JP2660722B2 - 微生物 - Google Patents

微生物

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JP2660722B2 JP13835088A JP13835088A JP2660722B2 JP 2660722 B2 JP2660722 B2 JP 2660722B2 JP 13835088 A JP13835088 A JP 13835088A JP 13835088 A JP13835088 A JP 13835088A JP 2660722 B2 JP2660722 B2 JP 2660722B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は微生物に関する。詳しくは、エンド型糖脂質
分解酵素の産生能を有するロドコッカス エスピ−G−
74の変異株に関する。
(従来の技術と問題点) 動物界に広く存在しているスフィンゴ糖脂質は、スフ
ィンゴ塩基の第一級アルコール性水酸基がグリコシド結
合によって単糖又はオリゴ糖と結合し、更に脂肪酸がス
フィンゴ塩基に酸アミド結合したものであり、このスフ
ィンゴ塩基と脂肪酸からなる部分をセラミドと呼んでい
る(脂肪の化学、365頁、1974年、東京化学同人社発
行)。
スフィンゴ糖脂質は、細胞表層の主要な構成成分であ
り、細胞の膜抗原、血液型物質、相互識別、分化等の重
要な膜機能との関連が注目され、糖鎖の構造と機能の解
明が検討されているが、このためには、特異性の高い酵
素が重要な役割を果す。
しかし、従来糖脂質の糖鎖切断用の酵素としては、エ
キソ型糖脂質分解酵素のみが知られ、エンド型糖脂質分
解酵素は知られていなかった。
本発明者等は、糖脂質の糖鎖を切断する糖脂質分解酵
素を検索中のところ、さきに特異性の高いエンド型糖脂
質分解酵素を産生する微生物ロドコッカス エスピ−G
−74(Rhodococcus sp.G−74)を見出した(特開昭62−
69981号)。この微生物は、微工研菌寄第9424号(FERM
P−8424)として寄託されている。
この微生物を培養してエンド型糖脂質分解酵素(エン
ドグリコセラミダーゼ)産出させるには、培地中に誘導
剤(酵素の誘導物質)としてガングリオシド(糖脂質)
又はそれを含む牛脳アセトンパウダーを添加することが
必要であるが、この糖脂質は高価である上、培地中に分
泌された酵素と複合体を形成して酵素の精製を困難にす
る欠点がある。
(問題点を解決するための手段) 本発明者等は、上記の知見に基づいて検討を進めた結
果、このロドコッカス エスピ−G−74を変異処理して
得られた変異株が、培地中にガングリオシドのような糖
脂質が存在しない場合においても、エンド型糖脂質分解
酵素の産生能を有し、さらに糖脂質が存在する場合に
は、エンド型糖脂質分解酵素の産生量が著しく増加する
ことを確認し本発明を達成した。即ち本発明の要旨は、
糖脂質の非存在下において、エンド型糖脂質分解酵素の
産生能を有するロドコッカス エスピ−M−750(Rhodo
coccus sp.M−750)に存する。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明に係るロドコッカス エスピ−M−750は、さ
きに本発明者等が東京都町田市で採取した土壌から分離
されたロドコッカス エスピ−G−74(Rhodococcus s
p.G−74)の変異株であって、微工研菌寄第9946号(FER
M P−9946)として寄託されている。
本発明に係るロドコッカス エスピ−M−750は、上
記のロドコッカス エスピ−G−74を変異処理すること
によって得ることができる。
変異処理法としては、周知の紫外線照射処理及びニト
ロソグアニジンによる処理等によって実施される。例え
ば、後記実施例に具体的に示すように、ロドコッカス
エスピ−G−74(以下G−74と略記する)を培養後集菌
し、これを滅菌処理食塩水に懸濁させて紫外線照射によ
り変異処理し、次いで照射後の菌を馬血液寒天培地上で
培養して透明環を形成しない変異株を選択採取し、次い
でこの変異株を培養した後ニトロソグアニジンを含む酢
酸緩衝液で変異処理する。なお、G−74は培地中にヘモ
シンを産生し、これが馬血液を溶血させてコロニーの周
囲に透明環を形成する。
以上のように変異処理して得られたロドコッカス エ
スピ−M−750(以下M−750と略記する)の形態学的特
徴、各種培地上の性状及び生理的、性化学的性質は、以
下に示す通りで、G−74のそれ等と特に異なる所はな
い。しかしながら、G−74が、培地中に糖脂質の存在す
る場合においてのみ、エンド型糖脂質分解酵素(以下特
に断らない限り単に酵素という)の産生能を有するのに
対して、本発明に係るM−750は、培地中に糖脂質が存
在しない場合においても、酵素の産生能を有し、更に糖
脂質が存在する場合には、酵素の産生能が著しく増大
(約10培)するという特徴を有し、この点においてG−
74と明白に相違している。
[ロドコッカス エスピ−M−750の形態学的特徴、各
種培地上の性状及び生理的、生化学的性質] (1)形態学的特徴(ハート・インフュージョン寒天培
地上で30℃、6〜48時間培養) (イ)細胞形態:培養後、7時間位まで細胞は不均一に
伸長し、菌糸状に生育し、稀に分岐が観察される。その
後、菌糸状細胞はジグザグ状に曲がり、漸次分裂を繰り
返す。24時間以降の古い培養では、菌糸の分節(fragme
ntation)が生起し、桿状(1.6〜6.6×1.0〜1.2μm)
から球状(1.0〜1.2μm)になる。
(ロ)分裂様式:スナッピング(snapping)型 (ハ)運動性:なし (ニ)胞子形成:なし (ホ)グラム染色性:陽性 (ヘ)抗酸性:弱い抗酸性 (2)各種培地上の性状 (イ)30℃のシュクロース−硝酸塩寒天培地:生育微
弱;コロニー色は無色;気中菌糸なし;拡散性色素なし (ロ)30℃のグルコース−アスパラギン寒天培地:生育
微弱;コロニー色は無色;気中菌糸なし;拡散性色素な
し (ハ)30℃のグルコース−アスパラギン寒天培地:生育
微弱;コロニー色は無色;気中菌糸なし;拡散性色素な
し (ニ)30℃のスターチ寒天培地:生育微弱;コロニー色
は無色;気中菌糸なし;拡散性色素なし (ホ)30℃のチロシン寒天培地:生育微弱;コロニー色
は無色;気中菌糸なし (ヘ)30℃の普通寒天培地:生育良好;コロニー色は黄
味白色に近い薄燈色;気中菌糸なし;拡散性色素なし (ト)30℃のイースト−麦芽寒天培地:生育良好;コロ
ニー色はにぶ燈色;気中菌糸なし;拡散性色素なし (チ)30℃のオートミール寒天培地:生育微弱;コロニ
ー色は無色;気中菌糸なし;拡散性色素なし (3)生理的性質 (イ)生育温度範囲(ハートインフュージョン寒天培
地):10〜37℃ (ロ)空気中での発育:良好 (ハ)嫌気条件下での発育:生育せず (ニ)カタラーゼ:陽性 (ホ)オキシダーゼ:陽性 (ヘ)O−Fテスト:陰性 (ト)酸の生成(グルコース):陰性 (チ)ゼラチンの液化:陰性 (リ)スターチの加水分解:陰性 (ヌ)脱脂牛乳の凝固、ペプトン化:陰性 (ル)リトマスミルク:変化なし (オ)メラニン様色素の生成(チロシン寒天培地及びペ
プトン−イースト鉄寒天培地):陰性 (ワ)糖類の資化性(プリドハム−ゴトリーブ寒天培地
上で30℃、21日間培養): L−アラピノース − D−キシロース − D−グルコース + D−フラクトース ± シュクロース − イノシトール − L−ラムノース − ラフィノース − D−マンニット − (4)生化学的性質 (イ)DNAの塩基組成GC含量:69.5% (ロ)細胞壁の主要なアミノ酸組成:DL−ジアミノピメ
リン酸 (ハ)細胞壁の糖組成:アラピノース、ガラクトース (ニ)グリコレート・テスト:グリコリル型 (ホ)ミコール酸の総炭素数:C32−C48 (ヘ)メナキノン組成:MK−8(H2) (5)分類学的考察 [高次の分類学上の位置] 本菌株は、セルサイクル(cell cycle)に多形性を示
し、培養初期に菌糸状に生育し、古い培養では菌糸の分
節が起って、短桿状〜球状の細胞となる。細胞の分裂様
式はスナッピング(snapping)型を示す。グラム染色性
は強い陽性を示し、抗酸性染色は弱陽性を示す。本菌の
DNAのGC含量は69.5%の高い値を示し、細胞壁の主要な
アミノ酸組成はDL−ジアミノピリメン酸、糖組成はアラ
ピノース、ガラクトースを有し、細胞壁タイプIV型に属
す。ミコール酸炭素数はC32−C48、ペプチドグリカン糖
鎖部はグリコリル型を示す。
本菌株は以上示した形態的、生理・生化学的特性から
して“Bergey's Manual of Systematic Bacteriology"
第2巻(1986)に記載されているNocardioforms Sectio
nに分類される。
[属レベルの同定] “Bergey's Manual of Systematic Bacteriology"第
2巻(1986)、M.Goodfellow,M.D.Collins,D.E.Minniki
n,Journal of General Microbiology,96,351(1976)及
びD.E.Minnikin,M.Goodfellow,“Microbiological Clas
sification and ldentification"Academic Press,Londo
n,p.189(1980)によれば、Nocardioforms Sectionに帰
属する属は、ミコール酸の分子種組成の違いによって互
いに識別されている。本菌株はC32−C48のミコール酸を
有し、Corynebacterium、Mycobacterium、Nocardia属か
ら区別され、Rhodococcusのミコール酸分子種組成に合
致した。更にGC含量、細胞壁タイプ、ペプチドグリカン
糖鎖構造等においても、Rhodococcus属の諸性質によく
一致した。
よって、本菌株(M−750)は、ロドコッカス エス
ピ−(Rhodococcus sp.)と同定した。
本発明のM−750は、前述のようにガングリオシドの
ような糖脂質の存在下又は非存在下で培養することによ
り、培地中にエンド型糖脂質分解酵素を分泌産生し、特
に糖脂質が存在する場合には、エンド型糖脂質分解酵素
の産生量が著しく増加する。
この酵素は、スフィンゴ糖脂質を基質として糖鎖とセ
ラミドの結合を切断してオリゴ糖を生成するが、単糖は
生成しない。また、単糖とセラミドとが結合したセレブ
ロシドは分解しない。
より具体的には、 (1)オリゴ糖鎖中のグルコースが直接セラミドと結合
しているスフィンゴ糖脂質を基質とし、該グルコースと
セラミドの結合を切断してオリゴ糖を生成するエンド型
糖脂質分解酵素(以下酵素1という)と、 (2)オリゴ糖鎖中のガラクトースが直接セラミドと結
合しているスフィンゴ糖脂質を基質とし、該ガラクトー
スとセラミドの結合を切断してオリゴ糖を生成するエン
ド型糖脂質分解酵素(以下酵素2という)とからなる。
上記酵素1と酵素2は、本発明に係るM−750を培養
することにより培地中に分泌されるので、培地から硫安
塩析及び各種のカラムクロマトグラフィー処理によって
容易に精製分離することができる。
培地としては、例えばマイコロジカルペプトン培地
(オキソイド社製)が好適に使用されている。前記のよ
うに、M−750の培養には、培地中に糖脂質を含むこと
は必須ではないが、糖脂質を使用する場合には、例えば
糖鎖にシアル酸が結合したガングリオシド又はそれを含
む牛脳アセトンパウダーが好適である。糖脂質を使用し
ない場合には、マイコロジカルペプトンに、酵母エキ
ス、食塩等を添加した培地が好適である。培地中には上
記以外の各種の炭素源、窒素源を添加することができ
る。
培地のpHは、通常6.8〜7.2、好適には7付近であり、
温度は24〜30℃程度から選ばれる。培養は2〜4日間程
度が好ましい。
培養物からの酵素の採取、精製は、例えば上記菌株の
培養液を遠心分離して上清を採取し、固形硫安を飽和溶
液の80%になるように添加して塩析し、沈澱物を蒸留水
に溶解し、スファデックスG−100及びDEAE−セファロ
ースFFカラムクロマトグラフィーにより精製する。
次に、得られた酵素1及び酵素2の理化学的性質につ
いて詳細に説明するが、酵素活性の測定は以下の方法に
よった。
[酵素活性の測定] 酵素液 100μl 基 質 100μl [0.1Mの酢酸緩衝液(pH6.0)に5mg/mlの基質1)及び1mg
/mlのTDC(タウロデオキシコール酸ナトリウム、界面活
性剤)を加えたもの] 上記の酵素及び基質を混合し37℃で酵素活性の強さに
応じて1時間〜1夜間反応させた後、反応液100μlを
採取し、パーク・ジョンソン(Park−Johnson)法によ
り還元力を測定し、1分間に1μmolのグルコース又は
ガラクトースに対応する還元力を生じる酵素量を1単位
とする。反応液は薄層クロマトグラフィーで分析してオ
リゴ糖及びセラミドが生じているかどうかを確認する。
基質1):酵素1の場合には、牛脳から単離したGM1[Gal
β1→3GalNAcβ1→4(NeuAcα2→3)Galβ1→4Gl
cβ1→1Cer]を使用し、また酵素2の場合にはネオガ
ラトリアオシルセラミド(Neogalatriaosylceramide、G
alβ1→6Galβ1→6Galβ1→1Cer)を使用した。
[酵素1の理化学的性質] (イ)作 用 スフィンゴ糖脂質に作用し、糖鎖とセラミドの結合を
切断してオリゴ糖とセラミドを生成する。
この際、基質としては、オリゴ糖鎖にシアル酸が結合
したガングリオシド(ganglioside)系列の酸性スフィ
ンゴ糖脂質で、例えばGT1a,GD1a,GD1b,GM1,GM2,GM3
(脂質の化学、389〜391頁、1974年、東京化学同人社発
行)が挙げられる。また、オリゴ糖鎖にシアル酸が結合
していない中性スフィンゴ糖脂質で、オリゴ糖鎖中のグ
ルコースが直接セラミドと結合しているもの、例えばラ
クトシルセラミド(Galβ1→4Glcβ1→1Cer)、ネオ
ラクトテトラオシルセラミド(Galβ1→4GlcNAcβ1→
3Galβ1→4Glcβ1→1Cer)、フコシルペンタグリコシ
ルセラミド[Fucα1→3GalNAcα1→3(Fucα1→
2)Galβ1→4GlcB1→1Cer]等が挙げられる。
(ロ)基質特異性 上記のように、酵素1は、オリゴ糖鎖中のグルコース
が直接セラミドと結合しているスフィンゴ糖脂質の、グ
ルコースとセラミドとの結合を特異的に切断してオリゴ
糖を生成する。即ち、所謂エンドグルコシルセラミダー
ゼ(endoglucosyl ceramidase)活性を有するが、単糖
は生成しない。換言すれば、エキソグリコシダーゼ活性
は有しない。
また、グルコースのような単糖とセラミドとが結合し
たセレブロシド(cerebroside)は分解しない。
(ハ)至適pH5〜5.5 (ニ)安定pH5〜9 (ホ)作用最適温は37℃であり、30〜40℃の範囲で適用
可能である。
(ヘ)分子量 SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
による分子量は55,900である。
(ト)安定性 37℃で一夜間安定であり、また、凍結乾
燥品は−25℃で少なくとも数ヶ月間安定である。
(チ)阻害 酵素活性は銅イオン及び水銀イオンにより
阻害されるが、カルシウムイオン、マグネシウムイオ
ン、バリウムイオン、亜鉛イオン及びエチレンジアミン
四酢酸(EDTA)による影響はない。
(リ)活性化 酵素の基質に対する活性は界面活性剤の
添加により顕著に増大する。即ち、反応の際に、前記TD
Cを0.5mg/ml添加すると、無添加の場合に比して反応は
2.5培に増大する。
[酵素2の理化学的性質] (イ)作 用 スフィンゴ糖脂質に作用し、糖鎖とセラミドの結合を
切断してオリゴ糖とセラミドを生成する。
この際、基質としては、ネオガラトリアオシルセラミ
ド(Galβ1→6Galβ1→6Galβ1→1Cer)、ガラピオ
シルセラミド(Galα1→4Galβ1→1Cer)等の、オリ
ゴ糖鎖中のガラクトースが直接セラミドと結合している
スフィンゴ糖脂質が挙げられる。
(ロ)基質特異性 上記のように、酵素2は、オリゴ糖鎖中のグルコース
が直接セラミドと結合しているスフィンゴ糖脂質の、グ
ルコースとセラミドとの結合を特異的に切断してオリゴ
糖を生成する。即ち所謂エンドガラクトルシルセラミダ
ーゼ(endogalactosylceramidase)活性を有するが、単
糖は生成しない。換言すれば、エキソガラクトシダーゼ
活性は有しない。
また、ガラクトースのような単糖とセラミドとが結合
したセレブロシド(cerebrosibe)は分解しない。
(ハ)至適pH5〜5.5 (ニ)安定pH5〜9 (ホ)作用最適温は37℃であり、30〜40℃の範囲で適用
可能である。
(ヘ)分子量 SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
による分子量は53,700である。
(ト)安定性37℃で一夜間安定であり、また、凍結乾燥
品は−25℃で少なくとも数ヶ月間安定である。
(チ)阻害 酵素活性は銅イオン及び水銀イオンにより
阻害されるが、カルシウムイオン、マグネシウムイオ
ン、バリウムイオン、亜鉛イオン及びエチレンジアミン
四酢酸(EDTA)による影響はない。
上記酵素1又は酵素2を利用して以下の事項を解明す
ることができる。
(1)スフィンゴ糖脂質における糖鎖の役割を知ること
ができる。
(2)本酵素で切り出したオリゴ糖は、簡単な方法によ
って[3H]−標識又は2−アミノピリジリンその他の蛍
光物質による標識をすることができ、このため、従来の
数百培の感度で糖鎖の構造決定ができる。
(3)本酵素は、スフィンゴ糖脂質に対して前述のよう
に特異的に作用し、糖蛋白質に対しては作用しないの
で、微量の試料についても、糖蛋白質であるか、糖脂質
であるかの識別を容易に行なうことができる。
以上の事項から、本酵素を使用して例えば細胞表層の
ウイルス・レセプター、細胞毒素(例えばコレラトキシ
ン)のレセプター、特異的ガン抗源、発生・分化に伴う
特異抗源等の構造決定及び糖鎖の役割等を調べることが
可能となり、その結果、それ等に対する診断薬、治療薬
等の開発が期待される。
(実施例) 以下に本発明を実施例について更に具体的に説明する
が、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限
定されるものではない。
実施例 (1)ロドコッカス エスピ−M−750の調製 ロドコッカス エスピ−G−74(Rhodococcus sp.G−
74)(微工研菌寄第8424号)を、マイコロジカルペプト
ン(オキソイド社製)1%、イーストエキス0.1%、塩
化ナトリウム0.2%を含む2000mlの液体培地(pH7.0〜7.
2)を用いて、30℃で24時間培養し、遠心分離(7500rpm
×15min.)して無菌的に集菌した。
この菌株を滅菌処理した食塩水に懸濁させて、620nm
における吸光度が0.4〜0.5になるように菌数を調整した
後、30cmの距離に水銀ランプ(GL−15)から紫外線を2
分間照射し、次いで馬血液寒天平板にまいて、30℃にお
いて4〜5日間培養し、コロニーの周囲に透明環を作ら
ないものを変異株として選択した。
こるして得られた変異株を、再び前記の液体培地にお
いて30℃で24時間培養し、遠心分離して集菌し、この菌
株を0.15M食塩及び0.5mg/mlのニトログアニジンを含有
する0.1Mの酢酸緩衝液(pH6)中に懸濁して室温で1時
間変異処理を行ない、次いで集菌し、滅菌生理食塩水で
洗浄した後、馬血液寒天平板にまいて、30℃において4
〜5日間培養し、周囲に透明環を作らないコロニーを採
取(野性株G−74はヘモリシンを産生するためコロニの
周囲に透明環を作る)し、これらを誘導剤(糖脂質)を
含まない培地で培養して、その培養上清の酵素活性を前
記の方法によって測定した。約1000株をスクリーニング
したところ、そのうちの1株(M−750)が誘導剤を含
まない培地においても酵素を産生した。M−750は馬血
液培地において透明環を作らないことからも分かるよう
に、ヘモリシン(溶血因子)を産生せず、G−74に比較
して酵素の精製が容易であった。
(1)酵素の調製 上記に得たM−750をマイコロジカルペプトン1〜2
%、イーストエキス0.1%、塩化ナトリウム0.2%を含む
2000mlの液体培地(pH7.0〜7.2)を用いて、30℃で3日
間通気撹拌培養し、遠心分離(7500rpm×15min.)し、
上清を採取した。
得られた上清液1800mlに80%濃度となるように硫安を
加え、1夜間放置後、遠心分離(8500r.p.mで45分間)
して生成した沈澱物を採取し、0.5%“トリトンX−10
0"(非イオン界面活性剤)を含む50mM酢酸緩衝液(pH
6)に溶解した。この溶液を、0.1%トリメンX−100と
0.2M NaClを含む50mM酢酸緩衝液(pH6)で平衝化した
“セファデックスG−100"のカラム(5×85cm)を用い
てゲル濾過し、溶出液の酵素活性を前記の方法で測定し
た。活性画分を集めて限外濾過(“アミコンXM50"膜使
用)により濃縮した。濃縮液を50mMの酢酸緩衝液(pH6.
0、0.1%“トリトンX−100"を含む)を用いて平衝化し
たDEAE−セファロースFFのカラム(2.2×24cm)にかけ
た。カラムをその3培容量の同一の緩衝液で洗浄し、次
いで塩化ナトリウムの0−0.3M直線濃度勾配液で溶出
し、溶出液を3.4ml宛順次採取し、100〜140の画分から
本発明の酵素1を得た。また、180〜200の画分から本発
明の酵素2を得た。こうして得られた酵素1及び酵素2
は夫々219m単位/mg及び15.5m単位/mgであった。上記で
使用した培地にガングリオシド0.1%を添加した場合の
酵素産生力は約10培に達した。なお、酵素1をハイドロ
キシルアパタイトカラムクロマトグラフィー、クロマト
フォーカシング及びTSKG3000SWカラムによる高速液体ク
ロマトグラフィーによって精製処理した結果23単位/mg
まで精製された。また、酵素2をハイドロキシルアパタ
イトカラムクロマトグラフィーにより精製処理した結果
33.3m単位/mgまで精製された。
参考のため、ロドコッカス エスピ−M−750の代り
に、ロドコッカス エスピ−G−74を使用し、かつガン
グリオシドを含有する上記液体培地を使用し、同様の処
理を行なって得られた酵素1及び酵素2は夫々48m単位/
mg及び8.6m単位/mgであった。また、ガングリオシドを
含有しない上記液体培地を使用し、同様の処理を行なっ
た場合、酵素1及び酵素2の存在は認められなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:01)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】糖脂質の非存在において、エンド型糖脂質
    分解酵素の産生能を有するロドコッカス エスピ−M−
    750(Rhodococcus sp.M−750)。
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