方、背板および
下部に係合溝が形成された係合片を有する平面略T字形
の取付部材が前記背板を介して壁パネル下部に固着さ
れ、前記支持部材の立片に前記取付部材の係合片下部の
係合溝が係合されることによって壁パネルの下部が建物
構造体に取付けられたものであって、前記取付部材の係
合片の係合溝の溝幅が前記支持部材の立片の板厚より広
く切り欠かれているとともに、前記支持部材の立片と取
付部材の係合片の係合溝の間隙には、壁パネル下部の面
方向の前後位置を調整するための段階的な板厚部を形成
したスペーサが介装されていることを特徴とする壁パネ
ル下部の取付け構造に係る。
【0009】
【作用】梁等の建物構造体には、底片および立片を有す
る側面略L字形の支持部材が底片を介して固着されてい
る。一方、壁パネルの下部には、背板および下部に係合
溝が形成された係合片を有する平面略T字形の取付部材
が前記背板を介して固着されている。この取付部材は、
その係合片下部の係合溝が前記支持部材の立片に係合さ
れることによって取り付けられている。
【0010】この発明では、前記取付部材の係合片の係
合溝の溝幅が前記支持部材の立片の板厚より広く切り欠
かれており、支持部材の立片と取付部材の係合片の係合
溝の間隙には、段階的な板厚部を形成したスペーサが介
装されて、壁パネル下部の面方向の前後位置が調整され
ている。
【0011】
【実施例】以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説
明する。図1はこの発明構造の一例を表す壁パネル下部
の取付状態を示す縦断面図、図2はその2−2線におけ
る断面図、図3は同じく図1の3−3線における断面
図、図4はこの発明構造に用いられる第1スペーサの一
例を示す斜視図、図5は同じく第2スペーサの一例を示
す斜視図、図6はこの発明による壁パネルの調整状態の
一例を示す横断面図である。
【0012】図1ないし図3に図示したように、この発
明においては、H鋼などの建物構造体Hに支持部材11
が固着され、壁パネルP下部には取付部材21が固着さ
れている。
【0013】支持部材11は底片12および該底片12
の前端部から上方に突設された立片13とからなる側面
略L字形状に形成されており、底片12において建物構
造体Hに溶接固着されている。
【0014】一方、取付部材21は背板22と該背板2
2の略中央部分から後方へ突出した係合片23を有し、
平面略T字形に形成されている。この実施例において、
取付部材21は、図2のように、鋼板を直角に曲折した
平面略L字形の一対の金具21a,21aをその係合片
23部分において一体に合着して平面略T字状に形成さ
れている。なお、この取付部材としては、二枚の鋼板を
T字状に直交せしめ溶接固定したもの、あるいは、T字
形状に一体成形された部材を用いることも可能である。
【0015】取付部材21の背板22は壁パネルPへの
取付部となるもので、取付用のボルト孔27が複数設け
られており、図1のように取付ボルトBを前記壁パネル
Pにあらかじめ埋設された埋め込みナットNと螺着する
ことにより、当該取付部材21が壁パネルPに固着され
る。
【0016】また、取付部材21の係合片23は前記背
板22から前記建物構造体H側に突設され、該係合片2
3のパネル寄りの下部に下方に開口した縦長の係合溝2
4が形成されている。
【0017】この係合溝24は、前記支持部材11の立
片13が係合されることによってパネルPを建物構造体
Hに取り付けるためのもので、その溝幅は立片13の板
厚より広く切り欠いて形成されている。この実施例で
は、立片13の板厚が9mmで、係合溝24の溝幅は1
7mmに形成されている。
【0018】このように、係合溝24の溝幅を立片13
の板厚より広くすることによって、立片13に対する壁
パネルPの面方向の前後位置の調整(出入り調整)が可
能になるとともに、さらに、壁パネルPの吊り下ろし係
合時に、他位置における取付部とのズレがあっても容易
に立片13を係合させることができるという利点があ
る。
【0019】そして、前記係合片23の係合溝24と支
持部材11の立片13との間隙には、図示のようにスペ
ーサ30,35が介装される。スペーサは、係合溝24
の前側および後側に装着できるよう2つのスペーサ、つ
まり第1スペーサ30および第2スペーサ35を用意す
ることが望ましい。
【0020】これらのスペーサ30,35は、図4およ
び図5にそれぞれ示したように、適宜厚みの鋼板31を
その大きさを段階的に変えて複数枚重ね合わせることに
よって、全体の板厚を段階的に変化させた板厚部32に
よって形成されている。実施例の第1スペーサ30およ
び第2スペーサ35は、大きさの異なる厚さ2mmの鋼
板を4枚、適宜の幅で図のように段階的に重ね合わせて
溶接して、2、4、6および8mm厚の板厚部32が形
成されている。
【0021】そして、図1または図2のように、該係合
溝24における立片13との間隙の後側に第1スペーサ
30、前側に第2スペーサ35が介装される。この場
合、各スペーサ30、35は間隙の大きさに応じて段階
的に形成された板厚部32の所定の厚み部分が装着され
ることはいうまでもない。また、係合溝24の前側また
は後側に間隙がない場合には、他の間隙部分にどちらか
一方のみのスペーサ30,35の板厚部32の最大厚み
部分が装着されることになる。これらのスペーサ30,
35は係合溝24における立片13との間隙内に装着さ
れた後溶接によって固定される。
【0022】なお、第1スペーサ30および第2スペー
サ35は同一構成のものを使用してもよいが、装着時の
便宜を考慮して、例えば図5に図示の第2スペーサ35
のように支持部材11の立片13への係着鍔部36を形
成してもよい。
【0023】図6は、2つの壁パネルP1およびP2に
ついて、そのパネル方向Fの前後調整を行なった状態を
表わす一部省略横断面図であるが、同図上側に示した壁
パネルP1においては、係合片23の係合溝24におけ
る立片13との間隙の後側に装着された第1スペーサ3
0Aの厚みが、前側の第2スペーサ35Aより薄い結
果、壁パネルP1はパネル方向Fの前方に位置する。
【0024】これに対して、同図下側に図示した壁パネ
ルP2においては、係合溝24の間隙の後側に装着され
た第1スペーサ30Bの厚みが、前側の第2スペーサ3
5Bより厚い結果、壁パネルP2はパネル方向Fの後方
に位置することとなる。このように、2つのスペーサの
板厚部を適宜選択して介装することによって壁パネルP
1,P2と支持部材、すなわち建物構造体Hとの前後位
置を容易に調整することができる。
【0025】なお、図示した実施例では、図1ないし図
3から理解されるように、取付部材21の係合片23が
高さ調整自在な自重受け機構によって支持されている。
すなわち、図2からよりよく理解されるように、支持部
材11の底片12上面には、底片41と前記底片41か
ら垂直に立設された立片42とからなる断面略L字状の
一対の自重受け金具40a,40bが固着されている。
そして、該一対の自重受け金具40a,40bの立片4
2,42に設けられた縦長穴45,45および該立片4
2、42の間に挟装された係合片23の取付穴24に取
付ボルト44を挿通してナット44aによってこれらを
一体に緊締することによって、該自重受け金具40a,
40bに取付部材21の係合片23が支持される。
【0026】さらに、図1に示すように、取付部材21
の係合片23上部にはねじ取付部28が設けられてい
て、該取付部28のねじ穴29に調節ボルト50が下方
に向けて螺着されている。一方、前記調節ボルト50が
設けられた下方の受け金具40aの立片42上部には前
記調節ボルト50のねじ先端と当接する受止め部43が
形成されていて、該受止め部43によって壁パネルPの
自重が受けられるとともに、該調節ボルト50の回動に
よる進退に伴って取付部材21の高さ位置、すなわち壁
パネルPの取付高さ位置が調整されるようになってい
る。
【0027】
【発明の効果】以上図示し説明したように、この発明の
壁パネル下部の取付け構造によれば、段階的に板厚を形
成したスペーサを支持部材の立片と取付部材の係合溝の
間隙に介装することによって、壁パネル下部の面方向の
前後位置の調整(いわゆる出入り調整)を簡単かつ迅速
に行うことができる。
【0028】特に、この発明では、スペーサの介装によ
り、取付部材は支持部材すなわち建物構造体と全体とし
て一体化されることになるので、壁パネルの荷重が取付
部材から支持部材を経て局部集中的に建物構造体に伝わ
ることがなくなり、剛性上からも合理的な支持が可能と
なる。
【0029】また、この発明にあっては、壁パネル自体
および壁パネルが取り付けられる建物構造体ならびに取
付用の金物類に寸法の誤差があっても、容易にかつ正確
な取付が可能となり、この種取付け作業を効率的に行う
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明構造の一例を表す壁パネル下部の取付
状態を示す縦断面図である。
【図2】その2−2線における断面図である。
【図3】図1の3−3線における断面図である。
【図4】この発明構造に用いられる第1スペーサの一例
を示す斜視図である。
【図5】同じく第2スペーサの一例を示す斜視図であ
る。
【図6】この発明構造による壁パネルの調整状態の一例
を示す横断面図である。
【符号の説明】
11 支持部材 12 底片 13 立片 21 取付部材 22 背板 23 係合片 24 係合溝 30 第1スペーサ 35 第2スペーサ H 建物構造体 P 壁パネル

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 底片および立片を有する側面略L字形の
    支持部材が前記底片を介して建物構造体に固着され、一
    方、背板および下部に係合溝が形成された係合片を有す
    る平面略T字形の取付部材が前記背板を介して壁パネル
    下部に固着され、前記支持部材の立片に前記取付部材の
    係合片下部の係合溝が係合されることによって壁パネル
    の下部が建物構造体に取付けられたものであって、 前記取付部材の係合片の係合溝の溝幅が前記支持部材の
    立片の板厚より広く切り欠かれているとともに、前記支
    持部材の立片と取付部材の係合片の係合溝の間隙には、
    段階的な板厚部を形成したスペーサが介装されているこ
    とを特徴とする壁パネル下部の取付け構造。
  2. 【請求項2】 請求項1において、係合溝の前側および
    後側の間隙に2つのスペーサが介装されている壁パネル
    下部の取付け構造。
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