JP2984043B2 - ミオ・イノシトールデヒドロゲナーゼおよびその製造法 - Google Patents
ミオ・イノシトールデヒドロゲナーゼおよびその製造法Info
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Description
ロゲナーゼおよびその製造法に関する。さらに詳しく
は、臨床生化学検査、食品検査などにおけるミオ・イノ
シトールの測定に利用されるミオ・イノシトールデヒド
ロゲナーゼおよびその製造法に関する。
1つで、極めて安定した環状アルコールである。人の場
合、ミオ・イノシトールは食事により1日約1g、腎臓に
おける生合成により約2gが供給され、細胞への取り込み
と腎臓における排泄・再吸収および酸化により血しょう
レベルがほぼ一定になるように調節されている。そのた
め腎機能障害において血しょうミオ・イノシトールレベ
ルの著名な増加が見られる〔臨床科学24巻、11号、1448
−1455頁、嘉門信雄〕。このようにミオ・イノシトール
を測定することによって腎機能のモニタリングができ
る。
ー、高速液体クロマトグラフイー等で測定されており、
臨床生化学ではミオ・イノシトールデヒドロゲナーゼを
用いてミオ・イノシトールを測定する例は知られていな
かった。
くともミオ・イノシトールおよびNAD+からミオ・イノソ
ースおよびNADH+H+を生成する反応を触媒する酵素生産
菌として知られているAerobacter aerogenes〔Methods
in Enzymology 36、326(1962)〔V〕〕の生産す
る酵素は至適pHが9.0、ミオ・イノシトールに対するKm
値は1.25×10-3Mであり、NAD+に対するKm値は3.3×10-4
Mであると記載されている。(酵素ハンドブック、朝倉
書店発行、p.6)。また、公知の本酵素生産菌として知
られている、Kleb siella pneumoniae、Serratia ma
rcescens(酵素ハンドブック、p.6)の2種は標準微生
物学第2版(医学書院、p.209−212)によると肺炎ある
いは日和見感染起因菌として化学療法剤、抗生物質に抵
抗性を有する難治性感染菌として知られており、工業的
規模で培養することは避けなければならず、現状ではこ
れら生産菌による当該酵素の性状についての報告はな
い。更に、従来公知のCryptococcus melibiosum〔Bioc
hem.Biophys.Acta,293,295−303(1973)〕の生産する
酵素のミオ・イノシトールに対するKm値は5.1×10-3Mで
あり、NAD+に対するKm値は6.9×10-5Mであると記載され
ている。(酵素ハンドブック、p.6)。その他、本酵素
は動物の器官として牛の脳〔Biochem.Biophys.Res.Comm
un.,68:1133−1138(1976)〕に存在することが知られ
ているが、酵素を分離するために常に新鮮な脳を入手す
ることは非常に困難なことである上に経済的でなく、ま
た分子量は74,000であると記載されている。
ebsiella、Serratia)が感染菌であったり、、Cryptoco
ccus melibiosum由来の酵素のようにミオ・イノシトー
ルおよびNAD+に対するKm値が高いために十分な反応速度
が得られなかったり、牛の脳のように新鮮な原料を常に
多量に入手することが困難であった。
る目的で、危険性のない、培養活性の高い、基質である
ミオ・イノシトールとNAD+に対するKm値のできるだけ低
い、安定で精製の簡単な酵素を生産する菌株を広く自然
界よりスクリーニングしたところ、静岡県賀茂郡東伊豆
町熱川の温泉近くの土壌より分離したBacillus・sp No.
3菌株が目的とする良好な性質を有する新規なミオ・イ
ノシトールデヒドロゲナーゼを産生することを見出し、
本発明を完成した。
シトールとNAD+に対するKm値がそれぞれ0.64mM、0.004m
Mと非常に低い、反応性の高い性質を有し、かつほぼ60
℃の緩衝液中で約15分間処理した後の活性が、処理前の
活性の95%以上の値を保持している優れた熱安定性を有
している新規なミオ・イノシトールデヒドロゲナーゼを
提供するものである。また、本発明は、バチルス属に属
するミオ・イノシトールデヒドロゲナーゼ生産菌を培地
に培養し、得られた培養物からミオ・イノシトールデヒ
ドロゲナーゼを採取することを特徴とするミオ・イノシ
トールデヒドロゲナーゼの製造法を提供するものであ
る。
ス属に属するが、例えば本発明者らが分離したNo.3菌株
は、本発明に最も有効に使用される菌株の一例であっ
て、本菌株の菌学的性質を示すと次の通りである。
同定の手引き(第2版)、Microbiological Methods
(3巻)に準じて行い、実験結果をBergey's Manual
of Systematic Bacteriology Vol.1(1984)、2(1
986)などと対比して同定を行った。
さは0.5〜0.7×1.5〜3.5μmで周毛で運動する。端また
は亜端に0.8×1.0〜2.0μmの楕円〜卵形の芽胞を形成
し、芽胞によって菌体は膨張する。多形性なし。
た所見は次の通りである。
かで縁は丸い。黄土色〜淡黄土色を呈するが、可溶性色
素は産生しない。
溶性色素は産生しない。
性、−;陰性、NT;未実験〕 グラム染色 + KOH反応 − カプセル形成 − 抗酸性染色 − OFテスト (Hugh−Leifson) NT OFテスト (N源にNH4H2PO4) F 好気での生育 + 嫌気での生育 + 生育温度 70℃ − 60℃ + 37℃ + 30℃ − 食塩耐性 0% + 3% + 5% − 生育pH 5.6 − 6.2 + 9.0 + ゼラチンの分解 − 澱粉の分解 (+) カゼインの分解 − エスクリンの分解 + チロシンの分解 − アルギニンの分解 − セルロースの分解 − カタラーゼ産生 + オキシダーゼ産生 + レシチナーゼ産生 − ウレアーゼ産生(SSR) − ウレアーゼ産生(Chris) − インドール産生 − 硫化水素産生(酢酸鉛紙で検出) − アセトイン産生(K2HPO4) − アセトイン産生(NaCl) − MRテスト − 硝酸塩還元テスト(ガス産生) − (NO2 -の検出) − (NO3 -の検出) + シモンズ培地での利用性 クエン酸塩 − リンゴ酸塩 − マレイン酸塩 − マロン酸塩 − プロピオン酸塩 − グルコン酸塩 − コハク酸塩 − クリステンゼン培地での利用性 クエン酸塩 + リンゴ酸塩 − マレイン酸塩 − マロン酸塩 − プロピオン酸塩 + グルコン酸塩 − コハク酸塩 + グルコースよりガスの産生 − 各種糖類より酸の産生 アドニトール − L(+)アラビノース − セロビオース + ヅルシトール − メソ・エリスリトール − フラクトース + フコース + ガラクトース + グルコース + グリセリン + イノシトール + イヌリン + ラクトース + マルトース + マンニトール + マンノース + メレジトース − メリビオース + ラフィノース − ラムノース + D−リボース + サリシン + L−ソルボース − ソルビトール − 澱粉 + サッカロース + トレハロース + キシロース − 以上の通り、本菌株の主性状は、グラム陽性の桿状細
菌で、大きさは0.5〜0.7×1.5〜3.5μm、周毛で運動、
芽胞形成、多形成なし、グルコースを醗酵的に分解し、
酸を産生する。カタラーゼ・オキシダーゼ産生。高温性
の通性嫌気性であり、これらのグラム陽性桿菌で芽胞を
形成し、好気で生育する特徴から、バチルス属に属する
と判断された。
を同定した。即ち、Bergey's Manual of Systematic
Bacteriology,Vol.2によれば、高温(50℃)で生育す
る菌種はバチルス アシドカルダリウス(B.acidocalda
rius)、バチルス サブチリス(B.subtilis)、バチル
ス バジウス(B.badius)、バチルス ブレビス(B.br
evis)、バチルス コアグランス(B.coagulans)、バ
チルス リケニフォルミス(B.licheniformis)、バチ
ルス パントセンチカス(B.pantothenticus)、バチル
ス シェゲリ(B.schegelli)、バチルス ステアロサ
ーモフィルス(B.stearothermophilus)の9菌種が記載
されている。その内で、嫌気下で生育する菌種はバチル
スB.coagulannsとB.lichenformisの2菌種のみである。
即ち、B.coagulanns(以下、「C」と略記することがあ
る)およびB.licheniformis(以下、「L」と略記する
ことがある)と本菌とを対比した結果は、次の通りであ
る。
「(+)」は弱陽性、「−」は陰性、「d」は菌株によ
って異なる、NDはデータなしであることを示す。
cillus coagulansに近いと考えられるが、アセトイン
産生能、DNAのGCモル%、また上記対比表には載せてい
ないが、リトモスミルク培地での反応も違っている。
ス・エスピーNo.3(Bacillus sp.No.3)と命名し、通
商産業省工業技術院微生物工業技術研究所に受託番号微
工研条寄第3013号(FERM BP−3013)として寄託した。
ノシトールデヒドロゲナーゼ生産菌が適当な培地に培養
される。
ては、前述のバチルス・エスピーNo.3が挙げられるが、
細菌の一般的性状として菌学上の性質は変異し得るもの
であるから、自然的にあるいは通常行われる紫外線照
射、放射線照射または変異誘導剤、例えばN−メチル−
N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、エチルメタン
スルホネートなどを用いる人工的変異手段により変異し
得る人工変異株は勿論、自然変異株も含め、バチルス属
に属し、ミオ・イノシトールデヒドロゲナーゼを生産す
る能力を有する菌株は、すべて本発明に使用することが
できる。
よって行うことができるが、本菌株の培養にあたって
は、ミオ・イノシトールデヒドロゲナーゼがミオ・イノ
シトールによって誘導的に生成される誘導酵素であるこ
とから、例えばミオ・イノシトールを0.5〜5%含む培
地で培養することがミオ・イノシトールデヒドロゲナー
ゼの生産性を100〜300倍程度良好とするので好ましい。
微生物が同化し得る炭素源、消化し得る窒素源、さらに
は必要に応じ、無機塩などを含有させた栄養培地が使用
される。
ス、サッカロースなどが単独または組み合わせて用いら
れる。消化し得る窒素源としては、例えばペプトン、肉
エキス、酵母エキスなどが単独または組み合わせて用い
られる。その他必要に応じてリン酸塩、マグネシウム
塩、カルシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、その
他、鉄、マンガンなどの種々の重金属塩などが使用され
る。上記以外に公知の同化し得る炭素源、消化し得る窒
素源が使用できることはいうまでもない。
気的条件下で行うのがよく、工業的には深部通気撹拌培
養が好ましい。培養温度はミオ・イノシトールデヒドロ
ゲナーゼ生産菌が発育し、本酵素を生産する範囲内で適
宜変更し得るが、通常は40〜60℃、特に50℃付近が好ま
しい。培養時間は培養条件によって異なるが、本酵素が
最高力価に達する時期を見計らって適当な時期に培養す
ればよいが、通常は1〜2日間程度である。
度、通気性などの培養条件は使用する菌株の種類や外部
の条件などに応じて好ましい結果が得られるように適宜
調節、選択されることは言うまでもない。液体培養にお
いて発泡があるときは、シリコン油、植物油などの消泡
剤が適宜使用される。
ゲナーゼは、主として菌体内に含有されるので、得られ
た培養物から濾過または遠心分離等の手段により集菌
し、この菌体を超音波処理、フレンチプレス処理、ガラ
スビーズ処理、凍結破砕処理等の機械的破壊手段やリゾ
チーム等の酵素的破壊手段等の種々の菌体処理手段を適
宜組み合わせて、粗製のミオ・イノシトールデヒドロゲ
ナーゼ含有液が得られる。
ーゼ含有液から公知の蛋白質、酵素等の単離、精製手段
を用いることによりさらに精製されたミオ・イノシトー
ルデヒドロゲナーゼを得ることができる。例えば粗製の
ミオ・イノシトールデヒドロゲナーゼ含有液に、硫安、
硫酸ナトリウム等を添加する塩折沈澱法により本酵素を
回収すればよい。さらにこの沈澱物は、分子篩、各種の
樹脂を用いたクロマトグラフイー法、電気泳動法あるい
は超遠心分析法を適宜組み合わせ用いて、必要に応じて
精製すればよく、その精製手段としては、目的とするミ
オ・イノシトールデヒドロゲナーゼの性質を利用した手
段を用いればよく、例えば上記の沈澱物を水または緩衝
液に溶解した後、必要に応じて半透膜にて透析し、さら
にDEAE−セルロース、DEAE−セファセル、DEAE−セファ
ロース、DEAE−セファデックス、Q−セファロース(フ
ァルマシア製)、DEAE−トヨパール(東洋曹達社製)ハ
イドロキシルアパタイト等のイオン交換樹脂や、オクチ
ルセファロース、フェニル−セファロース(ファルマシ
ア社製)等の疎水クロマト樹脂や、その他のアフィニテ
ィークロマト樹脂が使用される。また、セファデックス
G−100、セファアクリルS−200等のゲル濾過剤による
分子篩クロマトや、さらに必要に応じて透析膜を用いて
脱塩すればよい。その後、必要に応じて糖類、例えばマ
ンニトール、サッカロース、ソルビトール等、アミノ
酸、例えばグルタミン酸、グリシン等、ペプタイドまた
は蛋白質として牛血清アルブミン等の安定剤の0.05〜10
%程度を添加し、凍結乾燥等の処理により精製されたミ
オ・イノシトールデヒドロゲナーゼの粉体を得ることが
できる。
ゲナーゼの性状は以下の通りである。
およびNAD+よりミオ・イノソースおよびNADHを生成する
反応を触媒する。
値、溶出液;0.2M NaCl含有0.1Mリン酸緩衝液(pH7.
0)、標準品はオリエンタル酵母社製の次の分子量マー
カーを使用。
り4℃、700Vの定電圧で40時間通電した後、分画し、各
画分の酵素活性を測定した。
ブミン(シグマ社製) を含む反応液中でミオ・イノシトールの濃度を変化させ
て、ミオ・イノシトールに対するKm値を測定した結果
は、0.64mMの値を示した。
ノシトールを添加し、NAD+の濃度を変化させてNAD+に対
するKm値を測定した結果は、0.004mMの値を示した。
ス塩酸緩衝液(pH8.5)に代えて100mMのリン酸緩衝液
(pH6.5〜8.0、−○−)、トリス塩酸緩衝液(pH8.0〜
9.0、−□−)およびグリシン−水酸化ナトリウム緩衝
液(pH9.0〜10.0、−■−)の各緩衝液を用いて測定し
た活性の相対値の結果は第4図に示す通りであって、pH
9.5付近で最大の活性を示す。
−▲−)、リン酸緩衝液(pH6.0〜8.0、−○−)、トリ
ス塩酸緩衝液(pH8.0〜9.5、−□−)およびグリシン−
水酸化ナトリウム緩衝液(pH9.0〜10.0、−■−)の各
緩衝液で調製し、50℃で15分間加熱処理した後、その残
存活性を後記の酵素活性測定法に従って測定した結果
は、第3図に示す通りであって、pH6.5〜9.0の範囲で80
%以上の活性を保持している。
製し、15分間加熱処理後、その残存活性を後記の酵素活
性測定法に従って測定した結果は、第1図に示される通
りであって、60℃までは残存活性として95%以上を有す
る安定なものであつた。
活性測定法に従い、35、40、45、50、55、60および65℃
の各温度で10分間反応後、0.1N塩酸mで反応を停止
し、波長550nmで吸光度を測定した相対値の結果は、第
2図に示す通りであって、60℃付近で最大の活性を有し
ている。
ンキュベートした後に、適当に希釈した酵素液0.02m
を添加して撹拌し、反応を開始する。正確に10分間反応
の後に、0.1N塩酸2.0mを添加して撹拌し、反応を停止
して、A550nmを測定して吸光度A1を求める。上記反応液
よりミオ・イノシトールを除いた反応液を用いて同様の
測定を行い、その吸光度Aoを求める。
由来の新規な性状を有するミオ・イノシトールデヒドロ
ゲナーゼは60℃で残存活性として95%以上有する熱安定
性に優れている新規な酵素であり、かつ、基質のミオ・
イノシトールおよび補酵素のNAD+に対するKm値が非常に
低いために優れた反応性を有していることから、本酵素
を利用した極めて優れたミオ・イノシトール測定用試薬
を提供できる。また本発明の酵素は分離、精製中におけ
る失活も少なく、精製も容易であるので、ミオ・イノシ
トールデヒドロゲナーゼの製法として有利な製造法を提
供できる。
これにより本発明を限定するものではない。
薬社製)2%、リン酸2カリウム(和光純薬社製)0.2
%、塩化カルシウム(和光純薬社製)0.02%、硫酸マグ
ネシウム(和光純薬社製)0.05%、ミオ・イノシトール
(和光純薬社製)2%、pH7.3を含む液体培地100mを5
00m容三角フラスコに分注し、120℃で20分間加熱滅菌
した後、これにバチルス・エスピーNo.3の1白金耳を接
種し、50℃で120r.p.m.の振とう培養器で30時間培養し
て種母85ml(酵素活性1.2u/m)を得た。
フォーム442(日本油脂)を0.1%添加した液体培地20L
を30L容ジャーファメンターに仕込み、加熱滅菌した後
に上記の種母85mを移植し、培養温度50℃、通気量20L
/分、内圧0.4kg/cm2、撹拌速度150r.p.m.で24時間通気
培養し、培養物18.0L(酵素活性0.8u/m)を得た。
1%リゾチーム(エーザイ社製)を含む20mMリン酸緩衝
液(pH7.5)5Lを加え、37℃で1時間インキュベイトし
た後、遠心分離して沈澱物を除去し、上清4.5L(6u/m
)を得た。この上清にアセトンを1.8L添加撹拌し、生
じた沈澱物を遠心分離して集め、これを20mMリン酸緩衝
液で溶解し1Lの粗酵素液(24.2u/m)を得た。この溶
液に固形硫安を200g溶解し、生じた沈澱物を遠心分離し
て除去し、得られた上清に再び固形硫安を250g溶解し
た。この処理液を遠心分離して得られた沈澱物を20mMリ
ン酸緩衝液(pH7.5)で溶解し、500mの酵素液(36.3u
/m)を得た。この酵素液を透析膜(三光純薬社製)を
用いて20Lの20mMリン酸緩衝液(pH7.5)に対して一晩透
析し、得られた酵素液を20mMリン酸緩衝液(pH7.5)で
緩衝化したDEAE−セファロースCL−6B(ファルマシア)
250mのカラムに通し、0.1M KClを含む20mMリン酸緩
衝液(pH7.5)1Lを流した後、次いで0.3M KClを含む20
mMリン酸緩衝液(pH7.5)で溶出し、酵素液350m(35.
2u/m)を得た。得られた酵素液を10mMリン酸緩衝液
(H7.0)20Lに対して一晩透析した。こうして得られた
酵素液に牛血清アルブミン(シグマ社製)を0.2g溶解し
た後に凍結乾燥して、凍結乾燥標品1.1g(10.6u/mg)を
得た。
ーゼの製造および性質の比較: Klebsiella pneumoniae IFO12019、Aerobacter aer
ogenes IFO12979およびSerratia marcescens ATCC1388
0の培養:ペプトン(極東製薬社製);5g/、肉エキス
(Difco.);5g/、塩化ナトリウム(和光純薬社製);5
g/、ミオ・イノシトール(和光純薬社製);10g/;pH
7.0を含む液体培地100mを500m容三角フラスコに分
注し、120℃、20分間加熱滅菌した後に、上記3株をそ
れぞれ1白金耳接種し、37℃、100r.p.m.の振とう培養
器で48時間培養した後に、遠心分離で集菌し、20mMリン
酸カリウム緩衝液pH7.0に懸濁し超音波破砕器(久保田
製作所製)を用いて180W、10分間ソニケィションした後
に15000r.p.m.、15分間遠心分離して上清を得た。それ
ぞれの上清の活性を前記(10)ミオ・イノシトールデヒ
ドロゲナーゼ活性測定法で測定した。
℃、45℃、50℃、55℃、60℃で15分間加熱処理後、その
残存活性を活性測定法にしたがって測定した結果を第5
図に示す。
m.Biophys.Acta,293,295−303(1973)記載の培養条件
で培養した。ミオ・イノシトール(和光純薬社製);0.5
%、Bacto−peptone(Difco.);1%、Bacto−yeast ex
tract(Difco.);0.5%、pH6.2を含む液体培地100mを
500m容三角フラスコに分注し、120℃、20分間加熱滅
菌した後に上記菌株を1白金耳接種し、25℃、100r.p.
m.の振とう培養器で48時間培養した後に遠心分離で集菌
し、20mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁し、超音波破砕
器(久保田製作所社製)を用いて180W、10分間ソニケィ
ションの後に15000r.p.m.、15分間遠心分離して上清(1
0m、21u/m)を得た。
rch Communications,68,No.4,1133−1138(1976)記載
の方法で牛の脳100gよりホモジネイト、DEAE−cellulos
e、Sephadex G−100カラムクロマトグラフイーを用い
て精製酵素液(50m)を得た。しかし、文献中にも記
載されているように牛の脳の酵素はミオ・イノソースと
NADHよりミオ・イノシトールとNAD+を生成する方向に活
性が大きく傾いており、事実本精製酵素でもミオ・イノ
ソースからミオ・イノシトールの逆方向への活性は0.04
5u/m認められたが、正方向の活性はほとんど認められ
なかった。
D+を生成する活性の活性測定法 反応液組成 100mM トリス塩酸緩衝液(pH8.5) 10mM ミオ・イノソース(シグマ社製) 0.3mM NADH 活性測定法 上記反応液1mを石英セルに分注し、37℃で2分間イ
ンキュベイトした後に酵素液(前記参考例2および3)
0.05mお添加し、NADHのA340nmにおける減少を測定す
る。
45℃、50℃で15分間加熱処理後、その残存活性を参考例
におけるCryptococcus由来の酵素については(10)の活
性測定法に従って測定し、牛の脳由来の酵素については
前述の活性測定法に従って測定した結果は第5図に示し
た。
6),p7690,1979の文献に記載されているように公知のバ
チルス サブチリス(Bacillus subtilis)由来のイノ
シトールデヒドロゲナーゼの41℃における熱安定性の実
験結果は、第6図に示される通りである。第6図におい
て、 をそれぞれ示す。この実験結果から明らかなように41℃
において、バチルス サブチリス由来の酵素はリン酸緩
衝液およびトリス−塩酸緩衝液において不安定であるこ
とが認められる。同様の実験を60℃まで熱安定性に優れ
た本発明の酵素を用いて行ったところ、前記いずれの条
件においても100%の活性を保持し、文献酵素と比べて
非常に安定な酵素、すなわち耐熱性酵素であることが認
められた。
の熱安定性を示す曲線、第2図はその至適温度を示す曲
線、第3図はそのpH安定性を示す曲線、第4図はその至
適pHを示す曲線、第5図は本発明のミオ・イノシトール
デヒドロゲナーゼの熱安定性を示す曲線であり、第6図
は公知のバチルス サブチリス由来のイノシトールデヒ
ドロゲナーゼの41℃における熱安定性を示す曲線であ
る。
Claims (4)
- 【請求項1】基質特異性として少なくともミオ・イノシ
トールに基質特異性を有し、酵素作用として下記式 ミオ・イノシトール+NAD+ミオ・イノソース+NADH+
H+ に示すように少なくともミオ・イノシトールおよびNAD+
からミオ・イノソースおよびNADH+H+を生成する反応を
触媒するミオ・イノシトールデヒドロゲナーゼにおい
て、 60℃における残存活性が95%以上であること、ミオ・イ
ノシトールに対するKm値が約0.64mMであること、NAD+に
対するKm値が約0.004mMであること、分子量が130,000±
15,000(TSKゲルG3000SWによる濾過法)、及び至適pHが
pH9.5付近であること、 とを有することを特徴とするミオ・イノシトールデヒド
ロゲナーゼ。 - 【請求項2】少なくとも下記の理化学的性状を有する請
求項1記載のミオ・イノシトールデヒドロゲナーゼ。 分子量 :130,000±15,000(TSKゲルG3000SWによる
濾過法) 等電点 :pH4.5±0.5 至適pH :pH9.5付近 pH安定性 :pH6.5〜9.0で80%以上の残存活性を有す
る。 - 【請求項3】請求項1のミオ・イノシトールデヒドロゲ
ナーゼにおいて、バチルス属に属するミオ・イノシトー
ルデヒドロゲナーゼ生産菌を培地に培養し、得られた培
養物からミオ・イノシトールデヒドロゲナーゼを採取す
ることを特徴とするミオ・イノシトールデヒドロゲナー
ゼの製造法。 - 【請求項4】請求項1のミオ・イノシトールデヒドロゲ
ナーゼにおいて、バチルス属に属するミオ・イノシトー
ルデヒドロゲナーゼ生産菌が、バチルス・エスピーNo.3
〔微工研条寄第3013号(FERM BP−3013)〕である請求
項3記載の製造法。
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