JP2660661B2 - 遺伝子の定量方法 - Google Patents

遺伝子の定量方法

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JP2660661B2 JP12299394A JP12299394A JP2660661B2 JP 2660661 B2 JP2660661 B2 JP 2660661B2 JP 12299394 A JP12299394 A JP 12299394A JP 12299394 A JP12299394 A JP 12299394A JP 2660661 B2 JP2660661 B2 JP 2660661B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微量の遺伝子の定量方
法に関する。その主たる利用分野としては、医学、薬理
学、生物学、獣医学などの分野における定量的遺伝子測
定が挙げられる。
【0002】
【従来の技術】ポリメラーゼチェインリアクション(以
下、「PCR」と略記する。)は、検出対象となる遺伝
子(以下、「検出対象遺伝子」と略記することがあ
る。)の中の特定の領域をはさむ2種のプライマーを用
いて、その特定塩基配列の遺伝子断片を指数関数的に増
幅させる反応であり、近年、微量の遺伝子の検出に多用
されている。PCRを用いると、微量の遺伝子を容易に
1万ないし100万倍に増幅することができるが、未知
の反応促進物質や反応抑制物質が存在するために、増幅
効率の再現性に乏しく、その定量的測定は極めて困難で
ある。
【0003】PCRにより増幅された遺伝子(以下、
「増幅遺伝子」と略記する。)を定量的に測定する方法
としては、Wangらが開発した「競合的PCR法」が
挙げられる[プロシーディングズ オブ ザ ナショナ
ル アカデミー オブ サイエンシズ オブ ユーエス
エー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、86巻、9717頁
(1989年)参照]。該方法においては、検出対象遺伝
子、放射性同位元素で標識されたプライマー、および該
プライマーを用いてPCR反応を行うことにより増幅遺
伝子を得ることができるが、検出対象遺伝子を用いてP
CR反応を行った場合とは若干異なる鎖長の増幅遺伝子
を与えるように設計された既知量の人工的遺伝子(以
下、「競合遺伝子」と略記する。)を共存させた状態
で、PCR反応を行う。その後、反応液を電気泳動に供
し、検出対象遺伝子から得られた増幅遺伝子および競合
遺伝子から得られた増幅遺伝子を分離し、それぞれのバ
ンドの放射能を測定する。この様な測定を、競合遺伝子
の添加量を変化させながら行い、両バンドの強度が等し
くなったところで両者の濃度が等しいと仮定して、検出
対象遺伝子の濃度を決定する。
【0004】一方、増幅遺伝子を酵素免疫測定法により
測定することも、近年盛んになってきた[特開平5−1
76800号公報;プロシーディングズ オブ ザ ナ
ショナル アカデミー オブ サイエンシズ オブ ユ
ーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、86巻、24
23頁(1989年);クリニカル ケミストリー(Clin.Che
m. )、37巻、422 頁(1991年);同37巻、1626頁(199
1年);アナリティカル バイオケミストリー(Anal. B
iochem.)、205 巻、1頁(1992年);および同208
巻、110 頁(1993年)等参照]。
【0005】かかる方法は、いずれも増幅遺伝子の定性
分析を行う方法であり、例えば、特開平5−17680
0号公報に記載の方法について説明すると、次のとおり
である。まず、検出対象遺伝子の塩基配列に対応する1
対のプライマーを選択してPCRを行う。該増幅遺伝子
を酵素免疫測定法で測定するために、これらのプライマ
ーはあらかじめリガンドによって標識化しておく。得ら
れたPCR反応液を、プライマーの一方を標識化するた
めに用いたリガンドに対するレセプターを固定化した固
相上に供し、増幅遺伝子を固相上に捕捉する。遊離の標
識プライマーを除去した後、プライマーの他方を標識化
するために用いたリガンドに対するレセプターと検出用
標識体Eとのコンジュゲートを反応させ、Eの活性を測
定する。このように、増幅遺伝子の酵素免疫測定法にお
いては、PCRを行うためのプライマーまたは増幅遺伝
子を検出するためのプローブを、リガンドで標識し、こ
れらの標識を介して酵素免疫測定を行う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、増幅遺
伝子を定量的に測定する方法として比較的信頼性が高い
方法は「競合的PCR法」のみであるが、該方法におい
ては、検出対象遺伝子から得られた増幅遺伝子および競
合遺伝子から得られた増幅遺伝子を、それぞれの鎖長の
違いに応じて分離定量するために、電気泳動および放射
能測定を要する。電気泳動は繁雑な操作と長い測定時間
を要し、多数検体の測定および自動化には適さない。さ
らに、放射能測定は測定と廃棄物処理に特別の施設を要
する。一方、酵素免疫測定法は、多数検体の測定や自動
化には適しているものの、該方法を適用した増幅遺伝子
の測定方法はいずれも定性分析用である。
【0007】しかして、本発明の目的は、操作が簡便で
あり、多数検体の測定や自動化に適し、かつ高精度で定
量的に増幅遺伝子を測定する方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
目的は、リガンドAによって標識されたプライマーP1
およびリガンドBによって標識されたプライマーP2 か
らなるプライマー対を用いて、検出対象遺伝子をPCR
によって増幅させる工程、リガンドAに対するレセプタ
ーRa が固定化された固相に増幅遺伝子を反応させる工
程、検出用標識体Eによって標識されたリガンドBに対
するレセプターRb を該固相に反応させる工程、および
検出用標識体Eの量を測定する工程からなる遺伝子の定
量法において、該PCR反応液中に一定量の内部標準遺
伝子を共存させ、該内部標準遺伝子をリガンドCによっ
て標識されたプライマーP3 およびリガンドBによって
標識されたプライマーP4 からなるプライマー対を用い
て同時にPCRを行い、得られた反応液の一部をリガン
ドAに対するレセプターRa が固定化された固相と、他
の一部をリガンドCに対するレセプターRc が固定化さ
れた固相と、それぞれ反応させ、それぞれの固相に検出
用標識体Eによって標識されたリガンドBに対するレセ
プターRb を反応させ、それぞれの固相上の検出用標識
体Eに対応する信号を測定し、両者の信号比を求めるこ
とを特徴とする遺伝子の定量方法を提供することにより
達成される。
【0009】本発明において用いられるプライマー、固
相およびレセプターを、本明細書中で以下のように略記
することがある。 リガンドAによって標識されたプライマーP1 :A・P
1 リガンドBによって標識されたプライマーP2 :B・P
2 リガンドCによって標識されたプライマーP3 :C・P
3 リガンドBによって標識されたプライマーP4 :B・P
4 リガンドAに対するレセプターRa が固定化された固
相:Ra 固定化固相 リガンドCに対するレセプターRc が固定化された固
相:Rc 固定化固相 検出用標識体Eによって標識されたリガンドBに対する
レセプターRb :Rb・E
【0010】本発明の遺伝子の定量方法の工程を図1に
示した。該工程について、さらに詳しく説明する。 (1)本発明の方法においては、まず内部標準遺伝子が
選択される。検出対象遺伝子を含有するPCR用反応液
に所定量の内部標準遺伝子を共存させ、検出対象遺伝子
に対して特異的なリガンド標識プライマー(A・P1 お
よびB・P2 )、ならびに内部標準遺伝子に対して特異
的なリガンド標識プライマー(C・P3およびB・P4
)を加え、PCRを実施する。その結果、検出対象遺
伝子からはリガンドAおよびBを両末端に有する増幅遺
伝子が、また内部標準遺伝子からはリガンドCおよびB
を両末端に有する増幅遺伝子が、それぞれ生成する。
【0011】(2)得られたPCR反応後の溶液の一部
を、Ra 固定化固相と、また、別の一部をRc 固定化固
相と、それぞれ反応させる。かかる反応により、Ra 固
定化固相上にはRa とリガンドAの結合を介して検出対
象遺伝子から得られた増幅遺伝子が、またRc 固定化固
相上にはRc とリガンドCの結合を介して内部標準遺伝
子から得られた増幅遺伝子が、それぞれ捕捉される。増
幅遺伝子が捕捉された固相は、洗浄して、結合していな
い遊離のプライマーや増幅遺伝子を除去しておく。
【0012】(3)検出対象遺伝子または内部標準遺伝
子から得られた増幅遺伝子が捕捉された固相に、Rb ・
Eを反応させる。これにより、検出対象遺伝子または内
部標準遺伝子から得られた増幅遺伝子の濃度に対応した
検出用標識体Eが結合した固相が得られる。遊離のRb
・Eを除去するためにそれぞれの固相を洗浄する。
【0013】(4)それぞれの固相上における検出用標
識体Eの活性を測定する。Ra 固定化固相およびRc固
定化固相のそれぞれに対して信号強度SおよびSo を得
る。次いで、信号強度比S/So を用いて被検出遺伝子
の濃度を算出する。
【0014】本発明の方法において用いられる内部標準
遺伝子は、検出対象遺伝子と異なるものであれば特に制
限されないが、本発明において測定に供される検体はヒ
トまたは動植物等の生体から抽出された多種類の遺伝子
を含有する場合が多いので、内部標準遺伝子はそれらと
区別されるものでなければならない。そのためには、内
部標準遺伝子としては天然に存在する確率が低い人工的
な遺伝子を用いることが好ましい。内部標準遺伝子は、
通常の遺伝子の合成方法に従って合成することができる
が、市販されている人工的な遺伝子を使用することも可
能である。例えば、Promega社が販売している各
種プラスミドベクター(pGEMシリーズ、pSPシリ
ーズ、pBRシリーズ、pCATシリーズ等)またはラ
ムダベクター(LambdaGEMシリーズ、Lamb
dagtシリーズ等)は純度が高く、安定で、取扱いが
容易であるので好適である。
【0015】内部標準遺伝子はPCR反応のチューブ間
変動を補正するために使用されるものであるから、チュ
ーブ間変動要因の影響を十分に反映できる濃度で使用す
ることが必要である。そのためにはRc 固定化固相の信
号強度So が信号強度測定系の検出可能域の中央付近に
なるように、内部標準遺伝子の使用量を選択することが
好ましい。So が測定系の検出下限あるいは上限の濃度
に近くなると、チューブ間変動要因の影響を十分に反映
できないため好ましくない。
【0016】プライマー対P1 およびP2 、またはP3
およびP4 は、検出対象遺伝子または内部標準遺伝子の
塩基配列の中から該遺伝子に特異的な配列を検索し、そ
の中から選択される。また、プライマー同士の相補鎖生
成を避けるために、両プライマーの3′側が相補性を有
しないこと、プライマー内にパリンドロームを形成しな
いこと等が必要である。さらに、プライマーP3 および
P4 の塩基配列については、人工的な内部標準遺伝子の
配列の中でも特に天然の存在確率が可能な限り低いもの
を選択して用いることが好ましい。プライマーの長さ
は、特に限定されないが、通常は10塩基〜40塩基、
好ましくは15塩基〜30塩基である。
【0017】検出対象遺伝子の塩基配列のうち、1対の
プライマーに挟まれる塩基配列の領域が、PCRにより
増幅される領域となる。このPCR増幅領域の鎖長は、
特に限定されないが、通常は50塩基〜5000塩基、
好ましくは100塩基〜500塩基となるようにプライ
マー対を選択することが好ましい。さらに検出対象遺伝
子と内部標準遺伝子のPCR効率が、PCR条件の予期
せぬ変動に対して並行的に応答するようにするために
は、両者のPCR増幅領域の鎖長が大きく異ならないこ
とが好ましい。すなわち内部標準遺伝子のPCR増幅領
域鎖長が、被検出遺伝子のPCR増幅領域鎖長の1/3
〜3倍、さらには1/2〜2倍であることが好ましい。
【0018】本発明の方法において、プライマーを標識
するために用いられるリガンドとは、該リガンドでプラ
イマーを標識した時にその反応性を阻害しない程度の比
較的低分子量で、かつ特定の蛋白質(抗体、レセプタ
ー、その他の結合性蛋白質)と結合する能力を有する化
合物を意味する。例えば、ビオチン等の特定の蛋白質
(アビジン)と結合し得る化合物;またはジゴキシゲニ
ン、フルオレセインイソチオシアネート(以下、FIT
Cと略記する。)、トリニトロフェノール、ジニトロフ
ェノール等の抗体と結合し得るハプテン等があげられ
る。
【0019】プライマーにリガンド分子を結合させる方
法としては、プライマーの5′末端にアミノ基などの官
能基をまず導入し、該官能基と結合できるように修飾さ
れたリガンド分子を反応させる方法が、一般的に用いら
れる(例えば、斎藤監訳、PCR実験マニュアル、HB
J出版局、1991年発行、89頁を参照)。これとは
別に、プライマーをDNA合成装置で合成する際に、リ
ガンド分子で標識されたヌクレオチド三リン酸を取り込
ませる方法もある。前者の方法では、リガンドが5′末
端のみに導入されるのに対して、後者の方法では、プラ
イマーの鎖の中にいくつかのリガンドが導入される。
【0020】本発明の方法におけるレセプターとは、上
記のリガンドと結合しうる蛋白質を意味する。例えば、
ビオチンに対してはアビジン、ジゴキシゲニンに対して
は抗ジゴキシゲニン抗体、FITCに対しては抗FIT
C抗体がそれぞれのリガンドに対するレセプターであ
る。リガンドとして各種のハプテンを用いる場合、それ
に対する抗体をレセプターとして用いることができる。
本発明の方法においてはRa 、Rb およびRc の3種の
レセプターが用いられる。Ra とRc は固相に固定化し
て用い、Rb は検出標識体Eと結合させて用いる。
【0021】本発明の方法において用いられる固相とし
ては、既知の酵素免疫測定法に用いられると同様のもの
を用いることができる。具体的には、マイクロタイター
プレート、チューブ、ビーズ、マイクロパーティクル、
さらには特開平1−212347号公報に記載されてい
る細径管等が用いられる。固相は、レセプターRa 固定
化固相およびRc 固定化固相の2種が用いられる。該レ
セプターの固相への固定化は通常の方法によって行われ
る。最も一般的にはプラスチック製の固相に物理吸着に
よってレセプターが吸着され、続いてウシ血清アルブミ
ン等によっていわゆるブロッキングが行われる。アミノ
基のような官能基を有する固相に共有結合でレセプター
を固定化することも可能である。
【0022】本発明の方法において用いられる検出用標
識体としては、既知の酵素免疫測定法に用いられると同
様のもの、例えば、ウレアーゼ、アルカリフォスファタ
ーゼ、ペルオキシターゼ等の酵素が用いられる。さらに
酵素の代りにFITC、ローダミンD、エリスロシンイ
ソチオシアネート等の蛍光性分子;アクリジニウムエス
テル類、ルミノール類等の化学発光性分子;ヨード12
5等の放射性同位元素等が用いられる。
【0023】検出用標識体として酵素を用いる場合の該
酵素活性の測定には、通常の酵素免疫測定法に用いられ
ると同様の手段が採用される。すなわち酵素に対する基
質が発色性のものであれば吸光光度計が、蛍光性のもの
であれば蛍光光度計が、また化学発光性のものであれば
発光光度計が、それぞれ用いられる。さらに上記特開平
1−212347号公報に開示された系のように、細径
管内壁上に捕捉されたウレアーゼの活性を該細径管内基
質液のpH変化として検出する場合には、検出器として
pH電極やpH感応性電界効果トランジスターが用いら
れることもある。また、蛍光性分子、化学発光性分子ま
たは放射性同位元素を検出用標識体として用いる場合に
は、固相上に捕捉されたこれらの標識体を直接、蛍光光
度計、発光光度計、または放射能カウンターでそれぞれ
検出する。
【0024】次に本発明の方法におけるPCR反応条件
について述べる。遺伝子増幅用のポリメラーゼとしては
通常耐熱性のTaq DNAポリメラーゼが用いられ
る。
【0025】ポリメラーゼの基質としては、デオキシヌ
クレオシド 5′−トリフォスフェート(dNTP);
すなわちアデニン−5′−三リン酸、グアニン−5′−
三リン酸、シトシン−5′−三リン酸、およびチミン−
5′−三リン酸である。
【0026】標準的なPCR仕込み液の組成は以下の通
りである。 検出対象遺伝子 所定量の内部標準遺伝子 0.5〜500mMのKCl 10〜200mMのTris−MCl緩衝液(pH8.
3) 0.25〜15mMのMgCl2 0.01〜0.5重量%ゼラチン 20〜200μMの各dNTP 0.01〜1μMの各リガンド標識プライマー 1〜3unitのTaq DNAポリメラーゼ
【0027】PCRにおいては、まず92℃〜96℃で
10秒から3分間加熱して、溶液中の遺伝子を1本鎖D
NAに熱変性させる。次いで55℃〜72℃で10秒〜
3分間アニーリングすることによってリガンド標識プラ
イマーを1本鎖DNAにハイブリダイズさせる。さらに
70℃〜73℃で30秒〜3分間加熱してプライマーの
伸長反応を行う。この熱変性、アニーリングおよびプラ
イマーの伸長反応を順次複数回行うことによって、PC
R増幅領域の遺伝子の増幅が行われる。PCRのサイク
ル数は通常10回〜50回、好ましくは20回〜35回
である。以上に述べたPCR条件の中で、特に内部標準
遺伝子の量、リガンド標識プライマーの濃度、およびP
CRのサイクル数については、通常十分な検討によって
決めることが必要である。
【0028】PCRが終了した後の反応液はそのまま酵
素免疫測定に供してもかまわないが、未反応のA・P1
およびC・P3 が残存すると増幅遺伝子が固相と反応す
るのを妨げるので、エタノール沈殿もしくは簡単なカラ
ム分離によって未反応のプライマーを除去した後に酵素
免疫測定に供することが望ましい。
【0029】次に酵素免疫測定の条件について述べる。
まずPCR反応後の溶液をそのまま、あるいは未反応プ
ライマーを分離除去した溶液を二分して、一方をRa 固
定化固相と、他方をRc 固定化固相と反応させる。この
時、溶液を適当な緩衝液に希釈し、さらに該緩衝液にウ
シ血清アルブミン等の動物血清成分を非特異吸着防止の
ために加えておいてもよい。PCR反応後の溶液と固相
との反応は、通常0〜50℃、好ましくは25〜40℃
の範囲で行われる。反応時間は、10分間〜1晩、好ま
しくは10分間〜2時間である。かかる反応後、固相を
洗浄用緩衝液で十分に洗浄する。
【0030】次に該洗浄後の2つの固相をRb ・Eの溶
液と反応させる。この場合にも非特異吸着防止のため
に、動物の血清やさらに必要に応じて界面活性剤を加え
ておいてもよい。反応温度は0〜50℃、好ましくは2
5〜40℃の範囲である。反応時間は、10分間〜1
晩、好ましくは10分間〜2時間の範囲である。反応後
には洗浄用緩衝液を用いて固相を洗浄する。最後に固相
上に捕捉された酵素の活性を測定するために、基質溶液
が加えられ、前述のような検出方法に従って基質の分解
速度、または所定時間内の基質の分解量が測定される。
【0031】本発明の方法で遺伝子を実際に定量するた
めには、まず検量線を作成することが必要である。検量
線を作成するためには、検出対象遺伝子の代わりに、検
出対象遺伝子に対するプライマー対(P1 およびP2 )
によって増幅される既知濃度の「外部標準遺伝子」を用
いて測定を行う。この外部標準遺伝子としては、検出対
象遺伝子をあらかじめ精製し、他の手段で濃度を決定し
たものを用いてもかまわないが、一般的に困難であり、
通常は組み換え技術によって人工的に作成される。外部
標準遺伝子は検出対象遺伝子の代わりに用いられるもの
であるので、上述のように検出対象遺伝子に対するプラ
イマー対によってPCR増幅される塩基配列を有してい
ること、すなわち少なくともプライマーがハイブリダイ
ズする領域の塩基配列は検出対象遺伝子のそれと同一で
なければならない。さらに、P1およびP2 によって増
幅される領域の鎖長が、内部標準遺伝子のPCR増幅領
域の鎖長とほぼ同じであることが望ましい。すなわち、
外部標準遺伝子のPCR増幅領域の鎖長は内部標準遺伝
子のそれの1/3倍〜3倍、さらには1/2倍〜2倍で
あることが好ましい。
【0032】検出対象遺伝子がヒトの各種サイトカイン
あるいは各種成長因子の遺伝子である場合には、外部標
準遺伝子として、前述の「競合的PCR法」において競
合遺伝子として用いられるpAW型のプラスミドを採用
することが可能である。該プラスミドは各種サイトカイ
ンあるいは成長因子の遺伝子のプライマー部分の配列を
リンカー配列でつなぎ合わせたものであり、単離精製
し、濃度を決定することができる。既知量の外部標準遺
伝子と所定量の内部標準遺伝子を用いて、本発明の定量
方法に従ってそれぞれに対する信号強度を測定し、S/
So を求める。いくつかの濃度の外部標準遺伝子に対し
てS/So を測定して、外部標準遺伝子濃度とS/So
との関係を求めることにより検量線が得られる。
【0033】本発明の方法の検出対象遺伝子は直接的に
はDNAである。しかし検出対象となる遺伝子がRNA
の場合でも、本発明の定量方法に従って、該RNAの定
量を行うことが可能である(以下、検出対象となるRN
Aを「検出対象RNA」と略記する。)。すなわち、検
出対象RNAに対して内部標準遺伝子(以下、「内部標
準RNA」と略記する。)を選択し、検出対象RNAお
よび内部標準RNAを逆転写酵素溶液の中に共存させ、
両者を同時に逆転写してそれぞれのcDNAを作成す
る。以下、本発明の定量方法に従い、得られたcDNA
の定量を行う。
【0034】一般的にPCRに使用する試薬は高価であ
り、また検出対象遺伝子を含む検体も貴重な場合が多
い。従ってPCRは可能な限り少量の溶液で実施するこ
とが望まれる。上述の特開平1−212347号公報に
開示された酵素免疫測定装置においては細径管先端内部
を免疫反応場および酵素反応場として用いるため、所要
試料容積が1μl以下で十分であるので、本発明の方法
用の酵素免疫測定装置として好適である。
【0035】
【実施例】以下、実施例によりさらに詳しく本発明を説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0036】実施例1 健常者およびリウマチ患者の抹消血単核球、ならびにリ
ウマチ患者滑膜細胞中のlL−1βのmRNAの定量を
以下のようにして行った。
【0037】1.標識プライマーの調製 ヒトのIL−1βのmRNAに対応する外部標準遺伝子
(RNA)として、前述の「競合的PCR法」において
競合遺伝子として用いられているpAW109RNA
[Gene Amp社製;プロシーディングズ オブ ザ ナシ
ョナル アカデミー オブ サイエンシズ オブ ユー
エスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、86巻、9717
頁(1989年)参照]を選択した。該外部標準RNAおよ
びヒトのIL−1βのmRNAのそれぞれを逆転写して
得られるcDNAに対するプライマーとしては次の一対
を選択した。 センスプライマーP1 :5′AAACAGATGAAG
TGCTCCTTCCAGG 3′ アンチセンスプライマーP2 :5′TGGAGAACA
CCACTTGTTGCTCCA 3′ プライマー対P1 およびP2 によるPCRで増幅される
鎖長は、IL−1βcDNAで388塩基、pAW10
9 cDNAで306塩基である。
【0038】内部標準RNAとしては、T7プロモータ
ー領域を有する人工的発現ベクターであるpRSET
A DNA[Invitrogen Corp 社製;ジーン(Gen
e)、124 巻、83頁(1993年)参照]を転写して得られ
たRNAを用いた。該内部標準RNAを逆転写して得ら
れるcDNAに対するプライマーとしては次の一対を選
択した。 センスプライマーP3 :5′ACCACAACGGTT
TCCCTCTA 3′ アンチセンスプライマーP4 :5′GATCAAGCT
TCGAATTCCAT 3′ プライマー対P3 およびP4 によるPCRで増幅される
pRSET A cDNAの鎖長は210塩基である。
【0039】これらのプライマーの合成は自動合成装置
(380B型;Applied BiosystemsInc. 社製)で行っ
た。
【0040】次いで、合成されたプライマーP1 をジゴ
キシゲニンで、プライマーP2 およびプライマーP4 を
ビオチンで、プライマーP3 をFITCで、それぞれ次
のようにして標識した。まず各プライマーの5′末端に
アミノ基を導入した。該反応は、上記のDNA自動合成
装置でアミノリンク−2(Applied Biosystems Inc.社
製)を結合させることによって行った。次いで、アミノ
化されたプライマーP1 をジゴキシゲニン−3−o−メ
チルカルボニル−ε−アミノカプロン酸 N−ヒドロキ
シサクシンイミドエステル(Digoxigenin-3-o-methylca
rbonyl- ε-aminocaproic acid-N-hydroxysuccinimide
ester ;Boehringer Mannheim Biochemica社製)と、ア
ミノ化されたプライマーP2 およびP4 をビオチンラベ
リングキット(Biotin Labeling Kit ;Clontech社製)
と、また、アミノ化されたプライマーP3 を5(6)−
カルボキシフルオレセイン N−ヒドロキシサクシンイ
ミドエステル(5(6)-carboxyfluorescein-N-hydroxysuc
cinimide ester;Boehringer Mannheim Biochemica社
製)とそれぞれ反応させることにより、ジゴキシゲニン
で標識されたプライマーP1 、ビオチンで標識されたプ
ライマーP2 およびプライマーP4 、ならびにFITC
で標識されたプライマーP3 をそれぞれ得た。各標識プ
ライマーは液体クロマトグラフィーで精製した。
【0041】2.ピペットチップ型固相の作成 固相として用いたピペットチップを図2に示した。該ピ
ペットチップはポリプロピレンの成形品で、全長48m
mである。その最先端部の内外径はそれぞれ0.55m
mおよび1.00mmである(図4)。抗ジゴキシゲニ
ン抗体または抗FITC抗体は図4の破線11で示され
る先端内壁部に固定化された。すなわち50μg/ml
の抗ジゴキシゲニン抗体のFab部分(Boehringer Man
nheim Biochemica社製)、または100μg/mlの抗
FITC抗体(DAKO社製)を含有するPBS(pH7.
4)1μlをチップ先端内部に入れ、保湿箱中で、37
℃で2時間インキュベートした。ついで該チップ先端部
をブロッキング溶液(1%ウシ血清アルブミンおよび1
0%ショ糖を含むPBS)で洗浄した後、同じブロッキ
ング溶液中に該チップの先端15mmの部分を侵漬し、
4℃で16時間静置した。ブロッキング後のチップを真
空乾燥し、ポリエチレン袋の中で、8℃で保存した。
【0042】3.アビジン・ウレアーゼ コンジュゲー
トの調製 まずアビジンにマレイミド基を導入した。6.4mgの
ストレプトアビジン(5532LY;Gibco 社製)の
0.1M PBE(EDTA含有PBS;pH7.0)
溶液2.5mlに、8.7mgのEMCS[N−(ω−
マレイミドカプロイロキシ)サクシニミド]のDMF
(ジメチルホルムアミド)溶液0.87mlを加えて3
0分間反応させた。1Mグリシンを加えて反応を停止さ
せ、マレイミド化されたストレプトアビジンをPD10
カラム(Pharmacia 社製)で分離した。一方、ウレアー
ゼのSH基を再生させるために、50.2mgのウレア
ーゼ(U−0376;Sigma 社製)のリン酸緩衝液(p
H6.5)2.1mlに、0.42mlの0.1M D
TT(ジチオスレイトール)を加え、25℃で30分間
反応させ、PD10カラムで生成物を分離した。8.0
1nmolのマレイミド化ストレプトアビジンおよび等
モルの還元ウレアーゼを、1mM EDTAを含む0.
1Mリン酸緩衝液(pH6.5)6.36ml中でカプ
リングさせ、β−メルカプトエタノールを加えて反応を
停止させた。反応後の溶液をSephacryl S−
400HR(Pharmacia 社製)で分画し、コンジュゲー
ト活性の高い画分を分取し、4℃で保存した。なお、各
画分のコンジュゲート活性は、ビオチン標識ヒツジIg
G(E-Y Lab 社製)を固定化したマイクロプレートに生
成物を結合させ、そのウレアーゼ活性を測定することに
よって求めた。
【0043】4.臨床検体からのmRNAの抽出 臨床検体として健常人末梢血単核球(5検体)、リウマ
チ患者末梢血単核球(10検体)およびリウマチ患者膝
関節から採取した滑膜細胞(5検体)の各1×107
を用いた。これらの細胞からのmRNAの単離はQuick
Prep Micro mRNA Purification Kit(Pharmacia 社製)
を使用して行い、精製したmRNAを400μlの緩衝
液[1mM EDTA含有10mM Tris−HCl
(pH7.5)]の溶液として得た。
【0044】5.内部標準RNAの調製 内部標準RNAとしては、前述のとおり、pRSET
A DNAをRNAに転写したものを用いた。転写は次
のようにして行った。まずプラスミドpRSET A
DNAを制限酵素Sca I(宝酒造株式会社製)によ
って切断し、フェノール抽出、次いでエタノール沈殿を
行うことによって直線状DNAを得、これを蒸留水に溶
かすことによって200ng/μlの溶液を20μl得
た。次に該直線状DNA1μgを鋳型、4種のリボヌク
レオシド−5′−三リン酸を基質として、T7ポリメラ
ーゼ(宝酒造株式会社製)で転写し、フェノール抽出、
次いでエタノール沈殿を行い、RNAを得た。得られた
RNAを100μlのRNase阻害剤を加えた蒸留水
に溶解することにより、内部標準RNAの原液を得、こ
れを25000倍に希釈したものを「内部標準用pRS
ET RNA溶液」として用いた。
【0045】6.逆転写反応 逆転写反応溶液は下記のものを混合して調製した。 10×PCR用緩衝液 90.0μl 100mM DTT 90.0μl 1.25mM dNTP 144.0μl 40u/μl RNase阻害剤 26.3μl 32u/μl Reverse Transcriptase 1.9μl 10μM ビオチン−P4 30.0μl 20μM オリゴーdT18 150.0μl 「内部標準用pRSET A RNA溶液」 30.0μl 蒸留水 217.8μl 合計 780.0μl なお、上記組成の中で10×PCR用緩衝液とは、50
0mM KCl、200mM Tris−HCl(pH
8.4)、25mM MgCl2 、1mg/mlウシ血
清アルブミンを含む蒸留水を意味する。また、オリゴー
dT18はポリA配列を有する臨床検体由来mRNAも
しくはpAW109 RNAを逆転写するためのプライ
マーとして用いた。
【0046】検量線作成に当たっては上記組成の逆転写
反応溶液26μl中に0、102 、103 、104 、1
5 または106 コピーのpAW109 RNAを含む
TE緩衝液(10mM Tris−HCl(pH7.
6)、1mM EDTA)を各4μl加えて逆転写を実
施した。また、臨床検体の測定に当たっては、上記組成
の逆転写反応溶液26μlに1×105 個の臨床検体細
胞相当のmRNAを含むTE緩衝液各4μlを加えて逆
転写反応を実施した。逆転写反応はいずれも43℃で1
時間行い、次いで95℃で10分間熱変性を行った後、
10℃に急冷した。
【0047】7.PCR PCR溶液の組成は下記のとおりである。 10×PCR用緩衝液 90.0μl 1.25mM dNTP 144.0μl 5u/μl Taq DNAポリメラーゼ 6.0μl 10μM ジゴキシゲニン−P1 50.0μl 10μM ビオチン−P2 50.0μl 10μM FITC−P3 20.0μl 10μM ビオチン−P4 10.0μl 蒸留水 530.0μl 合計 900.0μl なお、上記組成の中で10×PCR用緩衝液とは、前記
逆転写反応において用いたと同じものを用いた。
【0048】PCR溶液45μlに、逆転写反応により
得られた溶液15μlを加え、93℃で5分間熱変性さ
せた。次いで55℃で45秒間アニール、72℃で2分
間プライマー伸長反応を行った。続いて93℃で1分、
55℃で45秒、72℃で2分のPCRを29サイクル
実施した。PCR後の溶液をCHROMA SPINカ
ラム(Clontech社製)にかけて、未反応のプライマーを
除去した。
【0049】8.増幅遺伝子の酵素免疫測定法による検
出 上記CHROMA SPINカラムで処理したPCR溶
液1μlを抗FITC抗体固相化ピペットチップの先端
内部に、別の1μlを抗ジゴキシゲニン抗体固相化ピペ
ットチップの先端内部に、それぞれ吸入し、室温で10
分間静置後、PBS(pH7.8)で洗浄した。次いで
2μlのアビジン・ウレアーゼ コンジュゲート溶液を
各ピペットチップに吸引し、室温で5分間静置した後、
10mM塩化アンモニウムと154mMの食塩を含む溶
液で洗浄した。該反応後のピペットチップの先端内壁上
に捕捉されたウレアーゼの活性は、該ピペットチップを
図2に示されたセルに挿入することによって測定した。
【0050】該セルはウレアーゼの基質液(155mM
尿素、10mM 塩化アンモニウムおよび154mM
食塩)の入口2および出口3を有するフローセル1か
らなる。pH感応性電界効果トランジスタ(以下、「p
H−FET」と略記する。)6を先端に埋め込んだセン
サー体5がセルの下部から挿入、固定されている。セン
サー体の先端にはセンサーカプラー4が装着されてい
る。これはセル上部から挿入されるピペットチップ8と
pH−FETとをカプリングさせるためのガイドとして
働く。7は液絡式比較電極である。pH−FETとピペ
ットチップがカプリングした状態の上面および側面から
の拡大図および寸法を、それぞれ図3および図4に示
す。基質液の流れを停止した状態でピペットチップをセ
ルに挿入し、pH−FETとカプリングさせ、チップ先
端内部での尿素の分解に伴うpH変化をpH−FETの
ソース電位の変化速度として測定した。すなわちピペッ
トチップ挿入後10秒から20秒の間のソース電位を
0.1秒間隔で読み取り、その10秒間の変化速度を最
小二乗法で算出した。チップ挿入直後の10秒間は、出
力が不安定になることがあるので、データの採取を行わ
なかった。電位読み取り後、チップを抜き取り、基質液
を送入してセルを洗浄した。なお、図4における9は、
pH−FET素子上のpH感応部を、図3および図4に
おける10は基質溶液の流路を示す。また、図4におけ
る斜体の数字は寸法(単位mm)を例示する。
【0051】9.IL−1β mRNAの検量線の作成 上記のように一定量の内部標準用pRSET A RN
Aと0〜106 コピーの外部標準用pAW109 RN
Aを含む溶液を逆転写、PCRし、それぞれのPCR産
物を上記の酵素免疫測定法で検出し、その信号強度比を
外部標準用pAW109 RNAのコピー数に対してプ
ロットした結果を図5に示した。この図から、本法によ
つて102 から106 コピーのpAW109 RNAを
定量することが可能であることがわかる。
【0052】10.臨床検体中のIL−1β mRNA
の定量 次に、同じく一定量の内部標準用pRSET A RN
Aと105 個の臨床検体由来細胞に相当するmRNAを
含む溶液を逆転写、PCRし、pRSET ARNAと
IL−1βのPCR産物を上記の酵素免疫測定法で測定
した結果および両者の信号強度比を表1に示した。次に
該信号比と図5の検量線を用いて算出したIL−1β
mRNAのコピー数、さらには臨床検体細胞1個当たり
のIL−1β mRNA発現数を表1に示した。なお、
表1中のN、RABおよびRASは、それぞれ健常人末
梢血単核球、リウマチ患者末梢血単核球およびリウマチ
患者滑膜細胞を表す。
【0053】
【表1】
【0054】表1の結果をまとめると、各細胞当たりの
IL−1β mRNAの発現個数の平均値±標準偏差
は、健常人末梢血単核球において0.021±0.01
3、リウマチ患者末梢血単核球において0.049±
0.068、リウマチ患者滑膜細胞において0.146
±0.133であった。この傾向は従来から報告されて
いる傾向と一致する。
【0055】
【発明の効果】操作が簡便であり、多数検体の測定や自
動化に適し、かつ高精度で定量的に増幅遺伝子を測定す
る方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の定量方法の工程を示す。
【図2】固相ピペットチップの先端内壁部に捕捉された
ウレアーゼの活性を測定するセルの一例を示す。
【図3】pH−FETおよびピペットチップがカプリン
グした状態の上面からの拡大図および寸法を示す。
【図4】pH−FETおよびピペットチップがカプリン
グした状態の側面からの拡大図および寸法を示す。
【図5】IL−1β mRNAの検量線である。
【符号の説明】
1:フローセル 2:ウレアーゼの基質液の入口 3:ウレアーゼの基質液の出口 4:センサーカプラー 5:センサー体 6:pH感応性電界効果トランジスタ(pH−FET) 7:液絡式比較電極 8:ピペットチップ 9:pH感応部 10:基質溶液の流路 11:レセプターが固定化された部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鶴田 仁志 岡山県倉敷市酒津2045番地の1 株式会 社クラレ内 (72)発明者 難波 敏彦 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社ク ラレ内

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リガンドAによって標識されたプライマ
    ーP1 およびリガンドBによって標識されたプライマー
    P2 からなるプライマー対を用いて、検出対象となる遺
    伝子をポリメラーゼチェインリアクションによって増幅
    させる工程、リガンドAに対するレセプターRa が固定
    化された固相に増幅された遺伝子を反応させる工程、検
    出用標識体Eによって標識されたリガンドBに対するレ
    セプターRb を該固相に反応させる工程、および検出用
    標識体Eの量を測定する工程からなる遺伝子の定量法に
    おいて、該ポリメラーゼチェインリアクション反応液中
    に一定量の内部標準遺伝子を共存させ、該内部標準遺伝
    子をリガンドCによって標識されたプライマーP3 およ
    びリガンドBによって標識されたプライマーP4からな
    るプライマー対を用いて同時にポリメラーゼチェインリ
    アクションを行い、得られた反応液の一部をリガンドA
    に対するレセプターRa が固定化された固相と、他の一
    部をリガンドCに対するレセプターRc が固定化された
    固相と、それぞれ反応させ、それぞれの固相に検出用標
    識体Eによって標識されたリガンドBに対するレセプタ
    ーRb を反応させ、それぞれの固相上の検出用標識体E
    に対応する信号を測定し、両者の信号比を求めることを
    特徴とする遺伝子の定量方法。
  2. 【請求項2】 検出用標識体がウレアーゼであることを
    特徴とする請求項1記載の遺伝子の定量方法。
  3. 【請求項3】 検出用標識体の測定手段がpH感応性電
    界効果トランジスターであることを特徴とする請求項1
    記載の遺伝子の定量方法。
  4. 【請求項4】 固相が細径管であることを特徴とする請
    求項1記載の遺伝子の定量方法。
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